特許第6177514号(P6177514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6177514-面状照明装置 図000002
  • 特許6177514-面状照明装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177514
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】面状照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170731BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170731BHJP
【FI】
   F21S2/00 434
   F21S2/00 444
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-226034(P2012-226034)
(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公開番号】特開2014-78432(P2014-78432A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆人
【審査官】 石井 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−177074(JP,A)
【文献】 特開2007−335312(JP,A)
【文献】 特開平10−247413(JP,A)
【文献】 特開2005−339956(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/060029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源が配置される入光面、該入光面から入射した光を出射する出射面、該出射面と対向する反射面を有する導光板と、該導光板の反射面に沿って配置される反射シートと、を備え、
前記導光板は、前記出射面を含む面側の前記出射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第1の傾斜面と、前記反射面を含む面側の前記反射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第2の傾斜面とを有し、
前記第1及び第2の傾斜面のそれぞれは、前記入光面から離れるほど前記導光板の厚みが小さくなるように傾斜させて形成され、
前記第2の傾斜面の前方側の端辺の導光方向の位置と、前記反射シートの前記入光面側の外周端面の導光方向の位置とが略一致しており、
前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面と比較して、導光方向の長さが小さいことを特徴とする面状照明装置。
【請求項2】
前記第2の傾斜面に対して前記反射シートとは別体の反射部材が適用されていることを特徴とする請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記反射部材は、前記第2の傾斜面と前記反射シートの裏面と面一の仮想面とで挟まれた空間を補完するような楔状をなすことを特徴とする請求項2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記入光面の前記反射面を含む側の端辺の厚み方向の位置と、前記反射シートの前記導光板側を向く面の反対側の面の厚み方向の位置とが略一致していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の面状照明装置。
【請求項5】
光源と、該光源が配置される入光面、該入光面から入射した光を出射する出射面、該出射面と対向する反射面を有する導光板と、該導光板の反射面に沿って配置される反射シートと、を備え、
前記導光板は、前記出射面を含む面側の前記出射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第1の傾斜面と、前記反射面を含む面側の前記反射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第2の傾斜面とを有し、
前記第1及び第2の傾斜面のそれぞれは、前記入光面から離れるほど前記導光板の厚みが小さくなるように傾斜させて形成され、
前記入光面の前記反射面を含む側の端辺の厚み方向の位置と、前記反射シートの前記導光板側を向く面の反対側の面の厚み方向の位置とが略一致しており、
前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面と比較して、導光方向の長さが小さいことを特徴とする面状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入光端面に光源を配置して出射部から面状の照明光を出射する導光板を備えたサイドライト方式の面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの照明手段として、小型で環境適合性に優れたLEDを導光板の側端面に沿って配置してなるサイドライト方式の面状照明装置(バックライト)が、携帯電話等の小型携帯情報機器の分野を中心に広く採用されている。昨今では、小型携帯情報機器の更なる薄型化に対応するため、LEDが配置された側端面(以下、入光面ともいう)から離れるほど厚さが漸減する傾斜部が入光面と出射部との間に形成された導光板が使用されている。このような導光板を使用することにより、LEDの厚さによらず導光板の出射部を薄くすることができる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−98959号公報
【特許文献2】特開2007−287550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液晶表示装置の薄型化に対する要求は厳しさを増すばかりであり、液晶表示装置のバックライトとして用いられる面状照明装置にも、さらなる薄型化が強く求められている。例えば、特許文献1及び2に記載された面状照明装置では、導光板の傾斜部を構成する傾斜面が、出射面を含む表面側にのみ形成され、導光板の裏面側は、傾斜部も含めて連続する平坦面として構成されるため、導光板の裏面側に反射シートを配置した場合、その厚み分だけ面状照明装置の厚みが増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、薄型であって、かつ輝度特性に優れた面状照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)光源と、該光源が配置される入光面、該入光面から入射した光を出射する出射面、該出射面と対向する反射面を有する導光板と、該導光板の反射面に沿って配置される反射シートと、を備え、前記導光板は、前記出射面を含む面側の前記出射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第1の傾斜面と、前記反射面を含む面側の前記反射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第2の傾斜面とを有し、前記第1及び第2の傾斜面のそれぞれは、前記入光面から離れるほど前記導光板の厚みが小さくなるように傾斜させて形成され、前記第2の傾斜面の前方側の端辺の導光方向の位置と、前記反射シートの前記入光面側の外周端面の導光方向の位置とが略一致しており、前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面と比較して、導光方向の長さが小さいことを特徴とする面状照明装置(請求項1)。
【0008】
(2)(1)項に記載の面状照明装置において、前記第2の傾斜面に対して前記反射シートとは別体の反射部材が適用されていることを特徴とする状照明装置(請求項2)。
(3)(2)項に記載の面状照明装置において、前記反射部材は、前記第2の傾斜面と前記反射シートの裏面と面一の仮想面とで挟まれた空間を補完するような楔状をなすことを特徴とする面状照明装置(請求項3)。
【0010】
)(1)から()のいずれか1項に記載の面状照明装置において、前記入光面の前記反射面を含む側の端辺の厚み方向の位置と、前記反射シートの前記導光板側を向く面の反対側の面の厚み方向の位置とが略一致していることを特徴とする面状照明装置(請求項)。
【0011】
(5)光源と、該光源が配置される入光面、該入光面から入射した光を出射する出射面、該出射面と対向する反射面を有する導光板と、該導光板の反射面に沿って配置される反射シートと、を備え、前記導光板は、前記出射面を含む面側の前記出射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第1の傾斜面と、前記反射面を含む面側の前記反射面よりも前記入光面寄りの、前記光源の前方部分を含む領域に設けられた第2の傾斜面とを有し、前記第1及び第2の傾斜面のそれぞれは、前記入光面から離れるほど前記導光板の厚みが小さくなるように傾斜させて形成され、前記入光面の前記反射面を含む側の端辺の厚み方向の位置と、前記反射シートの前記導光板側を向く面の反対側の面の厚み方向の位置とが略一致しており、前記第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面と比較して、導光方向の長さが小さいことを特徴とする面状照明装置(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、出射面を含む面側の出射面よりも入光面寄りの領域に設けられ、入光面から離れるほど導光板の厚みが小さくなるように傾斜させて形成された第1の傾斜面を有する導光板が、さらに、反射面を含む面側の反射面よりも入光面寄りの領域に設けられ、入光面から離れるほど導光板の厚みが小さくなるように傾斜させて形成された第2の傾斜面を有しており、そして、入光面の反射面を含む側の端辺の厚み方向の位置と、反射シートの導光板側を向く面の反対側の面の厚み方向の位置とが略一致しているように構成したため、反射面に沿って配置された反射シートの厚みによって面状照明装置の厚みが増大することはなく、これによって、面状照明装置を薄型化することが可能となる。
【0014】
また、本発明によれば、上記構成により、導光板の表面側にのみ傾斜面を設けた従来の面状照明装置と比較して、導光板の表面側に形成される第1の傾斜面の傾斜角度の絶対値を小さくする(言い換えれば、より緩やかな傾斜面とする)ことができる。これによって、入光面から導光板に入射した後、第1の傾斜面に入射した光のうち、第1の傾斜面から外方に漏れる光の量が低減するため、輝度及び輝度分布の均一性等の輝度特性に優れた面状照明装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の参考例における面状照明装置の要部を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態における面状照明装置の要部を、一部を断面として示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る面状照明装置を図面を参照して説明する。なお、添付の各図面において、各構成要素の形状、寸法等は、本発明の理解を容易にするため適宜誇張して示されている。また、添付の各図面において、二つの構成要素が空間を介して隣接するように図示されている場合、その空間は、本発明の理解を容易にするために挿入されるか、または誇張して示されたものであり、本発明の構成は、隣接する構成要素間の空間の有無、または、存在する場合には、その寸法によるものではない。
【0017】
本発明の参考例である面状照明装置10は、図1に示すように、光源としてのLED11と、LED11が発光した光を面状に出射させるための導光板20とを備えている。導光板20は、透明材料(例えば、ポリカーボネート樹脂)を用いて上面視矩形状に形成されており、その外表面に、LED11を配置する側の端面である入光面21を有している。また、導光板20において、入光面21の長手方向(図1において、紙面に直交する方向)の二端辺21c、21dのうちの一方21cに連接する面には、出射面22と、後述する第1の傾斜面25とが含まれ、他方21dに連接する面には、反射面23と、後述する第2の傾斜面26とが含まれている。以下、出射面22を含む方の面を表面、反射面23を含む方の面を裏面ともいう。
【0018】
本発明において、入光面21から対向端面(入光面21と対向する端面、図示は省略する)に向かう方向(図1の紙面右方向)を「前方」(その反対方向を「後方」)という。このように定義された「前方」は、入光面21から導光板20に入光した光が、全体として、導光板20内を導光される方向でもあり、この意味で、上記定義による前後方向を、「導光方向」ともいう。
【0019】
面状照明装置10において、第1及び第2の傾斜面25、26のそれぞれは、入光面21から離れるほど導光板20の厚みが小さくなるように傾斜させて形成されており、具体的には、第1の傾斜面25は、入光面21の表面側の端辺21cから裏面側に向かって傾斜するように形成され、第2の傾斜面26は、入光面21の裏面側の端辺21dから表面側に向かって傾斜するように形成されている。そして、出射面22は、入光面21に略直交する平坦面として、第1の傾斜面25の前方の端辺25aに連接して形成され、反射面23は、出射面22に略平行に対向する平坦面として、第2の傾斜面26の前方の端辺26aに連接して形成されている。
【0020】
以下、反射面23が出射面22を向く方向(図1の紙面上方向)を「上方」(その反対方向を「下方」)と定義し、この定義による上下方向を、「厚み方向」ともいう。さらに、前後方向及び上下方向と直交する方向(図1の紙面に直交する方向)を(必要な場合、前方に向かって「右方」及び「左方」を定義して)左右方向ともいう。左右方向は、言い換えれば、入光面21の長手方向である。また、特に明示して断らない限り、「長さ」、「厚さ(厚み)」、及び「幅」は、それぞれ前後方向、上下方向、及び左右方向の寸法をいう。
【0021】
面状照明装置10において、導光板20の表面側には、出射面22から出射する光の指向性を制御するための光学シート類31(例えば、拡散シート及び1対のプリズムシートを順次積層して構成される)が出射面22に沿って配置されており、裏面側には、反射面23から漏れた光を反射して再度導光板20内に戻すための反射シート32が反射面23に沿って配置されている。
【0022】
そして、第2の傾斜面26は、反射シート32が反射面23に沿って配置されたときに、入光面21の裏面側の端辺21dの厚み方向の位置と、反射シート32の導光板20側を向く面(以下、表面ともいう)33の反対側の面(以下、裏面ともいう)34の厚み方向の位置とが略一致するように形成される。また、反射シート32は、その入光面21側の外周端面35の導光方向の位置が、第2の傾斜面26の前方側の端辺26aの導光方向の位置と略一致するように形成及び配置されている。
【0023】
ここで、面状照明装置10において、第2の傾斜面26は、その前方の端辺26aの導光方向の位置が、第1の傾斜面25の前方の端辺25aの導光方向の位置と、略一致するように形成されている。さらに、面状照明装置10では、第1の傾斜面25の後方側の端辺25b及び第2の傾斜面26の後方側の端辺26bについても、それぞれが入光面21の表面側の端辺21c及び裏面側の端辺21dと一致していることにより、それらの導光方向の位置が一致しているため、第1の傾斜面25と第2の傾斜面26とは、導光方向の長さが略等しいものである。
【0024】
しかるに、面状照明装置10において、入光面21の裏面側の端辺21dと反射面23との間の厚み方向の段差は、入光面21の表面側の端辺21cと出射面22との間の厚み方向の段差よりも小さく、したがって、面状照明装置10において、第2の傾斜面26は、第1の傾斜面25よりも緩やかな傾斜面となっている。すなわち、傾斜面の傾斜角度を、前方に向かって上方に傾斜する場合を正と定義すれば、第2の傾斜面26の傾斜角度θ2(正の傾斜角度θ2の絶対値)は、第1の傾斜面25の負の傾斜角度θ1の絶対値よりも小さい。面状照明装置10では、この意味で、第1の傾斜面25と第2の傾斜面26とは、導光板10を厚み方向に二分する仮想平面(入光面21の厚み方向の中心を通り、入光面21に直交する仮想平面。図示は省略する)に対して、非対称な形状を有しているものである。
【0025】
尚、本発明において、反射面23という用語は、反射シート32が配置される側の面の意味で用いられており、必ずしも、その面自体に何らかの光反射手段が設けられていること意味するものではない。但し、反射面23は、例えば複数のドットからなる光路変更パターン等の光反射手段を備えるものであってもよい。
【0026】
面状照明装置10は、導光板20の裏面の、第1の傾斜面25の下方の領域の導光方向の長さを最大限に活用して、所定の第2の傾斜面26を、小さい傾斜角度θ2を有する傾斜面として実現したものであり、次に、このような面状照明装置10の作用効果について説明する。
【0027】
面状照明装置10は、LED11から出射し、入光面21から導光板20に入光した光を、導光板20を全体として前方に向けて導光させつつ、出射面22から面状に出射させるものである。図1には、このような光の典型的な光路の1つが、光路bとして模式的に示されている。
【0028】
そして、面状照明装置10では、導光板20の裏面側に第2の傾斜面26を設けたことにより、入光面21の裏面側の端辺21dと反射面23との間に形成される段差に反射シート32が収容される構成としたため、反射面23に沿って反射シート32を配置しても、反射シート32の厚みによって面状照明装置10の厚みが増大することはない。面状照明装置10では、この構成により、導光板の表面側にのみ傾斜面を設けた(したがって、裏面全体が平坦であって、かつ通常はその裏面全体を覆うように反射シートが配置される)従来の面状照明装置と比較して、面状照明装置の厚みを小さくすることが可能となる。
【0029】
また、面状照明装置10では、導光板20の裏面側に第2の傾斜面26を設けることにより、導光板の表面側にのみ傾斜面を設けた従来の面状照明装置と比較して、導光板20の表面側に形成される第1の傾斜面25の傾斜角度θ1の絶対値を小さくする(言い換えれば、より緩やかな傾斜面とする)ことができる。これによって、入光面21から導光板20に入光した後、第1の傾斜面25に入射した光のうち、第1の傾斜面25で反射されることなく外方に漏れる光の量が低減するため、輝度及び輝度分布の均一性等の輝度特性に優れた面状照明装置を実現することができる。
【0030】
ここで、面状照明装置10において、第1の傾斜面25は、入光面21の表面側の端辺21cと出射面22との間に、導光板20の出射面22に沿って配置される光学シート類31の厚み、及び、(面状照明装置10が液晶表示装置のバックライトとして用いられる場合には)、出射面22上に積層配置される液晶パネルの段部等の厚みを収容するだけの段差が生じるように形成されており、これらの厚みは、反射シート32の厚みよりも大きい。
一方、面状照明装置10が、上記作用効果を達成するためには、第2の傾斜面26を、反射シート32が反射面23に沿って配置されたときに、入光面21の裏面側の端辺21dの厚み方向の位置と、反射シート32の裏面34の厚み方向の位置とが略一致するように形成すればよい。
これによって、面状照明装置10は、第1の傾斜面25と第2の傾斜面26とが、導光板10を厚み方向に二分する仮想平面に対して、それぞれの傾斜角度θ1、θ2の絶対値が相違する点で非対称な形状を有する構成をもって、上記の作用効果を達成するものである。
【0031】
さらに、面状照明装置10において、反射シート32の入光面21側の外周端面35の導光方向の位置を、第2の傾斜面26の前方側の端辺26aの導光方向の位置と略一致させた構成は、全体として一様な厚みを有する既存の反射シート32のみを用いて、反射シート32の厚みを導光板20の裏面側に突出させない構成を容易に実現できる点で、有利な構成である。
【0032】
但し、この配置構成では、導光板20の裏面のうち、第2の傾斜面26には反射シート32が配置されないことになるため、第2の傾斜面26自体に何らかの反射手段が設けられていない場合、上述したような従来の面状照明装置と比較して、入光面21から導光板20に入光した光のうち、第2の傾斜面26から外方に漏れる光が増大して、光の利用効率が低下することが予想される。図1には、このような漏れ光となる光の典型的な光路の一例が、光路a1として模式的に示されている。
【0033】
しかしながら、多くの場合、面状照明装置10は、図1に示す構成要素の他に、それらを収納するフレーム(通常、白色樹脂及び/または金属等の光反射性の材料から構成される)を備えており、第2の傾斜面26の下方には、フレームの一部である光反射性部材が配置されている。この場合、第2の傾斜面26からの漏れ光を、この光反射性部材による反射によって再び導光板20内に戻すことができるため、光の利用効率の低下、ひいては面状照明装置10の輝度の低下を、実用上問題とならない程度に留めることができる。
【0034】
また、第2の傾斜面26自体に反射手段が設けられておらず、かつ、第2の傾斜面26の下方に光反射性部材が配置されない場合のように、第2の傾斜面26からの漏れ光がそのまま損失光となる場合であっても、面状照明装置10は、輝度特性の観点から、次のような作用効果を奏するものである。
【0035】
一般に、面状照明装置10のような導光板20及び光源(面状照明装置10の場合には、LED)11の配置構成を備えた面状照明装置では、導光板20に、入光面21から所定の長さを有するデッド領域Aと、デッド領域Aの前方の有効領域Bとが設定されており、輝度分布の均一性等の観点から、出射面22中の有効領域Bからの出射光のみが照明光として実際に使用されるものである。それでも、この有効領域Bの入光面21寄りの領域の輝度は、有効領域Bの平均輝度よりも高輝度となる傾向を有しており、それによって、照明光の輝度分布の均一性が損なわれる場合がある。
【0036】
しかるに、面状照明装置10において、入光面21から導光板20内に入光した光のうち、第2の傾斜面26からの漏れ光となる光の多くは、例えば図1に示す光路a1のように、一度第1の傾斜面25で反射された後に、比較的小さい入射角でもって第2の傾斜面26に入射する光である。したがって、仮にこの光を何らかの反射手段によって反射した場合には、図1に模式的に示す光路a2のように、出射面22の入光面21寄りの領域から出射する光となり、このような出射光の少なくとも一部は、有効領域Bの入光面21寄りの領域から出射することになる。
【0037】
したがって、面状照明装置10において、光路a1のような光路を有する光を表面側に向けて反射させることなく、第2の傾斜面26からの漏れ光としてそのまま損失光とする構成は、照明光の輝度向上の観点からは不利な構成ではあるものの、出射面22の入光面21寄りの領域、ひいては有効領域Bの入光面21寄りの領域からの出射光が低減することにより、その領域の異常な高輝度化を防止し、照明光の輝度分布の均一性を向上させる上では有利な構成である。
【0038】
勿論、面状照明装置10において、必要な場合(例えば、設計上、輝度分布の均一性よりも輝度の向上が優先される場合)には、第2の傾斜面26に対して光反射手段が適用されるものであってもよい。この光反射手段は、例えば、蒸着及び印刷等により第2の傾斜面26に付着される反射膜のように、第2の傾斜面26自体に設けられるものであってもよい。あるいは、光反射手段は、第2の傾斜面26の下方の楔状の空間(第2の傾斜面26の導光方向の長さにわたって、第2の傾斜面26と、反射面23に配置された反射シート32の裏面34と面一の仮想面(図示は省略する)とで挟まれた空間)に対して、それを補完するような楔状の反射部材を、第2の傾斜面26に沿って配置するものであってもよい。この反射部材は、反射シート32の入光面21側の端辺部分を上記楔状に加工することによって、反射シート32と一体に形成されるものであってもよく、または、反射シート32とは別体に形成されるものであってもよい。
【0039】
尚、面状照明装置10において、設計上、輝度の向上よりも輝度分布の向上が優先される等の理由により、第2の傾斜面26に対して光反射手段を適用しない場合には、第2の傾斜面26からの漏れ光が迷光化することを防止するために、第2の傾斜面26に対して光吸収手段を適用するものであってもよい。光吸収手段の構成は、例えば、上述した光反射手段について説明した反射膜、及び反射シート32とは別体に構成される反射部材を、それぞれ適切な材料から構成される吸収膜及び吸収部材としたものであってもよい。
【0040】
また、面状照明装置10では、第2の傾斜面26の傾斜角θ2が、第1の傾斜面25の傾斜角θ1の絶対値よりも小さいことから、入光面21から導光板20に入射した光のうち、第1の傾斜面25による反射を介することなく、直接第2の傾斜面26に入射する光の多くは、光路a1に沿って入射する光よりも大きな入射角をもって第2の傾斜面26に入射することになり、図1に模式的に示す光路cのように、第2の傾斜面26によって反射されて、光路a1を有する光が仮に表面側に反射された場合の光路a2よりも前方へと送られるため、有効領域Bの入光面21寄りの領域から出射されて輝度分布の均一性を阻害する出射光となることなく、正常な照明光として出射されるものである。
【0041】
次に、図2を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、図2に示す面状照明装置40において、参考例における面状照明装置10と共通または対応する構成要素には同一の符号を付し、面状照明装置10と重複する説明は適宜省略して、主としてその相違点について説明する。また、図2では、説明の便宜のため、LED11のみが断面図として示されている。
【0042】
図2に示す面状照明装置40は、図1に示す面状照明装置10と比較して、第2の傾斜面56の構成が、面状照明装置10の第2の傾斜面26と相違するものである。
具体的には、面状照明装置40において、第2の傾斜面56は、第1の傾斜面25と比較して、導光方向の長さが小さく、したがって、第2の傾斜面56の傾斜角度θ3(正の傾斜角度θ3の絶対値)は、(面状照明装置40の他の構成要素の寸法が面状照明装置10と等しい場合)、面状照明装置10の第2の傾斜面26の傾斜角度θ2よりも大きいものである。この例では、面状照明装置40の第2の傾斜面56は、その傾斜角度θ3が、第1の傾斜面の負の傾斜角度θ1の絶対値と略一致するように形成されている。
【0043】
このように、面状照明装置40では、第1の傾斜面25と第2の傾斜面56とは、導光方向の長さが異なる点で、導光板50を厚み方向に二分する仮想平面(入光面21の厚み方向の中心を通り、入光面21に直交する仮想平面。図示は省略する)に対して、非対称な形状を有しているものである。
【0044】
また、面状照明装置40は、第2の傾斜面56が、第2の傾斜面56の前方側の端辺56aの導光方向の位置が、第1の傾斜面25の前方側の端辺25aの導光方向の位置よりも入光面21寄り(後方)となるように形成されている点でも相違する。
【0045】
これは、面状照明装置40において、第1の傾斜面25よりも導光方向の長さが小さい第2の傾斜面56を、入光面21の裏面側の端辺21dの導光方向の位置から第1の傾斜面25の前方側の端辺25aの直下に相当する導光方向の位置の範囲内のうち、比較的入光面21寄りの位置に配置することを意味する。
【0046】
特に、面状照明装置40では、第2の傾斜面56は、入光面21の裏面側の端辺21dから表面側に向かって傾斜する(すなわち、第2の傾斜面56の後方側の端辺56bは、入光面21の裏面側の端辺21dと一致する)ように形成されているため、所定の長さを有する第2の傾斜面56が、導光板50の裏面側の最も入光面21寄りの位置に配置された構成を備えていることになる。
【0047】
面状照明装置40は、所定の第2の傾斜面56を、その傾斜角度θ3を大きくすることにより、第1の傾斜面25よりも導光方向の長さが小さい傾斜面として実現したものであり、この構成をもって、上述した面状照明装置10と同様の作用効果を奏するものである。
【0048】
加えて、面状照明装置40では、面状照明装置10と比較して、第2の傾斜面56の導光方向の長さが小さく、ひいては第2の傾斜面56の面積が小さいことにより、入光面21から導光板50内に入光した光のうち第2の傾斜面56に入射する光の量が少なく、したがって第2の傾斜面56からの漏れ光が少ないため、照明光の輝度を向上させることができる。
【0049】
さらに、面状照明装置40において、第2の傾斜面56は、上述したように、導光板50の裏面のうち、導光方向について最も入光面21寄りの位置に配置されており、これによって、面状照明装置40の輝度特性の観点から、次のような作用効果を奏するものである。
【0050】
すなわち、第2の傾斜面56の配置位置を入光面21寄りにするほど、第1の傾斜面25からの反射光が第2の傾斜面56に入射する可能性が低減し、ひいては第2の傾斜面56からの漏れ光を低減することができる。
【0051】
加えて、一般に、入光面21に配置されるLED11は、所定の厚みを有する白色樹脂製のランプハウス11bに発光源であるLEDチップ11aを収納した構造(符号11cは透光性の封止樹脂)を備えており、この場合には、第2の傾斜面56の配置位置を入光面21寄りにするほど、ランプハウス11bの下方部分が、LED11からの出射光が直接第2の傾斜面56に入射するような光路で入光面21に入光することを防止する防壁として有効に機能するため、第2の傾斜面56からの漏れ光をさらに低減させることができる。
【0052】
また、面状照明装置40において、第2の反射面56における反射を経て導光板50の表面側から出射される光があったとしても、そのような光のうち、出射面22(特に、有効領域Bの入光面21寄りの領域)から出射されるのではなく、第1の傾斜面25からの漏れ光としてデッド領域Aから出射される光の割合は、第2の傾斜面56の配置位置を入光面21寄りにするほど増大する。通常、導光板50のデッドエリアA(少なくとも第1の傾斜面25)は、LED11を実装するFPC及び/または遮光シートで覆われており、第1の傾斜面25からの漏れ光は、これらの部材により(必要に応じて光吸収部材を配置して)吸収されるものである。
【0053】
したがって、面状照明装置40において、第2の傾斜面56の上記配置構成は、有効領域Bから出射される照明光の輝度分布の均一性が、第2の傾斜面での反射光が存在するために劣化することを抑制する上でも有利なものである。
【0054】
尚、面状照明装置40は、上述したように、導光方向の長さが第1の傾斜面25の導光方向の長さよりも小さい第2の傾斜面56を、導光方向について最も入光面21寄りの位置に配置した構成を備えており、これによって、上記作用効果を最大限に発揮するものである。但し、面状照明装置40において、第2の傾斜面56は、必ずしも最も入光面21寄りの位置に配置されていなくともよく、導光方向の長さが第1の傾斜面25の導光方向の長さよりも小さい第2の傾斜面56を、その前方側の端辺56aの導光方向の位置が、第1の傾斜面25の前方側の端辺25aの導光方向の位置よりも入光面21寄りとなるように形成している限り、一定の上記作用効果を奏するものである。
【0055】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、実施形態における面状照明装置40において、第2の傾斜面56の傾斜角度θ3(正の傾斜角度θ3の絶対値)は、第2の傾斜面56の導光方向の長さが第1の傾斜面25の導光方向の長さよりも小さい限り、第1の傾斜面25の傾斜角度θ1の絶対値よりも大きくてもよく、または、小さくてもよい。
【0056】
また、上述した面状照明装置10、40では、導光板20、50の第1の傾斜面25の後方の端辺25b及び第2の傾斜面26、56の後方の端辺26b、56bは、それぞれ入光面21の表面側の端辺21c及び裏面側の端辺21dと一致するものとしたが、本発明において、第1及び第2の傾斜面25、26、56は、それぞれ、導光板20、50の表面側及び裏面側の出射面22及び反射面23よりも入光面21寄りの領域に形成されていればよく、例えば、入光面21の表面側の端辺21cと第1の傾斜面25の後方の端辺25bとの間、及び、入光面21の裏面側の端辺21dと第2の傾斜面26、56の後方の端辺26b、56bとの間のいずれか一方または両方に、入光面21に直交する平坦面が設けられるものであってもよい。
【0057】
さらに、上述した面状照明装置10、40では、第1及び第2の傾斜面25、26、56は、すべて一様な傾斜角度θ1、θ2、θ3を有する平坦面からなるものとしたが、本発明において、第1及び第2の傾斜面25、26、56のいずれか一方または両方は、曲面からなるものであってもよく、あるいは、それぞれ異なる一様な傾斜角度を有する複数の平坦面の多面構成からなるものであってもよい。その際、本願発明に係る第1及び第2の傾斜面の「傾斜角度」は、例えば、曲面または平坦面の多面構成からなる傾斜面の平均の傾斜角度とするものであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10,40:面状照明装置、11:LED、20,50:導光板、21:入光面、21c:入光面の表面(出射面を含む面)側の端辺、21d:入光面の裏面(反射面を含む面)側の端辺、22:出射面、23:反射面、25:第1の傾斜面、26,56:第2の傾斜面32:反射シート、33:表面(導光板側を向く面)、34:裏面(導光板側を向く面の反対側の面)
図1
図2