(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、道路交通情報通信システム(VICS、登録商標)センターから送られてくるビーコン情報に含まれる道路種別には、高速道路や都市高速の他に「一般有料道路」が含まれる。一方、現在市販されているナビゲーションシステムでは、道路法で定義された道路種別が用いられており、「有料道路」が含まれない。このため、従来のナビゲーションシステムでは、道路種別が「一般有料道路」に設定されたビーコン情報を受信しても道路種別が不一致になり、一般有料道路についてはビーコン情報が常に不採用になってしまうため、ビーコン情報を有効利用することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、有料道路に対応するビーコン情報を有効利用することができるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明のナビゲーション装置は、道路に沿って設置された路側機から送られてくるビーコン情報を受信するビーコン情報取得手段と、車両の走行位置を検出する車両位置検出手段と、道路種別と道路が有料道路であるか否かを示す有料識別情報とを含む地図データに基づいて、車両位置検出手段によって検出された車両の走行位置に対応する道路について、道路種別と有料識別情報とを道路情報として抽出する道路情報抽出手段と、ビーコン情報取得手段によって取得したビーコン情報と、道路情報抽出手段によって抽出された道路情報とに基づいて、ビーコン情報を採用するか否かを判定する採用・不採用判定手段とを備えている。
【0007】
ビーコン情報に含まれる道路種別が一般有料道路の場合に、自車の走行位置に対応する道路情報に含まれる有料識別情報を考慮することで、従来であれば不採用のビーコン情報を採用することが可能になり、有料道路に対応するビーコン情報を有効利用することができる。
【0008】
また、上述した採用・不採用判定手段は、ビーコン情報に含まれる道路種別と、道路情報に含まれる道路種別とが一致する場合に、ビーコン情報を採用する旨の判定を
行う。道路種別が一致する場合には、道路が有料であるか否かを考慮することなくビーコン情報の採用/不採用を容易かつ正確に決定することができる。
【0009】
また、上述した採用・不採用判定手段は、ビーコン情報に含まれる道路種別と、道路情報に含まれる道路種別とが不一致の場合であって、ビーコン情報に含まれる道路種別が有料道路の可能性がある道路であり、道路情報に含まれる有料識別情報が有料道路であることを示している場合に、ビーコン情報を採用する旨の判定を
行う。これにより、道路種別が異なる有料道路についても受信したビーコン情報を採用することができ、ビーコン情報の有効利用を図ることができる。
【0010】
また、上述した有料道路の可能性がある道路は、
ビーコン情報に含まれる道路種別が「一般有料道路」あるいは「その他自動車専用道」として設定されている道路であることが望ましい。ビーコン情報に含まれる道路種別が「その他自動車専用道路」の道路の一部には有料道路が含まれており、このような有料道路についても受信したビーコン情報を採用することが可能になる。
【0011】
また、上述したビーコン情報に含まれる道路種別と、道路情報に含まれる道路種別のそれぞれは、複数にグループ分けがなされており、採用・不採用判定手段による一致、不一致の判定は、グループ単位で行われることが望ましい。これにより、処理の簡略化や、ビーコン情報に含まれる道路種別と地図データに含まれる道路種別の分類の仕方が異なることによる不一致判定に起因してビーコン情報を不採用にしてしまうことを防止することができる。
【0012】
また、上述したビーコン情報は、道路交通情報通信システムセンターから送られてくることが
望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態のナビゲーション装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態のナビゲーション装置の詳細構成を示す図である。
図1に示すように、ナビゲーション装置100は、ナビゲーションコントローラ1、地図データ記憶装置2、操作部3、車両位置検出部4、表示装置5、DSRC車載器7を含んで構成されている。このナビゲーション装置100は、車両に搭載されている。
【0015】
ナビゲーションコントローラ1は、CPU、ROM、RAM等を用いて所定の動作プログラムを実行することにより、自車位置周辺の地図画像表示動作、出発地と目的地とを結ぶ走行経路を設定する経路探索処理やこの走行経路に沿って車両の走行を誘導する経路誘導動作、VICSセンターによってDSRC路側機(図示せず)から送られてくるビーコン情報の受信動作などの各種機能を実現する。ナビゲーションコントローラ1の詳細構成については後述する。
【0016】
地図データ記憶装置2は、地図表示や施設検索、経路探索などに必要な地図データが格納されている記憶媒体およびその読み取り装置である。この地図データ記憶装置2には、経度および緯度で適当な大きさに区切られた矩形形状の図葉を単位とした地図データが格納されている。各図葉の地図データは、図葉番号を指定することにより特定され、読み出すことが可能となる。
【0017】
この地図データは、経緯度で表現された点(ノード)の座標集合で表されており、また、道路は2以上のノードの連結からなり、2つのノードを連結した部分はリンクと呼ばれる。地図データは、道路リスト、ノードテーブル、交差点構成ノードリスト、交差点ネットリスト等からなるマップマッチング用及び経路探索用の道路データ、地図画面上に道路、公園、河川、目印となる建物や施設等の各種物件を表示するための背景データ、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名、建物の名前等の文字や地図記号等を表示するための文字・記号データなどから構成されている。地図データに含まれるそれぞれの道路については、主に道路法に基づいて設定された「道路種別」と、道路整備特別措置法に基づいて設定された有料識別情報としての「有料フラグ」とが対応づけられている。
【0018】
地図データ記憶装置2は、ハードディスク装置や半導体メモリによって、あるいは、DVDとその読み取り装置によって実現される。また、地図データ記憶装置3を通信装置に置き換えて、外部の地図配信サーバ(図示せず)から地図データを取得するようにしてもよい。
【0019】
操作部3は、利用者の指示(操作)を受け付けるためのものであり、各種の操作ボタンや操作つまみ類を備えている。また、操作部3は、表示装置5の画面に取り付けられたタッチパネルを含んでおり、画面上の一部を直接利用者が指等で指し示すことにより、操作指示を行うことができるようになっている。車両位置検出部4は、例えば、GPS受信機、方位センサ、距離センサなどを備えており、所定のタイミングで車両位置(経度、緯度)の検出を行い、検出結果を出力する。表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、ナビゲーションコントローラ1から出力される映像信号に基づいて、自車位置周辺の地図画像や受信した施設情報などを表示する。
【0020】
DSRC車載器7は、道路に設置されたDSRC路側器(図示せず)との間で、5.8GHz帯のISM(Industry-Science-Medical)バンドを用いた狭域通信を行って各種情報の送受信を行う。少なくとも、本実施形態では、DSRC車載器7は、高速道路等に沿って設置されたDSRC路側器から、特定の道路を走行中の車両に向けて送信されるビーコン情報を受信するために用いられている。
【0021】
次に、ナビゲーションコントローラ1の詳細構成について説明する。
図1に示すナビゲーションコントローラ1は、地図バッファ10、地図読出制御部12、地図描画部14、車両位置計算部20、道路情報抽出部30、ビーコン情報取得部32、採用・不採用判定部34、ビーコン情報描画部36、入力処理部60、表示処理部70を含んで構成されている。
【0022】
地図バッファ10は、地図データ記憶装置2から読み出された地図データを一時的に格納する。この地図データには、地図画像描画に必要なデータや検索条件を指定して施設を検索するために必要なデータや、道路が特定されたときにこの道路の道路種別やこの道路が有料道路であるか否かを示す有料フラグを示す情報(詳細については後述する)が少なくとも含まれる。地図読出制御部12は、車両位置計算部20により算出される車両位置や利用者が操作部3を操作して指定した位置に応じて、所定範囲の地図データの読み出し要求を地図データ記憶装置2に出力する。地図描画部14は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、表示装置5に地図画像を表示するために必要な描画処理を行って地図画像描画データを作成する。
【0023】
車両位置計算部20は、車両位置検出部4から出力される検出データに基づいて自車位置を計算するとともに、計算した自車位置が地図データの道路上にない場合には、自車位置を修正するマップマッチング処理を行う。
【0024】
道路情報抽出部30は、地図バッファ10に格納された地図データに基づいて、車両位置計算部20によって計算された自車位置(車両の走行位置)に対応する道路について、道路種別と有料フラグとを道路情報として抽出する。
【0025】
ビーコン情報取得部32は、道路の所定位置に設置されたDSRC路側器から送られてくるビーコン情報をDSRC車載器7を用いて受信して取得する。このビーコン情報には、DSRC路側器が設置された道路(ビーコン情報を受信する車両の走行を想定している道路)の道路種別が含まれている。
【0026】
採用・不採用判定部34は、ビーコン情報取得部32によって取得したビーコン情報と、道路情報抽出部30によって抽出された道路情報とに基づいて、ビーコン情報を採用するか否かを判定する。具体的には、採用・不採用判定部34は、ビーコン情報に含まれる道路種別と、道路情報に含まれる道路種別とが一致する場合に、ビーコン情報を採用する旨の判定を行う。また、採用・不採用判定部34は、ビーコン情報に含まれる道路種別と、道路情報に含まれる道路種別とが不一致の場合であって、ビーコン情報に含まれる道路種別が有料道路の可能性がある道路であり、道路情報に含まれる有料フラグが有料道路であることを示している場合に、ビーコン情報を採用する旨の判定を行う。例えば、「有料道路の可能性がある道路」とは、道路情報に含まれる道路種別が「一般有料道路」あるいは「その他自動車専用道」として設定されている道路である。なお、道路種別の一致/不一致の判定は、処理の簡略化や定義内容の相違を考慮してグループ単位で行われる。
【0027】
図2は、ビーコン情報に含まれる道路種別と地図データに含まれる道路種別との対応関係を示す図である。
図2において、「インフラ道路種別」はビーコン情報取得部32によって取得されたビーコン情報の道路情報に含まれる道路種別を、「ナビ道路種別」は道路情報抽出部30によって地図データと自車位置とに基づいて抽出された道路種別を示している。本実施形態では、インフラ道路種別とナビ道路種別のそれぞれを類似の道路種別をまとめて3つ(グループ1〜3)に分類し、同じグループに属するインフラ道路種別とナビ道路種別については、道路種別が一致するものとして扱っている。
【0028】
なお、道路種別の一致/不一致の判定をグループ単位で行うのではなく、個別の道路種別単位で行うようにしてもよい。但し、
図2に示すように、同じ道路であっても必ずしも完全に一致する道路種別が設定されているわけではないため、あらかじめ対応する道路種別同士(1:1の場合だけでなく、1:nやm:1(n、mは2以上の整数)の場合もある)を対応づけておき、対応する道路種別については「一致」する旨の判定を行う必要がある。
【0029】
ところで、道路情報抽出部30によって地図データと自車位置とに基づいて抽出された道路情報の道路種別には「有料道路」の概念がない。一方、道路情報の有料フラグを確認することにより、その道路が「有料道路」であるか否かを知ることができる。そこで、本実施形態では、
図3に示すように、インフラ有料道路種別が高速道路、都市高速、一般有料道路、その他自動車専用道(一部が有料道路に該当する)の場合には、道路種別のグループが一致しなくても、有料フラグが有料道路であることを示している場合に限り道路種別が一致した場合と同様に扱うことにしている。
【0030】
ビーコン情報描画部36は、取得したビーコン情報の内容を表示するために必要な描画処理を行ってビーコン情報描画データを作成する。入力処理部60は、操作部3から入力される各種の操作指示に対応する動作を行うための命令をナビゲーションコントローラ1内の各部に向けて出力する。表示処理部70は、地図描画部14によって作成される地図画像描画データや、ビーコン情報描画部36によって作成されるビーコン情報描画データなどが入力されており、地図画像やビーコン情報画像を選択的に、あるいは、並べて表示装置5の画面に表示する。
【0031】
上述したビーコン情報取得部32がビーコン情報取得手段に、車両位置検出部4、車両位置計算部20が車両位置検出手段に、道路情報抽出部30が道路情報抽出手段に、採用・不採用判定部34が採用・不採用判定手段にそれぞれ対応する。
【0032】
本実施形態の車載装置はこのような構成を有しており、次に、その動作について説明する。
図4は、ビーコン情報を受信して道路種別の一致/不一致を判定する動作手順を示す流れ図である。
【0033】
車両走行中に、ビーコン情報取得部32は、ビーコン情報を受信したか否かを判定する(ステップ100)。未受信の場合には否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、DSRC車載器7でビーコン情報を受信すると、ステップ100の判定において肯定判断が行われる。次に、ビーコン情報取得部32は、ビーコン情報に含まれる道路種別を抽出する(ステップ102)。なお、この道路種別の抽出は、採用・不採用判定部34が行うようにしてもよい。
【0034】
また、道路情報抽出部30は、その時点における自車位置を特定し(ステップ104)、地図データに基づいてこの自車位置に対応する道路ついて道路情報(道路種別と有料フラグ)を抽出する(ステップ106)。
【0035】
次に、一致・不一致判定部34は、ステップ102において抽出した道路種別のグループと、ステップ106において抽出した道路種別のグループとが一致しているか否かを判定する(ステップ108)。道路種別グループが一致したした場合には肯定判断が行われる。この場合には、受信したビーコン情報は採用される(ステップ110)。例えばビーコン情報描画部36によってビーコン情報の内容を表示するための描画処理が行われ、表示処理部70によってビーコン情報画像が表示装置5に表示される。
【0036】
また、道路種別グループが一致しない場合にはステップ108の判定において否定判断が行われる、次に、一致・不一致判定部34は、インフラ情報種別(受信したビーコン情報に含まれる道路種別)が高速道路、都市高速、一般有料道路、その他自動車専用道で、道路情報抽出部30によって抽出された有料フラグが有料道路を示しているか否かを判定する(ステップ112)。この条件に該当する場合には肯定判断が行われ、受信したビーコン情報は採用される(ステップ110)。また、この条件に該当しない場合(インフラ情報種別が高速道路、都市高速、一般有料道路、その他自動車専用道のいずれでもないか、有料フラグが有料道路を示していない場合)にはステップ112の判定において否定判断が行われる。この場合には、受信したービーコン情報は採用されず廃棄される(ステップ114)。
【0037】
このように、本実施形態のナビゲーション装置100では、ビーコン情報に含まれる道路種別が一般有料道路の場合に、自車の走行位置に対応する道路情報に含まれる有料フラグを考慮することで、従来であれば不採用のビーコン情報を採用することが可能になり、有料道路に対応するビーコン情報を有効利用することができる。
【0038】
また、道路種別が一致する場合には、道路が有料であるか否かを考慮することなくビーコン情報の採用/不採用を容易かつ正確に決定することができる。また、道路種別が異なる有料道路についても受信したビーコン情報を採用することができ、ビーコン情報の有効利用を図ることができる。
【0039】
また、ビーコン情報に含まれる道路種別が「その他自動車専用道路」の道路の一部には有料道路が含まれており、このような有料道路についても受信したビーコン情報を採用することが可能になる。
【0040】
また、道路種別の一致、不一致の判定はグループ単位で行っており、これにより、処理の簡略化や、ビーコン情報に含まれる道路種別と地図データに含まれる道路種別の分類の仕方が異なることによる不一致判定に起因してビーコン情報を不採用にしてしまうことを防止することができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、受信したビーコン情報を採用した場合の処理としてビーコン情報の内容を表示するようにしたが、受信したビーコン情報を採用した場合の処理についてはビーコン情報の内容に応じて適宜変更すればよい。