(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トリガー発生部は、一のエリアにおける消費電力が予め設定された上限値を超えたことに応じて、前記トリガーを発生する請求項2から5のいずれか一項に記載の設備管理システム。
前記複数の設備のそれぞれから取得した診断情報に基づいて、前記対象設備の点検、補修、および交換の少なくとも1つに関する保全計画を生成する保全計画生成部を更に備える請求項8に記載の設備管理システム。
前記保全計画生成部は、前記電力監視部が収集した電力状態および前記診断情報取得部が収集した診断情報に基づいて、前記複数の設備の保全の優先度を決定する請求項9または10に記載の設備管理システム。
一の設備が属するエリアにおける、前記一の設備の補修または交換前後の電力状態を比較する電力状態比較部を更に備える請求項9から12のいずれか一項に記載の設備管理システム。
前記エネルギーマネジメントシステムが有する前記複数の設備に関する電力監視用データベースおよび前記設備監視システムが有する前記設備データベースの間で前記複数のエリアおよび前記複数の設備の対応関係の同期をとる同期処理部を更に備える請求項8から12のいずれか一項に記載の設備管理システム。
前記設備特定部は、前記複数のエリアのそれぞれについて、前記トリガーに応じていずれの設備を前記対象設備とするかを予め設定する設定情報に基づいて、前記対象エリアに属する少なくとも1つの設備の中から前記対象設備を選択する請求項1から14のいずれか一項に記載の設備管理システム。
前記設備特定部は、前記対象エリアに属する少なくとも1つの設備のそれぞれから取得された診断情報に基づいて、前記対象設備を選択する請求項1から14のいずれか一項に記載の設備管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
[1.設備管理システムの構成]
図1は、本実施形態に係る設備管理システム1を示す。設備管理システム1は、複数のエリア100に配置された複数の設備110を総合的に管理するものであり、エネルギーマネジメントシステム2と、設備監視システム3と、保全システム4と、管理部5とを備える。
【0011】
[1−1.エリア]
エリア100は、少なくとも1つの設備110を含む。例えば、エリア100は、エネルギーの消費または供給をモニタリング可能な、設備110を1または複数含むエネルギー管理単位(EMU)であってよい。一例として、エリア100は、プラント、データセンター、店舗、物流センター、ビル、マンション、施設、生産ラインなどであってよいし、その更に細分化された部分(例えばプラント内の建物、建物内のフロア、部屋、単一の設備110など)であってよい。各エリア100は、電力状態センサ101を有してよい。
【0012】
電力状態センサ101は、エリア100の電力状態を測定し、ネットワーク150(一例としてインターネットまたは専用回線)を介してエネルギーマネジメントシステム2に送信する。例えば、電力状態センサ101は、スマートメータであってよい。電力状態は、消費電力、発電電力、電流値および電圧値の少なくとも1つであってよい。なお、電力状態センサ101が直接的にエネルギーマネジメントシステム2に測定値を送信する代わりに、図示しない収集装置が複数のエリア100の電力状態センサ101から測定値を収集してエネルギーマネジメントシステム2に送信してもよい。また、電力状態センサ101は、設備110毎に設けられてもよい。一例として、電力状態センサ101は、エリア100としての設備110毎に設けられてもよいし、エリア100に含まれる設備110毎に設けられてもよい。
【0013】
[1−2.設備]
設備110は、電力により駆動される器具、機械、装置である。設備110は、設備監視システム3による監視単位であってよい。
【0014】
例えば、設備110は、マシニングセンタ、変圧器、回転機、サーボプレス機、検査装置、溶接機、コンプレッサ、受排水設備、空調機、発電機、バッテリ、冷凍庫、センサ、サーバ、ショーケース、運搬機器、および、その他の機械などの少なくとも1つであってよい。さらに、このような設備110に対する制御システムに含まれるサーバ、コントローラ、ネットワークおよび周辺機器などの少なくとも1つが別の設備110であってもよい。ここで、マシニングセンタとは、自動工具交換機能をもち、目的に合わせてフライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの異種の加工を1台で行う工作機械であり、少なくとも1つの回転機を有してよい。発電機は、ガスエンジン、コジェネレーション(熱電供給)システムなどによる自家発電機であってよい。センサとしては、ガスおよび水道の流用センサ、電力センサなどが用いられる。センサはデジタルの計測値を無線通信するスマートセンサであってよい。
【0015】
これらの設備110は、エリア100の種類に応じて設置されてよい。例えば、エリア100がプラントである場合には、設備110は、マシニングセンタ、変圧器、回転機、サーボプレス機、検査装置、溶接機、コンプレッサ、受排水設備、空調機、発電機、バッテリ、電力センサ、および、流用センサなどの1または複数であってよく、これらが組立製造ラインを構成してもよい。エリア100がデータセンターである場合には、設備110は、バッテリ、電力センサ、サーバ、および、空調機などの1または複数であってよい。エリア100が店舗である場合には、設備110は、ショーケース、冷凍庫、電力センサ、流用センサ、および、空調機などの1または複数であってよい。
【0016】
各設備110は、診断部112および診断情報記憶部113を有してよい。
【0017】
診断部112は、設備110を診断し、その結果を示す診断情報を診断情報記憶部113に供給する。例えば、診断部112は、設備110の動作状態をセンサ(図示せず)により測定して診断を行ってよい。動作状態は、電力状態とは異なる状態であってよい。診断部112はミリ秒単位でのデータ解析を行って故障による異常の有無を診断してもよいし、数か月単位でのデータ解析を行って劣化による異常の有無を診断してもよい。診断情報には、設備110が正常であるか否かと、センサによる測定値および測定時刻と、測定時刻での設備110の運転条件等とが含まれてよい。
【0018】
例えば、設備110が回転機などである場合には、診断部112は動作状態として振動状態を測定し、診断を行ってよい。一例として、診断部112は、加速度、速度または変移のセンサを用い、測定結果を高周波または低周波のFFT解析して絶対判定法または相対判定法により診断を行ってよい。
【0019】
また、設備110がバッテリである場合には、診断部112は、動作状態として温度、内部抵抗および/または電圧などを測定し、診断を行ってよい。一例として、診断部112は、温度センサ、内部抵抗センサおよび/または電圧センサを用い、測定値と基準閾値との比較による診断を行ってよい。
【0020】
また、設備110が制御システムのサーバ、コントローラ、ネットワークおよび周辺機器などである場合には、診断部112は、以下の表1に示すような動作状態を取得して診断を行ってよい。
【0022】
なお、診断部112は、温湿度、二酸化炭素濃度、照度、風向き・風速、雨量などを測定して診断に用いてもよい。
【0023】
診断情報記憶部113は、診断部112から供給される診断情報を保持する。診断情報記憶部113は、ネットワーク150(一例としてインターネットまたは専用回線)を介して設備監視システム3と通信可能となっている。
【0024】
なお、診断部112および診断情報記憶部113は、設備110に設けられずに設備監視システム3に具備されてもよい。この場合には、動作状態を監視するためのセンサが設備110に設けられ、このセンサから送信される測定値に基づいて診断部112が診断を行い、診断情報記憶部113に記憶させてよい。
【0025】
[1−3.エネルギーマネジメントシステム]
エネルギーマネジメントシステム2は、エネルギーマネジメントシステム2の顧客のエリア100に対して電力の制御を行うものであり、一例としてクラウドサーバであってよい。エネルギーマネジメントシステム2の顧客は、本実施形態では一例として、設備管理システム1の顧客でもある。エネルギーマネジメントシステム2は、電力監視用データベース20、電力監視部21、表示制御部22、電力制御部23、およびトリガー発生部24を有する。
【0026】
電力監視用データベース20は、顧客の識別情報と、エリア100の識別情報とに対応付けて、電力状態センサ101から送信される測定値を蓄積記憶する。なお、電力監視用データベース20と、後述の設備データベース30および保全データベース40との間では、同一の対象(一例として顧客、エリア100および設備110など)に対する識別情報が異なっていてもよい。識別情報の対応付けは後述の管理部5における統合データベース50に記憶されてよい。
【0027】
電力監視部21は、複数のエリア100のそれぞれにおける電力状態を監視して、異常の有無を検知する。電力監視部21は、電力状態センサ101から受信した測定値を用いて異常の有無を検知し、測定値と対応付けて電力監視用データベース20に記憶させてよい。また、電力監視部21は、異常の有無を電力制御部23に供給してよく、異常を検知した場合に、その内容をトリガー発生部24に供給してよい。
【0028】
表示制御部22は、電力監視部21による監視結果を表示装置(図示せず)に出力する。表示制御部22は電力監視部21による監視結果を、電力状態のグラフと共に出力してもよい。
【0029】
また、表示制御部22は、電力監視部21により異常が検知された場合に、その内容を出力してよい。これにより、顧客は設備110が故障する前に異常状態を把握して電力状態の変更を行うことができる。
【0030】
電力制御部23は、省エネルギー化を実現するべく、電力監視部21による監視結果に基づいて電力供給を制御する。例えば、電力制御部23は、エリア100毎にエネルギーパフォーマンス指標(EnPI)を算出し、予め設定したエネルギーベースライン(EnB)と比較することで電力供給を制御してよい。また、電力制御部23は、受電電力を常時監視して、受電電力が基準値を超えないようにするデマンド制御を行ってよい。一例として、電力制御部23は、エリア100の受電電力が基準値を超えることが推定される場合に、顧客に対して警告をしてもよいし、運転スケジュールの変更を顧客に促してもよいし、エリア100内の少なくとも1部の設備110の出力を落としてもよいし電源を切ってもよい。これに代えて、電力制御部23は、受電電力の監視結果から導出される、基準期間(例えば1日、1週間など)内での受電電力の変動パターンを参照し、受電電力が基準値を超えることが推定されるタイミングで、顧客に対する警告を表示制御部22に出力させてもよい。また、電力制御部23は、各エリア100での電力の需要予測、需給バランスを演算して表示制御部22に出力させてもよい。受電電力の基準値は、顧客と電力会社との間の契約電力であってよい。夏季などに電気事業法によって顧客への供給電力が制限される場合には、その上限値を基準値としてもよい。
【0031】
トリガー発生部24は、複数のエリア100のそれぞれにおける電力状態の監視結果に応じて、設備監視のトリガーを発生して設備監視システム3に送信する。
【0032】
なお、エネルギーマネジメントシステム2は、電力監視部21およびトリガー発生部24を備える限りにおいて、他の構成を備えなくてもよい。
【0033】
[1−4.設備監視システム]
設備監視システム3は、故障を防止すべく設備監視システム3の顧客の設備110を監視するものであり、一例としてクラウドサーバであってよい。設備監視システム3の顧客は、本実施形態では一例として、設備管理システム1の顧客でもある。設備監視システム3は、設備データベース30、設備監視部31、表示制御部33および設備特定部34を有する。
【0034】
設備データベース30は、複数の設備110のそれぞれが複数のエリア100のいずれに属するかの対応付けを保持する。例えば、設備データベース30は、顧客の識別情報と、各エリア100の識別情報と、当該エリア100に属する設備110の識別情報とを対応づけて保持してよい。これに加え、設備データベース30は、設備110毎に、当該設備110の診断情報記憶部113から取得される診断情報を蓄積記憶してよい。
【0035】
設備監視部31は、複数の設備110のそれぞれの動作状態を監視するものであり、診断情報取得部310を含む。診断情報取得部310は、複数の設備110のそれぞれが保持する診断情報記憶部113から診断情報を取得して設備データベース30に記憶させる。
【0036】
表示制御部33は、各設備110の診断情報の定期レポートを表示装置(図示せず)に出力する。これにより、顧客は設備110の状態、余寿命等を把握することができる。さらに、制御システムに含まれるサーバ、コントローラ、ネットワークおよび周辺機器などの設備110の診断情報によって、顧客は、制御システムによる制御対象の設備110のリソース不足を把握したり、原因不明の間欠的な故障を予測したりすることができる。表示制御部33は、診断情報に含まれる測定値、運転条件などをグラフ化して出力してもよい。
【0037】
また、表示制御部33は、診断情報が設備110の異常を示す場合に、当該診断情報の内容を出力してよい。これにより、顧客は設備110が故障する前に異常状態を把握して設備110のメンテナンス、稼働停止などを行い、設備110を安定的に稼働することができる。表示制御部33は、異常を示す診断情報の履歴を出力してもよい。
【0038】
設備特定部34は、トリガー発生部24から設備監視のトリガーを受信したことに応じて設備データベース30を用い、複数のエリア100のうちトリガーの原因となった対象エリアに属する少なくとも1つの設備を、設備監視システム3によって監視すべき対象設備として特定する。ここで、トリガーの原因となった対象エリアとは、電力状態の異常が検知されたエリアである。設備特定部34は、特定した対象設備の識別情報を診断情報取得部310に供給し、対象設備についての診断情報の取得を促してよい。
【0039】
なお、設備監視システム3は、設備データベース30および設備特定部34を備える限りにおいて、他の構成を備えなくてもよい。
【0040】
[1−5.保全システム]
保全システム4は、保全システム4の顧客の設備110の保全履歴を保持して保全計画を提供するものであり、一例としてクラウドサーバであってよい。保全計画とは、例えば、設備110およびその部品の点検、補修、交換のスケジュールであってよい。保全システム4の顧客は、本実施形態では一例として、設備管理システム1の顧客でもある。保全システム4は、保全データベース40、保全計画生成部41および表示制御部42を有する。
【0041】
保全データベース40は、複数の設備110のそれぞれの点検、補修、および交換の少なくとも1つに関する保全履歴を格納する。例えば、保全データベース40は、顧客の識別情報と、各設備110の識別情報と、設備110が設置されたエリア100の識別情報と、設備110に含まれる部品の識別情報と、設備110および部品についての過去の点検、補修および交換の履歴、予備品の保持数などとを対応付けた設備台帳を格納してよい。保全データベース40は、保全システム4の作業員が保持する保全用端末400からネットワーク150(一例としてインターネットまたは専用回線)を介して送信される点検、補修および交換の情報を記憶してよい。保全用端末400は、例えばメガネ型などのウェアラブル端末であってよい。
【0042】
保全データベース40は、保全計画生成部41により生成される保全計画を設備110毎に記憶してもよい。
【0043】
保全計画生成部41は、保全データベース40に格納された保全履歴を用いて、各設備110について点検、補修および交換の少なくとも1つに関する保全計画を生成し、表示制御部42および保全データベース40に供給する。例えば、保全計画生成部41は、定期的な点検の結果から設備110の劣化の度合いを診断し、故障または性能低下が推定されるタイミングよりも前に点検、補修または交換が行われるように保全計画を生成してよい。
【0044】
保全計画生成部41は、診断情報取得部310により複数の設備110のそれぞれから取得された診断情報に基づいて、保全計画を生成してもよい。例えば、保全計画生成部41は、設備監視システム3により定期レポートが出力されるタイミングで、設備データベース30に記憶された診断情報と、保全データベース40に記憶された点検結果とを参照して設備110の劣化の度合いを診断し、保全計画を生成してよい。
【0045】
また、保全計画生成部41は、電力監視部21が収集した電力状態および診断情報取得部310が収集した診断情報に基づいて、複数の設備110の間で保全の優先度を決定してよい。例えば、保全計画生成部41は、複数の設備110についての電力状態および診断情報から各設備110の劣化の度合いを算出し、故障または性能低下が推定されるタイミングの早い設備110から先に点検、補修または交換が行われ、異常のない設備110については点検、補修または交換が先送りされるように優先度を決定してよい。これに代えて/加えて、保全計画生成部41は、収集した電力状態から電力異常の深刻度または異常頻度を算出し、その値を用いて、診断情報等から算出される各設備110の劣化の度合いを重み付けして優先度を決定してもよい。保全計画生成部41は、電力状態を電力監視用データベース20から、診断情報を設備データベース30から読み出してよく、多変量解析によって劣化の度合い、異常深刻度などを算出してよい。
【0046】
表示制御部42は、各設備110の保全状態を表示装置(図示せず)に出力する。これにより、顧客は設備110の保全状態を把握することができる。表示制御部42は、保全履歴を出力してもよい。また、表示制御部42は、保全データベース40に格納された設備台帳を出力してもよいし、保全計画生成部41が生成した保全計画を出力してもよい。
【0047】
[1−6.管理部]
管理部5は、複数の設備110を統合的に管理するものであり、一例としてクラウドサーバであってよい。管理部5は、統合データベース50、表示制御部51、電力状態比較部52および同期処理部53を有する。
【0048】
統合データベース50は、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4と、設備管理システム1との間で顧客、エリア100および設備110の識別情報の紐付けを行う。例えば、統合データベース50は、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれにおける顧客の識別情報およびパスワードと、設備管理システム1における当該顧客の識別情報およびパスワードとを対応付けて記憶する。また、統合データベース50は、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれにおけるエリア100および設備110の識別情報と、設備管理システム1における当該エリア100および設備110の識別情報とを対応付けて記憶する。
【0049】
表示制御部51は、診断情報取得部310により取得された対象設備110の診断情報を表示装置510に出力させる。これに加え、表示制御部51は、エネルギーマネジメントシステム2および設備監視システム3、好ましくは更に保全システム4にそれぞれログインした状態を維持し、これらのシステムに対する統合ユーザインターフェースを提供してよい。
【0050】
ここで、統合ユーザインターフェースは、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれと、顧客との間での情報のやり取りを可能とするインターフェースであり、統合管理環境を提供する。例えば、統合ユーザインターフェースは、少なくともエネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれによる表示画面を並べたマルチビューのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であってよい。統合ユーザインターフェースの表示内容については、
図3〜
図11を用いて詳細を後述する。
【0051】
電力状態比較部52は、一の設備110が属するエリア100における、一の設備110の補修または交換前後の電力状態を比較する。例えば、電力状態比較部52は、電力監視用データベース20を参照して、補修または交換された設備110を含むエリア100について、補修または交換の前後のタイミングの電力状態を比較してよい。電力状態比較部52は、比較の結果を表示制御部51に提供してよい。これにより、補修または交換により電力状態が正常化したか否かの判断が可能となる。
【0052】
同期処理部53は、電力監視用データベース20および設備データベース30の間、好ましくは更に保全データベース40の間で複数のエリア100および複数の設備110の対応関係の同期をとる。例えば、同期処理部53は、設備管理システム1に顧客がログインした場合に同期をとってよい。また、同期処理部53は、顧客が設備110を追加、移動または撤去した場合などに顧客による操作指示に応じて、または定期的に、各データベースの内容を最新情報に更新することで同期をとってもよい。
【0053】
以上の設備管理システム1によれば、複数のエリア100のそれぞれにおける電力状態の監視結果に応じて設備監視のトリガーが発生し、トリガーの原因となった対象エリア100に属する少なくとも1つの設備110の診断情報が取得される。従って、電力状態に異常が生じたエリア100内の設備110の診断情報を用いて、異常が生じている設備110を早期に特定し、点検、補修または交換することができる。そして、改めて設備110が稼働され電力状態に異常が生じた場合には、異常が生じている設備110がやはり早期に特定され、点検、補修または交換される。このように設備110を異常のない適切な状態で稼働することができるため、エネルギーの無駄な消費を抑制して消費量を低減することができる。
【0054】
なお、設備管理システム1は、少なくとも電力監視部21と、設備データベース30と、トリガー発生部24と、設備特定部34と、診断情報取得部310と、を備える限りにおいて、他の構成を備えなくてもよい。
【0055】
[2.設備管理システムの動作]
図2は、本実施形態に係る設備管理システム1の動作を示す。なお、この動作においては、複数の設備110のそれぞれが複数のエリア100のいずれに属するかの対応付けが既に設備データベース30に保持されている。
【0056】
まず、表示制御部51は、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれにログインする(ステップS11)。例えば、顧客から設備管理システム1内での当該顧客の識別情報およびパスワードの入力を受けたことに応じて、表示制御部51は、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれにおける該当の顧客の識別情報およびパスワードを統合データベース50から読み出し、各システムにログインしてよい。
【0057】
次に、同期処理部53は、電力監視用データベース20、設備データベース30および保全データベース40の間で複数のエリア100および複数の設備110の対応関係の同期をとる(ステップS13)。
【0058】
次に、表示制御部51は、表示装置510に統合ユーザインターフェースの表示を開始させる(ステップS15)。これにより、少なくともエネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4による表示画面が並べて表示され、これらのシステムのそれぞれと、顧客との間での情報のやり取りが可能となる。例えば、統合ユーザインターフェースにおいて一のエリア100または設備110が顧客により選択されると、表示制御部51は、統合データベース50を参照し、選択されたエリア100または設備110についての、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4のそれぞれにおける識別情報を特定し、その識別情報に対応付けられた情報をエネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3および保全システム4から読み出して表示装置510に表示させる。
【0059】
ここで、エネルギーマネジメントシステム2の表示画面内では、表示制御部51は、複数のエリア100の間の電力需給関係を示す画面を表示装置510に出力させてよい。
【0060】
また、設備監視システム3の表示画面内では、表示制御部51は、1つの設備110について診断情報取得部310により取得される複数種類の診断情報を複数のウィンドウを用いて表示させてよい。例えば、表示制御部51は、設備110としてのバッテリについて、温度、内部抵抗、電圧などの診断情報を別々のウィンドウに表示させてよい。
【0061】
次に、電力監視部21は、複数のエリア100のそれぞれにおける電力状態を監視する(ステップS17)。例えば、電力監視部21は、複数のエリア100のそれぞれに属する設備110の電力状態を監視してよい。電力監視部21は、エリア100毎の電力状態センサ101を用いて電力状態を監視してよい。電力監視部21は、一のエリア100における消費電力が予め設定された上限値(一例として定格消費電力)を超えたことに応じて、異常を検知してよい。これに加えて/代えて、電力監視部21は、消費電力が下限値を下回ったことに応じて異常を検知してもよい。
【0062】
ここで、電力状態センサ101は、テキスト(CSV)、メール、デジタルインプット(DI)の何れの形式で電力監視部21に測定値を送信してもよい。テキスト形式およびメール形式では、測定期間内の測定値が並べて送信される。この場合、電力監視部21は、受信内容を分析して測定値の時系列データを生成し、例えば何れかの測定値が基準閾値を超えた場合や一定期間閾値を超過する場合(瞬時値でなく時間積分値で監視)に、異常を検知してよい。一方、デジタルインプット形式では、1回の測定タイミングでの測定値が送信される。この場合、電力監視部21は、例えば受信した測定値が前回の測定値に対して基準変動幅よりも変動した場合や基準変動幅以上の変動を所定回数(例えば3回)連続で検知した場合に、異常を検知してよい。
【0063】
次に、電力監視部21は、電力状態に異常があったかを判定する(ステップS19)。ステップS19の処理で異常がなかったと判定された場合(S19;No)には、電力監視部21は、ステップS17の処理に移行する。
【0064】
ステップS19の処理で異常があったと判定された場合(S19;Yes)には、トリガー発生部24は、設備監視のトリガーを発生し、設備監視システム3に送信する(ステップS21)。これにより、複数のエリア100のそれぞれにおける電力状態の監視結果に応じて、設備監視のトリガーが発生する。例えば、マシニングセンタにおける回転機である設備110にドリルの刃折れ、または切削片の巻込みが生じると、電力状態の異常が検知されることに応じて、設備監視のトリガーが発生する。
【0065】
ここで、トリガーには、トリガーを発生させる原因となった対象エリアの識別情報(一例として、エネルギーマネジメントシステム2内での識別情報)、トリガーを発生させる原因となった異常の発生時刻および内容などが含まれてよい。
【0066】
トリガー発生部24は、トリガーを管理部5に送信してもよい。トリガーを受信したことに応じて、管理部5の表示制御部51は、トリガーの発生を顧客に通知するアラート画面を表示装置510に出力させてよい。アラート画面については、
図8、
図11を用いて詳細を後述する。
【0067】
次に、設備監視システム3の設備特定部34は、設備データベース30を用い、トリガーの原因となった対象エリア100、つまり電力状態の異常が検知されたエリア100に属する少なくとも1つの設備110を対象設備として特定する(ステップS23)。例えば、設備特定部34は、統合データベース50を参照し、対象エリア100についての設備監視システム3における識別情報を特定し、その識別情報で示されるエリア100に対して設備データベース30内で対応付けられた少なくとも1つの設備110を対象設備として特定してよい。
【0068】
設備特定部34は、対象エリア100に属する設備110のそれぞれから取得された診断情報に基づいて、対象設備を選択してよい。例えば、設備特定部34は、設備データベース30を参照し、診断情報が異常を示している設備110を対象設備として特定してよい。
【0069】
また、設備特定部34は、対象エリア100に属する設備110のそれぞれについて保全データベース40から取得された保全履歴に基づいて、対象設備を選択してよい。例えば、設備特定部34は、保全データベース40を参照し、点検、補修または交換の行われたタイミングが最も古い少なくとも1つの設備110を対象設備として特定してよい。
【0070】
設備特定部34は、少なくとも1つの対象設備を特定した場合に、保全データベース40および/または設備データベース30を参照して、同じエリア100に属する他の1または複数の設備110を対象設備に加えてもよい。例えば、設備特定部34は、保全データベース40を参照して、同じエリア100に属し、かつ、特定済みの対象設備と同じ補修が行われた設備110または同じ部品が交換された設備110を対象設備に加えてよい。また、設備特定部34は、設備データベース30の診断情報に含まれる設備110の運転条件を参照して、同じエリア100に属し、かつ、特定済みの対象設備と同じ運転条件で運転された設備110を対象設備に加えてもよい。
【0071】
また、設備特定部34は、管理部5の内部に記憶された設定情報に基づいて、対象エリア100に属する少なくとも1つの設備110の中から対象設備を選択してもよい。この設定情報では、複数のエリア100のそれぞれについて、トリガーに応じていずれの設備110を対象設備とするかが予め設定される。例えば、異常を生じうる設備110がエリア100内に1つしか存在しない場合には、この設備110が対象設備として予め設定されてよい。
【0072】
そして、特定された対象設備の診断情報を診断情報取得部310が取得し、取得された診断情報を表示制御部51が表示装置510に出力する(ステップS25)。診断情報取得部310は、トリガーを発生させる原因となった異常の発生時刻での診断情報を、設備データベース30から取得してよい。これに代えて、診断情報取得部310は、最新の診断情報を対象設備の診断情報記憶部113から取得してもよい。表示制御部51は、表示装置510に表示されたアラート画面においてトリガーの詳細を表示することの指示を顧客から受けたことに応じて、対象設備の診断情報を表示装置510に出力させてよい。
【0073】
表示制御部51は、既に設備監視システム3の表示画面内で1つの設備110について複数種類の診断情報が複数のウィンドウに表示されている場合には、対象設備の診断情報が取得されたことに応じ、これら複数のウィンドウを切り換えて対象設備における、対応する各種の診断情報を表示させてよい。一例として、表示制御部51は、切り換え前後で各ウィンドウが同種の診断情報を表示するよう、表示を切り替えてよい。また、表示制御部51は、表示されていたウィンドウを一旦、閉じた後、改めて対象設備の診断情報を少なくとも1つのウィンドウで表示させてよい。
【0074】
なお、以上の説明では、設備監視システム3が対象設備の診断情報を取得することとして説明したが、管理部5が取得することとしてもよい。例えば、管理部5は、トリガー発生部24からトリガーを取得する取得部と、このトリガーに応じ設備監視システム3により対象エリア100内で対象設備を特定させる設備特定支持部と、特定された対象設備の診断情報を設備監視システム3から取得する診断情報取得部とを備えてよい。これに代えて、管理部5は、トリガー発生部24からトリガーを取得する取得部と、このトリガーに応じ設備データベース30を用いて対象エリア100内で対象設備を特定する設備特定部と、特定された対象設備の診断情報を取得する診断情報取得部とを備えてもよい。
【0075】
[3.統合ユーザインターフェースの表示例]
図3は、統合ユーザインターフェースを示す。統合ユーザインターフェースは、エネルギーマネジメントシステム2の表示画面(1)、設備監視システム3の表示画面(2)、保全システム4の表示画面(3)、および、他のサブシステムの表示画面(4)を並べたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であってよい。統合ユーザインターフェースには、エリア100または設備110の稼働状態を表示させるための稼働状態ボタン5101、エリア100または設備110についての各種の測定値の推移を表示させるためのトレンドボタン5102、アラート画面を表示させるための警報ボタン5103が表示されてよい。各ボタンに対して操作が行われたときの表示内容については、以降の
図4〜
図8を用いて詳細を後述する。
【0076】
図4は、稼働状態ボタン5101を操作した場合の表示画面を示す。
図3の状態から稼働状態ボタン5101が操作されると、統合ユーザインターフェースにおけるエネルギーマネジメントシステム2および設備監視システム3の表示画面には、エリア100または設備110の稼働状態が表示されてよい。
【0077】
例えば、エネルギーマネジメントシステム2の表示画面内には、
図4に示すように、複数のエリア100の間の電力需給関係を示す画面が表示されてよい。例えば、
図4の表示画面では、一例として、「XY製作所」のプラント内の「K1棟」、「K2棟」、「EN棟」、「管理棟」、「太陽光発電エリア」などの複数のエリア100の間の電力需給関係が示されている。この表示画面には、エリア100の全体での発電電力、電力自給率、二酸化炭素の排出量などがさらに表示されてもよい。また、この表示画面には、対象とするエリア100の大きさを選択するための選択ボタン5111が表示されてよい。選択ボタン5111が操作されて、例えばエリア100の大きさとして「プラント」が選択された場合には、プラントの全体を1つのエリア100として表示内容が更新されてよい。
【0078】
図5は、設備ツリー図を示す。エネルギーマネジメントシステム2および設備監視システム3の表示画面に稼働状態が表示されている場合に、保全システム4の表示画面には、保全データベース40に格納された設備台帳に基づいて、設備ツリー図が表示されてよい。例えば、
図5の表示画面では、「XY製作所」のプラント内の「太陽光発電エリア」が「第1ライン」および「第2ライン」を有し、「第1ライン」が「ソーラーパネルa」、「ソーラーパネルb」,…を含むことが示されている。また、「K1棟」が「第1マシニングセンタ」および「第2マシニングセンタ」,…を有し、「第1マシニングセンタ」が「回転機a」、「回転機b」,…を含むことが示されている。
【0079】
図6は、トレンドボタン5102を操作した場合の表示画面を示す。
図3の状態からトレンドボタン5102が操作されると、統合ユーザインターフェースにおけるエネルギーマネジメントシステム2の表示画面には電力状態センサ101により測定されたエリア100の電力状態の測定値の推移が表示され、設備監視システム3の表示画面には設備110の動作状態センサにより測定された測定値の推移が表示されてよい。例えば、
図6の表示画面では、「太陽光発電エリア」の「第1ライン」および「第2ライン」について電力状態センサ101により測定された1時間ごとの発電量の推移が、日照量のグラフと合わせて表示されている。なお、図中、横軸は時間を示し、縦軸は発電量および日照量を示す。
【0080】
図7は、トレンドボタン5102を操作した場合の他の表示画面を示す。例えば、
図7の表示画面では、「K1棟」の「第1マシニングセンタ」および「第2マシニングセンタ」,…について電力状態センサ101により測定された1時間ごとの消費電力の推移が表示されている。なお、図中、横軸は時間を示し、縦軸は消費電力を示す。
【0081】
図8は、警報ボタン5103を操作した場合の表示画面を示す。
図3の状態から警報ボタン5103が操作されると、統合ユーザインターフェースにおける設備監視システム3の表示画面には、アラート画面が表示されてよい。アラート画面は複数のアラート情報を含み、アラート情報には、例えば、当該トリガーの原因となったエリア100の名称、トリガーの原因となった異常の発生時刻および内容などが含まれてよい。
図8では、アラート情報の一例として、XY製作所の「K1棟」であるエリア100で消費電力が急増したことが示されている。
【0082】
アラート画面には、アラート情報を検索するための検索ボックスが含まれてよい。また、アラート画面には、各アラート情報に対応付けて、当該アラート情報のステータスを未確認から確認済みに変更するためのラジオボタン5104が表示されてよく、当該ラジオボタン5104の操作が行われていないアラート情報は点滅して表示され、操作が行われたアラート情報は点滅せずに表示されてよい。
【0083】
これに加えて、アラート画面には、各アラート情報に対応付けて、アラートの原因となったトリガーの詳細を表示させるための詳細表示ボタン5105が表示されてよい。
図9は、対象設備についての診断情報の表示画面を示す。
図8および後述の
図11の状態から詳細表示ボタン5105が操作されると、設備特定部34により特定された少なくとも1つの対象設備についての診断情報が取得されて、設備監視システム3の表示画面内に表示される。
図9では、診断情報の一例として、XY製作所の「K1棟」における「マシニングセンタ」の「回転機a」、「回転機b」などの設備110についての診断情報が示されている。この診断情報では、「回転機a」に異常があったことが示されている。
【0084】
なお、エネルギーマネジメントシステム2および保全システム4の表示画面には、対象設備の情報として、最新の、または、トリガーを発生させる原因となった異常の発生時刻での各システムの情報が表示されてよい。
【0085】
図10は、対象設備についての詳細な診断情報の表示画面を示す。
図9の状態から何れかの対象設備が選択されると、選択された対象設備の詳細な診断情報が表示される。例えば、
図10では、
図9の状態から「回転機a」が選択されたことに応じて、その診断情報である振動状態のグラフが表示されている。このグラフでは、一例として、「回転機a」に切削片の巻込みが生じて振動値が急増し、顧客に注意するよう報知するための第1閾値を超えたことが示されている。振動値が第1閾値を超えたことに応じて、顧客は「回転機a」を点検してよい。なお、
図10には、「回転機a」が危険な状態であることを顧客に報知するための第2閾値も図示されている。振動値が第2閾値を超えたことに応じて、顧客は「回転機a」を補修または交換してもよい。振動値が第1閾値および/または第2閾値を超えたことに応じて、エネルギーマネジメントシステム2の電力制御部23が「回転機a」の電力を切ったり、「回転機a」の含まれるエリア100に対する電力制御を制限したりしてもよい。
【0086】
図11は、アラート画面のポップアップウィンドウを示す。管理部5がトリガー発生部24からトリガーを受信したことに応じて、統合ユーザインターフェースには、トリガーの発生を顧客に通知するアラート画面がポップアップウィンドウとして表示されてよい。このアラート画面には、ステータスが未確認である少なくとも1つのアラート情報が表示されてよい。アラート画面が表示されることにより、顧客は電力状態に異常が発生したことを直ぐに把握することができる。
【0087】
図12は、本実施形態に係るコンピュータの構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、設備管理システム1、またはその一部の要素として機能する。
【0088】
本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、及びDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フラッシュメモリ・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部を備える。
【0089】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0090】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、有線又は無線によりネットワークを介して他の装置と通信する。また、通信インターフェイスは、通信を行うハードウェアとして機能する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ2060は、DVD2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0091】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フラッシュメモリ・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、及び/又は、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フラッシュメモリ・ドライブ2050は、フラッシュメモリ2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フラッシュメモリ・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続するとともに、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
【0092】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フラッシュメモリ2090、DVD2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0093】
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を設備管理システム1の少なくとも一部として機能させるプログラムは、エネルギーマネジメントシステムモジュールと、設備監視システムモジュールと、保全システムモジュールと、電力監視用データベースモジュールと、電力監視モジュールと、トリガー発生モジュールと、設備データベースモジュールと、設備特定モジュールと、保全データベースモジュールと、保全計画生成モジュールと、表示制御モジュールと、電力状態比較モジュールと、同期処理モジュールと、診断情報取得モジュールとのうち少なくとも1つを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3、保全システム4、電力監視用データベース20、電力監視部21、トリガー発生部24、設備データベース30、設備特定部34、保全データベース40、保全計画生成部41、表示制御部51、電力状態比較部52、同期処理部53、および、診断情報取得部310としてそれぞれ機能させてよい。
【0094】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段であるCPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、エネルギーマネジメントシステム2、設備監視システム3、保全システム4、電力監視用データベース20、電力監視部21、トリガー発生部24、設備データベース30、設備特定部34、保全データベース40、保全計画生成部41、表示制御部51、電力状態比較部52、同期処理部53、および、診断情報取得部310として機能させる。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の設備管理システム1が構築される。
【0095】
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フラッシュメモリ2090、又はDVD2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置又は通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0096】
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060(DVD2095)、フラッシュメモリ・ドライブ2050(フラッシュメモリ2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020及び外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。例えば、設備管理システム1は、適宜本実施形態の処理前、処理中、処理後のデータを記憶する記憶装置を備えてよい。
【0097】
本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0098】
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすか否かを判断し、条件が成立した場合(又は不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
【0099】
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0100】
また、実施形態の説明において複数の要素が列挙された場合には、列挙された要素以外の要素を用いてもよい。例えば、「Xは、A、B及びCを用いてYを実行する」と記載される場合、Xは、A、B及びCに加え、Dを用いてYを実行してもよい。
【0101】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0102】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】複数のエリアのそれぞれにおける電力状態を監視する電力監視部と、複数の設備のそれぞれが複数のエリアのいずれに属するかの対応付けを保持する設備データベースと、複数のエリアのそれぞれにおける電力状態の監視結果に応じて、設備監視のトリガーを発生するトリガー発生部と、トリガーに応じて、設備データベースを用いて複数のエリアのうちトリガーの原因となった対象エリアに属する少なくとも1つの設備を対象設備として特定する設備特定部と、特定された対象設備の診断情報を取得する診断情報取得部と、を備える設備管理システムが提供される。