特許第6177002号(P6177002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムケー精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6177002-冷媒処理装置 図000002
  • 特許6177002-冷媒処理装置 図000003
  • 特許6177002-冷媒処理装置 図000004
  • 特許6177002-冷媒処理装置 図000005
  • 特許6177002-冷媒処理装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177002
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】冷媒処理装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
   F25B45/00 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-104921(P2013-104921)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-224662(P2014-224662A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 丈博
(72)【発明者】
【氏名】松崎 亮
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−117719(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0047636(US,A1)
【文献】 特開2006−261591(JP,A)
【文献】 特開2010−025545(JP,A)
【文献】 特開2004−012005(JP,A)
【文献】 特開2004−316933(JP,A)
【文献】 特開2005−042972(JP,A)
【文献】 特開2005−055077(JP,A)
【文献】 特開2006−220381(JP,A)
【文献】 発明協会公開技報公技番号2003−501608
【文献】 実開昭57−033975(JP,U)
【文献】 特開2013−160409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システムのサービスバルブに着脱されるホースと、該ホースの圧力を検出するホース圧力センサと、空調システムからの冷媒を貯蔵する冷媒回収タンクと、空調システムから冷媒タンクに冷媒を回収するとともに冷媒タンクから空調システムに冷媒を充填するコンプレッサと、外気温を検出する外気温センサとを備えた冷媒処理装置であって、前記冷媒タンク内の冷媒を空調システムに充填する際に、前記外気温センサで検出する外気温に応じて前記コンプレッサーを駆動して冷媒タンク内を昇圧する制御手段を備え、
該制御手段は、前記外気温センサで検出する外気温に応じて前記コンプレッサーの駆動時間を決定し、決定した駆動時間が経過するまでコンプレッサーにより冷媒タンク内を昇圧した後、冷媒タンクから空調システムへの充填を行うことを特徴とする冷媒処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム内に充填されている冷媒を回収し、回収した冷媒を再生処理し、再生した冷媒を空調システム内に充填するといった処理を行う冷媒処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、特許文献1が知られている。特許文献1に示す冷媒処理装置は、車両用空調システムに接続し、内蔵されるコンプレッサ・エバポレータ・フィルタドライヤ・オイルセパレータ・コンデンサ・冷媒回収タンクによって、車両用空調システムから冷媒を回収して再生する回収再生作業と、回収した冷媒に新たな冷凍機油を添加して車両用空調システムに充填する充填作業を実行するものである。
【0003】
回収再生作業は、車両エンジンを停止した状態で、車両用空調システムの高圧サービスバルブ及び低圧サービスバルブに装置本体の高圧ホース及び低圧ホースを接続してコンプレッサを駆動させることで実行され、コンプレッサの駆動に伴い車両用空調システムの冷媒が高圧液体の状態で導入され、エバボレータで減圧気化・オイルセパレータで冷凍機油が分離された後、フィルタドライヤで濾過及び除水され、コンデンサで液化されて冷媒回収タンクに回収される。
【0004】
充填作業は、車両エンジンを駆動して車両用空調システムを作動させることで実行され、冷媒回収タンク内の冷媒が低圧側から車両用空調システムに充填され、冷媒回収タンク内の冷媒が規定量だけ減量することで車両用空調システム内に規定量の冷媒が充填される。
【0005】
さて、上記充填作業のように車両用空調システムを作動して冷媒回収タンク内の冷媒を引き込むガス充填方式では、外気温が低温(例えば10℃以下)である場合、冷媒が気化されずに充填完了までに時間が掛かったり所望の充填量が得られないという問題がある。また、車両用空調システム内が真空の状態で車両エンジンを駆動することになるため、部品破損が危惧されるとともに車両によってはシステムロック状態となりエンジン駆動不能となる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−220381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、冷媒を圧縮して冷媒回収タンク内を加圧することで、車両エンジンを停止した状態で冷媒を車両用空調システムに充填する液充填方式を採用し、この液充填方式で冷媒充填を行う際に、外気温に左右されずにスピーディーな充填作業を可能とし、車両に対する影響も軽減することができる冷媒処理装置の提供を解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために本発明は、 空調システムのサービスバルブに着脱されるホースと、該ホースの圧力を検出するホース圧力センサと、空調システムからの冷媒を貯蔵する冷媒回収タンクと、空調システムから冷媒タンクに冷媒を回収するとともに冷媒タンクから空調システムに冷媒を充填するコンプレッサと、外気温を検出する外気温センサとを備えた冷媒処理装置であって、冷媒タンク内の冷媒を空調システムに充填する際に、前記外気温センサで検出する外気温に応じて前記コンプレッサーを駆動して冷媒タンク内を昇圧する制御手段を備え、制御手段は、外気温センサで検出する外気温に応じてコンプレッサーの駆動時間を決定し、決定した駆動時間が経過するまでコンプレッサーにより冷媒タンク内を昇圧した後、冷媒タンクから空調システムへの充填を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液充填方式の冷媒処理装置で充填作業を行う際に、外気温に応じてタンク内の昇圧を行うので、使用する周囲環境に関わらず適正な冷媒量の充填が可能になり、四季を通じて安定した充填作業を実行することができる。また、タンク内の昇圧時間、昇圧圧力が最適化され、時間的な効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の冷媒処理装置の全体構成図である。
図2】同装置のブロック図である。
図3】回収再生工程の動作を示すフローチャート図である。
図4】昇圧充填工程の動作を示すフローチャート図である。
図5】別の実施態様における昇圧充填工程の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の冷媒処理装置について説明する。図1は本発明の冷媒処理装置を示す全体構成図である。
1は装置本体で、車両用空調システムUの高圧サービスバルブVH及び低圧サービスバルブVLと接続する高圧ホース2及び低圧ホース3を延出している。高圧ホース2及び低圧ホース3は、一端に逆止弁付のカプラ4,5を備え、他端を装置本体1内の高圧管路6及び低圧管路7にそれぞれ接続している。高圧管路6は、高圧用圧力センサ8を備え、オイルセパレータ9に接続している。低圧管路7は、低圧用圧力センサ10を備え、接続管路11を介して高圧用圧力センサ8とオイルセパレータ9間の高圧管路6に接続している。
【0014】
12は供給管路で、コンプレッサ13とコンデンサ14を備え、一端をオイルセパレータ9に接続し、他端を冷媒回収タンク15に接続している。コンプレッサ13は、車両用空調システムUからの冷媒回収及び車両用空調システムUへの冷媒充填の駆動源となる。コンデンサ14は、コンプレッサ13の出力側でオイルセパレータ9内に配置されている。16はタンク用圧力センサで、供給管路12の冷媒回収タンク15との接続部に設けられ、冷媒回収タンク15の内圧を検出する。17は排油管路で、オイルセパレータ9と冷凍機油受け18を接続し、オイルセパレータ9で分離された冷凍機油を冷凍機油受け18に排出する。
【0015】
19はロードセルで、冷媒回収タンク15に取り付けられ、タンク15内に貯留される冷媒の重量を計量する。20は充填管路で、冷媒回収タンク15から接続管路11に連結して高圧管路6を通じてタンク15内に貯留される冷媒を車両用空調システムUに充填する。21は補充管路で、接続管路11に連結し、再生冷媒充填時に冷凍機油を補充するためのオイル缶22と、冷媒回収タンク15内の再生冷媒の量が不足した場合に新規な冷媒をタンク15内に補充するためのフロン缶23が接続される。
【0016】
24〜30は管路切換用の電磁弁で、高圧管路6における高圧用圧力センサ8と接続管路11の連結位置との間に電磁弁24、接続管路11の連結位置からオイルセパレータ9との間に電磁弁25、低圧管路7における低圧ホース3の接続位置と低圧用圧力センサ10との間に電磁弁26、排油パイプ17に電磁弁27、充填管路20に電磁弁28、補充管路21におけるオイル缶22側に電磁弁29・フロン缶23側に電磁弁30を設けている。31〜33は逆止弁で、接続管路11に逆止弁31、補充管路21におけるオイル缶22側に逆止弁32・フロン缶23側に逆止弁33を設けている。34は外気温センサで、装置本体1の側面に取り付けられ、周囲温度を検出する。
【0017】
図2は本発明の冷媒処理装置の制御系を示すブロック図である。
35は制御部で、高圧用圧力センサ8・低圧用圧力センサ10・コンプレッサ13・タンク用圧力センサ16・ロードセル19・電磁弁24〜30・外気温センサ34及び操作ボード36が接続され、操作ボード36からの指令に基づいて記憶されたプログラムを実行し、各圧力センサ8・10・16・ロードセル19・外気温センサ34からの信号に応じてコンプレッサ13・電磁弁24〜30を作動させる。操作ボード36は、冷媒充填量を表示する充填量表示部・高圧側の圧力を表示する高圧用圧力表示部・低圧側の圧力を表示する低圧用圧力表示部といった表示部37と、コース選択キー・充填量等を調整する調整キー・スタートキー・作業を一時中断させるための一時停止キー・途中停止した充填を再開させる再開キー・全作業終了後、装置を初期状態に戻すための終了キーといった入力部38を備えている。
【0018】
続いて、このように構成する冷媒処理装置の動作について説明する。
再生充填コースは、車両用空調システムUからほぼ全量の冷媒を抜き取り、装置本体1で冷媒と冷凍機油とを分離して冷媒の洗浄・補充、冷凍機油の交換等を行って再生する回収再生工程と、適量の冷媒を車両用空調システムUに充填する充填工程が順次実行される。
【0019】
<回収再生工程> 図3のフローチャート図
作業者は、まず準備作業として、車両エンジンを停止し、車両用空調システムUの高圧サービスバルブVH及び低圧サービスバルブVLに、装置本体1の高圧ホース2及び低圧ホース3をカプラ4・5によって接続する。この状態から操作ボード36のコース選択キーで『再生充填コース』を選択し、充填量表示部を見ながら調整キーで充填する規定冷媒量Cを設定した後、スタートキーを入力すると、回収再生工程が開始される。
【0020】
回収動作が開始すると、高圧用圧力センサ8で高圧ホース2の圧力PHを確認し(1)、所定値P1以上の圧力が検出されると、高圧ホース2が確実に装着されていると判断して高圧管路6の電磁弁24,25を開き(2)、コンプレッサ13を駆動する(3)。コンプレッサ13の駆動に伴い、車両用空調システムUの冷媒は、高圧ホース2から高圧液体の状態で取り込まれ、オイルセパレータ9に導入される。オイルセパレータ9に導入された液体冷媒は、容器開放による減圧で気化し、含有する冷凍機油が分離される。オイルを分離した冷媒は、コンプレッサ13で圧縮されて再度液化し、オイルセパレータ9に内蔵したコンデンサ14を通過した後、冷媒回収タンク15に回収される。このときオイルセパレータ9では、内蔵したコンデンサ14に液化冷媒を通すことで、オイルセパレータ9が加熱され、効率良く熱交換が実行される。
【0021】
次に、高圧管路6の高圧用圧力センサ8で検出される圧力PHが所定値P2以下になると(4)、空調システムUの高圧側に残留している冷媒が気体状態であると判断して、低圧管路7の電磁弁26を開き(5)、空調システムUの高圧側及び低圧側に残留している気体冷媒が冷媒回収タンク15に回収される。その後、低圧管路7の低圧用圧力センサ10で検出される圧力PLが所定値P3以下になると(6)、ほぼ全量の冷媒回収が終了したと判断して、電磁弁24,25,26を閉じ(7)、コンプレッサ12を停止して(8)回収を終了する。
【0022】
冷媒回収が終了すると、排出パイプ17の電磁弁27を開き(9)、オイルセパレータ9内の分離された冷凍機油を冷凍機油受け18に排出し、所定時間T1が経過すると(10)、電磁弁27を閉じて(11)、回収再生工程が終了となり、工程終了と次工程に移行する案内を出力する(12)。
【0023】
<昇圧充填工程> 図4のフローチャート図
作業者は、車両エンジンを停止したまま、ステップ(12)の案内に従ってスタートキーを入力すると、昇圧充填工程が開始される。
昇圧充填工程が開始すると、まず高圧管路6の電磁弁25と充填管路20の電磁弁28を開き(13)、コンプレッサー13を駆動する(14)。コンプレッサー13の駆動に伴い、冷媒回収タンク15の冷媒が閉回路を循環し、冷媒回収タンク15のタンク内圧を昇圧する。このとき、外気温による充填時間や充填量の差をなくすために、冷媒回収タンク15のタンク内圧の目標圧力値Ptを外気温センサ34で検出される外気温に応じて決定している。すなわち、外気温センサ34で外気温Tを検出し(15)、検出した外気温Tに基づいて予め記憶されている外気温毎の目標圧力値データの中から相当する目標圧力値Poを決定する(16)。
【0024】
タンク用圧力センサ16でタンク内圧Poが目標圧力値Ptまで昇圧したことを検出すると(17)、コンプレッサー13を停止し(18)、高圧管路6の電磁弁25を閉じて(19)、高圧管路6の電磁弁24を開き(20)車両用空調システムUの高圧側から冷媒回収タンク15の内圧によって冷媒が充填される。同時に補充管路21の電磁弁29を開き(21)、オイル缶22の冷凍機油が車両用空調システムUに注入される。
【0025】
ロードセル19で冷媒回収タンク15内の冷媒が設定した規定冷媒量Cだけ減少したことを検出すると(22)、車両用空調システムU内に規定量Cの冷媒が充填されたと判断して、高圧管路6の電磁弁25と充填管路20の電磁弁28を閉じて(23)、昇圧充填工程が終了となり、工程終了の案内を出力する(24)。
【0026】
このように本発明は、回収再生工程で車両用空調システムUから冷媒を抜き取り、抜き取った冷媒をオイルセパレータ9で冷凍機油を分離して再生した後、冷媒回収タンク15に回収し、昇圧充填工程で冷媒回収タンク15を昇圧して、タンク内の冷媒を車両用空調システムUに充填する。タンク内を昇圧する際、昇圧の目標圧力値Ptを外気温Tによって決定するようにしたので、季節や時間帯等により外気温の変動しても安定した充填作業が行える。
【0027】
図5は別の実施態様における昇圧充填工程の動作を示している。
この昇圧充填工程では、検出した外気温Tに基づいてコンプレッサー13の駆動時間Mtを決定している。すなわち、外気温センサ34で検出した外気温Tに基づいて予め記憶されている外気温毎の駆動時間データの中から相当する駆動時間Mtを決定する(16)’。その後、駆動時間Mtが経過したら(17)’、コンプレッサー13を停止し、以後図4の処理(19)移行の動作を実行する。
【符号の説明】
【0028】
1 装置本体
6 高圧管路
7 低圧管路
8 高圧用圧力センサ
10 低圧用圧力センサ
12 供給管路
13 コンプレッサ
15 冷媒回収タンク
16 タンク用圧力センサ
20 充填管路
24〜30 電磁弁
34 外気温センサ
35 制御部
U 車両用空調システム
VH 高圧サービスバルブ
VL 低圧サービスバルブ
図1
図2
図3
図4
図5