特許第6177557号(P6177557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177557
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】医療用処置具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
   A61B17/29
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-61198(P2013-61198)
(22)【出願日】2013年3月23日
(65)【公開番号】特開2014-184011(P2014-184011A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】597089576
【氏名又は名称】株式会社リバーセイコー
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸
(72)【発明者】
【氏名】西村 誠
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−017386(JP,A)
【文献】 特開2001−321326(JP,A)
【文献】 特開2004−236984(JP,A)
【文献】 実開昭61−024011(JP,U)
【文献】 特開2012−100864(JP,A)
【文献】 特開2001−321386(JP,A)
【文献】 特開2002−011017(JP,A)
【文献】 特開2002−253562(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/035870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端近傍にく字状の屈曲部を有し密着コイルからなる可撓性のシースと、
該シースの先端に設けられる処置部と、
前記シースに挿通され前記処置部に連結される操作ワイヤーと、
該操作ワイヤー基端及び前記シース基端に連結され、前記操作ワイヤーを進退操作することにより前記処置部を操作する操作部とを含む医療用処置具であって、
前記シースの先端を基端側に牽引するための突っ張りワイヤーが、前記シースの軸中心より前記屈曲部の屈曲内部に向かう方向に配置され
前記操作部に、前記突っ張りワイヤーを牽引操作するための牽引部材が取り付けられ、
前記突っ張りワイヤーの基端には、該基端を覆うストッパーが設けられ、
前記牽引部材には、前記ストッパーを保持する保持孔が形成された固定板が設けられ、
前記突っ張りワイヤーの非牽引状態においては、前記保持孔内であって前記ストッパーの軸方向前後に空間を有し、前記突っ張りワイヤーの牽引状態においては、前記ストッパーの前方が前記固定板に当接して固定されることを特徴とする医療用処置具。
【請求項2】
前記固定板には、前記突っ張りワイヤーを挿通するワイヤー挿通路が設けられ、
前記保持孔は、前記固定板の内部に設けられ、かつ、前記ワイヤー挿通路のみを通じて外部と連通していることを特徴とする請求項1に記載の医療用処置具。
【請求項3】
前記操作部は、前記シースの基端に連結される操作部本体と、前記操作ワイヤーの基端に連結され前記操作部本体にスライド可能に取り付けられたスライダーとを有し、前記操作部本体に、前記突っ張りワイヤーを牽引操作するための牽引部材が取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用処置具。
【請求項4】
前記操作部には、係合溝が複数形成され、前記牽引部材には、前記係合溝と係合し、係合する前記係合溝を変えることによって牽引位置を調整するための係合ピンが備えられることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の医療用処置具。
【請求項5】
前記係合ピンには、常態で係合方向に付勢するバネが取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の医療用処置具。
【請求項6】
前記シースの先端には、前記処置部を開閉可能に保持する先端支持枠が設けられ、前記突っ張りワイヤーの先端は、前記先端支持枠に取り付けられることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の医療用処置具。
【請求項7】
前記シースには、前記屈曲部が複数設けられていることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の医療用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡手術等に用いられる医療用処置具に係る。
【背景技術】
【0002】
一般に腹腔鏡手術等に用いられる医療用処置具は、腹腔内に挿入されたチューブ状の案内管であるトラカール内に挿入され、トラカール先端から腹腔内に突出させて使用されるものであり、例えば、鉗子や鋏等の医療用処置具は、先端に患部の切除等を行う為の鉗子カップ等の一対の処置片からなる処置部が連結される操作ワイヤーが円筒状のシース内に挿通され、この操作ワイヤーを進退操作することによって、シース先端において処置部を開閉駆動するのが一般的である。
【0003】
そして、このような医療用処置具は、狭い腹腔内の近接した位置を処置するために、シースの先端近傍を折り曲げた屈曲部を設けることがあり、またトラカール内に屈曲部が接触して鉗子部を通し難くなることを回避するためや、臓器に接触した際に臓器を損傷しないため等の理由から、シースは比較的柔軟に形成されるのが一般的である。このような従来技術による医療用処置具が記載された文献としては、下記の特許文献が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、密巻きコイルからなり先端に屈曲部を有するシースと、シース先端に設けられた処置部である鉗子部と、シース内に挿通される操作ワイヤーと、操作ワイヤーを操作して鉗子部を開閉するための操作部からなる処置具において、操作部をスライダーと操作部本体とにより構成し、スライダーに操作ワイヤーの基端に取り付け固定された止め部材をはめ込むと共に、止め部材の回転を阻止する固定手段を設けることにより、操作部の回転操作を鉗子部に良好に伝えて安定した操作をさせる技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、先端に屈曲形状に形状記憶された挿入パイプ(シース)と、挿入パイプ先端に設けられた処置部と、処置部を開閉するための操作部からなる処置具において、操作部に設けられた送水口金から挿入パイプに温水または冷水を注入することによって加熱または冷却して挿入パイプの形状を屈曲状態と直線状態とに変形させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−21913号公報
【特許文献2】特開平4−135554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1に記載された医療用処置具は、操作部の回転操作を鉗子部に良好に伝える技術が記載されているが、シースが比較的柔軟に形成されているため、処置箇所である粘膜面に鉗子部を強く押し当てることができない。また、鉗子部を開く為に操作ワイヤーを押すと屈曲状態となるが、鉗子部を閉じた後さらに操作ワイヤーを牽引操作すると、屈曲部は伸長された状態となるため、伸長された状態または屈曲状態を保持したまま粘膜面に押し当てて処置することができないという課題があった。
また、特許文献2に記載された医療用処置具は、挿入パイプを温水によって加熱することにより形状記憶された屈曲状態を保つことができるものの、温水の注入および直線状態にする際の冷水の注入には時間がかかるため、迅速な処置の妨げになるという課題があった。
【0008】
このような課題に鑑みて、本発明は、前述の従来技術による課題を解決しようとするものであり、柔軟なシースを用いても処置をするときに迅速に硬固とすることができ、先端近傍を屈曲させたシースの屈曲状態を硬固に保持することのできる医療用処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために本発明は、先端近傍にく字状の屈曲部を有し密着コイルからなる可撓性のシースと、該シースの先端に設けられる処置部と、前記シースに挿通され前記処置部に連結される操作ワイヤーと、該操作ワイヤー基端及び前記シース基端に連結され、前記操作ワイヤーを進退操作することにより前記処置部を操作する操作部とを含む医療用処置具であって、前記シースの先端を基端側に牽引するための突っ張りワイヤーが、前記シースの軸中心より前記屈曲部の屈曲内部に向かう方向に配置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記操作部に、前記突っ張りワイヤーを牽引操作するための牽引部材が取り付けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記操作部は、前記シースの基端に連結される操作部本体と、前記操作ワイヤーの基端に連結され前記操作部本体にスライド可能に取り付けられたスライダーとを有し、前記操作部本体に、前記突っ張りワイヤーを牽引操作するための牽引部材が取り付けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記操作部には、係合溝が複数形成され、前記牽引部材には、前記係合溝と係合し、係合する前記係合溝を変えることによって牽引位置を調整するための係合ピンが備えられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記突っ張りワイヤーの基端には、該基端を覆うストッパーが設けられ、前記牽引部材には、前記突っ張りワイヤーの非牽引状態においては、前記ストッパーの軸方向前後に空間を有し、前記突っ張りワイヤーの牽引状態においては、前記ストッパーの前方が当接して固定されるように保持孔が形成された固定板が設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記係合ピンには、常態で係合方向に付勢するバネが取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記シースの先端には、前記処置部を開閉可能に保持する先端支持枠が設けられ、前記突っ張りワイヤーの先端は、前記先端支持枠に取り付けられることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記シースには、前記屈曲部が複数設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による医療用処置具は、先端近傍にく字状の屈曲部を有し密着コイルからなる可撓性のシースと、シースの先端に設けられる処置部と、シースに挿通され前記処置部に連結される操作ワイヤーと、操作ワイヤー基端及びシース基端に連結され、操作ワイヤーを進退操作することにより処置部を操作する操作部とを含む医療用処置具であって、シースの先端を基端側に牽引するための突っ張りワイヤーをシースの軸中心より屈曲部の屈曲内部に向かう方向に配置したことによって、突っ張りワイヤーを牽引すると、シースの先端が牽引されることにより、シースを構成する密着コイルのコイル同士の接点が密接されて強固となるため、柔軟なシースを用いても処置をするときに迅速に硬固とし、屈曲状態を硬固に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の全体構成を示す図。
図2】本発明の第1実施形態による先端側の構成を示す図。
図3】本発明の操作部の構成を示す図。
図4】本発明の牽引部材の非牽引状態及び牽引状態を示す図。
図5】本発明の第2実施形態による先端側の構成を示す図。
図6】本発明の使用例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による医療用処置具の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
本実施形態による医療用処置具1は、図1に示すように、可撓性のシース2と、シース2の先端に連結される先端支持枠3と、該先端支持枠3に連結される処置部4と、シース2の基端側に設けられる操作部5とを有する。
【0020】
前記シース2は、図2に示すように、ステンレス線等の密着巻きのコイルパイプから形成されており、先端近傍に、く字状に屈曲され、く字状の頂点側を屈曲外部6a、内側を屈曲内部6bとする屈曲部6が形成されている。そして、シース2の先端には、先端に向かって延出する一対のアーム部3aを有する先端支持枠3が嵌合固着されており、該先端支持枠3の内側には、シース2の軸中心より前記屈曲部の屈曲内部に向かう方向に配置され、シース2の先端を牽引するための突っ張りワイヤー7が取り付けられている。
なお、シース2の外周面には、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のような電気絶縁性の可撓性チューブである外皮チューブを被覆してもよい。
【0021】
前記処置部4は、一対の処置片である鉗子カップ8(処置片)と、先端支持枠3の一対のアーム部3aの先端を貫通し、一対の鉗子カップ8の略中間部を回動可能に1軸支持する支持軸9と、前記鉗子カップ8に一対のスライド軸10により回動自在に軸支されたプレート状の一対のリンク12と、該一対のリンク12を1軸支持するリンク支持軸11とを備える。そして、操作ワイヤー15を先端側に押し出すことによりロッド16を介して支持軸9を中心に鉗子カップ8が回動して先端同士が離間して開放状態となり、操作ワイヤー15を牽引することによりロッド16を介して、支持軸9を中心に鉗子カップ8の先端同士が近接して閉止状態となるように構成されている。なお、本例においてはプレート状のリンク12を用いる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば、二股に分かれるようにリンクワイヤを連結し、各リンクワイヤの先端を鉗子カップ8に連結するようにしてもよい。
また、処置部4は、本実施形態で説明する鉗子カップに限られず、例えば把持片や切開ナイフ等であっても良い。
【0022】
前記操作部5は、図3(a)および図3(a)を90度回転させた図である図3(b)に示すように、操作部本体5aと、操作部本体5aに対してスライド自在に取り付けられたスライダー5bとを有する。操作部本体5aには、所定の長さにわたって軸方向に溝5cが形成されており、その溝にスライダー5bが嵌合されることにより、軸方向にスライド自在となっている。また、操作部本体5aには、締付環17を介してシース2の基端に取り付けられたシース止め具18が固定されており、このシース止め具18は、シースが基端近傍で折れることを防止するための折れ止め部材19によってシース2の基端に装着されている。また、スライダー5bには、シース2および操作部本体5aの内部に挿通される操作ワイヤー15が、基端にステンレスパイプ20を取り付けることにより腰折れ補強された状態で固定されている。このため、操作部本体5aに対してスライダー5bを軸方向に進退操作することにより、操作ワイヤー15を進退させることができる。
なお、図示しないが、シース2の外周面に電気絶縁性の外皮チューブを被覆して、スライダー5bに高周波電源を接続することにより、操作ワイヤー15を経由して処置部4に高周波電流を通電するようにしてもよい。
【0023】
また、操作部本体5aには、突っ張りワイヤー7を牽引操作するための牽引部材21が取り付けられている。この牽引部材21は、操作部本体5aの溝5cに軸方向にスライド可能に嵌合し、突っ張りワイヤー7の基端を覆うように取りつけられたストッパー22を保持する固定板23と、操作部本体5aの外周に形成された複数の係合溝5d〜5gと係合する係合ピン24と、操作部本体5aの外周を軸方向にスライド可能に取り付けられ、固定板23と係合ピン24を保持する指掛け部25と、係合ピン24を常態で係合方向(係合溝5d〜5gに係合する方向)に付勢するバネ26とを備える。
【0024】
固定板23は、操作ワイヤー15が軸方向に挿通可能な孔27と、突っ張りワイヤー7の非牽引状態においては、ストッパー22の軸方向前後に空間を有し、突っ張りワイヤー7の牽引状態においては、ストッパー22の前方が当接して固定されるようにストッパー22を保持する保持孔28を有する。これを詳述すると、図(a)に示す突っ張りワイヤー7の非牽引状態においては、係合ピン24は係合溝5d〜5gのうち、先端側の5dに係合されており、突っ張りワイヤー7のストッパー22の軸方向前後には空間を有し、ストッパー22は軸方向にフリー状態となっている。そして、その状態から、図(b)に示すように、図(a)から距離a分基端側に指掛け部25を移動させて係合ピン24を、係合溝5eに係合させると、ストッパー22の前方(先端側)が保持孔28の前方(先端側)に当接して、突っ張りワイヤー7が牽引された状態となる。
なお、係合ピン24の係合する係合溝5d〜5gを変更するには、係合ピン24を操作部本体5aから離間する方向に引っ張り、指掛け部25を軸方向に移動させて所望の係合溝の近傍で係合ピン24を放すと、バネ26の付勢力によって係合溝に係合ピン24が係合する。
また、本実施形態においては、係合溝5d〜5gを4つ設ける例を示したが、これに限られず、例えば、係合溝を5dと5eのみにしてもよく、係合溝を5つ以上設けても良い。
【0025】
このように構成された本実施形態による医療用処置具は、突っ張りワイヤー7の非牽引、牽引によって、シース2を柔軟な状態としたり屈曲状態を硬固に保持したりすることができる。
【0026】
すなわち、本実施形態による医療用処置具1を使用する際には、例えば図6に示すように、腹部100に穿刺することにより腹腔101に挿入された内視鏡挿通用のトラカール104に内視鏡105を挿通して、処置対象である患部102を観察すると共に、同じく腹部100に穿刺することにより腹腔101に挿入された処置具挿通用のトラカール103に本実施形態による医療用処置具1を挿入して患部102の処置を行う。
【0027】
そして、医療用処置具1をトラカール103に挿通するときには、図4(a)に示す突っ張りワイヤー7の非牽引状態とすると、突っ張りワイヤー7のストッパー22の軸方向前後には空間があり軸方向にフリー状態となっているため、多少シース2が湾曲したとしても、突っ張りワイヤー7が引っ張られてシースを柔らかい状態にしておくことができ、トラカール103内に屈曲部が接触して処置部4を通し難くなったり、処置部4が患部102等に接触した際に損傷することがない。
【0028】
また、処置をするときには、図4(b)に示す突っ張りワイヤー7の牽引状態とすれば、突っ張りワイヤー7はシース2の軸中心より屈曲部6の屈曲内部6b側に配置され且つ先端支持枠3に固定されているため、シース2の先端が牽引され、シース2を構成する密着コイルのコイル同士の接点が密接されて迅速に強固となり、係合ピン24及び係合溝(5e〜5g)の係合によって、屈曲状態を硬固に保持することができる。このため、シース2の屈曲状態を保持したまま患部102に押し当てて処置することができる。
なお、処置が終了して腹腔101からシース2を取りだすときには、係合ピン24の係合位置を係合溝5dにして、突っ張りワイヤーの牽引状態を解除すれば、シース2は再度柔軟な状態に戻るため、トラカール103内をスムーズに挿通させることができる。
【0029】
[第2実施形態]
前記実施形態においては屈曲部6を1箇所形成する例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図5に示すように、シース2に屈曲部6が複数設けられていても良い。
【0030】
この第2実施形態による医療用処置具は、上述の第1実施形態と同様に、突っ張りワイヤー7の非牽引、牽引によって、シース2を柔軟な状態としたり屈曲状態を硬固に保持したりすることができると共に、複数個所の屈曲により腹腔内の近接した位置の処置をより好適に行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 医療用処置具
2 シース
3 先端支持枠
4 処置部
5 操作部
6 屈曲部
7 突っ張りワイヤー
8 鉗子カップ
15 操作ワイヤー
21 牽引部材
22 ストッパー
23 固定板
24 係合ピン
25 指掛け部
26 バネ
28 保持孔


図1
図2
図3
図4
図5
図6