特許第6177306号(P6177306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6177306医療用放射線撮像のためのハイブリッドPCIシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177306
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】医療用放射線撮像のためのハイブリッドPCIシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20170731BHJP
   A61B 6/06 20060101ALI20170731BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   A61B6/00 330Z
   A61B6/00 300J
   A61B6/06 331
   G01T7/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-503207(P2015-503207)
(86)(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公表番号】特表2015-519091(P2015-519091A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013026301
(87)【国際公開番号】WO2013148010
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】13/724,037
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/617,948
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507224587
【氏名又は名称】ケアストリーム ヘルス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イップ クォック−レオン
(72)【発明者】
【氏名】ボイチク ティモシー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェイファー マーク イー
(72)【発明者】
【氏名】ジャドリッチ ブラッドリー エス
(72)【発明者】
【氏名】バトゥーリン パヴロ
【審査官】 田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−203074(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/122715(WO,A1)
【文献】 特開2007−206075(JP,A)
【文献】 特開2010−249533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相コントラストデジタル放射線撮像システムであって、
放射線撮像のための多色X線源と、
線源回折格子G0を備えるビーム成形アセンブリ
位相回折格子G1および分析器回折格子G2を備えるX線回折格子干渉計と、
を備え、
前記位相回折格子G1によって作成される干渉パターンのピッチに対する前記分析器回折格子G2のピッチおよび位置は、前記分析器回折格子G2の幅の上に少なくとも1つの縞パターンを作成するように設定され、
前記分析器回折格子G2のピッチは、前記位相回折格子G1の後ろのタルボ距離において前記位相回折格子G1によって作成される前記干渉パターンの周期と等しくなるように設定され、前記分析器回折格子G2の位置は、前記タルボ距離からオフセットされる
位相コントラストデジタル放射線撮像システム。
【請求項2】
前記位相コントラストデジタル放射線撮像システムは、スロット走査位相コントラストデジタル放射線撮像システムであって前記多色X線源と前記線源回折格子G0と前記位相回折格子G1と前記分析器回折格子G2が取り付けられたスイングアームを備え、前記多色X線源と前記線源回折格子G0と前記位相回折格子G1と前記分析器回折格子G2は、前記多色X線源の軸の周りの走査方向に枢動し、前記3つの回折格子G0、G1、およびG2の回折格子バーの配向は、スイングアームの走査方向に平行であり、吸収コントラスト画像、微分位相コントラスト画像、位相シフトコントラスト画像、および暗視野画像のうちの少なくとも1つを含む、物体の複数の画像を構築するために、物体の上の前記システムの単一パスからの画像データセットが使用される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、デジタルX線撮像法/システムに関し、より具体的には、スロット走査構成を伴う回折格子に基づく微分位相コントラスト撮像手法を使用して、物体の複数の画像情報を獲得するための方法および/またはシステム(例えば、医療用放射線撮像)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用X線撮像デバイスは、撮像される物体を透過するX線の光電吸収を通した減衰に基づいている。しかしながら、殆ど吸収しない血管、軟骨、肺、および胸部組織を含む軟組織の場合、このデバイスは、骨の画像と比較して十分なコントラストを提供しない。この軟組織における低コントラストの問題は、位相コントラスト撮像(PCI)手法によって対処することができる。
【0003】
PCIの原理はX線の波動性に基づいており、屈折および回折特性を考慮することが必要とされる。電磁波として、X線は、通常、その周波数、振幅、および位相によって特徴付けられる。電磁波が媒体を透過すると、その振幅が減衰され、その位相がシフトする。X線技術において、材料の屈折率nは、複素数によって表すことができる。
【数1】
【0004】
虚数部βは、振幅の減衰に関与し、実数部δは、位相シフトに関与する。δは、βよりも約10〜10倍大きいことが示されている。しかし、従来の医療用撮像では、βの情報だけが記録され、一方で、δの情報は、完全に失われる。近年、位相シフトを使用して、物体に関するより多くの情報を提供することが予期される画像を形成するために、様々なPCI手法が調査されている。そのような手法としては、(i)干渉計手法、(ii)回折強調撮像(DEI)手法、および(iii)自由空間伝搬手法が挙げられる。
【0005】
しかしながら、効率および制限された視野等の、3つ全ての手法と関連付けられる種々の実用的な課題がある。完全結晶干渉計および結晶回折計の場合、高い時間的コヒーレンス(すなわち、高度の単色性)が必要とされ、その結果、シンクロトロンだけ、または放射線源からの全スペクトルのうちの明確に定義された波長だけしか使用されない。シンクロトロン放射線源は、コストが高く、代表的な臨床環境と適合しない。双方の手法はまた、結晶光学の使用のため、ごく僅かな角度(2〜3mrad)の許容されるビームの開きによっても制限される。自由空間伝搬手法は、非常に小さい焦点を有するX線源からしか得ることができない高い空間的コヒーレンスを必要とするので、効率が制限される。3つのPCI手法は、画像を記録する方法、機器の設定、および放射線源に関する要件(特に、空間的および時間的コヒーレンス)において大幅に異なる。いくつかの手法は、特定の用途について優れた結果をもたらすが、いずれもあまり広範囲に使用されず、またいずれもこれまで医学的診断における用途が見つかっていない。
【0006】
標準X線管を有する回折格子に基づくPCI法は、X線管の広域スペクトルのため、検出器での干渉縞の可視性の喪失によって制限される。標準多色X線管は、スペクトルの低エネルギー部分で皮膚を僅かに透過する軟X線(<15keV)、ならびにスペクトルの高エネルギー部分で骨および組織を透過する硬X線(>50keV)を発生する。したがって、不必要な軟X線および硬X線を除去することによって放射線用量を大幅に低減させ、画像の明瞭性を高めるために、狭帯域幅X線ビームを得ることが好ましい。
【0007】
広いFOVを必要とする用途の場合、サイズの大きい位相回折格子G1および分析器回折格子G2が必要である。例えば、代表的なマンモグラムは、24cm×30cmのサイズを有する。これは、同じサイズを有する位相回折格子および分析器回折格子が必要とされることを意味する。現在の回折格子製作手法の制限(例えば、シリコンウエハのサイズ、構造の高さ、および回折格子の均一性)を考慮すると、そのような大きい回折格子の製造コストは、非常に高くなる。
【0008】
発散円錐ビーム(またはファンビーム)の幾何学形状および大きいFOVを有する、回折格子に基づくPCIシステムの場合、位相コントラストの画像品質は、全般的に、検出器の縁部領域において劣っている。平面回折格子の縁部に向かって、入射X線ビームを有する回折格子バーによって範囲が定められる角度がより大きくなる。位相回折格子および分析器回折格子のバー高さは、X線エネルギー(E)とともにほぼ直線的に増加するので、ギャップ幅に対するバー高さのアスペクト比は、非常に大きいであろう(E>20keVについて、>10:1)。その結果、これらの回折格子は、位相回折格子のシャドウイング効果、およびより大きい角度での回折格子分析器の走査効果を生じさせ、画像品質を低下させる。
【0009】
全てのX線撮像システムでは、物体からの散乱放射線が、対象のコントラストおよびコントラスト−ノイズ比に関して、画像品質を大幅に低下させることが示されている。現在、散乱線除去グリッドは、大部分のX線撮影およびマンモグラフィシステムによる散乱線除去のために最も広く使用されているデバイスである。マンモグラフィでは、散乱線除去グリッドによって、散乱線対一次線比によって測定される散乱放射線の量を、0.1〜0.3から約0.25〜1.2の間まで低減させることができる。しかしながら、散乱線除去グリッド法の本質をなすのは、一次X線の大部分の減衰である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0183560号
【特許文献2】国際公開WO2011/122715号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願の態様は、医療用放射線撮像の技術を進歩させることである。
【0012】
本出願の別の態様は、関連技術における少なくとも前述および他の欠点に、全体的または部分的に対処することである。
【0013】
本出願の別の態様は、少なくとも本明細書で説明される利点を全体的または部分的に提供することである。
【0014】
本出願の別の態様は、デジタル放射線写真医療用撮像のための方法および/または装置の実施形態を提供することである。本出願の別の態様は、マンモグラフィの医療用撮像のための方法および/または装置の実施形態を提供することである。本出願の別の態様は、大きい視野(FOV)(例えば、100mm平方を超える)の放射線写真医療用撮像のスロット走査位相コントラスト撮像のための方法および/または装置の実施形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態によれば、本発明は、スロット走査位相コントラストデジタルマンモグラフィシステムを提供することができ、該システムは、マンモグラフィ撮像のための多色X線源と、コリメーター、線源回折格子を含むビーム成形アセンブリ、位相回折格子および分析器回折格子を含むX線回折格子干渉計と、面積X線検出器と、を含むことができ、3つの回折格子は、これらの回折格子の面および回折格子バーが互いに整列されるように位置付けられる。
【0016】
一実施形態によれば、本発明は、位相コントラストデジタル放射線撮像システムを提供することができ、該システムは、撮像のための放射線源と、コリメーターおよび線源回折格子G0を含むビーム形成アセンブリと、位相回折格子G1および分析器回折格子G2を含むX線回折格子干渉計と、面積X線検出器と、を含むことができ、位相回折格子G1によって作成される干渉パターンのピッチに対する、分析器回折格子G2のピッチおよび位置は、分析器回折格子G2の幅を覆う少なくとも1つの縞パターンを作成する。
【0017】
一実施形態によれば、本発明は、一つの方法を提供することができ、該方法は、ビーム制限装置および線源回折格子G0を備えるビーム成形アセンブリを提供することと、位相回折格子G1および分析器回折格子G2を備えるX線回折格子干渉計を提供することと、位相回折格子G1から所定の距離で位相回折格子G1によって作成される干渉パターンのピッチに対して、分析器回折格子G2のピッチをオフセットすることと、を含むことができる。
【0018】
これらの目的は、単なる例示的な実施例として与えられており、そのような目的は、本発明の例示的な1つ以上の実施形態であり得る。開示された本発明によって本質的に達成される他の望ましい目的および利点が生じるか、または当業者に明らかになり得る。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の上述の、および他の目的、特徴、および利点は、添付図面で例示されるように、以下の本発明の実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう図面の要素は、必ずしも互いに一定の縮尺ではない。
【0020】
図1】本出願による走査スロット位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムの例示的な実施形態の側面図を示す図である。
図2図1で示されるスロット走査回折格子に基づく位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムの実施形態の機能ブロック線図を示す図である。
図3】本出願によるスロット走査回折格子に基づく位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムの例示的な実施形態を示す図である。
図4】本出願によるスロット走査回折格子に基づく位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムの別の例示的な実施形態を示す図である。
図5】本出願による長く、狭い回折格子(例えば、2つ以上の小さい回折格子を互いに当接させることによって形成される)の実施形態を示す図である。
図6A】例示的な3回折格子位相コントラスト撮像システムの概略を示す図である。
図6B】別の例示的な3回折格子位相コントラスト撮像システムの概略を示す図である。
図7】回折格子の1つ(例えば、G2)をxおよび対応するフーリエ級数係数に沿って走査したときの、1つの検出器画素(i,j)の強度変化を示す図である。
図8】本出願によるスロット走査回折格子に基づく位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムを動作させるための方法の実施形態を示すフローチャートである。
図9】本出願によるスロット走査回折格子に基づく位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムを動作させるための別の方法を示すフローチャートである。
図10】本出願によるスロット走査回折格子に基づく位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムのさらに別の例示的な実施形態を示す図である。
図11】同調位相コントラストデジタル撮像システムの例示的な実施形態、および離調位相コントラストデジタル撮像システムの例示的な実施形態の概略図を例示する図である。
図12】位相コントラスト撮像システムの実施形態の同調および離調構成のための検出器平面で測定されるオープンフィールド画像の実施例を示す図である。
図13A】異なるアルファ傾斜についてプロットした複数のMTFを示す図である。
図13B】MTF傾斜α、50%MTF低下での空間的周波数f0、およびシステムの離調度Δfの関数として、コントラスト低下の割合を示す図である。
図14】位相コントラスト撮像システムの実施形態の物体に対する干渉計の、またはその逆の例示的な運動を例示する図である。
図15】本出願の実施形態による、検出器平面で測定されるある期間調節した縞パターンに対して物体の個々のスライスを投影する、例示的な物体走査の概略を示す図である。
図16】本出願の実施形態による、三角形、円形、四角形等の走査物体の個々のスライスの強度曲線を取り出す画像形成機構の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、本出願による例示的な実施形態の詳細な説明であり、図面に対して参照がなされ、複数の図のそれぞれにおいて同じ参照番号が構造体の同じ要素を特定する。
【0022】
臨床用撮像に有用であるために、位相コントラスト撮像システムは、(i)標準広帯域X線源の使用、(ii)何センチメートルもの(例えば、代表的なマンモグラフィシステムの場合は、24cm×30cm)大きい視野(FOV)、(iii)現在の放射線撮像システムと同等の適度にコンパクトな設計(例えば、代表的なマンモグラフィシステムの場合、線源〜検出器の距離は、約65cmである)、および/または(iv)適当な曝露時間および吸収線量(例えば、代表的なマンモグラフィシステムの場合、平均曝露は、約5mRである)、を含む、種々の要件を満たさなければならない。
【0023】
1.システム構成
図1は、本出願に従うスロット走査位相コントラスト撮像システムの例示的な実施形態を示す図である。図1で示されるように、スロット走査位相コントラストデジタル撮像システム100の透視図は、マンモグラフィに使用することができる。システム100は、マンモグラフィ撮像のための従来のX線管110と、フィルタまたは同調型モノクロメーターB、コリメーターC、および線源回折格子G0を備るビーム成形アセンブリ120と、位相回折格子G1および分析器回折格子G2を備えるX線回折格子干渉計130と、X線検出器140とを含むことができる。フィルタまたは可同調型モノクロメーターBは、コリメーターCの後ろに位置付けることができる。3つの回折格子(例えば、G0、G1、およびG2)は、これらの回折格子の面および回折格子バーが互いに対して平行になるような方法で整列させることができる。物体150(例えば、胸部)は、補助プレート152によって支持することができ、圧迫パドル154によって圧迫され、該圧迫パドルは、(例えば、上下に)移動させ、調整することができる。
【0024】
図2は、スロット走査位相コントラスト撮像システムの例示的な実施形態を示す機能ブロック線図である。図2は、マンモグラフィに使用される撮像システム100の機能ブロック線図を示す。
【0025】
図1で示されるように、X線管110、ビーム成形アセンブリ120、回折格子干渉計130、および検出器140は、放射線源に対する所定の3次元的関係によって移動させることができる。例えば、X線管110、ビーム成形アセンブリ120、回折格子干渉計130および検出器140は、スイングアーム160に取り付けることができる。スイングアーム160は、X線管110の焦点と同軸な軸の周りを枢動させることができる。X線管110は、対象となる領域に照射するために、水平アーム延長部に対してある角度で載置することができる。X線ビームは、コリメーターCによって、干渉計130(例えば、回折格子)および検出器140(例えば、長さ約24cmおよび幅1cm)のアクティブ領域を覆う、狭いファンにコリメートすることができる。X線管110の入射ビームは、物体の走査中に検出器140の縁部がコリメーターCと常に完全に整列しないことによってもたらされる検出器のモーションアーチファクトを低減させるために、検出器140および干渉計130よりも僅かに幅を広くすることができる。
【0026】
2.システム構成要素
図3は、本出願に従うスロット走査位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムの構成要素の例示的な実施形態の部分的な例を示す図である。図4は、本出願に従うスロット走査位相コントラストデジタルマンモグラフィ撮像システムの構成要素の別の例示的な実施形態の部分的な例を示す図である。図3の撮像システムと図4で示される撮像システムとの間の1つの違いは、図4では、回折格子(例えば、3つの回折格子G0、G1、およびG2)の回折格子バーの配向が、スイングアーム160(例えば、X線ファンビーム)の走査方向に対して平行であるが、図3では、スイングアーム160の走査方向に対して垂直であることである。
【0027】
(a)X線源
図1で示されるように、X線源110は、従来のX線源とすることができる。例えば、X線源110は、マンモグラフィ撮像のための多色X線管とすることができる。この実施例において、X線源110は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、または重元素材料の合金で作製される回転陽極を有することができる。焦点の面積は、0.01mm〜1.0mmとすることができる。
【0028】
(b)フィルタおよびモノクロメーター
X線管110と関連する固有フィルタの他に、X線ビームを狭帯域幅ビームにスペクトル的に成形して、患者によって大部分が吸収され、検査中に受け取る放射吸収線量に関与する不必要な軟X線、および/または画像の品質を低下させる可能性がある硬X線を低減または除去するために、随意に、(例えば、フィルタBによる)追加的なフィルタを使用することができる。例示的な代表的なフィルタ材料は、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、および他の金属である。
【0029】
あるいは、フィルタBは、1〜3keVの帯域幅を有する選択可能なエネルギーを中心とする狭スペクトルを有する単色X線を作成するために、発散多色X線源とともに使用することができる、可同調型単色X線フィルタとすることができる。
【0030】
(c)回折格子
図1で示されるように、撮像システム100は、3つの回折格子を含むことができる。一実施形態において、線源回折格子G0は、金製吸収バーを有することができ、位相回折格子G1は、シリコンで作製することができ、分析器回折格子G2は、金製吸収バーで作製することができる。しかしながら、当業者に知られている他の材料を使用することができる。線源回折格子G0は、X線源110の近くに配置することができる。第2の回折格子G1および第3の回折格子G2は、例えば、ともに機械的に連結するか、電気機械的に接続するか、またはともに強固に固定することによって、それらの間に固定距離を有することができる。同様に、線源回折格子G0および干渉計130は、それらの間に可変であるが既知の距離を有するように連結することができる。
【0031】
線源回折格子G0は、それぞれが干渉計コントラストのための十分な空間的コヒーレンスを提供することができる個々の線形線源のアレイを作成することができるので、線源回折格子G0は、大型インコヒーレントX線源のX線源110としての使用を可能にすることができる。線形線源を生成した線源回折格子G0によって作成される画像は、検出器140の検出器平面に適合して重ね合わせることができ、強度の増加(例えば、制御可能な干渉)につながる。
【0032】
位相回折格子G1は、ビームスプリッタとして動作し、入射ビームを、本質的に±1の回折次数に分割することができる。これら2つの±1の回折ビームは、干渉し、タルボ自己撮像効果を通して第2の回折格子G2の面に周期的干渉パターンを形成することができる。物体がX線ビーム経路に挿入されると、縞パターンの位置が変化する。ミクロン範囲での縞の位置の変化は、一般的な検出器によって判定できないので、分析器の第2の回折格子G2を、位相の第1の回折格子G1から特定のタルボ距離で配置して、位相ステッピング手法によって、縞の位置を、第2の回折格子G2の直後に位置する検出器140上の強度変調に変換することを可能にすることができる。
【0033】
線源回折格子G0がX線源110およびコリメーターCの近くに配置されるので、X線ファンによって範囲が定められる角度が小さいため、線源回折格子G0のサイズを小さくする(例えば、約1cm×0.5cm)ことができる。例示的な(例えば、マンモグラフィ)用途の場合、FOVは、24cm×30cmとすることができる。回折格子G1およびG2によって形成される干渉計の近くに物体が位置するので、これらの回折格子のサイズは、FOVに適合させなければならない。標準的なフォトリソグラフィ手法のための技術を想定すると、高いまたは十分な収率および許容可能な均一性を有するそのような大面積の回折格子G1およびG2(例えば、24cm×30cm)の繰り返し可能な製作は、些細なことではない。この製作的問題に対処するために、標準的な6または8インチ(15.2または20.3cm)のシリコンウエハを使用して、8cm×8cm平方の範囲の複数の小さい回折格子(例えば、それぞれが、8cm×1cmの面積を有する)を製作することができる。3片の小さい回折格子を互いに当接させることによって、長く、狭い回折格子(例えば、24cm×1cm)を、許容可能な均一性で繰り返し得ることができる。
【0034】
図5は、本出願による長く、狭い回折格子(例えば、2つ以上の小さい回折格子を互いに当接させることによって形成される)の実施形態を示す図である。図5で示されるように、回折格子G1または回折格子G2の一実施形態は、標準的なシリコンウエハを使用して形成することができる。一実施形態では、長く、狭い回折格子G1およびG2を提供するために、標準8インチウエハを使用することができる。
【0035】
図6は、例示的な3回折格子の位相コントラスト撮像システム(例えば、干渉計)の概略を示す図である。図6で示されるように、3つの回折格子、すなわち、金製吸収バーを有する線源回折格子G0、シリコンで作製される位相回折格子(またはビームスプリッタ)G1、および金製吸収バーを有する分析器回折格子G2が使用される。回折格子は、標準フォトリソグラフィ手法を使用してシリコンウエハから作製され、その後に電気めっきによって溝に金を充填する(G0およびG2)。干渉計は、G1およびG2によって形成される。これらの3つの回折格子の面および回折格子バーは、互いに平行である。
【0036】
線源回折格子G0は、それぞれが干渉計コントラストのための十分な空間的コヒーレンスを提供する個々の線形線源のアレイを作成するので、大きいインコヒーレントX線源の使用を可能にする。各線形線源によって作成される画像は、検出器平面に適合して重ね合わせられ、強度の増加につながる。位相回折格子G1は、ビームスプリッタとしての機能を果たし、入射ビームを、光学軸(z)に対して直角な面において干渉し、周期的縞パターンを形成する、本質的に2つの一次回折次数に分割する。タルボ効果に基づいて、位相回折格子G1の自己画像と呼ばれる周期的縞パターンは、G1の後ろの第1のタルボ距離dでその最も高いコントラストを有する。G1の回折格子バーを通過するX線が受ける位相シフトがπであると仮定すると、第1のタルボ距離は、次式によって与えられる。
【数2】
式中、pは、G1の周期であり、λは、平面波のX線の波長である。G1から距離dで配置される分析器回折格子G2の面での干渉縞(p)の周期は、G1の周期のほぼ半分である。分析器回折格子G2は、縞パターン縞(p)とほぼ同じ周期を有する。
【0037】
物体がビーム経路に配置されると、物体によって入射X線波面が局所的に歪められる可能性がある。波面が歪められた場所では、位相回折格子G1によって形成された縞がそれらの非摂動位置から変位する。縞の変位は、位相回折格子G1から距離dに配置される分析器回折格子G2によって、強度変化に変換される。これは、縞の間隔よりもはるかに大きい画素を有する、分析器回折格子G2の直後に配置されるX線検出器の使用を可能にする。位相ステッピング手法を使用すると、回折格子(ここでは、分析器回折格子G2)の1周期を通じて回折格子の1つの横方向位置xを走査することは、図7で示されるように、各画素に記録された信号をxの関数として振動させる。図7は、回折格子(例えば、G2)の1つをxに沿って走査したときの1つの検出器画素(i,j)の強度変化、およびフーリエ級数係数、a、b、およびΦを示す図である。各画素における振動の位相Φは、波面位相勾配の尺度であり、一方で、回折格子走査を通じた各画素における平均検出器信号aは、従来の吸収画像に等しい。したがって、物体の総位相シフトは、方向xに沿った単一の一次元積分によって取り出すことができる。
【0038】
図6Bは、別の例示的な3回折格子位相コントラスト撮像システムの概略を示す図である。図6Bで示されるように、3回折格子PCIシステムは、固定G0、G1、およびG2回折格子を含むことができ、撮像される物体は、固定G0、G1、およびG2回折格子に対して移動する(例えば、横断する)ことができる。図6Bにおいて、Fは、随意の追加的なろ過であり、Cは、随意のコリメーターまたはビーム成形装置である。
【0039】
(d)検出器
検出器140には、間接または直接フラットパネルX線検出器を使用することができる。間接フラットパネル検出器は、CsI、GdS、またはフォトダイオード(例えば、a−Siフォトダイオード)およびスイッチ(例えば、薄膜トランジスタ(TFT)スイッチ)のアレイと連結される他のシンチレーティング蛍光体で作成される、シンチレータの層を含むことができる。シンチレータ層の厚さは、80μm〜600μmとすることができる。検出器の画素ピッチは、20〜200μmの範囲である。一方で、直接検出器は、X線の検出に対する電荷を作成するために、アモルファスセレニウム(a−Se)またはPbI等の光導電体を含むことができる。電磁放射線検出過程は、いかなる中間ステージも伴わずに、画像情報がX線から直接電荷に伝達されるので、直接的であると考えられる。
【0040】
フラットパネル検出器に代えて、電荷結合デバイス(CCD)に基づくX線検出器を、検出器140として使用することができる。例えば、CCDに基づくX線検出器は、シンチレーティングスクリーンを含むことができる。
【0041】
スロット走査システムについて、時間遅延積分(TDI)モードで動作するタイル状のCCD検出器アレイは、連続走査運動および走査中のX線照射を可能にするために好ましい。検出器アレイは、2つ以上のCCDデバイスを合わせてタイル状にすることによって形成することができ、シンチレータ層および光ファイバプレート(FOP)に連結することができる。FOPは、CCD配列を放射線障害から保護するために使用される。
【0042】
画素幅と同等のビーム幅を有するスロット走査システムは、極めて高い管出力を必要とする。CCDのTDI動作モードは、非常に幅の広いビームを使用することを可能にする。検出されたX線は、最初に、シンチレータ層を介して光量子に変換される。次いで、光量子は、X線吸収時のシンチレータからの光の放射に応じて、CCDで電子を生じさせるFOPを通して、CCDに伝達される。同調的(例えば、同じ速度)であるが、走査運動の反対方向に、CCD幅(例えば、縦列)全体にわたって画素から画素に電子電荷を移動させることによって、TDIモードは、画素解像度を維持しながら、CCD幅全体にわたるX線の積分を可能にすることができる。電荷がCCDの最後の横列に到達すると、累積電荷が読み出され、デジタル化される。例えば、検出器アレイは、4つのCCDを含むことができ、各CCDは、6cm×1cmのサイズを有し、それらの狭い寸法に沿って当接して、長く、狭い検出器(例えば、24cm×1cm)を形成する。ここでも、代表的な画素サイズは、20μm〜200μmである。
【0043】
フラットパネル検出器の別の代わりとして、アバランシェ増幅過程を使用する線形光子計数ガス検出器も、検出器140として使用することができる。光子計数手法におけるガス検出器の使用の他に、結晶質のSi、CdTe、およびCdZnTeも、直接変換光子計数検出器で使用することができる。
【0044】
この例示的な単一光子計数検出手法は、検出器140のノイズを真のX線光子相互作用と区別することができる。予め定義された閾値を超える計数信号によって、ノイズがなく有効な単一のX線光子の計数が達成される。このタイプの検出器を本出願の実施形態によるスロット走査システムで使用すると、積分検出器(直接および間接フラットパネル検出器、ならびにCCDデバイス等)と比較して、患者の吸収線量および散乱放射線の大幅な低減、および/またはコントラストおよび空間解像度に関する画像品質の相当な向上を得ることができる。
【0045】
3.システムおよび回折格子パラメータの選択
例示的な実施形態における回折格子パラメータおよび幾何学的システムパラメータの選択肢は、X線源の選択、回折格子製作過程の制限、システムサイズの実用性、システム性能要件、および物理法則の適合によって限定することができる。要約すると、球状X線波動について、システムパラメータおよび回折格子パラメータは、以下の式を満たさなければならない。
【0046】
1.空間的コヒーレンス要件
【数3】
【0047】
2.回折格子の周期
【数4】
【数5】
【0048】
3.位相回折格子の要件
シリコン位相回折格子G1の構造高さは、回折格子バーを通過するX線が所定の位相シフトまたはπの位相シフト(一例として)を受け、±1の回折次数へのビームの分割をもたらす程度でなければならない。
【数6】
【0049】
また、回折格子G0およびG2の構造高さは、選択されたまたは最適なシステム性能のための十分なX線の吸収(例えば、>75%)を提供するのに十分高くなければならない。
【0050】
4.タルボ自己撮像条件
【数7】
【0051】
式(3)〜(7)で示されるパラメータ−は、以下の通りである。
【0052】
最初に、システム要件および回折格子製作に関する制限に基づいて、n、p、λ、およびLを選択することによって、次いで、他のパラメータ、すなわち、s、p、p、h、h、h、およびdを決定することができる。一例として、表1は、スロット走査位相コントラストデジタルマンモグラフィシステムの実施形態の例示的なシステム設計パラメータおよび回折格子パラメータを列記する。
【0053】
【表1】
【0054】
4.例示的なシステム動作
図8は、スロット走査位相コントラストデジタル撮像システムを動作させるための方法の実施形態を示すフローチャートである。図8の例示的な方法の実施形態は、図1および図3で示されるシステムの実施形態を使用し、該システムによって実現することができるが、該方法は、そのように限定されることを意図しない。
【0055】
図8で示されるように、過程が始まった後に、曝露のための準備に検出器を初期化し、分析器回折格子G2を所定の位置またはホーム位置に移動させる(動作ブロック810)。次いで、マンモグラフィの医療用画像のために、(例えば、画像品質を向上させるために)胸部を圧迫することができる(動作ブロック820)。スイングアーム160は、初期位置またはホーム位置にセットされる(動作ブロック830)。したがって、ブロック830は、スイングアーム160に強固に載置することができる、X線管110、ビーム成形アセンブリ120、X線回折格子干渉計130、およびX線検出器140を位置付けることができる。X線ビームは、図3で示されるように物体の幅(例えば、約30cm)を覆って、振り子のように円弧でスイングアーム160が回転すると、物体全体にわたって走査することができる。X線ビームが物体全体にわたる全走査を完了すると、検出器140によって記録された画像データを読み出し、(例えば、スロット走査位相コントラストデジタル撮像システムで、またはプロセッサ、ディスプレイ、およびメモリを有する無線連結された制御コンソールで)コンピュータのメモリユニットに記憶することができる。一実施形態において、検出器は、長く、狭いCCDに基づく検出器であり、信号検出のための時間遅延積分(TDI)モードで動作させることができる。次いで、動作ブロック850で、一連の画像が完了したかどうか(例えば、N個の画像が取り込まれたかどうか)を判定する。ブロック850の判定が否定であったときには、位相ステッピング手法を使用して、一例として、次いで、(例えば、ピエゾ移動ステージ上に載置される)分析器回折格子G2を、次のX線ビームの走査が始まる前に、所定の距離(ステップ)だけ横方向に移動させ(動作ブロック860)、過程は、ブロック830に戻り、そこでは、スイングアーム160を初期スキャン前位置またはホーム位置に戻し(または回転方向を逆にして)、一連の画像の次の走査のために準備する。
【0056】
所定のサイクル回数N(例えば、一般的に5〜8)の走査およびステッピングが完了したので、ブロック850での判定が肯定であったときには、画像データセットを捕捉し、処理し、モニタに表示することができる(動作ブロック870、880、890)。例えば、本明細書で説明されるように、同じ画像データセットをコンピュータの画像処理ユニットによって処理して、吸収コントラスト、微分位相コントラスト、位相シフトコントラスト、および暗視野画像を含む、物体の複数の画像を構築することができる。
【0057】
これらの互いに相補的な吸収コントラスト、微分位相コントラスト、位相シフトコントラスト、および暗視野画像は、物体の微妙な詳細を可視化するために必要な特異性を提供することができる。
【0058】
図8の方法の実施形態で説明される位相ステッピングを実現するための代替の方法がある。例示的な代替の位相ステッピングの実現形態は、(i)回折格子G1の光学軸および回折格子バーの双方に対して垂直な方向に(G2の代わりに)G1を移動させること、(ii)G1およびG2をともに、回折格子バーの配向に沿って軸の周りをある角度回転させる(例えば、2つの回折格子を、互いに対して整列させた位置に保つか、またはともに機械的に固定する)こと、または(iii)回折格子の光学軸および回折格子バーの双方に対して垂直な方向にX線源を移動させることを含むが、それらに限定されない。これらの例示的な代替の位相ステッピングの実現形態は、図3で示される例示的なスイングアーム160の構成上で実現することができる。
【0059】
図9は、スロット走査位相コントラストデジタル撮像システムを動作させるための方法の実施形態を示すフローチャートである。図9の例示的な方法の実施形態は、図1および図3図4で示されるシステムの実施形態を使用し、該システムによって実現することができるが、該方法は、そのように限定されることを意図しない。
【0060】
図9は、スイングアームがステップ的な運動で物体の全体にわたって走査することができる、システム動作の別の「ステップ−ディザー(dither)−ステップ」モードを示す。各ステップの距離は、およそ検出器の幅とすることができる。スイングアームの各位置では、上で述べられる位相ステッピング手法を使用して(例えば、p/Nだけ分析器回折格子G2を移動させて)、一連のX線曝露/画像取り込み動作を行う(例えば、N個の画像を捕捉)ことができる。次いで、スイングアームが物体全体を通してステップし、走査を完了するまで、スイングアームを次のステップ位置に移動させ、別の一連のX線曝露/画像取り込み動作を行う。次いで、未加工の画像データセットを捕捉し、処理し、モニタに表示する。代替として、スイングアームが物体全体を通してステップするときに、各「ステップ」の終了時に未加工の画像データサブセットを捕捉することができ、捕捉した未加工の画像を処理し、最後のステップと同時にまたはその完了時にモニタに表示することができる。
【0061】
図9で示されるように、過程が始まった後に、曝露のための準備に検出器を初期化し、分析器回折格子G2を所定の位置またはホーム位置に移動させる(動作ブロック910)。次いで、物体を位置付けるか、またはマンモグラフィの医療用画像のために、(例えば、画像品質を向上させるために)胸部を圧迫することができる(動作ブロック920)。スイングアーム160は、初期位置またはホーム位置にセットされる(動作ブロック930)。
【0062】
次いで、スイングアーム160を現在のステップ位置にステップし(動作ブロック933)、X線ビームを発射して、物体の一部分を曝露し、その画像を捕捉(動作ブロック940)。次いで、動作ブロック945で、そのステップについて一連の画像が完了したかどうか(例えば、N個の画像が取り込まれたかどうか)を判定する。ブロック945の判定が否定であったときには、位相ステッピング手法を使用して、一例として、次いで、(例えば、ピエゾ移動ステージ上に載置される)分析器回折格子G2を、所定の距離(例えば、2mm/8=250nm等の、p/N)だけ横方向に移動させ、過程は、ブロック940に戻り、そこでは、X線ビームを発射して、物体の一部分を曝露し、画像を捕捉する。
【0063】
所定のサイクル回数N(例えば、一般的に5〜8)のステッピングおよび走査が完了したので、ブロック945の判定が肯定であったときには、画像データセットを記憶することができ、動作ブロック955で、物体全体について走査が完了したかどうかを判定することができる。ブロック955の判定が否定であったときには、スイングアーム160を次の位置にステップし(動作ブロック933)、動作ブロック940、945、および950を繰り返すことができる。物体全体が走査されたので、ブロック955の判定が肯定であったときには、画像データセットを、抽出し、処理し、モニタに表示することができる(動作ブロック960、965、970)。例えば、本明細書で説明されるように、同じ画像データセットをコンピュータの画像処理ユニットによって処理して、吸収コントラスト、微分位相コントラスト、位相シフトコントラスト、および暗視野画像を含む、物体の複数の画像を構築することができる。
【0064】
5.画像形成および画像取り出し
物体を適所に置かずに、X線ビームに位相回折格子G1を通過させ、干渉縞を形成する。物体をビーム経路に置くと、物体によって入射X線波面が局所的に歪められ、ビームの角度偏差が生じる。
【数8】
【0065】
波面が歪んだ場所で、これらの縞は、それらの非摂動位置から次式の分だけ変位する。
【数9】
【0066】
縞の変位は、位相回折格子G1から距離dに配置される分析器回折格子G2によって、強度値に変換される。縞の間隔よりもはるかに大きい画素を有する2次元検出器を、信号を記録するために使用することができる。回折格子(例えば、分析器回折格子G2)の1つの横方向位置xを走査することで、各画素に記録された信号をxの関数として振動させる。各画素(i,j)について、フーリエ級数によって信号振動曲線を表すことができる。
【数10】
【数11】
【0067】
式(10)および(11)から、物体の以下の画像を取り出すことができる。透過画像は、次式によって与えられる。
【数12】
【0068】
微分位相コントラスト画像は、次式によって与えられる。
【数13】
【0069】
また、物体の位相シフト画像は、例えば次式のように、回折格子バーに対して垂直な画素方向に沿った単純な一次元積分によって取得することができる。
【数14】
【0070】
さらに、暗視野画像は、物体によって散乱されるより高角度の回折強度から形成される。物体の散乱能に関する情報は、第1のフーリエ振幅係数、Is(i,j,x)のbs(i,j)に含まれる。したがって、暗視野画像は、次式によって取得することができる。
【数15】
【0071】
これらの4つの異なる物体の画像は、同じデータセットから導くことができ、また、互いに相補的として、物体の複数の情報を提供することができ、物体の微妙な詳細の可視化を可能にする。
【0072】
本明細書で説明されるように、位相コントラストデジタル撮像システムおよび/またはそれを使用する方法の実施形態は、本出願による種々の利点を提供することができる。ハイブリッドスロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストマンモグラフィシステムの実施形態は、(例えば、フルフィールドデジタルマンモグラフィシステムと比較して)種々の利点を有する。
【0073】
回折格子に基づく微分位相コントラスト撮像手法の実施形態は、高価で巨大なシンクロトロン放射線源の代わりに、従来のX線管を使用して、単一の画像取り込み過程から、複数の画像情報(例えば、吸収コントラスト画像、微分位相コントラスト画像、位相シフト画像、および暗視野画像)を提供することができる。
【0074】
スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムおよび/または方法の実施形態は、低吸収組織のコントラスト(例えば、健康な組織と罹患した組織との間のコントラスト)を大幅に高めることができ、特にマンモグラフィおよび整形外科的な関節に有用であり得る。
【0075】
スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムおよび/または方法の実施形態は、小さい回折格子および検出器の使用を可能にして、大面積の画像を作成することができる。実施形態は、グリッドを使用することなく、モーションブラー、散乱放射線、および患者吸収線量の低減を提供することができる。
【0076】
スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムおよび/または方法の実施形態は、長く、狭い幾何学形状を有する位相回折格子(G1)および分析器回折格子(G2)を使用することができ、該幾何学形状は、2つ以上の短く、狭い(例えば、8cm×1cm)の回折格子を互いに当接させることによって形成することができ、大型のフルフィールドサイズ(代表的なマンモグラフィの場合、24cm×30cm)を有するものよりもコストが大幅に低くなる。したがって、タイル状の検出器の実施形態を作製することができ、大型のフルフィールド2次元検出器(代表的なマンモグラフィの場合、24cm×30cm)よりもコストがはるかに低くなる。
【0077】
撮像システムの実施形態は、長く、狭い検出器を必要とする可能性があり、該検出器は、2つ以上の短く、狭い(例えば、8cm×1cm)検出器を互いに当接させることによって形成することができる。高感度かつ低ノイズのより小型の検出器は、大型フルフィールド2次元検出器(代表的なマンモグラフィの場合、24cm×30cm)と比較して、低いコストで入手可能である。
【0078】
スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムおよび/または方法の実施形態は、よりコンパクトなシステムの設計を可能にし、位相回折格子のシャドウイング効果および/または画像の縁部領域で生じる分析器回折格子の走査効果を低減または除去するために、線源焦点の周囲で円形に湾曲した回折格子および検出器を使用することができる。図10は、X線源焦点に対応する湾曲した回折格子および検出器を使用する、スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムの実施形態の側面図を示す図である。
【0079】
スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムおよび/または方法の実施形態は、回転陽極(より高い出力)を有するX線管、X線源と物体との間の短い距離(より高いX線フルエンス)、およびタイル状のTDIモードCCDアレイと連結されるCsIシンチレータ(より高い検出感度)を有する検出器を使用することができる。その結果、曝露時間を大幅に低減させることができる。
【0080】
スロット走査位相コントラストデジタル撮像システムおよび/またはそれを使用するための方法のためのある例示的な実施形態は、例えば図8および図9を参照されたく、また、ステップ−ディザー−ステップ手法を利用することができ、該手法では、回折格子の1つ、すなわち、回折格子G1または分析器回折格子G2のいずれかを、もう一方に対してステップさせることができる。例えば、分析器回折格子G2を移動させるときに、Nが(例えば、ピエゾ変換ステージを使用して)回折格子G2の周期を覆うために必要とされるステップ数であり、回折格子G2の横方向サイズがlG2である場合、横方向サイズSを有する物体の走査は、S/lG2・NのX線曝露を使用することができ、または必要とし得る。一例として、S=20cmの胸部、およびスイングアームの各位置(またはスライス)で、1cm幅のG2回折格子に対して8つの位相ステップの場合、物体全体を走査するために、20/1・8=160のX線曝露が使用される。S/lG2・Nは、全走査に必要とされる十分な、または最小の数とみなすことができることに留意されたい。物体全体の画像にスライスを適切にステッチするために、スライス間に僅かな重なりが必要とされる可能性がある。
【0081】
図8および図9で説明される例示的な走査の実施形態はどちらも、物体の1つのスライスを走査した後にその初期(例えば、ホーム)位置に戻る、スイングアームまたは分析器回折格子G2のいずれかを有する。これらのデバイス(例えば、変換ピエゾドライバ)の正確な位置決めは、ナノメートルスケールに達し得るが、複数の前方−後方型の運動は、物体全体の走査が完了した後に、大幅な空間的誤差につながる可能性がある。空間的誤差を低減または回避するために、分析器回折格子のステッピングが最小である、または全くないスイングアームの連続運動が好ましい。それはまた、回折格子G1およびG2の相対位置が、変化しない(例えば、いかなるステッピングもない)とき、および/またはスイングアームが物体全体にわたって連続的に移動するときにも好ましく、それらは、走査時間を低減させることができる。
【0082】
固定G1およびG2回折格子を有するスイングアームの連続運動を実現するために、位相コントラスト撮像システムの例示的な実施形態を離調させなければならない。1つの例示的な実施形態において、離調位相コントラスト撮像システムは、分析器回折格子G2のピッチpが、位相回折格子G1の後ろのタルボ距離で干渉パターンpintの周期と異なるように意図的に制御または製作される、撮像システムであると理解することができる。別の例示的な実施形態において、離調位相コントラスト撮像システムは、分析器回折格子G2のピッチpが、位相回折格子G1の後ろのタルボ距離で干渉パターンpintの周期と等しくなるように制御または製作されるが、分析器回折格子G2が、対応するタルボ距離から離れて位置付けられる、撮像システムであると理解することができる。ある例示的な実施形態において、離調位相コントラスト撮像システムは、周期的縞パターン縞干を発生させることができ、縞パターンは、分析器ゲート制御G2の幅または幅の一部分を通じて生じる。物体の完全なまたは部分的な走査において、離調回折格子に基づくPCIシステムの実施形態に関する曝露回数はほぼ同じであるが、位置的誤差および/または走査時間は、同調回折格子に基づくPCIに対して低減させることができる。図11は、例示的な同調および離調位相コントラスト撮像システムの概念を例示する図である。分析器回折格子G2および干渉パターンは、それぞれ、周波数f=1/pおよびfint=1/pintを有する余弦波に近似させることができる。よって、分析器回折格子の後ろに配置される検出器によって測定される信号は、以下の通りである。
【数16】
例えば、MTFは、
によって近似させることができる、検出器の変調伝達関数であり、式中、αは、MTF曲線の傾斜であり、fは、MTFが50%低下する空間的周波数である。分析器回折格子のピッチp=2μmでの空間的周波数は、500cyc/mmである。干渉パターンの相当する周波数と合計したときには、2倍に、例えば、fint+f=1000cyc/mmになる。間接電荷積分検出器におけるfの例示的な値は、一般的に、1〜2cyc/mmとすることができ、一方で、直接光子計数検出器の場合、fの値は、5cyc/mmに達し得る。そうであれば、検出器は、1000cyc/mmでいかなる信号も測定しないことになる。したがって、唯一の検出可能な信号は、以下の通りである。
【数17】
同調位相コントラスト撮像システムの場合(fint=f)、信号は、増加するか、または最大である。そのような構成のオープンフィールドを測定するときに、検出器は、一様な画像をもたらす。離調位相コントラスト撮像システムの場合、検出された画像は、検出器のMTFによって生じるより低いコントラストを伴う余弦パターンを有する。コントラストの損失は、どのくらい強くシステムが離調されたかに依存し、すなわち、Δf=fint−fである。図12は、位相コントラスト撮像システムの同調および離調構成の実施形態の、検出面で測定した、オープンフィールド画像の実施例を示す図である。図12で示されるように、同調位相コントラスト撮像システムの実施形態のオープンフィールド画像は、分析器回折格子G2全体にわたって不変のまたは平坦なオープンフィールド画像を生じさせることができる。図12で示されるように、画像の横方向サイズは、一例として、縞パターンの1つの周期に等しくなるように選択される。一実施形態、位相コントラスト撮像システムにおいて、Δfは、<5%、<1%、または<0.1%とすることができる。
【0083】
空間的周波数の関数としての検出器の応答は、重要である。図13Aは、異なるアルファ傾斜についてプロットした複数のMTFを示す(例えば、式16を参照されたい)。より高い傾斜値を有するMTFは、半値周波数未満の空間的周波数について、より長い平坦域(例えば、より遅い低減)を有することができる。より高い傾斜は、間接検出器と比較して、より良好な周波数応答を有する検出器、例えば、直接変換光子計数検出器に典型的である。間接検出器の事例について、傾斜αは、一般的に1以上であり、一方で、半値周波数は、1.5〜2cyc/mmの範囲である。図13Bは、MTF傾斜αおよび空間的周波数fの関数として、コントラスト低下の割合を示す。予期されるように、最も高い可能性と比較して(例えば、Δf=0での)、コントラストの低下は、より小さいΔfに対してより少ない。また、図13で示される曲線は、より高いfの場合(例えば、より高い量子効率を有する検出器の場合)、さらに低くなる。より高いMTF傾斜αは、コントラストの低下をさらに低減させることができる。MTF傾斜αは、一般的に、約1以上である。PCIシステムを図3に従って実現すると、G2回折格子の幅は、Δfに基づいて選択することができる。G2の幅が、測定された縞パターンの1周期に等しくなるように設定された場合、Δf=0.20、0.10、または0.05cyc/mmについて、G2の幅は、それぞれ、0.5、1、または2cmになり得る。本明細書で説明されるように、回折格子の製作における不均一性を回避するために、分析器回折格子の幅を小さく保つことが好ましい。したがって、対応するΔf=0.1cyc/mmを持つ1cmの幅が最も好適であり得るが、本出願の実施形態はそのように限定されることを意図しない。さらに、G2の幅が、干渉計のコントラストの1周期ではなく2周期以上に等しいときには、他のサイズを使用することができる。
【0084】
同調位相コントラスト撮像システムの実施形態とは対照的に、離調システムの実施形態は、図3で示される概略図に従ってだけ実現することができる。検出器平面の中の縞パターンは、アームがパターン全体にわたって横方向に揺動するように配向される。図4で表されるPCIの実現形態は、同調位相コントラスト撮像システムに好適であるが、離調PCIシステムに適用することができない。追加的に、離調PCIシステムの実施形態の場合は、(例えば、取り付けられた変換ピエゾドライバを使用して)分析器回折格子G2および検出器Dをともに移動させて、それらをX線ビームの方向(例えば、z軸)に同時に移動させることができ、よって、検出器平面の中の縞パターンの周波数(Δf)を調整することができる。
【0085】
分析器回折格子G2の幅を、例えば1cmに選択したときには、検出器平面での縞パターンの予期される周波数、例えば0.1cyc/mmを形成するピッチを有する回折格子を正確に製作することが困難であり得る。一実施形態において、ピッチG2が所望のまたは選択された寸法を僅かに外れたときには、位相回折格子G1に対して、ビーム軸(例えば、軸z)に沿って分析器回折格子G2をシフトすることによって、位相コントラスト撮像システムを微調整することができる。ビーム軸に沿って分析器回折格子G2をシフトすることによって、分析器回折格子G2は、位相回折格子G1によって形成される干渉パターンの異なるz位置で、ピークに達することができる。換言すれば、特定の例示的な実施形態では、検出器平面で所望の縞パターンを形成するために、干渉パターンの異なる周波数fintが使用される。
【0086】
本明細書で説明されるように、同調位相コントラスト撮像システムの実施形態において、位相取り出しアルゴリズムは、図7で示される余弦形状の強度曲線を形成することを可能にする、分析器回折格子の異なる横方向位置での複数のX線曝露を必要とする可能性がある。位相コントラスト撮像システムを離調させると、検出器は、既に余弦形状の縞パターンを測定することができ、回折格子のステッピングは、もはや必要とされない。代わりに、いくつかの例示的な実施形態では、回折格子G1、回折格子G2、および検出器Dを、1つの相対位置に固定し、物体を撮像するように移動させ、例えばスイングアームに取り付けることができ、スイングアームは、固定物体全体にわたって連続的に移動させることができる。あるいは、一実施形態では、スイングアームを静止状態にすることができ、物体を入射X線に対して垂直な面を横断して横方向に移動させることができる。図14は、位相コントラスト撮像システムの実施形態の、物体に対する干渉計の例示的な運動またはその逆を例示する図である。図15は、検出器平面で測定される1周期の縞パターン縞上へ、物体の個々のスライスを投影する、物体走査の概略を例示的に示す図である。図14図15で示される三角形、円形、および正方形は、例示的な物体の異なる部分を指す。物体および固定したG1、G2、およびDを有するスイングアームが互いに対して移動すると、それらの物体の部分が、以降の時間インスタンスで、縞パターンの異なる横方向位置に個々に投影される。物体全体の走査が完了した後、三角形、円形、四角形等の物体の個々の部分が、異なる強度で、複数回測定される(例えば、N=8)。換言すれば、例示的な形状(例えば、三角形、円形、および正方形)のそれぞれは、図7で示されるものに類似するそれらの個々の強度曲線を有する。図16は、物体(例えば、三角形、円形、および正方形)の個々のスライスに対する強度曲線構成の概略を示す。ここでも、本明細書で説明されるフーリエに基づく再構築手法を、強度曲線のそれぞれに適用して、スライスのそれぞれについて、透過、微分位相、および暗視野画像を形成することができる。次いで、スライス画像をともに組み合わせるか、またはステッチして、完全な物体の画像(複数可)を形成することができる。
【0087】
同調PCIシステムの事例について描写される図2の機能図はまた、離調PCIシステムにも適用するができる。しかしながら、離調PCIシステム実施形態について、離調PCI構成では回折格子がもはやステップされないので、ピエゾ変換ステージは必要とされない。
【0088】
ある例示的な実施形態によれば、方法を提供することができ、該方法は、放射線撮像のためのX線発生器を提供することと、ビーム制限装置および線源回折格子G0を備えるビーム成形アセンブリを提供することと、位相回折格子G1および分析器回折格子G2を備えるX線回折格子干渉計を提供することと、位相回折格子G1から所定の距離で位相回折格子G1によって作成される干渉パターンのピッチに対して、分析器回折格子G2のピッチをオフセットすることと、を含むことができる。1つの方法の実施形態において、位相回折格子G1および分析器回折格子G2の相対位置は、物体の走査の間変化せず、所定の距離は、タルボ距離である。1つの方法の実施形態は、0.1cmよりも大きい、または分析器回折格子G2のかなりの部分にわたって縞パターンを作成することを含むことができる。1つの方法の実施形態において、回折格子G1、回折格子G2、および検出器Dは、1つの相対位置に固定し、スイングアームに取り付け、物体を撮像するように移動させることができ、回折格子G1および回折格子G2の相対位置は、非ゼロのΔfを提供する。1つの方法の実施形態では、縞パターンが分析器回折格子G2のピッチによって作成され、該ピッチが分析器回折格子G2の位置で位相回折格子G1によって作成される干渉パターンのピッチと異なるか、または縞パターンが分析器回折格子G2の位置によって作成され、分析器回折格子G2のピッチが干渉パターンのピッチに等しいときに、該位置がタルボ距離からオフセットされる。
【0089】
スロット走査回折格子に基づく微分位相コントラストシステムおよび/または方法の実施形態は、医療用撮像、小動物の撮像、セキュリティスクリーニング、工業用比破壊試験、および食品の検査を含む、広範囲にわたる潜在的応用を提供することができる。本出願による実施形態はまた、中性子および原子ビーム等の他の形態の放射線を使用する位相コントラスト応用にも使用することができる。本出願による実施形態は、臨床的応用について高い効率および大きい視野を有する、頑健で低コストの位相コントラストマンモグラフィシステムを提供することができる。
【0090】
さらに、本出願による実施形態(例えば、回折格子に基づくPCI)を断層撮影走査と組み合わせたときに、物体におけるX線屈折率の3次元分布、ならびに吸収断層撮影において一般的に取得される吸収係数の分布を再構築することができる。
【0091】
本発明を1つ以上の実施形態に関して例示してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、示される実施例に修正および/または変更を行うことができる。加えて、本発明の特定の特徴は、複数の実現形態のうちの1つだけに関して説明されている可能性があるが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の機能に対して所望され、有利であるように、他の実現形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。「〜のうちの少なくとも1つ」という用語は、列記される品目のうちの1つ以上を選択できることを意味するように使用される。「約」という用語は、変更が例示される実施形態に対して過程または構造の不適合をもたらさない限り、列記された値が幾分変更される可能性があることを示す。最後に、「例示的」という用語は、その説明が理想的であるということを暗示するのではなく、むしろ一例として使用されることを示す。当業者には、本明細書を考慮し、本明細書で開示される本発明を実践することによって、本発明の他の実施形態が明らかになるであろう。仕様および実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
図1
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図6A
図6B
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