特許第6176449号(P6176449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6176449
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】レンズアレイ製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/00 20060101AFI20170731BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20170731BHJP
   G02B 3/06 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   G02B3/00 A
   G02B3/00 Z
   G02B3/02
   G02B3/06
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-220822(P2013-220822)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2015-82062(P2015-82062A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115129
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】安田 晋
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬司
【審査官】 吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−160466(JP,A)
【文献】 特開2013−125044(JP,A)
【文献】 特開2006−023683(JP,A)
【文献】 特開2003−240911(JP,A)
【文献】 特開2003−139918(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0116152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00−3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親液性の表面処理を施した撥液性の基板に、該基板の表面を刃によって隔壁を形成し、該刃によって形成された溝の部分は撥液性であり、該隔壁間は親液性であり、該隔壁間に液状樹脂によってレンズを形成し
前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域である
ことを特徴とするレンズアレイ製造方法
【請求項2】
前記基板は、該基板の材料以外の微粒子を含まない
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ製造方法
【請求項3】
撥液性の基板に親液性の表面処理を施す表面処理ステップと、
前記表面処理ステップが施された前記基板の表面に、刃によって隔壁を形成することによって、該刃によって形成された溝の部分を撥液性とし、該隔壁間を親液性とする隔壁形成ステップと、
前記隔壁形成ステップによって形成された隔壁間に、液状の樹脂を吐出又は塗布する吐出塗布ステップと、
前記吐出塗布ステップによって吐出又は塗布された液状の樹脂を硬化させることによってレンズを形成するレンズ形成ステップ
を具備し、
前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域である
ことを特徴とするレンズアレイ製造方法。
【請求項4】
前記吐出塗布ステップによって、前記溝に対して吐出又は塗布された液状の樹脂を除去する除去ステップ
をさらに具備し、
前記レンズ形成ステップは、前記除去ステップによって、前記溝から液状の樹脂が除去された後に、レンズを形成する
ことを特徴とする請求項3に記載のレンズアレイ製造方法。
【請求項5】
前記基板は、該基板の材料以外の微粒子を含まない
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のレンズアレイ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紙箱などの包装容器においてマイクロレンズシートを可変画像が印刷された包装容器基材の外面部分に、可変画像を構成する可変画素に対してスライド移動可能に取り付け、レンズシートを可変画素に対してスライド移動させることにより可変画像を観察できるようにしたレンズ付き包装容器とレンズシートの製造方法であって、直方体又は立方体形状の包装容器の外面の一部領域に所定画素ピッチにて形成された光学視可能な可変画素層を備え、該可変画素層上に前記ピッチと整合するレンズピッチにて形成されたレンズアレイを有するマイクロレンズシートをスライド移動可能に重ね合わせて取り付けられていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−011785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、刃によって形成された溝の部分にレンズの材料である液状の樹脂が入り込んで硬化してしまうことを抑制するようにしたレンズアレイ製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、親液性の表面処理を施した撥液性の基板に、該基板の表面を刃によって隔壁を形成し、該刃によって形成された溝の部分は撥液性であり、該隔壁間は親液性であり、該隔壁間に液状樹脂によってレンズを形成し、前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域であることを特徴とするレンズアレイ製造方法である
【0006】
請求項2の発明は、前記基板は、該基板の材料以外の微粒子を含まないことを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ製造方法である
【0007】
請求項3の発明は、撥液性の基板に親液性の表面処理を施す表面処理ステップと、前記表面処理ステップが施された前記基板の表面に、刃によって隔壁を形成することによって、該刃によって形成された溝の部分を撥液性とし、該隔壁間を親液性とする隔壁形成ステップと、前記隔壁形成ステップによって形成された隔壁間に、液状の樹脂を吐出又は塗布する吐出塗布ステップと、前記吐出塗布ステップによって吐出又は塗布された液状の樹脂を硬化させることによってレンズを形成するレンズ形成ステップを具備し、前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域であることを特徴とするレンズアレイ製造方法である。
【0008】
請求項4の発明は、前記吐出塗布ステップによって、前記溝に対して吐出又は塗布された液状の樹脂を除去する除去ステップをさらに具備し、前記レンズ形成ステップは、前記除去ステップによって、前記溝から液状の樹脂が除去された後に、レンズを形成することを特徴とする請求項3に記載のレンズアレイ製造方法である。
【0009】
請求項5の発明は、前記基板は、該基板の材料以外の微粒子を含まないことを特徴とする請求項3又は4に記載のレンズアレイ製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のレンズアレイ製造方法によれば、刃によって形成された溝の部分にレンズの材料である液状の樹脂が入り込んで硬化してしまうことを抑制することができる。
【0011】
請求項2のレンズアレイ製造方法によれば、溝の部分の接触角ヒステリシスを小さくすることができる。
【0012】
請求項3のレンズアレイ製造方法によれば、刃によって形成された溝の部分に液状の樹脂が入り込むのを抑制することができる。
【0013】
請求項4のレンズアレイ製造方法によれば、溝に対して吐出又は塗布された液状の樹脂を除去することができる。
【0014】
請求項5のレンズアレイ製造方法によれば、溝の部分の接触角ヒステリシスを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】レンズアレイの製造方法の例を示す説明図である。
図2】刃によって形成された溝、隔壁の例を示す説明図である。
図3】レンズアレイの製造方法例を示すフローチャートである。
図4】隔壁を形成して、レンズアレイを製造する方法の例を示す説明図である。
図5】曲率制御の例を示す説明図である。
図6】接触角ヒステリシスの例を示す説明図である。
図7】レンズアレイの製造方法の例を示す説明図である。
図8】2次元レンズアレイの製造方法例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
本実施の形態のレンズアレイは、親液性の表面処理を施した撥液性の基板に、その基板の表面を刃によって隔壁を形成し、その刃によって形成された溝の部分は撥液性であり、その隔壁間は親液性であり、その隔壁間に液状樹脂によってレンズを形成したものである。
【0017】
レンズアレイとは、正立像を形成する要素レンズ(レンズエレメント)を複数並列的に配列し、像を重ね合わせて全体で1個の連続像を形成する光学系であり、半円柱のレンズを並べたレンチキュラーレンズ等を含む。例えば、3次元画像(3Dともいう)を表現すること、視線を換えることによって複数の画像を表示すること(チェンジングともいう)ができる。配列としては、後述する図1の例のように1次元的に配列したもの(例えば、シリンドリカルレンズアレイ等)、図7の例のように2次元的に配列したもの(例えば、正方形レンズアレイ等の2次元レンズアレイ)等のマイクロレンズアレイが含まれる。
このレンズアレイの作成方法として、隔壁ピン止め方法がある。この隔壁ピン止め方法は、樹脂基板を鋭利な刃で引っ掻くことで隔壁を形成し、その隔壁のピン止め効果により流動性樹脂(UV硬化樹脂など)の流動を抑制する。したがって、作成すべきレンズの形状、サイズに合わせたレンズピッチで隔壁を形成し、その隔壁間に流動性樹脂を吐出することで、その形状のレンズを形成できる。レンズの曲率(焦点距離)は吐出する流動性樹脂の体積で制御する。この隔壁ピン止め方法によるレンズ作製方法は、レンズピッチ、焦点距離、レンズサイズを変更できる。本実施の形態は、この隔壁ピン止め方法を用いるものである。
【0018】
図1図3を用いて、本実施の形態のレンズアレイの作成方法例を示す。
ステップS302では、撥液性の基板110を作成する。図1(a)の例に示すように、撥液性の基板を予め定められた大きさに切断して、透明樹脂であって撥液性の基板110を作成する。「撥液性の基板」とは、基板全体がレンズの材料となる液状樹脂に対して撥液性があるものである。ここで、「撥液性」の定義として、液状樹脂の液滴とその基板とのなす角度である接触角が90度より大となることである。撥液性の基板110の例として、低表面エネルギーの樹脂があり、具体的には、フッ素系樹脂フィルムである、オフロン(登録商標)ETFE(ダイキン工業)、テフロン(登録商標)AFグレード(三井・デュポン社)等がある。
【0019】
ステップS304では、撥液性の基板110に親液性の表面処理を施す。図1(b)の例に示すように、撥液性の基板110に親液性表面膜120を形成する。「親液性の表面処理」とは、撥液性の基板110の表面を、レンズの材料となる液状樹脂に対して親液性(接着性が大)があるようにすることである。ここで、「親液性」の定義として、液状樹脂の液滴とその表面とのなす角度である接触角が90度以下となることである。
表面処理として、種々の物理的・化学的処理が適用可能である。例えば、親液性の液体を塗布すること、コロナ放電、プラズマ処理(Arなど)、UV(オゾン)処理(なお、フッ素系は効果が小さい)、シランカップリング剤等によって、撥液性の基板110の表面を親液性とする。
【0020】
ステップS306では、ステップS304が施された撥液性の基板110の表面に、刃(Blade)によって隔壁を形成する。これによって、その刃によって形成された溝の部分は撥液性となり、その隔壁間は親液性となる。図1(c)の例に示すように、撥液性の基板110の表面を鋭利な刃130でスクラッチして、隔壁(隔壁132a、隔壁132b等)を形成する。ここで、「刃によって隔壁を形成」とは、撥液性の基板110に刃130を切り込ませて、溝(溝132等)を作り、その刃130の両側に撥液性の基板110の表面部分を盛り上がらせることによって隔壁(隔壁132a、隔壁132b等)を作成することである。図1(c)の例に示す説明領域150の断面図を、図2の例に示す。親液性表面膜120がある撥液性の基板110に対して、刃130を切り込ませると、溝132ができ、その両側に隔壁132a、隔壁132bができる。溝132の部分(隔壁の内壁側)は、刃130の切り込みによって、撥液性の基板110内が露出するため撥液性となる。そして、隔壁間(隔壁132aと隔壁134bの間)は親液性表面膜120があるので、親液性となる。なお、隔壁間とは、2回(又は2本)の刃の切り込みによって、形成された隔壁の間のことをいう。つまり、刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域である。
なお、撥液性の基板110と刃130は相対的に移動(撥液性の基板110、刃130のいずれか一方、又は両方が移動)すればよい。つまり、隔壁の形成は、撥液性の基板110上で刃130をスライドさせてもよいし、撥液性の基板110に刃130を押し当てて撥液性の基板110を移動させてもよい(以下、同様)。
【0021】
ステップS308では、生成された隔壁に囲まれた孔にレンズ材の樹脂を滴下等する。図1(d)の例に示すように、ステップS306によって形成された隔壁間(隔壁132aと隔壁134b等の間)に、液状の樹脂(UV硬化樹脂162等)を吐出(Dipping)又は塗布する。溝の内壁は撥液性のため、液状の樹脂が入ったとしても、取り除くことは容易である。例えば、撥液性の基板110を傾斜すること、振動すること、ブローで吹き飛ばす等の外力を加えてもよい。液状の樹脂として、例えば、UV(UltraViolet radiation)硬化樹脂であるNOA65(Norland Products社製)等がある。なお、UV硬化樹脂とは、紫外線の光エネルギーに反応して液体から固体に化学的に変化する合成樹脂である。また、熱溶融させた高分子(熱可塑性樹脂)であってもよい。
【0022】
ステップS310では、樹脂の硬化処理を行う。つまり、ステップS308によって吐出又は塗布された液状の樹脂を硬化させることによってレンズを形成する。具体的には、UV硬化樹脂であれば、UV光源190のUV光照射により硬化させる。熱溶融させた熱可塑性樹脂を用いる場合は、冷却することにより硬化させる。もちろんのことながら、液状の樹脂は硬化させた状態で透明である。
【0023】
次に、図4図5の例を用いて、隔壁ピン止め方法によるレンズ幅、曲率制御について説明する。
図4は、隔壁を形成して、レンズアレイを製造する方法(隔壁ピン止め方法の原理)の一例を示す説明図である。ここでは、説明を簡単にするために、1つの刃130で隔壁を形成し、1つの樹脂滴下装置440で樹脂を滴下している。もちろんのことながら、ここでの撥液性の基板110には親液性表面膜120がある。
図4(a1)に例示するように、刃130で切削させる走査を行って溝132を形成し(撥液性の基板110に溝132の切り込みを入れ)、溝132の両端に隔壁132a、隔壁132bを形成する。図4(a2)の例は、刃130が撥液性の基板110に切り込みを入れた場面の断面を示したものである。
次に、図4(b)に例示するように、刃130をピッチ430の距離だけ移動させ、切り込みを入れ(溝134、溝136)、隔壁134a、134b、136a、136b等を形成する。ピッチ430は、隔壁間の距離であり、レンズ幅となる。つまり、ピッチ430を制御することによって、レンズ幅を制御する。
図4(c)に例示するように、隔壁間(例えば、隔壁132bと隔壁134aの間)に、樹脂滴下装置440によってUV硬化樹脂(UV硬化樹脂162等)を吐出する。樹脂の吐出量により曲率制御をする。
【0024】
図5は、曲率制御(屈曲面によるピン止め効果)の例を示す説明図である。図5(a)の例に示すように、板状の平らな表面(親液性表面膜120のある撥液性の基板110)にある液体(UV硬化樹脂162等)の液体界面の接触角をθとする。図5(b)の例に示すように、板状の角(平面となす角の角度α)に液体がある場合は、ピッチ制御によって「接触角>θ+α」を満たすまで移動できない。したがって、親液性表面膜120のある撥液性の基板110の隔壁頂点部の役割として、接触角はθからθ+αまでの任意の角度をとれることとなり、液滴の量により曲率制御を行うことができる(例えば、「J.F.Oliver et al, J.Colloids and interface Sci,59,568(1977)」を参照)。
【0025】
接触角ヒステリシスが小さくなるように、溝はなるべく滑らかにすることが望ましい。図6の例を用いて、接触角ヒステリシスを説明する。
壁602は、溝132を形成する壁の片方であるとする。液滴604は、レンズ材の樹脂が誤って溝132に落下したものである。接触角ヒステリシスは、液滴604の上側の後退接触角(θr)と下側の前進接触角(θa)の差分(θa−θr)である。
撥液性の基板は、溝の部分を滑らかにするために、その基板の材料以外の微粒子を含まないようにしてもよい。ここでの微粒子(フィラー)とは、一般に基板の樹脂の機能を高めるために充填する無機又は有機性の微粒子であるが、本実施の形態では、この微粒子を含ませないようにしている。
そして、図3に例示のフローチャートにおいて、ステップS308の後(ステップS310の前)で、ステップS308によって、溝に対して吐出又は塗布された液状の樹脂を除去する除去ステップを設けてもよい。ステップS310では、除去ステップによって、溝から液状の樹脂が除去された後に、レンズを形成するようにしてもよい。これらの処理の対象となる基板は、微粒子を含むものであってもよいし、基板の材料以外の微粒子を含まないものであってもよい。
【0026】
次に、図7図8を用いて、隔壁ピン止め方法による2次元レンズアレイの製造方法について説明する。もちろんのことながら、ここでの基板700には親液性表面膜がある。
この製造方法は、隔壁構造を格子状に形成するものである。主に正方形レンズの製造方法について、図7図8を用いて説明する。図7は、レンズアレイの製造方法の例を示す説明図である。図8は、レンズアレイの製造方法例を示すフローチャートである。
ステップS802では、図7(a)の例に示すような一方向(垂直方向)の隔壁形成を行う。つまり、透明樹脂の基板700に対して、刃(Blade)710によって垂直方向の溝(溝720、730、740等)をつけることによって隔壁(隔壁722、724、732、734、742、744等)を生成する。
【0027】
ステップS804では、図7(b)の例に示すような正方形開口の形成を行う。つまり、ステップS802とは異なる方向での隔壁形成を行う。基板700に対して、刃710によって水平方向の溝(溝770、780等)をつけることによって隔壁(隔壁772、774、782、784等)を生成する。例えば、隔壁744、752、774、782によって1つの正方形開口が形成される。
なお、このステップS804では、刃710を基板700に対して、相対的に移動することで隔壁を形成しているが、正方形開口の形状をした刃(金型)を基板に押し当てて隔壁を形成してもよい。レーザー光によるアブレーションにより溝構造を形成してもよい。また、この場合、刃の形状として、正方形開口以外に、多角形開口(例えば、長方形(縦と横の長さが異なる四角形)、六角形等)、円開口、楕円開口等を含んでいてもよい。なお、レンズの形状(開口)とは、隔壁によって囲まれた領域の形状のことをいう。
ステップS802、ステップS804の処理によって、図2の例に示すように、溝の部分は撥液性であり、隔壁間は親液性である開口が形成される。
【0028】
ステップS806では、図7(c)の例に示すような樹脂滴下装置796による液状樹脂の吐出を行う。基板700の第1の隔壁(隔壁722、724、732、734、742、744等)と第2の隔壁(隔壁772、774、782、784等)によって囲まれた領域(ここでは、正方形)に液状樹脂(樹脂726、736、746、756等)を充填する。つまり、基板700に生成された隔壁に囲まれた孔にレンズ材の樹脂736等を滴下する。液状樹脂の表面張力によりレンズ形状の樹脂726、736、746、756等によって、アレイを形成する。ここで、液状樹脂は、UV硬化樹脂であってもよいし、熱溶融させた熱可塑性樹脂であってもよい。
【0029】
ステップS808では、図7(d)の例に示すようなUV光源798のUV照射による硬化処理を行う。つまり、樹脂の硬化処理を行って、各レンズを形成する。もちろんのことながら、液状高分子樹脂は硬化させた状態で透明である。
【0030】
上述した実施の形態は、本発明の実施の形態の一部である。ただし、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0031】
110…撥液性の基板
120…親液性表面膜
130…刃
132…溝
132a、132b…隔壁
134…溝
134a、134b…隔壁
136…溝
136a、136b…隔壁
138…溝
138a、138b…隔壁
140…溝
140a、140b…隔壁
162…UV硬化樹脂
190…UV光源
440…樹脂滴下装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8