特許第6177816号(P6177816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6177816
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】湾曲規制部材及び給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20170731BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H02G11/00
   B60R16/02 620C
   B60R16/02 623U
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-11267(P2015-11267)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2016-136809(P2016-136809A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2016年4月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】寺田 友康
(72)【発明者】
【氏名】関野 司
(72)【発明者】
【氏名】山下 博司
(72)【発明者】
【氏名】大塚 竜也
【審査官】 中木 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−150540(JP,A)
【文献】 特開2006−327328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、該電線が挿通される可撓性チューブと、を有するワイヤハーネスにおいて前記可撓性チューブの内面と前記電線との間に配置され、前記ワイヤハーネスが、所定の湾曲方向に、基準半径よりも小さな曲率半径で湾曲することを規制する湾曲規制部材であって、
前記可撓性チューブにおける少なくとも一方の端部の近傍に配置され、前記電線の長さ方向に延びる本体部と、
前記本体部における、前記可撓性チューブの前記端部側とは反対側の一端から延出し、前記基準半径以上の曲率半径で、かつ、直線状に延びた前記可撓性チューブの内部に収まる程度の長さで、前記湾曲方向に湾曲した湾曲部と、を備え
前記本体部が、前記電線を内側に通す筒の一部をなす形状に形成されており、
前記本体部において前記電線の長さ方向に延びる一対の側縁のうちの一方の側縁に、ヒンジを介して開閉自在に連結され、前記筒の他の一部をなす形状に形成された蓋部を備えたことを特徴とする湾曲規制部材。
【請求項2】
前記本体部の一対の側縁のうちの他方の側縁には、前記筒の周壁に交差する方向に突出した第1のリブが、前記他方の側縁に沿って互いに距離を開けて複数配列されており、
前記蓋部において前記電線の長さ方向に延びる一対の側縁のうち、前記ヒンジとは反対側の側縁には、前記周壁に交差する方向に突出した第2のリブが、前記蓋部が閉じられたときに前記第1のリブの相互間に配置されて、該第1のリブとともに一列に並ぶように複数配列されていることを特徴とする請求項に記載の湾曲規制部材。
【請求項3】
前記可撓性チューブの内面には、該可撓性チューブの長さ方向に延びる溝が形成されており、
前記蓋部が閉じられたときに一列に並ぶ前記第1のリブ及び前記第2のリブが、前記溝に嵌め込まれることを特徴とする請求項に記載の湾曲規制部材。
【請求項4】
前記湾曲部に連続した湾曲形状をなすまでは湾曲可能で、前記湾曲形状よりも小さな曲率半径での湾曲は不能となるように前記湾曲部における前記本体部側とは反対側の一端にヒンジを介して連結されるとともに、自身も、前記湾曲形状をなすまでは湾曲可能で前記小さな曲率半径での湾曲は不能となる可撓性を有して形成されている可撓部を備えたことを特徴とする請求項1〜のうち何れか一項に記載の湾曲規制部材。
【請求項5】
スライドドアを有する車両において、車体と前記スライドドアとをワイヤハーネスを介して電気的に接続する給電装置であって、
前記ワイヤハーネスが、電線と、該電線が挿通される可撓性チューブとを有しており、
前記車体又は前記スライドドアに固定される支持部材と、
前記可撓性チューブの一端を保持するとともに、前記スライドドアと平行かつ前記スライドドアの開閉方向と直交する揺動軸回りに揺動自在に、前記支持部材に軸支される揺動部材と、
前記可撓性チューブの内面と前記電線との間に配置され、前記ワイヤハーネスが、所定の湾曲方向に、基準半径よりも小さな曲率半径で湾曲することを規制する湾曲規制部材と、を備え、
前記湾曲規制部材が、
前記可撓性チューブにおける少なくとも一方の端部の近傍に配置され、前記電線の長さ方向に延びる本体部と、
前記本体部における、前記可撓性チューブの前記端部側とは反対側の一端から延出し、前記基準半径以上の曲率半径で、かつ、直線状に延びた前記可撓性チューブの内部に収まる程度の長さで、前記湾曲方向に湾曲した湾曲部と、を備え
前記本体部が、前記電線を内側に通す筒の一部をなす形状に形成されており、
前記本体部において前記電線の長さ方向に延びる一対の側縁のうちの一方の側縁に、ヒンジを介して開閉自在に連結され、前記筒の他の一部をなす形状に形成された蓋部を備えたことを特徴とする給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と、その電線が挿通される可撓性チューブと、を有するワイヤハーネスの過度な湾曲を規制する湾曲規制部材と、そのような湾曲規制部材が適用された給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スライドドアを有する車両において、車体とスライドドアとをワイヤハーネスを介して電気的に接続する給電装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような給電装置では、スライドドアの開閉時にスライドドアに追随してワイヤハーネスが無理なく動けるように、ワイヤハーネスが保持されている。
【0003】
ここで、給電装置において上記のようにワイヤハーネスを保持する構成として、例えばスライドドアと平行かつスライドドアの開閉方向と直交する揺動軸回りに揺動自在な揺動部材でワイヤハーネスを保持する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この構成では、スライドドアの開閉時に揺動部材が揺動することで、ワイヤハーネスが無理なく動けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−273312号公報
【特許文献2】特開2014−143779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような揺動部材を有する給電装置では、スライドドアの開放時にはワイヤハーネスにおけるスライドドア側の端部がスライドドアに追随して動かされ、これによりワイヤハーネスが車外側に曲げられて湾曲する。また、このようなワイヤハーネスとして、電線と、その電線が挿通される可撓性チューブと、を有するワイヤハーネスが用いられることがある。ここで、小さ過ぎる曲率半径で過度にワイヤハーネスが湾曲すると、ワイヤハーネスが傷み易くなる恐れがある。
【0006】
また、ワイヤハーネスが湾曲すると内部の電線に曲げ癖が付くことがある。上記の給電装置では、スライドドアの閉鎖時にはワイヤハーネスにおけるスライドドア側の端部が、開放時とは逆方向に動かされ、車内側へと曲げ戻されて延ばされる。このとき、電線に曲げ癖が付いていると、ワイヤハーネスの途中に電線の曲げ癖に応じた湾曲形状を残したまま、ワイヤハーネスにおけるスライドドア側の端部が閉鎖位置へと移動することがある。このような場合、スライドドアの全閉時には、ワイヤハーネスが、車内側に凸の湾曲形状を有することとなる。このように車内側に凸に湾曲したワイヤハーネスは搭乗者の目に付き易く、車内の外観を損ねる恐れがある。
【0007】
従って、本発明は、上記のような問題点に着目し、ワイヤハーネスの過度な湾曲を抑えるとともに、ワイヤハーネスが湾曲後に延ばされるときに電線の曲げ癖を抑えることができる湾曲規制部材、及び、そのような湾曲規制部材が適用された給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電線と、該電線が挿通される可撓性チューブと、を有するワイヤハーネスにおいて前記可撓性チューブの内面と前記電線との間に配置され、前記ワイヤハーネスが、所定の湾曲方向に、基準半径よりも小さな曲率半径で湾曲することを規制する湾曲規制部材であって、前記可撓性チューブにおける少なくとも一方の端部の近傍に配置され、前記電線の長さ方向に延びる本体部と、前記本体部における、前記可撓性チューブの前記端部側とは反対側の一端から延出し、前記基準半径以上の曲率半径で、かつ、直線状に延びた前記可撓性チューブの内部に収まる程度の長さで、前記湾曲方向に湾曲した湾曲部と、を備え、前記本体部が、前記電線を内側に通す筒の一部をなす形状に形成されており、前記本体部において前記電線の長さ方向に延びる一対の側縁のうちの一方の側縁に、ヒンジを介して開閉自在に連結され、前記筒の他の一部をなす形状に形成された蓋部を備えたことを特徴とする湾曲規制部材となっている。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の湾曲規制部材において、前記本体部の一対の側縁のうちの他方の側縁には、前記筒の周壁に交差する方向に突出した第1のリブが、前記他方の側縁に沿って互いに距離を開けて複数配列されており、前記蓋部において前記電線の長さ方向に延びる一対の側縁のうち、前記ヒンジとは反対側の側縁には、前記周壁に交差する方向に突出した第2のリブが、前記蓋部が閉じられたときに前記第1のリブの相互間に配置されて、該第1のリブとともに一列に並ぶように複数配列されていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の湾曲規制部材において、前記可撓性チューブの内面には、該可撓性チューブの長さ方向に延びる溝が形成されており、前記蓋部が閉じられたときに一列に並ぶ前記第1のリブ及び前記第2のリブが、前記溝に嵌め込まれることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1〜のうち何れか一項に記載の湾曲規制部材において、前記湾曲部に連続した湾曲形状をなすまでは湾曲可能で、前記湾曲形状よりも小さな曲率半径での湾曲は不能となるように前記湾曲部における前記本体部側とは反対側の一端にヒンジを介して連結されるとともに、自身も、前記湾曲形状をなすまでは湾曲可能で前記小さな曲率半径での湾曲は不能となる可撓性を有して形成されている可撓部を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決するために、請求項に記載の発明は、スライドドアを有する車両において、車体と前記スライドドアとをワイヤハーネスを介して電気的に接続する給電装置であって、前記ワイヤハーネスが、電線と、該電線が挿通される可撓性チューブとを有しており、前記車体又は前記スライドドアに固定される支持部材と、前記可撓性チューブの一端を保持するとともに、前記スライドドアと平行かつ前記スライドドアの開閉方向と直交する揺動軸回りに揺動自在に、前記支持部材に軸支される揺動部材と、前記可撓性チューブの内面と前記電線との間に配置され、前記ワイヤハーネスが、所定の湾曲方向に、基準半径よりも小さな曲率半径で湾曲することを規制する湾曲規制部材と、を備え、前記湾曲規制部材が、前記可撓性チューブにおける少なくとも一方の端部の近傍に配置され、前記電線の長さ方向に延びる本体部と、前記本体部における、前記可撓性チューブの前記端部側とは反対側の一端から延出し、前記基準半径以上の曲率半径で、かつ、直線状に延びた前記可撓性チューブの内部に収まる程度の長さで、前記湾曲方向に湾曲した湾曲部と、を備え、前記本体部が、前記電線を内側に通す筒の一部をなす形状に形成されており、前記本体部において前記電線の長さ方向に延びる一対の側縁のうちの一方の側縁に、ヒンジを介して開閉自在に連結され、前記筒の他の一部をなす形状に形成された蓋部を備えたことを特徴とする給電装置となっている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項に記載の発明によれば、ワイヤハーネスは、本体部の一端から延出した湾曲部により、その曲率半径よりも小さな曲率半径で上記の湾曲方向に湾曲することが規制される。また、ワイヤハーネスが上記の湾曲方向とは逆方向に曲げ戻されて延ばされるときには、内部の電線が上記の湾曲部によってその湾曲方向へと案内されつつ曲げ戻される。仮にワイハーネスの湾曲時に電線に曲げ癖が付いたとしても、湾曲部による湾曲方向への案内と逆方向への曲げ戻しとにより、電線の曲げ癖における湾曲形状が崩される。即ち、ワイヤハーネスが延ばされるときには、電線の曲げ癖が矯正される。このように、請求項1に記載の発明によれば、ワイヤハーネスの過度な湾曲を抑えるとともに、ワイヤハーネスが湾曲後に延ばされるときに電線の曲げ癖を抑えることができる。
【0015】
また、請求項に記載の発明によれば、本体部と蓋部とで筒が形成されることから、ワイヤハーネスが曲げられる際に本体部に加わる外力に対する強度を増強することができる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、上記のように一列に並ぶ第1のリブと第2のリブとにより、本体部に加わる外力に対する強度を一層増強することができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、可撓性チューブの内面に形成された溝に第1のリブと第2のリブとが嵌め込まれることにより、可撓性チューブの内周方向について湾曲規制部材の回り止めを図ることができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、湾曲部における本体部側とは反対側の一端に連結された可撓部が、上記の湾曲部に連続した湾曲形状までは湾曲可能で、その湾曲形状よりも小さな湾曲形状での湾曲は不能となるように、湾曲部に対してヒンジを介して連結され、かつ、自身の湾曲も可能なように可撓性を有して形成されている。これにより、湾曲部から外れた部分について、湾曲させつつも、ワイヤハーネスにおける基準半径よりも小さな曲率半径での湾曲が規制される。従って、請求項5に記載の発明によれば、ワイヤハーネスの過度な湾曲を一層抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかる湾曲規制部材が適用された給電装置を示す図である。
図2図1に示されている車体側ユニットを示す分解斜視図である。
図3図1に示されている湾曲規制部材が、コルゲートチューブにおける車体側の端部からコルゲートチューブの内部に挿入された様子を示す図である。
図4】湾曲規制部材が、コルゲートチューブの車体側の端部とともに、車体側揺動部材における車体側チューブ固定口に保持される様子を模式的な断面で示す図である。
図5】湾曲規制部材を詳細に示す斜視図である。
図6】コルゲートチューブの内部において、コルゲートチューブの内周方向について湾曲規制部材の回り止めが図られている様子を示す図である。
図7】ワイヤハーネスの湾曲時に内部の電線に付いた曲げ癖が、ワイヤハーネスが曲げ戻されて延ばされる際に湾曲規制部材によって矯正される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態にかかる湾曲規制部材及び給電装置を、図1図7を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかる湾曲規制部材が適用された給電装置を示す図である。本実施形態の給電装置1は、スライドドア50を有する車両5において、車体60とスライドドア50とをワイヤハーネス10を介して電気的に接続する装置である。尚、この図1では、図中右側が車両5の前側に相当し、図中左側が車両5の後側に相当し、図中上側が車両外側に相当し、図中下側が車両内側に相当する。また、図中上下方向が本実施形態におけるX方向であり、図中左右方向が本実施形態におけるY方向であり、紙面に対する垂直方向がZ方向である。
【0022】
給電装置1では、車体60に設けられた不図示の電源からスライドドア50に設けられた不図示の電気機器へとワイヤハーネス10を介して電力が供給される。また、この給電装置1では、車体60に設けられた不図示の制御手段とスライドドア50に設けられた不図示の電気機器との間でワイヤハーネス10を介して電気信号の授受も行われる。給電装置1は、ワイヤハーネス10、湾曲規制部材20、ドア側ユニット30、及び車体側ユニット40を備えている。
【0023】
ワイヤハーネス10は、複数本の電線11と、この電線11が挿通される樹脂製の可撓性チューブであるコルゲートチューブ12とを備えており、電線11における車体60とスライドドア50との間にコルゲートチューブ12が被せられている。コルゲートチューブ12の一端がドア側ユニット30に、車両の上下方向であるZ方向を揺動軸方向として揺動自在に保持され、他端が車体側ユニット40に、Z方向を揺動軸方向として揺動自在に保持されている。ドア側ユニット30は、スライドドア50に固定されている。ドア側ユニット30では、コルゲートチューブ12の一端が、スライドドア50の全閉時にスライドドア50側に向かうように、矢印D1方向に付勢されている。また、車体側ユニット40は、車体60に固定されている。車体側ユニット40では、コルゲートチューブ12の他端が、スライドドア50の全閉時に車両内側に向かうように、矢印D2方向に付勢されている。
【0024】
スライドドア50は、車両の前後方向であるY方向に開閉される。スライドドア50が全閉から全開へと向かって開かれるときには、ドア側ユニット30では、コルゲートチューブ12の一端が、上記の付勢力に反してスライドドア50から離れる方向に揺動する。また、このときには、車体側ユニット40では、コルゲートチューブ12の他端が、上記の付勢力に反して車両外側に向かって揺動する。一方、スライドドア50が全開から全閉へと向かって閉じられるときには、ドア側ユニット30では、コルゲートチューブ12の一端が、上記の付勢力に応じてスライドドア50側に揺動する。また、このときには、車体側ユニット40では、コルゲートチューブ12の他端が、上記の付勢力に応じて車両内側に向かって揺動する。
【0025】
ここで、この給電装置1では、スライドドア50が、全閉時と全開時との間の状態である半開時に、特に車体側ユニット40の近傍において、図1に示されているように車外側に曲げられて湾曲する。そして、この際に、ワイヤハーネス10の過度の湾曲を規制するために、湾曲規制部材20が設けられている。この湾曲規制部材20は、可撓性チューブ12の内面と電線11との間に配置され、ワイヤハーネス10が、湾曲方向D3に、過度に小さな曲率半径で湾曲することを規制する。本実施形態では、湾曲規制部材20は、コルゲートチューブ12における車体側の端部とともに車体側ユニット40に保持されている。
【0026】
図2は、図1に示されている車体側ユニットを示す分解斜視図である。この図2にも、図1におけるX方向、Y方向、Z方向が示されている。また、図2では、図1とは逆に図中右側が車両5の後側に相当し、図中左側が車両5の前側に相当する。さらに、図中上側が車両5の上側に相当し、図中下側が車両5の下側に相当する。
【0027】
車体側ユニット40は、車体側支持部材41と、車体側揺動部材42と、車体側巻きバネ43と、を備えている。車体側支持部材41は、車体60の不図示のフレームに固定される。車体側揺動部材42は、コルゲートチューブ12における車体側の一端を保持することでワイヤハーネス10を保持する。そして、車体側揺動部材42は、スライドドア50と平行かつスライドドア50の開閉方向(Y方向)と直交するZ方向を軸方向とする揺動軸回りに、スライドドア50の開閉方向(Y方向)に揺動自在に、車体側支持部材41に軸支される。車体側巻きバネ43は、この揺動軸回りに巻かれて車体側揺動部材42をその揺動軸回りの、図1に矢印D2で示されている揺動方向に付勢する。車体側支持部材41が本発明にいう支持部材の一例に相当し、車体側揺動部材42が本発明にいう揺動部材の一例に相当する。
【0028】
車体側揺動部材42は、第1揺動部材421と第2揺動部材422とを備えている。第1揺動部材421は、Z方向上側に突出した第1軸部421Aと、車体側巻きバネ43の一端431が係止する第1係止部421Bと、を備えている。また、第2揺動部材422は、Z方向下側に突出した第2軸部422Aを備えている。第1揺動部材421と第2揺動部材422とが互いに組み付けられると、Z方向と直交する方向に向かって開いてコルゲートチューブ12の一端が固定される車体側チューブ固定口423が形成される。そして、車体側揺動部材42では、この車体側チューブ固定口423から、揺動軸と直行するように車体側揺動部材42を貫通する電線11の挿通路424が形成されている。コルゲートチューブ12の一端を出た電線11は、この挿通路424を通って車両内側へと向かう。
【0029】
車体側支持部材41は、第1支持部材411と第2支持部材412とを備えている。第1支持部材411には、第1軸部421Aが挿入されて、その第1軸部421Aを軸支する第1軸受部411Aが設けられている。そして、この第1軸受部411Aを囲むように、車体側巻きバネ43を収容するバネ収容部411Bが形成されている。このバネ収容部411Bは、車両における下方に向かって開いた開口411B−1を有している。この開口411B−1は、第1揺動部材421の上面によって塞がれる。バネ収容部411Bの内部には、車体側巻きバネ43の他端432が係止する第2係止部411Cが設けられている。また、第1支持部材411には、第2支持部材412を組み付けるための複数の係合穴411Dが設けられている。
【0030】
車体側支持部材41における第2支持部材412には、第2軸部422Aが挿入されて、その第2軸部422Aを軸支する第2軸受部412Aが設けられている。さらに、第2支持部材412には、第1支持部材411における複数の係合穴411Dに進入して係合する複数の係合突起412Bが設けられている。
【0031】
第1軸部421Aが第1軸受部411Aに軸支され、第2軸部422Aが第2軸受部412Aに軸支された状態で、第1支持部材411と第2支持部材412とが互いに組み付けられる。そして、第2支持部材412が不図示の固定構造により、車体60に固定される。
【0032】
本実施形態では、図1に示されている湾曲規制部材20は、コルゲートチューブ12における車体側の端部からコルゲートチューブ12の内部に挿入される。そして、湾曲規制部材20は、コルゲートチューブ12の車体側の端部とともに、車体側揺動部材42における車体側チューブ固定口423に保持される。
【0033】
図3は、図1に示されている湾曲規制部材が、コルゲートチューブにおける車体側の端部からコルゲートチューブの内部に挿入された様子を示す図である。また、図4は、湾曲規制部材が、コルゲートチューブの車体側の端部とともに、車体側揺動部材における車体側チューブ固定口に保持される様子を模式的な断面で示す図である。
【0034】
詳細については後述するが、湾曲規制部材20は、その一端側が電線11を内側に通す筒状部20aを有している。そして、その筒状部20aの縁に鍔部20bが設けられている。湾曲規制部材20は、この鍔部20bが外側に露出するようにコルゲートチューブ12の内部に挿入される。
【0035】
また、コルゲートチューブ12の外周面には、凹凸12a,12bが形成されている。そして、車体側揺動部材42における車体側チューブ固定口423の内周面には、コルゲートチューブ12の外周面における凹凸12a,12b、及び、コルゲートチューブ12から露出した湾曲規制部材20の鍔部20bと嵌合するように、凹凸423a,423bが形成されている。
【0036】
上述したように、第1揺動部材421と第2揺動部材422とが互いに組み付けられて車体側揺動部材42が構成される。このとき、車体側チューブ固定口423の凹凸423a,423bに、コルゲートチューブ12の12a,12b及び湾曲規制部材20の鍔部20bが嵌合するように、コルゲートチューブ12と湾曲規制部材20が第1揺動部材421と第2揺動部材422とによって挟み付けられる。これにより、湾曲規制部材20が、コルゲートチューブ12の車体側の端部とともに、車体側揺動部材42における車体側チューブ固定口423に保持されることとなる。
【0037】
図5は、湾曲規制部材を詳細に示す斜視図である。湾曲規制部材20は、上述したように、縁に鍔部20bが形成された筒状部20aを有しており、この筒状部20bは、互いにヒンジ20cを介して開閉自在に連結された2つの部分からなる。図5(a)には、筒状部20aが開かれた状態が示され、図5(b)には、筒状部20aが閉じられた状態が示されている。
【0038】
湾曲規制部材20は、樹脂製の部材であり、図1に示されているワイヤハーネス10においてコルゲートチューブ12の内面と電線11との間に配置される。そして、ワイヤハーネス10が、図1にも示されている湾曲方向D3に、過度に小さな曲率半径で湾曲することを規制する。この湾曲規制部材20は、筒状部20aを構成する本体部21と蓋部22、本体部21における鍔部20b側とは反対側の一端から延出した湾曲部23、及び、湾曲部23における本体部21側とは反対側の一端に連結された可撓部24、を備えている。
【0039】
筒状部20aは、電線11を内側に通し、その電線11の長さ方向に直線状に延びる断面長円形の筒形状を有している。そして、筒状部20aは、図3図4に示されているように、コルゲートチューブ12における車体側の端部の近傍に配置される。本体部21は、コルゲートチューブ12の内周方向について、この筒状部20aの一部をなす形状に形成されている。具体的には、本体部21は、筒状部20aを、断面長円形における長軸を通り長さ方向に延びる切断面で鍔部20aも含めて2分割したときの一方の部分に相当する。
【0040】
蓋部22は、この筒状部20aの他の一部をなす形状に形成されており、具体的には、上記のように筒状部20aを鍔部20aも含めて2分割したときの他方の部分に相当する。蓋部22は、本体部21において電線11の長さ方向に延びる一対の側縁211,212のうちの第1の側縁211にヒンジ20cを介して開閉自在に連結されている。
【0041】
ヒンジ20cは、その幅方向の中央に、他の部分よりも厚みが直線状に薄くなった折れ線20c−1が設けられ、二つ折りに折り畳まれるように形成されている。本実施形態では、このヒンジ20cが、第1の側縁211に沿って3つ配列されている。
【0042】
また、本体部21の一対の側縁211,212のうちの第2の側縁212には、筒状部20aの周壁に交差する方向に突出した第1のリブ213が、この第2の側縁212に沿って互いに距離を開けて3つ配列されている。
【0043】
そして、蓋部22において電線11の長さ方向に延びる一対の側縁221,222のうち、ヒンジ20cとは反対側の側縁222には、筒状部20aの周壁に交差する方向に突出した第2のリブ223がこの側縁222に沿って2つ配列されている。これら2つの第2のリブ223は、蓋部22が閉じられたときに本体部21の第1のリブ213の相互間に配置されて、図3の斜視図に示されているように、第1のリブ213とともに一列に並ぶように配列されている。蓋部22が閉じられて筒状部20aが形成されると、一列に並んだ第1のリブ213と第2のリブ223が、筒状部20aの周壁に交差する方向に突出した1本のリブ20d(図3)を形作ることとなる。
【0044】
上記の1本のリブ20dは、コルゲートチューブ12の内部において、コルゲートチューブ12の内周方向についての湾曲規制部材20の回り止めの役割を果たす。また、図5(b)に示されているように、蓋部22が閉じられて筒状部20aが形成されると、折り畳まれたヒンジ20cが筒状部20aの周壁に交差する方向にリブ状に突出し、この折り畳まれたヒンジ20cも、上記の1本のリブ20dとともに回り止めの役割を担う。
【0045】
図6は、コルゲートチューブの内部において、コルゲートチューブの内周方向について湾曲規制部材の回り止めが図られている様子を示す図である。図6には、湾曲規制部材20がコルゲートチューブ12に挿入された構造物の、コルゲートチューブ12の外周面における凹部12aの底と、湾曲規制部材20における筒状部20aを通る切断面に沿った断面が示されている。
【0046】
この図6に示されているように、コルゲートチューブ12の内面には、断面長円形状の長軸が通る位置に互いに対面して開口し、各々コルゲートチューブ12の長さ方向に延びる一対の溝12cが形成されている。一対の溝12cの一方には、折り畳まれてリブ状に突出したヒンジ20cが嵌め込まれ、一対の溝12cの他方には、一列に並ぶ第1のリブ213及び第2のリブ223からなる1本のリブ20dが嵌め込まれる。図3にも、この1本のリブ20dがコルゲートチューブ12の溝12cに嵌め込まれる様子が示されている。これら1本のリブ20d及びヒンジ20cの溝12cへの嵌め込みにより、コルゲートチューブ12の内周方向について湾曲規制部材20の回り止めが図られる。
【0047】
図5に示されている湾曲部23は、本体部21における鍔部20b側とは反対側の一端、つまり、コルゲートチューブ12の端部側とは反対側の一端から、本体部21に対して折り曲げ不能に延出している。この湾曲部23は、筒状部20aの内部を通る電線11を囲むように本体部21に連続して幅方向に湾曲して延出しているとともに、湾曲方向D3にも湾曲している。このとき、湾曲部23における湾曲方向D3への曲率半径は、予め定められた基準半径以上の曲率半径となっている。また、湾曲部23における延出方向の長さは、直線状に延びたコルゲートチューブ12の内部に収まる程度の長さとなっている。湾曲部23の内面には、補強リブ231が格子状に設けられている。図1に示されているワイヤハーネス10は、湾曲規制部材20において本体部21に対して折り曲げ不能に延出した湾曲部23により、その曲率半径よりも小さな曲率半径で湾曲方向D3に過度に湾曲することが規制される。
【0048】
可撓部24は、3つの被連結壁241が、連結ヒンジ242によって、湾曲方向D3への折り曲げが可能に連結されることで可撓性を有して形成されている。そして、3つの被連結壁241のうち湾曲部23に隣接する被連結壁241が、湾曲部23における本体部21側とは反対側の一端に同様の連結ヒンジ242によって、湾曲方向D3への折り曲げが可能に連結されている。
【0049】
可撓部24は、湾曲部23に隣接する被連結壁241の端縁が湾曲部23の端縁に当接し、各被連結壁241の端縁どうしが当接するまで湾曲方向D3への折り曲げが可能となっている。このとき、各被連結壁241は、可撓部24が湾曲方向D3へ限界まで折り曲げられたとき、可撓部24が湾曲部23に連続した滑らかな湾曲形状となるように、各被連結壁241の長さ方向に、湾曲部23における長さ方向の曲率半径と同等な曲率半径で湾曲している。このように、可撓部24は、湾曲部23に連続した湾曲形状をなすまでは湾曲可能で、その湾曲形状よりも小さな曲率半径での湾曲は不能となるように湾曲部23における本体部21側とは反対側の一端に連結ヒンジ242を介して連結されるとともに、自身も、上記の湾曲形状をなすまでは湾曲可能で小さな曲率半径での湾曲は不能となる可撓性を有して形成されている。各被連結壁241の内面にも、湾曲部23の内面と同様に補強リブ241aが格子状に設けられている。この可撓部24は、図1に示されているワイヤハーネス10について、湾曲部23から外れた部分を湾曲させつつも、上記の曲率半径よりも小さな曲率半径で湾曲方向D3に過度に湾曲することを規制する。
【0050】
ここで、ワイヤハーネス10が、図1に示されているようにスライドドア50の開閉に伴って湾曲方向D3に湾曲するときに、内部の電線11に、その湾曲に応じた湾曲形状の曲げ癖が付くことがある。給電装置1では、スライドドア50の閉鎖時にはワイヤハーネス10におけるスライドドア50側の端部が、開放時とは逆方向に動かされ、車内側へと曲げ戻されて延ばされる。図5に示されている湾曲規制部材20は、上記のようにワイヤハーネス10の過度な湾曲を規制するとともに、ワイヤハーネス10が曲げ戻されて延ばされる際に、電線11に付いた曲げ癖を以下に説明するように矯正する役割も果たす。
【0051】
図7は、ワイヤハーネスの湾曲時に内部の電線に付いた曲げ癖が、ワイヤハーネスが曲げ戻されて延ばされる際に湾曲規制部材によって矯正される様子を示す図である。図7(a)には、ワイヤハーネス10の湾曲時における湾曲規制部材20が示され、図7(b)には、ワイヤハーネスが曲げ戻されて延ばされたときの湾曲規制部材20が示されている。尚、図7では、電線11とコルゲートチューブ12とを有するワイヤハーネス10が二点鎖線で示され、湾曲規制部材20のみが実線で示されている。
【0052】
湾曲規制部材20では、本体部21に対して折り曲げ不能で湾曲方向D3に湾曲した形状を有する湾曲部23が、電線11の曲げ癖を矯正する役割を担っている。
【0053】
ここで、湾曲部23が、仮に、本実施形態とは異なり、可撓部23の被連結部241のように、本体部21に対して折り曲げ可能にヒンジを介して本体部21に連結されていると仮定する。このような場合、電線11に曲げ癖が付いたワイヤハーネス10が湾曲方向D3とは逆方向D4に曲げ戻されると、図7(b)に点線で描かれているように、ワイヤハーネス10は、電線11の曲げ癖に応じた湾曲形状を残したまま、本体部21の端部21aを起点にして上記の逆方向D4に折れ曲がることがある。
【0054】
ワイヤハーネス10は、スライドドア50が図1に示されている全閉状態に向かって閉じられるときに曲げ戻されるが、上記のように折れ曲がった状態で曲げ戻されると、スライドドア50の全閉時には、ワイヤハーネス10が、車内側に凸の湾曲形状を有することとなる。このように車内側に凸に湾曲したワイヤハーネス10は搭乗者の目に付き易く、車内の外観を損ねる恐れがある。
【0055】
これに対し、本実施形態では、ワイヤハーネス10が曲げ戻されるときには、本体部21に対して折り曲げ可能に設けられ湾曲方向D3に湾曲した湾曲部23により、電線11が湾曲方向D3へと案内されつつ曲げ戻される。仮にワイハーネス10の湾曲時に電線11に曲げ癖が付いたとしても、湾曲部23による湾曲方向D3への案内と逆方向D4への曲げ戻しとにより、図7(b)に二点鎖線で描かれているように電線11の曲げ癖における湾曲形状が崩される。即ち、ワイヤハーネス10が延ばされるときには、電線11の曲げ癖が矯正される。このように、本実施形態の湾曲規制部材20によれば、ワイヤハーネス10の過度な湾曲を抑えるとともに、ワイヤハーネス10が湾曲後に延ばされるときに電線11の曲げ癖を抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態の湾曲規制部材20は、本体部21と蓋部22とで筒状部20aが形成されることから、ワイヤハーネス10が曲げられる際に本体部21に加わる外力に対する強度が増強されている。
【0057】
さらに、本実施形態の湾曲規制部材20は、上記のように一列に並ぶ第1のリブ213と第2のリブ223とにより、本体部21に加わる外力に対する強度が一層増強することとなっている。
【0058】
また、本実施形態の湾曲規制部材20では、コルゲートチューブ12の内面に形成された溝12cに第1のリブ213と第2のリブ223とからなる1本のリブ20dが嵌め込まれることにより、コルゲートチューブ12の内周方向について湾曲規制部材20の回り止めが図られている。
【0059】
また、本実施形態の湾曲規制部材20では、湾曲部23に連続した湾曲形状までは湾曲可能で、その湾曲形状よりも小さな湾曲形状での湾曲は不能となるように、湾曲部23に対して連結ヒンジ242を介して連結され、かつ、自身の湾曲も可能なように可撓性を有して形成された可撓部24が設けられている。これにより、湾曲部23から外れた部分について、湾曲させつつも、ワイヤハーネス10における過度に小さな曲率半径での湾曲が規制される。このように、本実施形態の湾曲規制部材20によれば、ワイヤハーネス10の過度な湾曲を一層抑えることができる。
【0060】
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の湾曲規制部材及び給電装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0061】
例えば、前述した実施形態では、本発明にいう湾曲規制部材の一例として、蓋部22や可撓部24を備えた形態の湾曲規制部材20が例示されている。しかしながら、本発明にいう湾曲規制部材はこれに限るものではない。本発明にいう湾曲規制部材は、直線状に延びる本体部と、本体部に対して折り曲げ不能に延出して湾曲した湾曲部とを備えていれば、他の構造については問うものではない。ただし、蓋部を設けることで強度の増強を図り、可撓部を設けることでワイヤハーネスにおける過度に小さな曲率半径での湾曲を一層規制できる点は、上述したとおりである。
【0062】
また、前述した実施形態では、本発明にいう本体部の一例として、断面長円形の筒状部20aの一部をなす形状に形成された本体部21が例示され、本発明にいう蓋部の一例として、このような筒状部20aの他の一部をなす形状に形成された蓋部22が例示されている。しかしながら、本発明にいう本体部及び蓋部はこれに限るものではない。本発明にいう本体部や蓋部は、例えば断面矩形や断面円形等といった、長円形以外の断面形状を有する筒の一部をなす形状に形成されたものであってもよい。
【0063】
また、前述した実施形態では、本発明にいう可撓部の一例として、3つの被連結壁241が連結ヒンジ242によって連結された可撓部24が例示されている。しかしながら、本発明にいう可撓部はこれに限るものではない。本発明にいう可撓部は、3つ以外の数の被連結壁が連結ヒンジによって連結されたものであってもよく、あるいは、所定の基準半径よりも小さな曲率半径での湾曲が可能な程度に柔軟に形成されたヘラ状のもの等であってもよく、その具体的な構成を問うものではない。
【0064】
また、前述した実施形態では、本発明にいう給電装置の一例として、コルゲートチューブ12における車体側に湾曲規制部材20が設けられた給電装置1が例示されている。しかしながら、本発明にいう給電装置はこれに限るものではない。本発明にいう給電装置は、例えば可撓性チューブにおけるスライドドア側に湾曲規制部材が設けられたものであってもよく、あるいは、可撓性チューブにおける車体側とスライドドア側とのそれぞれに湾曲規制部材が設けられたものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 給電装置
5 車両
10 ワイヤハーネス
11 電線
12 コルゲートチューブ
12c 溝
20 湾曲規制部材
20a 筒状部
20c ヒンジ
21 本体部
22 蓋部
23 湾曲部
24 可撓部
211,212 側縁
213 第1のリブ
223 第2のリブ
30 ドア側ユニット
40 車体側ユニット
41 車体側支持部材(支持部材の一例)
42 車体側揺動部材(揺動部材の一例)
50 スライドドア
60 車体
D3 湾曲方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7