(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3判定部は、前記第1判定部により前記帯状領域に描画像があると判定され、前記第1判定部によりその描画像が前記2つの画像間の境界を示す境界画像以外の画像であると判定された場合、前記第2判定部による判定結果に拘わらず、前記2つの画像を結合すべきであると判定する請求項1に記載の画像処理装置。
前記画像結合部により結合された画像の画像サイズと前記画像結合部により結合されなかった画像の画像サイズとを同じサイズに調整する画像サイズ調整部を更に備える請求項1に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
まず、
図1及び
図2を参照して本発明の実施形態に係る画像処理装置1の概略構成について説明する。画像処理装置1は、画像読取機能やファクシミリー機能、画像形成機能などを備えた複合機である。
図1に示されるように、画像処理装置1は、画像読取部2、原稿カバー3、自動原稿送り装置(Auto Document Feeder;以下、ADFという)4、画像形成部5、操作表示部6(
図2参照)、給紙カセット7、通信インターフェイス(I/F)部8(
図2参照)、及びこれらを制御する制御部9(
図2参照)を備えている。なお、本発明に係る画像処理装置の一例として複合機である画像処理装置1を例示して説明するが、本発明はこれに限られず、例えばプリンター、ファクシミリー装置、複写機あるいはスキャナー装置も本発明に係る画像処理装置に該当する。
【0015】
画像読取部2は、原稿から画像データを読み取る画像読取処理を実行する。
図1に示されるように、画像読取部2は、コンタクトガラス10、読取ユニット11、ミラー12,13、光学レンズ14及びCCD(Charge Coupled Device)15などを備えている。
【0016】
読取ユニット11は、LED光源16及びミラー17を備えており、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた移動機構(不図示)により副走査方向18(
図1における左右方向)へ移動可能に構成されている。そして、前記駆動モーターにより読取ユニット11が副走査方向18へ移動されると、LED光源16から画像読取部2の上面に設けられたコンタクトガラス10へ向けて照射される光が副走査方向18へ走査される。
【0017】
ミラー17は、LED光源16から光が照射されたときに、原稿又は原稿カバー3の裏面で反射した反射光をミラー12へ向けて反射させる。ミラー17で反射した光は、ミラー12,13により光学レンズ14に導かれる。光学レンズ14は、入射した光を集光してCCD15に入射させる。
【0018】
CCD15は、受光した光をその光量(輝度の強度)に応じた電気信号(電圧)に変換して制御部9へ出力する光電変換素子である。制御部9では、CCD15からの電気信号を画像処理することにより原稿の画像データを生成する。なお、本実施形態では、撮像素子としてCCD15を用いた例について説明するが、CCD15による読取機構に代えて、CCD15よりも焦点距離の短い密着型のイメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)を用いた読取機構を適用することも可能である。
【0019】
画像読取部2には、原稿カバー3が回動自在に設けられている。原稿カバー3が回動操作されることにより、画像読取部2の上面のコンタクトガラス10が開閉される。原稿カバー3の回動支持部には、リミットスイッチなどのカバー開検出センサー(不図示)が設けられており、ユーザーが原稿の画像を読み取らせようとして原稿カバー3が開けられると、そのカバー開検出センサーが作動して、その検出信号(カバー開検出信号)が制御部9に出力される。
【0020】
ここで、画像読取部2による原稿画像の読み取りは、以下の手順で行われる。まず、原稿がコンタクトガラス10上に載置され、その後、原稿カバー3が閉姿勢にされる。その後、操作表示部6から画像読取指示が入力されると、読取ユニット11を副走査方向18の右向きへ移動させつつLED光源16から連続して順次1ライン分の光が照射される。そして、原稿又は原稿カバー3の裏面からの反射光がミラー17,12,13及び光学レンズ14を介してCCD15に導かれ、CCD15にて受光した光量に応じた光量データが順次制御部9に出力される。制御部9では、光が照射された領域全体における光量データが得られると、その光量データを処理することにより、前記光量データから原稿の画像データを生成する。この画像データは、長方形状の画像を構成する画像データである。
【0021】
なお、原稿カバー3にADF4が設けられている。ADF4は、原稿セット部19にセットされた一以上の原稿を複数の搬送ローラーにより順次搬送して、コンタクトガラス10上に定められた自動原稿読取位置を副走査方向18の右向きへ通過するように原稿を移動させる。ADF4による原稿の移動時は、前記自動原稿読取位置の下方に読取ユニット11が配置され、この位置で読取ユニット11により移動中の原稿の画像が読み取られる。原稿セット部19には、接点信号を出力可能な機械的な原稿検出センサー(不図示)が設けられており、原稿セット部19に原稿がセットされると、前記原稿検出センサーが作動して、その検出信号(原稿検出信号)が制御部9に出力される。
【0022】
図1に示されるように、画像形成部5は、画像読取部2で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から通信I/F部8を通じて入力された印刷ジョブに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成部である。具体的には、画像形成部5は、感光体ドラム20、帯電部21、現像部22、トナーコンテナ23、転写ローラー24、除電部25、定着ローラー26、加圧ローラー27などを備えている。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部5を例にして説明するが、画像形成部5は電子写真方式のものに限られず、インクジェット記録方式のものであっても、或いはそれ以外の記録方式又は印刷方式のものであってもかまわない。
【0023】
ここで、画像形成部5では、給紙カセット7から供給される印刷用紙に対する画像形成処理が以下の手順で行われる。まず、通信I/F部8を通じて印刷指示を含む印刷ジョブが入力されると、帯電部21により感光体ドラム20が所定の電位に一様に帯電される。次に、レーザスキャナユニット(Laser Scanner Unit;LSU 不図示)により感光体ド
ラム20の表面に印刷ジョブに含まれる画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム20の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム20上の静電潜像は現像部22によりトナー像として現像(可視像化)される。なお、現像部22には、トナーコンテナ23からトナー(現像剤)が補給される。続いて、感光体ドラム20に形成されたトナー像は転写ローラー24により印刷用紙に転写される。その後、印刷用紙に転写されたトナー像は、その印刷用紙が定着ローラー26及び加圧ローラー27の間を通過して排出される際に定着ローラー26で加熱されて溶融定着する。なお、感光体ドラム20の電位は除電部25で除電される。
【0024】
図2を参照して、通信I/F部8は、画像処理装置1にインターネット又はLANのような通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータ通信を実行するインターフェイスである。記憶部28は、ハードディスクドライブ(Hard Disc Drive;HDD)等の不揮発性メモリで構成される。
【0025】
記憶部28には、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字等の各種文字の画像データD1が予め記憶されている。また、記憶部28には、これら各種文字の文字列により構成されるワード(言葉、文言、語句)を収集した辞書データD2も予め記憶されている。画像データD1及び辞書データD2は、後述する冊子処理に供される。
【0026】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有するメモリとを備えて構成される。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される記憶部である。制御部9は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各部の動作を制御する。
【0027】
操作表示部6は、表示部29と操作部30とを有する。表示部29は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、操作表示部6を操作するユーザーに対して各種の情報を表示する。操作部30は、表示部29に隣接配置された各種の押しボタンキーや表示部29の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサーなどで構成され、画像処理装置1のユーザーにより各種の指示が入力される。なお、ユーザーが画像読取動作や画像形成動作を実行させるために操作表示部6に対して操作が行われると、その操作信号が操作表示部6から制御部9に出力される。
【0028】
画像処理装置1においては、画像読取部2、画像形成部5、操作表示部6、通信I/F部8、記憶部28及び制御部9が相互にデータの入出力を行うことができるように、各構成要素がデータバス200を介して接続されている。
【0029】
本実施形態に係る画像処理装置1は、冊子を構成する複数の原稿を読取対象としてコピー動作を行う冊子コピーモードを有する。操作表示部6には、画像処理装置1をこの冊子コピーモードに設定するための設定ボタン31(
図2参照)が設けられている。この設定ボタン31が操作されると、画像処理装置1は、冊子コピーモードとなる。
【0030】
冊子の一例を
図3に示す。
図3に示す冊子Sは、積層状態の原稿用紙の長辺方向中央における折り曲げ線に沿って複数のステープル針500が刺し通された上で積層状態の原稿用紙が前記折り曲げ線で折り畳まれた中綴じタイプの冊子(以下、中綴じ冊子400という)である。
図3に示す中綴じ冊子400は、3枚の原稿P1〜P3により構成されており、外側から順に原稿P1、P2、P3が位置する。原稿P1の第1面には、1ページ目及び12ページ目の画像が形成され、その第2面には、2ページ目及び11ページ目の画像が形成されている。原稿P2の第1面には、3ページ目及び10ページ目の画像が形成され、その第2面には、4ページ目及び9ページ目の画像が形成されている。原稿P3の第1面には、5ページ目及び8ページ目の画像が形成され、その第2面には6ページ目及び7ページ目の画像が形成されている。
【0031】
本実施形態に係る画像処理装置1においては、
図4Aに示すように、このような中綴じ冊子400を構成する各原稿がステープル針500の取外しによって分離され、冊子コピーモードの設定状態でそれらの原稿のコピー指示が行われるというケースが生じ得る。なお、
図3、
図4A〜
図4Dの各図における数字は、中綴じ冊子400におけるページ番号を示している。
【0032】
この場合、画像処理装置1が各原稿に対してコピーを実施すると、読取対象が例えば
図3に示す中綴じ冊子400のときには、
図4Bに示すように、それぞれ2ページ分の画像を含んだ6枚分の読取画像100が生成される。ここで、中綴じ冊子400において、見開き状態で左右に隣り合う2つのページの各画像同士に描画像の連続性や関連性がある場合がある。ところが、生成される読取画像における各ページの画像は、
図4Bに示すように、ページ順がばらばらな状態となっている。そのため、各ページの画像をそれぞれ印刷用紙の印刷面に読取順にしたがって印刷すると、新たに生成される印刷物において、画像の配列順がばらばらな状態となり、ユーザーは、連続性や関連性を有する描画像を一体的に視認することができない。
【0033】
本実施形態の画像処理装置1は、見開き状態で左右に隣り合う2つのページの各画像同士に描画像の連続性や関連性がある場合に、それらの描画像が綺麗な形で一体的に視認される印刷物を生成するための冊子処理機能を有している。以下、この点について詳細に説明する。なお、以下においては、中綴じ冊子400のステープル針500が取り外されたことにより分離した各原稿が画像読取部2に読み取られた画像を冊子処理の対象として説明する。
【0034】
制御部9は、この冊子処理機能に関連して、CPUがプログラムを実行することにより、
図2に示すように、画像分割部32、ペア作成部33、第1判定部34、第2判定部35、第3判定部36、画像結合部37及び画像サイズ調整部38を有する。画像分割部32は、画像分割部の一例であり、ペア作成部33はペア作成部の一例である。また、第1判定部34は、第1判定部の一例であり、第2判定部35は、第2判定部の一例である。第3判定部36は、第3判定部の一例であり、画像結合部37は、画像結合部の一例であり、画像サイズ調整部38は、画像サイズ調整部の一例である。
【0035】
画像分割部32は、冊子コピーモードの設定時に機能する。画像分割部32は、
図4Bに示すように、中綴じ冊子400を構成する各原稿に対する画像読取部2の読取動作によって得られた各読取画像100を画像読取部2から取得し、その読取画像100をそれぞれ長辺方向の中央(
図4Bに示す点線の位置)で分割する。これにより、
図4Cに示すように、各読取画像100は、その中綴じ冊子400におけるページ毎に分割される。画像分割部32による分割後の画像を分割画像150という。画像分割部32は、画像取得部の一例である。
【0036】
ペア作成部33は、各分割画像150を中綴じ冊子400のページ順に配列する。具体的には、ペア作成部33は、記憶部28に格納されている文字画像データD1を用いた文字認識機能により各分割画像150に含まれるページ番号を検出し、この検出したページ番号に基づいて、分割画像150をページ順に配列する。
図4Dにおいては、1ページ目から12ページ目までの分割画像150が左から昇順に配列されている。
【0037】
そして、ペア作成部33は、この配列した各分割画像150に対し、中綴じ冊子400を見開き状態とした場合に隣り合う一対のページごとのペアを作成する。なお、ペア作成部33は、本実施形態においては、中綴じ冊子400の表紙及び裏表紙にあたる1ページ目と最終ページをペア作成の対象から外す。
図4Dは、ペア作成部33が、中綴じ冊子400の表紙及び裏表紙にあたる1ページ目と12ページ目を除く2ページ目から11ページ目までのページを対象としてペアを作成した結果、ペア301〜305が設定されたことを示している。
【0038】
第1判定部34は、
図5に示すように、分割画像150のペア301〜305の各々について、ペアに設定された2つの分割画像150に対しその分割端部125を含む所定幅の帯状領域102,103(ハッチング領域)を以下の処理対象に設定する。なお、
図5では、ペアに設定された2つの分割画像150を区別するため、一方の分割画像を分割画像106,他方の分割画像を分割画像107と表している。分割端部125は、境界部分の一例である。
【0039】
第1判定部34は、この帯状領域102,103における描画像の有無を判定する。描画像とは、例えば線画や文字の画像である。第1判定部34は、所定値以下の画素値(一定値以上の濃度)を有する画素が帯状領域102,103に所定数以上存在する場合に、描画像有りと判定する。
【0040】
ペアに設定された2つの分割画像106,107の一例を
図6A〜
図6Hに示す。
図6A〜
図6Eは、帯状領域102,103に描画像が無い2つの分割画像106,107のペア501〜505の一例を示す。
図6F〜
図6Hは、帯状領域102,103に描画像がある2つの分割画像106,107のペア506〜508の一例を示す。
【0041】
2つの分割画像106,107のペアが
図6A〜
図6Eに示すペア501〜505である場合、第1判定部34は、帯状領域102,103における画像データが一様な白データであることに基づき、帯状領域102,103に描画像が無いと判定する。2つの分割画像106,107のペアが
図6F〜
図6Hに示すペア506〜508である場合、第1判定部34は、帯状領域102,103における画像データが部位により相違していることに基づき、帯状領域102,103に描画像があると判定する。
【0042】
第1判定部34は、帯状領域102,103に描画像があると判定した場合、その描画像が、分割画像106,107間の境界線であるか否かを判定する。前記境界線は、境界画像の一例であり、例えば実線や点線とされている。
図6G及び
図6Hは、帯状領域102,103における描画像が境界線180,181である場合の前記2つの分割画像106,107のペア507,508を示している。境界線180,181が、画像読取部2による読取画像100の一対の長辺101の例えば各中央点を通る場合、
図6G及び
図6Hに示すように、境界線180,181は、各分割画像106,107の分割端部125に沿う形で存在する。所定値以下の画素値を有する画素が連続して直線状に並ぶとき、これらの画素は、直線を構成する。また、所定値以下の画素値を有する複数の画素の画素列が間隔を空けて直線状に並ぶとき、これらの画素は、点線を構成する。第1判定部34は、帯状領域102,103内において、分割端部125に沿う形で、所定値以下の画素値を有する画素が上記のような形態で並んでいる場合に、帯状領域102,103における描画像を、画像領域104,105における画像間の境界線と判定する。
【0043】
図6Fに示すペア506は、帯状領域102,103における描画像が、境界線の画像ではなくアルファベット文字「A」,「E」の画像である。
【0044】
前記2つの分割画像106,107のペアが
図6Fに示すペア506である場合、第1判定部34は、帯状領域102,103における描画像を前記境界線の画像ではないと判定する。前記2つの分割画像のペアが
図6G及び
図6Hに示すペア507,508である場合、第1判定部34は、帯状領域102,103における描画像を前記境界線と判定する。
【0045】
第2判定部35は、分割画像106,107における文字の描画像に対し描画連続性の有無を判定する。描画連続性とは、本実施形態では、各分割画像106,107における文字の描画像が、1つのワードや1つのフレーズ(句、文節)を成すように連続する文字(文字列)をそれぞれ示した画像であることをいう。
【0046】
第2判定部35の処理を具体的に説明すると、第2判定部35は、まず、分割画像106,107の各々における描画像の有無を判定する。第2判定部35は、分割画像106,107の各々に描画像が存在すると判定すると、その描画像が文字を示すか否か、及び、文字を示す場合にはどの文字を示すのかを検出する。前述したように、記憶部28には、ひらがな等の各種文字の文字画像データD1(
図2参照)が予め記憶されている。第2判定部35は、検出した描画像をこの文字画像データD1と照合することにより前述の文字検出を行う。
【0047】
さらに、第2判定部35は、分割画像106,107における文字の描画像を検出すると、各画像領域104,105における文字の描画像に対して描画連続性の有無を判定する。すなわち、第2判定部35は、各分割画像106,107における文字の描画像が、1つのワードを成すように連続する文字(文字列)をそれぞれ示した画像であるか否かを判定する。前述したように、記憶部28には辞書データD2(
図2参照)が予め記憶されている。第2判定部35は、その文字列をこの辞書データD2と照合することにより前述のワード検出を行う。第2判定部35は、検出した文字列が辞書データにワードとして登録されていると、各分割画像106,107における文字の描画像に対して描画連続性が有ると判定する。一方、検出した文字列が辞書データにワードとして登録されていない場合、第2判定部35は、描画連続性が無いと判定する。
【0048】
図6Aに示すペア501は、左側の分割画像106に「300」の数字が、右側の分割画像107に「PQ」の文字が形成されている。ここで、「300」の数字及び「PQ」の文字の連続により構成される一群の文字列は1つのワードやフレーズを構成するものではない。したがって、第2判定部35は、
図6Aに示すペア501については描画連続性が無いと判定する。
【0049】
図6Bに示すペア502は、左側の分割画像106に「TEST1」の文字が、右側の分割画像107に「TEST2」の文字が形成されている。ここで、「TEST1」の文字及び「TEST2」の文字の連続により構成される一群の文字列は、1つのワードやフレーズを構成するものではない。したがって、第2判定部35は、
図6Bに示すペア501については描画連続性が無いと判定する。
【0050】
図6Cに示すペア503は、左側の分割画像106にも右側の分割画像107にも「ABCDEFG」の文字が形成されている。このように左側の分割画像106にも右側の分割画像107にも同じ文字列が形成されるケースとして、デフォルト設定により例えば社名等が形成されるケースが考えられる。
図6Cに示すペア503の場合、これら2つの「ABCDEFG」の文字の連続により構成される一群の文字列は、1つのワードやフレーズを構成するものではない。したがって、第2判定部35は、
図6Cに示すペア503については描画連続性が無いと判定する。
【0051】
図6Dに示すペア504は、右側の分割画像107にのみ「ABCDEFG」の文字が形成されており、左側の分割画像106には何も描画されていない。このように、一方の領域に描画像が無い場合、第2判定部35は、このペアについては描画連続性が無いと判定する。
【0052】
図6Eに示すペア505は、左側の分割画像106に「TE」の文字が、右側の分割画像107に「ST」の文字が形成されている。「TE」及び「ST」の文字の連続により構成される一群の文字列は、「TEST」という1つのワードを構成する。したがって、第2判定部35は、
図6Eに示すペア505については描画連続性が有ると判定する。
【0053】
第3判定部36は、第1判定部34による検出結果と第2判定部35による判定結果とに基づいて、このペアに係る2つの分割画像106,107を結合すべきか否かを判定する。
【0054】
具体的には、第3判定部36は、第1判定部34により帯状領域102,103に描画像有りと判定されず、且つ、第2判定部35により各分割画像106,107における文字の描画像に描画連続性が無いと判定された場合は、この2つの分割画像106,107を結合する必要はないと判定する。したがって、2つの分割画像106,107のペアが
図6A〜
図6Dに示すペア501〜504である場合、第3判定部36は、これらのペア501〜504に係る2つの分割画像106,107を結合する必要はないと判定する。
【0055】
一方、第3判定部36は、第1判定部34により帯状領域102,103に描画像無しと判定され、且つ、第2判定部35により各分割画像106,107における文字の描画像に描画連続性が有ると判定された場合は、このペアに係る2つの分割画像106,107を結合すべきであると判定する。したがって、2つの分割画像106,107のペアが
図6Eに示すペア505である場合、第3判定部36は、このペア505に係る2つの分割画像106,107は結合すべきであると判定する。
【0056】
さらに、第3判定部36は、第1判定部34により帯状領域102,103に前記境界線の画像が検出された場合、第2判定部35による判定結果に拘わらず、この2つの分割画像106,107を結合する必要はないと判定する。したがって、2つの分割画像106,107のペアが
図6G及び
図6Hに示すペア507,508である場合、第3判定部36は、これらのペア507,508に係る2つの分割画像106,107を結合する必要はないと判定する。
【0057】
また、第3判定部36は、第1判定部34により帯状領域102,103に前記境界線以外の画像が検出された場合、この2つの分割画像106,107を結合すべきであると判定する。したがって、2つの分割画像106,107のペアが
図6Fに示すペア506の場合、第3判定部36は、このペア506に係る2つの分割画像106,107を結合すべきであると判定する。
【0058】
画像結合部37は、
図7の上段図及び中段図に示すように、第3判定部36により結合すべきであると判定されたペアの分割画像106,107について、画像の結合を行う。
図6A〜
図6Hに示すペア501〜508についていえば、画像結合部37は、結合すべきであると判定された
図6E及び
図6Fに示すペア505,506に係る2つの分割画像106,107を結合する。画像結合部37は、これらのペア505,506に係る2つの分割画像106,107を分割端部125で結合する。画像結合部37は、分割画像106,107の結合を行うに際し、分割画像106の描画像と分割画像107の描画像との位置を揃えたり、濃度をあわせたりするなどの画像処理を行う。画像結合部37は、このようにして結合した結合画像を画像サイズ調整部38に出力する。
【0059】
画像サイズ調整部38は、画像結合部37による結合画像の画像サイズと結合されなかった画像の画像サイズとを合わせるサイズ調整を行う。本実施形態では、画像サイズ調整部38は、結合画像の画像サイズを結合されなかった画像の画像サイズに合わせる。例えば、
図7の中段図及び下段図に示すように、結合された2つ分割画像106,107がそれぞれA4サイズを有する画像である場合、結合画像はA3サイズとなる。画像サイズ調整部38は、このA3サイズの結合画像を、結合されなかった画像の画像サイズである横向きA4サイズに縮小する処理を行う。
【0060】
次に、制御部9による冊子処理について説明する。
図8は、制御部9により行われる冊子処理のフローチャートである。原稿セット部19に原稿がセットされ、且つ、冊子コピーモードに設定された状態でコピー指示が行われた場合に、制御部9は、この冊子処理を実行する。なお、
図8のフローチャートにおいてステップS1、S2、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。
【0061】
ユーザーにより冊子コピーモードに設定された状態でコピー指示が行われると(ステップS1でYES)、画像読取部2は、原稿の画像を読み取る(ステップS2)。画像分割部32は、この読取動作によって得られた各読取画像100をそれぞれ長辺方向の中央で分割する(ステップS3)。これにより、各読取画像100は、その中綴じ冊子400におけるページ毎に分割され、分割画像150(106,107)が生成される。
【0062】
また、ペア作成部33は、各分割画像106,107に対してペアを作成する処理を行う(ステップS4)。すなわち、ペア作成部33は、まず、各分割画像106,107を中綴じ冊子400のページ順に配列する。また、ペア作成部33は、記憶部28に格納されている文字画像データD1を用いた文字認識機能により各分割画像106,107に含まれるページ番号を検出する。ペア作成部33は、この検出したページ番号に基づいてページ順に分割画像106,107を配列する。そして、ペア作成部33は、この配列した各分割画像106,107に対し、中綴じ冊子400を見開き状態とした場合に隣り合う一対のページごとのペアを作成する。なお、このとき、ペア作成部33は、各ペアに対してペア番号を付する。
【0063】
次に、制御部9は、ペア番号が「1」のペアを処理対象に設定する(ステップS5)。第1判定部34は、このペアに係る2つの分割画像106,107の帯状領域102,103に描画されているか否かを判定する(ステップS6)。
【0064】
その結果、第1判定部34は、帯状領域102,103に描画されていないと判定すると(ステップS6でNO)、第2判定部35は、分割画像106,107における文字の描画像の検出処理を行う(ステップS7)。第2判定部35は、分割画像106,107にそれぞれ文字の描画像が存在することを検出した場合、それらの文字の連続により構成される文字列が1つのワードを構成するか否か、すなわち、描画連続性が有るか否かを判定する(ステップS8)。
【0065】
ステップS8において第2判定部35により描画連続性があると判定された場合(ステップS8でNO)、第3判定部36は、この一連の判定を受けてこのペアに係る2つの分割画像106,107を結合すべきであると判定する(ステップS9)。画像結合部37は、この第3判定部36の判定結果を受けて2つの分割画像106,107を結合し(ステップS10)、ステップS12の処理に進む。
【0066】
なお、ステップS8において、第2判定部35により描画連続性が無いと判定された場合は(ステップS8でYES)、制御部9は、ステップS9,S10の処理をスキップしてステップS12の処理を行う。
【0067】
また、ステップS6において、第1判定部34は、帯状領域102,103に描画されていると判定すると(ステップS6でYES)、その描画像が前記境界線の画像か否かを判定する(ステップS11)。その結果、第1判定部34は、前記描画像を前記境界線の画像でないと判定すると(ステップS11でNO)、ステップS9の処理に進む。また、第1判定部34がこの描画像を前記境界線の画像と判定すると(ステップS11でYES)、ステップS12の処理に進む。
【0068】
ステップS12において、制御部9は、全てのペアについてステップS6〜S11の処理が終了したか否かを判定する。制御部9は、全てのペアについてステップS6〜S11の処理が終了していないと判定すると(ステップS11でNO)、1だけインクリメントしたペア番号のペアを処理対象に設定し(ステップS13)、そのペアについてステップS6〜S11の処理を行う。
【0069】
一方、制御部9は、全てのペアについてステップS6〜S11の処理が終了したと判定すると(ステップS12でYES)、画像サイズ調整部38は、画像結合部37により結合された画像の画像サイズを結合されなかった画像の画像サイズに合わせるサイズ調整を行う(ステップS14)。そして、制御部9は、これらの画像を画像形成部5に出力する(ステップS15)。画像形成部5は、これらの画像を結合されなかった画像の画像サイズに合った用紙に印刷する。画像形成部5は、各画像を印刷用紙の各印刷面にそれぞれ印刷する。なお、このときの印刷形態は、片面印刷でもよいし、両面印刷でもよい。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置1は、画像読取部2で読み取った画像をその長辺方向中央で分割する。また、各分割画像106,107をページ順に並べ替えてペアを作成する。また、各ペアにおける2つの分割画像106,107の帯状領域102,103における描画像の有無を判定する。また、分割画像106,107同士における描画像の連続性や関連性を判定する。そして、これらの判定結果に応じて、2つの分割画像106,107の結合の要否を判定する。
【0071】
具体的には、画像処理装置1は、分割画像106,107同士に描画連続性があるときには、帯状領域102,103に描画されていない場合であっても、この2つの分割画像106,107を結合する。これにより、前記のように片面印刷又は両面印刷された場合に、これら2つの分割画像106,107が1枚の用紙の一方の印刷面に左右に並ぶことになる。これにより、ユーザーは、描画連続性のある2つの描画像を一体的に視認することができる。また、分割画像106,107が別個の画像として取り扱われる場合に比べて良好な画像品質を有する画像を生成することができる。
【0072】
特に本実施形態では、分割画像106の描画像と分割画像107の描画像との位置を揃えたり、濃度をあわせたりするなどの画像処理を行ったうえで2つの分割画像106,107を結合する。これにより、さらに良好な画像品質を有する画像を生成することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る画像処理装置1は、帯状領域102,103に描画されている場合に、その描画像が境界線以外の画像であるときにも、2つの分割画像106,107を結合する。これによっても、中綴じ冊子400の2ページ分の描画像を含んだ原稿画像から良好な画像品質を有する画像を生成することができる。
【0074】
また、本実施形態では、結合された画像の画像サイズが、結合されなかった画像の画像サイズに合わせられる。これにより、指定された印刷用紙が、結合されなかった画像の画像サイズに対応するものである場合に、画像結合部37による結合画像をそのサイズの用紙にあわせて印刷出力することができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した内容のものに限られず、種々の変形例が適用可能である。
【0076】
前記実施形態では、中綴じ冊子400のステープル針500が取り外されることによって分離した原稿をコピーして冊子を片綴じ作成するための印刷物を生成する処理について説明した。ただし、ステープル針500が取り外されることなく見開き状態でコピーする場合も同様の処理を行うことで、前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0077】
見開き状態の中綴じ冊子400をコピーする場合、表紙となる1ページ目と、裏表紙となる12ページ目は、別々に読み取られることが多い。この場合、
図9Bに示すように、それぞれ2ページ分の画像を含んだ7枚分の読取画像100が生成される。1ページ目及び12ページ目の画像をそれぞれ読み取った読取画像100は、半分が所謂黒べたの画像となる。
図9Bの網掛けハッチング領域が前記黒べたの画像を示している。
【0078】
画像分割部32は、
図9Bに示すように、中綴じ冊子400を構成する各原稿に対する画像読取部2の読取動作によって得られた各読取画像100をそれぞれ長辺方向の中央(
図9Bに示す点線の位置)で分割する。これにより、
図9Cに示すように、各読取画像100は、その中綴じ冊子400におけるページ毎に分割され、分割画像150が生成される。そして、各分割画像150を中綴じ冊子400のページ順に配列する。なお、このとき、前記黒べたの分割画像150は削除される。
【0079】
そして、
図4Dに示すように、ペア作成部33は、この配列した各分割画像150に対し、中綴じ冊子400を見開き状態とした場合に隣り合う一対のページごとにペアを作成する。なお、ペア作成部33は、本実施形態においても、中綴じ冊子400の表紙及び裏表紙にあたる1ページ目と最終ページをペア作成の対象から外す。
図4Dは、ペア作成部33が、中綴じ冊子400の表紙及び裏表紙にあたる1ページ目と12ページ目を除く2ページ目から11ページ目までのページを対象としてペアを作成した結果、ペア301〜305が設定されたことを示している。これ以降、第1の実施形態と同様の処理を行えばよい。
【0080】
本件における処理対象の冊子には、中綴じタイプの冊子に限らず、片面又は両面に1ページ分の画像がそれぞれ形成された複数の原稿が左綴じ又は上綴じによって構成された所謂片綴じ冊子も含まれる。そして、それらの冊子につき、ステープルを取り外すことなく見開き状態でコピーする場合は、
図9A〜
図9Dに示す分割処理を含む一連の冊子処理を行うことで、前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0081】
一方、前記片綴じ冊子のステープル針500が取り外されることによって分離した原稿をコピーする場合は、1ページずつ画像が読み取られるため、1つの読取画像には1ページ分の画像しか含まれない。そのため、分割処理を行う必要が無い。よって、ページ順に読み取った場合には、前記各読取画像をペアの作成対象とし、以降、第1の実施形態と同様の処理を行えばよい。
【0082】
前記実施形態では、画像読取部2で読み取られた画像を冊子処理の対象画像とした。ただし、本件は、この形態に限らず、他の機器から受信した受信画像を冊子処理の対象とすることもできる。この受信画像が、前記中綴じ冊子や前記片綴じ冊子の2ページ分の描画像を含んだ原稿画像である場合、この原稿画像を前記のように分割する必要がある。この場合、画像分割部32が画像処理装置1の制御部9に設けられる。また、受信画像が前述のような分割画像である場合は、画像分割部32を設ける必要はなく、通信インターフェイス部8が画像取得部として機能する。
【0083】
また、前記実施形態では、冊子処理後の画像の用途を印刷出力用としたが、その用途は印刷出力用に限られない。例えば、他の機器への送信用としてもよいし、自機(画像処理装置1)による保存用としてもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、画像結合部37により結合された画像の画像サイズを、結合されなかった画像の画像サイズに合わせるようにした。ただし、逆に結合されなかった画像の画像サイズを、画像結合部37により結合された画像の画像サイズに合わせるようにしてもよい。なお、本件において、このような画像のサイズ調整は必須のものではなく、サイズ調整を行わなくてもよい。