(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着する吸着材を備えるキャニスタと、前記キャニスタと前記燃料タンクとをつなぐベーパ通路に設けられている封鎖弁と、前記キャニスタとエンジンの吸気通路とをつなぐパージ通路と、燃料タンク内圧検出手段とを備える蒸発燃料処理装置であって、
前記燃料タンクの内圧に応じて前記封鎖弁の弁座に対する弁可動部の軸方向距離であるストローク量を変化させて、前記ベーパ通路を流れる気体流量を調整し、前記燃料タンクの圧抜き制御を行なえるように構成されており、
前記燃料タンク内圧検出手段が異常と判定されて、前記燃料タンクの内圧が検出不能となった場合には、前記封鎖弁のストローク量を前記封鎖弁が閉弁するフェールセーフ値にした後、そのフェールセーフ値から前記ストローク量を前記封鎖弁の開弁方向に変化させて前記燃料タンクの異常時圧抜き制御を行なう構成であり、
前記燃料タンクの異常時圧抜き制御では、前記ストローク量を前記封鎖弁が閉弁するフェールセーフ値に保持し、前記ストローク量を前記封鎖弁が開弁する所定値に保持する工程を繰り返し、前記燃料タンクの圧抜きを間欠的に行なうことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、
図1から
図10に基づいて本発明の実施形態1に係る蒸発燃料処理装置20の説明を行なう。本実施形態の蒸発燃料処理装置20は、
図1に示すように、車両のエンジンシステム10に備えられており、車両の燃料タンク15で発生した蒸発燃料が外部に漏れ出ないようにするための装置である。
【0017】
<蒸発燃料処理装置20の構造概要について>
蒸発燃料処理装置20は、
図1に示すように、キャニスタ22と、そのキャニスタ22に接続されたベーパ通路24、パージ通路26、及び大気通路28とを備えている。
キャニスタ22内には、吸着材としての活性炭(図示省略)が装填されており、燃料タンク15内の蒸発燃料を前記吸着材により吸着できるように構成されている。
ベーパ通路24の一端部(上流側端部)は、燃料タンク15内の気層部と連通されており、ベーパ通路24の他端部(下流側端部)がキャニスタ22内と連通されている。そして、ベーパ通路24の途中にはベーパ通路24を連通・遮断する封鎖弁40(後記する)が介装されている。
また、パージ通路26の一端部(上流側端部)は、キャニスタ22内と連通されており、パージ通路26の他端部(下流側端部)がエンジン14の吸気通路16におけるスロットルバルブ17よりも下流側通路部と連通されている。そして、パージ通路26の途中にはパージ通路26を連通・遮断するパージ弁26vが介装されている。
さらに、キャニスタ22は故障検出に使用されるOBD用部品28vを介して大気通路28が連通されている。大気通路28の途中にはエアフィルタ28aが介装されており、大気通路28の他端部は大気に開放されている。
前記封鎖弁40、パージ弁26v及びOBD用部品28vは、ECU19からの信号に基づいて制御される。
さらに、ECU19には、燃料タンク15内の圧力を検出するタンク内圧センサ15p等の信号が入力される。
【0018】
<蒸発燃料処理装置20の動作概要について>
次に、蒸発燃料処理装置20の基本的動作について説明する。
車両の駐車中は、封鎖弁40が閉弁状態に維持される。このため、燃料タンク15の蒸発燃料がキャニスタ22内に流入することはない。そして、駐車中に車両のイグニッションスイッチがオンされると、封鎖弁40の開弁開始位置を学習する学習制御が行われる。
また、車両の駐車中は、パージ弁26vは閉弁状態に維持されてパージ通路26は遮断状態となり、大気通路28は連通状態に維持される。
車両の走行中は、所定のパージ条件が成立する場合に、ECU19がキャニスタ22に吸着されている蒸発燃料をパージさせる制御を実行する。この制御では、キャニスタ22を大気通路28により大気に連通させたまま、パージ弁26vが開閉制御される。パージ弁26vが開弁されると、エンジン14の吸気負圧がパージ通路26を介してキャニスタ22内に作用する。これにより、キャニスタ22内に大気通路28から空気が流入するようになる。さらに、パージ弁26vが開弁されると、封鎖弁40が開弁方向に動作して燃料タンク15の圧抜き制御が行なわれる(後記する)。これにより、キャニスタ22内にベーパ通路24から燃料タンク15内の気体が流入するようになる。この結果、キャニスタ22内の吸着材がキャニスタ22に流入する空気等によりパージされ、前記吸着材から離脱した蒸発燃料が空気と共にエンジン14の吸気通路16に導かれて、エンジン14内で燃焼される。
【0019】
<封鎖弁40の基本構造について>
封鎖弁40は、閉弁状態でベーパ通路24を封鎖し、開弁状態でベーパ通路24を流れる気体の流量を制御する流量制御弁であり、
図2に示すように、バルブケーシング42とステッピングモータ50とバルブガイド60とバルブ体70とを備えている。
バルブケーシング42には、弁室44、流入路45及び流出路46により、一連状をなす逆L字状の流体通路47が構成されている。また、弁室44の下面すなわち流入路45の上端開口部の口縁部には、弁座48が同心状に形成されている。
前記ステッピングモータ50は、前記バルブケーシング42の上部に設置されている。前記ステッピングモータ50は、モータ本体52と、そのモータ本体52の下面から突出し、正逆回転可能に構成された出力軸54を有している。出力軸54は、バルブケーシング42の弁室44内に同心状に配置されており、その出力軸54の外周面に雄ネジ部54nが形成されている。
【0020】
バルブガイド60は、円筒状の筒壁部62と筒壁部62の上端開口部を閉鎖する上壁部64とから有天円筒状に形成されている。上壁部64の中央部には筒軸部66が同心状に形成されており、その筒軸部66の内周面に雌ネジ部66wが形成されている。前記バルブガイド60は、前記バルブケーシング42に対して、回り止め手段(図示省略)により軸回り方向に回り止めされた状態で軸方向(上下方向)に移動可能に配置されている。
バルブガイド60の筒軸部66の雌ネジ部66wには、前記ステッピングモータ50の出力軸54の雄ネジ部54nが螺合されており、ステッピングモータ50の出力軸54の正逆回転に基いて、バルブガイド60が上下方向(軸方向)に昇降移動可能に構成されている。
前記バルブガイド60の周囲には、そのバルブガイド60を上方へ付勢する補助スプリング68が介装されている。
【0021】
前記バルブ体70は、円筒状の筒壁部72と筒壁部72の下端開口部を閉鎖する下壁部74とから有底円筒状に形成されている。下壁部74の下面には、例えば、円板状のゴム状弾性材からなるシール部材76が装着されている。
前記バルブ体70は、前記バルブガイド60内に同心状に配置されており、そのバルブ体70のシール部材76がバルブケーシング42の弁座48の上面に対して当接可能に配置されている。バルブ体70の筒壁部72の上端外周面には、円周方向に複数個の連結凸部72tが形成されている。そして、バルブ体70の連結凸部72tがバルブガイド60の筒壁部62の内周面に形成された縦溝状の連結凹部62mと一定寸法だけ上下方向に相対移動可能な状態で嵌合している。そして、バルブガイド60の連結凹部62mの底壁部62bがバルブ体70の連結凸部72tに対して下方から当接した状態で、バルブガイド60とバルブ体70とが一体で上方(開弁方向)に移動可能となる。
また、前記バルブガイド60の上壁部64と前記バルブ体70の下壁部74との間には、バルブガイド60に対してバルブ体70を常に下方、即ち、閉弁方向へ付勢するバルブスプリング77が同心状に介装されている。
【0022】
<封鎖弁40の基本動作について>
次に、封鎖弁40の基本動作について説明する。
封鎖弁40は、ECU19からの出力信号に基づいてステッピングモータ50を開弁方向、あるいは閉弁方向に予め決められたステップ数だけ回転させる。そして、ステッピングモータ50が予め決められたステップ数だけ回転することで、ステッピングモータ50の出力軸54の雄ネジ部54nとバルブガイド60の筒軸部66の雌ネジ部66wとの螺合作用により、バルブガイド60が上下方向に予め決められたストローク量だけ移動するようになる。
前記封鎖弁40では、例えば、全開位置においてステップ数が約200Step、ストローク量が約5mmとなるように設定されている。
封鎖弁40のイニシャライズ状態(初期状態)では、
図2に示すように、バルブガイド60が下限位置に保持されて、そのバルブガイド60の筒壁部62の下端面がバルブケーシング42の弁座48の上面に対して当接している。また、この状態で、バルブ体70の連結凸部72tは、バルブガイド60の連結凹部62mの底壁部62bに対して上方に位置しており、バルブ体70のシール部材76はバルブスプリング77のバネ力により、バルブケーシング42の弁座48の上面に押付けられている。即ち、封鎖弁40は全閉状態に保持されている。そして、このときのステッピングモータ50のステップ数が0Stepであり、バルブガイド60の軸方向(上方向)の移動量、即ち、開弁方向のストローク量が0mmとなる。
また、車両の駐車中等では、封鎖弁40のステッピングモータ50がイニシャライズ状態から開弁方向に、例えば、4Step回転する。これにより、ステッピングモータ50の出力軸54の雄ネジ部54nとバルブガイド60の筒軸部66の雌ネジ部66wとの螺合作用でバルブガイド60が約0.1mm上方に移動し、バルブケーシング42の弁座48から浮いた状態に保持される。これにより、気温等の環境変化で封鎖弁40のバルブガイド60とバルブケーシング42の弁座48間に無理な力が加わり難くなる。
なお、この状態で、バルブ体70のシール部材76はバルブスプリング77のバネ力により、バルブケーシング42の弁座48の上面に押付けられている。
【0023】
ステッピングモータ50が4Step回転した位置からさらに開弁方向に回転すると、前記雄ネジ部54nと雌ネジ部66wとの螺合作用でバルブガイド60が上方に移動し、
図3に示すように、バルブガイド60の連結凹部62mの底壁部62bがバルブ体70の連結凸部72tに下方から当接する。そして、バルブガイド60がさらに上方に移動することで、
図4に示すように、バルブ体70がバルブガイド60と共に上方に移動し、バルブ体70のシール部材76がバルブケーシング42の弁座48から離れるようになる。これにより、封鎖弁40が開弁される。
ここで、封鎖弁40の開弁開始位置は、バルブ体70に形成された連結凸部72tの位置公差、バルブガイド60の連結凹部62mに形成された底壁部62bの位置公差等により、封鎖弁40毎に異なるため、正確に開弁開始位置を学習する必要がある。この学習を行なうのが学習制御であり、封鎖弁40のステッピングモータ50を開弁方向に回転(ステップ数を増加)させながら燃料タンク15の内圧が所定値以上低下したタイミングに基づいて開弁開始位置のステップ数(学習値)を求める。
ここで、ステッピングモータ50のステップ数の変化は、バルブガイド60、及びバルブ体70のストローク量(軸方向の移動量)を表しているため、以後、ステップ数とストローク量とは同意語として使用する。
【0024】
<燃料タンク15の圧抜き制御、及び異常時圧抜き制御について>
次に、
図5のフローチャート、
図6のマップ、及び
図7のグラフに基づいて、前記封鎖弁40を使用した燃料タンク15の圧抜き制御、及び異常時圧抜き制御について説明する。
燃料タンク15の圧抜き制御は、車両の運転中に、ECU19がキャニスタ22内の蒸発燃料をパージさせる制御を実行する際に、同時に行われる。即ち、パージ通路26のパージ弁26v(
図1参照)の開弁に合わせて、ベーパ通路24の封鎖弁40が開弁され、燃料タンク15の圧抜き制御が実行される。ここで、
図5のフローチャートに示す処理は、ECU19の記憶装置に格納されたプログラムに基づいて所定時間毎に繰り返し実行される。
先ず、
図5のステップS101で燃料タンク15の内圧(タンク内圧SenP)が取り込まれ、ステップS102でタンク内圧センサ15pが正常であるか、否かが判定される。タンク内圧センサ15pが正常であるか、否かが判定は、ECU19のセンサフェールフラグ(
図7の上図参照)に基づいて行なう。タンク内圧センサ15pが正常な場合(センサフェールフラグ OFF ステップS102 YES)、ステップ109で通常制御が行なわれる。
通常制御では、先ず、封鎖弁40の開弁開始位置のステップ数を求める学習制御が行なわれる。即ち、封鎖弁40のステッピングモータ50を開弁方向に回転(ステップ数を増加)させながら燃料タンク15の内圧が所定値以上低下したタイミングに基づいて開弁開始位置のステップ数(学習値)が求められる。次に、燃料タンク15の圧抜き制御が行われる。
【0025】
燃料タンク15の圧抜き制御では、
図6のマップに示す適正なストローク量(基準ストローク量)に基づいて封鎖弁40の開弁が行なわれる。
図6のマップには、タンク内圧P(0・・P10、P11、P12(kPa))と、パージ流量(0、L1、L2、L3、L4(L/sec))とに対応する封鎖弁40の基準ストローク量(α1〜α10Step、α1<・・<α10)が設定されている。
ここで、タンク内圧は、0(kPa)〜P12(kPa)まで所定の圧力間隔で区分されており、0(kPa)〜P10(kPa)間は図示省略されている。なお、タンク内圧は、0<・・・<P10<P11<P12である。また、パージ流量は、0(L/sec)〜L4(L/sec)まで所定流量間隔で区分されており、0<L1<L2<L3<L4である。なお、
図6のマップに示す基準ストローク量(α1〜α10Step)は封鎖弁40の開弁開始位置(学習値)を0StepとしたときのStep数である。
そして、封鎖弁40が基準ストローク量(Step)で開弁されている状態では、封鎖弁40を流れる流量(圧抜き流量L/sec)はパージ流量(L/sec)を超えないように設定されている。
【0026】
例えば、タンク内圧PがP10(kPa)で、ECU19により演算されたパージ流量がL3(L/sec)の場合には、
図6の符号Mに示すように、封鎖弁40の基準ストローク量はα3Stepに設定される。そして、封鎖弁40が基準ストローク量(α3Step)だけ開弁することで、基準ストローク量(α3Step)に対応する圧抜き流量L/secが封鎖弁40、ベーパ通路24を通ってキャニスタ22側に流れ、燃料タンク15の圧抜きが行われる。このとき、基準ストローク量(α3Step)に対応する圧抜き流量L/secは、パージ流量L3(L/sec)を超えることがないため、燃料タンク15からベーパ通路24を介してキャニスタ22に流入した蒸発燃料はキャニスタ22内に留まらず、パージ通路26、パージ弁26vを通ってエンジン14に導かれる。さらに、キャニスタ22内の蒸発燃料が大気中に漏れ出ることもない。
また、例えば、タンク内圧PがP10(kPa)で、ECU19により演算されたパージ流量がL2(L/sec)の場合には、
図6の符号Nに示すように、封鎖弁40の基準ストローク量はα2Step(<α3Step)に設定される。そして、封鎖弁40のストローク量がα2Stepのときには、基準ストローク量(α2Step)に対応する圧抜き流量L/secが封鎖弁40、ベーパ通路24を通ってキャニスタ22側に流れ、燃料タンク15の圧抜きが行われる。
なお、この場合も封鎖弁40を流れる流量(圧抜き流量L/sec)はパージ流量L2(L/sec)を超えることはない。
【0027】
次に、
図5のフローチャートのステップS102で、タンク内圧センサ15pが異常と判定された場合の異常時圧抜き制御について説明する。
図7に示すように、センサフェールフラグがオンしてタンク内圧センサ15pの異常が検出されると(
図7 タイミングTx1参照)、
図5のフローチャートにおけるステップS102の判断がNOとなり、ステップS103でカウンタCntを動作させる。
図7 タイミングTx1では、カウンタCntのカウント値tが5秒以上ではないため(ステップS104 NO)、ステップS108で封鎖弁40のストローク量を表す目標Step数が学習値に設定される(ステップS108)。ここで、前記学習値はタンク内圧センサ15pが正常なときに求めた学習値である。
このように、封鎖弁40の目標Step数が学習値(開弁開始位置)に設定されるため、封鎖弁40は、速やかに開弁可能な状態で閉弁状態に保持される。このように、
図5のステップS101〜S104、及びステップS108の処理が繰り返し実行されて、封鎖弁40の目標Step数が学習値に保持され、封鎖弁40は閉弁状態に維持される。そして、カウンタCntのカウント値tが5秒以上になると(
図7 タイミングTx2参照
図5 ステップS104 YES)、封鎖弁40の目標Step数が学習値+5Stepに設定される(
図5 ステップS105)。これにより、封鎖弁40は、開弁開始位置(学習値)から5Stepだけ開弁方向に動作して流路が開かれ、燃料タンク15の圧抜きが行なわれる。
即ち、前記タンク内圧センサ15pが本発明の燃料タンク内圧検出手段に相当する。
【0028】
次に、
図5のステップS106で、カウンタCntのカウント値tが10秒を経過したか、否かが判定される。
図7 タイミングTx2では、カウンタCntのカウント値tが10秒以上ではないため(ステップS106 NO)、処理はステップS103に戻される。そして、ステップS103〜S106までの処理が繰り返し実行される。即ち、封鎖弁40が開弁開始位置(学習値)から5Stepだけ開弁した状態で燃料タンク15の圧抜きが行なわれる。
そして、カウンタCntのカウント値tが10秒以上になると(
図7 タイミングTx3参照
図5 ステップS106 YES)、カウンタCntのカウント値tがリセットされ(ステップS107)、処理はステップS101に戻される。
このように、タンク内圧センサ15pの異常が検出されると、5秒間隔で封鎖弁40が開弁と閉弁とを繰り返し、燃料タンク15の圧抜きが間欠的に行なわれる。
即ち、封鎖弁40の開弁開始位置(学習値)が本発明のフェールセーフ値に相当し、5Stepが本発明の所定値に相当する。
【0029】
<変更例1>
ここで、本実施形態では、
図7の実線に示すように、例えば、タイミングTx1、Tx2、Tx3・・・ において、封鎖弁40を短時間で学習値と所定値(5Step)間で開閉動作させる例を示した。しかし、
図7の点線に示すように、封鎖弁40を学習値と所定値(5Step)との間でTs時間を掛けてゆっくりと開閉動作させることも可能である。
これにより、例えば、封鎖弁40が開弁開始位置(学習値)から緩やかに開弁されることで、燃料タンク15内の蒸発燃料がベーパ通路24を通って緩やかにキャニスタ22に流入し、キャニスタ22からパージ通路26、パージ弁26vを通ってエンジン14に導かれる。このため、エンジン14の空燃比の急な変動を抑えることができる。
【0030】
<変更例2>
次に、
図8のフローチャートに基づいて変更例2に係る燃料タンク15の圧抜き制御、及び異常時圧抜き制御について説明する。
実施形態1に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、封鎖弁40を間欠的に開弁させて燃料タンク15の圧抜きを行なう例を示した。これに対し、変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、封鎖弁40を連続的に一定開度だけ開弁させて燃料タンク15の圧抜きを行なえるようにしている。ここで、タンク内圧センサ15pが正常と判定された場合の通常制御(
図8 ステップS207)は実施形態1に係る通常制御(
図5 ステップS109)と同様である。
変更例2では、タンク内圧センサ15pが異常と判定されると(
図8 ステップS202 NO)、封鎖弁40の開弁開始位置を求める学習制御が禁止され、タンク内圧センサ15pが正常時に行なわれた学習値、即ち、前回に行なわれた学習値が異常時圧抜き制御において使用される。そして、先ず、封鎖弁40のストローク量を表す目標Step数が前回の学習値に設定される(ステップS203)。したがって、封鎖弁40は開弁開始位置で閉弁状態に保持される。
次に、封鎖弁40の目標Step数が前回の学習値+所定Step数に設定される(
図8 ステップS204)。そして、パージ通路26のパージ弁26v(
図1参照)が開弁している状態で(ステップS205 YES)、封鎖弁40は開弁開始位置(学習値)から所定Step数だけ開弁方向に動作して流路が開かれ、燃料タンク15の圧抜きが連続して行なわれる。
また、パージ通路26のパージ弁26vが閉弁すると(ステップS205 NO)、封鎖弁40の目標Step数はスタンバイ位置のStep数に設定される。
ここで、スタンバイ位置とは、封鎖弁40の開弁開始位置の学習値(Step数)からステッピングモータ50が閉弁方向に約8Step回転した位置である。このため、封鎖弁40は確実に閉弁状態であり、スタンバイ位置で封鎖弁40が開弁方向の信号を受ければ速やかに開弁が可能となる。
即ち、封鎖弁40のスタンバイ位置におけるStep数が本発明のフェールセーフ値に相当する。
【0031】
<変更例3>
次に、
図9のフローチャートに基づいて変更例3に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御について説明する。
変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、封鎖弁40の目標Step数を前回の学習値+所定Step数に設定し(
図8 ステップS204参照)、封鎖弁40を目標Step数で開弁させて燃料タンク15の圧抜きを行なう例を示した。これに対し、変更例3に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、
図9のステップS304に示すように、封鎖弁40の目標Step数を
図9下図に示すマップによって設定できるようにしている。
ここで、
図9下図に示すマップは、
図6に示すマップと同じものであり、変更例3に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、
図6(
図9)のマップのタンク内圧最大値(P12)におけるStep数を使用している。例えば、パージ流量がL4(L/sec)の場合(
図9 下図の大 参照)、封鎖弁40の目標Step数(ストローク量)はα3Stepに設定される。これにより、封鎖弁40のステッピングモータ50が開弁開始位置の学習値から開弁方向にα3Step回転し、封鎖弁40が開弁することでストローク量(α3Step)に対応する圧抜き流量L/secが封鎖弁40、ベーパ通路24を通ってキャニスタ22側に流れ、燃料タンク15の圧抜きが行われる。このとき、ストローク量(α3Step)に対応する圧抜き流量L/secは、パージ流量L4(L/sec)を超えることがないため、燃料タンク15からベーパ通路24を介してキャニスタ22に流入した蒸発燃料はキャニスタ22内に留まらず、パージ通路26、パージ弁26vを通ってエンジン14に導かれる。
【0032】
<変更例4>
次に、
図10、
図11のフローチャートに基づいて変更例4に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御について説明する。
変更例4に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御における封鎖弁40の目標Step数をエンジン14の空燃比(A/F)、あるいは空燃比のフィードバック信号(F/B)に基づいて補正できるようにしている。
即ち、変更例4に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、
図10のフローチャートに示すように、封鎖弁40の目標Step数が前回の学習値+所定Stepに設定されると(
図10 ステップS404)、パージ通路26のパージ弁26v(
図1参照)が開弁しているか否かが判定される(ステップS405)。そして、パージ通路26のパージ弁26vが開弁されている場合には(ステップS405 YES)、エンジン14の空燃比が正常範囲か否かが判定される(ステップS406)。例えば、エンジン14の空燃比(A/F)が所定量以上リッチである場合、あるいはエンジン14の空燃比のF/Bが減量側に所定量以上補正している場合には(ステップS406 NO)、ステップS404で設定した学習値+所定Stepから1Stepだけ減算される(ステップS408)。これにより、封鎖弁40の開弁量が1Step分だけ小さくなり、燃料タンク15からベーパ通路24、キャニスタ22、パージ通路26及びパージ弁26vを通ってエンジン14に導かれる蒸発燃料量が減少する。これにより、エンジン14の空燃比が正常に戻される。
また、エンジン14の空燃比(A/F)が所定量以上リッチでない場合、あるいはエンジン14の空燃比のF/Bが減量側に所定量以上補正していない場合には(ステップS406 YES)、ステップS404で設定した学習値+所定Stepに1Stepが加算される(ステップS407)。これにより、封鎖弁40の開弁量が1Step分だけ大きくなり、燃料タンク15からベーパ通路24、キャニスタ22、パージ通路26及びパージ弁26vを通ってエンジン14に導かれる蒸発燃料量が若干増加するようになる。
ここで、
図11のフローチャートに示すように、ステップS408の目標Step(学習値+所定Step)から1Step減算する減算処理の後にエンジン14の空燃比(A/F)のリッチ状態等が継続しているか否かを判定する処理(ステップS411)を追加することも可能である。これにより、例えば、エンジン14の空燃比(A/F)が所定量以上リッチである場合等に(ステップS406 NO)、減算処理(ステップS408)を一度実施しても前記空燃費(A/F)のリッチ状態等が継続している場合には、ステップS408の減算処理を繰り返せるようになる。
【0033】
<本実施形態に係る蒸発燃料処理装置20の長所>
本実施形態に係る蒸発燃料処理装置20によると、燃料タンク15の内圧が検出不能となった場合には、封鎖弁40のストローク量を封鎖弁40が閉弁するフェールセーフ値(例えば、学習値、スタンバイ値)にした後、そのフェールセーフ値(例えば、学習値、スタンバイ値)からストローク量を封鎖弁の開弁方向に変化させて燃料タンク15の異常時圧抜き制御を行なう。
このため、燃料タンク15の内圧が検出不能となった場合でも燃料タンク15の圧抜きが可能になる。
また、燃料タンク15の圧抜きを間欠的に行なえるため、燃料タンク15からベーパ通路24を通ってキャニスタ22に流入した蒸発燃料がキャニスタ22から大気に吹き抜けるのを防止できる。
また、封鎖弁40を比較的ゆっくりと開くことができるため、燃料タンク15内の蒸発燃料がベーパ通路24から緩やかにキャニスタ22内に流入し、パージ通路26を通ってエンジン14の吸気通路16に導かれる。このため、エンジン14の空燃比が急に燃料リッチになり難くなる。
また、燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、ストローク量を封鎖弁40が閉弁するフェールセーフ値(例えば、学習値、スタンバイ値)にした後、ストローク量を封鎖弁40が開弁する所定値に維持して、燃料タンク15の圧抜きを連続的に行なえるようにしている。
このため、燃料タンク15の内圧が高い場合でも圧抜きを良好に行なえるようになる。
【0034】
また、異常時圧抜き制御では、燃料タンク15の内圧の最大値とパージ流量とに対応する封鎖弁40の基準ストローク量に基づいて封鎖弁40を開弁できるため、燃料タンク15からベーパ通路24を通ってキャニスタ22に流入する気体流量がパージ流量を超えることがなくなる。このため、キャニスタ22内の蒸発燃料が大気に吹き抜けるようなことがなくなる。
また、燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、パージ通路26が閉じられているときには封鎖弁40のストローク量をフェールセーフ値(例えば、学習値、スタンバイ値)に保持し、パージ通路26が開放されたときに封鎖弁40のストローク量を開弁方向に変化させて燃料タンク15の圧抜きを行なう。即ち、キャニスタ22のパージが行なわれていないときには、封鎖弁40も閉じられて燃料タンク15の圧抜きは行なわれない。このため、キャニスタ22内に蒸発燃料が充満して、大気に吹き抜けるようなことがなくなる。
また、封鎖弁40の目標Step数をエンジン14の空燃比に基づいて補正できるため、エンジン14の空燃比の乱れを抑制できる。
【0035】
[実施形態2]
次に、
図12から
図18に基づいて本発明の実施形態2に係る蒸発燃料処理装置20の説明を行なう。
実施形態1では、タンク内圧センサ15pの異常時には、タンク内圧とは無関係に、あるいはタンク内圧が最大値であると仮定して異常時圧抜き制御を行なう例を示した。これに対し、実施形態2では、蒸発燃料の濃度検出手段をタンク内圧センサ15pの代わりに使用して異常時圧抜き制御を行なうようにしている。ここで、タンク内圧センサ15pが正常なときの通常制御は、実施形態1、2において等しいため説明を省略する。
ここで、
図12に示すフローチャートは実施形態2に係る蒸発燃料処理装置20の異常時圧抜き制御等を表しており、ECU19の記憶装置に格納されたプログラムに基づいて所定時間毎に繰り返し実行される。
【0036】
本発明の実施形態2における燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、イグニッションスイッチがオンしてタンク内圧センサ15pの異常が検出されると(
図12のステップS501、ステップS502 YES)、封鎖弁40の開弁開始位置の学習制御が禁止される(ステップS503)。そして、封鎖弁40のストローク量を表す目標Step数がスタンバイ位置におけるStep数(スタンバイ値)に設定される。即ち、封鎖弁40は閉弁位置であるスタンバイ位置で待機する(ステップS504)。この状態で、
図13、
図14のタイミングTx1に示すように、パージフラグがオンして、パージ通路26のパージ弁26vが開弁されると(
図12 ステップS505 YES)、封鎖弁40のステップ数(目標Step数)が前回の学習値に設定された後、さらに所定Step数だけ増加する。これにより、封鎖弁40は最小ストローク量で開弁される(ステップS506
図13、
図14のタイミングTx2 参照)。
このように、封鎖弁40が最小ストローク量で開弁されることで、燃料タンク15の圧抜きが行なわれ、燃料タンク15の蒸発燃料がベーパ通路24を通ってキャニスタ22内に流入する。これにより、
図13、
図14に示すように、キャニスタ22内の蒸発燃料濃度(以下、ベーパ濃度という)が徐々に濃くなる。
ここで、キャニスタ22内のベーパ濃度は、エンジン14の空燃比A/Fに基づいてECU19により演算しても良いし、キャニスタ22内に濃度センサを設置しても良い。また、キャニスタ22内に充填された吸着材の温度を温度センサにより検出し、その温度センサの信号に基づいてECU19でベーパ濃度を演算することも可能である。
即ち、上記濃度センサ、温度センサ等が本発明の濃度検出手段に相当する。
【0037】
このようにして、燃料タンク15の圧抜きの継続により、
図13、
図14のタイミングTx3に示すように、キャニスタ22内のベーパ濃度が規定濃度を超えて濃度判定フラグがオンすると(
図12 ステップS507 YES)、封鎖弁40のストローク量(Step数)を濃度で決まる値に調整する(ステップS508)。
図13に示す方法では、濃度で決まる封鎖弁40のストローク量(Step数)は封鎖弁40が開弁する最小ストローク量に設定されている。このため、濃度判定フラグがオンしてもストローク量(Step数)が変化せず、封鎖弁40は最小ストローク量で開弁を継続する。
このようにして、燃料タンク15の圧抜きが継続されると、燃料タンク15からベーパ通路24、キャニスタ22、パージ通路26及びパージ弁26vを通ってエンジン14に導かれる蒸発燃料量が時間の経過とともに減少するようになる。そして、燃料タンク15のタンク内圧が許容範囲内に収まり、燃料タンク15の圧抜きが完了した段階では、キャニスタ22内のベーパ濃度がほぼ零になって濃度判定フラグがオフする(
図13 タイミングTx4)。これにより、
図12のステップS509の判断がYESとなり、封鎖弁40のストローク量(Step数)がスタンバイ値に設定され(ステップS510)、封鎖弁40は閉弁位置であるスタンバイ位置に保持される。
【0038】
図14に示す方法では、濃度で決まる封鎖弁40のストローク量(Step数)は、
図17(A)に示すマップによって設定される。即ち、キャニスタ22内のベーパ濃度が濃い状態では封鎖弁40のストローク量(Step数)は小さな値に設定され、ベーパ濃度が零に近づくにつれてストローク量(Step数)は大きな値になる(
図14 下図参照)。したがって、燃料タンク15の圧抜きが継続されて、ベーパ濃度が零に近づくにつれて封鎖弁40のストローク量(Step数)は大きくなり、封鎖弁40の開弁量が増加する。そして、燃料タンク15のタンク内圧が許容範囲内に収まり、濃度判定フラグがオフすると(
図14 タイミングTx4)。これにより、
図12のステップS509の判断がYESとなり、封鎖弁40は閉弁位置であるスタンバイ位置に保持される(ステップS510)。
このようにして、燃料タンク15の異常時圧抜き制御が終了し、
図13に示すように、タイミングTx5でパージフラグがオフして、パージ通路26のパージ弁26vが閉弁した後、再び、パージフラグがオンすると(
図13 タイミングTx6、
図12 ステップS505 YES)、封鎖弁40のステップ数は前回の学習値に設定された後、封鎖弁40は最小ストローク量で開弁される(ステップS506)。そして、キャニスタ22内のベーパ濃度がほぼ零の状態のままであると(
図12 ステップS507 NO)、封鎖弁40はスタンバイ位置に戻される(
図12 ステップS510、
図13 タイミングTx7)。
【0039】
<変更例1>
次に、
図15のフローチャート、及び
図16のグラフに基づいて変更例1に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御について説明する。
本発明の実施形態2における燃料タンク15の異常時圧抜き制御(
図14参照)では、
図17(A)のマップに基づいて、キャニスタ22内のベーパ濃度に対応した封鎖弁40のストローク量(Step数)を設定する例を示した。これに対し、変更例1に係る異常時圧抜き制御では、
図17(B)のマップに基づいて、キャニスタ22内のベーパ濃度に対応した封鎖弁40のストローク量(Step数)を設定するようにしている(
図15のステップS608)。
即ち、
図17(B)のマップには、キャニスタ22内のベーパ濃度と、パージ流量(L/sec)とに対応する封鎖弁40の基準ストローク量(α)が設定されている。そして、封鎖弁40が前記基準ストローク量(αStep)で開弁されている状態では、封鎖弁40を流れる流量(圧抜き流量L/sec)はパージ流量(L/sec)を超えないように設定されている。なお、
図17(B)のマップに示す基準ストローク量(αStep)は封鎖弁40の学習値を0StepとしたときのStep数である。
このため、
図16のタイミングTx8に示すように、パージ流量(L/sec)が急に低下した場合には、キャニスタ22内のベーパ濃度が変化しない場合でも、封鎖弁40の基準ストローク量(α)はパージ流量(L/sec)に対応して小さくなるため、封鎖弁40の開弁量(Step数)は減少するようになる。
これにより、パージ流量(L/sec)が急に低下した場合でも、封鎖弁40を流れる流量(圧抜き流量L/sec)はパージ流量(L/sec)を超えることがなく、キャニスタ22内に蒸発燃料が溜まり難くなる。この結果、蒸発燃料の大気放散を確実に防止できる。
【0040】
<変更例2>
次に、
図18のグラフに基づいて変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御について説明する。
図13、
図14、及び
図16に示す異常時圧抜き制御では、キャニスタ22内のベーパ濃度が薄くなって濃度判定フラグがオフすると(
図13、
図14 タイミングTx4)、封鎖弁40を閉弁位置であるスタンバイ位置まで動作させて、燃料タンク15の圧抜きを停止する例を示した(
図12 ステップS510参照)。これに対し、変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、前記濃度判定フラグがオフし、かつエンジン14の空燃比A/F等が一定時間以上安定範囲にある条件下で封鎖弁40を閉弁位置であるスタンバイ位置まで動作させるようにしている。
即ち、変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、キャニスタ22内のベーパ濃度を監視するとともに、エンジン14の空燃比A/Fと前記空燃比の制御装置(ECU19)のフィードバック信号F/Bとを監視している。そして、
図18のタイミングTx4に示すように、キャニスタ22内のベーパ濃度を表す濃度判定フラグがオフし、さらに、その後、
図18のタイミングTx40に示すように、エンジン14の空燃比A/Fと前記空燃比のフィードバック信号F/Bとが一定時間以上安定範囲内に入った状態で、封鎖弁40は閉弁位置であるスタンバイ位置まで動作するようになる。
【0041】
また、
図18に示すように、タイミングTx5でパージフラグがオフして、パージ通路26のパージ弁26vが閉弁した後、再び、パージフラグがオンすると(
図18 タイミングTx6)、封鎖弁40のステップ数は前回の学習値に設定された後、封鎖弁40は最小ストローク量で開弁される。そして、キャニスタ22内のベーパ濃度がほぼ零の状態のままであることが判定され(
図18 タイミングTx7)、さらに、その後、タイミングTx70に示すように、エンジン14の空燃比A/F等が一定時間以上安定範囲内に入ったことが判定されると、封鎖弁40が閉弁位置であるスタンバイ位置まで動作する。
したがって、変更例2に係る燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、例えば、キャニスタ22内のベーパ濃度が薄い状態でも、エンジン14の空燃比A/F等が安定していない場合には燃料タンク15の圧抜きを継続することができる。
【0042】
<本実施形態に係る蒸発燃料処理装置20の長所>
本実施形態に係る蒸発燃料処理装置20によると、燃料タンク15の異常時圧抜き制御では、濃度検出手段により検出されたベーパ濃度が基準値よりも低い場合(薄い)には、封鎖弁40のストローク量をスタンバイ値(フェールセーフ値)に保持する。
ここで、燃料タンク15の圧抜き開始時にはキャニスタ22内のベーパ濃度は高くなるが、圧抜きが継続されて燃料タンク15の内圧が低くなると、キャニスタ22内のベーパ濃度は低くなる(薄くなる)。したがって、燃料タンクの内圧が検出不能となった場合でも、濃度検出手段を利用して燃料タンクの圧抜き制御を行なえるようになる。
また、例えば、キャニスタ22内のベーパ濃度が薄い状態でも、エンジン14の空燃比A/F等が安定していない場合には燃料タンク15の圧抜きを継続することができる。
【0043】
<他の変更例>
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、実施形態2の
図13、
図14、
図16、及び
図18に示す異常時圧抜き制御では、燃料タンク15の圧抜きが完了したときに封鎖弁40をスタンバイ位置に保持して閉弁状態とする例を示した。しかし、パージフラグがオンしている状態では、燃料タンク15の圧抜きが完了しても、封鎖弁40をスタンバイ位置に戻さずに開弁状態に保持することも可能である。
また、本実施形態では、封鎖弁40のモータにステッピングモータ50を使用する例を示したが、ステッピングモータ50の代わりにDCモータ等を使用することも可能である。