【実施例1】
【0014】
実施例1の蓄電装置100について
図1〜3を参照して説明する。蓄電装置100は、二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池である。
図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、電極組立体3と、かしめ端子5,7と、電流遮断装置30を備えている。ケース1は、金属製であり、略直方体形状である。ケース1の内部には、電極組立体3と電流遮断装置30が収容されている。電極組立体3は、負極電極と正極電極を備えている。負極集電タブ43が負極電極に固定されており、正極集電タブ45が正極電極に固定されている。ケース1の内部は、電解液で満たされており、大気が除去されている。負極電極と正極電極の詳細な説明は省略する。なお、かしめ端子5,7は「端子」の一例に相当する。
【0015】
ケース1の上壁には、開口11、13が形成されている。以下では、ケース1の上壁を特にケース上壁9と称する。かしめ端子5は、開口11を介してケース1の内外に通じており、かしめ端子7は、開口13を介してケース1の内外に通じている。即ち、かしめ端子5とかしめ端子7の双方が、電極組立体3に対して同じ方向に配置されている。ケース1の外部には、外部接続用の外部端子60、61及びボルト64、65が配置されている(後述)。かしめ端子5、外部端子60及びボルト64は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。同様に、かしめ端子7、外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。かしめ端子5の下端はケース1の内部に位置しており、電流遮断装置30(後述)に接続されている。電流遮断装置30は、接続端子23及び負極リード25を介して、負極集電タブ43に接続されている。負極リード25は、絶縁シート27によってケース上壁9から絶縁されている。一方、かしめ端子7の下端はケース1の内部に位置しており、正極リード41を介して正極集電タブ45に接続されている。正極リード41は、絶縁シート37によってケース上壁9から絶縁されている。なお、ケース上壁9は「端子壁」の一例に相当する。
【0016】
ケース上壁9の上面には、樹脂製のガスケット62,63が配置されている。ガスケット62は、ケース上壁9より上方に突出した突出部66と、ケース上壁9に沿って伸びる平板部68を有する。突出部66はケース上壁9の中央側に配置され、平板部68はケース上壁9の開口11側に配置される。ガスケット62の上面には、外部端子60が配置されている。外部端子60はガスケット62の上面の形状に倣う形状を有する。外部端子60はガスケット62の上面に沿うように配置されている。ガスケット62の突出部66には有底の穴62aが形成されている。穴62aにはボルト64の頭部が配置されている。ボルト64の軸部は外部端子60の開口を通って上方に突出している。外部端子60及びガスケット62は、かしめ端子5によりケース上壁9に取付けられている(後述)。ガスケット63、外部端子61及びボルト65の構成は上述したガスケット62、外部端子60及びボルト64の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0017】
ここで、
図2を参照してかしめ端子5について説明する。
図2は、
図1の二点鎖線部200aの拡大図を示す。かしめ端子5は、円筒部14、基底部15及び固定部16を有する。円筒部14は円筒形状をしており、開口11を貫通している。このため、円筒部14の上部はケース1の外部に位置しており、下部はケース1の内部に位置している。円筒部14には軸方向(上下方向)に貫通孔14aが形成されている。このため、貫通孔14a内は大気圧に保たれる。
【0018】
基底部15は円板形状であり、円筒部14の下端に接続されている。即ち、基底部15はケース1の内部に位置している。基底部15は、環状に形成されており、円筒部14の軸方向と略直交するように円筒部14に接続されている。基底部15の外径は、円筒部14の外径より大きくされている。円筒部14と基底部15は同心円状に配置されている。基底部15の下面の外縁は、電流遮断装置30の変形板32(後述)の外縁と接続されている。基底部15の下面中央には、凹所15aが形成されている。凹所15aは、変形板32が上方に反転する際に、変形板32の反転部分が基底部15と当接することを防止するために形成されている。凹所15aの中心と貫通孔14aは連通しているため、凹所15a内も大気圧に保たれる。なお、基底部15の形状は円板形状に限られず、例えば直方体形状であってもよい。この場合、基底部15は円筒部14よりも大きくされていればよい。これは、後述する基底部95についても同様である。なお、変形板32は、「導電性部材」の一例に相当する。
【0019】
固定部16は環状を呈しており、円筒部14の上端に接続されている。即ち、固定部16はケース1の外部に位置している。かしめ端子5は、固定部16によりケース上壁9に固定されている。かしめ端子5がケース上壁9に固定される前は、固定部16は円筒部14の軸方向に延びている。即ち、円筒部14と固定部16は、軸方向に延びる1つの円筒状の部分を構成している。以下では説明を簡単にするため、上記の円筒状の部分を「円筒部分」と称する。
【0020】
かしめ端子5をケース上壁9に固定する際には、ケース上壁9の開口11にガスケット62及び外部端子60を取付けた状態で、円筒部分をケース1の内部からガスケット62の開口及び外部端子60の開口に挿通させる。その後、円筒部分の上端(ケース1の外部に突出している部分)を径方向(軸直方向)外側に屈曲させて当該円筒部分を径方向に押し広げる。これにより、当該円筒部分は外部端子60の上面に当接し、かしめ端子5がケース上壁9にかしめ固定される。当該円筒部分(即ち、円筒部分のうち屈曲された部分)が固定部16に相当する。かしめ端子5をケース上壁9に固定することで、シール部材19(後述)、ガスケット62及び外部端子60がかしめ端子5とケース上壁9との間に挟持される。このとき、ケース上壁9と基底部15と固定部16は互いに略平行となっている。ガスケット62により、外部端子60とケース上壁9との絶縁性が確保される。なお、「径方向(軸直方向)外側に屈曲させる」とは、かしめ端子5の円筒部分を屈曲させる際の方向を指すものであり、かしめ端子5をケース上壁9に固定した後の固定部16の方向を指すものではないことに注意されたい。
【0021】
ガスケット62の平板部68に形成されている開口の外周には、下方に延びる部分68aが形成されている。部分68aは、開口11に嵌め込まれている。部分68aにより、かしめ端子5とケース上壁9との間はより確実に絶縁されると共に、ガスケット62を容易に位置決めできる。
【0022】
次に、
図2を参照して、かしめ端子5とケース上壁9との間に配置されている部材の位置関係について説明する。かしめ端子5とケース上壁9との間には、環状の(即ち、円筒部14を一巡する)絶縁性のシール部材19が配置されている。シール部材19にはポリテトラフルオロエチレン(PFA)が用いられる。なお、シール部材19の材料はこれに限られず、例えばエチレン−プロピレン系ゴム(EPM)といった電解液に対して適切な耐液性を有する材料であればよい。シール部材19は、
図2に太線で示す範囲において、基底部15とケース上壁9の両者に接触している。これにより、シール部材19はかしめ端子5とケース上壁9との間をシールしている。一方、ケース内部側のシール部材19(別言すれば、基底部15の上面の外周部に配置されているシール部材19)は、上下方向の厚みが薄くされている(以下では、当該部分を「肉薄部19a」とも称する)。このため、シール部材19の肉薄部19aはかしめ端子5とケース上壁9との間をシールしていない。以下では、シール部材19がかしめ端子5とケース上壁9との間をシールしている部分を、「シール部分S1」と称する。シール部分S1は、円筒部14の外周を取り囲んでいる。なお、シール部材19は絶縁材料によって形成されているため、かしめ端子5とケース上壁9との絶縁性は維持される。なお、シール部材19は、「絶縁性部材」の一例に相当し、シール部分S1は「シール位置」の一例に相当し、肉薄部19aは「非シール部分」の一例に相当する。
【0023】
図2の破線で囲まれる空間18は、ケース上壁9を平面視したときにケース上壁9と基底部15とが対向する範囲のうち、固定部16が占める範囲の空間を表す。空間18は円筒部14の外周を取り囲むように形成されている。
図2に示すように、シール部分S1のケース外部側の一部は、空間18内に位置している。
【0024】
かしめ端子5とケース上壁9との間の空間のうち、シール部分S1よりケース内部側には空間20が形成されている。空間20は円筒部14の外周を取り囲むように形成されている。空間20はケース1の内部と連通している。肉薄部19aは、基底部15の上面を、空間20の内周面から径方向外側に向かって延びており、基底部15の外周面を覆い、破断板34(後述)と略同一の高さまで延びている。このため、肉薄部19aは、空間20の全周に亘って、かつ空間20の内周面から外周面まで配置されている。別言すれば、肉薄部19aは、空間20の平面方向(上下方向と直交する方向)全体に配置されている。なお、空間20の上下方向には肉薄部19aが存在しない空間があってもよい。
【0025】
シール部材19(詳細には、肉薄部19a)のケース内部側の端面は、絶縁部材39と当接している。絶縁部材39は破断板34の下面の外縁を周方向に亘って覆っている。シール部材19の肉薄部19a及び絶縁部材39の外周側には、環状の金属製の板材40が配置されている。具体的には、シール部材19及び絶縁部材39を上記の所定の位置に配置して基底部15、変形板32及び破断板34を径方向に固定した後、板材40の上端と下端がシール部材19の肉薄部19a及び絶縁部材39の外周面にかしめられる。これにより、基底部15、変形板32及び破断板34が上下方向に挟持される。シール部材19のケース内部側の厚みを薄くしてケース上壁9との間に隙間を形成することにより、当該隙間を活用して板材40を肉薄部19aの上面に配置することができる。これにより、板材40は基底部15、変形板32及び破断板34を容易にかしめ固定することができる。
【0026】
続いて、
図3を参照してかしめ端子7と、かしめ端子7とケース上壁9との間に配置される部材の位置関係について説明する。
図3は、
図1の二点鎖線部200bの拡大図を示す。
図2と同様の構成については説明を省略し、異なっている点について説明する。かしめ端子7は円柱部94、基底部95及び固定部96を有する。かしめ端子7は中実であり、貫通孔及び凹所が形成されていない。固定部96を
図3に示すように径方向外側に屈曲させることにより、かしめ端子7がケース上壁9にかしめ固定される。これにより、シール部材69、ガスケット63及び外部端子61がかしめ端子7とケース上壁9との間に挟持される。このとき、ケース上壁9と基底部95と固定部96は互いに平行となっている。基底部95は、正極リード41に接続されている。なお、かしめ端子7は中実の部材に限られず、円柱部94に貫通孔が形成されていてもよい。
【0027】
シール部材69はシール部分S1において基底部95とケース上壁9の両者に接触しており、これらの間をシールしている。シール部材69のケース外部側の面(即ち、内周面)は円柱部94に当接している。ケース内部側のシール部材69は、上下方向の厚みが薄くされている(以下では、当該部分を「肉薄部69a」と称する)。肉薄部69aは、基底部95の上面全体を径方向外側に基底部95の外周面の位置まで延びている。このため、ケース上壁9を平面視すると、空間20にはシール部材69の肉薄部69aが必ず配置されている。また、シール部分S1のケース外部側の一部は、空間18内に位置している。
【0028】
図2に戻って電流遮断装置30について説明する。電流遮断装置30は、金属製の変形板32と、金属製の破断板34を備えている。電流遮断装置30は、かしめ端子5の下方に位置しており、ボルト64の下方には位置していない。変形板32の外縁は、基底部15の外縁と接続されており、基底部15の凹所15aの下端は変形板32により覆われている。凹所15a内は大気圧に保たれているため、変形板32の上面には大気圧が作用する。基底部15、変形板32及び破断板34は、環状のシール部材19、絶縁部材39、及び板材40により挟持されている。変形板32は、平面視したときに円形を有する導電性のダイアフラムであり、下方に凸となっている。変形板32の中央部は破断板34と接続されている。破断板34は円形の板材であり、変形板32の下方に位置している。破断板34の外縁の一部に接続端子23が接続されている。破断板34の下面の中央部には溝部34aが形成されている。溝部34aは、破断板34を底面視したときに円形となるように形成されている。溝部34aの内側で破断板34と変形板32の中央部とが接続されている。溝部34aが形成されることで、溝部34aが形成された位置における破断板34の機械的強度が、溝部34a以外の位置における破断板34の機械的強度よりも低くなる。破断板34の一部には通気孔34bが形成されており、変形板32と破断板34との間の空間46がケース1内の空間と連通している。また、変形板32の外縁と破断板34の外縁との間には環状の絶縁部材38が配置されている。
【0029】
電流遮断装置30は、接続端子23と、破断板34と、変形板32と、かしめ端子5とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3とかしめ端子5は、電流遮断装置30の通電経路を介して電気的に接続されている。
【0030】
ここで、電流遮断装置30の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、かしめ端子5と負極集電タブ43(負極電極)が導通しており、かしめ端子7と正極集電タブ45(正極電極)が導通している。このため、かしめ端子5とかしめ端子7の間が通電可能な状態となっている。ケース1内の空間と空間46とは通気孔34bを介して連通しているため、ケース1内の圧力が上昇すると、変形板32の下面に作用する圧力が上昇する。一方、変形板32の上面には大気圧が作用する。このため、変形板32の下面と上面にそれぞれ作用する圧力の差が一定の値に到達すると(別言すれば、ケース1内の圧力が所定値を超えると)、変形板32が反転して、下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する。すると、変形板32の変化に応じて、変形板32の中央部に接続されていた破断板34が、機械的に脆弱な溝部34aを起点に破断する。そして、破断板34は、溝部34aで囲まれていた部分と、溝部34aの外周部分とに分離する。これによって、破断板34と変形板32とを接続する通電経路が遮断され、電極組立体3とかしめ端子5との間の通電が遮断される。このとき、変形板32は接続端子23から絶縁されると共に、破断板34はかしめ端子5から絶縁されている。
【0031】
実施例1の蓄電装置100の作用効果について説明する。以下では、特に記載しない限り、「かしめ端子5」は「かしめ端子7」と読み替えることができる。その他の実施例における作用効果についても同様である。上記の蓄電装置100では、かしめ端子5とケース上壁9との間の空間が、シール部材19のシール部分S1においてシールされている。このため、ケース1内の電解液がシール部分S1よりも外部側の空間に漏出することが抑制される。また、空間20には、当該空間の平面方向の全体にシール部材19の肉薄部19aが配置されている。このため、空間20ではかしめ端子5とケース上壁9とが直接対向することがない。従って、電解液が空間20に浸入しても、電解液を介してかしめ端子5とケース上壁9とが接触することが抑制される。この結果、電流遮断装置30が動作した後に、空間20に電解液が存在する状態で、かしめ端子5とケース上壁9との間に高電圧が印加されても、かしめ端子5とケース上壁9とが短絡することを抑制することができる。なお、板材40とケース上壁9とは直接対向しているが、板材40は通電経路とはならず、通電経路から絶縁されている。このため、電流遮断装置30が動作した後で、板材40がケース上壁9と電解液を介して導通しても特に問題はないことに注意されたい。
【0032】
また、上記の蓄電装置100では、シール部分S1の一部が、空間18内に位置している。即ち、シール部分S1の一部は、ケース上壁9を平面視した状態でかしめ端子5とケース上壁9とが対向する範囲で、かつ、固定部16が占める範囲に位置している。このため、固定部16がケース上壁9に及ぼす荷重の方向と、かしめ端子5とケース上壁9とをシールするための圧縮力の方向とが同一となり、シール部分S1の一部においてかしめ端子5とケース上壁9との間を強固にシールできる。さらに、ケース上壁9とかしめ端子5との間に配置される部材を1つとすることにより、蓄電装置の部品点数を低減することができ、製造効率が向上する。
【0033】
なお、複数の蓄電装置100を備えた蓄電装置モジュールでは、各蓄電装置100が直列に接続され、所望の電圧が得られるまで直列に接続される。これにより、高出力で大容量の蓄電装置モジュールを構成することができる。
【実施例3】
【0037】
図5の二点鎖線部400aは、
図1の二点鎖線部200aに相当する。この蓄電装置では、電流遮断装置の構成が実施例1と異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様である。電流遮断装置70は、金属製の第1変形板75と、金属製の破断板73と、金属製の第2変形板71を備えている。基底部15、第1変形板75、破断板73及び第2変形板71は、絶縁性のシール部材19及び絶縁部材78により支持されている。シール部材19及び絶縁部材78の外周面には、金属製の板材79がかしめられている。これにより、基底部15、第1変形板75、破断板73及び第2変形板71が上下方向に挟持される。なお、第1変形板75は「導電性部材」の一例に相当する。
【0038】
第2変形板71は、破断板73の下方に配置されている。第2変形板71は円形状の板材であり、中央部が下方に突出している。第2変形板71の上面の外縁には絶縁部材81が配置されている。絶縁部材81は環状の部材であり、第2変形板71と破断板73とを絶縁している。また、第2変形板71の上面には突出部83が設けられている。突出部83は第2変形板71の中央に位置している。突出部83は、破断板73に向かって上方に突出している。突出部83の上方には破断板73の中央部73b(溝部73aに囲まれた部分)が位置している。破断板73及び突出部83を底面視すると、突出部83の外周は、中央部73bの外周より小さくされている。第2変形板71の下面にはケース1内の空間の圧力が作用する。第2変形板71の上面には、第2変形板71と破断板73の間の空間86の圧力が作用する(後述)。空間86はケース1内の空間からシールされている。よって、ケース1内の空間の圧力が高くなると、第2変形板71の上面と下面に作用する圧力は相違することとなる。
【0039】
破断板73は、第2変形板71と第1変形板75の間に配置されている。破断板73は、溝部73aによって、溝部73aに囲まれた中央部73bと、溝部73aの外周側に位置する外周部73cに区分されている。中央部73bの板厚は薄く、外周部73cの板厚は厚くされている。破断板73には通気孔73dが形成されている。空間86は、通気孔73dを介して第1変形板75と破断板73との間の空間88と連通している。
【0040】
第1変形板75は、円形状の板材であり、破断板73の上方に配置されている。第1変形板75は、実施例1の変形板32と略同一の構成を有する。第1変形板75の外縁は、かしめ端子5の基底部15に接続されている。第1変形板75と破断板73の間には、絶縁部材85が配置されている。絶縁部材85は、環状の部材であり、第1変形板75の外縁と破断板73の外縁とに接触している。第1変形板75の上面と基底部15の下面(凹所15aの内壁)との間には空間87が形成されている。空間87は、かしめ端子5に設けられた貫通孔14aと連通しており、大気圧に保たれている。破断板73と基底部15の外縁との間にはシール部材89が配置されている。シール部材89は、環状の部材であり、絶縁部材85の外側に配置されている。シール部材89は、基底部15の下面及び破断板73の上面に接触し、基底部15及び破断板73の外縁に沿って一巡している。シール部材89は、基底部15と破断板73との隙間をシールしている。
【0041】
電流遮断装置70の通電経路について説明する。
図5に示す電流遮断装置70では、破断板73が第1変形板75の中央部と接続されている。第1変形板75の外縁は、かしめ端子5に接続されている。よって、電流遮断装置70は、接続端子23と、破断板73と、第1変形板75と、かしめ端子5とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3とかしめ端子5は、電流遮断装置70の通電経路を介して電気的に接続されている。
【0042】
ここで、電流遮断装置70の遮断動作について
図5を参照して説明をする。上述した蓄電装置ではかしめ端子5とかしめ端子7の間が通電可能な状態となっている。ケース1内の圧力が上昇すると、第2変形板71の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2変形板71の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間86の圧力が作用する。このため、第2変形板71の下面と上面にそれぞれ作用する圧力の差が一定の値に到達すると(別言すれば、ケース1内の圧力が所定値を超えると)、第2変形板71が反転して、下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する。このとき、空間86内の空気は通気孔73dを通って空間88に移動し、空間88内の圧力が上昇する。このため、第2変形板71が下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する過程(別言すれば、空間86内の容積が小さくなる過程)では、第1変形板75の下面に作用する圧力と第1変形板75の上面に作用する圧力(即ち、大気圧)との差圧が大きくなる。また、第2変形板71が反転すると、第2変形板71の突出部83が破断板73の中央部73bに衝突し、破断板73が溝部73aで破断する。第1変形板75の上面と下面にそれぞれ作用する圧力の差が増大すること、及び第2変形板71の突出部83が上方に変位して破断板73の中央部73bに衝突することにより、第1変形板75が反転し、第1変形板75及び破断板73の中央部73bが上方に変位する。別言すれば、破断板73と第1変形板75とが電気的に離間する。これにより破断板73と第1変形板75を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3とかしめ端子5との間の導通が遮断される。このとき、第1変形板75は接続端子23から絶縁されると共に、破断板73はかしめ端子5から絶縁されている。通気孔73dが形成されていることにより、第2変形板71が反転する際に空間86内の空気が通気孔73dを通って空間88に移動するため、第2変形板71がスムーズに反転することができる。この構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。なお、上述の電流遮断装置70はその他の実施例の蓄電装置に取り付けられてもよい。
【実施例4】
【0043】
図6の二点鎖線部500aは、
図1の二点鎖線部200aに相当する。この蓄電装置では、負極端子205の構成が実施例1と異なっている。負極端子205は円筒部214と基底部215を有する。負極端子205をケース上壁9に固定する際には、円筒部214に環状のシール部材19及び板材40を挿通した状態で、円筒部214をケース1の内部からケース上壁9の開口11に挿通する。そして、ケース1の外部から環状の絶縁部材17を円筒部214に取付けて、絶縁部材17をケース上壁9に当接させる。その後、ケース1の外部からナット21を円筒部214に締結する。これにより、負極端子205がケース上壁9に固定されると共に、シール部材19が基底部215とケース上壁9との間に挟持される。負極端子205には軸方向(上下方向)に貫通孔214aが形成されている。バスバーボルト47は、貫通孔214aに取付けられる。バスバーボルト47の頭部と負極端子205の間にはバスバー49が配置されている。バスバーボルト47が貫通孔214aに取付けられると、バスバー49がバスバーボルト47の頭部と負極端子205によって挟持される。なお、負極端子205は「端子」の一例に相当する。
【0044】
シール部材19は、シール部分S1において、基底部215とケース上壁9の両者に接触しており、これらの間をシールしている。
図6の破線で囲まれる空間218は、ケース上壁9を平面視したときにケース上壁9と基底部215とが対向する範囲のうち、ナット21が占める範囲の空間を表す。
図6に示すように、シール部分S1は空間218内に位置している。負極端子205とケース上壁9との間の空間のうち、シール部分S1よりもケース内部側には、空間220が形成されている。空間220には、平面方向の全体にシール部材19の肉薄部19aが配置されている。
【0045】
絶縁部材17に形成されている開口の外周には、下方に延びる部分17aが形成されている。部分17aは、開口11に嵌め込まれている。部分17aにより、負極端子205とケース上壁9との間はより確実に絶縁されると共に、負極端子205を容易に位置決めできる。シール部材
19と部分17aとの間には空間が形成されている。
【0046】
この構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。また、この構成によると、ナット21がケース上壁9に及ぼす締め付け力の方向と、基底部215とケース上壁9とをシールするための圧縮力の方向とが同一となり、シール部分S1において基底部215とケース上壁9との間を強固にシールできる。
【0047】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本明細書が開示する蓄電装置は、上記の実施例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、電流遮断装置30及び電流遮断装置70は、かしめ端子7側に設けられてもよいし、かしめ端子5とかしめ端子7の双方に設けられてもよい。また、上記の実施例では、変形板32が反転することで破断板34との導通が遮断される。しかしながら、変形板32の変形の仕方は反転に限られない。例えば、変形板32の中央部が上方に撓むことで破断板34が溝部34aを起点に破断し、変形板32と破断板34との導通が遮断される構成であってもよい。変形板32は、変形板32と破断板34との導通が遮断されるのであればどのように変形してもよい。第2変形板75についても同様である。
【0048】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。