(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)前記第一の載置部および前記第二の載置部の両方において、前記ピットカバー片が保持されている状態において、前記第一の保持部移動装置は、前記第一の保持部を、前記第一の載置部による前記ピットカバー片の載置を解消する方向に移動させ、
(b)前記(a)の後、前記第二の保持部移動装置は、前記第二の載置部により前記ピットカバー片が保持されている状態で、前記第二の保持部を前記上方向に移動させ、
(c)前記(b)の後、前記第一の保持部移動装置は、前記第一の保持部を、前記第一の載置部により前記ピットカバー片を載置できる方向に移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のピットカバーシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明に係るピットカバーシステムおよびピット内に配置されているシャシーダイナモメータ装置を有する、全体構成ついて説明する。
図1は、当該全体構成の上面図であり、
図2は、当該全体構成の断面図である。
【0015】
図2に示すように、床面30(
図1では、床面30の図示は省略している)の下に、空洞部であるピット20が設けられている。そして、当該ピット内には、シャシーダイナモメータ装置10A,10Bが配設されている。
【0016】
ここで、
図1,2に示すように、ピット20の底面部には、複数のレール4が
図1,2の左右方向に延設されており、一方のシャシーダイナモメータ装置10Aは、当該レール4上を移動することができる(つまり、
図1,2の左右方向に移動可能である)。これに対して、他方のシャシーダイナモメータ装置10Bは、ピット20内の底面に固定されている。
【0017】
なお、シャシーダイナモメータ装置10A,10Bの上面と床面30とは面一となっており、シャシーダイナモメータ装置10A,10Bの上面部からはローラ1が露出している。ここで、当該露出している各ローラ1上に、試験対象の自動車のタイヤが載置される。
【0018】
また、
図1,2に示すように、複数のピットカバー片2が配設されている。
図1,2に示す構成例では、ピット20の上面部(床面30)位置からピット20内部方向に沿って、垂直方向(
図2の上下方向)に、複数のピットカバー片2が配置されていると共に、当該垂直方向に対して直角な方向である水平方向(
図1,2の左右方向)に、複数のピットカバー片2が配設されている。
【0019】
図1,2の構成例において、当該水平方向に配設されているピットカバー片2が配設されていない状態では、ピット20の上面部は開口されている(つまり、開口部が配設される)。したがって、当該開口部を塞ぐように、水平方向に複数のピットカバー片2が配設されている。ここで、水平方向に配設されている複数のピットカバー片2の上面と床面30とは面一となっている。よって、水平方向に配設されている複数のピットカバー片2の上面とシャシーダイナモメータ装置10A,10Bの上面と床面30とは、面一となっている。
【0020】
図2において、垂直方向に配設されているピットカバー片2は、当該垂直方向に移動可能である。また、
図1,2に示すように、ピット20の上面側には、複数のレール3が
図1,2の左右方向に延設されており、当該レール3に沿って、水平方向に配設されているピットカバー片2は、
図1,2の左右方向に移動可能である。
【0021】
上記の通り、シャシーダイナモメータ装置10Bは固定されているが、シャシーダイナモメータ装置10Aは、
図1,2の左右方向に移動可能である。たとえば、試験対象である自動車のサイズにより、タイヤの位置(つまり、前タイヤと後タイヤとの間隔)が異なる。そこで、試験対象の自動車のサイズが異なる場合には、シャシーダイナモメータ装置10Bを固定しつつ、シャシーダイナモメータ装置10Aを
図1,2の左右方向に移動させる。
【0022】
次に、ピット20の上面部に配設された開口部を塞ぐことが可能な移動式のピットカバーシステムの動作について説明する。
【0023】
ここで、
図2において、シャシーダイナモメータ装置10Aの両サイドに、垂直方向に配設されているピットカバー片2が存する。シャシーダイナモメータ装置10Aとシャシーダイナモメータ装置10Bとの間に存する、垂直方向に配設されている複数のピットカバー片2を(つまり、シャシーダイナモメータ装置10Aの右側位置する、垂直方向に配設されている複数のピットカバー片2を)、一方の垂直配設ピットカバー片2と称する。これに対して、シャシーダイナモメータ装置10Aの左側位置する、垂直方向に配設されている複数のピットカバー片2を、他方の垂直配設ピットカバー片2と称する。
【0024】
また、
図1,2において、シャシーダイナモメータ装置10Aの両サイドに、水平方向に配設されているピットカバー片2が存する。シャシーダイナモメータ装置10Aとシャシーダイナモメータ装置10Bとの間に存する、水平方向に配設されている複数のピットカバー片2を(つまり、シャシーダイナモメータ装置10Aの右側位置する、水平方向に配設されている複数のピットカバー片2を)、一方の水平配設ピットカバー片2と称する。これに対して、シャシーダイナモメータ装置10Aの左側位置する、水平方向に配設されているピットカバー片2を、他方の水平配設ピットカバー片2と称する。
【0025】
たとえば、
図1,2において、シャシーダイナモメータ装置10Aを右側(つまり、シャシーダイナモメータ装置10B側)に移動させる場合について説明する。この場合、一方の垂直配設ピットカバー片2を、
図2の下側に、一つのピットカバー片2の厚さ分だけ移動させる。そうすると、一方の垂直配設ピットカバー片2において、最上部に、一つのピットカバー片2の厚さ分だけの凹部が生じる。
【0026】
次に、レール4に沿って、シャシーダイナモメータ装置10Aを、ピットカバー片2の一つ分だけ、
図1,2の右方向に移動させる。そうすると、当該シャシーダイナモメータ装置10Aの移動に伴い、当該シャシーダイナモメータ装置10Aに押されて、また隣接する一方の水平配設ピットカバー片2同士は、隣に位置するピットカバー片2に押されて、一方の水平配設ピットカバー片2は各々、ピットカバー片2の一つ分だけ、
図1,2の右方向に移動する。ここで、当該一方の水平配設ピットカバー片2の移動は、レール3に沿って実行される。
【0027】
一方の垂直配設ピットカバー片2の最上部において形成されていた上記凹部が、当該一方の水平配設ピットカバー片2の移動により、右端に位置していた一方の水平配設ピットカバー片2により埋められる。つまり、移動前に凹部に隣接していた一方の水平配設ピットカバー片2が、移動後には、一方の垂直配設ピットカバー片2の最上部となる。
【0028】
シャシーダイナモメータ装置10Aの右方向の移動により、一方において、シャシーダイナモメータ装置10Aと他方の水平配設ピットカバー片2と間には、ピットカバー片2の一つ分の開口部が発生する。
【0029】
そこで、他方の水平配設ピットカバー片2を、右側に、ピットカバー片2の一つ分だけ移動させる。そうすると、他方の垂直配設ピットカバー片2の最上部において、ピットカバー片2の一つの厚さ分の凹部が生じる。
【0030】
そこで、他方の垂直配設ピットカバー片2を
図2の上方向に、ピットカバー片2の一つの厚さ分だけ、移動させる。これにより、他方の垂直配設ピットカバー片2の最上部において形成されていた上記凹部が、当該凹部の底面に位置していた他方の垂直配設ピットカバー片2により埋められる。
【0031】
シャシーダイナモメータ装置10Aを、さらに
図1,2の右方向に移動させる場合には、上記動作を繰り返し行う。
【0032】
他方、上記と異なり、シャシーダイナモメータ装置10Aを、
図1,2の左側に移動させる場合には、下記の動作が実施される。
【0033】
この場合、他方の垂直配設ピットカバー片2を、
図2の下側に、一つのピットカバー片2の厚さ分だけ移動させる。そうすると、他方の垂直配設ピットカバー片2において、最上部に、一つのピットカバー片2の厚さ分だけの凹部が生じる。
【0034】
次に、レール4に沿って、シャシーダイナモメータ装置10Aを、ピットカバー片2の一つ分だけ、
図1,2の左方向に移動させる。そうすると、当該シャシーダイナモメータ装置10Aの移動に伴い、当該シャシーダイナモメータ装置10Aに押されて、また隣接する他方の水平配設ピットカバー片2同士は、隣に位置するピットカバー片2に押されて、他方の水平配設ピットカバー片2は各々、ピットカバー片2の一つ分だけ、
図1,2の左方向に移動する。ここで、当該他方の水平配設ピットカバー片2の移動は、レール3に沿って実行される。
【0035】
他方の垂直配設ピットカバー片2の最上部において形成されていた上記凹部が、当該他方の水平配設ピットカバー片2の移動により、左端に位置していた他方の水平配設ピットカバー片2により埋められる。つまり、移動前に凹部に隣接していた他方の水平配設ピットカバー片2が、移動後には、他方の垂直配設ピットカバー片2の最上部となる。
【0036】
シャシーダイナモメータ装置10Aの左方向の移動により、一方において、シャシーダイナモメータ装置10Aと一方の水平配設ピットカバー片2と間には、ピットカバー片2の一つ分の開口部が発生する。
【0037】
そこで、一方の水平配設ピットカバー片2を、左側に、ピットカバー片2の一つ分だけ移動させる。そうすると、一方の垂直配設ピットカバー片2の最上部において、ピットカバー片2の一つの厚さ分の凹部が生じる。
【0038】
そこで、一方の垂直配設ピットカバー片2を
図2の上方向に、ピットカバー片2の一つの厚さ分だけ、移動させる。これにより、一方の垂直配設ピットカバー片2の最上部において形成されていた上記凹部が、当該凹部の底面に位置していた一方の垂直配設ピットカバー片2により埋められる。
【0039】
シャシーダイナモメータ装置10Aを、さらに
図1,2の左方向に移動させる場合には、上記動作を繰り返し行う。
【0040】
次に、移動式のピットカバーシステムの具体的な構成および動作の説明を、その実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下の各実施の形態の説明では、上記説明および
図1,2の符号を引用する。
【0041】
<実施の形態1>
図3は、上記一方の水平配設ピットカバー片2および上記一方の垂直配設ピットカバー片2の具体的な構成を示した。斜視図である。なお、
図3では、図面簡略化の観点により、ピットカバー片2とレール3とピットカバー片2の移動させる装置のみを図示、それ以外の構成は省略している。
【0042】
ここで、
図3では図示を省略している、他方の水平配設ピットカバー片2および上記他方の垂直配設ピットカバー片2の具体的な構成は、以下で説明を行う、一方の水平配設ピットカバー片2および上記一方の垂直配設ピットカバー片2の具体的な構成と同じである。
【0043】
図3に示す構成例では、ピットカバー片2は、ピット20内からピット20の上面(床面30)に渡って、直角に配設されている。つまり、ピットカバー片2は、ピット20の上面部位置からピット20内部方向に沿って、垂直方向に、積み重なって配置されている、複数の垂直配設ピットカバー片2と、ピット20の上面において水平方向に沿って配設されている、複数の水平配設ピットカバー片2とを、有する。なお、各ピットカバー片2は、同じ形状同じ大きさである。
【0044】
ここで、上記垂直方向と上記水平方向とは、直角をなす。また、直角位置のピットカバー片2は、垂直配設ピットカバー片2であると共に、水平配設ピットカバー片2であるとも解することができる。つまり、床面30と面一位置ある垂直配設ピットカバー片2は、水平配設ピットカバー片2であるとも解される。
【0045】
また、最下段に位置する垂直配設ピットカバー片2は、垂直配設ピットカバー片2を上記垂直方向に移動させることが可能な第一のピットカバー移動装置15に支持されている。ここで、第一のピットカバー移動装置15は、シリンダー(以下、第一のシリンダー15と称する)を採用することができる。
図3に示すように、複数の垂直配設ピットカバー片2は、垂直方向に積み重なっており、最下段の垂直配設ピットカバー片2は、シリンダーである第一のピットカバー移動装置15と当接している。
【0046】
また、水平配設ピットカバー片2は、上記水平方向に延設されたレール3上を移動可能である。また、隣り合う水平配設ピットカバー片2同士は、当該水平方向において接触し合っている。
【0047】
また、
図3に示すように、水平配設ピットカバー片2を水平方向(シャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて)押し出す、第二のピットカバー移動装置16が配設されている。ここで、第二のピットカバー移動装置16は、シリンダー(以下、第二のシリンダー16と称する)を採用することができる。
【0048】
第二のシリンダー16は、最上部(床面30)に位置する垂直配設ピットカバー片2に対して、床面30とシャシーダイナモメータ装置10Aとの間に形成された開口部を塞ぐように、水平方向に押し出す。そうすると、当該垂直配設ピットカバー片2の移動に共に、他の水平配設ピットカバー片2も、シャシーダイナモメータ装置10A側へと移動する。
【0049】
図3に示す構成では、ピットカバー片2は、平板部2Aと箱部2Bとから構成されている。箱部2Bは、平板部2Aの下部に接続されている。また、箱部2Bは、
図3に示すように、中空である。なお、垂直方向に積み重なっている状態において、一方の垂直配設ピットカバー片2の平板部2Aの上には、他方の垂直配設ピットカバー片2の箱部2Bの底面が載置される。ここで、他方のピットカバー片2は、一方のピットカバー片2の真上に位置する。
【0050】
次に、本実施の形態に係るピットカバーシステムの動作について説明する。
【0051】
図3に示す状態において、第二のシリンダー16は、最上部(床面30)に位置する垂直配設ピットカバー片2を、床面30に形成された開口部を塞ぐように、水平方向に押し出す。ここで、当該押し出しは、ピットカバー片2の一つ分だけ押し出す。なお、最上部(床面30)に位置する垂直配設ピットカバー片2は、水平配設ピットカバー片2であるとも把握できる。当該押し出しにより、ピットカバー片2は、水平配設ピットカバー片2として、水平方向(シャシーダイナモメータ装置10A側の方向)へと、レール3上を移動する。
図4は、上記押し出し動作後の様子を示す斜視図である。
【0052】
図4に示すように、上記押し出し動作により、最上部となった垂直配設ピットカバー片2の上面と床面30との間には、一つのピットカバー片2の厚さ分の凹部H1が形成される。
【0053】
次に、
図4に示した状態において、最下段を支持している第一のシリンダー15は、垂直配設ピットカバー片2を、一つのピットカバー片2の厚さ分だけ上方向に移動させる。当該移動後の様子を、
図5の斜視図に示す。
【0054】
図5に示すように、最上部となった垂直配設ピットカバー片2が床面30位置まで上昇することにより、上記凹部H1が消滅している。また、
図5に示すように、最下段に位置する垂直配設ピットカバー片2は、第一のシリンダー15により支持されている。
【0055】
図3〜5で説明した動作を、床面30に形成された開口部が塞がれるまで繰り返し行い、ピット20内に収められているピットカバー片2を、次々と、床面30位置で水平方向に移動させる。
【0056】
なお、水平配設ピットカバー片2を、垂直配設ピットカバー片2としてピット20内に収納させる場合には、
図3〜5で説明した動作と逆の動作を行う。
【0057】
つまり、
図5の状態において、第一のシリンダー15は、垂直配設ピットカバー片2を、一つのピットカバー片2の厚さ分だけ、下方向に移動する。これにより、
図4の状態が形成される。その後、水平配設ピットカバー片2を、ピットカバー片2の一つ分だけ、第二のシリンダー16の配設側に押し戻す。これにより、
図3の状態となる。ここで、当該押し戻しの動作は、シャシーダイナモメータ装置10Aを移動させ、当該シャシーダイナモメータ装置10Aの移動により水平配設ピットカバー片2が押されることにより実現される。
【0058】
なお、
図3〜5で説明した逆の動作を繰り返し行うことにより、床面30位置に配置されていた水平配設ピットカバー片2は、次々と、垂直配設ピットカバー片2として、ピット20内へと収納される。
【0059】
ここで、
図3では図示を省略している、他方の水平配設ピットカバー片2および上記他方の垂直配設ピットカバー片2の動作は、上記した、一方の水平配設ピットカバー片2および上記一方の垂直配設ピットカバー片2の動作と同じである。
【0060】
以上のように、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、上記構成を有し、上記動作を行う。つまり、本発明では、ピットカバー片2は、隣接するピットカバー片2と連結するための係合部材がなく、床面30位置で水平方向に移動するピットカバー片2同士の連結処理および連結解除処理も行わない。したがって、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、単純な構成により、安定した動作を実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、ピットカバー片2は、ピット20内からピット20の上面(床面30)に渡って、直角に配設されている。したがって、ピットカバー片2を床下に収納させるための余分なスペースを省略でき、ピット20の縮小化が可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、床面30と垂直配設ピットカバー片2との間に空隙が生じない。上記動作から分かるように、動作の途中段階で凹部H1が生じたとしても、動作の終了状態では、当該凹部H1が消滅する。したがって、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、ピット20上面の強度を維持することができる。
【0063】
<実施の形態2>
本実施の形態においても、実施の形態1同様、ピット20の上面部に形成された開口部を塞ぐことが可能な移動式のピットカバーシステムを提供する。本実施の形態においても、ピット20の上面部位置(床面30位置)からピット20内部方向に沿って、垂直方向に配置されることが可能な複数の垂直配設ピットカバー片2を有する。そして、当該垂直配設ピットカバー片2を、当該垂直方向に移動させることが可能な、第一のピットカバー移動装置を有する。また、最上部に位置する垂直配設ピットカバー片2を、開口部を塞ぐように、水平方向に押し出すことが可能な第二のピットカバー移動装置を有する。
【0064】
また、ピット20内に収納されている垂直配設ピットカバー片2を、床面30に形成されている開口部を塞ぐために、当該床面30に送り出す場合には、本実施の形態に係るピットカバーシステムの動作においても、次の動作を行う。つまり、第二のピットカバー移動装置は、最上部に位置する垂直配設ピットカバー片2を水平方向に押し出す。そして、その後、第一のピットカバー移動装置は、垂直配設ピットカバー片2を上方向に移動させる。
【0065】
ただし、本実施の形態では、第一のピットカバー移動装置の具体的な構成、および、垂直配設ピットカバー片2を垂直方向に移動させる具体的な動作手法が、実施の形態1で説明したものと相違する。当該相違を含めて、本実施の形態に係る移動式ピットカバーシステムの構成および動作について、下記にて説明する。
【0066】
図6は、上記一方の水平配設ピットカバー片2および上記一方の垂直配設ピットカバー片2および第一のピットカバー移動装置の、具体的な本実施の形態に係る構成を示した斜視図である。なお、
図6では、図面簡略化の観点により、ピットカバー片2、レール3、および第一のピットカバー移動装置の一部のみを図示しており、それ以外の構成は省略している。
【0067】
ここで、
図6では図示を省略している、他方の水平・垂直配設ピットカバー片2側においても、以下で説明を行う
図6と同じ構成である。
【0068】
図6に示す構成例では、ピットカバー片2は、ピット20内からピット20の上面(床面30)に渡って、直角に配設されている。つまり、本実施の形態においても、ピットカバー片2は、ピット20の上面部位置からピット20内部方向に沿って、垂直方向に、積み重なって配置されている、複数の垂直配設ピットカバー片2と、ピット20の上面において水平方向に沿って配設されている、複数の水平配設ピットカバー片2とを、有する。なお、各ピットカバー片2は、同じ形状同じ大きさである。
【0069】
また、本実施の形態においても、ピットカバー片2は、平板部2Aと箱部2Bとから構成されている。箱部2Bは、平板部2Aの下部に接続されている。また、実施の形態1で説明したように、箱部2Bは中空である。なお、垂直方向に配設されている状態において、一方の垂直配設ピットカバー片2の平板部2Aの上面と、他方の垂直配設ピットカバー片2の箱部2Bの底面とが対面している。ここで、他方のピットカバー片2は、一方のピットカバー片2の真上に位置する。
【0070】
ここで、上記垂直方向と上記水平方向とは、直角をなす。また、直角位置のピットカバー片2は、垂直配設ピットカバー片2であると共に、水平配設ピットカバー片2であるとも解することができる。つまり、床面30と面一位置ある垂直配設ピットカバー片2は、水平配設ピットカバー片2であるとも解される。
【0071】
また、本実施の形態では、垂直配設ピットカバー片2は、第一のピットカバー移動装置を構成している、第一の保持部15A,15B,15C,15Dおよび第二の保持部15H,15Lにより、保持(支持)されている。
【0072】
ここで、本実施の形態では、第一のピットカバー移動装置は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dおよび第二の保持部15H,15Lに加えて、第一の保持部移動装置および第二の保持部移動装置を有している。なお、図面簡略化のために、第一の保持部移動装置および第二の保持部移動装置の図示は省略している。第一の保持部移動装置は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dを移動させることが可能である。これに対して、第二の保持部移動装置は、第二の保持部15H,15Lを移動させることが可能である。
【0073】
図7は、第一の保持部15A,15D(または、第一の保持部15B,15C)の構成を示す断面図である。また、
図8は、第二の保持部15H,15Lの構成を示す断面図である。
【0074】
第一の保持部15A,15B,15C,15Dは櫛状である。つまり、
図7に示すように、第一の保持部15A,15B,15C,15Dは、基軸部p1と、ピットカバー片2が載置される複数の第一の載置部m1とを有する。ここで、基軸部p1は、ピット20内において垂直方向に延びている。また、第一の載置部m1は、基軸部p1に対して、上記垂直方向に沿って、所定の間隔だけ隔てて、櫛歯状に配設されている。
【0075】
第一の保持部15Aと第一の保持部15Dとは、第一の保持部15Aに配設されている第一の載置部m1と第一の保持部15Dに配設されている第一の載置部m1とが対面するように、対面している(
図6,7参照)。さらに、第一の保持部15Bと第一の保持部15Cとは、第一の保持部15Bに配設されている第一の載置部m1と第一の保持部15Cに配設されている第一の載置部m1とが対面するように、対面している(
図6,7参照)。
【0076】
また、第一の保持部15Aと第一の保持部15Bとは、所定の間隔だけ隔てて、隣接している(
図6参照)。さらに、第一の保持部15Cと第一の保持部15Dとは、所定の間隔だけ隔てて、隣接している(
図6参照)。
【0077】
なお、第一の保持部15A,15B,15C,15Dは、第一の保持部移動装置により、
図7の上下方向および左右方向に移動することができる。また、第一の保持部15Aの第一の載置部m1、第一の保持部15Bの第一の載置部m1、第一の保持部15Cの第一の載置部m1および第一の保持部15Dの第一の載置部m1により、各垂直配設ピットカバー片2は支持(載置)される(
図6参照)。したがって、
図6に示すように、各垂直配設ピットカバー片2が水平に支持(載置)されるように、各第一の載置部m1の高さ位置は揃っている。
【0078】
第二の保持部15H,15Lは櫛状である。つまり、
図8に示すように、第二の保持部15H,15Lは、基軸部q1と、ピットカバー片2が載置される複数の第二の載置部n1とを有する。ここで、基軸部q1は、ピット20内において垂直方向に延びている。また、第二の載置部n1は、基軸部q1に対して、上記垂直方向に沿って、所定の間隔だけ隔てて、櫛歯状に配設されている。
【0079】
第二の保持部15Hと第二の保持部15Lとは、第二の保持部15Hに配設されている第二の載置部n1と第二の保持部15Lに配設されている第二の載置部n1とが対面するように、対面している(
図6,8参照)。
【0080】
また、第二の保持部15Hは、
図6に示すように、第一の保持部15Aと第一の保持部15Bとの間に形成された所定の間隔に、挿入されることが可能である。同様に、第二の保持部15Lは、
図6に示すように、第一の保持部15Cと第一の保持部15Dとの間に形成された所定の間隔に、挿入されることが可能である。
【0081】
つまり、各垂直配設ピットカバー片2が各保持部15A,15B,15C,15D,15H,15Lにより保持されている状態において、第一の保持部15Aと第二の保持部15Hとは隣接しており、第一の保持部15Bと第二の保持部15Hとは隣接しており、第一の保持部15Cと第二の保持部15Lとは隣接しており、第一の保持部15Dと第二の保持部15Lとは隣接している(
図6参照)。
【0082】
なお、第二の保持部15H,15Lは、第二の保持部移動装置により、
図8の上下方向および左右方向に移動することができる。また、第二の保持部15Hの第二の載置部n1および第二の保持部15Lの第二の載置部n1により、各垂直配設ピットカバー片2は支持(載置)される(
図6参照)。したがって、
図6に示すように、各垂直配設ピットカバー片2が水平に支持(載置)されるように、各第二の載置部n1の高さ位置は揃っている。また、
図6に示すように、各垂直配設ピットカバー片2が各保持部15A,15B,15C,15D,15H,15Lにより保持されている状態において、隣接するおよび対面する各載置部m1,n1の高さ位置は揃っている。
【0083】
図6に示すように、各載置部m1,n1に各垂直配設ピットカバー片2が載置されることにより、ピット20内において、垂直配設設ピットカバー片2は上記垂直方向に配置される。
【0084】
また、本実施の形態においても、水平配設ピットカバー片2は、上記水平方向に延設されたレール3上を移動可能である(
図6参照)。また、隣り合う水平配設ピットカバー片2同士は、当該水平方向において接触し合っている。
【0085】
また、実施の形態1でも説明したように、本実施の形態においても、水平配設ピットカバー片2を水平方向(シャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて)押し出す、第二のピットカバー移動装置(
図3の符号16参照)が配設されている。ここで、第二のピットカバー移動装置は、シリンダーを採用することができる。
【0086】
第二のピットカバー移動装置は、最上部(床面30)に位置する垂直配設ピットカバー片2に対して、床面30とシャシーダイナモメータ装置10Aとの間に形成された開口部を塞ぐように、水平方向に押し出す。そうすると、当該垂直配設ピットカバー片2の移動に共に、他の水平配設ピットカバー片2も、シャシーダイナモメータ装置10A側へと移動する。
【0087】
次に、本実施の形態に係るピットカバーシステムの動作について説明する。
【0088】
図9,10,11は、動作の初期状態を示す図である。ここで、
図9は、当該初期状態の様子を示す斜視図である。また、
図9の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図9のX方向から眺めた正面図)が、
図10である。また、
図9の構成図をピット20内に向けて眺めた図(つまり、
図9のY方向から眺めた上面図)が、
図11である。
【0089】
図9,10に示すように、初期状態では、全てのピットカバー片2が、垂直配設ピットカバー片2として、ピット20内に収納されている。また、第一の保持部15A,15Bと第二の保持部15Hとは隣接しており、第一の保持部15C,15Dと第二の保持部15Lとは隣接している。また、各垂直配設ピットカバー片2は、第一の載置部m1および第二の載置部n1上に載置されることにより(
図9,11参照)、
図9,10に示すように、当該垂直配設ピットカバー片2は、ピット20内において垂直方向に順次配置されている。
【0090】
また、初期状態では、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部に配設されている第一の載置部m1に載置されている垂直配設ピットカバー片2は、床面30と面一となっている。また、第二の保持部15H,15Lの最上部の第二の載置部n1は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1よりも、一つのピットカバー片2の厚さの分だけ(1段分)、下がった位置に存する(
図9参照)。
【0091】
つまり、初期状態では、最上部の垂直配設ピットカバー片2は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1のみにより保持されており、上から2番目以降の各垂直配設ピットカバー片2は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの第一の載置部m1および第二の保持部15H,15Lの第二の載置部n1の両方により、保持されている。
【0092】
図9,10,11に示す状態において、第二のピットカバー移動装置(図示せず)は、最上部(床面30)に位置する垂直配設ピットカバー片2を、床面30に形成された開口部を塞ぐように、水平方向に押し出す。ここで、当該押し出しは、ピットカバー片2の一つ分だけ押し出す。なお、最上部(床面30)に位置する垂直配設ピットカバー片2は、水平配設ピットカバー片2であるとも把握できる。当該押し出しにより、ピットカバー片2は、水平配設ピットカバー片2として、水平方向(シャシーダイナモメータ装置10A側の方向)へと、レール3上を移動する。
【0093】
図12,13は、上記押し出し動作後の様子を示す図である。ここで、
図12は、当該押し出し動作後の様子を示す斜視図である。また、
図12の構成図をピット20内に向けて眺めた図(つまり、
図12のY方向から眺めた上面図)が、
図13である。
【0094】
図12に示すように、上記押し出し動作により、最上部となった垂直配設ピットカバー片2の上面と床面30との間には、一つのピットカバー片2の厚さ分の凹部H1が形成される。
【0095】
次に、垂直配設ピットカバー片2が第一の載置部m1および第二の載置部n1の両方に保持されている状態において、第一の保持部移動装置(図示せず)は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dを、第一の載置部m1による垂直配設ピットカバー片2の載置を解消する方向に移動させる。
【0096】
図14,15,16は、第一の載置部m1による垂直配設ピットカバー片2の載置解消動作(以後、第一の載置解消動作と称する)後の様子を示す図である。ここで、
図14は、当該第一の載置解消動作後の様子を示す斜視図である。また、
図14の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図14のX方向から眺めた正面図)が、
図15である。また、
図14の構成図をピット20内に向けて眺めた図(つまり、
図14のY方向から眺めた上面図)が、
図16である。
【0097】
図14〜16に示すように、第一の保持部移動装置が、第一の保持部15A,15B,15C,15Dを、
図15,16の左右方向に移動させ、第一の保持部15A,15Bと第二の保持部15Hとの隣接を解消させ、第一の保持部15C,15Dと第二の保持部15Lとの隣接を解消させる。当該移動により、第一の載置部m1による垂直配設ピットカバー片2の載置は解消される。そして、
図14,15に示すように、第二の載置部n1のみによって垂直配設ピットカバー片2が保持されている。
【0098】
次に、第二の載置部n1のみによって垂直配設ピットカバー片2が保持されている状態において、第二の保持部移動装置(図示せず)は、第二の保持部15H,15Lを上方向(床面30に向かう方向)に移動させる。
【0099】
図17,18は、第二の保持部15H,15Lを上方向に移動させた後の様子を示す図である。ここで、
図17は、第二の保持部15H,15Lを上方向に移動させた後の様子を示す斜視図である。また、
図17の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図17のX方向から眺めた正面図)が、
図18である。
【0100】
図17,18に示すように、第二の保持部移動装置が、第二の保持部15H,15Lを、一つのピットカバー片2の厚さ分だけ上方向に移動させる。これにより、最上部に位置していた垂直配設ピットカバー片2が床面30位置まで上昇、上述した凹部H1が消滅する。
図17,18に示すように、当該移動により、第二の保持部15H,15Lの最上部の第二の載置部n1と、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1とは、同じ高さ位置となる。
【0101】
次に、垂直配設ピットカバー片2が第二の載置部n1のみにより保持されている状態において、第一の保持部移動装置(図示せず)は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dを、第一の載置部m1による垂直配設ピットカバー片2の載置が可能な方向に移動させる。
【0102】
図19,20,21は、第一の載置部m1による垂直配設ピットカバー片2の載置再開動作(以後、第一の載置再開動作と称する)後の様子を示す図である。ここで、
図19は、当該第一の載置再開動作後の様子を示す斜視図である。また、
図19の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図19のX方向から眺めた正面図)が、
図20である。また、
図19の構成図をピット20内に向けて眺めた図(つまり、
図19のY方向から眺めた上面図)が、
図21である。
【0103】
図19〜21に示すように、第一の保持部移動装置が、第一の保持部15A,15B,15C,15Dを、
図20,21の左右方向に移動させ、第二の保持部15Hを第一の保持部15A,15Bに隣接させ、第二の保持部15Lを第一の保持部15C,15Dに隣接させる。当該第一の保持部15A,15B,15C,15Dの移動により、垂直配設ピットカバー片2は、第一の載置部m1および第二の載置部n1の両方によって保持される(
図19〜21参照)。
【0104】
さらに、当該移動により、最上部の垂直配設ピットカバー片2は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1および第二の保持部15H,15Lの最上部の第二の載置部n1の両方により、保持される。
【0105】
次に、垂直配設ピットカバー片2が第一の載置部m1および第二の載置部n1の両方に保持されている状態において、第二の保持部移動装置(図示せず)は、第二の保持部15H,15Lを、第二の載置部n1による垂直配設ピットカバー片2の載置を解消する方向に移動させる。
【0106】
図22,23,24は、第二の載置部n1による垂直配設ピットカバー片2の載置解消動作(以後、第二の載置解消動作と称する)後の様子を示す図である。ここで、
図22は、当該第二の載置解消動作後の様子を示す斜視図である。また、
図22の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図22のX方向から眺めた正面図)が、
図23である。また、
図22の構成図をピット20内に向けて眺めた図(つまり、
図22のY方向から眺めた上面図)が、
図24である。
【0107】
図22〜24に示すように、第二の保持部移動装置が、第二の保持部15H,15Lを、
図23,24の左右方向に移動させ、第一の保持部15A,15Bと第二の保持部15Hとの隣接を解消させ、第一の保持部15C,15Dと第二の保持部15Lとの隣接を解消させる。当該移動により、第二の載置部n1による垂直配設ピットカバー片2の載置は解消される。そして、
図22,23に示すように、第一の載置部m1のみによって垂直配設ピットカバー片2が保持されている。
【0108】
次に、第一の載置部m1のみによって垂直配設ピットカバー片2が保持されている状態において、第二の保持部移動装置(図示せず)は、第二の保持部15H,15Lを下方向(ピット20の底面に向かう方向)に移動させる。
【0109】
図25,26は、第二の保持部15H,15Lを下方向に移動させた後の様子を示す図である。ここで、
図25は、第二の保持部15H,15Lを下方向に移動させた後の様子を示す斜視図である。また、
図25の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図25のX方向から眺めた正面図)が、
図26である。
【0110】
図25,26に示すように、第二の保持部移動装置が、第二の保持部15H,15Lを、一つのピットカバー片2の厚さ分だけ下方向に移動させる。
図25,26に示すように、当該移動により、第二の保持部15H,15Lの最上部の第二の載置部n1は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1よりも、一段分低い位置となる。
【0111】
次に、垂直配設ピットカバー片2が第一の載置部m1のみにより保持されている状態において、第二の保持部移動装置(図示せず)は、第二の保持部15H,15Lを、第二の載置部n1による垂直配設ピットカバー片2の載置が可能な方向に移動させる。
【0112】
図27,28,29は、第二の載置部n1による垂直配設ピットカバー片2の載置再開動作(以後、第二の載置再開動作と称する)後の様子を示す図である。ここで、
図27は、当該第二の載置再開動作後の様子を示す斜視図である。また、
図27の構成図をシャシーダイナモメータ装置10Aの配置側に向けて眺めた図(つまり、
図27のX方向から眺めた正面図)が、
図28である。また、
図27の構成図をピット20内に向けて眺めた図(つまり、
図27のY方向から眺めた上面図)が、
図29である。
【0113】
図27〜29に示すように、第二の保持部移動装置が、第二の保持部15H,15Lを、
図28,29の左右方向に移動させ、第二の保持部15Hを第一の保持部15A,15Bに隣接させ、第二の保持部15Lを第一の保持部15C,15Dに隣接させる。当該第二の保持部15H,15Lの移動により、垂直配設ピットカバー片2は、第一の載置部m1および第二の載置部n1の両方によって保持される(
図27〜29参照)。
【0114】
さらに、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部に配設されている第一の載置部m1に載置されている垂直配設ピットカバー片2は、床面30と面一となっている。一方で、第二の保持部15H,15Lの最上部の第二の載置部n1は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1よりも、一段分下がった位置に存する(
図27参照)。
【0115】
つまり、最上部の垂直配設ピットカバー片2は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの最上部の第一の載置部m1のみにより保持されており、上から2番目以降の各垂直配設ピットカバー片2は、第一の保持部15A,15B,15C,15Dの第一の載置部m1および第二の保持部15H,15Lの第二の載置部n1の両方により、保持されている。
【0116】
図9〜29で説明した動作を、床面30に形成された開口部が塞がれるまで繰り返し行い、ピット20内に収められているピットカバー片2を、次々と、床面30位置で水平方向に移動させる。
【0117】
なお、水平配設ピットカバー片2を、垂直配設ピットカバー片2としてピット20内に収納させる場合には、
図9〜29で説明した動作と逆の動作を行う。
【0118】
つまり、第一の保持部移動装置および第二の保持部移動装置により、第一の保持部15A,15B,15C,15Dおよび第二の保持部15H,15Lの上下左右移動を組み合わせて行う。そして、
図12に示したように、最上部となった垂直配設ピットカバー片2の上面と床面30との間には、一つのピットカバー片2の厚さ分の凹部H1を形成する。その後、水平配設ピットカバー片2を、ピットカバー片2の一つ分だけ、垂直配設ピットカバー片2の上方まで押し戻す。ここで、当該押し戻しの動作は、シャシーダイナモメータ装置10Aを移動させ、当該シャシーダイナモメータ装置10Aの移動により水平配設ピットカバー片2が押されることにより実現される。
【0119】
なお、
図9〜29で説明した逆の動作を繰り返し行うことにより、床面30位置に配置されていた水平配設ピットカバー片2は、次々と、垂直配設ピットカバー片2として、ピット20内へと収納される。
【0120】
ここで、上記他方の水平配設ピットカバー片2および上記他方の垂直配設ピットカバー片2の動作は、上記した、一方の水平配設ピットカバー片2および上記一方の垂直配設ピットカバー片2の動作と同じである。
【0121】
以上のように、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、上記構成を有し、上記動作を行う。つまり、本発明では、ピットカバー片2は、隣接するピットカバー片2と連結するための係合部材がなく、床面30位置で水平方向に移動するピットカバー片2同士の連結処理および連結解除処理も行わない。したがって、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、単純な構成により、安定した動作を実現することができる。
【0122】
また、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、ピットカバー片2は、ピット20内からピット20の上面(床面30)に渡って、直角に配設されている。したがって、ピットカバー片2を床下に収納させるための余分なスペースを省略でき、ピット20の縮小化が可能となる。
【0123】
特に、本実施の形態では、第一の保持部移動装置および第二の保持部移動装置により、第一の保持部15A,15B,15C,15Dおよび第二の保持部15H,15Lを、一つのピットカバー片2の厚さ分程度上下移動させるだけである。したがって、実施の形態1に係るピットカバーシステムをピット20内に配設させる場合に比べて、本実施の形態に係るピットカバーシステムをピット20内に配設させた場合の方が、ピット20の深さを浅く設定することができる。つまり、本実施の形態では、更なるピット20の縮小化が可能となる。
【0124】
また、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、床面30と垂直配設ピットカバー片2との間に空隙が生じない。上記動作から分かるように、動作の途中段階で凹部H1が生じたとしても、動作の終了状態では、当該凹部H1が消滅する。したがって、本実施の形態に係るピットカバーシステムでは、ピット20上面の強度を維持することができる。
【0125】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。