【実施例】
【0022】
本発明の一実施例である四面立体包装体の袋体は、最初は平袋体から構成される。まず、平袋体の製造工程の一例を第1図、第2図及び第3図に基づいて説明する。
【0023】
第1図は、本発明の一実施例の四面立体包装体を構成する平袋体の製造するファスナーを有するシートの平面図である。第1図において、シートSHは、透明、半透明、或いは不透明のプラスチックシートである。又、シートSHは、ラミネートシートや紙シートでも良い。
【0024】
シートSHの寸法は、縦が60cm、横が25cm、厚さが30〜50μmである。このシートSHは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等自然に易しい材料のほか、塩化ビニール等で形成され、ロール状に巻かれたシートから前記寸法に適宜裁断して使用する。
【0025】
第1図に示す平袋体の製造工程において、シートSHは内部にレール状のファスナーfsを有している。ファスナーfsは、凹条紐体fs1と凸条紐体fs2で構成される。シートSHは長手方向中心線c1を有している。このシートSHの中心線c1から左方向に距離sだけ離れた位置に、ファスナーfsの凹条紐体fs1がファスナーfsのシートSHに熱融着されている。
【0026】
同様に中心線c1から右方向に距離d1だけ離れた位置には、ファスナーfsの凸条紐体fs2がシートSHに熱融着されている。凸条紐体fs2は凹条紐体fs1に挿入され、或いは離脱される。開封と閉止する凸条紐体fs2を熱融着する。ファスナーfsの長さはシートSHの幅と同等の長さか、シートSHの幅より若干短い。
【0027】
第2図は、平袋体を製造するファスナーを有するシートの折り曲げ図である。シートSHは中心線c1で折り返し、折り曲げられる。シートSHは、シートSHの中心線c1の両側に、上方側(表側)シートsh1と下方側(裏側)シートsh2で構成されている。
【0028】
第3図は、ファスナーを有するシートの完全な折り曲げ図である。第3図において、シートSHが折り返し、折り曲げられた後は、折り返えされたシートSHの上方から圧力を加え、ファスナーfsの凸条紐体fs2が凹条紐体fs1に押し込まれ、挿入される。
【0029】
第4図は、第3図のIV―IV線に沿ったファスナーを有するシートの断面図である。第4図において、ファスナーfsの凸条紐体fs2が凹条紐体凸条体fs1に押し込まれ、挿入され、ファスナーfsは封止され、ファスナーfsはシートSHに熱融着方法で固定される。第4図において、ファスナーfsは指の力で閉止され、ファスナーfsは指で引き出して開封される。ファスナーfsは指の力で閉じられ、指で引き出して開かれる。
【0030】
第5図は、本発明の一実施例の四面立体包装体として供される袋体の平面図である。熱融着をするとき、シートSHやファスナーfsに印加する電磁誘導加熱や超音波加熱エネルギーの時間や、熱融着部分の幅等を調整することにより、熱融着部分を弱くして切り裂き可能にし、或いは熱融着部分を強くして切り裂きを困難にすることができ、使用状態に応じて選択できる。
【0031】
第5図において、平袋体BGは、左側面シーム(第1側面シーム)11と右側面シーム(第2側面シーム)12で構成されている。左側面シーム11は辺A―Bで示される。右側面シーム12は左側面シーム11の対向面に設けられ、辺C―Dで示される。この左側面シーム11と右側面シーム12は、平袋体BGの折り曲げ部(第1折り曲げ部と第2折り曲げ部)としてそれぞれ形成することができる。
【0032】
左側面シーム11と右側面シーム12はそれぞれ、左側面シーム11と右側面シーム12を引き裂いて開封することを目的とする場合は、弱い熱融着方法で形成する。しかしながら、左側面シーム11と右側面シーム12はそれぞれ、左側面シーム11と右側面シーム12の引き裂きを目的としない場合は、強い熱融着方法で形成する。
【0033】
左側面シーム11と右側面シーム12は、超音波や電磁誘導波による熱融着のほか、ニクロム線に代表される熱線方法による封止も可能である。
【0034】
左側面シーム11と右側面シーム12は、素材のシートよりも部分的に極端に薄くして筋条(線条、紐条)に形成される。更に、左側面シーム11と右側面シーム12は、シート素材がシームに沿って縦方向に引き裂くことができる方向性を持ったシートでも代用することができる。
【0035】
左側面シーム11と右側面シーム12は、充分な気密性を具備している。しかしながら、左側面シーム11と右側面シーム12は、簡単、且つ、確実に開封できるようにするために、封止強度は指で切り裂く程度の弱いものとしている。左側面シーム11と右側面シーム12のシール幅を0.2mm程度、又はそれ以下としたところ、子供でも容易に切り裂くことができる左側面シーム11と右側面シーム12が得られた。
【0036】
平袋体BGは、辺B−Cで示される開口部(開口)した下部側面13を有している。平袋体BGは、両コーナ部をそれぞれ扇形に切り取って2つの引き裂きガイド14を形成し、この2つの引き裂きガイド14は、平袋体BGの左側面シーム11と右側面シーム12の間に設けられている。
【0037】
平袋体BGは、辺A−Dで示される上側面折り曲げ部15で構成され、この上側面折り曲げ部15は、シート材そのものの中心線c1で折り返して完全な封止箇所としている。この上側面折り曲げ部15は、第4図の折り返される中心線c1に相当する。
【0038】
又、上側面折り曲げ部15とは別に、開放している上辺として、シートSHの表側シートsh1と裏側シートsh2の所定の幅w1を熱融着して、上端側面シーム(第4側面シーム)16が形成されており、この上端側面シーム16を用いて密封しても良い。上端側面シーム16は、ファスナーfsから上方に設けられ、気密性を確実に高める。
【0039】
ファスナーfsは、上側面折り曲げ部15から所定の距離だけ隔てて平袋体BGの内面に設けられている。ファスナーfsは、気密パックと呼ばれる袋の開口部に使用されているものと同様のものである。気密パックは、冷蔵庫や冷凍庫に食物を保存するために袋の開口部に使用されている。
【0040】
ファスナーfsは、レール状樹脂で形成され、ファスナーfsを閉じている状態、開放している状態に拘わらず、自己が有する弾力によって直線状態に復元しようとする作用を有する。平袋体BGは第5図のように完成される。平袋体BGは、封止するファスナーfsと左側面シーム11と右側面シーム12の2つの熱融着構成による気密性平袋体BGである。
【0041】
平袋体BGの上辺部には、ファスナーfsとその先端縁に上側面折り曲げ部15を設けているので、ファスナーfsの閉塞性が若干損なわれてもシートSHの折り返しでなされた上側面折り曲げ部15が確実に封止し、内容物、とりわけ液状物質も確実に封止され、外部に漏れることはない。
【0042】
平袋体BGは、左側面シーム11と右側面シーム12で上端側面シーム16とファスナーfsの間に2つの三角状切り込み部17を構成している。この切り込み部17から平袋体BGの上辺部を上方横方向に切り裂くことにより、上側面折り曲げ部15と上端側面シーム16を平袋体BGから切り離すことができる。平袋体BGは、切り込み部17に直線状切り離し部を有しており、この直線状切り離し部は、平袋体BGから上端側面シーム16を切り離し、分離する多数の孔を有している。
【0043】
切り込み部17は、単にはさみで切り込みをつける方法、第5図に示すように三角形状に切り込みをつける方法もある。又、切り込み部17は1個であっても良い。横方向に切り裂き性のあるシートを使用して平袋体BGを構成すれば不要であるが、矢印等の切り裂き箇所を示す印は必要である。
【0044】
平袋体BGは、縦が30cm、横が25cmである。平袋体BGは、四面立体包装体に変形している。大容量の立体包装体に変形した平袋体BGは、食物を小出しにして食し、残りの食物は四面立体包装体PCで保存することを想定している。
【0045】
次に、第5図に示した平袋体BGを使用して四面立体包装体PCを形成するための手順及び方法を第6図及び第7図に基づき説明する。
【0046】
第6図は、第5図の袋体を逆さにした四面立体包装体の斜視図である。第6図において、ファスナーfsが確実に閉められており、ファスナーfsは下方に位置している。従って、この状態では、上側面折り曲げ部15は下方に位置し、下部側面13は上辺開口部18となる。
【0047】
この状態で、上部開口部18を第6図に示すように大きく広げ、ベビーリーフ等の野菜、赤飯、ピラフ等のご飯物、おつまみ等の食物やそのほかの被包装物を収納する。被収納物としては、プラスチックモデルの部品やネジ等の小物等が考えられ、その種類の品物でも袋体BGに収納できる。
【0048】
尚、上部開口部18から四面立体包装体PCに野菜等を投入するときに空気も一緒に流入し封止されるので、四面立体包装体PCの形状が保持され、内容物が押し潰されたりしないので、四面立体包装体PCは輸送中に損傷してはいけないイチゴやサクランボ、野菜、或いはそれ以外の包装に適している。
【0049】
第6図において、収納物が上部開口部18から袋体BGに収納された後、引き裂きガイド14に設けた左角部Bは引き裂きガイド14に設けた右角部Cに合わせ、接合される。開口下部側面13の角部Bは、開口下部側面13の角部Bに対向した角部Cに合わせ、接合される。
【0050】
開口下部側面13は、所定の広幅側面シーム(第3側面シーム)19で封止される。広幅側面シーム19は、ファスナーfsにほぼ直交して平袋体BGに設けられる。従って、トラス状立体構成の四面立体包装体PCが得られる。
【0051】
開口下部側面13の左角部Bと開口下部側面13の右角部Cは合わせ、接合される。このとき開口下部側面13は、開口を有しない下部側面となる。開口を有しない下部側面は、広幅側面シーム(第3側面シーム)19で封止される。
【0052】
広幅側面シーム19のシール幅は10ミリメートル程度とし、広幅側面シーム19は確実に封止し、広幅側面シーム19の一部から指等では開封困難な強さとしている。広幅側面シーム19は、袋体BGの四面立体構成を維持する。広幅側面シーム19の熱封止方法には種々の方法があり選択的に採用される。
【0053】
第7図は、袋体のファスナーを下方に位置させた四面立体包装体の斜視図である。第7図において、4つの角部である角部E、角部F、角部G、角部Hを含む4つの側面を有する広幅側面シーム19がトラス構成で得られた。四面立体包装体PCの袋体BGは、広幅側面シーム19を有し、広幅側面シーム19は熱融着方法で形成される。四面立体包装体PCにおいて、広幅側面シーム19は袋体BGのファスナーfsに対し直交している。
【0054】
袋体BGを封止する際に、炭酸ガス等を封入すれば、野菜の鮮度を長期間維持することができ、輸送に数日要するものにも容易に適用できる。収納物に応じて封入するガスを変えることもできる。
【0055】
第8図は、袋体のファスナーを上方に位置させた四面立体包装体の斜視図である。四面立体包装体PCは四面立体形状で、トラス状四面立体包装体を構成している。四面立体包装体PCは、上部にファスナーfs、左側面シーム(第1側面シーム)11と右側面シーム(第2側面シーム)12、広幅側面シーム(第3側面シーム)19及び上側面シーム(第4側面シーム)16からなる四面立体袋体BGを有している。広幅側面シーム19は、ファスナーfsに対しほぼ直交方向に形成されている。
【0056】
次に、食物等を収納した四面立体包装体PCを開封し、食する場合について説明する。第9図は、四面立体包装体の説明図で、ファスナーfsを開封し、切り欠き部17から切り裂きガイドの孔に沿ってファスナーfsの上方端を引き裂いている。
【0057】
まず、普通に食したいときは、ファスナーfsを開けて収納された食物を所望の量だけ四面立体包装体PCから取り出し食すればよい。食物が残った場合は、再びファスナーfsを閉じて四面立体包装体PCを冷蔵庫等に保存する。
【0058】
ファスナーfsは比較的硬化で直線状に成形されているので、開封等のため外力により湾曲させても外力を開放すると元の直線状体態に復元するように作用する。この復元力は、開封しているときも同様であり、ファスナーfs部は常に下方側面13に対して直角に維持しようと作用している。
【0059】
すなわち、シートSHに対して比較的合成の高いファスナーfsを設ければ、ファスナーfsが自動的に保形する。四面立体包装体PCを再び封止するとき空気が自然に四面立体包装体PCの中に流入し、空気が満たされた状態で四面立体を維持できる。
【0060】
又、このとき、他よりも剛性が強い左側面シーム11と右側面シーム12は四面立体形状を保持するための補強リブ(支柱)の機能を果たし、四面立体形状の崩れを防止している。従って、ファスナーfsの開封・封止時に、ファスナーfsの協働によって、左側面シーム11と右側面シーム12は、四面立体形状の四面立体包装体PCを確実に保持することができる。
【0061】
いいかえれば、四面立体包装体PCを再封止するときに、四面立体形状の四面立体包装体PCに自然に保形されるため、新規に空気を四面立体包装体PCに吹き込む必要がなく、四面立体包装体PCを四面立体形状に容易に維持できる。
【0062】
これにより、食後に空気が充分に充填された四面立体包装体PCが再現され、その形が維持できるので、内部に収納されたベビーリーフやその他の食物が潰れることがなくなり、鮮度を保持しつつ保存できる。これは、従来の平袋では達成できない効果である。以上が、主として第1の効果を達成するための具体的構成である。
【0063】
次に、前記構成に基づいて第2の効果を達成する具体例を説明する。収納された食物の全部を一度で食する場合は、左側面シーム11と右側面シーム12を引き裂いて、引き裂きガイド14(角部B及び角部C)から左側面シーム11と右側面シーム12に沿って引き裂いて開封する。このとき左側面シーム11と右側面シーム12は、ファスナーfsを熱融着した部分の角部G及角部Hに位置させられる。
【0064】
第7図において、左側面シーム11と右側面シーム12は引き裂かれている。四面立体包装体PCは皿状を呈している。すなわち、四面立体包装体PCは食器として供することができる。
【0065】
開封後は、四面立体包装体PC自身が食器として機能するので、食するための食器等を別に用意する必要もない。一方、WO2007/119780A1号特許公報に示される従来の四面立体包装体では、一旦引き裂き開封すると再び密封することできないので、残った食物がある場合は、捨てるか、あるいは別の容器に移し替えて保存する必要があり、勿体無いと同時に面倒である。
【0066】
第10図は、袋体のファスナーを開封した四面立体包装体の説明図である。本発明によれば、使用者が何回かに分けて食したい場合は、四面立体包装体PCをひっくり返し、ファスナーfsが上方になるようにする。ついで第9図のように、切り込み部17から横方向に切り裂いて、上側面折り曲げ部15と上端側面シーム16を切り離し、ファスナーfsが臨めるようにする。
【0067】
この状態で上側面折り曲げ部15と上端側面シーム16が切り離なされ、本発明の四面立体包装体PCでは、ファスナーfsが臨め、第10図のようにファスナーfsを開封すれば、必要な量の食物等を取り出し、食することができる。残りの食物については、ファスナーfsを再び閉め密閉し、冷蔵庫等に保存すればよい。
【0068】
このように本発明によれば、四面立体包装体PCにおいて、食する状態に応じて開封方法を選択することができ、とりわけ開封したときに食器の機能を有する大容量の四面立体包装体PCにおいて効果的である。