特許第6177451号(P6177451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

特許6177451モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置
<>
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000002
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000003
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000004
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000005
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000006
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000007
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000008
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000009
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000010
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000011
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000012
  • 特許6177451-モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177451
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】モーター駆動装置、シート搬送装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/15 20160101AFI20170731BHJP
   H02P 6/24 20060101ALI20170731BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H02P6/15
   H02P6/24
   H02P27/08
【請求項の数】12
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-551873(P2016-551873)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(86)【国際出願番号】JP2016052640
(87)【国際公開番号】WO2016132862
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2016年8月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-28827(P2015-28827)
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-28828(P2015-28828)
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-28829(P2015-28829)
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】山岸 友樹
(72)【発明者】
【氏名】大西 賢一
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−312336(JP,A)
【文献】 特開2002−137479(JP,A)
【文献】 特開2010−233415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/15
H02P 6/24
H02P 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モーターに対する指令速度に応じたパルス幅のパルスを複数含む減速制御用の第1のパルス信号に基づいて、前記駆動モーターの回転速度を所定の目標回転速度から零まで減速させる減速制御を実行可能な速度制御部と、
前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則に従って前記パルス幅が変化する前記第1のパルス信号及び前記所定の規則に従わない第2のパルス信号を生成し、前記第1のパルス信号を前記速度制御部に出力した後に前記第2のパルス信号を前記速度制御部に出力するパルス信号出力部と、
前記パルス信号出力部から前記速度制御部に入力される入力信号に前記第2のパルス信号が含まれているか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部により前記入力信号に前記第2のパルス信号が含まれていると判定されると、前記速度制御部による前記減速制御を終了させる終了処理部と、を備え
前記所定の規則は、前記第1のパルス信号のデューティー比が一定であり、且つ、前記減速傾向に応じて前記第1のパルス信号の前記パルスのパルス幅が増大傾向になるという規則であり、
前記第1のパルス信号よりも小さい周期のクロック信号を出力するクロック出力部と、
前記パルス幅及び今回の前記パルスの立ち下がりエッジから次の前記パルスの立ち上がりエッジまでの幅を、前記クロック出力部から出力される前記クロック信号の数に基づいて計測する計測部と、
前記計測部の計測結果を用いて前記パルス信号のデューティー比を算出するデューティー比算出部と、を更に備え、
前記判定処理部は、前記デューティー比が前記第1のパルス信号のデューティー比と異なる信号を前記第2のパルス信号と判定し、前記入力信号に前記第2のパルス信号が含まれていると判定するモーター駆動装置。
【請求項2】
前記速度制御部は、前記第1のパルス信号と前記駆動モーターの実回転速度を示す速度信号とを用いて、前記駆動モーターの回転速度のフィードバック制御を実行する請求項1に記載のモーター駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のモーター駆動装置と、
前記モーター駆動装置により制御される前記駆動モーターから伝達される駆動力を用いて回転してシート部材を搬送する搬送ローラーと、
を備えるシート搬送装置。
【請求項4】
請求項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置により搬送される前記シート部材に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項5】
駆動モーターに対する指令速度に応じたパルス幅のパルスを複数含む減速制御用の第1のパルス信号に基づいて、前記駆動モーターの回転速度を所定の目標回転速度から零まで減速させる減速制御を実行可能な速度制御部と、
前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則に従って前記パルス幅が変化する前記第1のパルス信号及び前記所定の規則に従わない第2のパルス信号を生成し、前記第1のパルス信号を前記速度制御部に出力した後に前記第2のパルス信号を前記速度制御部に出力するパルス信号出力部と、
前記パルス信号出力部から前記速度制御部に入力される入力信号に前記第2のパルス信号が含まれているか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部により前記入力信号に前記第2のパルス信号が含まれていると判定されると、前記速度制御部による前記減速制御を終了させる終了処理部と、を備え、
前記所定の規則は、前記第1のパルス信号のデューティー比が一定であり、且つ、前記減速傾向に応じて前記第1のパルス信号の周期が増大するという規則であり、
前記第2のパルス信号は、前記第1のパルス信号とデューティーが同一且つ前記第1のパルス信号における最後のパルスよりもパルス幅の小さいパルスを少なくとも1つ含むものであるモーター駆動装置。
【請求項6】
前記速度制御部は、前記第1のパルス信号と前記駆動モーターの実回転速度を示す速度信号とを用いて、前記駆動モーターの回転速度のフィードバック制御を実行する請求項に記載のモーター駆動装置。
【請求項7】
請求項に記載のモーター駆動装置と、
前記モーター駆動装置により制御される前記駆動モーターから伝達される駆動力を用いて回転してシート部材を搬送する搬送ローラーと、
を備えるシート搬送装置。
【請求項8】
請求項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置により搬送される前記シート部材に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項9】
駆動モーターに対する指令速度に応じたパルス幅のパルスを複数含む減速制御用の第1のパルス信号に基づいて、前記駆動モーターの回転速度を所定の目標回転速度から零まで減速させる減速制御を実行可能な速度制御部と、
前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則に従って前記パルス幅が変化する前記第1のパルス信号及び前記所定の規則に従わない第2のパルス信号を生成し、前記第1のパルス信号を前記速度制御部に出力した後に前記第2のパルス信号を前記速度制御部に出力するパルス信号出力部と、
前記パルス信号出力部から前記速度制御部に入力される入力信号に前記第2のパルス信号が含まれているか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部により前記入力信号に前記第2のパルス信号が含まれていると判定されると、前記速度制御部による前記減速制御を終了させる終了処理部と、を備え、
前記所定の規則は、前記減速傾向に応じて前記第1のパルス信号のパルス幅が増大するという規則であり、
前記第2のパルス信号は、前記第1のパルス信号における最後のパルスと同一のパルス幅のパルスを少なくとも1つ含むものであるモーター駆動装置。
【請求項10】
前記速度制御部は、前記第1のパルス信号と前記駆動モーターの実回転速度を示す速度信号とを用いて、前記駆動モーターの回転速度のフィードバック制御を実行する請求項に記載のモーター駆動装置。
【請求項11】
請求項に記載のモーター駆動装置と、
前記モーター駆動装置により制御される前記駆動モーターから伝達される駆動力を用いて回転してシート部材を搬送する搬送ローラーと、
を備えるシート搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置により搬送される前記シート部材に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モーターを制御するモーター駆動装置、前記モーター駆動装置を備えるシート搬送装置、及び前記シート搬送装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター、ファクシミリー及び複合機のような画像形成装置には、画像が形成されるシート部材を搬送するためのローラーが複数設けられており、これらのローラーは駆動モーターによって駆動される。この駆動モーターとして、例えばDCブラシレスモーターのようなサーボモーターが採用されることがある。なお、給紙カセットからシートを搬送する搬送ローラーを駆動する駆動モーターとしてDCブラシレスモーターが用いられる構成が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
前記搬送ローラーの駆動源として前記サーボモーターが採用される画像形成装置には、通常、前記駆動モーターの回転速度等を検出するためのロータリーエンコーダーのような検出器が設けられる。また、前記サーボモーターにはモータードライバーが電気的に接続されており、前記モータードライバーには、CPUのような制御装置が電気的に接続されている。そして、前記制御装置は、前記サーボモーターに対する指令速度を示す制御信号を前記モータードライバーに出力する。前記モータードライバーは、前記制御信号が示す指令速度と前記検出器の検出結果が示す実回転速度とに基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)方式により駆動電流を生成して前記サーボモーターに供給する。
【0004】
ところで、前記制御装置から前記モータードライバーに出力される前記制御信号として、前記サーボモーターに対する指令速度に応じたパルス幅のパルスを複数含むパルス信号が用いられる。この場合、前記モータードライバーは、前記パルス信号の立ち上がりエッジ或いは立ち下がりエッジ(以下、これらのエッジをパルスエッジという)に基づいて前記パルス信号の周期及び前記指令速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−99056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成において、前記サーボモーターの回転を停止させる場合、前記制御装置は、前記モータードライバーに対する前記パルス信号の出力を停止させる。しかしながら、前記パルス信号の出力が停止されただけでは、前記モータードライバーは、前記パルスエッジを検出できなくなったことが前記サーボモーターへの前記駆動電流の供給を停止する指示であると判定できない場合がある。そのため、前記制御装置が前記モータードライバーへの前記パルス信号の出力を停止するだけでは、前記モータードライバーから前記サーボモーターへの前記駆動電流の供給を確実に停止させることができない。
【0007】
そのため、従来のモータードライバーは、予め定められた待機時間の間に前記パルスエッジを検出できない場合に、前記サーボモーターへの前記駆動電流の供給を停止するように構成されている。しかしながら、この構成では、前記駆動電流の供給を停止させるために、前記モータードライバーは、前記待機時間の間、前記駆動電流を供給するため、前記駆動電流の供給を停止するタイミングが、本来停止させるべきタイミングから遅延する。
【0008】
前記駆動電流の供給の停止を指示する停止信号を前記パルス信号とは別に前記制御装置が前記モータードライバーに出力する構成であればこのような問題は発生しない。しかしながら、この場合、前記停止信号用の信号線が新たに必要となる。そのため、信号線及び接続端子などを増設する必要が生じ、前記制御装置及び前記モータードライバーがプリント基板を用いて構成されている場合は、回路基板の配線パターンが増えて、回路基板の大型化の要因となる。
【0009】
本発明の目的は、回路構成を複雑化及び大型化することなく、前記サーボモーターのような駆動モーターへの駆動電流の供給を停止させるべきタイミングで駆動モーターへの駆動電流の供給を停止させることのできるモーター駆動装置、シート搬送装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係るモーター駆動装置は、速度制御部と、パルス信号出力部と、判定処理部と、終了処理部とを備える。前記速度制御部は、駆動モーターに対する指令速度に応じたパルス幅のパルスを複数含む減速制御用の第1のパルス信号に基づいて、前記駆動モーターの回転速度を所定の目標回転速度から零まで減速させる減速制御を実行可能である。前記パルス信号出力部は、前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則に従って前記パルス幅が変化する前記第1のパルス信号及び前記所定の規則に従わない第2のパルス信号を生成し、前記第1のパルス信号を前記速度制御部に出力した後に前記第2のパルス信号を前記速度制御部に出力する。前記判定処理部は、前記パルス信号出力部から前記速度制御部に入力される入力信号に前記第2のパルス信号が含まれているか否かを判定する。前記終了処理部は、前記判定処理部により前記入力信号に前記第2のパルス信号が含まれていると判定されると、前記速度制御部による前記減速制御を終了させる。
【0011】
本発明のその他の局面に係るシート搬送装置は、前記モーター駆動装置と、搬送ローラーとを備える。前記搬送ローラーは、前記モーター駆動装置により制御される前記駆動モーターから伝達される駆動力を用いて回転してシート部材を搬送する。
【0012】
本発明のその他の局面に係る画像形成装置は、前記シート搬送装置と、画像形成部とを備える。前記画像形成部は、前記シート搬送装置により搬送される前記シート部材に画像を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路構成を複雑化及び大型化することなく、前記駆動モーターへの駆動電流の供給を停止させるべきタイミングで駆動モーターへの駆動電流の供給を停止させることのできるモーター駆動装置、シート搬送装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置に搭載されるシート搬送装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る駆動モーター及び回転速度検出部の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係る駆動モーターの指令速度の変化を示すグラフである。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係る制御部から出力されるパルス信号の信号波形(上段図)前記信号波形を部分的に拡大した拡大波形(中段図)、及び前記パルス信号に含まれるHIGH信号のパルス幅を検出するための基準クロック信号を示す信号波形(下段図)を示す図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態に係る速度指令部で行われる速度指令処理を示すフローチャートである。
図7図7は、本発明の第1実施形態に係るモーター制御部で行われるモーター制御処理を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に搭載されるシート搬送装置の構成を示すブロック図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係る制御部から出力されるパルス信号の信号波形(上段図)前記信号波形を部分的に拡大した拡大波形(中段図)、及び前記パルス信号に含まれるHIGH信号のパルス幅を検出するための基準クロック信号を示す信号波形(下段図)を示す図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係るモーター制御部で行われるモーター制御処理を示すフローチャートである。
図11図11は、本発明の第3実施形態に係る制御部から出力されるパルス信号の信号波形(上段図)前記信号波形を部分的に拡大した拡大波形(中段図)、及び前記パルス信号に含まれるHIGH信号のパルス幅を検出するための基準クロック信号を示す信号波形(下段図)を示す図である。
図12図12は、本発明の第3実施形態に係るモーター制御部で行われるモーター制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。なお、以下に説明される各実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。なお、以下の説明で、図1で示される上下方向2、左右方向3、及び前後方向4を用いることがある。
【0017】
図1に示されるように、画像形成装置10は、トナーを用いて、シート部材P1に画像を印刷するプリンターである。なお、画像形成装置10は印刷機能のみを有するプリンターに限られない。例えば、ファクシミリー、複写機、或いは、印刷機能、複写機能、ファクシミリー機能のような各機能を兼ね備えた複合機などに対しても、本発明は適用可能である。
【0018】
画像形成装置10は、不図示のネットワーク通信部を介して外部から入力された画像データに基づいて、シート部材P1に画像を印刷する。画像形成装置10は、給紙部15と、画像形成部18と、定着部19と、排紙部21と、制御部90と、シート搬送装置100(図2参照)とを備えている。
【0019】
給紙部15は、給紙トレイ50と、ピックアップローラー51と、給紙ローラー対52とを備えている。給紙トレイ50には、画像形成部18によって画像が形成されるシート部材P1が収容される。画像形成装置10に対してシート部材P1の給送動作を開始する指示が入力されると、ピックアップローラー51及び給紙ローラー対52により給紙トレイ50からシート部材P1が給送される。ピックアップローラー51によって給送されたシート部材P1は、給紙ローラー対52によってシート部材P1の給送方向下流側に形成された第1搬送路26へ搬送される。
【0020】
第1搬送路26は、給紙ローラー対52から画像形成部18までの間に形成された搬送路であり、互いに対向するように設けられた搬送ガイド(不図示)によって形成されている。第1搬送路26には、複数の回転ローラー44が配置されている。回転ローラー44各々には、回転コロ45が回転ローラー44の外周面に接した状態で配置されており、回転ローラー44が回転することにより、回転コロ45も従動して回転する。給紙ローラー対52によって第1搬送路26へ給送されたシート部材P1は、回転ローラー44と回転コロ45とによって挟持されながら画像形成部18へ搬送される。
【0021】
画像形成部18は、第1搬送路26の終端近傍に設けられている。画像形成部18は、外部から入力された画像データに基づいてシート部材P1にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成部である。画像形成部18は、感光体ドラム31と、帯電部32と、現像部33と、露光部34と、転写部35と、クリーニング部36とを備えている。
【0022】
画像形成動作が開始されると、帯電部32によって感光体ドラム31の表面が予め定められた電位に一様に帯電される。また、帯電した感光体ドラム31に対し、画像データに応じたレーザー光が露光部34から走査される。これにより、感光体ドラム31に静電潜像が形成される。その後、現像部33によって前記静電潜像にトナーが付着されて、感光体ドラム31にトナー像が現像される。そして、そのトナー像が転写部35によって、第1搬送路26を搬送されてきたシート部材P1に転写される。トナー像が形成されたシート部材P1は、画像形成部18よりもシート部材P1の搬送方向下流側に形成された第2搬送路27へ搬送される。
【0023】
画像形成部18から第2搬送路27へ送り出されたシート部材P1は、第2搬送路27を通って定着部19に搬送される。定着部19は、シート部材P1に転写されたトナー像を熱と圧力によってそのシート部材P1に定着させるものであり、加熱ローラー41と加圧ローラー42とを備える。定着部19では、加熱ローラー41によってトナーが加熱溶融されてシート部材P1に定着される。定着部19によって画像が定着されたシート部材P1は、定着部19よりもシート部材P1の搬送方向下流側に形成された第3搬送路28へ搬送される。
【0024】
第3搬送路28には、複数の排紙ローラー対23が設けられている。第3搬送路28へ送り出されたシート部材P1は、排紙ローラー対23によって第3搬送路28を通って上方へ搬送されて、用紙排出口22から画像形成装置10の上面に設けられた排紙部21へ排出される。
【0025】
このように、ピックアップローラー51、給紙ローラー対52、回転ローラー44、加熱ローラー41、加圧ローラー42、排紙ローラー対23は、回転することによりシート部材P1を搬送する。以下の説明においては、これらのローラーを総称して搬送ローラー150(図2参照)という。
【0026】
制御部90は、例えばCPU、ROM、及びRAMなどで構成されたマイクロコンピューターである。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムのような情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一次記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部90は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置10の動作を統括的に制御する。
【0027】
図2に示されるように、搬送ローラー150は、駆動モーター57により生成される駆動力が不図示のギヤなどの駆動伝達機構を介して伝達されることにより回転駆動される。駆動モーター57は、直流ブラシレスモーターのようなサーボモーターである。本実施形態では、駆動モーター57として、ヨークに複数の電磁石が設けられ、前記ヨークの内側にモーター出力軸48(図3参照)と連結された回転子(ローター)が設けられたインナーローター型の直流ブラシレスモーターが採用されている。また、前記電磁石に位相の異なる3相の駆動電流が供給されることで前記回転子が回転され、前記回転子と連結されたモーター出力軸48を介して搬送ローラー150が回転される。なお、駆動モーター57は、後述する回転速度検出部99(図3参照)が検出する駆動モーター57の実回転速度を示す速度信号に基づいて回転速度等がフィードバック制御されるサーボモーターであれば、直流ブラシレスモーターに限定されるものではない。
【0028】
画像形成装置10は、駆動モーター57の実回転速度を検出する回転速度検出部99を有する。本実施形態における回転速度検出部99は、ロータリーエンコーダーである。
【0029】
図3に示されるように、回転速度検出部99は、円板形状を有するパルス板70とフォトインタラプター71とを備える。パルス板70には、径方向に延びる多数のスリット(不図示)が周方向に所定角度の回転角度を隔てて放射状に並んで形成されている。パルス板70は、駆動モーター57のモーター出力軸48に固定されている。
【0030】
フォトインタラプター71は、一定の間隔を隔てて対向する発光部71A及び受光部71Bを備える。パルス板70は、発光部71Aと受光部71Bとの間隙を通過する。発光部71Aから出力される光が前記スリットを通過して受光部71Bに受光される場合と、発光部71Aから出力される光がパルス板70の前記スリット以外の部分によって遮蔽される場合とで、受光部71Bから出力される信号の信号レベルが異なる。したがって、パルス板70が回転することにより、受光部71Bからパルス信号が出力される。この受光部71Bから出力される前記パルス信号は、回転速度検出部99の前記速度信号としてモーター制御部58に出力される。
【0031】
図2に示されるように、シート搬送装置100は、駆動モーター57と、モーター駆動装置111と、搬送ローラー150とを含む。モーター駆動装置111は、速度指令部900と、モーター制御部58とを含む。速度指令部900は、制御部90に通信可能に接続されており、制御部90から駆動モーター57の駆動開始及び終了などの指令を示す指令信号を受信する。速度指令部900は、制御部90から駆動モーター57の駆動開始の指令を示す指令信号を受信すると、モーター制御部58に駆動モーター57の回転速度を指令する後述の駆動用パルス信号を出力する。モーター制御部58は、駆動モーター57及び速度指令部900に通信可能に接続されており、速度指令部900から前記駆動用パルス信号を受信すると、駆動モーター57に供給する駆動電流を制御する。搬送ローラー150は、モーター制御部58により制御される駆動モーター57から伝達される駆動力を用いて回転してシート部材P1を搬送する。
【0032】
速度指令部900は、本実施形態では、集積回路(ASIC)などの電子回路及び内部メモリーなどで構成されている。ただし、速度指令部900は、制御部90と同様にCPU等を有するマイクロコンピューターで構成されていてもよい。
【0033】
モーター制御部58は、速度制御部591を有する。速度制御部591は、集積回路(ASIC)などの電子回路及び内部メモリーなどで構成されている。
【0034】
速度制御部591は、PWM方式(パルス幅変調方式)により前記駆動電流を生成して駆動モーター57に供給する。また、速度制御部591は、速度指令部900から入力される後述の駆動用パルス信号と回転速度検出部99から出力される前記速度信号とに基づいて、駆動モーター57の回転速度をフィードバック制御する。具体的には、前記速度信号が示す回転速度を前記駆動用パルス信号が示す回転速度になるように、駆動モーター57に供給される前記駆動電流を増減する。この指令速度については後述する。
【0035】
速度制御部591は、位相比較部592と、PWM制御部593と、ドライブ回路部594とを有する。
【0036】
位相比較部592は、速度指令部900から入力される前記駆動用パルス信号と回転速度検出部99から入力される前記速度信号との位相差に基づいて、例えば周知のPID(Proportional-Integral-Derivative)制御を行う。
【0037】
PWM制御部593は、位相比較部592による前記PID制御によって得られる制御量に応じたデューティー比のPWM信号を生成する。
【0038】
ドライブ回路部594は、PWM制御部593から出力されるPWM信号のデューティー比に比例した電圧を駆動モーター57に印加して、駆動モーター57に前記駆動電流を供給する。
【0039】
図4に示されるように、駆動モーター57の回転速度は、モーター制御部58によって所謂台形制御がなされる。すなわち、駆動モーター57の回転速度が制御される期間には、加速制御期間H1と、定速制御期間H2と、減速制御期間H3とが含まれる。加速制御期間H1の後に定速制御期間H2となり、定速制御期間H2の後に減速制御期間H3となる。加速制御期間H1において、駆動モーター57の回転速度は、速度零から予め定められた目標回転速度まで徐々に増大される。これにより、搬送ローラー150は、予め定められた搬送速度でシート部材P1を搬送する回転速度まで加速する。加速制御期間H1に続く定速制御期間H2において、駆動モーター57の回転速度は、前記目標回転速度に維持される。これにより、搬送ローラー150は、前記搬送速度でシート部材P1を搬送する状態に維持される。その後、減速制御期間H3において、駆動モーター57の回転速度が前記目標回転速度から速度零まで徐々に減少される。これにより、搬送ローラー150は、前記搬送速度から減速して停止する。
【0040】
モーター制御部58がこのような駆動モーター57の回転速度の制御を実行するために、各期間H1〜H3において駆動モーター57の回転速度が速度指令部900からモーター制御部58に指令される。
【0041】
具体的に、加速制御期間H1においては、駆動モーター57の回転速度が前記目標回転速度に達するまで、駆動モーター57の回転速度が徐々に増大するように、速度指令部900からモーター制御部58(速度制御部591)へ前記回転速度が複数回に亘って指令される。すなわち、速度指令部900からモーター制御部58への指令速度が段階的に大きくなる。以下、前記回転速度が段階的に大きくなること増速傾向という。また、定速制御期間H2においては、モーター制御部58は、速度指令部900から一定の回転速度で駆動モーター57を回転させるように駆動モーター57の回転速度が繰り返し指令される。また、減速制御期間H3においては、駆動モーター57の回転速度が速度零になるまで、駆動モーター57の回転速度が前記目標回転速度から徐々に減少するように、速度指令部900からモーター制御部58へ前記回転速度が複数回に亘って指令される。すなわち、速度指令部900からモーター制御部58への指令速度が段階的に小さくなる。以下、前記回転速度が段階的に小さくなることを減速傾向という。
【0042】
速度指令部900からモーター制御部58(速度制御部591)への駆動モーター57の回転速度の指令は、パルス信号出力部902からモーター制御部58に出力される前記駆動用パルス信号によって行われる。前記駆動用パルス信号は、加速用パルス信号SG1、定速用パルス信号SG2及び減速用パルス信号SG3を含み(図5の上段図を参照)、いずれも矩形波信号である。1つの矩形波、すなわち立ち上がりエッジE1(図5の中段図を参照)からその後の立ち下がりエッジE2(図5の中段図を参照)までの波形部分であるHIGH信号は、本発明のパルスの一例である。加速用パルス信号SG1、定速用パルス信号SG2及び減速用パルス信号SG3の各々は、このHIGH信号を複数含んだものをいう。減速用パルス信号SG3は、本発明の第1のパルス信号に相当する。なお、以下の説明において、加速用パルス信号SG1、定速用パルス信号SG2及び減速用パルス信号SG3をまとめて駆動用パルス信号SG1〜SG3と表すことがある。
【0043】
本実施形態では、駆動用パルス信号SG1〜SG3のデューティー比は、前記指令速度の大きさに拘わらず、予め定められた一定の値であり、駆動用パルス信号SG1〜SG3の周期、すなわち前記HIGH信号の信号幅によって前記指令速度が指令される。例えば、図5の上段の信号波形に示されるように、前記指令速度が段階的に大きくなる加速制御期間H1にパルス信号出力部902から出力される加速用パルス信号SG1は、前述のように駆動モーター57の回転速度を加速させるための信号である。加速用パルス信号SG1の周期及び前記HIGH信号の信号幅は徐々に短くなる。すなわち、加速制御期間H1における加速用パルス信号SG1は、速度零から前記目標回転速度に至るまで、前記信号幅が徐々に小さくなる複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。この加速制御期間H1における加速用パルス信号SG1の各HIGH信号それぞれの信号幅が、前記指令速度、すなわち駆動モーター57が加速用パルス信号SG1の一周期経過後に回転すべき回転速度を示す。なお、前記一周期とは、今回のHIGH信号の立ち上がりエッジから次のHIGH信号の立ち上がりエッジまでをいう。以下に説明される一周期についても同じように定義される。本実施形態では、加速制御期間H1では、前記信号幅が徐々に小さくなっており、これは、加速用パルス信号SG1の一周期経過後に駆動モーター57が回転すべき回転速度が直前のHIGH信号の信号幅が示す回転速度よりも速いことを示す。前記信号幅は、本発明のパルス幅に相当する。
【0044】
前記指令速度が一定の定速制御期間H2にパルス信号出力部902から出力される定速用パルス信号SG2は、駆動モーター57の回転速度を前記目標回転速度に維持するための信号である。定速用パルス信号SG2の周期及び前記HIGH信号の信号幅は変化しない。すなわち、定速制御期間H2における定速用パルス信号SG2は、信号幅が同一の複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。
【0045】
前記指令速度が段階的に小さくなる減速制御期間H3にパルス信号出力部902から出力される減速用パルス信号SG3は、前述のように駆動モーター57の回転速度を減速させるための信号である。減速用パルス信号SG3の周期及び前記HIGH信号の信号幅は徐々に長くなる。すなわち、減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3は、前記目標回転速度から速度零に至るまで、前記信号幅が徐々に大きくなる複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。この減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3の各HIGH信号それぞれの信号幅が、前記指令速度、すなわち前記駆動モーター57が減速用パルス信号SG3の一周期経過後に回転すべき回転速度を示す。本実施形態では、減速制御期間H3では、前記信号幅が徐々に大きくなっており、これは、減速用パルス信号SG3の一周期経過後に駆動モーター57が回転すべき回転速度が直前のHIGH信号の信号幅が示す回転速度よりも遅いことを示す。
【0046】
このように、前記HIGH信号の信号幅と前記指令速度とが対応する。加速制御期間H1における加速用パルス信号SG1は、前記指令速度の漸増に伴って前記信号幅が漸減し、減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3は、前記指令速度の漸減に伴って前記信号幅が漸増する。つまり、前記加速制御時における駆動モーター57の回転速度の前記増速傾向に応じて、加速用パルス信号SG1の周期及び前記信号幅は徐々に減少していく。また、前記減速制御時における駆動モーター57の回転速度の前記減速傾向に応じて、減速用パルス信号SG3の周期及び前記信号幅は徐々に増大していく。以下、このように信号幅が徐々に増大していくことを増大傾向という。
【0047】
なお、本実施形態では、減速制御期間H3における加速度の絶対値の大きさは、加速制御期間H1における加速度の絶対値の大きさと同一である。したがって、パルス信号出力部902は、減速制御期間H3においては、加速制御期間H1において前記指令速度を零から前記目標回転速度まで増加させる時間と同じ時間で、前記指令速度を前記目標回転速度から零になるまで減少させる。
【0048】
この場合、パルス信号出力部902は、減速制御期間H3においては、加速制御期間H1で出力する加速用パルス信号SG1に含まれる前記各HIGH信号と同じ信号幅のHIGH信号を、加速制御期間H1とは逆の順序で出力する。したがって、加速制御期間H1における加速用パルス信号SG1は、前記指令速度の漸増に伴って前記信号幅が漸減し、減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3は、前記指令速度の漸減に伴って前記信号幅が漸増する。このように、減速制御時における駆動モーター57の回転速度の前記減速傾向に応じて、減速用パルス信号SG3の周期及び前記信号幅は増大傾向となる。また、減速制御期間H3でパルス信号出力部902が最後に出力する前記HIGH信号の信号幅は、加速制御期間H1でパルス信号出力部902が最初に出力する前記HIGH信号の信号幅と同一の信号幅となる。なお、前記信号幅が同一とは、前記信号幅が完全に一致する場合のみならず、予め定められた誤差範囲内である場合も含む。また、減速制御期間H3における加速度の絶対値の大きさは、加速制御期間H1における加速度の絶対値の大きさと異なってもよい。
【0049】
ところで、駆動モーター57の回転を停止させる場合、速度指令部900のパルス信号出力部902は、モーター制御部58に対する減速用パルス信号SG3の出力を停止させる。しかしながら、減速用パルス信号SG3の出力が停止されただけでは、モーター制御部58は、前記HIGH信号のパルスエッジを検出できなくなったことが駆動モーター57への前記駆動電流の供給を停止する指示であると判定できない場合がある。そのため、パルス信号出力部902がモーター制御部58への減速用パルス信号SG3の出力を停止するだけでは、モーター制御部58から駆動モーター57への前記駆動電流の供給を確実に停止させることができない。
【0050】
そのため、従来のモーター制御部は、予め定められた待機時間の間に前記パルスエッジを検出できない場合に、駆動モーター57への駆動電流の供給を停止するように構成されている。しかしながら、この構成では、前記駆動電流の供給を停止させるために、従来の前記モーター制御部は、前記待機時間の間、前記駆動電流を供給するため、前記駆動電流の供給を停止するタイミングが、本来停止させるべきタイミングから遅延する。
【0051】
前記駆動電流の供給の停止を指示する停止信号を減速用パルス信号SG3とは別にパルス信号出力部902がモーター制御部58に出力する構成であればこのような問題は発生しない。しかしながら、前記停止信号用の信号線が新たに必要となる。そのため、信号線や接続端子などを増設する必要が生じ、前記制御装置がプリント基板を用いて構成されている場合は、回路基板の配線パターンが増えて、回路基板の大型化の要因となる。これに対し、本実施形態では、次のような構成により、回路構成を複雑化及び大型化することなく、駆動モーター57への駆動電流の供給を停止させるべきタイミングで停止させる対策が施されている。
【0052】
図2に示されるように、速度指令部900は、指令速度記憶部901と、パルス信号出力部902とを有する。指令速度記憶部901は、各期間H1〜H3における駆動モーター57に対する指令速度情報を予め記憶している。前記指令速度情報は、具体的には各期間H1〜H3における各HIGH信号の前記信号幅の情報である。そして、パルス信号出力部902は、指令速度記憶部901に記憶されている前記指令速度の情報に基づいて、駆動用パルス信号を生成してモーター制御部58に出力する。これにより、モーター制御部58の速度制御部591は、前記加速制御、前記定速制御及び前記減速制御を行う。
【0053】
また、図5に示されるように、パルス信号出力部902は、速度制御部591への減速用パルス信号SG3の出力が完了すると、後述する停止用パルス信号SG4を速度制御部591(モーター制御部58)に出力する。これにより、モーター制御部58は、減速制御期間H3が終了すると、停止用パルス信号SG4を速度指令部900から受信する。停止用パルス信号SG4も、矩形波信号である。
【0054】
減速用パルス信号SG3は、前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則がある。すなわち、減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3は、デューティー比が一定で、前記目標回転速度から速度零に至るまで、減速用パルス信号SG3の周期及び前記HIGH信号の信号幅が徐々に大きくなる複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。前記所定の規則は、時間の経過とともに前記信号幅が徐々に増大するという規則である。これに対し、停止用パルス信号SG4は、このような信号幅の前記規則に従わないパルス信号である。具体的には、停止用パルス信号SG4は、減速用パルス信号SG3のデューティー比に比べて小さいデューティー比である。また、停止用パルス信号SG4は、減速用パルス信号SG3におけるHIGH信号のうち最後のHIGH信号を含む1周期の長さに比べて小さい周期である。したがって、停止用パルス信号SG4における前記HIGH信号の信号幅が、減速用パルス信号SG3における前記最後のHIGH信号の信号幅に比べて小さい。このように、パルス信号出力部902は、減速制御時における減速用パルス信号SG3の変化に対して変則的な停止用パルス信号SG4を、駆動モーター57の回転速度の制御停止を指令する信号としてモーター制御部58(速度制御部591)に出力する。停止用パルス信号SG4は、本発明の第2のパルス信号の一例である。なお、停止用パルス信号SG4は、少なくとも2つのHIGH信号を含む信号であればよい。
【0055】
図2に示されるように、モーター制御部58は、演算処理部595を有する。演算処理部595は、制御部90と同様にCPU等を有するマイクロコンピューターと、回路素子とで構成されている。演算処理部595のROMには、前記CPUに各種処理を実行させる為の処理プログラムが記憶されている。演算処理部595は、前記CPUを用いて前記処理プログラムを実行することにより、エッジ検出部571と、カウント部573と、デューティー比算出部574と、判定処理部576と、終了処理部577として機能する。また、演算処理部595では、前記ROMにデューティー比記憶部575が含まれる。また、前記回路素子により、クロック出力部572が構成されている。
【0056】
エッジ検出部571は、パルス信号出力部902から出力される駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG4の立ち上がりエッジE1、E3及び立下りエッジE2、E4を検出する。
【0057】
クロック出力部572は、図5の下段の信号波形に示されるように、減速用パルス信号SG3及び停止用パルス信号SG4におけるHIGH信号の信号幅より周期が短い基準クロック信号を出力する。前記基準クロック信号は、前記回路素子である不図示の水晶発振子などで構成される発振回路により生成される高周波(例えば10MHzなど)の矩形波信号である。以下、前記基準クロック信号のうち、立ち上がりエッジからその後の立ち下がりエッジまでの波形部分、すなわちHIGHレベル信号をクロックパルスという。
【0058】
カウント部573は、駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG4における各HIGH信号の出力期間である立ち上がりエッジからその後の立ち下がりエッジまでの間にクロック出力部572から出力される前記クロックパルスの数をカウントする。前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスの数は、例えばそのクロックパルスの立ち上がりエッジの数と同数である。そのため、カウント部573は、前記クロックパルスの立ち上がりエッジの数を前記クロックパルスの数としてカウントする。このカウント部573のカウント値は、前記HIGH信号の信号幅に比例する。
【0059】
また、駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG4における各LOW信号の出力期間である立ち下がりエッジからその後の立ち上がりエッジまでの間にクロック出力部572から出力される前記クロックパルスの数をカウントする。前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスの数は、例えばそのクロックパルスの立ち上がりエッジの数と同数である。そのため、カウント部573は、前記クロックパルスの立ち上がりエッジの数を前記クロックパルスの数としてカウントする。このカウント部573のカウント値は、前記LOW信号の信号幅に比例する。カウント部573は、本発明の計測部の一例である。
【0060】
デューティー比算出部574は、前記HIGH信号及び前記LOW信号の出力期間の各々においてカウント部573によりカウントされたクロックパルスの数に基づいて、パルス信号出力部902から入力されるパルス信号のデューティー比を算出する。すなわち、前述したように、カウント部573のカウント値は、前記HIGH信号及び前記LOW信号の信号幅に比例する。したがって、前記HIGH信号のカウント値と前記LOW信号のカウント値との和に対する前記HIGH信号のカウント値の割合がデューティー比となる。よって、デューティー比算出部574は、記HIGH信号のカウント値と前記LOW信号のカウント値との和に対する前記HIGH信号のカウント値の割合をデューティー比として算出する。デューティー比算出部574は、前記HIGH信号の前記立ち上がりエッジがエッジ検出部571により検出される都度、前記のようなデューティー比の算出処理を行う。
【0061】
判定処理部576は、パルス信号出力部902から速度制御部591(モーター制御部58)に入力されるパルス信号が停止用パルス信号SG4であるか否かを判定する。具体的には、判定処理部576は、デューティー比算出部574により今回算出されたデューティー比と前回算出されたデューティー比とを比較する比較処理を行う。すなわち、判定処理部576は、今回算出されたデューティー比が前回算出されたデューティー比と同一であるか否かを判定する。換言すると、判定処理部576は、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号が、前記信号規則に従った駆動用パルス信号SG1〜SG3のいずれかであるか、又は、前記信号規則に従わない停止用パルス信号SG4であるかを判定する。なお、前記デューティー比が同一とは、前記デューティー比が完全に一致する場合のみならず、予め定められた誤差範囲内である場合も含む。
【0062】
判定処理部576は、今回算出されたデューティー比が前回算出されたデューティー比と同一であると判定した場合、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号は、駆動用パルス信号SG1〜SG3のいずれかであり、停止用パルス信号SG4ではないと判定する。今回算出されたデューティー比が前回算出されたデューティー比と同一である場合とは、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号が、前述した信号規則に従ったパルス信号である場合のことである。この場合、判定処理部576は、次回の前記比較処理のため、デューティー比算出部574により算出されたデューティー比をデューティー比記憶部575に格納する。
【0063】
一方、判定処理部576は、今回算出されたデューティー比が前回算出されたデューティー比と異なる場合、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG4であると判定し、駆動モーター57の回転速度の制御停止が指令されたと判定する。今回算出されたデューティー比が前回算出されたデューティー比と異なる場合とは、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号が、前記信号規則に従った駆動用パルス信号SG1〜SG3ではなく、停止用パルス信号SG4である場合のことである。この場合、判定処理部576は、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止する指示が速度指令部900からなされたと判定する。
【0064】
このように、判定処理部576は、パルス信号出力部902から速度制御部591(モーター制御部58)に入力されるパルス信号に停止用パルス信号SG4に含まれているか否かを判定する。
【0065】
終了処理部577は、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号が停止用パルス信号SG4であると判定処理部576により判定されると、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止する指示が速度指令部900からなされたと判定する。そして、終了処理部577は、PWM制御部593に例えばスイッチング動作を停止する停止信号を出力することにより、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。
【0066】
次に、図6図7を用いて、モーター駆動装置111によるモーター駆動処理について説明する。図6は、速度指令部900で行われる速度指令処理、図7は、モーター制御部58で行われるモーター制御処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、駆動モーター57が停止している状態でエッジ検出部571によって前記最初のHIGH信号の立ち上がりエッジE1が検出された場合に行われる。なお、図6図7のフローチャートにおいてステップS601、・・・、ステップS701、・・・は処理手順(ステップ番号)を表している。
【0067】
<ステップS601>
図6に示されるように、速度指令部900のパルス信号出力部902は、駆動モーター57の回転速度の制御を開始する開始条件が成立したか否かを判定する。例えば、前記開始条件は、画像形成装置10に対して画像形成処理の開始を指示する操作が行われたことにより、制御部90から搬送ローラー150の制御を開始するように指示されたという条件である。パルス信号出力部902は、前記開始条件が成立していないと判定した場合には(ステップS601でNO)、再度ステップS601の処理を実行する。一方、パルス信号出力部902は、前記開始条件が成立したと判定した場合には(ステップS601でYES)、ステップS602を行う。
【0068】
<ステップS602>
パルス信号出力部902は、指令速度記憶部901に予め記憶されている加速制御期間H1における駆動モーター57に対する指令速度の情報に基づいて、加速用パルス信号SG1を生成して速度制御部591に出力する。
【0069】
<ステップS603>
そして、前記指令速度が前記目標回転速度に達すると、パルス信号出力部902は、指令速度記憶部901に予め記憶されている定速制御期間H2における駆動モーター57に対する指令速度の情報に基づいて、定速用パルス信号SG2を生成して速度制御部591に出力する。
【0070】
<ステップS604>
パルス信号出力部902は、駆動モーター57の回転速度の制御を終了させる終了条件が成立したか否かを判定する。例えば、前記終了条件は、画像形成装置10による画像形成処理が終了したことにより、制御部90から搬送ローラー150の制御を終了させるように指示されたという条件である。パルス信号出力部902は、前記終了条件が成立していないと判定した場合には(ステップS604でNO)、再度ステップS604の処理を実行する。一方、パルス信号出力部902は、前記終了条件が成立したと判定した場合には(ステップS604でYES)、ステップS605を行う。
【0071】
<ステップS605>
パルス信号出力部902は、指令速度記憶部901に予め記憶されている減速制御期間H3における駆動モーター57に対する指令速度の情報に基づいて、減速用パルス信号SG3を生成して速度制御部591に出力する。
【0072】
<ステップS606>
そして、前記指令速度が零に達すると、パルス信号出力部902は、停止用パルス信号SG4を速度制御部591に出力する。
【0073】
<ステップS701>
図7に示されるように、モーター制御部58における演算処理部595のエッジ検出部571が最初のHIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出すると、演算処理部595のカウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを開始する。
【0074】
<ステップS702>
演算処理部595のエッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出していないと判定した場合(ステップS702でNO)、再度ステップS702の処理を実行する。一方、エッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したと判定した場合(ステップS702でYES)、ステップS703の処理を実行する。
【0075】
<ステップS703>
カウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを終了し、カウント値をリセットした後、前記カウントを再開する。また、速度制御部591は、速度指令部900から入力される駆動用パルス信号と回転速度検出部99から入力される前記速度信号とに基づいて、駆動モーター57の回転速度のフィードバック制御の実行を開始する。
【0076】
<ステップS704>
演算処理部595のデューティー比算出部574は、カウント部573によるカウント値をデューティー比記憶部575に格納する。
【0077】
<ステップS705>
エッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の次のHIGH信号について立ち上がりエッジE1を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出していないと判定した場合(ステップS705でNO)、再度ステップS705の処理を実行する。一方、エッジ検出部571が、前記HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出したと判定した場合(ステップS705でYES)、演算処理部595は、ステップS706の処理を実行する。
【0078】
<ステップS706>
カウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを終了し、カウント値をリセットした後、前記カウントを再開する。
【0079】
<ステップS707>
デューティー比算出部574は、カウント部573による今回のカウント値と、デューティー比記憶部575に格納されている前回のカウント値とを用いてデューティー比を算出してデューティー比記憶部575に格納する。
【0080】
<ステップS708>
エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出していないと判定した場合(ステップS708でNO)、再度ステップS708の処理を実行する。一方、エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したと判定した場合(ステップS708でYES)、カウント部573は、ステップS709の処理を実行する。
【0081】
<ステップS709>
カウント部573は、前記クロックパルスのカウントを終了し、カウント値をリセットした後、前記カウントを再開する。
【0082】
<ステップS710>
デューティー比算出部574は、カウント部573によるカウント値をデューティー比記憶部575に格納する。
【0083】
<ステップS711>
エッジ検出部571は、HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出していないと判定した場合(ステップS711でNO)、再度ステップS711の処理を実行する。一方、エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出したと判定した場合(ステップS711でYES)、ステップS712の処理を実行する。
【0084】
<ステップS712>
カウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを終了し、カウント値をリセットした後、前記カウントを再開する。
【0085】
<ステップS713>
デューティー比算出部574は、カウント部573による今回のカウント値と、デューティー比記憶部575に格納されている前回のカウント値とを用いてデューティー比を算出する。
【0086】
<ステップS714>
演算処理部595の判定処理部576は、デューティー比算出部574により今回算出されたデューティー比とデューティー比記憶部575に格納された前回のデューティー比とを比較する。判定処理部576は、今回算出されたデューティー比が前回のデューティー比と同一である場合には(ステップS714でYES)、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号は、駆動用パルス信号SG1〜SG3のいずれかであると判定する。そして、演算処理部595は、ステップS715の処理を実行する。
【0087】
一方、判定処理部576は、今回算出されたデューティー比が前回のデューティー比より小さい場合には(ステップS714でNO)、今回算出されたデューティー比に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG4であると判定する。そして、演算処理部595は、ステップS716の処理を実行する。
【0088】
<ステップS715>
判定処理部576は、デューティー比算出部574により今回算出されたデューティー比をデューティー比記憶部575に格納する。そして、モーター制御部58は、ステップ708の処理を実行する。
【0089】
<ステップS716>
終了処理部577は、駆動モーター57の回転速度の制御を停止する指示が速度指令部900からなされたと判定し、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。
【0090】
以上のように、減速用パルス信号SG3は、デューティー比が一定であり、且つ、減速制御時における駆動モーター57の回転速度の前記減速傾向に応じて前記信号幅が増大傾向となるという信号規則がある。パルス信号出力部902は、減速用パルス信号SG3の出力が完了すると、この信号規則に対して変則的な停止用パルス信号SG4をモーター制御部58の速度制御部591に出力する。モーター制御部58は、受信したパルス信号が前記信号規則に従ったパルス信号であるか否かを判定し、前記信号規則に従ったパルス信号ではない、すなわち、停止用パルス信号SG4であると判定した場合に、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。したがって、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させるタイミングが遅延することは無い。
【0091】
また、前記駆動電流の供給の停止を指示する停止信号を前記パルス信号とは別に速度指令部900がモーター制御部58に出力する構成のように、前記停止信号用の信号線が新たに必要となって信号線及び接続端子などを増設する必要性が生じない。
【0092】
よって、回路構成を複雑化及び大型化することなく、駆動モーター57への駆動電流の供給を停止させるべきタイミングで、駆動モーター57への駆動電流の供給を停止させることができる。
【0093】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上述の第1実施形態の構成と共通の構成及び処理などについては、上述の第1実施形態で用いた符号を付し示すことにより、その構成の説明を省略し、異なる構成及び処理について説明する。具体的には、本実施形態は、上述の第1実施形態と比較して、画像形成装置10の主な構成(図1参照)、駆動モーター57及び回転速度検出部99の構成(図3参照)、駆動モーター57の指令速度の変化(図4のグラフを参照)、そして、速度指令部900で行われる速度指令処理(図6のフローチャート参照)が共通しているため、これらの具体的な説明は省略する。また、本実施形態のシート搬送装置100においては、モーター制御部58の演算処理部595にデューティー比算出部574及びデューティー比記憶部575が設けられておらず、カウント値記憶部575Aが設けられている点が上述の第1実施形態とは相違しており、その他の構成は共通する。そのため、本実施形態のシート搬送装置100についても、上述の第1実施形態と共通する構成の説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0094】
図8に示されるように、本実施形態に係るシート搬送装置100は、駆動モーター57と、モーター駆動装置111と、搬送ローラー150とを含む。モーター駆動装置111は、速度指令部900と、モーター制御部58とを含む。
【0095】
速度指令部900は、指令速度記憶部901と、パルス信号出力部902とを有する。速度指令部900は、制御部90から駆動モーター57の駆動開始の指令を示す指令信号を受信すると、モーター制御部58に駆動モーター57の回転速度を指令する駆動用パルス信号を出力する。
【0096】
モーター制御部58は、駆動モーター57及び速度指令部900に通信可能に接続されており、速度指令部900から前記駆動用パルス信号を受信すると、駆動モーター57に供給する駆動電流を制御する。搬送ローラー150は、モーター制御部58により制御される駆動モーター57から伝達される駆動力を用いて回転してシート部材P1を搬送する。
【0097】
モーター制御部58は、速度制御部591と、演算処理部595とを有する。速度制御部591は、位相比較部592と、PWM制御部593と、ドライブ回路部594とを有する。
【0098】
速度指令部900からモーター制御部58(速度制御部591)への駆動モーター57の回転速度の指令は、パルス信号出力部902からモーター制御部58に出力される前記駆動用パルス信号によって行われる。前記駆動用パルス信号は、加速用パルス信号SG1、定速用パルス信号SG2及び減速用パルス信号SG3を含み(図9の上段図を参照)、いずれも矩形波信号である。1つの矩形波、すなわち立ち上がりエッジE1(図9の中段図を参照)からその後の立ち下がりエッジE2(図9の中段図を参照)までの波形部分であるHIGH信号は、本発明のパルスの一例である。加速用パルス信号SG1、定速用パルス信号SG2及び減速用パルス信号SG3の各々は、このHIGH信号を複数含んだものをいう。減速用パルス信号SG3は、本発明の第1のパルス信号に相当する。なお、以下の説明において、加速用パルス信号SG1、定速用パルス信号SG2及び減速用パルス信号SG3をまとめて駆動用パルス信号SG1〜SG3と表すことがある。
【0099】
本実施形態では、駆動用パルス信号SG1〜SG3のデューティー比は、前記指令速度の大きさに拘わらず、予め定められた一定の値であり、駆動用パルス信号SG1〜SG3の周期、すなわち前記HIGH信号の信号幅によって前記指令速度が指令される。例えば、図9の上段の信号波形に示されるように、前記指令速度が段階的に大きくなる加速制御期間H1にパルス信号出力部902から出力される加速用パルス信号SG1は、駆動モーター57の回転速度を加速させるための信号である。加速用パルス信号SG1の周期及び前記HIGH信号の信号幅は徐々に短くなる。すなわち、加速制御期間H1における加速用パルス信号SG1は、速度零から前記目標回転速度に至るまで、前記信号幅が徐々に小さくなる複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。この加速制御期間H1における加速用パルス信号SG1の各HIGH信号それぞれの信号幅が、前記指令速度、すなわち駆動モーター57が加速用パルス信号SG1の一周期経過後に回転すべき回転速度を示す。なお、前記一周期とは、今回のHIGH信号の立ち上がりエッジから次のHIGH信号の立ち上がりエッジまでをいう。以下に説明される一周期についても同じように定義される。本実施形態では、加速制御期間H1では、前記信号幅が徐々に小さくなっており、これは、加速用パルス信号SG1の一周期経過後に駆動モーター57が回転すべき回転速度が直前のHIGH信号の信号幅が示す回転速度よりも速いことを示す。前記信号幅は、本発明のパルス幅に相当する。
【0100】
なお、駆動用パルス信号SG1〜SG3(図9参照)は、上述の第1実施形態で既に説明しているので、本実施形態での詳細な説明は省略する。
【0101】
また、図9に示されるように、パルス信号出力部902は、速度制御部591への減速用パルス信号SG3の出力が完了すると、後述する停止用パルス信号SG41を速度制御部591(モーター制御部58)に出力する。これにより、モーター制御部58は、減速制御期間H3が終了すると、停止用パルス信号SG41を速度指令部900から受信する。停止用パルス信号SG41も、矩形波信号である。
【0102】
減速用パルス信号SG3は、前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則がある。すなわち、減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3は、デューティー比が一定で、前記目標回転速度から速度零に至るまで、減速用パルス信号SG3の周期及び前記HIGH信号の信号幅が徐々に大きくなる複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。前記所定の規則は、時間の経過とともに前記信号幅が徐々に増大するという規則である。これに対し、停止用パルス信号SG41は、このような信号幅の前記規則に従わないパルス信号である。具体的には、停止用パルス信号SG41のデューティー比は、減速用パルス信号SG3のデューティー比と同一である。また、停止用パルス信号SG41は、減速用パルス信号SG3におけるHIGH信号のうち最後のHIGH信号を含む1周期の長さに比べて小さい周期を有する。したがって、停止用パルス信号SG41における前記HIGH信号の信号幅は、減速用パルス信号SG3における前記最後のHIGH信号の信号幅と比べて小さい。このように、パルス信号出力部902は、減速制御時における減速用パルス信号SG3の変化に対して変則的な停止用パルス信号SG41を、駆動モーター57の回転速度の制御停止を指令する信号としてモーター制御部58(速度制御部591)に出力する。停止用パルス信号SG41は、本発明の第2のパルス信号の一例である。
【0103】
図8に示されるように、モーター制御部58は、演算処理部595を有する。演算処理部595は、制御部90と同様にCPU等を有するマイクロコンピューターと、回路素子とで構成されている。演算処理部595のROMには、前記CPUに各種処理を実行させる為の処理プログラムが記憶されている。演算処理部595は、前記CPUを用いて前記処理プログラムを実行することにより、エッジ検出部571と、カウント部573と、判定処理部576と、終了処理部577として機能する。また、演算処理部595では、前記ROMにカウント値記憶部575Aが含まれる。また、前記回路素子により、クロック出力部572が構成されている。
【0104】
エッジ検出部571は、パルス信号出力部902から出力される駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG41の立ち上がりエッジE1、E3及び立下りエッジE2、E4を検出する。
【0105】
クロック出力部572は、図9の下段の信号波形に示されるように、減速用パルス信号SG3及び停止用パルス信号SG41におけるHIGH信号の信号幅より周期が短い基準クロック信号を出力する。前記基準クロック信号は、前記回路素子である不図示の水晶発振子などで構成される発振回路により生成される高周波(例えば10MHzなど)の矩形波信号である。以下、前記基準クロック信号のうち、立ち上がりエッジからその後の立ち下がりエッジまでの波形部分、すなわちHIGHレベル信号をクロックパルスという。
【0106】
カウント部573は、駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG41における各HIGH信号の出力期間である立ち上がりエッジE1,E3からその後の立ち下がりエッジE2、E4までの間にクロック出力部572から出力される前記クロックパルスの数をカウントする。前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスの数は、例えばそのクロックパルスの立ち上がりエッジの数と同数である。そのため、カウント部573は、前記クロックパルスの立ち上がりエッジの数を前記クロックパルスの数としてカウントする。このカウント部573のカウント値は、前記HIGH信号の信号幅に比例する。
【0107】
判定処理部576は、減速制御期間H3に入ると、パルス信号出力部902から速度制御部591(モーター制御部58)に入力されるパルス信号が停止用パルス信号SG41であるか否かを判定する。具体的には、判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値と前回のカウント値とを比較する比較処理を行う。すなわち、判定処理部576は、今回のカウント値と前回のカウント値とに基づいて、今回の前記HIGH信号の信号幅が前回の前記HIGH信号の信号幅より大きいか小さいかを判定する。換言すると、判定処理部576は、今回のカウント値に対応するパルス信号が、駆動用パルス信号SG1〜SG3のいずれかであるか、又は、停止用パルス信号SG41であるかを判定する。
【0108】
判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値より大きいと判定した場合、今回のカウント値に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG41ではなく減速用パルス信号SG3であると判定する。この場合、判定処理部576は、次回の前記比較処理のため、カウント部573による今回のカウント値をカウント値記憶部575Aに格納する。
【0109】
一方、判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値より小さいと判定した場合、今回のカウント値に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG41であると判定する。
【0110】
このように、判定処理部576は、パルス信号出力部902から速度制御部591(モーター制御部58)に入力されるパルス信号に停止用パルス信号SG41に含まれているか否かを判定する。
【0111】
終了処理部577は、今回のカウント値に対応するパルス信号が停止用パルス信号SG41であると判定処理部576が判定すると、その判定を受けて、PWM制御部593のPWM信号の生成処理を停止して駆動モーター57の回転速度の制御を停止する指示が速度指令部900からなされたと判定する。そして、終了処理部577は、PWM制御部593に例えばスイッチング動作を停止する停止信号を出力することにより、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。
【0112】
次に、図6及び図10を用いて、モーター駆動装置111によるモーター駆動処理について説明する。図6は、速度指令部900で行われる速度指令処理、図10は、モーター制御部58で行われるモーター制御処理を示すフローチャートである。なお、図6図10のフローチャートにおいてステップS601、・・・、ステップS1701、・・・は処理手順(ステップ番号)を表している。
【0113】
前記速度指令処理は、図6に示されるフローチャートに示すステップS601〜S606の手順にしたがって、速度指令部900によって行われる。なお、ステップS606では、前記指令速度が零に達すると、パルス信号出力部902は、停止用パルス信号SG41を速度制御部591に出力する。
【0114】
なお、前記速度指令処理(図6)は、上述の第1実施形態で既に説明しているので、本実施形態での詳細な説明は省略する。
【0115】
図10に示すモーター制御処理は、駆動モーター57が停止している状態でエッジ検出部571によって前記最初のHIGH信号の立ち上がりエッジE1が検出された場合に行われる。
【0116】
<ステップS1701>
図10に示されるように、モーター制御部58における演算処理部595のエッジ検出部571が最初のHIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出すると、演算処理部595のカウント部573は、前記クロックパルスのカウントを開始する。
【0117】
<ステップS1702>
演算処理部595のエッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出していないと判定した場合(ステップS1702でNO)、再度ステップS1702の処理を実行する。一方、エッジ検出部571は、前記最初のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したと判定した場合(ステップS1702でYES)、ステップS1703の処理を実行する。
【0118】
<ステップS1703>
カウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを終了し、カウント値をリセットする。また、速度制御部591は、速度指令部900から入力される駆動用パルス信号と回転速度検出部99から入力される前記速度信号とに基づいて、駆動モーター57の回転速度のフィードバック制御の実行を開始する。
【0119】
<ステップS1704>
演算処理部595のカウント部573は、カウント値をカウント値記憶部575Aに格納する。
【0120】
<ステップS1705>
エッジ検出部571は、次のHIGH信号について立ち上がりエッジE1を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出していないと判定した場合(ステップS1705でNO)、再度ステップS1705の処理を実行する。一方、エッジ検出部571が、前記HIGH信号の立ち上がりエッジE1を検出したと判定した場合(ステップS1705でYES)、演算処理部595は、ステップS1706の処理を実行する。
【0121】
<ステップS1706>
カウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを再開する。
【0122】
<ステップS1707>
演算処理部595のエッジ検出部571は、前記次のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したか否かを判定する。エッジ検出部571は、前記次のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出していないと判定した場合(ステップS1707でNO)、再度ステップS1707の処理を実行する。一方、エッジ検出部571は、前記次のHIGH信号の立ち下がりエッジE2を検出したと判定した場合(ステップS1707でYES)、ステップS1708の処理を実行する。
【0123】
<ステップS1708>
カウント部573は、前記基準クロック信号に含まれる前記クロックパルスのカウントを終了し、カウント値をカウント値記憶部575Aに格納した後に、リセットする。
【0124】
<ステップS1709>
演算処理部595の判定処理部576は、一定であった前記パルス幅が前回のパルス幅より増大したか否かを判定することにより、減速制御期間H3であるか否かを判定する。判定処理部576は、前記パルス幅が前回のパルス幅より増大しておらず減速制御期間H3ではないと判定した場合(ステップS1709でNO)、演算処理部595は、ステップS1705の処理を実行する。一方、判定処理部576は、前記パルス幅が前回のパルス幅より増大し減速制御期間H3であると判定した場合(ステップS1709でYES)、ステップS1710の処理を実行する。
【0125】
<ステップS1710>
演算処理部595の判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値と前回のカウント値とを比較する。ステップS1709において減速制御期間H3であると判定された直後においては、判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値より増大していると判定するため、演算処理部595は、次のステップS1711の処理を実行する。
【0126】
<ステップS1711>
ステップS1711では、判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値をカウント値記憶部575Aに格納する。そして、演算処理部595は、ステップS1705〜S1709の処理を繰り返し実行する。なお、ステップS1705〜S1709の処理を繰り返し実行する際に、ステップS1709における減速制御期間の判定処理は省略してもよい。
【0127】
そして、再びステップS1710において、判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値と前回のカウント値とを比較する。判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値より増大している場合には(ステップS1710でYES)、今回のカウント値に対応するパルス信号は、減速用パルス信号SG3であると判定する。そして、演算処理部595は、ステップS1711の処理を実行する。
【0128】
一方、判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値より減少している場合には(ステップS1710でNO)、今回のカウント値に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG41であると判定する。そして、演算処理部595は、ステップS1712の処理を実行する。
【0129】
<ステップS1712>
終了処理部577は、駆動モーター57の回転速度の制御を停止する指示が速度指令部900からなされたと判定し、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。
【0130】
以上のように、減速用パルス信号SG3は、デューティー比が一定であり、且つ、減速制御時における駆動モーター57の回転速度の前記減速傾向に応じて前記信号幅が増大傾向となる。パルス信号出力部902は、減速用パルス信号SG3の出力が完了すると、この信号幅の増大傾向に対して変則的な停止用パルス信号SG41をモーター制御部58の速度制御部591に出力する。停止用パルス信号SG41のデューティー比は、減速用パルス信号SG3のデューティー比と同一であり、その1周期が、減速用パルス信号SG3におけるHIGH信号のうち最後のHIGH信号を含む1周期の長さに比べて小さい周期である。そのため、停止用パルス信号SG41は、減速用パルス信号SG3における前記最後のHIGH信号の信号幅に比べて小さい信号幅の前記HIGH信号を含むパルス信号である。モーター制御部58は、受信したパルス信号が前記増大傾向に従った信号幅のパルス信号であるか否かを判定する。そして、前記増大傾向に従った信号幅のパルス信号ではない、すなわち、減速用パルス信号SG3の最後のHIGH信号の信号幅より小さい信号幅のHIGH信号を含む停止用パルス信号SG41である場合に、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。したがって、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させるタイミングが遅延することは無い。
【0131】
なお、前記実施形態では、パルス信号の1周期を立ち上がりエッジからその次の立ち上がりエッジまでとし、そのうちのHIGH信号の信号幅が、減速用パルス信号SG3より停止用パルス信号SG41が短く設定される。
【0132】
ただし、パルス信号の1周期を立ち下がりエッジからその次の立ち下がりエッジまでとし、そのうちのLOW信号の信号幅が、減速用パルス信号SG3より停止用パルス信号SG41が短く設定されるようにしてもよい。
【0133】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。なお、上述の第2実施形態の構成と共通の構成及び処理などについては、上述の第2実施形態で用いた符号を付し示すことにより、その構成の説明を省略し、異なる構成及び処理について説明する。具体的には、本実施形態は、上述の第2実施形態と比較して、画像形成装置10の主な構成(図1参照)、シート搬送装置100の構成(図8参照)、駆動モーター57及び回転速度検出部99の構成(図3参照)、駆動モーター57の指令速度の変化(図4のグラフを参照)、そして、速度指令部900で行われる速度指令処理(図6のフローチャート参照)が共通しているため、これらの具体的な説明は省略する。本実施形態と上述の第2実施形態とが異なるところは、パルス信号出力部902が速度制御部591(モーター制御部58)に停止用パルス信号SG42を出力する点と、モーター制御部58で行われるモーター制御処理の手順の一部が異なる点である。以下においては、相違する部分のみ説明し、その他の共通する部分の説明は省略する。
【0134】
また、図11に示されるように、パルス信号出力部902は、速度制御部591への減速用パルス信号SG3の出力が完了すると、後述する停止用パルス信号SG42を速度制御部591(モーター制御部58)に出力する。これにより、モーター制御部58は、減速制御期間H3が終了すると、停止用パルス信号SG42を速度指令部900から受信する。停止用パルス信号SG42も、矩形波信号である。
【0135】
減速用パルス信号SG3は、前記減速制御時における前記回転速度の減速傾向に応じた所定の規則がある。すなわち、減速制御期間H3における減速用パルス信号SG3は、デューティー比が一定で、前記目標回転速度から速度零に至るまで、減速用パルス信号SG3の周期及び前記HIGH信号の信号幅が徐々に大きくなる複数のHIGH信号を有する矩形波信号である。前記所定の規則は、時間の経過とともに前記信号幅が徐々に増大するという規則である。これに対し、停止用パルス信号SG42は、このような信号幅の前記規則に従わないパルス信号である。具体的には、停止用パルス信号SG42は、減速用パルス信号SG3とデューティー比は同一であり、且つ、減速用パルス信号SG3におけるHIGH信号のうち最後のHIGH信号を含む1周期の長さと同一の周期を有する。したがって、停止用パルス信号SG42における前記HIGH信号の信号幅は、減速用パルス信号SG3における前記最後のHIGH信号の信号幅と同一である。このように、パルス信号出力部902は、減速制御時における減速用パルス信号SG3の変化に対して変則的な停止用パルス信号SG42を、駆動モーター57の回転速度の制御停止を指令する信号としてモーター制御部58(速度制御部591)に出力する。停止用パルス信号SG42は、本発明の第2のパルス信号の一例である。
【0136】
なお、演算処理部595のエッジ検出部571は、パルス信号出力部902から出力される駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG42の立ち上がりエッジE1、E3及び立下りエッジE2、E4を検出する。
【0137】
クロック出力部572は、図11の下段の信号波形に示されるように、減速用パルス信号SG3及び停止用パルス信号SG42におけるHIGH信号の信号幅より周期が短い基準クロック信号を出力する。前記基準クロック信号は、前記回路素子である不図示の水晶発振子などで構成される発振回路により生成される高周波(例えば10MHzなど)の矩形波信号である。以下、前記基準クロック信号のうち、立ち上がりエッジからその後の立ち下がりエッジまでの波形部分、すなわちHIGHレベル信号をクロックパルスという。
【0138】
カウント部573は、駆動用パルス信号SG1〜SG3及び停止用パルス信号SG42における各HIGH信号の出力期間である立ち上がりエッジE1、E3からその後の立ち下がりエッジE2、E4までの間にクロック出力部572から出力される前記クロックパルスの数をカウントする。
【0139】
判定処理部576は、減速制御期間H3に入ると、パルス信号出力部902から速度制御部591(モーター制御部58)に入力されるパルス信号が停止用パルス信号SG42であるか否かを判定する。具体的には、判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値と前回のカウント値とを比較する比較処理を行う。すなわち、判定処理部576は、今回のカウント値と前回のカウント値とに基づいて、今回の前記HIGH信号の信号幅が前回の前記HIGH信号の信号幅と同一であるか否かを判定する。換言すると、判定処理部576は、今回のカウント値に対応するパルス信号が、駆動用パルス信号SG1〜SG3のいずれかであるか、又は、停止用パルス信号SG42であるかを判定する。なお、前記カウント値が同一とは、前記カウント値が完全に一致する場合のみならず、予め定められた誤差範囲内である場合も含む。
【0140】
判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値と同一ではないと判定した場合、今回のカウント値に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG42ではなく減速用パルス信号SG3であると判定する。この場合、判定処理部576は、次回の前記比較処理のため、カウント部573による今回のカウント値をカウント値記憶部575Aに格納する。
【0141】
一方、判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値と同一であると判定した場合、今回のカウント値に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG42であると判定する。
【0142】
このように、判定処理部576は、パルス信号出力部902から速度制御部591(モーター制御部58)に入力されるパルス信号に停止用パルス信号SG42に含まれているか否かを判定する。
【0143】
終了処理部577は、今回のカウント値に対応するパルス信号が停止用パルス信号SG42であると判定処理部576が判定すると、その判定を受けて、PWM制御部593のPWM信号の生成処理を停止して駆動モーター57の回転速度の制御を停止する指示が速度指令部900からなされたと判定する。そして、終了処理部577は、PWM制御部593に例えばスイッチング動作を停止する停止信号を出力することにより、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。
【0144】
次に、図6及び図12を用いて、モーター駆動装置111によるモーター駆動処理について説明する。図6は、速度指令部900で行われる速度指令処理、図12は、モーター制御部58で行われるモーター制御処理を示すフローチャートである。なお、図6図12のフローチャートにおいてステップS601、・・・、ステップS1701、・・・は処理手順(ステップ番号)を表している。
【0145】
前記速度指令処理は、図6に示されるフローチャートに示すステップS601〜S606の手順にしたがって、速度指令部900によって行われる。なお、ステップS606では、前記指令速度が零に達すると、パルス信号出力部902は、停止用パルス信号SG42を速度制御部591に出力する。
【0146】
なお、前記速度指令処理(図6)は、上述の第1実施形態及び第2実施形態で既に説明しているので、本実施形態での詳細な説明は省略する。
【0147】
図12に示すモーター制御処理は、駆動モーター57が停止している状態でエッジ検出部571によって前記最初のHIGH信号の立ち上がりエッジE1が検出された場合に行われる。前記モーター制御処理は、図12に示されるフローチャートに示すステップS1701〜S1712の手順にしたがって、モーター制御部58によって行われる。前記モーター制御処理において、上述の第2実施形態と異なるところは、ステップS1710の判定処理に代わって、ステップS1710Aの判定処理が行われる点であり、その他の手順の処理は上述の第2実施形態と共通する。したがって、以下においては、ステップS1710Aの処理について説明する。
【0148】
図12に示すように、駆動モーター57が停止している状態でエッジ検出部571によって前記最初のHIGH信号の立ち上がりエッジE1が検出された場合に、モーター制御部58では、ステップS1701〜S1709の手順に従って処理が行われる。
【0149】
ステップS1709において、判定処理部576は、前記パルス幅が前回のパルス幅より増大しておらず減速制御期間H3ではないと判定した場合(ステップS1709でNO)、演算処理部595は、ステップS1705の処理を実行する。一方、判定処理部576は、前記パルス幅が前回のパルス幅より増大し減速制御期間H3であると判定した場合(ステップS1709でYES)、ステップS1710Aの処理を実行する。
【0150】
<ステップS1710A>
演算処理部595の判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値と前回のカウント値とを比較する。ステップS1709において減速制御期間H3であると判定された直後においては、判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値より増大していると判定するため、演算処理部595は、次のステップS1711の処理を実行し、その後、ステップS1705〜S1709の処理を繰り返し実行する。そして、再びステップS1710Aにおいて、判定処理部576は、カウント部573による今回のカウント値と前回のカウント値とを比較する。判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値と同一ではない場合には(ステップS1710AでNO)、今回のカウント値に対応するパルス信号は、減速用パルス信号SG3であると判定する。そして、演算処理部595は、ステップS1711の処理を実行する。
【0151】
一方、判定処理部576は、今回のカウント値が前回のカウント値と同一である場合には(ステップS1710AでYES)、今回のカウント値に対応するパルス信号は、停止用パルス信号SG42であると判定する。そして、演算処理部595は、ステップS1712の処理を実行する。
【0152】
以上のように、減速用パルス信号SG3は、デューティー比が一定であり、且つ、減速制御時における駆動モーター57の回転速度の前記減速傾向に応じて前記信号幅が増大傾向となる。パルス信号出力部902は、減速用パルス信号SG3の出力が完了すると、この信号幅の増大傾向に対して変則的な停止用パルス信号SG42をモーター制御部58の速度制御部591に出力する。停止用パルス信号SG42は、減速用パルス信号SG3における最後のパルスと同一のパルス幅のパルスを含むものである。モーター制御部58は、受信したパルス信号が前記増大傾向に従った信号幅のパルス信号であるか否かを判定し、前記増大傾向に従った信号幅のパルス信号ではない停止用パルス信号SG42であると判定した場合に、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させる。したがって、PWM制御部593によるPWM信号の生成処理を停止させるタイミングが遅延することは無い。
【0153】
なお、上述の各実施形態では、速度指令部900の指令速度記憶部901とパルス信号出力部902とが制御部90とは独立して設けられているが、速度指令部900が制御部90内に設けられていてもよい。この場合、モーター制御部58と制御部90内に設けられた速度指令部900とが本発明のモーター駆動装置の一例となる。
【0154】
また、上述の各記実施形態では、エッジ検出部571、クロック出力部572及びカウント部573は、加速制御期間H1及び定速制御期間H2にも処理を実行するが、減速制御期間H3に入った場合に処理を開始するようにしてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12