【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年6月10日〜11日、6月24日〜25日に株式会社デサントは「2015 SPRING&SUMMER COLLECTION」展示会において発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、雨が降った際などに、できるだけ着用者の邪魔にならないように水の流れを制御し排除することができる身体装着物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の身体装着物品とは、基材の外側面にテープが設けられた身体装着物品であって、テープは基材よりも親水性であり、テープが、着用者の身幅方向の内方から外方に向かって上方から下方に延びるように配置されているところに特徴を有する。本発明の身体装着物品は、基材の外側面にテープが設けられ、テープは基材よりも親水性であり、テープが、着用者の前方から後方に向かって上方から下方に延びるように配置されているものであってもよい。身体装着物品としては、衣料、身体保護具、身体に装着して用いる携行品等が挙げられる。
【0006】
本発明の身体装着物品は、上記のように、基材の外側面に、基材よりも親水性のテープが設けられているため、身体装着物品にかかった水がテープに沿って移動しやすくなり、水が着用者の邪魔にならないように身体装着物品から排除されやすくなる。テープが、着用者の身幅方向の内方から外方に向かって上方から下方に延びるように配置されていれば、身体装着物品にかかった水が着用者の身幅方向の外方に排除されやすくなり、これにより水が着用者の足元に落ちる割合を減らすことができる。テープが、着用者の前方から後方に向かって上方から下方に延びるように配置されていれば、身体装着物品にかかった水が前方から後方に排除されやすくなり、これにより水が着用者の足元に落ちる割合を減らすことができる。そのため、例えば雨天時でも、歩いたり走ったり足を動かすことが容易になる。
【0007】
テープは、着用者の上下方向に複数並んで配置され、下方側のテープが上方側のテープよりも着用者の身幅方向の外方または後方にずれて配置されていることが好ましい。このようにテープが設けられていれば、上方側のテープから下方側のテープに水が移動する際に水が分散しやすくなり、水が好適に身幅方向の外方または後方に排除されやすくなる。
【0008】
テープは、上方端と下方端が鋭角に形成されていることが好ましい。テープの上方端が鋭角に形成されていれば、基材上を落下(または移動)してテープの上方端に達した水が、テープの延在方向に沿って流れやすくなる。テープの下方端が鋭角に形成されていれば、テープを伝って下方端に達した水がテープの下方端で大きな塊を形成しにくくなり、比較的小さい水滴として水をテープから基材上に移行させることができる。そのため身体装着物品にかかった水が、好適に排除されやすくなる。
【0009】
特別な実施態様として、身体装着物品は自転車またはオートバイ用の上衣であってもよく、この場合、テープは、上衣の背面側に、着用者の身幅方向の外方から内方に向かって上方から下方に延びるように配置されていることが好ましい。自転車またはオートバイ用の上衣の背面側にこのようにテープが設けられていれば、自転車やオートバイに前傾姿勢で乗っているときに雨が降ってきても、背中に降った雨の多くが着用者(運転者)の後方に排除されやすくなり、運転の邪魔になりにくくなる。この場合、テープは、着用者の上下方向に複数並んで配置され、下方側のテープが上方側のテープよりも着用者の身幅方向の内方にずれて配置されていることが好ましい。
【0010】
身体装着物品は帽子であってもよく、この場合、テープは、帽子のつばに、つばの左右方向の内方から外方に向かって後方から前方に延びるように配置されることが好ましい。帽子のつばにこのようにテープが設けられていれば、帽子を伝って水が落ちる際に、着用者の顔の正面に水が落ちにくくなり、着用者の視界が遮られにくくなる。
【0011】
テープは、つばの前後方向に複数並んで配置されていることが好ましい。このように帽子のつばにテープが設けられていれば、帽子を伝って水が落ちる際に、着用者の顔の正面に水が落ちる割合をさらに減らすことができる。
【0012】
テープの表面には、テープの延在方向に延びる凸条が複数並んで形成されていることが好ましい。このようにテープの表面に凸条が形成されていれば、基材上を落下(または移動)した水がテープに引っ掛かりやすくなるとともに、テープ表面で水が凸条の延在方向に沿って移動しやすくなる。なお凸条は、水が凸条の間に入り込んで留まるのを防止する点から、高さが1mm以下となるように形成されることが好ましい。
【0013】
テープは、表面が樹脂層から構成されていることが好ましい。テープの表面が樹脂層から構成されていれば、テープに水が浸透しにくくなり、水がテープの樹脂層上をテープの延在方向に沿って移動しやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の身体装着物品は、基材の外側面に、基材よりも親水性のテープが、所定の方向に延びるように設けられているため、身体装着物品にかかった水が着用者の邪魔にならないように所望の方向に排除されやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、身体に装着する物品に関するものである。本発明の身体装着物品は外側面にテープが設けられており、当該テープによって、雨天時などに身体装着物品にかかった水を、着用者の邪魔にならないように所望の方向へ導くようにすることを狙いとしている。
【0017】
身体装着物品としては、上衣、下衣、つなぎ服(上衣と下衣が一体の外衣)、コート、フード、帽子等の衣料;ヘルメットやプロテクター等の身体保護具;バックパック等の身体に装着して用いる携行品等が挙げられる。つなぎ服は、上衣と下衣が一体になった衣料であれば特に限定されず、作業着や防護服等のように比較的身体にルーズに着用されるものであってもよく、スポーツウェアのように比較的身体に密着して着用されるものであってもよい。なお、つなぎ服は上衣を一部に含むものであるため、上衣の概念に含まれる。本発明において、「装着」とは、身に着けることを意味し、着用の意味も含まれる。
【0018】
身体装着物品は、着用者の左側と右側に跨がって装着されるものが好ましい。従って、身体装着物品が携行品である場合は、携行品は、着用者の背中側または腹側に、着用者の左側と右側に跨がって装着されるものが好ましい。携行品としては、代表的には背中に背負うバックパックが示され、バックパックには、リュックサック、シェルリュック、ランドセル等が含まれ、さらにそのためのカバー(例えば、ザックカバーやランドセルカバー)も含むものとする。
【0019】
身体装着物品は、使用の際、雨などの水がかかることが想定され得るものであり、例えば衣料であれば、下着よりも外側に着用されるものが想定され、また水の中で用いることは想定されない。従って、身体装着物品は下着、水着、保護スーツ(ウェットスーツやドライスーツ)以外であることが好ましい。
【0020】
身体装着物品は、基材の外側面にテープが設けられて構成されている。基材は、身体装着物品の外側面の少なくとも一部を構成する。本発明において、外側面とは、身体装着物品を装着した状態で外側に露出する面を表す。従って、基材は、身体装着物品の外側に露出するように設けられる。
【0021】
基材を構成する材料は、身体装着物品の種類によって変わり、例えば、身体装着物品が衣料である場合は、基材は、織布、編布、不織布、樹脂フィルム等のシート材料から構成される。身体装着物品がプロテクターや携行品である場合は、基材は、例えば樹脂成形体から構成されてもよく、織布、編布、不織布等の布材料から構成されてもよい。例えば、プロテクターは、樹脂成形体の表面を基材としての布材料が覆うように構成される。基材として布材料を用いる場合は、水をはじきやすくしたり、強度を確保しやすくする点から、織布や編布を採用することが好ましく、高密度織布や高密度編布を採用することがより好ましい。
【0022】
テープは、基材の外側面に設けられ、基材よりも親水性となっている。テープが基材よりも親水性に形成されることにより、身体装着物品にかかった水がテープに沿って移動しすくなり、水が着用者の邪魔にならないように身体装着物品から排除されやすくなる。身体装着物品にかかった水は、基本的に重力に従って身体装着物品の外側面を伝って落ちるが、基材はテープよりも親水性が低く形成されているため、基材では水が比較的真っ直ぐ下に向かって落下しやすいのに対し、テープは基材よりも親水性が高く形成されているため、テープでは水がテープの延在方向に沿って移動しやすくなる。そのため身体装着物品は、テープが設けられた部分で、水がテープの延在方向に沿って流れやすくなる。なお、テープは基材の外側面の一部のみに設けられ、従って、身体装着物品の外側面は少なくともテープと基材とから構成される。
【0023】
身体装着物品はまた、基材の外側面に親水性の高いテープを設けているため、テープに水が留まっても、その下側に基材があることによって、当該部分で水が身体装着物品の内部に浸透するのを抑えることができる。
【0024】
基材とテープの親水性は、それぞれの水滴の接触角を測定することにより求めることができる。接触角は、例えば、JIS R 3257(1999年版)の「6.静滴法」に従って測定すればよく、接触角計により測定をすることもできる。接触角が小さいほど親水性が高いこととなる。
【0025】
テープは、身体装着物品にかかった水を排除したい方向に延びるように設けられる。具体的には、テープは、(1)着用者の身幅方向の内方から外方に向かって上方から下方に延びるように配置される、あるいは、(2)着用者の前方から後方に向かって上方から下方に延びるように配置されることが好ましい。
【0026】
(1)のテープ配置態様は、着用者の前面側または背面側にテープを設ける場合に採用される。(1)のようにテープが配置されていれば、身体装着物品の前面側や背面側にかかった水が着用者の身幅方向の外方に排除されやすくなり、これにより水が着用者の足元に落ちる割合を減らすことができる。そのため、例えば雨天時でも、歩いたり走ったり足を動かしやすくなる。
【0027】
(2)のテープ配置態様は、着用者の側面側にテープを設ける場合に採用される。(2)のようにテープが配置されていれば、身体装着物品にかかった水が前方から後方に排除されやすくなり、これにより水が着用者の足元に落ちる割合を減らすことができる。そのため、例えば雨天時でも、歩いたり走ったり足を動かしやすくなる。
【0028】
テープの配置例について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1および
図2には、身体装着物品としてフード付きの上衣を示した。
図1は上衣の正面図を表し、
図2は上衣の側面図を表している。
【0029】
上衣1には、肩、前身頃、袖、フードに、それぞれ基材2の外側面に、上記(1)または(2)の配置パターンに従って、テープ3〜7が設けられている。肩に設けられたテープ3、前身頃に設けられたテープ4、袖に設けられたテープ5、フードの前面に設けられたテープ6はそれぞれ、着用者の身幅方向の内方から外方に向かって上方から下方に延びるように配置されている。フードの側面に設けられたテープ7は、着用者の前方から後方に向かって上方から下方に延びるように配置されている。
【0030】
肩に設けられたテープ3は、肩に降ってきた雨などが着用者の身体の前面や背面に落ちる割合を減らして、着用者の身幅方向の外方に排除することを狙いとして設けられている。
【0031】
前身頃に設けられたテープ4は、前身頃を伝って落ちた水が、着用者の足元にそのまま落下する割合を減らし、着用者の身幅方向の外方に排除することを狙いとして設けられている。特に
図1では、前身頃に設けられたポケット9の上方にテープ4が配置されており、これによりポケット9に雨などが入り込むことをできるだけ防いでいる。この場合、テープ4は、ポケット9の開口から上方に10cm以内に設けられることが好ましい。
【0032】
袖に設けられたテープ5は、袖を伝って落ちた水が、着用者の手に達するより前に地面に落下させ、着用者の手までできるだけ達しないようにすることを狙いとして設けられている。
【0033】
フードの前面に設けられたテープ6は、頭上から降ってきた雨などが、フードを伝って着用者の顔の正面に落ちる割合を減らし、頭部の側方に排除することを狙いとして設けられている。
【0034】
フードの側面に設けられたテープ7は、頭上から降ってきた雨などが、フードを伝って着用者の顔の正面や身体の前面に落ちる割合を減らし、頭部または身体の後方に排除することを狙いとして設けられている。
【0035】
なお、身体装着物品に設けられるテープには、上記(1)または(2)以外の配置パターンで設けられるものがあってもよい。例えば、
図1および
図2に示した上衣1には、袖のテープ5の下方に、着用者の身幅方向の外方から内方あるいは着用者の後方から前方に向かって、上方から下方に延びるようにテープ8が配置されている。このようにテープ8を設けることにより、水が袖を伝って落ちる際にテープ5を越えても、テープ8によって、テープ5の延在方向とは異なる方向に水が排除されて、着用者の手まで水が達するのをできるだけ防ぐことができる。
【0036】
上記のように、本発明の身体装着物品では、テープは基本的に、身体装着物品の身幅方向の外方に向かって下方に延びるように設けられるか、身体装着物品の後方に向かって下方に延びるように設けられることが好ましいが、身体装着物品の部分によっては、上下方向の高低差がほとんどない場合もある。例えば、帽子のつばは比較的平らに形成されるが、帽子のつばは着用者の顔の正面に滴り落ちる水を制御する上で重要である。従って、身体装着物品がつば付きの帽子である場合は、テープは、(3)つばの左右方向の内方から外方に向かって後方から前方に延びるように配置されていることが好ましい。帽子のつばにこのようにテープが設けられていれば、帽子を伝って水が落ちる際に、着用者の顔の正面に水が落ちにくくなり、着用者の視界が遮られにくくなる。また、顔面にかかる水の量も低減することができる。
【0037】
図3には、帽子のつばにテープを設ける場合の配置例を示した。帽子11は、帽子本体12と、帽子本体12から前方に延びるつば13を有する。つば13には、基材14の外側面(上面)に、テープ15が、つば13の左右方向の内方から外方に向かって後方から前方に延びるように配置されている。つば13に設けられたテープ15は、頭上から降ってきた雨などが、つば13から着用者の顔の正面に落ちる割合を減らし、できるだけ顔の側方に落ちるようにすることを狙いとしている。これにより、着用者の視界を良好なものにしやすくなる。
【0038】
図4には、帽子のつばにテープを設ける場合の他の配置例を示した。帽子にテープを設ける場合も、テープには、上記(3)以外の配置パターンで設けられるものがあってもよい。
図4に示した帽子は、
図3に示した帽子とは、テープの配置パターンが異なる。
図4に示した帽子11では、つば13の基材14の外側面(上面)に、テープ15が、つば13の左右方向の内方から外方に向かって後方から前方に延びるように配置されるとともに、テープ15よりもつば13の先端側に、テープ16がつば13の左右方向に延びるように配置されている。このようにつば13にテープ15,16を設けることにより、テープ15によって頭上から降ってきた雨などの水が着用者の側方に排除されるとともに、水がテープ15を越えても、テープ16によって水が着用者の顔の正面に落ちる割合を極力減らすことができる。
【0039】
上記に説明した身体装着物品は、着用者が起立した状態で雨などの水が重力に従って身体装着物品を伝って落ちる場合を想定して、これを着用者の身幅方向の外方あるいは着用者の後方に排除するようにテープが設けられていたが、身体装着物品の種類や用途によっては、着用者の起立状態が基本姿勢とならない場合がある。例えば、自転車競技やオートバイ競技などの場合は、上半身を前傾姿勢を取ることが基本姿勢となるが、このような場合、運転者の背中にかかった水は、身幅方向の外方に排除するよりも後方に排除する方が、大腿部に落ちる水の量が減って、運転の邪魔になりにくくなる。従って、身体装着物品が自転車またはオートバイ用の上衣である場合は、テープは、(4)上衣の背面側に、テープが、着用者の身幅方向の外方から内方に向かって上方から下方に延びるように配置されていることが好ましい。このように上衣の背面側にテープを設けることによって、自転車競技やオートバイ競技の際に雨が降ってきても、背中に降った雨の多くが着用者(運転者)の後方に排除されやすくなり、運転の邪魔になりにくくなる。なお、上衣とは、上衣部分を含む衣料であれば特に限定されず、例えばつなぎ服であってもよい。
【0040】
テープは、上記(1)〜(4)のように設けられる限り、直線状に配置されても、曲線状に配置されてもよい。テープが曲線状に配置される場合は、テープは、下方または前方に膨らんだ弧状に設けられることが好ましく、これにより水を着用者の外方や後方に排除しやすくなる。
【0041】
テープの長さは特に限定されないが、所望の方向に水を排除しやすくする点から、3cm以上であることが好ましく、5cm以上であることがより好ましい。一方、テープの長さの上限については、テープを伝って流れた水がある程度分散して落下(または移動)しやすくする点から長すぎない方が好ましく、テープの長さは、例えば、20cm以下が好ましく、16cm以下がより好ましい。
【0042】
テープの幅も特に限定されず、例えば、5mm以上30mm以下が好ましい。テープの幅が5mm以上であれば、身体装着物品にかかった水が基材上を落下(または移動)する際に、水がテープに引っ掛かりやすくなり、水がテープに沿って流れやすくなる。テープの幅が30mm以下であれば、水がテープの延在する方向に沿って好適に排除されやすくなる。なお、前記に説明したテープの幅とは、テープの最大幅を意味する。
【0043】
テープの形状は特に限定されないが、テープは、上方端が鋭角に形成されていることが好ましい。特に上記(1),(2),(4)のようにテープを設ける場合は、このようにテープが形成されていることが好ましい。テープの上方端が鋭角に形成されていれば、基材上を落下(または移動)してテープの上方端に達した水が、テープの延在方向に沿って流れやすくなる。すなわち、基材上を落下(または移動)してテープの上方端に達した水が、テープの延在方向と逆方向に流れる割合を減らすことができる。
【0044】
テープは、下方端が鋭角に形成されていることも好ましい。このようにテープが形成されていれば、テープを伝って下方端に達した水がテープの下方端で大きな塊を形成しにくくなり、比較的小さい水滴として水をテープから基材上に移行させることができる。そのため、身体装着物品を落下(または移動)した水が着用者の邪魔になりにくくなる。
【0045】
テープは複数並んで配置されていてもよい。テープが複数並んで配置されていれば、身体装着物品にかかった水が落下(または移動)する際にテープに引っ掛かりやすくなり、テープによって水が所望の方向に好適に排除されやすくなる。テープを複数並んで配置する場合、隣接するテープの離間距離は、例えば、1cm以上10cm以下であることが好ましい。
【0046】
テープは、着用者の上下方向に複数並んで配置されることが好ましい。例えば上記(1),(2)の場合は、下方側のテープが上方側のテープよりも着用者の身幅方向の外方または後方にずれて配置されることが好ましい。
図1および
図2では、テープ4,5,7がこのように配置されている。上記(4)の場合は、下方側のテープが上方側のテープよりも着用者の身幅方向の内方にずれて配置されていることが好ましい。このようにテープが設けられていれば、上方側のテープから下方側のテープに水が移動する際に水が分散しやすくなり、水が好適に身幅方向の外方または後方に排除されやすくなる。なお、下方側のテープが上方側のテープとずれて配置される場合、上方側のテープと下方側のテープは少なくとも一部が身幅方向または前後方向に対して重なって設けられることが好ましい。
【0047】
帽子のつばにテープが設けられる場合は、テープはつばの前後方向に複数並んで配置されることが好ましい。
図3では、テープ15がこのように配置されている。このように帽子のつばにテープが設けられていれば、帽子を伝って水が落ちる際に、着用者の顔の正面に水が落ちる割合をさらに減らすことができる。
【0048】
帽子のつばにテープが設けられる場合、テープ(テープが複数設けられる場合は少なくともそのうちの1つ)は、つばを左右方向に横断するように設けられることが好ましい。すなわち、テープは、つばの左側の縁から右側の縁まで連続的に延びていることが好ましい。このようにテープを設けることにより、帽子を伝って水が落ちる際に、着用者の顔の正面に水が落ちにくくなる。
【0049】
テープは、左側と右側に配置されたテープが互いに接続して設けられてもよい。
図1では、フードの前面に設けられたテープ6が、左側に配置されたテープと右側に配置されたテープが互いに接続しており、
図3および
図4では、帽子のつばに設けられたテープ15が、左側に配置されたテープと右側に配置されたテープが互いに接続している。このようにテープが設けられていれば、着用者の正面に水が落ちる割合を減らすことができる。特に、
図1や
図3、
図4に示すように、着用者の頭部の前面にテープを設ける場合は、左側と右側に配置されたテープが互いに接続していることが好ましく、これにより着用者の顔の正面に水が落ちる割合を減らして、着用者の視界を確保しやすくなる。
【0050】
基材上を落下(または移動)した水がテープに引っ掛かりやすくする点から、テープの表面には凹凸が形成されていることが好ましい。このようにテープの表面に凹凸が形成されていれば、身体装着物品にかかった水が、テープに引っ掛かりやすくなり、その後テープの延在方向に沿って排除されやすくなる。凹凸の形成パターンは特に限定されないが、例えば凸部は、散点状、ストライプ状、格子状に設けられればよい。なおテープの表面とは、テープの外側面を意味し、テープの基材に取り付けられる側と反対側の面を意味する。
【0051】
テープの表面に形成される凹凸は、水が凹部に入り込んで留まるのを防止する点から、比較的低い高さで形成されることが好ましい。従って、凸部の高さは1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましく、0.1mm未満が特に好ましい。凸部の高さの下限は特に限定されないが、手で触ることにより確認できる程度で凸部が形成されていることが好ましく、凸部の高さは、例えば0.01mm以上であることが好ましい。なお、凸部の高さとは、凹部の底から凸部の頂部までの高さを意味する。
【0052】
水がテープを伝ってテープの延在方向に移動しやすくする点から、凸部はテープの延在方向に延びるストライプ状に設けられていることが好ましい。すなわち、テープには、表面に、テープの延在方向に延びる凸条が複数並んで形成されていることが好ましい。このようにテープの表面に凸条が形成されていれば、基材上を落下(または移動)した水がテープに引っ掛かりやすくなるとともに、テープ表面で水が凸条の延在方向に沿って移動しやすくなる。
【0053】
凸条の高さは、上記に説明したように、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましく、0.1mm未満が特に好ましく、また0.01mm以上であることが好ましい。また、凸条の延在方向に沿って水が移動しやすくする点から、凸条はテープの幅方向に対して0.5mm以上3.0mm以下のピッチで設けられることが好ましい。なお、凸条のピッチとは、隣接する凸条の頂部間の距離(頂部が幅を有する場合は頂部の幅方向の中心間の距離)を意味する。
【0054】
テープは、基材よりも親水性である限り、その構成材料は特に限定されないが、テープは表面が樹脂層から構成されていることが好ましい。テープの表面が樹脂層から構成されていれば、テープが基材よりも親水性に形成されていても、テープに水が浸透しにくくなり、水がテープの樹脂層上をテープの延在方向に沿って移動しやすくなる。この場合、テープは樹脂層のみから構成されていてもよく、織布、編布、不織布等の布材料に樹脂層が積層されてテープが構成されていてもよい。またテープは、基材側に接着剤層を有していてもよい。
【0055】
テープの基材への接合方法は特に限定されず、接着剤塗布、熱融着、超音波融着等の公知の接合手段を用いることができる。なお、テープを基材にできるだけ均一に隙間なく接合し、またテープや基材の損傷を防ぐ点から、テープはホットメルト接着剤により基材に接合されていることが好ましい。特に、テープとしては、基材側にホットメルト接着剤層を有するものを用いることが好ましく、このように形成されたテープをホットメルト接着剤層を介して基材と重ね合わせて熱圧着することにより、テープを基材に接着することが好ましい。
【0056】
基材は、テープよりも親水性が低く形成されればよいが、撥水性であることが好ましい。具体的には、JIS L 1092(2009年版)の7.2に規定される撥水度試験が4級以上(すなわち4級または5級)であることが好ましい。このように基材が形成されていれば、身体装着物品にかかった水をテープによって所望の方向により排除しやすくなる。なお、テープについては、同試験が3級以上であることが好ましい。