(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂フィルムは、20℃〜25℃の範囲の周囲温度で7日間ベンジルアルコール系塗料剥離液に接触した後に、0.5%未満の液体吸収およびせいぜい2Hの鉛筆グレードの硬度の低下を示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性表面材料。
導電性粒子またはフレークは、銀、金、アルミニウム、銅、青銅、炭素、およびそれらの組合せから選択される導電性材料から形成される、請求項7に記載の導電性表面材料。
熱硬化性組成物中の少なくとも1つの強化剤は、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、およびアミン末端ブタジエンアクリロニトリル(ATBN)、またはカルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル(CTBN)エラストマーの反応によって形成される反応前付加物を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の導電性表面材料。
セラミック小球体は、シリカ−アルミナセラミック材料から成る中空微小球体であり、1〜50ミクロンの範囲の粒径を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の導電性表面材料。
請求項1〜19のいずれか1項に記載の導電性表面材料に由来する自動テープ敷設(ATL)または自動繊維配置(AFP)に適した導電性プリプレグテープであって、6インチ〜12インチ(152mm〜305mm)または0.125インチ〜1.5インチ(3.17mm〜38.1mm)の範囲の幅を有する導電性プリプレグテープ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書は、軽量で、LS/ESD/EMI保護を提供することができ、従来の塗膜剥離溶液を使用して繰り返される塗膜剥離に耐えることができ、紫外線(UV)放射への露光に耐えることができる多機能、導電性表面材料を開示する。LS/ESD/EMI保護について従来の導電性積層体に比べ、本明細書に開示の導電性表面材料は、いくつかの従来の導電性積層体に比べ、大幅な軽量化、50%〜80%低い重量を提供することができる。
【0008】
導電性表面材料は、極めて薄い導電層および導電層の2つの対向面の少なくとも一つに形成される硬化型樹脂フィルムを含む多層構造体である。導電層は固体金属箔若しくは層、またはカーボン層であってもよい。当該内容物の炭素は黒鉛を含む。導電層は、好ましくは10mΩ未満、より好ましくは5mΩ未満の抵抗を有する。さらに、導電層は、好ましくは3ミル(76.2μm)以下、好ましくは3μm〜38μmの厚さを有する。樹脂フィルムは0.1psf(または500gsm)未満のフィルム重量を有してもよく、例えば、側面につき、0.01〜0.03psf(50〜150gsm)である。一実施形態では、導電性表面材料は、2つの樹脂フィルムに挟まれた導電性層を含む三層構造である。2つの樹脂フィルムは、同じ樹脂組成物または異なる樹脂組成物を有してもよい。三層構造の一実施形態では、導電層は3μm〜5μmの厚さを有する微小薄膜金属箔であり、金属箔の各側に形成された樹脂フィルムのフィルム重量は、0.01〜0.03psf(または50〜150gsm)である。例として、金属層/箔は、銅、アルミニウム、青銅、またはその合金等の金属から形成されてもよい。
【0009】
従来のコーティング技術を使用して導電層(例えば、固体金属箔)の一方または両方の表面に、硬化性、液体樹脂組成物をコーティングすることにより、導電性表面材料を作製してもよい。
【0010】
あるいは、導電層の片側に、組立て式の樹脂フィルムを積層し、二層構造体を形成することによって、または2つの組立て式の樹脂フィルムを導電層の対向表面に積層し、三層構造体を形成することによって、導電性表面材料を作製してもよい。
【0011】
図1は、1つの例に従って、三層の導電性表面材料を作製する方法を模式的に説明する。剥離可能な離型裏打ち紙12によって支持されている第一樹脂フィルム11は、金属箔13の片面に積層され、および第二樹脂フィルム14は、金属箔13の対向面に積層され、三層構造体20を形成する。圧力と熱を与えることによって積層工程を実施してもよい。離型裏打ち紙12は積層後に剥がしてもよい。二層構造を形成するために、第二樹脂フィルム14を取り除き、金属箔は剥離可能な担体自体によって支持される。
【0012】
本明細書に開示の導電性表面材料は150°F(65℃)以上、より好ましくは250°F〜350°F(120℃〜175℃)の範囲の温度で、繊維強化高分子複合基材と共硬化するように設計されている。繊維強化高分子複合基材は、硬化型マトリックス樹脂を含浸または注入した補強繊維から成る。いくつかの実施形態では、複合基材はプリプレグプライまたはプリプレグレイアップであってもよい。プリプレグレイアップは、積層順に配列される複数のプリプレグプライから成る。各プリプレグプライは、繊維またはマトリックス樹脂、例えば、エポキシ樹脂を含浸させた/注入された、方向の揃った連続した繊維の形態で、強化繊維から構成される。方向の揃った繊維は、方向が定まっていないまたは多方向の繊維であってもよい。一般に、硬化型導電性表面材料を、硬化していないまたは部分的に硬化した状態の繊維強化高分子複合基材に適用し、次に、共硬化し、最も外側の層として結合された堅い表面フィルムを有する完全に硬化した複合構造体を形成しても
よい。
【0013】
図2を参照すると、複合構造体を形成するために、樹脂フィルム14が複合基材30と直接接触するように、三層構造体20を複合基材30に接触するようにする。一実施形態では、複合基材30はプリプレプレイアップである。当該実施形態では、裏打ち紙12を剥ぎ、樹脂フィルム11を型の表面と接触させて配置し、その後、積み重ねる配置で、複数のプリプレグプライを樹脂フィルム14に積層する。型の表面は、平面状または非平面状であってもよい(例えば、カーブした表面またはいくつかの他の3次元の構成)。プリプレグプライを型の上に順番に積層してもよい。あるいは、プリプレグプライを異なる場所で組立て、その後、樹脂フィルム14に配置してもよい。当該技術分野に周知のように、1つ以上のコア構造、例えば、泡または蜜蜂の巣構造を、プリプレグレイアップの層間に挿入してもよい。完全な真空下でアセンブリ全体を減量後、アセンブリ全体に熱と圧力をかけ、プリプレグレイアップおよび表面材料の樹脂フィルムを硬化し、選択した形状の最終的な堅い複合構造体にする。複合構造体が成形型から取り除かれると、型の表面と接触していた、樹脂フィルム11は、複合構造の最も外側の層になる。
【0014】
図2のアセンブリを金属箔13が複合基材と接触するように、2番目の樹脂フィルム14を取り除くことによって変更してもよい。
【0015】
導電性の表面材料を使用して、自動テープ積層(ATL)または自動繊維配置(AFP)工程に使用するのに適した連続したプリプレグテープを形成し、最外層の導電性表面材料を有する硬化性複合構造を形成してもよい。ATL/AFP用途について、導電性表面材料をそのまま使用して、またはプリプレグプライに積層してもよく、単一指向性繊維または織物の形式で、硬化性マトリックス樹脂および繊維補強材を構成する。導電性表面材料または積層プリプレグプライは、適切なAFP幅の狭いテープに細長く切られる(例えば、0.125インチ〜1.5インチ若しくは3.17mm〜38.1mm、0.25インチ〜0.50インチ若しくは6.35mm〜12.77mm)、またはATL幅(例えば、6インチ〜12インチ若しくは152mm〜305mm)。
【0016】
ATLとAFPは、コンピューター誘導ロボットを使用して、金型表面(例えば、マンドレル)に、1つまたはいくつかの層の繊維テープまたは繊維トウを積層し、複合部分または構造体を作製する。例示的な用途として、航空機主翼と胴体が挙げられる。ATL/AFP工程は、1つ以上のテープをマンドレル表面に並べて分配し、所望の幅および長さの層を作製し、その後、所望の厚みのあるレイアップを提供するために、追加の層が前記層に積層される。ATL/AFPシステムは、マンドレル表面に直接プリプレグテープを分配し圧縮する手段で装備される。
【0017】
AFPは、マンドレルに複数の個々の事前に含浸されたトウまたは狭いスリットテープ(例えば0.125インチ〜1.5インチ)を自動的に配置し、所与の総プリプレグの帯域幅を構成する。材料の配置は、数値制御の配置ヘッドを使用して高速で行われ、配置中に各トウを分配、クランプ、カット、再始動する。ATL機は、AFPに使用される単一のトウまたはスリットテープよりも幅が広い、プリプレグ一方向性テープまたは繊維の連続帯を敷設する。通常、両方の工程と共に、材料は、材料の配置に必要な機構が含まれるロボット制御ヘッドを介して適用される。AFPは伝統的に非常に複雑な表面と小さいで使用されている。
【0018】
航空宇宙複合部品で使用される典型的な表面フィルムは、多くの場合、エポキシ系であり、紫外線(UV)放射、およびベンジルアルコール系溶液等の従来のアルコール系塗料剥離液に曝されたときに悪影響を受ける。本明細書に開示される多機能の導電性表面材料は、これらの問題を克服するように設計されている。そのため、樹脂フィルム組成物の樹
脂成分は、高いT
g、高い架橋密度を生成するように配合されている。高T
g、高架橋密度の組合せが、樹脂フィルムに、アルコール系塗料剥離溶液に高い耐性を持たせる。これらの特性を達成するために、樹脂フィルム組成物は、特定の多機能樹脂、マトリックス樹脂を強靭にする高分子強化成分、潜在性アミン系硬化剤、流体バリア成分としてセラミック小球体、およびレオロジー修正成分として粒子状の無機充填剤である。多機能樹脂およびセラミック小球体は、全組成物の35重量%以上、好ましくは45重量%以上から構成される。
【0020】
多層表面材料の樹脂フィルムは、少なくとも2つの多機能エポキシ樹脂を含有する熱硬化性組成物から形成され、好ましくは、その1つは一方より高いエポキシ機能性を有するエポキシノボラック樹脂である。第二のエポキシ樹脂は、非ノボラック多官能性エポキシ樹脂、好ましくは、四官能または三官能エポキシ樹脂(すなわち、分子当り3つまたは4つまたはエポキシ官能基を有するエポキシ樹脂)である。
【0021】
適切なエポキシノボラック樹脂として、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体または以下の化学構造(構造I)を有するクレゾール−ホルムアルデヒドノボラックが挙げられる。
【0022】
【化1】
ここでn=0〜5であり、R=HまたはCH
3である。R=Hであるとき、樹脂はフェノールノボラック樹脂である。R=CH
3のとき、樹脂はクレゾールノボラック樹脂である。前者はダウ・ケミカル社から市販されているDEN428、DEN431、DEN438、DEN439およびDEN485である。後者はチバガイギー社から市販されているECN1235、ECN1273およびECN1299である。使用してもよい他に適したノボラックとして、Celanese Polymer Specialty社のSU−8が挙げられる。好ましい実施形態では、エポキシノボラック樹脂は、25℃で4000〜10,000mPa・sの粘度および190〜210g/当量のエポキシド当量重量(EEW)を有する。
【0023】
適切なテトラ官能性エポキシ樹脂は、分子当り4つのエポキシ官能基、および少なくとも1つのグリシジルアミン基を有する四官能芳香族エポキシ樹脂である。例として、四官能芳香族エポキシ樹脂は、以下の一般的な化学構造(構造II)、すなわち、メチレンジアニリンのテトラグリシジルエーテルを有してよい。
【0025】
構造IIのアミン基は、芳香族環構造体のパラ−または4、4’位置に示されるが、2、1’、2、3’、2、4’、3、3’、3、4’等のその他の異性体が可能な選択肢であると理解されるべきである。適切な四官能芳香族エポキシ樹脂として、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社から供給されるアラルダイト(登録商標)MY9663、MY9634、MY9655、MY−721、MY−720、MY−725として市販されているテトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンが挙げられる。三官能エポキシ樹脂として、アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、例えば、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社から供給されるアラルダイト(登録商標)MY0510、MY0500、MY0600、MY0610が挙げられる。
【0026】
好ましい実施形態では、エポキシノボラック樹脂と多官能性エポキシ樹脂(三官能および/または四官能)の組合せは、樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて少なくとも15重量%を構成する。ある実施形態では、エポキシノボラック樹脂と多官能性エポキシ樹脂の組合せは、樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて約30重量%〜約60重量%を構成し、他の実施形態では約15重量%〜約25重量%を構成する。エポキシノボラック樹脂および多官能性エポキシ樹脂の相対量は様々であるが、エポキシノボラック樹脂の量は多官能性エポキシ樹脂の100部につき、80〜100部の範囲にあることが好ましい。特定の割合のエポキシノボラック樹脂と多官能性エポキシ樹脂の組合せは、硬化時の所望の高T
gおよび仕立てられた架橋密度に帰属する。
【0028】
上に説明した多官能性樹脂の混合物に基づいた樹脂マトリックスを強靭にするために、1つ以上の高分子強化剤を樹脂フィルム組成物に加える。高分子強化剤は、(i)エポキシ樹脂、ビスフェノール、および弾性重合体の反応によって形成される反応前付加物、(ii)ポリエーテルスルホン(PES)とポリエーテルスルホン(PEES)の共重合体、および(iii)コアシェル型ゴム粒子、並びにその組合せから成る群から選択される。好ましい実施形態では、当該群からの2つの強化剤の組合せを使用する。強化剤の量は、全体として、表面フィルム組成物の総重量に基づいて約10重量%〜約20重量%である。
【0029】
反応前付加物について、適切なエポキシ樹脂として、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAの水素化ジグリシジルエーテル、またはビスフェノールFの水素化ジグリシジルエーテルが挙げられる。分子当り少なくとも1つの脂環基および少なくとも2つのオキシラン環を含む化合物を含む脂環式エポキシも適している。特定の例として、脂環式アルコールのジエポキシド、以下の構造によって表される水素化ビスフェノールA(CVC Thermoset Specialties社によって供給されるEpalloy(商標)5000、5001)が挙げられる。
【0031】
当該脂環式エポキシ樹脂の例は、CVC Thermoset Specialties社から利用可能なEPALLOY(登録商標)5000(水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルによって調製された脂環式エポキシ)である。反応前付加物に使用するのに適したその他の脂環式エポキシドとして、Momentive Specialty
Chemicalsによって供給されるEPONEX脂環式エポキシ樹脂、例えば、EPONEX Resin 1510を挙げてもよい。
【0032】
反応前付加物のビスフェノールは、直鎖または脂環式エポキシの鎖伸長剤として機能する。適切なビスフェノールとして、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、ビスフェノールZ、テトラメチルビスフェノールA(TMBP−A)が挙げられる。
【0033】
反応前付加物を形成するための適切なエラストマーとして、限定されないが、例えば、アミン末端ブタジエンアクリロニトリル(ATBN)、カルボキシル−末端ブタジエンアクリロニトリル(CTBN)、カルボキシル末端ブタジエン(CTB)、フルオロカーボンエラストマー、シリコンエラストマー、スチレン−ブタジエンポリマー等のゴムが挙げられる。ある実施形態では、反応前付加物に使用されるエラストマーはATNBまたはCTBNである。
【0034】
ある実施形態では、エポキシ樹脂は、約300°F(または148.9℃)で、トリフェニルホスフィン(TPP)等の触媒の存在下で、ビスフェノール鎖伸長剤およびエラストマーポリマーと反応し、エポキシ樹脂を鎖リンクし、高粘度、フィルム形成、高分子量のエポキシ樹脂反応前付加物を形成する。その後、反応前付加物を表面フィルム組成物の残っている成分と混合する。
【0035】
高分子強化成分の第二の選択肢は、平均分子量が8,000〜14,000のポリエステルスルホン(PES)とポリエーテルエーテルスルホン(PEES)の共重合体である熱可塑性強化材料である。一実施形態では、強化剤はポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレン)であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合に約200℃のT
gを有する。
【0036】
高分子強化成分の第三の選択肢は、粒径が300nm未満のコアシェルゴム粒子である。コアシェルゴム(CSR)粒子は、ソフトコアがハードシェルに囲まれている任意のコアシェル粒子であってもよい。好ましいCSR粒子はポリブタジエンゴムコアまたはブタジエン−アクリロニトリルゴムコアおよびポリアクリル酸塩シェルを有するものである。しかし、ソフトシェルによって囲まれたハードコアを有するCSRも使用してよい。CSR粒子は液体エポキシ樹脂に分散された25〜40重量%のCSR粒子として供給されてもよい。ゴムコアおよびポリアクリル酸塩シェルを有するCSR粒子は、カネカテキサス社(ヒューストン、テキサス州)から商標Kane Ace MXで市販されている。必要としないが、コアシェルゴム粒子を、適切な液体エポキシ樹脂の粒子の懸濁液として、表面フィルム組成物に加えることが好ましい。Kane Ace MX411はMY721エポキシ樹脂中の25重量%のコアシェルゴム粒子の懸濁液であり、コアシェルゴム粒
子の適切な源である。Kane Ace MX120、MX125、またはMX156は、DER331樹脂に分散された25〜37重量%の同コアシェルゴム粒子を含有し、コアシェルゴム粒子の適切な源でもある。MX257、MX215、MX217およびMX451等のコアシェルゴム粒子のその他の適切な源も使用してよい。コアシェルゴム粒子の別の市販されている源は、ダウ・ケミカル社のParaloid(商標)EXL−2691(平均粒径が約200nmのメタクリラート−ブタジエン−スチレンCSR粒子)である。
【0038】
セラミック小球体を樹脂フィルム組成物に加え、フィルムの表面平滑性を向上させる。一実施形態では、不活性シリカ−アルミナセラミック材料から作製される中空のセラミック小球体を使用する。セラミック小球体は、60,000psiの圧潰強度、約3.7〜4.6の比誘電率、1000〜1100℃(または1832〜2012°F)の軟化点、0.1ミクロン〜50ミクロンまたは1〜50ミクロンの範囲の粒径を有してもよい。セラミック小球体の高軟化点によって、溶媒に非吸収性で、非燃焼性、および化学物質への耐性を高くすることができる。直径約0.1μm〜約20μm、好ましくは約1μm〜約15μmの小球体は特に適切であることが認められている。本発明の樹脂フィルム組成物の使用に特に適している市販のセラミック小球体の例は、商品名Zeeospheres(登録商標)、例えばG−200、G210およびW−200で、Zeelan Industries,Inc.社から販売されている。これらは厚壁、無臭、および薄い灰色の中空、シリカ−アルミナ球体である。好ましい実施形態では、多官能性樹脂とセラミック小球体の組合せは、50重量%以上、好ましくは60重量%以上の樹脂フィルム組成物を構成する。ある実施形態では、セラミック小球体の量は、樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、少なくとも30重量%である。いくつかの実施形態では、セラミック小球体の量は、20〜40重量%、または25〜35重量%の範囲にあってもよい。他の実施形態では、セラミック小球体の量は、3〜15重量%、または5〜10重量%の範囲にあってもよい。
【0040】
多官能性エポキシド樹脂は、高温(例えば150°F(65℃)以上の温度)で活性になる様々な潜在性アミン系硬化剤によって硬化されてもよい。適切な硬化剤の例として、ジシアンジアミド(DICY)、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジンおよびその誘導体が挙げられる。イミダゾールおよびアミン複合体の種類の化合物も使用してよい。一実施形態では、硬化剤はジシアンジアミドである。アミン系硬化剤は、樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて1〜5重量%の範囲の量で存在する。
【0041】
硬化促進剤をアミン系硬化剤と併せて使用し、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤の硬化反応を促進してもよい。適切な硬化剤として、アルキルおよびアリール置換尿素(芳香族または脂環式ジメチル尿素を含む)、並びにトルエンジアミンまたはメチレンジアニリンに基づくビス尿素を挙げることができる。ビス尿素の一例は4,4’−メチレンビス(フェニルジメチル尿素)であり、CVC Chemicals社のOmicure U−52またはCA 152として市販されており、ジシアンジアミドについての適切な促進剤である。別の例は2,4−トルエンビス(ジメチル尿素)であり、CVC Chemicals社のOmicure U−24またはCA 150として市販されている。硬化促進剤は、樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて0.5〜3重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0043】
微粒子形状の不活性充填剤(例えば粉末)を、レオロジー改質成分として、樹脂フィルム組成物に加え、樹脂組成物の流量を制御し、その凝集を防ぐ。樹脂フィルム組成物に使用してもよい適切な不活性充填剤として、タルク、雲母、炭酸カルシウム、アルミナ、およびヒュームドシリカが挙げられる。一実施形態では、疎水性ヒュームドシリカ(例えば、Cab−O−Sil TS−720)を不活性充填剤として使用する。不活性充填剤の量は、樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて1〜5重量%の範囲にあってもよい。
【0045】
樹脂フィルム組成物は、硬化または非硬化樹脂フィルムの機械的、電気的、光学的、耐炎性、および/または熱特性の1つ以上に影響を与える1つ以上の任意の添加剤をさらに含んでよい。添加剤は樹脂フィルムに接触する複合基材のエポキシ樹脂に化学的に反応する材料を含んでよく、またはそれらに反応しなくてもよい。当該添加剤として、限定されないが、紫外線(UV)安定剤、顔料/染料、および導電性材料が挙げられる。当該添加剤を使用する場合、総重量は樹脂フィルム組成物の総重量に基づいて5重量%未満である。
【0046】
樹脂組成物に添加してもよいUV安定剤の例として、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン(例えば、UV−9)、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えば、CYASORB(登録商標)UV−1164吸光剤)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、n−ヘキサデシルエステル(例えば、CYASORB(登録商標)UV−2908光安定剤)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸(例えばIRGANOX 1010)が挙げられる。2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジテルトペンチルフェノール(例えばTINUVIN 328)、セバシン酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメチル(例えばTINUVIN 292)等のCiba Specialty Chemicals社のリキッドヒンダード光安定剤。デカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニルエステル(例えばTINUVIN 123)も適切なUV安定剤として使用してもよい。さらに、ナノサイズの酸化亜鉛(n−ZnO)、例えばNanoSunGuard 3015、および酸化チタンナノ粒子(n−TiO2)も適切なUV安定剤として使用してもよい。
【0047】
レジン系に色を加えるための当該技術分野に周知の顔料および/または染料を樹脂フィルム組成物に加えてもよい。顔料および/または染料の例として、限定されないが、赤色酸化鉄、緑色酸化クロム、カーボンブラック、および酸化チタンが挙げられる。一実施形態では、酸化チタン(白色)顔料を樹脂フィルム組成物に加える。別の実施形態では、カーボンブラック顔料を加える。
【0048】
最終の樹脂フィルムに導電性を与えるために、粒子形状、例えば、粒子またはフレークの導電性材料も樹脂フィルム組成物に加えてもよい。それに与えられる導電性粒子またはフレークを有する金属層(または箔)と樹脂フィルムの組合せが、純粋な金属層と同様の導電性特性を生じることが発見されている。例えば、20mΩ未満、場合によっては5mΩの表面抵抗率を、金属層/箔を組み合わせた1つまたは2つの導電性樹脂フィルムを有する多層構造に達成することができる。適切な導電性材料の例として、フレークまたは粒子の形状の銀、金、ニッケル、銅、アルミニウム、青銅、およびその合金等の材料が挙げられる。樹脂フィルムに電導性を与えるために、カーボンナノチューブ(一重壁ナノチューブまたは多重壁ナノチューブ)、カーボンナノファイバー、およびグラフェン等の炭素
系材料を、導電性添加剤として使用してもよい。ナノファイバーの粒径は70〜200ナノメートルの範囲にあり、長さは約50〜200ミクロンである。ナノチューブの外径は約10ナノメートルであり、長さは約10,000ナノメートルであり、アスペクト比(L/D)は約1000である。さらに、導電性添加剤はカーボンブラック粒子(DeGussaのPrintex XE2等)を含んでもよい。
【0049】
ある実施形態では、導電性樹脂フィルムと組み合わされた金属層/箔を有する多層導電性表面材料(それに分散された導電性添加剤を有する)は、導電性樹脂フィルム単独よりも1〜2の大きさがある金属様導電率を表すことができる。このように、多層導電性表面材料は、3次元的に均一で、金属のような高い導電率を提供し、LSPとEMIシールディングの両方において、複合性のEME保護をかなり向上させる。
【0050】
表1Aと1Bは樹脂フィルム組成物の様々な実施形態を示す。
【0053】
一実施形態では、樹脂フィルム組成物は、組成物の総重量に基づいて、以下の配合を有する、以下、20%〜25%エポキシフェノールノボラック樹脂、20%〜25%の三官能エポキシ樹脂、10%〜15%の反応前付加物、1%〜3%のPES−PEES共重合体、25%〜35%のセラミック小球体、1%〜5%の潜在性アミン系硬化剤、0.5%〜3%の硬化促進剤、1%〜3%の不活充填剤、および任意で0.1〜1%の着色顔料。
【0054】
別の実施形態では、樹脂フィルム組成物は、組成物の総重量に基づいて、以下の配合を有する、以下、5%〜15%のフェノールノボラック樹脂、5%〜15%の三官能エポキシ樹脂、10%〜20%の反応前付加物、1%〜3%のPES−PEES共重合体、25
%〜35%のセラミック小球体、1%〜5%の潜在性アミン系硬化剤、0.5%〜3%の硬化促進剤、1%〜3%の無機充填剤、および任意で、銀フレークまたは銀−銅フレーク、または上で説明した炭素系ナノサイズの材料等の45%〜70%の導電性添加剤。
【0055】
樹脂フィルム組成物の成分を、成分を混合、加熱および/または冷却するために備えられた混合容器に加えてもよい。さらに、成分の混合を促進するために、必要であれば1つ以上の有機溶媒を混合物に加えてもよい。当該溶媒の例として、限定されないが、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドンが挙げられる。次に、通常のフィルム形成工程を用いて樹脂フィルム組成物から樹脂フィルムを形成する。
【0056】
樹脂フィルムの取扱いを容易にするために、樹脂フィルム組成物を担体に適用する。担体の非限定的な例として、熱可塑性ポリマー繊維または炭素繊維、不織布マット、ランダムマット、編まれた担体、金属コーティングされたカーボンベール等が挙げられる。不織布マット、織られたまたは編まれた支持体として、カーボンマット、ポリマーマット、金属コーティングされたカーボン、ガラス、またはポリマーガラスベールが挙げられる。不織布マット、織られたまたは編まれた支持体を銅、アルミニウム、銀、ニッケル、およびその合金でコーティングしてもよい。硬化時、得られる硬化樹脂フィルムは、高い架橋密度、DSCによって測定した場合に180℃以上の高いガラス遷移温度(T
g)、ASTM D−3363に準拠した7H以上の鉛筆硬度を表す。これらの特性によって、硬化樹脂フィルムは、従来の塗料剥離剤(例えば、ベンジルアルコール系塗料剥離液)、並びにUV照射、微小亀裂に高い耐性を示すことができる。これは、周囲温度(20℃〜25℃)で7日間ベンジルアルコール系塗料剥離液に接触した後、表面フィルムは0.5%未満の流体吸収を示し、鉛筆硬度は2H以上の鉛筆グレードに低下しない。さらに、硬化樹脂フィルムは、−55℃〜71℃の2000X熱サイクル試験を行った後に、0.3クラック/平方インチ未満の微小亀裂密度を示すことが認められている。さらに、硬化樹脂フィルムは通常、航空宇宙構造物を塗るために使用されるコーティング塗料に高い密着性を発揮する。コーティング塗料への樹脂フィルムの密着度は、乾燥条件または湿潤条件(75°Fで7日間、脱イオン水に浸漬した後)、1000KJ/m
2のUVA放射線露光がある場合とない場合で、ASTM D3359に準拠したペイント密着試験を行った後、塗料が付された表面が実質的に0%のペイント損失を示すことである。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明に記載の導電性表面材料の特定の実施形態を与えるために役立つが、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【0058】
表2に示す配合物(1〜9)に基づいて9つの樹脂フィルムを調製した。すべての量は重量パーセントである。
【0059】
【表2】
【0060】
各樹脂フィルムは、混合容器に、表2に開示されている成分を添加し、高速剪断実験室ミキサーを用いて成分を混合することによって調製した。エポキシ樹脂を最初に添加した。組成物のレオロジーおよび固形分を調整するために、必要に応じて、MEKをエポキシ樹脂混合物に溶媒として添加した。その後、強化剤(反応前付加物および/またはPES−PEES共重合体)をエポキシ樹脂に添加した。特定の表面仕上げフィルム(配合物4
〜7)、導電性添加剤(銀フレークまたはAg−Cuフレーク)も混合容器に添加した。セラミック小球体、ヒュームドシリカ、および(いくつかの配合物において)UV安定剤をさらに混合容器に添加した。上記混合物の粘度を制御するために、必要に応じて、MEK溶剤を約80重量%の固形物に添加し、組成物の成分を、約1000〜3000rpmで約50〜70分間混合した。組成物の温度は約160°F未満に維持した。混合物が混合シャフトを登るのを抑制するために、追加のMEKを必要に応じて添加した。
【0061】
次に、混合物を約120°F未満に冷却し、硬化剤(ジシアンジアミド(Dicy)、およびビス尿素)を組成物に添加した。組成物をおおよそ均質になるまで混合した。混合物の温度は、硬化剤を添加している間、約130°F未満に維持した。
【0062】
上記の組成物から表面樹脂フィルムを形成するために、各組成物に歪み負荷をかけ、空気を抜き、およびフィルムとして堆積した。歪み負荷は、濾過媒体EP−15を介して行われた。脱気は、組成物の固形分が約80重量%になるように行った。歪み負荷され、脱気された組成物を、その後、約0.020〜0.030psfのフィルム重量を有するフィルムとしてフィルムコーティング剤を塗布し、約1重量%未満の揮発物を達成するように乾燥させた。選択した不織布ポリエステルまたはガラスランダムマット担体または導電性担体を、担体をフィルムに埋め込むように軽い圧力をかけて樹脂フィルムに圧縮した。
【0063】
多層、導電性表面材料を形成するために、表2の樹脂組成物から形成される樹脂フィルムを様々な金属箔と組み合わせて、適切な温度および圧力下でフィルム/箔積層工程によって、三層構造体を形成した(
図1に示すように)。その後、多層導電性表面材料をプリプレグレイアップと組み合わせることによって、複合パネルを製作した。各パネルについて三層導電性表面材料を型に配置し、プリプレグプライ(Cytec Industries社のCYCOM 5276−1、炭素繊維/エポキシ系プリプレグ)を積層することによって、プリプレグ積層を形成した。その後、導電性表面材料を有するプリプレグ積層をオートクレーブで80psi、約350°Fの温度で2時間硬化させた。
【0064】
表面フィルムの評価
【0065】
硬化した樹脂フィルムのガラス転移温度(T
g)は、30℃〜230℃の温度範囲、10℃/分の傾斜で、窒素下、変調DSC(TA 2910)または熱機械分析装置(TMA 2940、TAインスツルメンツ社)のいずれかを用いて決定した。
【0066】
複合積層パネルの評価
【0067】
表面外観欠陥(ピット、ピンホール)について、多層、導電性表面材料で表面化された複合パネルを検査した。その後、複合パネルを、その塗料剥離性、UV照射のある場合とない場合の乾燥および湿潤塗料密着性、および耐微小亀裂耐性を評価した。
【0068】
塗料剥離耐性試験
【0069】
未塗装、表面複合パネル(2”×2”の試料サイズ、0.15mmの厚み)の塗料剥離耐性を、航空宇宙複合構造の塗料剥離工程に用いられるベンジルアルコール系塗料剥離剤溶液(ヘンケル社から入手可能なMcGeanまたはTurco 1270−6から入手可能なCee Bee 2012A)の浸漬時間(周囲温度で最大168時間)にわたって、塗料剥離液の取り込みおよび表面の鉛筆硬度変化を測定することによって測定した。各試験パネルの重量は、24時間、48時間、最大168時間(7日間)の間隔で、塗装剥離の浸漬の前後に測定した。試験パネルの塗装剥離流体の取り込み(浸漬時間にわたる重量変化、重量%で表される)を、同じ試験間隔で最大168時間(7日間)の浸漬で測定
した。
【0070】
各未塗装の試験パネルの表面は、周囲温度、最大168時間ベンジルアルコール系塗料剥離液を浸漬し、その後、ASTM D3363に準拠して浸漬期間の間、鉛筆硬度の変化について試験した。ASTM D3363は、基材に透明かつ着色された有機塗膜の表面硬度を測定するための標準試験方法を意味する。鉛筆硬度スケールは以下の通りであり、6B(最も柔らかい)、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9H(最も硬い)。試験パネルの鉛筆硬度は、24時間、48時間、最大168時間(7日間)の間隔で、塗料剥離剤に浸漬した前後に測定した。24時間の浸漬で、2Hレベル以上変化する鉛筆硬度は、良好な塗料剥離耐性を有するとは考えられない。
【0071】
UV露光の有無による乾湿塗料の密着
【0072】
多層の導電性表面フィルムで表面化された塗装した複合パネルの乾湿スクライブ塗料の密着(3”×6”の試料サイズ、0.15mmの厚み)を、塗装前にUV露光のある場合とない場合で、ASTM D3359に準拠して測定した。ASTM D3359は、フィルムに行った切片にわたって感圧テープを貼り、および除去することによって(クロスハッチスクライブテープ試験)、基材に対するコーティング膜の表面密着性を評価するための標準試験方法を意味する。硬化した試験パネルを、AATCC試験法16、方法3に従って、ゼロ(UVなし)、約200kJ/m
2または1000kJ/m
2の紫外線(UV−A)照射に露光した。UV試験に使用される機器は、Atlas CI3000 Fadeoメーター等のXenoウェザロメーターである。各試験パネルの表面は調製し(研磨した場合と研磨しない場合で、洗浄され)、航空宇宙の塗装に使用される外装用塗料コーティング(ポリウレタン系のトップコートの後に、エポキシ塗料プライマー)を塗布した。次に、乾性ペイント密着試験を、ASTM D3359に従って行った。湿性ペイント密着を行うため、UV露光された試験パネルを、塗装し、その後7日間、75°Fで脱イオン水に浸漬した。その後、湿性ペイント密着試験をASTMのD3359に従って行った。
【0073】
電気伝導度測定
【0074】
導電性表面材料を有する試験パネルを約6×5インチのテストクーポンを形成するように切り分け、4点プローブAVO(登録商標)Ducter(登録商標)DLRO10Xデジタル低抵抗オーム計を用いて、その導電率または表面抵抗率を(オーム/スクエア、またはミリオーム/スクエアで)測定した。
【0075】
表3および表4は、表2の樹脂フィルムの配合物、および表3および表4に指定されるように、固体金属箔(銅またはアルミニウム)に基づく三層表面材料(樹脂フィルム/金属箔/樹脂フィルム)に表面化された試験パネルの表面特性および試験結果を示す。
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
表3および表4に示すように、試験パネルは優れた塗装剥離耐性と高い表面硬度(>7H)を示した。これらのパネルは、また、様々な試験条件下(乾湿、UV露光のある場合とない場合)で優れた塗装密着性を(10%+は0%の塗料の損失を意味する)を示した。
【0079】
表3を参照すると、三層導電性表面材料(試験パネル1〜2、および5〜7)で表面化された複合パネルは、予期しない、金属のような導電性(5mΩ/スクエア未満)を示すことが認められ、導電性樹脂フィルム(金属箔なし)単独よりも強度が1〜2大きい。このように、三層導電性表面材料は、三次元的に均一で、ちょうど金属のような高い導電性を提供する。これらの三層導電性表面材料の金属のような導電率によって、良好なLSP保護およびEMIシールドを提供することができる。
【0080】
微小亀裂耐性試験
【0081】
表3および4に開示された試験パネルを塗装し、塗装された試験パネルの微小亀裂(4
”×6”試料サイズ、0.15mmの厚みの形態で)も測定した。塗装試験パネルを−55℃〜71℃、最大2000Xサイクルの熱サイクルにかけた。熱サイクル後の各試験パネルの表面を、400X、800X、1200X、1600Xおよび2000Xの熱サイクルに露光した後の微小亀裂の発生について顕微鏡下で調べた。亀裂密度(試験パネルのサイズ領域に示される表面塗装亀裂数)を使用して、表面化複合試験パネルの微小亀裂耐性を測定する。亀裂の最大長は0.1インチ未満のはずである。2000X熱サイクル後の微小亀裂の試験結果を表5に示す。
【0082】
【表5】
【0083】
表5に示すように、多層、導電性表面材料に表面化された試験パネルは、0.3クラック/平方インチ未満の亀裂密度で、良好な微小亀裂耐性を示す。
【0084】
用語「第一」、「第二」等は、いかなる順序、数量または重要度を表すものではなく、むしろある要素を別の要素と区別するために使用され、本明細書の用語「a」および「an」は、数量の限定を意味するものではなく、記載要素が少なくとも1つ存在することを意味する。量に関連して使用される修飾語「およそ」および「約」は記載された値を含み、文脈によって決まる意味を有する(例えば、特定の数量の測定に関連する誤差の程度を含む)。本明細書で使用される接尾辞「(複数可)」は、それが修飾する用語の単数と複数の両方を含み、それによってその用語の一つ以上を含む(例えば、金属(複数可)は、1つ以上の金属を含む)。本明細書に開示される範囲は、包括的で、独立して組合せ可能である(例えば、「最大約25重量%、または、より具体的には、約5重量%〜約20重量%」は、エンドポイントおよび範囲内のすべての中間値を含み、例えば、「1重量%〜10重量%」とは、1%、2%、3%等を含む)。
【0085】
様々な実施形態が本明細書に記載されているが、それは、要素、変形または改良の様々な組合せが当業者によってなされ得るものであり、本発明の範囲内にあることが本明細書から理解されるだろう。さらに、本明細書の本質的な範囲から逸脱することなく、多くの修正を施し、本発明の教示に特定の状況または材料を適合できる。したがって、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではないが、本発明は、添付の特許請求の範囲内のすべての実施形態を包含することが意図される。