特許第6177757号(P6177757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6177757ダイナミックスピーカーと圧電素子とを利用した高音質スピーカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177757
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】ダイナミックスピーカーと圧電素子とを利用した高音質スピーカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/06 20060101AFI20170731BHJP
   H04R 1/24 20060101ALI20170731BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H04R9/06 A
   H04R1/24 Z
   H04R17/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-251889(P2014-251889)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-42685(P2016-42685A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】20-2014-0006138
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0144456
(32)【優先日】2014年10月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514318334
【氏名又は名称】アルムス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チュ ホン,コ
(72)【発明者】
【氏名】チョン グォン,パク
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−147077(JP,A)
【文献】 実開昭58−169797(JP,U)
【文献】 特開2001−352597(JP,A)
【文献】 特開昭59−190800(JP,A)
【文献】 実開昭62−068400(JP,U)
【文献】 特開平11−331976(JP,A)
【文献】 特開2000−013877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/24
9/06
17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に収容空間が形成されるヨークと、
前記収容空間に配され、上面にプレートが備えられるマグネットと、
前記ヨークと前記マグネットとの間に配されるボイスコイルと、
前記プレートの上部に配され、前記ボイスコイルが固定される振動板と、
金属板、及び前記金属板の一面または両面にボンディングされた圧電セラミックスからなる圧電素子がインサート射出によって一体に結合され、前記圧電素子が前記振動板の上側に配されるように、前記ヨークの上側開口部に設けられるキャップと、
前記ヨークの下部外側に結合され、外部から電気信号を入力されて、前記電気信号を前記ボイスコイル及び前記圧電素子に伝達する回路基板と、
を含み、
前記キャップの側面に前記振動板から発生した音が通過できるように1つまたは2つ以上の孔が形成されたことを特徴とするスピーカー。
【請求項2】
前記圧電素子には、前記振動板から発生した音が通過できるように少なくとも1つの孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記孔は、前記圧電素子の縁部に沿って1つまたは2つ以上が形成されたことを特徴とする請求項2に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記圧電セラミックスは、前記金属板よりも小さな面積を有し、前記孔は、前記圧電素子を成す前記金属板の縁部に沿って1つまたは2つ以上が形成されたことを特徴とする請求項2に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記回路基板は、外部から+及び−信号が入力される第1及び第2端子と、前記+及び−信号を前記ボイスコイルに印加するための導線と連結される第3及び第4端子と、前記+及び−信号を前記圧電素子に印加するための導線と連結される第5及び第6端子と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記+及び−信号を前記圧電素子に印加するための導線が形成された軟性回路基板をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記圧電素子の上部に配されて、前記圧電素子を保護する保護カバーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーに係り、より詳細には、低域音を具現するダイナミックスピーカーと高域音を具現する圧電素子とを用いて高音質を提供することができるスピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スピーカーとは、電気信号を振動板の振動に変えて、空気に疏密波を発生させて音波をコピーする音響装置であって、電気信号を音波に変換させる原理と方法とによって、ダイナミック型、電磁型、静電型、誘電体型、磁気歪型などがある。
【0003】
音楽再生用や音声用としては、比較的性能に優れたダイナミック型が広く使われる。ダイナミック型は、永久磁石の磁場内にあるボイスコイルに音声信号電流を流せば、その電流の強度によって機械的な力がボイスコイルに作用して運動を起こす原理を利用する。
【0004】
しかし、このようなダイナミック型は、低域音の具現には適しているが、高域音の具現には、相対的に脆弱な短所があって、高音質の提供に限界がある。これを補完するために、2ウェイスピーカーまたは3ウェイスピーカーなどが提案されたが、構造が複雑であり、高価である短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開10−2001−0088726号明細書(2001年09月28日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、低域音を具現するダイナミックスピーカーと高域音を具現する圧電素子とを用いて高音質を提供することができるスピーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するための本発明によるスピーカーは、内側に収容空間が形成されるヨークと、前記収容空間に配され、上面にプレートが備えられるマグネットと、前記ヨークと前記マグネットとの間に配されるボイスコイルと、前記プレートの上部に配され、前記ボイスコイルが固定される振動板と、金属板、及び前記金属板の一面または両面にボンディングされた圧電セラミックスからなる圧電素子がインサート射出によって一体に結合され、前記圧電素子が前記振動板の上側に配されるように、前記ヨークの上側開口部に設けられるキャップと、前記ヨークの下部外側に結合され、外部から電気信号を入力されて、前記電気信号を前記ボイスコイル及び前記圧電素子に伝達する回路基板と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記圧電素子には、前記振動板から発生した音が通過できるように少なくとも1つの孔が形成されうる。
【0009】
前記孔は、前記圧電素子の縁部に沿って1つまたは2つ以上が形成されうる。
【0010】
前記圧電セラミックスは、前記金属板よりも小さな面積を有し、前記孔は、前記圧電素子を成す前記金属板の縁部に沿って1つまたは2つ以上が形成されうる。
【0011】
前記キャップの側面に前記振動板から発生した音が通過できるように1つまたは2つ以上の孔が形成されうる。
【0012】
前記回路基板は、外部から+及び−信号が入力される第1及び第2端子と、前記+及び−信号を前記ボイスコイルに印加するための導線と連結される第3及び第4端子と、前記+及び−信号を前記圧電素子に印加するための導線と連結される第5及び第6端子と、を含みうる。
【0013】
前記スピーカーは、前記+及び−信号を前記圧電素子に印加するための導線が形成された軟性回路基板をさらに含みうる。
【0014】
前記スピーカーは、前記圧電素子の上部に配されて、前記圧電素子を保護する保護カバーをさらに含みうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低域音を具現するダイナミックスピーカーと高域音を具現する圧電素子とを用いて簡単な構造で高音質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態によるスピーカーの側面図を示す。
図2】本発明の一実施形態によるスピーカーの斜視図を示す。
図3】本発明の一実施形態によるスピーカーの断面斜視図を示す。
図4】本発明の一実施形態によるスピーカーの分解斜視図を示す。
図5】本発明の一実施形態によるスピーカーの断面分解斜視図を示す。
図6】本発明の他の一実施形態によるスピーカーの側面図を示す。
図7】本発明の他の一実施形態によるスピーカーの断面斜視図を示す。
図8】本発明のさらに他の一実施形態によるスピーカーの側面図を示す。
図9】本発明のさらに他の一実施形態によるスピーカーの断面斜視図を示す。
図10】本発明のさらに他の一実施形態によるスピーカーの側面図を示す。
図11】回路基板50の下面を示す図面である。
図12】回路基板50がヨーク10の下部外側に結合された場合の電気的連結を示す図面である。
図13図1のスピーカーで回路基板50とボイスコイル24及び圧電素子30との電気的連結を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。以下、説明及び添付図面で実質的に同じ構成要素は、それぞれ同じ符号に表わすことによって、重複説明を省略する。また、本発明を説明するに当って、関連した公知機能あるいは構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、それについての詳細な説明は省略する。
【0018】
図1ないし図5は、本発明の一実施形態によるスピーカーの図面である。図1は、本実施形態によるスピーカーの側面図を示し、図2は、本実施形態によるスピーカーの斜視図を示し、図3は、本実施形態によるスピーカーの断面斜視図を示し、図4は、本実施形態によるスピーカーの分解斜視図を示し、図5は、本実施形態によるスピーカーの断面分解斜視図を示す。
【0019】
本実施形態によるスピーカーは、内側に収容空間が形成されるヨーク10と、前記収容空間に配され、上面にプレート22が備えられるマグネット20と、ヨーク10の下部外側に結合される回路基板50と、マグネット20、プレート22及び回路基板50をヨーク10に結合固定するリベット26と、を含む。ヨーク10の底面中心部には、リベット孔が形成されており、マグネット20、プレート22及び回路基板50には、ヨーク10のリベット孔と同一軸上を有する孔が形成されている。本実施形態で、マグネット20、プレート22及び回路基板50は、リベット26を用いてヨーク10に結合固定されると説明するが、これらは、リベット以外の他の結合手段、例えば、接着を用いて互いに結合固定してもよいということは言うまでもない。
【0020】
本実施形態によるスピーカーは、ヨーク10とマグネット20との間に配されるボイスコイル24と、プレート22の上部に配され、縁部がヨーク10に固定され、ボイスコイル24が固定される振動板28と、を含む。マグネット20から出た磁場は、マグネット20上にあるプレート22を通じて下側のヨーク10に移動し、再びマグネット20に移動する閉回路を構成する。プレート22と下側のヨーク10との間の空間に移動する磁場は、ボイスコイル24に電流が印加されて、ボイスコイル24が磁性を帯びれば、ボイスコイル24の磁力極性によってボイスコイル24を引っ張るか、押し出す。すなわち、ボイスコイル24の磁力極性がプレート22と下側のヨーク10の磁力極性と同じであれば、互いに反発してボイスコイル24を押し出して、ボイスコイル24を前に移動させ、プレート22と下側のヨーク10の磁力極性と異なれば、互いに吸引してボイスコイル24を後に引っ張る。このように、ボイスコイル24が動けば、ボイスコイル24が固定されている振動板28が前後に移動しながら、空気を振動させて音を発生させる。図示されていないが、本実施形態によるスピーカーは、電気信号(+、−)をボイスコイル24に印加するための導線が備えられ、導線は、スピーカーの外部に引き出される。
【0021】
また、本実施形態によるスピーカーは、金属板32、及び金属板32の両面にそれぞれボンディングされた圧電セラミックス31、33からなる圧電素子30が結合され、前記圧電素子30が振動板28の上側に配されるように、ヨーク10の上側開口部に配されて、ヨーク10と結合されるキャップ40をさらに含む。
【0022】
圧電素子30は、圧電効果を有する圧電セラミックス31、33と金属板32とに電気的交流信号が印加されれば、これに連動して、圧電セラミックス31、33の直径が伸張または収縮することによって、圧電素子30が上下に屈曲運動を行うことによって、音を発生させる。本実施形態で、圧電素子30は、金属板32の両面にそれぞれ圧電セラミックス31、33がボンディングされると説明しているが、金属板32の一面にのみ圧電セラミックスをボンディングすることもできる。すなわち、金属板32の上面にのみ圧電セラミックス31をボンディングしても、金属板32の下面にのみ圧電セラミックス33をボンディングしても良い。圧電セラミックス31、33は、圧電素子30の屈曲運動のために、通常の金属板32よりも小さな面積を有し、したがって、金属板32は、一部が外部に露出される。圧電セラミックス31、33は、接着剤34、35によって金属板32にボンディングされ、接着剤34、35としては、例えば、導電性エポキシ接着剤、シルバーペーストなどが使われる。ボイスコイル24に印加される電気信号(+、−)は、圧電素子30の圧電セラミックス31、33と金属板32にも共に印加される。例えば、(+)信号は、圧電セラミックス31、33に印加され、(−)信号は、金属板32に印加される。図示されていないが、本実施形態によるスピーカーには、圧電セラミックス31、33と金属板32とに電気信号を印加するための電極と導線とが備えられ、この導線も、スピーカーの外部に引き出される。
【0023】
回路基板50は、外部から電気信号(+、−)を入力されて、前記電気信号をボイスコイル24及び圧電素子30に伝達する。回路基板50の具体的な構成及びボイスコイル24及び圧電素子30との電気的連結に関しては、図11ないし図13を参照して後述する。
【0024】
圧電素子30は、キャップ40によって支持されるが、本発明の実施形態で、圧電素子30は、インサート射出によってキャップ40に一体に結合される。従来の圧電スピーカーで圧電素子は、接着剤(例えば、シリコン接着剤)を用いてケースまたは支持手段に固定されるが、このような場合、接着作業が難しく、支持強度が十分ではない問題があった。本発明の実施形態では、圧電素子30をインサート射出を用いてキャップ40に一体に結合させることによって、製造工程を単純化し、十分な支持強度が得られる。例えば、本発明の実施形態では、圧電素子30をあらかじめ準備し、圧電素子30とキャップ40とをインサート射出するための金型を製作した後、インサート射出成形を通じて圧電素子30が一体に結合されたキャップ40を製作する。
【0025】
また、本発明の実施形態で、圧電素子30には、振動板28から発生した音が通過できるように少なくとも1つの孔が形成される。例えば、示したように、圧電素子30の中央に孔36が形成され、圧電素子30の縁部に沿って1つまたは2つ以上の孔37が形成されうる。したがって、本実施形態で、圧電素子30とそれを成す金属板32及び圧電セラミックス31、33は、リング状を帯び、但し、金属板32は、キャップ40と結合された状態で孔37が形成されるように、縁部のうち、孔37に該当する部分が内側に掘れており、縁部のうち、孔37に該当しない部分がキャップ40と結合されうる。実施形態によっては、これとは異なって、金属板の縁部が滑らかな円状を帯びて、縁部の全体に亘ってキャップ40と結合され、金属板の縁部に沿って縁部と離隔した1つまたは2つ以上の孔が形成されうる。
【0026】
さらに、本発明の実施形態では、キャップ40の側面に振動板28から発生した音が通過できるように少なくとも1つの孔が形成されうる。例えば、図2ないし図5を参照すれば、キャップ40の側面に振動板28の上部に位置する孔42が形成される。
【0027】
前述した本発明の一実施形態によるスピーカーの具体的な動作を説明すれば、次の通りである。
【0028】
ボイスコイル24と圧電素子30には、同じ電気信号が印加されるので、ボイスコイル24と圧電素子30とでそれぞれ電気信号に相応する音が発生する。但し、ボイスコイル24に電気信号が印加されることによって、振動板28で発生する音は、低音域には充実しているが、高音域には相対的に充実していない音である一方、圧電素子30に電気信号が印加されることによって、圧電素子30で発生する音は、低音域には相対的に充実していないが、高音域には充実した音である。したがって、本実施形態によるスピーカーでは、低音域及び高音域でいずれも忠実度の高い音が出る。
【0029】
低音域の音と高音域の音は、指向性において差を見せるが、低音域の音は、指向性が弱いが、一方、高音域の音は、指向性が強い特性を表わす。すなわち、低音域の音は、音源から広く広がる傾向があるが、高音域の音は、音源から広く広がらず、同じ方向に進行する傾向がある。
【0030】
したがって、振動板28で発生する音のうち、高音域の音は、圧電素子30によって一部遮断され、低音域の音は、広く広がる傾向があるので、圧電素子30に形成された孔36、37及びキャップ40に形成された孔42を通じて放出される。圧電素子30で発生する音は、そのまま(あるいは、例えば、イヤホンの場合、イヤホンゴムキャップを通じて)放出される。
【0031】
ところが、音源として振動板28と圧電素子30との2つの音源が存在するので、振動板28から出る音と圧電素子30から出る音との補強干渉による歪曲が発生し、特に、高音域で問題になりうる。しかし、本発明の実施形態では、振動板28の上側に圧電素子30が配されて、振動板28から出る高音域の音を圧電素子30が遮断し、振動板28から出る低音域の音は、圧電素子30に形成された孔36、37及びキャップ40に形成された孔42を通じて放出させることによって、このような干渉を最小化することができる。低音域の音は、指向性が弱いので、圧電素子30の縁部に形成された孔37及びキャップ40の側面に形成された孔40を通じても、円滑にスピーカーの外部に放出される。しかし、高音域の音は、指向性が強いために、圧電素子30によって遮断され、圧電素子30の縁部に形成された孔37及びキャップ40の側面に形成された孔40を通じてほとんど放出されない。
【0032】
但し、本実施形態で、圧電素子30の中央に形成された孔36を通じて振動板28から出る高音域の音が一部放出されるが、一字状イヤホンではない、人の耳の形態に合わせて音通路(例えば、イヤホンのゴムキャップ)の方向が機構的にやや反れたイヤホンの場合、このような機構的構造によって孔36を通じて放出された音による干渉は抑制されうる。そして、後述する実施形態でのように、圧電素子30は、中央の孔36が形成されていない形態で、すなわち、中央が詰まった構造で具現されることもある。
【0033】
図6及び図7は、本発明の他の一実施形態によるスピーカーの図面であって、図6は、スピーカーの側面図を示し、図7は、スピーカーの断面斜視図を示す。
【0034】
本実施形態によるスピーカーは、図1ないし図5を通じて説明した実施形態とは異なって、圧電素子30’は、中央の孔36が形成されていない、すなわち、中央が詰まった構造からなる。それ以外には、図1ないし図5を通じて説明した実施形態と同一なので、重複説明は省略する。圧電素子30’を成す金属板32’及び圧電セラミックス31’、33’は、リング状の金属板32及び圧電セラミックス31、33と異なって、円状を帯びる。金属板32’がキャップ40と結合された状態で孔37が形成されるように、縁部のうち、孔37に該当する部分が内側に掘れている点は、金属板32と同様である。振動板28から出る低音域の音は、圧電素子30に形成された孔37及びキャップ40に形成された孔42を通じて放出される。
【0035】
本実施形態によれば、振動板28で発生する音のうち、高音域の音が圧電素子30’によってほとんど遮断されるので、イヤホンの形態(例えば、一字状イヤホンあるいはゴムキャップの方向が反れたイヤホン)と無関係に振動板28から出る音と圧電素子30’から出る音との補強干渉による歪曲を防止しながら、低音域及び高音域でいずれも忠実度の高い音を提供することができる。
【0036】
図8及び図9は、本発明のさらに他の一実施形態によるスピーカーの図面であって、図8は、スピーカーの側面図を示し、図9は、スピーカーの断面斜視図を示す。
【0037】
本実施形態によるスピーカーは、図1ないし図5を通じて説明した実施形態とは異なって、圧電素子30’’は、中央の孔36が形成されていないだけではなく、縁部にも孔37が形成されず、振動板28の上部全体が圧電素子30’’によって詰まっている構造である。すなわち、圧電素子30’’を成す金属板32’’及び圧電セラミックス31’、32’は、リング状の金属板32及び圧電セラミックス31、33と異なって、円状を帯び、金属板32’’は、金属板32と異なって、縁部が滑らかな円状を帯びて、縁部の全体に亘ってキャップ40と結合される。振動板28から出る低音域の音は、キャップ40に形成された孔42を通じて放出される。
【0038】
本実施形態に、やはり図6及び図7の実施形態と同じく、振動板28で発生する音のうち、高音域の音が圧電素子30’’によってほとんど遮断されるので、イヤホンの形態(例えば、一字状イヤホンあるいはゴムキャップの方向が反れたイヤホン)と無関係に振動板28から出る音と圧電素子30’’から出る音との補強干渉による歪曲を防止しながら、低音域及び高音域でいずれも忠実度の高い音を提供することができる。
【0039】
図10は、本発明のさらに他の一実施形態によるスピーカーの側面図を示す。本実施形態によるスピーカーは、圧電素子30の上部に配されて、圧電素子30を保護する保護カバー60をさらに含む。本実施形態は、図1のスピーカーに保護カバー60がさらに含まれる構成であるが、図6または図8のスピーカーに保護カバー60がさらに含まれる構成になることもできるということは言うまでもない。保護カバー60は、例えば、メッシュグリルであり得る。圧電素子30の音がスピーカーの前面に直ちに出る場合、音質が荒く感じられることもできるが、圧電素子30の上部に保護カバー60を配置することによって、圧電素子30の荒い音質を改善して、より柔らかく、鮮明な音質を具現することができる。
【0040】
図11ないし図13は、本発明の一実施形態による回路基板50の具体的な構成及びボイスコイル24及び圧電素子30との電気的連結を示す図面である。図11は、回路基板50の下面を示す図面であり、図12は、回路基板50がヨーク10の下部外側に結合された場合の電気的連結を示す図面であり、図13は、図1のスピーカーで回路基板50とボイスコイル24及び圧電素子30との電気的連結を示す図面である。本実施形態は、図1のスピーカーを対象にして説明されているが、図6図8または図10によるスピーカーにも適用可能であるということは言うまでもない。
【0041】
図11を参照すれば、回路基板50は、第1及び第2端子51、52、第3及び第4端子53、54、第5及び第6端子55、56を含む。また、回路基板50には、第1端子51、第3端子53、第5端子55を電気的に連結するパターン57と、第2端子52、第4端子54、第6端子56を電気的に連結するパターン58と、が設けられる。
【0042】
第1及び第2端子51、52には、それぞれ外部から+及び−信号が入力される。すなわち、図示されていないが、第1及び第2端子51、52は、それぞれ+信号入力線と−信号入力線とが連結されうる。
【0043】
図11ないし図13を参照すれば、第3及び第4端子53、54は、それぞれ+及び−信号をボイスコイル24に印加するための導線72、71と連結される。すなわち、外部から入る+及び−信号は、第1及び第2端子51、52に入力されて、第3及び第4端子53、54を通じて導線72、71に沿ってボイスコイル24に印加される。
【0044】
第5及び第6端子55、56は、それぞれ+及び−信号を圧電素子30に印加するための導線82、81と連結される。すなわち、外部から入る+及び−信号は、第1及び第2端子51、52に入力されて、第5及び第6端子55、56を通じて導線82、81に沿って圧電素子30に印加される。図示されていないが、例えば、+信号は、導線82に沿って圧電素子30の圧電セラミックス31、33に印加され、−信号は、導線81に沿って圧電素子30の金属板32に印加されうる。この際、導線82には、圧電セラミックス31、33との連結のための電極が形成され、導線81には、金属板32との連結のための電極が形成されうる。
【0045】
実施形態によって、+及び−信号を圧電素子30に印加するための導線82、81は、軟性回路基板80に形成されうる。すなわち、軟性回路基板80に+及び−信号を圧電素子30に印加するためのパターン、第5及び第6端子55、56との連結のための電極、圧電素子30の圧電セラミックス31、33及び金属板32との連結のための電極が形成されうる。
【0046】
以上、本発明について、その望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲内で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれたものと解釈しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、ダイナミックスピーカーと圧電素子とを利用した高音質スピーカー関連の技術分野に適用可能である。
図1
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