(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記機能的同等物は、FIXと実質的に同等の機能活性を有し、配列番号1で表示されるアミノ酸配列において、アミノ酸残基が欠失、挿入または置換されたことを特徴とする、請求項2に記載の融合タンパク質。
前記機能的同等物は、トランスフェリンと実質的に同等の機能活性を有し、配列番号2で表示されるアミノ酸配列においてアミノ酸残基が欠失、挿入または置換されたことを特徴とする、請求項4に記載の融合タンパク質。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、第IX因子(FIX)およびトランスフェリンを含む融合タンパク質を提供する。
【0019】
本発明の融合タンパク質のFIXおよびトランスフェリンは、任意の哺乳動物、好ましくは、ヒト由来のもので有り得る。より好ましくは、上記FIXおよびトランスフェリンは、ヒトの血液から発見される各々の天然型タンパク質と95%以上の相同性を持つもので有り得る。最も好ましくは、上記FIXは配列番号1のアミノ酸配列を持ち、トランスフェリンは配列番号2のアミノ酸配列を持つものでよい。
【0020】
また、本発明の融合タンパク質には、実質的に同等の機能的活性を持つ機能的同等物または機能的誘導体が含まれる。このような機能的同等物の例として、配列番号1および2で表示されるアミノ酸配列において、アミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的または保全的に置換されるか、またはこれらの組み合わせによって変異した変異体を含むことができ、この際、当該変化は、FIXの生物学的活性を付与する活性部位または活性ドメインを実質的に変化させることはない。
【0021】
場合によっては、本発明の融合タンパク質は、これらの物理、化学的性質を増加または減少させる変形を持つことができ、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)、アミド化(amidation)などで修飾(modification)されることができ、これらの修飾によってFIXの活性が実質的に維持される限り、このような機能的誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0022】
上記融合タンパク質において、FIXおよびトランスフェリンの結合手順は、例えば、FIXのC−末端にトランスフェリンのN−末端が結合するもので有り得る。
【0023】
本発明は、上記融合タンパク質が、FIXとトランスフェリンとの間にリンカー(linker)をさらに含む融合タンパク質を提供する。上記リンカーは、FIXのC−末端とトランスフェリンのN−末端との間に存在し得る。
【0024】
上記リンカーは、両融合パートナーの潜在的干渉を最小化して融合タンパク質のFIX活性を増加させることができる。リンカーは、1個〜100個のアミノ酸を有することが好ましいが、これに制限されることはなく、FIXとトランスフェリンとを分離させることのできるいずれのペプチドでも可能である。上記リンカーを構成するアミノ酸配列に特別な制限はないが、グリシン(G)およびセリン(S)を繰り返しまたはランダムなパターンで含むことが望ましい。そのような例として、上記リンカーは(GGGGS)
N(Nは1以上の整数、好ましくは1〜20の整数である)のアミノ酸配列を含むことができ、より好ましくは、配列番号3または4のアミノ酸配列を有するものであり得る(表2参照)。
【0025】
また、上記リンカーは、損傷した組織において豊富に存在するプロテアーゼによって認識できる、プロテアーゼ切断部位を含むことができる。上記切断部位は、トロンビン、因子Xaおよび因子Xiaからなる群より選択されるプロテアーゼによって切断され得る。このようなプロテアーゼ切断部位を含む融合タンパク質は、作用部位(working site)においてFIXおよびトランスフェリンそれぞれのタンパク質に分離されて、個々のタンパク質として機能することになる。好ましくは、上記リンカーは、配列番号5〜11のアミノ酸配列を有してもよい(表2参照)。
【0026】
本発明によるFIX−トランスフェリン融合タンパク質は、非融合の天然型FIXに比べ1.5倍以上のFIX比活性(specific activity)を示す。本発明の一実施態様によると、非融合の天然型FIXの比活性に比べて、本発明による特定の融合タンパク質は、約0.5倍〜2倍向上されたFIX比活性を有する(表3、4および
図8b、8dを参照)。
【0027】
本発明はまた、上記融合タンパク質をコードする遺伝子を提供する。
【0028】
上記融合タンパク質をコードする遺伝子は、コドンの縮退(degeneracy)により、または上記融合タンパク質を発現させようとする生物において好まれるコドンを考慮して、上記融合タンパク質のアミノ酸配列を変化させない範囲内でコーディング領域に対して様々な変形が可能で、コーディング領域を除いた部分においても、タンパク質の発現に影響を及ぼさない範囲内で様々な変形または修飾ができ、そのような変形遺伝子もまた本発明の範囲に含まれる。
【0029】
好ましくは、上記遺伝子は、第IX因子の発現を増加させるための、FIXのイントロンの一部を含むことができる。より好ましくは、FIXのエキソン1の88bpに対応する部分に、FIXのイントロン1の5’末端の981bpおよび3’末端の443bpを含むことができる。
【0030】
また、本発明による上記遺伝子は、リンカー部位をコードする遺伝子を含むことができる。
【0031】
本発明において、融合タンパク質をコードする遺伝子は、好ましくは、配列番号12〜21の塩基配列で表される遺伝子である。本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子は、これを発現するベクターによって提供することができる。
【0032】
本発明は、上記融合タンパク質をコードする遺伝子を含む組換え発現ベクターを提供する。
【0033】
本発明において、“ベクター”とは、宿主細胞に融合タンパク質をコードするDNAを導入して、融合タンパク質を発現させるための手段を指し、プラスミドベクター、コズミドベクター、バクテリオファージベクター、およびウイルスベクター等を含む通常の全てのベクターを含み、好ましくはプラスミドベクターである。
【0034】
適切な発現ベクターは、プロモーター、開始コドン、終止コドン、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーのような発現調節エレメントの外、膜標的化または分泌のためのシグナル配列またはリーダー配列を含んでおり、目的に応じて多様に製造され得る。開始コドンおよび終止コドンは、遺伝子組換え作物が投与されたとき、個体において必ず作用を表す必要があり、コード配列とインフレーム(in frame)にあらなければならない。また、発現ベクターは、ベクターを含む宿主細胞を選択するための選択性マーカーを含み、複製可能な発現ベクターの場合、複製起源を含む。ベクターは、自己複製したり、宿主細胞のDNAに組み込まれたりすることができる。
【0035】
具体的には、本発明による組換え発現ベクターは、pcDNA3.1−hygroベクターに上記融合タンパク質配列をコードする遺伝子を挿入して製造することができる。
【0036】
また、本発明は、上記組換え発現ベクターで形質転換されて融合タンパク質を生産する宿主細胞を提供する。
【0037】
宿主細胞に応じてタンパク質の発現量と修飾などが異なって現れるので、目的に最も適した宿主細胞を選択して用いる。宿主細胞としては、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO)、ヒト胚性腎細胞(HEK293)、ハムスター腎臓細胞(BHK21)、ヒト肝臓癌細胞(Hep G2)などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0038】
本発明に係る組換え発現ベクターで宿主細胞を形質転換させるために、当分野に公知の方法を用いることができ、このような方法には、電気ショック遺伝子伝達法(electroporation)、原形質融合法、リン酸カルシウム(CaPO4)沈殿法および塩化カルシウム(CaCl2)沈殿法などが含まれるが、これに制限されない。
【0039】
(実施例)
以下、下記の実施例によって本発明をより詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0040】
―実施例1:FIX発現ベクターの製造―
FIX発現ベクターを製造するために、
図1aに示すようにFIXタンパク質をコードするポリヌクレオチド断片Eを作製した。上記断片EはFIXの発現効率を高めるために、FIXのエキソンにFIXイントロンの一部を挿入して作製した。つまり、FIXイントロン1の5’末端981bpおよび3’末端443bpの部分をFIXエキソン1の88bpに対応する部分に添加した(JBC、vol.270、p.5276−5281)。具体的な製造過程は、下記の通りである。
【0041】
<1−1>断片Aの製造
pcDNA3.1/Hygro/lacZベクター(Invitrogen)に配列番号1のFIX(kozak+ORF)を挿入し、pcDNA3.1 FIX pDNAを得た。具体的には、コザーク配列(Kozak sequence; gccaccatggag)を含むことができる順方向プライマー(F1、配列番号22)と逆方向プライマー(R1、配列番号23)とを作製し、HepG2においてPCRを行い、FIX(kozak+ORF)を得た。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5 unit/ul#600252)を用いて56℃でアニールして、68℃で3分間延長する過程を30サイクル反応させて行った。上記PCR産物をプロメガ(Promega)社のpGEM T−easyベクター(Madison、Wl、Cat.No.A1360)にクローニングした後、塩基配列を確認した。確認されたベクターを鋳型にして、順方向プライマー(F2、配列番号24)と逆方向プライマー(R2、配列番号25)とを用いてPCRを行い、FIX(kozak+ORF)挿入体を得た。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5 unit/ul#600252)を用いて58℃でアニールし、68℃で3分間延長する過程を1サイクルとして30サイクル反応させ行った。このようにして得た挿入体をBamH1/Spe1で処理した後、BamH1/Xba1酵素で処理したpcDNA3.1/Hygro/lacZに、T4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーションを行い、“pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)”発現ベクターを製造した。
【0042】
上記pcDNA3.1 FIX pDNAを鋳型とし、センスプライマー(F3、配列番号26)とアンチセンスプライマー(R2、配列番号25)およびpfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5 unit/ul#600252)を用いてPCRを行い、
図1aの断片Aを得た。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5 unit/ul#600252)を用いて58℃でアニールして、68℃で2分間延長する過程を30サイクル反応させて行った。
【0043】
<1−2>断片Bの製造
図1bに示す方法に基づいてFIXのイントロン1(“イントロンF1+X+イントロンF2”で構成)から、
図1aの断片B(“イントロンF1の一部+イントロンF2”で構成)を製造した。具体的には、HEK293のゲノムDNAを鋳型とし、センスプライマー(F4、配列番号27)およびアンチセンスプライマー(R3、配列番号28)を用いてPCRを行い、イントロンF2 PCR産物を得た。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いて58℃でアニールして、68℃で2分間延長する過程を30サイクル反応させて行った。上記イントロンF2PCR産物に、センスプライマー(F5、配列番号29)とアンチセンスプライマー(R3、配列番号28)およびpfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いてPCRを行い、イントロンF1の一部とイントロンF2とで構成された断片Bを得た。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いて58℃でアニールして、68℃で2分間延長する過程を30サイクル反応させ行った。
【0044】
<1−3>断片Cの製造
実施例<1−1>および<1−2>で製造された断片AおよびBに、センスプライマー(F5、配列番号29)とアンチセンスプライマー(R2、配列番号25)およびpfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いてPCRを行い、イントロンF1の一部とイントロンF2およびエキソンF2から構成された断片Cを得た。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いて58℃でアニールさせ、68℃で3分間延長する過程を30サイクル反応させ行った。
【0045】
<1−4>断片Dの製造
エキソンF1とイントロンF1とに設定された断片Dを製作するために、HEK 293のゲノムDNAを鋳型とし、センスプライマー(F6、配列番号30)とアンチセンスプライマー(R4、配列番号31)とを用いてPCRを行った。PCRは、pfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いて58℃でアニールして、68℃で2分間延長する過程を30サイクル反応させ行った。
【0046】
<1−5>短編Eの製造
実施例<1−3>および<1−4>で製造された断片CおよびDに、センスプライマー(F6;配列番号30)とアンチセンスプライマー(R2;配列番号25)およびpfu turbo DNAポリメラーゼ(Invitrogen、2.5unit/ul#600252)を用いてPCRを行った。PCRは、58℃でアニールして、68℃で3分間延長する過程を30サイクル反応させ行った。上記PCR産物をプロメガ社のpGEM T−easyベクター(Madison、WI、Cat.No.A1360)にクローニングし、断片Eの配列を確認した。上記断片は、コザック(kozak)配列とORFおよびイントロン1の一部から構成されており、これを“FIX(KOI)”と命名した。
【0047】
<1−6>発現ベクターの製造
前記実施例<1−5>で得られたFIX(KOI)に、センスプライマー(F2、配列番号24)とアンチセンスプライマー(R5、配列番号32)とを用いてPCRを行った。PCRは、Phusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を98℃で30秒間反応させ、98℃で10秒、58℃で45秒、72℃で2分間反応させることを1サイクルとして30サイクル反応させた後、72℃で7分間反応させて終了した。上記PCR産物をBamH1およびXho1で処理して、pcDNA3.1/hygroベクターを同じ酵素で処理した後、T4DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーション(ligation)を行い“pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)”発現ベクターを製造した。
【0048】
上記FIX(KOI)発現ベクターを製造するために、PCRに使用したプライマーを下記表1に示した。
【0050】
−実施例2:FIX(KOI)−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−Tf)の製造−
FIX(KOI)にヒトトランスフェリン(Tf)を連結させた融合タンパク質を発現するベクターを製造した。
【0051】
上記発現ベクターの製造過程を
図2に示した。具体的には、実施例1で製造したpcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)発現ベクターを鋳型としてPCRを行い、FIX(KOI)断片を増幅させた。この時、FIX(KOI)の終止コドンを除去し、様々なサイズのリンカーをFIX(KOI)とTfとの間に挿入させるためにAge1部位(ACCGGT)およびXho1部位(GAGTCT)を含むプライマーとして、トレオニン(Thr)およびグリシン(Gly)に翻訳されるBgl2部位を内包するセンスプライマー(F7;配列番号33)、およびAge1とXho1部位を内包し、終止コドンを除去するアンチセンスプライマー(R6;配列番号34)を用いた。また、PCRのポリメラーゼとしてPhusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を用いた。50μLの反応液(1μLベクター鋳型、2μLのプライマーF7およびR6(各10pmol/ul)、10μLの5x Phusion HF緩衝液、1μLのdNTP、0.5μLのPhusion DNAポリメラーゼおよび35.5μLの水)を98℃で30秒間反応させ、98℃で10秒、58℃で45秒、72℃で2分間反応させることを1サイクルとして30サイクル反応させた後、72℃で7分間反応させて終了した。増幅されたPCR産物(FIX(KOI)−Age1−Xho1)をBgl2およびXho1で37℃にて処理して切断し、BamH1およびXho1で処理したpcDNA3.1/Hygroベクターにクローニングした。
【0052】
一方、ヒトトランスフェリン(Tf)を得るために、ヒトトランスフェリンがクローニングされたpCMV6−NEOベクターを用意した。具体的には、ヒトC−タイプトランスフェリン(GenBank accession No.NM_001063.2)のcDNAをOrigene社(Origene、Cat#:SC322130)から購入した後、シークエンシングして塩基配列を確認し、そこからGAT→AAT(Asp197Asn)およびCCA→CAA(Pro332Gln)の突然変異があることを発見した。突然変異した配列を、PCRベースの突然変異法(PCR−based mutagenesis)を用いて変異誘発プライマーF8、R7、F9、R8(配列番号35〜38)を使用して復元させた。上記PCRは、20μLの反応液(1μLヒトcDNAクローンを含むプラスミドDNA(Origene、Cat#:SC322130)、1μLのF8またはR7プライマー(10μM)、1μLのF9またはR8プライマー(10μM)、0.4μL dNTP(10mM)、2μL 10X Pfu turbo PCR緩衝液(Stratagene)、14.2μLの蒸留水および0.4μLのPfu turbo DNAポリメラーゼ(Stratagene、#600252、2.5units/μL)を94℃で5分間反応させ、94℃で30秒、58℃で1分、72℃で10.5分反応させることを1サイクルとして17サイクル反応させた後、72℃で7分間反応させることによって終了させた。突然変異していないプラスミド鋳型を除去するために、PCR生成物を制限酵素DpnI(NEB、#R0176S)で、37℃で1時間処理した。合成したベクターをE.coli(HIT competent cell、DH5α、#RH617)において増幅させ、DNAの準備(minipreparation)および制限酵素処理により選別した。選別された陽性クローンをF10、R9、F11、R10、F12、R11、F13、R12、F14およびPrimer XL39(Origene)(配列番号39〜48)を用いてDNAシーケンシングで確認した。確認の結果、コード部位において存在していた突然変異は復元されており、配列はヒトトランスフェリンcDNA(GenBank accession#:NM_001063.2)と完全に一致した。上記ヒトトランスフェリンcDNAを鋳型にして、センスプライマー(F15、配列番号49)、アンチセンスプライマー(R13、配列番号50)およびPhusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を用いてPCRを行った。PCR条件は、プライマー20pmolのF15および20pmolのR13を用いたことを除いては、上記FIX(KOI)PCRの反応条件と同様に行った。増幅されたPCR産物(Tf)を、Age1およびXho1で37℃にて処理して、上記で製造されたFIX(KOI)がクローニングされているpcDNA3.1/hygroベクターを同じ制限酵素で処理した後、DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーション(ligation)しFIX(KOI)−Tf発現ベクターを製造した。
【0053】
−実施例3:FIX(KOI)−GS−Tf発現ベクターの製造−
FIX(KOI)とTfとをリンカーで連結した融合タンパク質を発現するベクターを製造した。上記リンカーとして、4つのグリシンおよび1つのセリンからなるペプチド(GGGGS)を基本リンカー単位として使用し、これらの単位を繰り返して連結した、より長い長さのリンカーを製造した。上記リンカーを“GS”リンカーと命名し、繰り返し単位が1であるリンカーをGS1(または1GS)にして繰り返し単位の数に応じてGS2(または2GS)、GS3(または3GS)、GS4(または4GS)などで表示した。本実施例では、GS1、GS7およびGS15リンカーを使用した。
【0054】
<3−1>FIX(KOI)−GS1−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS1−Tf)の製造
FIX(KOI)とTfがGS1リンカーで接続された融合タンパク質を発現するベクターを下記のように製造した。上記の製造過程を
図3に示した。
【0055】
具体的に、GS−1リンカーにTfを接続させることにおいては、F16(配列番号51)とR13(配列番号50)プライマーを用いてPCRを行った。PCRは、Phusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を98℃で30秒間反応させ、98℃で10秒、58℃で45秒、72℃で2分間反応させることを1サイクルとして30サイクル反応させた後、72℃で7分間反応させて終了させた。増幅されたPCR生成物を鋳型にして、センスプライマー(F17、配列番号52)、アンチセンスプライマー(R13、配列番号50)とPhusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を使用してPCRを行い、GS1−Tf断片を増幅させた。上記のPCR条件は、実施例2のTf PCR反応条件と同様に行った。増幅されたPCR産物(GS1−Tf)をAge1とXho1で37℃にて処理し、FIX(KOI)がクローニングされているpBluescript SKII+ベクターをAge1およびSal1で処理した後、T4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーションした。この時に使ったFIX(KOI)がクローニングされているpBluescript SKII+は次の通り作製した。実施例2においてと同様、FIXの終止コドンを除去し、増幅されたPCR産物(FIX(KOI)−Age1−Xho1)を製作し、BamH1制限酵素のみを処理した後、BamH1/EcoRVで処理したpBluescript SKII+にT4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーションして作製した。
【0056】
FIX(KOI)−GS1−Tf断片をpcDNA3.1/hygroベクターに挿入させるために、前記製造されたベクターを鋳型としてセンスプライマー(F7;配列番号33)、アンチセンスプライマー(R13;配列番号50)およびPhusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を使用してPCRを行い、FIX(KOI)−GS1−Tf断片を増幅させた。上記PCR条件は、プライマーF7 20pmolおよびR13 20pmolを使用したことを除いては、実施例2のTf PCR反応条件と同様に行った。上記増幅されたPCR産物(FIX(KOI)−GS1−Tf)をBgl2およびXho1で37℃にて2時間処理し、pcDNA3.1/HygroベクターをBamH1およびXho1で処理した後、T4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーションし、FIX(KOI)−Tf発現ベクターを製造した。
【0057】
<3−2>FIX(KOI)−GS15−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS15−Tf)の製造
FIX(KOI)およびTfがGS15リンカーで接続された融合タンパク質を発現するベクターを、
図4のプロセスに基づいて製造した。
【0058】
具体的には、GS15リンカーがサブクローニングされているベクターをAge1で処理してGS15リンカー断片を確保して、実施例2において製造したFIX(KOI)−Tf発現ベクターを同じ制限酵素で処理した後、T4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーションし、FIX(KOI)−GS15−Tf発現ベクターを製造した。
【0059】
−実施例4:トロンビン切断部位を持つGSリンカーを含むFIX(KOI)−Tf発現ベクターの製造−
<4−1>FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−Tf)の製造
GS1およびトロンビン切断部位(THR)を持つFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、
図4のプロセスに従って製造した。
【0060】
具体的には、GS1−THR−GS1がサブクローニングされたベクター(SKケミカル)をAge1で37℃にて処理してGS1−THR−GS1断片を確保して、実施例2において製造したFIX(KOI)−Tf発現ベクターを同じ制限酵素で処理した後、T4 DNAライゲースを使用してライゲーションし、FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−Tf発現ベクターを製造した。
【0061】
<4−2>FIX(KOI)−GS7−THR−GS7−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS7−THR−GS7−Tf)の製造
GS7およびGS7リンカーの間にトロンビン切断部位(THR)を持つFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、
図4のプロセスに従って製造した。
【0062】
具体的には、GS7−THR−GS7がサブクローニングされたベクター(SKケミカル)をAge1で37℃にて処理してGS7−THR−GS7断片を確保して、実施例2において製造したFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、同じ制限酵素で処理した後、T4 DNAライゲースを使用してライゲーションし、FIX(KOI)−GS7−THR−GS7−Tf発現ベクターを製造した。
【0063】
<4−3>FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−del−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−del−Tf)の製造
実施例4−1で製造したGS1およびトロンビン切断部位(THR)を持つ発現ベクターから、リンカーとTfとの間を接続するAge1制限酵素配列を除去した。
【0064】
具体的には、実施例4−1で製造したFIX(KOI)−GS1−THR−GS1−Tf発現ベクターを、実施例2において記述されたPCRベースの突然変異法(PCR−based mutagenesis)を利用してAge1制限酵素を除去した。変異誘発プライマーF18およびR14(配列番号53および54)を使用して合成したベクターをE.coli(HIT competent cell、DH5α、#RH617)で増幅させてDNAの準備(minipreparation)および制限酵素処理により選別した。選別された陽性クローンを、プライマーF19(配列番号55)を使用してDNAシーケンシングでAge1制限酵素の除去を確認した。
【0065】
−実施例5:FXa切断部位を持つGSリンカーを含むFIX(KOI)−Tf発現ベクターの製造−
<5−1>FIX(KOI)−GS1−FXa−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS1−FXa−Tf)の製造
GS1リンカーおよびFXa切断部位(FXa)を持つFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、
図5のプロセスに従って製造した。
【0066】
具体的には、FXa切断部位を成す二つの相補的配列であるOa(配列番号56)およびOb(配列番号57)をそれぞれ100pmolおよび5ulをとり、72℃で10分間反応させ、アニーリング(annealing)した後、Bgl2およびBamH1で37℃にて30分間処理した。一方、実施例<3−1>で製造したFIX(KOI)−GS1−Tf発現ベクターをBamH1で処理してGS1と接続されたTf断片(Tf−1とする)を除去して、上記で製造したFXa切断部位とT4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を用いてライゲーションした。FXa切断部位が順方向にきちんとクローニングされたことを確認した後、BamH1の制限酵素で処理し除去していた短編Tf−1をBamH1部位にT4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を使用して再度ライゲーションした。
【0067】
<5−2> FIX(KOI)−GS7−FXa−GS7−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS7−FXa−GS7−Tf)の製造
二つのGS7リンカーの間にFXa切断部位を有するFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、
図4のプロセスに従って製造した。
【0068】
具体的には、GS7−FXa−GS7がサブクローニングされたベクターをAge1で37℃にて処理しGS7−FXa−GS7断片を確保して、実施例2において製造したFIX(KOI)−Tf発現ベクターを同じ制限酵素で処理した後、T4 DNAライゲースを使用してライゲーションし、FIX(KOI)−GS7−FXa−GS7−Tf発現ベクターを製造した。
【0069】
上記で使用されたGS7−FXa−GS7がサブクローニングされたベクターは以下のように作製した。FXaによって切断されるアミノ酸配列であるIEGRを含むプライマーOa(配列番号56)とOb(配列番号57)を合成した。製作したそれぞれのプライマー5ul(100pmole/uL)を72℃で10分間加熱し、冷却させアニーリングした。このようにして得られたリンカーを7GSがpcDNA3.1/Hygroにクローニングされているベクター(SKケミカル)をBamH1とHpa1との制限酵素で順次処理したベクターにT4 DNAライゲースを使用してライゲーションした。前記製造されたベクターをBamH1とHpa1とで処理して、7GSとTFとを含む挿入体をBgl2とHpa1の制限酵素で処理した後、これをT4 DNAライゲースを用いて前記ベクターにライゲーションした。ここで使用された挿入体は、7GSがpcDNA3.1/Hygroにクローニングされているベクターを鋳型にしてF16(配列番号51)とR13(配列番号50)を用いてPCRを行った。PCRは、Phusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を用いて58℃でアニーリングし、68℃で2分間延長する過程を30サイクル反応させて行った。PCR生成物をBgl2とHpa1とで処理した後、ゲル抽出して使用した。
【0070】
−実施例6:FXIa切断部位を持つGSリンカーを含むFIX(KOI)−Tf発現ベクターの製造−
<6−1>FIX(KOI)−GS1−FXIa−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS1−FXIa−Tf)の製造
GS1リンカーおよびFXIa切断部位(FXIa)を持つFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、
図5のプロセスに従って製造した。
【0071】
具体的には、FXIa切断部位を成す二つの相補的な配列であるOc(配列番号58)およびOd(配列番号59)をそれぞれ100pmolおよび5ulを、72℃で10分間反応させアニーリング(annealing)した後、BamH1で37℃にて30分間処理した。一方、実施例<3−1>で製造したFIX(KOI)−GS1−Tf発現ベクターをBamH1で処理してGS1と接続されたTf断片(Tf−1とする)を除去して、上記で製造したFXIa切断部位とT4 DNAライゲース(Takara、#2011A)とを用いてライゲーションした。FXIa切断部位が順方向にきちんとクローニングされたことを確認した後、BamH1の制限酵素で処理して除去していた短編Tf−1をBamH1 siteでT4 DNAライゲース(Takara、#2011A)を使用して再度ライゲーションした。
【0072】
<6−2>FIX(KOI)−GS7−FXIa−GS7−Tf発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−GS7−FXIa−GS7−Tf)の製造
GS7およびGS7リンカーとの間にFXIa切断部位を持つFIX(KOI)−Tf発現ベクターを、
図4のプロセスに従って製造した。
【0073】
具体的には、GS7−FXIa−GS7がサブクローニングされたベクターを、Age1で37℃にて処理してGS7−FXIa−GS7断片を確保して、実施例2で製造したFIX(KOI)−Tf発現ベクターを同じ制限酵素で処理した後、T4 DNAライゲースを使用してライゲーションし、FIX(KOI)−GS7−FXIa−GS7−Tf発現ベクターを製造した。一方、上記で使用されたGS7−FXIa−GS7がクローニングされているベクターは、実施例5の5−2に記述したFIX(KOI)−GS7−FXa−GS7−Tf発現ベクターを作製する方法において、FXIaによって切断されるアミノ酸配列であるSKLTRAETVFを示すプライマーOc(配列番号58)とOd(配列番号59)とを用いたことを除いて同じように実験して製造した。
【0074】
−比較例1:FIX(KOI)−G6V−アルブミン発現ベクター(pcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)−G6V−Albumin)の製造−
米国特許20090042787 A1号に開示されたFIX(KOI)−G6V−アルブミン融合タンパク質を、
図6のプロセスに従って製造した。まず、ヒト肝臓mRNA(Clontech)を鋳型にして遺伝子特異プライマーF20およびR15(配列番号60および61)を用いてRT−PCRによりヒトアルブミンcDNAを得た。上記のRT−PCRは、10μL逆転写反応液(1μL10X逆転写酵素緩衝液、0.6μL オリゴ−dTプライマー、1μL dNTP、0.4μL 水、および5μL ヒト肝臓mRNA(10ng/μL))を65℃で5分、室温で5分間反応させた後、100mM DTT 1μLおよび逆転写酵素緩衝液1μLを入れ、42℃で1時間反応させた。合成されたcDNAを鋳型としてプライマーF20およびR15を使用して、ヒトアルブミン配列を確保した。PCRは、50μL反応液(1μLcDNA、10μL5x Phusion HF Buffer、プライマーF20とR15を各1μL、1μLの10mM dNTP、0.5μLPhusion DNA polymerase(FINNZYMES、#F−530S 2units/μL)、35.5μLの水)を98℃で1分間反応させ、98℃で10秒、62℃で30秒、72℃で60秒反応させることを1サイクルとして30サイクル反応させた後、72℃で7分反応させることにより終了させた。一方、米国特許20090042787 A1号に開示のGSリンカーG6V(GGGGGGV)を示すアミノ酸配列を作るためにF21(配列番号62)およびアルブミンの配列全体をPCRできるプライマーR16(配列番号63)を用いて、上記で得られたアルブミンを鋳型にしてPCRを行った。PCRは、Phusion High−Fidelity DNAポリメラーゼ(Finnzyme、2units/μL、#F−530S)を用いて58℃でアニールして、68℃で2分間延長する過程を30サイクル反応させて行った。PCR生成物をAge1とXho1とで処理して、挿入体を準備し、実施例2のFIX(KOI)−Age1−TFをAge1とXho1との制限酵素で処理してベクターとして用意し、上記挿入体とベクターをT4 DNAライゲス(Takara、#2011A)を用いてライゲーションした。
【0075】
上記実施例および比較例で製造した発現ベクターの特徴を下記表2に示した。
【0077】
−実験例1:融合タンパク質の形質感染および発現−
<1−1>融合タンパク質の形質感染
実施例2〜実施例6のFIX(KOI)−Tf発現ベクターおよび比較例1のFIX(KOI)−G6V−Albumin発現ベクターをVKORC1(ビタミンKエポキシド還元複合体サブユニット1)を安定的に発現するCHO細胞株であるCHO−DG44(VK2)細胞に形質感染させ、FIX(KOI)融合タンパク質を発現させた。CHO−DG44(VK2)は、インビトロゲン社のCHO−DG44cellにVKORC1発現ベクターを挿入して、独自に製作した。
【0078】
具体的には、実施例2〜実施例5及び比較例1の発現ベクターを合成したベクターをE.coli(HIT competent cell、DH5α、#RH617)で増幅させてエンドトキシン(endotoxin)排除エンドトキシンフリーマキシプレップキット(endotoxin free maxi prep kit、QIAGEN、cat#12362)を用いて、各々の発現ベクターを抽出した。発現対照群としてpcDNA3.1/hygroベクターおよび実施例1で製造したpcDNA3.1−hygro−FIX(KOI)ベクターを使用した。
【0079】
上記ベクターを動物細胞に形質感染させるため下記のように動物細胞を用意した。CHO−DG44(VK2)細胞を10%FBS(Lonza、#14−501F)、1X HT(Invitrogen、#11067−030)、4mM L−グルタミン(Lonza、#17−605E)および200μg/mlのハイグロマイシン(Invitrogen、#10687−010)を追加したα−MEM(Lonza、#12−169F)培地で48時間培養した後、培地を遠心分離して浮遊細胞を除去した。上記細胞を6−ウェルプレートに1.5×10
6細胞/ウェルの濃度で播種(seeding)した。上記細胞を培地で24時間培養した後、リポフェクタミン2000(Invitrogen、Cat no.11668−019)を利用して、メーカーの手引きに従って形質感染させた。ウェル当り形質感染DNAの量および比率は、FIX(KOI)誘導体DNA 3μg:β−ガラクトシダーゼDNA 1μgで使用した。形質感染4時間後、前記培養液を無血清培養液(OptiMEM)に置き換えて、5μg/mlのビタミンKを追加しました。培養48時間後、培養液をサンプリングし、−70℃で保存した。
【0080】
<1−2>ウェスタンブロット法による発現の解析
ブラッドフォード分析を介して前記実験例<1−1>で製造した試料のタンパク質を定量した後、4x LDS試料緩衝液(Invitrogen#NP0008)と7xプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、Complete Mini、EDTAfree、#1 836 170)とを使用して、総タンパク質の濃度が1μg/μLになるように調整した。上記の試料10μLを4%〜12%のゲル(Invitrogen、NuPAGE Novex 4%〜12%Bis−Tris Gel)にロードし、電気泳動した。電気泳動が終わったゲルをニトロセルロース膜(Whatman、PROTRAN#BA83)に移転させた後、上記移転された幕をオムニトレイ(omnitray)に移し、ブロッキング溶液(3%BSA in TBS with 0.1%Tween 20)を添加して、ロッカー(rocker)で1時間ブロッキングした。その後、一次抗体(Cedarlane#CL20040AP)を4℃で12時間反応させてタンパク質に結合させ、二次抗体(anti goat、Santacruz#SC−2350)を室温で1時間反応させ結合させた後、アマシャム(Amersham)のECL溶液ミックス(GE Healthcare、#RPN1232)を利用して、フィルムに現像した。
【0081】
ウエスタンブロッティングの結果を
図7に示した。
図7に示すように、本発明に係るFIX(KOI)融合タンパク質は、発現され断片化されず、予想した大きさを持つことが分かった。
【0082】
−実験例2:FIX(KOI)融合タンパク質の比活性(specific activity)の測定−
<2−1>FIX(KOI)融合タンパク質誘導体群(FIX(KOI)−Tf、FIX(KOI)−GS1−Tf、FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−Tf、FIX(KOI)−GS15−Tf、FIX(KOI)−GS7−THR−GS7−Tf、FIX(KOI)−GS7−FXa−GS7−Tf、FIX(KOI)−GS7−FXIa−GS7−Tf、FIX(KOI)−GS1−FXa−Tf、FIX(KOI)−GS1−FXIa−Tf、FIX(KOI)−G6V−Alb)と天然型FIX(KOI)の比活性の測定
実験例1のFIX(KOI)融合タンパク質試料および円FIX(KOI)を対象に、比活性を測定した。具体的には、試料をFIX ELISAキット(Cedarlane、Paired Antibodies for Elisa−Factor IX、CL20041K、Lot EIA9−0025R1)を利用して、FIXタンパク質(抗原)の量を測定し、BIOPHEN Factor IX分析キット(HYPEN BioMed、Ref .221802)を利用して、FIXの色素形成能(chromogenic activity)の分析を行い、凝固活性(clotting activity)を測定した。標準ヒト血漿(Dade Behring、REF ORKL13、Lot 503214E)の量の分析において対照群として使用し、これを1/100(100%)から1/3200(3.13%)まで1/2ずつ連続希釈して、上記標準のOD値を基準に試料の抗原値を計算した。FIX(KOI)融合タンパク質の培地試料は、1/4に希釈して使用した。
【0083】
上記ELISA法で生成されたタンパク質(抗原)の量を確認したが、二重FIXの活性を持たないタンパク質もあり得るので、色素形成能分析によって、得られた値を、ELISA法によって得た値で割り、単位活性度(activity to antigen ratio )の値を求めた。
【0084】
実施例により得られた試料のELISAおよび色素形成能の分析結果を表3及び
図8aに示し、上記の値に基づいて得られた単位活性度、すなわち、比活性の測定結果を表3及び
図8bに示す。
【0086】
表3及び
図8bに示すように、FIX(KOI)−トランスフェリン融合タンパク質の比活性は5.86で、天然型FIX(KOI)の2.98に比べてかなり活性度が増加したことが分かった。また、リンカーを含むFIX(KOI)−トランスフェリン融合タンパク質は、1.53から5.58の高い比活性を示し、FIX(KOI)−G6V−Albumin融合タンパク質の比活性よりも高く測定された。
【0087】
<2−2> FIX(KOI)融合タンパク質誘導体(FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−TfおよびFIX(KOI)−GS1−THR−GS1−del−Tf)並びに天然型FIX(KOI)の比活性測定
実験例1のFIX(KOI)−GS1−THR−GS1−Tf、FIX(KOI)−GS1−THR−GS1−del−Tfおよび天然型FIX(KOI)のFIX(KOI)融合タンパク質試料を対象に、比活性を測定した。実施例4−1とほぼ同様のリンカー配列を含む、実施例4−3によって得られた試料をFIX ELISAキット(Cedarlane、Paired Antibodies for Elisa−Factor IX、CL20041K、Lot EIA9−0028R1)を用いて、FIXタンパク質(抗原)の量を測定し、BIOPHEN Factor IX分析キット(HYPEN BioMed、Ref.221802、Lot01602)を用いて、FIXの色素形成能(chromogenic activity)の分析を行い、凝固活性(clotting activity)を測定した。標準ヒト血漿(Dade Behring、REF ORKL13、Lot 503216F)を量分析において対照群として用いて、<2−1>と同じ方法で希釈し使用した。
【0088】
実施例4−1と4−3のELISAおよび色素形成能の分析結果を表4及び
図8cに示し、上記の値に基づいて得られた単位活性、すなわち、比活性の測定結果を表4及び
図8dに示す。
【0090】
表4および
図8dに示すように、FIX(KOI)−トランスフェリンリンカーを含む融合タンパク質の比活性は、1.6から1.8で、天然型FIX(KOI)の0.9に比べて活性度が増加したことが分かった。また、リンカーを接続するAge1制限酵素配列を含むFIX(KOI)−GS1−THR−GS1−TFと、これを除去したFIX(KOI)−GS1−THR−GS1−del−Tfとの比活性はほぼ類似して現れた。
【0091】
本実験例において、リンカーの長さとFIX(KOI)融合タンパク質の比活性とは一定の関係を示さず、リンカーの切断部位の種類および比活性にも一定の関係を示さなかった。