特許第6176374号(P6176374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000002
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000003
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000004
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000005
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000006
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000007
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000008
  • 特許6176374-画像形成装置及び画像読取り装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6176374
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像読取り装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/34 20060101AFI20170731BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20170731BHJP
   B65H 23/24 20060101ALI20170731BHJP
   B41J 15/16 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   B41J11/34
   B41J2/01 305
   B65H23/24
   B41J15/16
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-151409(P2016-151409)
(22)【出願日】2016年8月1日
【審査請求日】2016年12月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 邦生
(72)【発明者】
【氏名】田口 義之
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄一
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−84192(JP,A)
【文献】 特開2000−326578(JP,A)
【文献】 特開2007−022760(JP,A)
【文献】 特開2004−174717(JP,A)
【文献】 特開2002−103710(JP,A)
【文献】 特開昭59−020689(JP,A)
【文献】 特開2015−123681(JP,A)
【文献】 特開昭62−249848(JP,A)
【文献】 特開2008−222361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 20/00−20/40
B65H 23/00−23/16
B65H 23/24−23/34
B65H 27/00
B41J 15/00−15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続紙と非接触に配置され、前記連続紙に液滴を吐出する吐出部と、
前記連続紙の搬送方向における前記吐出部の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙に設けられた送り穴にピンを挿入して前記連続紙を搬送する第1搬送機構と第2搬送機構と、
前記第1搬送機構と前記吐出部との間、及び前記第2搬送機構と前記吐出部との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する吸収機構と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記吸収機構は、前記吐出部と前記第1搬送機構との間のみに設けられており、
前記吸収機構は、複数の吸引孔を備えると共に前記連続紙を吸引する面を有する吸引ガイドと、前記吸引孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸収機構は、前記吐出部と前記第1搬送機構との間のみに設けられており、
前記吸収機構は、前記連続紙を案内するガイドと、前記連続紙に空気を吹き付けて前記ガイドに前記連続紙を接触させる吹き付け部と、備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記吸収機構は、複数の吸着孔を備えると共に前記連続紙を吸着しながら搬送する搬送ベルトと、前記吸着孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備え、
前記吸収機構は、前記吐出部と前記第2搬送機構との間のみに設けられており、
前記搬送ベルトは、前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構の搬送速度よりも搬送速度が大きい請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸収機構は、複数の吸着孔を備えると共に前記連続紙を吸着しながら搬送する搬送ベルトと、前記吸着孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備え、
前記吸収機構は、前記吐出部と前記第1搬送機構との間のみに設けられており、
前記搬送ベルトは、前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構の搬送速度よりも搬送速度が小さい請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記吐出部と前記連続紙を挟んで対向する位置に、前記連続紙と接触してガイドする板状のガイド部を有する請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
連続紙と非接触に配置され、前記連続紙に形成された画像を読取る読取り手段と、
前記連続紙の搬送方向における前記読取り手段の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙を搬送する第3搬送機構と第4搬送機構と、
前記第3搬送機構と前記読取り手段との間、及び前記第4搬送機構と前記読取り手段との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する吸収機構と、
を有する画像読取り装置。
【請求項8】
連続紙と非接触に配置され、前記連続紙に液滴を吐出する吐出部と、
前記連続紙と非接触に配置され、前記連続紙上の液滴により形成された画像を読取る読取り手段と、
前記連続紙の搬送方向における前記吐出部の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙に設けられた送り穴にピンを挿入して前記連続紙を搬送する第1搬送機構と第2搬送機構と、
前記連続紙の搬送方向における前記読取り手段の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙を搬送する第3搬送機構と第4搬送機構と、
前記第1搬送機構と前記吐出部との間、及び前記第2搬送機構と前記吐出部との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する第1吸収機構と、
前記第3搬送機構と前記読取り手段との間、及び前記第4搬送機構と前記読取り手段との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する第2吸収機構と、
を有する画像形成装置。
【請求項9】
前記吸収機構は、前記読取り手段と前記第3搬送機構との間のみに設けられており、
前記吸収機構は、複数の吸引孔を備えると共に前記連続紙を吸引する面を有する吸引ガイドと、前記吸引孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備える請求項7に記載の画像読取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、枚葉機の搬送ドラムにおいて、枚葉紙の搬送方向下流側を固定した後、枚葉紙の搬送方向上流側にエア吸着面によりバックテンションを付与する構造が開示されている。この構造では、バックテンションを付与するエア吸着のバランスを紙幅方向中央部は大きくし、紙幅方向両端部は小さくすることで、枚葉紙の皺や浮きの発生を抑制している。
【0003】
下記特許文献2には、印刷部よりも連続紙の搬送方向上流側に基本速度ロールが配置されており、印刷部よりも搬送方向下流側に配置された制御駆動ロールを、基本速度ロールと制御駆動ロールとの間に配置された第1張力検出ロールで制御する。さらに、基本速度ロールよりも搬送方向上流側に第2張力検出ロールと駆動ロールが配置されており、駆動ロールは、第2張力検出ロールで制御することで、印刷部の下の連続紙の張力を安定化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−169719号公報
【特許文献2】特開2013−071323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連続紙の送り穴にピンを挿入して連続紙を搬送する搬送機構の場合、搬送機構と搬送機構の間で、送り穴とピンの設計マージンにより連続紙の弛みが発生することがある。連続紙の弛みが生じると、連続紙と間接的に機能部が対向している、例えば、液滴を吐出する吐出部、あるいは、画像を読取る読取り部の下部において、機能部と連続紙の距離にばらつきが発生する。
【0006】
本発明は、吸収機構を有しない構成と比較して、搬送機構と搬送機構との間の連続紙の弛みによる液滴の着弾位置ずれ、あるいは、読み取り誤差を抑制する画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る画像形成装置は、連続紙と非接触に配置され、前記連続紙に液滴を吐出する吐出部と、前記連続紙の搬送方向における前記吐出部の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙に設けられた送り穴にピンを挿入して前記連続紙を搬送する第1搬送機構と第2搬送機構と、前記第1搬送機構と前記吐出部との間、及び前記第2搬送機構と前記吐出部との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する吸収機構と、を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記吸収機構は、前記吐出部と前記第1搬送機構との間のみに設けられており、前記吸収機構は、複数の吸引孔を備えると共に前記連続紙を吸引する面を有する吸引ガイドと、前記吸引孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記吸収機構は、前記吐出部と前記第1搬送機構との間のみに設けられており、前記吸収機構は、前記連続紙を案内するガイドと、前記連続紙に空気を吹き付けて前記ガイドに前記連続紙を接触させる吹き付け部と、備える。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記吸収機構は、複数の吸着孔を備えると共に前記連続紙を吸着しながら搬送する搬送ベルトと、前記吸着孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備え、前記吸収機構は、前記吐出部と前記第2搬送機構との間のみに設けられており、前記搬送ベルトは、前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構の搬送速度よりも搬送速度が大きい
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の画像形成装置において、前記吸収機構は、複数の吸着孔を備えると共に前記連続紙を吸着しながら搬送する搬送ベルトと、前記吸着孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備え、前記吸収機構は、前記吐出部と前記第1搬送機構との間のみに設けられており、前記搬送ベルトは、前記第1搬送機構及び前記第2搬送機構の搬送速度よりも搬送速度が小さい
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記吐出部と前記連続紙を挟んで対向する位置に、前記連続紙と接触してガイドする板状のガイド部を有する。
【0014】
請求項に記載の発明に係る画像読取り装置は、連続紙と非接触に配置され、前記連続紙に形成された画像を読取る読取り手段と、前記連続紙の搬送方向における前記読取り手段の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙を搬送する第3搬送機構と第4搬送機構と、前記第3搬送機構と前記読取り手段との間、及び前記第4搬送機構と前記読取り手段との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する吸収機構と、を有する。
【0015】
請求項に記載の発明に係る画像形成装置は、連続紙と非接触に配置され、前記連続紙に液滴を吐出する吐出部と、前記連続紙と非接触に配置され、前記連続紙上の液滴により形成された画像を読取る読取り手段と、前記連続紙の搬送方向における前記吐出部の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙に設けられた送り穴にピンを挿入して前記連続紙を搬送する第1搬送機構と第2搬送機構と、前記連続紙の搬送方向における前記読取り手段の上流側及び下流側に設けられ、前記連続紙を搬送する第3搬送機構と第4搬送機構と、前記第1搬送機構と前記吐出部との間、及び前記第2搬送機構と前記吐出部との間のいずれか一方に設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する第1吸収機構と、前記第3搬送機構と前記読取り手段との間、及び前記第4搬送機構と前記読取り手段との間のいずれか一方のみに設けられ、空気の吸引又は吹き付けにより前記連続紙の弛みを吸収する第2吸収機構と、を有する。
請求項9に記載の発明に係る画像読取り装置は、請求項7に記載の画像読取り装置において、前記吸収機構は、前記読取り手段と前記第3搬送機構との間のみに設けられており、前記吸収機構は、複数の吸引孔を備えると共に前記連続紙を吸引する面を有する吸引ガイドと、前記吸引孔を通じて空気を吸い込む吸込み部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、吸収機構を有しない構成と比較して、第1搬送機構と第2搬送機構との間の連続紙の弛みによる液滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙の弛みが吸収され、連続紙の速度変動が安定化される。また、請求項2に記載の発明によれば、吸収機構が吐出部と第2搬送機構との間に設けられた構成と比較して、連続紙への液滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙の弛みが吸収され、連続紙の速度変動が安定化される。また、請求項3に記載の発明によれば、吸収機構が吐出部と第2搬送機構との間に設けられた構成と比較して、連続紙への液滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙の弛みが吸収され、連続紙の速度変動が安定化される。また、請求項4に記載の発明によれば、搬送ベルトの搬送速度が、第1搬送機構及び第2搬送機構の搬送速度と同じものと比較して、連続紙への液滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0021】
請求項に記載の発明によれば、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙の弛みが吸収され、連続紙の速度変動が安定化される。また、請求項5に記載の発明によれば、搬送ベルトの搬送速度が、第1搬送機構及び第2搬送機構の搬送速度と同じものと比較して、連続紙への液滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0022】
請求項に記載の発明によれば、ガイド部のない構成と比較して、連続紙への液滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0023】
請求項に記載の発明によれば、吸収機構を有しない構成と比較して、第3搬送機構と第4搬送機構との間の連続紙の弛みによる読み取り誤差が抑制される。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、第1吸収機構を有しない構成と比較して、第1搬送機構と第2搬送機構との間の連続紙の弛みによる液滴の着弾位置ずれが抑制されると共に、第2吸収機構を有しない構成と比較して、第3搬送機構と第4搬送機構との間の連続紙の弛みによる読み取り誤差が抑制される。
請求項9に記載の発明によれば、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙の弛みが吸収され、連続紙の速度変動が安定化される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態の画像形成装置を示す構成図である。
図2図1に示す画像形成装置に用いられる吸収装置を示す断面図である。
図3】(A)及び(B)は、第1トラクタ機構の最終ピンと第2トラクタ機構の先頭ピンとの距離と、連続紙の送り穴のピッチとの関係を説明する図である。
図4】本発明の第2実施形態の画像形成装置に用いられる吸収装置を示す断面図である。
図5】本発明の第3実施形態の画像形成装置に用いられる吸収装置を示す断面図である。
図6】本発明の第4実施形態の画像形成装置に用いられる吸収装置を示す断面図である。
図7】比較例の画像形成装置に用いられるバネガイド部を示す断面図である。
図8】本発明の第5実施形態の画像読取り装置に用いられる吸収装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の画像形成装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図面において、矢印UPで示す方向を画像形成装置の鉛直方向における上方向とする。また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲がある場合は、数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0027】
〔第1実施形態〕
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態の画像形成装置を示す構成図である。画像形成装置10は、液滴の一例としてのインク滴を吐出して連続紙2上に画像を形成するインクジェット記録装置とされている。図1に示されるように、画像形成装置10は、連続紙2を供給する供給部12と、連続紙2にインク滴を吐出して画像形成を行う画像形成部14と、連続紙2の搬送方向(矢印A方向)における画像形成部14の下流側で連続紙2のインク滴を乾燥させる乾燥部16と、連続紙2の搬送方向における乾燥部16の下流側で連続紙2が回収される回収部18と、を備えている。なお、以下では、連続紙2の搬送方向を単に「搬送方向」という場合がある。
【0028】
供給部12は、連続紙2を収容する給紙収容部22を備えている。連続紙2には、各ページが搬送方向に連続して形成されている。連続紙2には、各ページを区切るミシン目2Aが形成されており、ミシン目2Aで切断が可能とされている。連続紙2は、ミシン目2Aを折り目として山谷が交互となるように折りたたまれた(Z折りされた)状態で給紙収容部22に収容されている。連続紙2の幅方向(長手方向と直交する方向)両側には、複数の送り穴2Bが設けられている(図3(B)参照)。図3(B)では、連続紙2の幅方向両側は対称であるので、連続紙2のCL(センターライン)の幅方向一方側のみを図示し、連続紙2のCL(センターライン)の幅方向他方側は、図示を省略している。
【0029】
図1に示されるように、画像形成部14は、連続紙2を矢印A方向に搬送する第1搬送機構の一例としての第1トラクタ機構24と、連続紙2の搬送方向における第1トラクタ機構24の下流側で連続紙2にインク滴を吐出して画像を形成する吐出部の一例としてのインクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」と略称する)26と、を備えている。また、画像形成部14は、連続紙2の搬送方向における記録ヘッド26の下流側に、連続紙2を搬送する第2搬送機構の一例としての第2トラクタ機構28を備えている。記録ヘッド26は、画像形成装置10の上下方向における連続紙2の上方側に配置されている。記録ヘッド26と連続紙2を挟んで対向する位置には、連続紙2の下面(裏面)に接触して連続紙2をガイドする板状のガイド部30が設けられている。
【0030】
第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28は、連続紙2の幅方向(長手方向と直交する方向)両側に設けられた複数の送り穴2B(図3(B)参照)に、後述するピン56を挿入して連続紙2を搬送する構成とされている(図2参照)。本実施形態では、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28により連続紙2が搬送されることで、給紙収容部22から連続紙2が引き出される。第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28については、後に説明する。
【0031】
また、画像形成部14は、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間に、空気の吸引により連続紙2の弛みを吸収する吸収機構の一例としての吸引装置32を備えている。さらに、第1トラクタ機構24の搬送方向上流側、及び第2トラクタ機構28の搬送方向下流側には、連続紙2をガイドする複数のガイドロール34が設けられている。
【0032】
記録ヘッド26は、本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応した記録ヘッド(図示省略)を備えている。例えば、各色の記録ヘッドは、連続紙2の搬送方向の上流側から下流側に向かって記載した順序で配置されており、各色の記録ヘッドの各々は、複数のノズルから対応する色のインクを吐出して、連続紙2上に対応する色の画像を形成する。なお、本実施形態では、YMCK各色を区別する必要がないので、「記録ヘッド26」と総称する。記録ヘッド26は、図示しないノズルが配置された複数のインクジェットヘッドが連続紙2の幅方向に千鳥状に配置されている。
【0033】
乾燥部16は、連続紙2に吐出されたインク滴を乾燥させる乾燥装置36を備えている。乾燥装置36は、連続紙2に吐出されたインク滴をヒータで加熱し、又はインク滴の吐出面にレーザ光を照射する構成とされている。これにより、連続紙2上に形成された画像のインク滴を乾燥させて、連続紙2に画像を定着させるようになっている。乾燥部16には、連続紙2の搬送方向を変更して連続紙2のインク滴の吐出面を乾燥装置36と対向する位置に導く複数のガイドロール38を備えている。ガイドロール34、38は、連続紙2のインク滴の吐出面と反対側の面に接触するように配置されている。
【0034】
回収部18は、連続紙2を収容する排紙収容部40を備えている。また、回収部18は、乾燥部16から連続紙2の搬送方向を変更して連続紙2を排紙収容部40に導く複数のガイドロール42を備えている。排紙収容部40では、連続紙2が、ミシン目2Aを折り目として山谷が交互となるように折りたたまれた(Z折りされた)状態で収容されるようになっている。
【0035】
上記の画像形成装置10では、給紙収容部22から引き出された連続紙2は、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28によって矢印A方向に搬送される。画像形成部14では、記録ヘッド26によりインク滴が連続紙2に吐出されて画像が形成される。記録ヘッド26により画像が形成された連続紙2は、乾燥装置36と対向する位置に搬送され、乾燥装置36により連続紙2上に形成された画像のインク滴が乾燥される。さらに、インク滴の乾燥により画像が定着された連続紙2は、排紙収容部40に折りたたまれた状態で収容されることで、連続紙2への画像形成が終了する。
【0036】
(画像形成部14の構成)
図2には、画像形成装置10の画像形成部14が示されている。図2に示されるように、画像形成部14は、連続紙2の搬送方向における記録ヘッド26の上流側及び下流側に、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28を備えている。さらに、画像形成部14は、上述のように、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間に吸引装置32を備えている。
【0037】
第1トラクタ機構24は、連続紙2の搬送方向の下流側と上流側に間隔をおいて配置された一対のロール50、52と、一対のロール50、52に架け渡された無端状の搬送ベルト54と、を備えている。一対のロール50、52は、一方が駆動ロールで、他方が従動ロールとされている。一対のロール50、52は、その軸方向が連続紙2の搬送方向と交差するように配置されている。搬送ベルト54の表面(外側表面)の幅方向両側には、複数のピン56がベルト周方向に沿って間隔をおいて取り付けられている。複数のピン56のピッチは、連続紙2の複数の送り穴2BのピッチP(図3(B)参照)と合わせて設定されている。複数のピン56が連続紙2の複数の送り穴2Bにそれぞれ挿入された状態で、ピン56と送り穴2Bとを入れ替えつつ、搬送ベルト54の連続紙2側の部位が矢印B方向に移動する。これにより、連続紙2が矢印A方向に搬送されるようになっている。一対のロール50、52と搬送ベルト54は、連続紙2の裏面(吐出面の裏)側に配置されている。第1トラクタ機構24は、連続紙2を挟んで搬送ベルト54と反対側(連続紙2の上方側)に、連続紙2の上方側を覆うと共に連続紙2の送り穴2Bがピン56から抜けないようにするガイド部58が設けられている。
【0038】
第2トラクタ機構28は、第1トラクタ機構24と同様に、一対のロール50、52と、複数のピン56を備えた搬送ベルト54と、ガイド部58と、を備えている。図示を省略するが、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28は、同一のモータで駆動されており、それぞれの搬送ベルト54の移動速度が同じになるように設定されている。
【0039】
ガイド部30は、記録ヘッド26側(画像形成装置10の上下方向上側)に向かって凸状となるように湾曲している。第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28の位置は、ガイド部30に接触して湾曲した連続紙2の延長線上となる位置に配置されている。連続紙2は、ガイド部30に接触すると共に、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28で押さえられることで、記録ヘッド26の下側で連続紙2に張力が発生するようになっている。
【0040】
吸引装置32は、連続紙2と接触する位置に複数の吸引孔62Aが形成された吸引ガイド62と、吸引孔62Aを通じて空気を吸い込む吸込み部の一例としてのファン64と、を備えている。吸引ガイド62は、箱状とされており、上面部に複数の吸引孔62Aが形成されている。すなわち、吸引ガイド62は、複数の吸引孔62Aが形成された上面部が連続紙2を吸引する面とされている。ファン64は、吸引ガイド62の内部に配置されている。吸引ガイド62の下面部に開口62Bが設けられている。吸引装置32は、ファン64の回転により、吸引ガイド62の複数の吸引孔62Aを通じて空気を吸引することで、吸引ガイド62の表面(上面)に連続紙2が吸着され(貼り付けられ)、連続紙2に搬送負荷を与えるようになっている。本実施形態では、吸引ガイド62の開口62Bの下側が開放されているが、開口62Bに空気を逃がすためのダクトを設けてもよい。また、ダクトにファンを設けてもよい。
【0041】
図3(A)には、第1トラクタ機構24の搬送ベルト54の複数のピン56と、第2トラクタ機構28の搬送ベルト54の複数のピン56との位置関係が模式的に示されている。図3(A)に示されるように、第1トラクタ機構24の連続紙2の送り穴2Bに挿入される最終ピン56Aと、第2トラクタ機構28の連続紙2の送り穴2Bに挿入される先頭ピン56Bとの距離D(以下、トラクタ間ピッチという場合がある)は、図3(B)に示す連続紙2の複数の送り穴2BのピッチPの整数倍より若干小さく設定されている。例えば、トラクタ間ピッチが連続紙2の送り穴のピッチの整数倍よりも大きいと、送り穴がピンの挿入で変形して、連続紙2と記録ヘッドとの距離TDや印刷速度の変動の要因となる。このため、本実施形態の画像形成装置10では、トラクタ間ピッチ(距離D)を連続紙2の送り穴2BのピッチPの整数倍よりも小さく設定している。しかし、トラクタ間ピッチを連続紙2の送り穴2BのピッチPの整数倍よりも小さく設定すると、送り穴のピッチが正規の連続紙では、第1トラクタ機構と第2トラクタ機構との間で連続紙の弛みが発生する場合がある。本実施形態の画像形成装置10では、後述のように吸引装置32により、連続紙2の弛みを吸収するようになっている。
【0042】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0043】
図2に示されるように、画像形成装置10は、連続紙2の搬送方向における記録ヘッド26の上流側及び下流側に、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28を備えている。第1トラクタ機構24では、搬送ベルト54の複数のピン56が連続紙2の送り穴2Bに挿入された状態で、搬送ベルト54が矢印B方向に移動する。これと共に、第2トラクタ機構28では、搬送ベルト54の複数のピン56が連続紙2の送り穴2Bに挿入された状態で、搬送ベルト54が矢印B方向に移動する。これにより、連続紙2が矢印A方向に搬送される。
【0044】
画像形成装置10は、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間に、連続紙2の弛みを吸収するための吸引装置32を備えている。吸引装置32では、ファン64の回転により、吸引ガイド62の複数の吸引孔62Aを通じて空気を吸引することで、吸引ガイド62の表面に連続紙2が吸着される(貼り付けられる)。これにより、連続紙2に搬送負荷を与え、記録ヘッド26の下側の連続紙2に吸引による張力が与えられる。
【0045】
図7には、比較例の画像形成装置200の画像形成部201が示されている。図7に示されるように、画像形成部201には、第2トラクタ機構28と記録ヘッド26との間に、連続紙2の弛みを吸収するバネガイド部202が設けられている。バネガイド部202は、コイル状のバネ206と、バネ206を支持する支持部204と、バネ206の先端部に設けられると共に連続紙2の下面(裏面)に接触するガイド208と、を備えている。ガイド208は、連続紙2側に突出するように湾曲した湾曲面を備えている。
【0046】
上記の画像形成装置200では、第2トラクタ機構28と記録ヘッド26との間で、バネ206で支持されたガイド208が連続紙2の下面(裏面)に接触することで、バネ206の伸縮により、第2トラクタ機構28と記録ヘッド26との間の連続紙2に張力を発生させる。これにより、連続紙2の弛みが吸収される。しかし、バネ206で支持されたガイド208を連続紙2の下面(裏面)に接触させると、連続紙2のミシン目2Aの折り目がガイド208に侵入するときの衝撃がバネに加わり、連続紙2がばたつき、速度の微小送りムラとなって画像が乱れる場合がある。
【0047】
本実施形態の画像形成装置10では、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間に吸引装置32が設けられており、吸引ガイド62の表面に連続紙2が吸着される(貼り付けられる)。これにより、連続紙2に搬送負荷を与え、記録ヘッド26の下側の連続紙2に吸引による張力が与えられる。このため、画像形成装置10では、バネガイド部202を用いた構成と比較して、連続紙2のミシン目2Aの折り目も吸引ガイド62の表面に連続紙2が吸着され(貼り付けられ)、連続紙2のばたつきによる画像の乱れが抑制される。
【0048】
上記の画像形成装置10では、吸収機構を有しない構成と比較して、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28との間の連続紙2の弛みによるインク滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0049】
また、画像形成装置10では、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙2の弛みが吸収され、連続紙2の速度変動が安定化される。
【0050】
さらに、画像形成装置10では、吸引装置が記録ヘッドと第2トラクタ機構との間に設けられた構成と比較して、連続紙2へのインク滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、図4を用いて、本発明の第2実施形態の画像形成装置について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0052】
図4には、本実施形態の画像形成装置70の画像形成部72が示されている。図4に示されるように、画像形成部72は、第2トラクタ機構28と記録ヘッド26との間に、空気の吸引により連続紙2の弛みを吸収する吸収機構の一例としての吸引装置74を備えている。吸引装置74は、連続紙2の搬送方向(矢印A方向)の下流側と上流側に間隔をおいて配置された一対のロール76、78と、一対のロール76、78に架け渡された無端状の搬送ベルト80と、を備えている。一対のロール76、78は、一方が駆動ロールで、他方が従動ロールとされている。一対のロール76、78は、その軸方向が連続紙2の搬送方向と交差するように配置されている。搬送ベルト80は、複数の吸着孔80Aを備えている。図示を省略するが、複数の吸着孔80Aは、例えば、搬送ベルト80に千鳥状に配置されている。また、吸引装置74は、搬送ベルト80の内部に、連続紙2側の吸着孔80Aを通じて空気を吸い込む吸込み部の一例としてのファン82を備えている。
【0053】
吸引装置74では、ファン82により搬送ベルト80の吸着孔80Aを通じて空気を吸い込むことで、連続紙2が搬送ベルト80の表面に吸着される(貼り付く)ようになっている。そして、搬送ベルト80は、連続紙2との接触部で一対のロール76、78の回転により矢印C方向に移動することで、搬送ベルト80の表面に連続紙2を吸着しながら搬送する。
【0054】
搬送ベルト80の連続紙2の搬送速度V2は、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28の連続紙2の搬送速度V1よりも大きい(V2>V1)。これにより、搬送ベルト80は、過送りにより連続紙2の搬送を補助する。
【0055】
上記の画像形成装置70では、第2トラクタ機構28と記録ヘッド26との間に吸引装置74が設けられており、ファン82により搬送ベルト80の吸着孔80Aを通じて空気を吸引することで、連続紙2を搬送ベルト80の表面に吸着しながら搬送する。そのとき、搬送ベルト80の連続紙2の搬送速度V2が、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28の連続紙2の搬送速度V1よりも大きいので、搬送ベルト80は、過送りにより連続紙2の搬送を補助する。これにより、吸引装置74と第1トラクタ機構24との間で、記録ヘッド26の下側の連続紙2に張力が発生し、連続紙2の弛みが抑制される。
【0056】
上記の画像形成装置70では、吸収機構を有しない構成と比較して、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28との間の連続紙2の弛みによるインク滴の着弾位置ずれが抑制される。また、吸引装置74は、複数の吸着孔80Aを備えると共に連続紙2を吸着しながら搬送する搬送ベルト80と、吸着孔80Aを通じて空気を吸い込むファン82と、を備えている。このため、画像形成装置70では、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙2の弛みが吸収され、連続紙2の速度変動が安定化される。
【0057】
また、画像形成装置70では、搬送ベルト80の連続紙2の搬送速度V2が、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28の連続紙2の搬送速度V1よりも大きい。このため、画像形成装置70では、搬送ベルトの搬送速度が、第1トラクタ機構及び第2トラクタ機構の搬送速度と同じものと比較して、連続紙2へのインク滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0058】
〔第3実施形態〕
次に、図5を用いて、本発明の第3実施形態の画像形成装置について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5には、本実施形態の画像形成装置90の画像形成部92が示されている。図5に示されるように、画像形成部92は、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間に、空気の吸引により連続紙2の弛みを吸収する吸収機構の一例としての吸引装置94を備えている。吸引装置94は、第2実施形態の吸引装置74(図4参照)と同様に、連続紙2の搬送方向(矢印A方向)の下流側と上流側に間隔をおいて配置された一対のロール76、78と、一対のロール76、78に架け渡された無端状の搬送ベルト80と、を備えている。搬送ベルト80は、複数の吸着孔80Aを備えている。また、吸引装置74は、搬送ベルト80の内部に、連続紙2側の吸着孔80Aを通じて空気を吸い込む吸込み部の一例としてのファン82を備えている。
【0060】
吸引装置94では、ファン82により搬送ベルト80の吸着孔80Aを通じて空気を吸い込むことで、連続紙2が搬送ベルト80の表面に吸着される(貼り付く)ようになっている。そして、搬送ベルト80は、連続紙2との接触部で一対のロール76、78の回転により矢印D方向に移動することで、搬送ベルト80の表面に連続紙2を吸着しながら搬送する。
【0061】
搬送ベルト80の連続紙2の搬送速度V3は、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28の連続紙2の搬送速度V1よりも小さい(V1>V3)。これにより、搬送ベルト80は、過小送りにより連続紙2に搬送負荷を与える。このため、吸引装置94と第2トラクタ機構28との間で、記録ヘッド26の下側の連続紙2に張力が発生する。
【0062】
上記の画像形成装置90では、吸収機構を有しない構成と比較して、第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28との間の連続紙2の弛みによるインク滴の着弾位置ずれが抑制される。また、吸引装置94は、複数の吸着孔80Aを備えると共に連続紙2を吸着しながら搬送する搬送ベルト80と、吸着孔80Aを通じて空気を吸い込むファン82と、を備えている。このため、画像形成装置90では、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙2の弛みが吸収され、連続紙2の速度変動が安定化される。
【0063】
また、画像形成装置90では、搬送ベルト80の連続紙2の搬送速度V3が、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28の連続紙2の搬送速度V1よりも小さい。このため、画像形成装置90では、搬送ベルトの搬送速度が、第1トラクタ機構及び第2トラクタ機構の搬送速度と同じものと比較して、連続紙2へのインク滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0064】
〔第4実施形態〕
次に、図6を用いて、本発明の第4実施形態の画像形成装置について説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0065】
図6には、本実施形態の画像形成装置110の画像形成部112が示されている。図6に示されるように、画像形成部92は、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間に、空気の吹き付けにより連続紙2の弛みを吸収する吸収機構の一例としての吸引装置114を備えている。
【0066】
吸引装置114は、連続紙2の上側に配置されると共に連続紙2に空気を吹き付ける吹き付け部の一例としての吹き付け装置116と、連続紙2の下側(吹き付け装置116と反対側)に配置されると共に連続紙2を案内するガイド122と、を備えている。吹き付け装置116は、矩形状の筐体118を備えている。吹き付け装置116は、連続紙2と対向する筐体118の下面部に形成されると共に空気を吹き出す吹出し口118Aと、吹出し口118Aと反対側の筐体118の上面部に形成されると共に空気が流入する流入口118Bと、を備えている。筐体118の内部には、吹き出し口118Aから空気を吹き付けるファン120が設けられている。
【0067】
吸引装置114では、ファン120の回転により、筐体118の吹出し口118Aから空気を連続紙2に吹き付けることで、連続紙2がガイド122の表面に押し付けられる(貼り付けられる)。これにより、連続紙2に搬送負荷を与え、記録ヘッド26の下側の連続紙2にガイド122への押し付けよる張力が与えられる。
【0068】
上記の画像形成装置110では、吸収機構を有しない構成と比較して、第1トラクタ機構と第2トラクタ機構との間の連続紙の弛みによるインク滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0069】
また、画像形成装置110では、連続紙をバネで押し付ける構成と比較して、連続紙2の弛みが吸収され、連続紙2の速度変動が安定化される。
【0070】
さらに、画像形成装置110では、吸引装置が記録ヘッドと第2トラクタ機構との間に設けられた構成と比較して、連続紙2へのインク滴の着弾位置ずれが抑制される。
【0071】
なお、第1〜第4実施形態の画像形成装置では、トラクタ間ピッチ(距離D)を連続紙2の送り穴2BのピッチPの整数倍よりも小さく設定している(図3参照)が、本発明は、この構成に限定されるものではない。すなわち、トラクタ間ピッチ(距離D)が、連続紙2の送り穴2BのピッチPの整数倍よりも小さく設定されていない構成でもよい。
【0072】
〔第5実施形態〕
次に、図8を用いて、本発明の第5実施形態の画像読取り装置について説明する。なお、前述した第1〜第4実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0073】
図8には、本実施形態の画像読取り装置140が示されている。図8に示されるように、画像読取り装置140は、光学センサで構成された読取り手段の一例としての画像読取り手段142と、連続紙2の搬送方向における画像読取り手段142の上流側に設けられた第3搬送機構の一例としての第3トラクタ機構144と、連続紙2の搬送方向における画像読取り手段142の下流側に設けられた第4搬送機構の一例としての第4トラクタ機構146と、を備えている。さらに、画像読取り装置140は、第3トラクタ機構144と画像読取り手段142との間に、空気の吸引により連続紙2の弛みを吸収する吸収機構の一例としての吸引装置148を備えている。なお、第3トラクタ機構144及び第4トラクタ機構146は、第1トラクタ機構24及び第2トラクタ機構28(図2等参照)と同様の構成となっている。
【0074】
上記の画像読取り装置140では、吸収機構を有しない構成と比較して、第3トラクタ機構144と第4トラクタ機構146との間の連続紙2の弛みによる読み取り誤差が抑制される。
【0075】
画像読取り装置の変形例として、吸収機構を、第4トラクタ機構146と画像読取り手段142との間に設けてもよい。また、図8では、空気の吸引による吸引装置148が設けられていたが、空気の吹き付けにより連続紙2の弛みを吸収する吸収機構を設けてもよい(図6に示す吸引装置114を参照)。また、連続紙2の搬送機構(第3搬送機構及び第4搬送機構)は、駆動ロールでも良い。更に、第5実施形態の画像読取り装置を第1〜第4実施形態の画像形成装置が備えてもよい。この場合、画像形成装置では、連続紙2上のインク滴により形成された画像を読取る位置に第5実施形態の画像読取り装置140を設ける構成としてもよい。例えば、図1に示す画像形成装置10に画像読取り装置140を設ける場合は、連続紙2の搬送方向における乾燥装置36と該乾燥装置36の下流側のガイドロール38との間に配置スペースを形成し、画像読取り装置140を配置する構成としてもよい。
【0076】
また、第1〜第4実施形態の画像形成装置は、記録ヘッド26の下側に、連続紙2の下面(裏面)をガイドする板状のガイド部30が設けられているが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、記録ヘッド26の下側に、板状のガイド部30に代えて、連続紙2の搬送方向と交差する方向に配置されると共に連続紙2の下面(裏面)をガイドする複数本のガイドロールを備える構成でもよい。また、第5実施形態の画像読取り装置140においても、板状のガイド部30に代えて、連続紙2の下面(裏面)をガイドする複数本のガイドロールを設けてもよい。
【0077】
また、第1実施形態の画像形成装置10において、吸引装置32を構成する吸引ガイド62の形状やファン64の配置は変更可能である。
【0078】
また、第4実施形態の画像形成装置110では、吹き付け装置116に対して連続紙2を挟んで反対側にガイド122が設けられているが、連続紙2の搬送方向に沿って、吹き付け装置116の位置とガイド122の位置がずれていてもよい。また、第4実施形態の画像形成装置110において、吸引装置114を構成する吹き付け装置116の筐体118の形状やファン120の配置は変更可能である。
【0079】
また、画像形成手段として、液滴を吐出する吐出手段について記載したが、電子写真式の画像形成手段に適用すると、連続紙の弛みを抑制することで、色ずれを抑制することができる。
【0080】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0081】
2 連続紙
2B 送り穴
10 画像形成装置
24 第1トラクタ機構(第1搬送機構の一例)
26 記録ヘッド(吐出部の一例)
28 第2トラクタ機構(第2搬送機構の一例)
32 吸引装置(吸収機構の一例)
56 ピン
62 吸引ガイド
62A 吸引孔
64 ファン(吸込み部の一例)
70 画像形成装置
74 吸引装置(吸収機構の一例)
80 搬送ベルト
80A 吸着孔
82 ファン(吸込み部の一例)
90 画像形成装置
94 吸引装置(吸収機構の一例)
110 画像形成装置
114 吸引装置(吸収機構の一例)
116 吹き付け装置(吹き付け部の一例)
122 ガイド
140 画像読取り装置
142 画像読取り手段(読取り手段の一例)
144 第3トラクタ機構(第3搬送機構の一例)
146 第4トラクタ機構(第4搬送機構の一例)
148 吸引装置(吸収機構の一例)
【要約】
【課題】吸収機構を有しない構成と比較して、搬送機構と搬送機構との間の連続紙の弛みによる液滴の着弾位置ずれ、あるいは、読み取り誤差を抑制する。
【解決手段】画像形成装置10は、連続紙2にインク滴を吐出する記録ヘッド26と、連続紙2の搬送方向における記録ヘッド26の上流側及び下流側に設けられ、連続紙2に設けられた送り穴2Bにピン56を挿入して連続紙2を搬送する第1トラクタ機構24と第2トラクタ機構28と、第1トラクタ機構24と記録ヘッド26との間、又は、第2トラクタ機構28と記録ヘッド26との間に設けられ、空気の吸引により連続紙2の弛みを吸収する吸引装置32と、を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8