特許第6176509号(P6176509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6176509
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】機能性の改善されたコンドーム
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/04 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
   A61F6/04
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-504217(P2016-504217)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公表番号】特表2016-512466(P2016-512466A)
(43)【公表日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】KR2013002415
(87)【国際公開番号】WO2014148662
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】515234521
【氏名又は名称】ユン,ヒチョル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヒチョル
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−263001(JP,A)
【文献】 実開昭59−172415(JP,U)
【文献】 特開平09−111023(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0081264(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01949876(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2)の後方に引締めリング(3)が設けられた一般のコンドーム(1)において、
前記コンドーム(1)の本体(2)の前方部の亀頭部分(A)を、男性の亀頭が挿入されて勃起した状態で、内面と離隔する空間(6)が維持されるように構成し、
前記コンドーム(1)の本体(2)の外部に、潤滑剤の保湿機能を有する保湿手段(S)を一体にコートし
前記コンドーム(1)の本体(2)の前方の亀頭部分(A)の内部に、潤滑剤の保湿機能を有する保湿手段(S)を一体にコートし、
前記保湿手段(S)は、多孔性海綿構造の凹凸海綿層(4a、4b)で構成され、
前記コンドーム(1)の本体(2)の外部にコートされる保湿手段(S)の凹凸海綿層(4a)の凹凸が、前記コンドーム(1)の本体(2)の前方の亀頭部分(A)の内部にコートされる凹凸海綿層(4b)の凹凸より、底面から先端までの距離が長く形成されることを特徴とする機能性の改善されたコンドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性用のコンドームの構造を改善し、コンドームの大衆的な使用をより奨励することにより、望まない妊娠による個人的または社会的な物議や浪費を解消することを、その目的として開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、一般のコンドームの構造は、主に伸縮弾性に優れた天然ラテックスまたは人工ラテックス材質を用いて、図5または下記の先行技術の特許文献1に示すように、コンドームの本体部を形成し、後方の入口に円形の弾性体または環状リング体等の引締めリングを構成し、コンドームの表裏の両面層には潤滑ゼリーを塗布し、個別包装した後、製品として流通している。
【0003】
しかしながら、このような従来のコンドームでは、表面が単純な平滑面のみからなり、使用中、ゼリーが乾燥しやすく、特に、女性の分泌液が足りない場合は、表面の潤滑が十分でないことで、摩擦力の増大のため、女性側の相当な膣内の痛みを生じ、または酷い場合は、軽い膣壁損傷が起きてしまうという問題点があった。
【0004】
このような潤滑の不足による膣壁の痛みの誘発は、避妊機能を主とするコンドームの本来の機能性を低下させ、かえってコンドームの使用を忌避する原因となってきてしまった。
【0005】
それだけでなく、従来の一般のコンドームを着用するとき、男性の局部とコンドームの内壁が完全に密着状態にあるため、男性から感じる性感の効果が大いに低下し、これも、男性がコンドームの使用を忌避する原因となってきた。
【0006】
本発明は、このような男性と女性の両方において感じるコンドームの構造的な欠陥を根本的に解決し、男性にとっては、コンドームの過度な密着による性感の低下を解消させ、女性にとっては、膣内の分泌液の乾燥と摩擦による膣壁損傷や性感の低下を根本的に解消させるための新たな構成を提案しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録実用新案20−0356020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、軟質のゴム膜材質で構成されるコンドームの表面と内面が単純な平滑面のみからなる一般の構造を改善し、コンドームの前方の亀頭部分を広くて大きく形成するとともに、コンドームの内外部に弾力性の良好な海綿体の凹凸面や柔らかい綿毛(極めて細かくて柔らかい毛)を形成し、コンドームそのものの潤滑剤の保湿効果と摩擦力低減効果の付与による性感改善効果を同時に達成させることにより、コンドームの使用効果を改善したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明は、従来の軟質ゴムからなるコンドームの内外部に、軟質合成樹脂または合成ラテックスゴム及びこれに準じる発泡性ゴム材質等の適当な弾性材質を選択し、コンドームの前方の亀頭部分が男性の局部に密着し過ぎないように、空間を形成するとともに、コンドームの内外部に、保湿効果に優れた保湿手段として、凹凸状の海綿層または綿毛をさらに積層することにより、コンドームの着用時、優れた避妊効果と性感改善効果を同時に達成させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるコンドームは、以下のような機能性の効果を有する。
第一に、コンドームの着用時、表面が、良好な保湿効果を有する海綿体の凹凸面または綿毛を有するので、コンドームの潤滑剤や女性の膣内の分泌液が乾燥し難く、性行動そのものが柔らかくなり、性感が大いに向上する。
【0011】
第二に、コンドームの表面の全体に選択的に柔軟性と弾力性の良好な凹凸の海綿層または綿毛が二重に形成され、男性や女性が感じる性感が極めて優れるので、オーガズムに達しやすく、健全かつ健康な性生活にも役立つ。
【0012】
第三に、上記した保湿効果と性感改善効果は、女性の膣内における液の分泌を促進し、慢性的な性交痛患者や性感欠如患者の治癒の一助となる。
【0013】
第四に、男性の場合、局部の前方にコンドームが過度に密着せず、一定の空間が形成され、着用時、亀頭に感じられる感触が、膣内と直接接触するような程度に鋭敏になり、コンドームの着用時、性感に劣るという従来の短所が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の好適な一例を示す斜視図である。
図2】本発明の断面図である。
図3図2の部分拡大断面図である。
図4】本発明の保湿手段として綿毛を適用した例示図である。
図5図4の断面図である。
図6】本発明の製造工程の一実施例を示す図である。
図7】従来の一般のコンドームの例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
今まで、一般のコンドーム1は、図7に示すように、天然ラテックスや軟質合成ゴム等の材質を用いて、本体2の材質を構成し、後方の入口部に引締めリング3を形成したものであり、このような既存のコンドーム1は、表面部が単純な平滑面で構成されている。
【0016】
本発明は、このような既存のコンドーム1の構成を、図1乃至図5に示すように、コンドーム1に塗布されていた潤滑剤を多量に含んで保湿機能を持たせた保湿手段Sを、外部コートまたは内部コートを並行し、その機能性を改善しようとするものである。
【0017】
前記本発明のコンドーム1は、天然ラテックスや合成ゴム等の軟質素材を用い、公知の方法で、本体2の後方に引締めリング3を設けているが、本発明では、コンドーム1の前方部を、男性の亀頭が挿入され、勃起した状態でも、離隔して一定の空間6が十分に維持されるように、コンドーム1の亀頭部分Aを広くて大きく形成することを特徴とする。
【0018】
前記コンドーム1の外部と内部にコートされる保湿手段Sは、図1乃至図3に示すように、コンドーム1の外部または内部に、本体2と同一の材質で、凹凸海綿層4a、4bをコートし、または、図4乃至図5に示すように、コンドーム1の外部または内部に、本体2と同一の材質で、柔らかい綿毛5a、5bをコートして構成することを特徴とする。
【0019】
前記凹凸海綿層4a、4bや綿毛5a、5bは、天然ラテックスまたは人体に無害な合成ゴムを用いて製造し、前記凹凸海綿層4a、4bは、前記材質を微細発泡した多孔性構造に形成することが好ましく、また他の方法では、この凹凸海綿層4a、4bをシート化し、接着式でコンドーム1の外部の全体に、またはコンドーム1の前方の亀頭部分Aの内部に付着してもよい。
【0020】
前記凹凸海綿層4a、4bは、図6に示すように、射出成形金型を別途に備え、コンドーム1の外面の全体またはコンドーム1の前方の亀頭部分Aの内面に、発泡樹脂をインサート成形方式で射出し、一体に接着可能なものであり、図6の射出構造は、コアに結合されたコンドーム1の外部の全体に、外部の凹凸海綿層4aを被覆する構成を例示しており、図示してはいないが、亀頭部分Aの内部に、内部の凹凸海綿層4bを被覆する場合は、図6のように、コンドーム1の外部に凹凸海綿層4aを被覆して硬化させた後、裏返してコアに結合した後、インサート成形方式で射出すればよい。
【0021】
また、前記凹凸海綿層4a、4bは、また他の方法で、コンドーム1の外部面または内部面に樹脂液をスプレー工法(=噴射蒸着方法)により、不規則な凹凸構造で被覆させてもよい。
【0022】
前記凹凸海綿層4a、4bは、コンドーム1の本体2と同一の材質またはこれに類似した材質で被覆するものであり、前記凹凸海綿層4a、4bは、表面が微細な多孔質組織である海綿組織からなり、前記綿毛5a、5bも、コンドーム1の本体2と同一の材質またはこれに類似した材質で製造され、緻密になっているので、使用時、コンドーム1に塗布される潤滑剤や女性の分泌液を含んでいる保湿効果が良好であるとともに、柔らかい感触を有するようになる。
【0023】
したがって、コンドーム1の着用時、本体2の外側表面の外部の凹凸海綿層4aまたは綿毛5aは、女性の膣壁に摩擦されるとき、潤滑性の摩擦効果を付与し、触感が極めて柔らかく、使用により、性感を適正に向上させる役割をする。
【0024】
それだけでなく、前記凹凸海綿層4aは、そのものの多孔性構造により、保湿効果に優れ、綿毛5aは、緻密な構造により、保湿効果に優れるので、膣内の分泌液の乾燥を最大限防止し、膣壁の損傷や痛みの誘発を予防する効果を有する。
【0025】
また、コンドーム1の本体2の前方の亀頭部分Aは、男性の勃起した亀頭に密着しなかった状態で、一定の空間6が維持されているので、亀頭部分Aの内壁に形成された内部の凹凸海綿層4bまたは内部の綿毛5bは、男性の勃起した亀頭に不規則な摩擦を生じ、抹消神経が集中した亀頭に性的刺激を絶えず与えるので、コンドーム1を着用した状態でも、男性の着用者は、膣壁に直接摩擦するような良好な性感を感じることができる。
【0026】
したがって、このような本発明のコンドーム1の構成が有する作用効果は、女性はもとより、男性にも、性感の増進に大いに寄与することができ、このような性感増進効果と潤滑剤及び女性分泌液の保湿効果は、従来のコンドーム1の使用を忌避する現象を根本的に解消可能な機能的な効果を有し、これは、さらには、望まない妊娠を予防する本来の避妊器具として広く活用されるのはもとより、性感増進効果を通じて、使用者がコンドーム1の使用が好きになり、性交痛や性感欠如等を治癒する付加的な効果を同時に達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、男性用のコンドームの構造を改善し、コンドームの大衆的な使用をより奨励することにより、望まない妊娠による個人的または社会的な物議や浪費を解消することを、その目的として開発されたものであるので、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7