【文献】
Benoit Catteau et al.,An On-Line Calibration Technique for Mismatch Errors in High-Speed DACs,IEEE Transactions on Circuits and Systems I:Regular Papers,米国,IEEE,2008年 8月,Vol.55,No.7,p.p.1873-1883
【文献】
Chao Su et al.,Dynamic calibration of current-steering DAC,2006 IEEE International Symposium on Circuits and Systems,米国,IEEE,2006年,p.p.117-120
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記較正システムは、前記スプリアススペクトル性能パラメータの振幅および位相に応答して前記調節信号を提供するよう第1の検出器出力および第2の検出器出力を生成するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
前記較正システムは、前記スプリアススペクトル性能パラメータの振幅に応答して前記調節信号を提供するよう、第1の検出器出力および第2の検出器出力を生成するように構成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
前記較正システムは、前記スプリアススペクトル性能パラメータの振幅に応答して前記調節信号を提供するために、デジタル信号を生成するよう、前記第1のDACの前記出力のフィルタリングおよび増幅されたバージョンを受け取るように結合されるアナログ−デジタル変換器(以下、アナログ−デジタル変換器をADCと称する)を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下の記載では、特定の実施形態のより完全な説明を提供するために、多くの特定の詳細が述べられる。しかしながら、1つ以上の実施形態が以下に与えられるすべての特定の詳細なしで実施され得るということは当業者には明らかであるはずである。他の場合において、1つ以上の実施形態を不明瞭にしないように、周知の特徴は詳細に記載されない。例示の容易さのために、同じ項目を指すために同じ数字ラベルが異なる図において使用されるが、代替的な実施形態においては当該項目が異なり得る。
【0009】
いくつかの図において説明的に示された例示的な実施形態を記載する前に、さらなる理解のために一般的なイントロダクションが提供される。電流ステアリングデジタル―アナログ変換器(「DAC」)は、セグメント化されたアーキテクチャ(すなわち1つのDACにおける2つのDAC、つまり、サーモメータコード化DACおよび2進加重DAC)、2進加重アーキテクチャ、または、単項アーキテクチャ(すなわちサーモメータコード化のみ)を有し得る。以下の記載は一般に2進系列のトランジスタを含むDACについてであるが、セグメント化または単項アーキテクチャを使用するDACも同様に、本願明細書において記載される技術を使用してよりよい性能から利益を得ることが可能である。2進系列のトランジスタの線に沿って、このような2進系列において、このようなトランジスタは従来1つのトランジスタから次のトランジスタへとサイズが2倍になる。しかしながら、このようなトランジスタの1つ以上のスイッチングの瞬間において変動が存在し得る。これらの変動は、このようなDACのリニアリティを劣化させ得る。また、以下の記載は一般に2進系列すなわち2進コード化DACについてであるが、本願明細書において記載された技術が、サーモメータコード化DACおよび/またはセグメント化DACについて使用されてもよいということは、以下の記載から明らかであるはずである。
【0010】
以下においてさらに詳細に記載されるように、電流ステアリングDACにおけるタイミングエラーの測定および修正はそのようなDACの較正に使用され得る。それらに従うと、較正対象のDACの出力ポートは、較正システムに結合され得る。このような較正システムは、対応する調節信号を較正対象のDACに提供するよう、1つ以上の他のDACを含み得る。このような較正システムは、較正対象のそのようなDACの出力においてスプリアススペクトル性能パラメータを検出するように構成され得る。そのようなスプリアススペクトル性能パラメータは、較正対象のそのようなDACの出力に関連付けられるタイミングエラーの影響を受けやすくあり得る。このような検出されたスプリアススペクトル性能パラメータに応答して、そのような較正システムは、較正対象のDACの出力におけるタイミングエラーを調節または修正するよう調節信号を生成し得る。言いかえれば、時間ドメインにおけるタイミングエラーに関連付けられる周波数ドメインにおけるスペクトル成分の検出を使用して、このようなタイミングエラーの修正のための調節信号が生成され得る。上記の一般的な理解を念頭において、DAC較正についてのさまざまな実施形態が以下に概略的に記載される。
【0011】
特定タイプのICを使用して上記実施形態の1つ以上が例示されるので、このようなICの詳細な説明が以下に提供される。しかしながら、DACを有する如何なるICも本願明細書に記載される実施形態の1つ以上から利益を得ることが可能であることが理解されるべきである。
【0012】
プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)は、特定されたロジック機能を実行するようにプログラムされ得る周知のタイプの集積回路である。1つのタイプのPLDであるフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)は、典型的にプログラマブルタイルのアレイを含む。これらのプログラマブルタイルはたとえば、入力/出力ブロック(「IOB」)、コンフィギュラブルロジックブロック(「CLB」)、専用のランダムアクセスメモリブロック(「BRAM」)、乗算器、デジタル信号処理ブロック(「DSP」)、プロセッサ、クロックマネージャ、および遅延ロックループ(「DLL」)などを含み得る。本願明細書において使用されるように、「含む」および「含んでいる」とは、限定なく含むことを意味する。
【0013】
各プログラマブルタイルは典型的に、プログラマブルインターコネクトおよびプログラマブルロジックの両方を含む。プログラマブルインターコネクトは典型的に、プログラマブルインターコネクトポイント(「PIP」)によって相互接続される、異なる長さの多くのインターコネクトラインを含む。プログラマブルロジックは、たとえば、関数発生器、レジスタおよび演算ロジックなどを含み得るプログラマブル要素を使用して、ユーザ設計のロジックを実現する。
【0014】
プログラマブルインターコネクトおよびプログラマブルロジックは、プログラマブル要素がどのように構成されるかを定義する構成データのストリームを内部構成メモリセルにロードすることによって、典型的にプログラムされる。構成データは、メモリ(たとえば外部PROM)から読み出され得るか、または、外部デバイスによってFPGAに書き込まれ得る。個々のメモリセルの集合状態がFPGAの機能を決定する。
【0015】
別のタイプのPLDは、複合プログラマブルロジックデバイス(Complex Programmable Logic Device)またはCPLDである。CPLDは、インターコネクトスイッチマトリクスによって入力/出力(「I/O」)リソースに接続され、かつ、ともに接続される2つ以上の「機能ブロック」を含む。CPLDの各機能ブロックは、プログラマブルロジックアレイ(「PLA」)およびプログラマブルアレイロジック(「PAL」)デバイスにおいて用いられるものと同様の2レベルのAND/OR構造を含む。CPLDでは、構成データは典型的に不揮発性メモリにオンチップで格納される。いくつかのCPLDにおいて、構成データは不揮発性メモリにオンチップで格納され、次いで、初期構成(プログラミング)シーケンスの一部として揮発性メモリにダウンロードされる。
【0016】
これらのプログラマブルロジックデバイス(「PLD」)のすべてについて、デバイスの機能は、その目的のためにデバイスに提供されるデータビットによって制御される。データビットは、揮発性メモリ(たとえばFPGAおよびいくつかのCPLDにおいてのようなスタティックメモリセル)か、不揮発性メモリ(たとえばいくつかのCPLDにおけるようなFLASHメモリ)か、または、任意の他のタイプのメモリセルに格納され得る。
【0017】
他のPLDは、金属層のような、プログラマブルにデバイス上のさまざまな要素を相互接続する処理層を適用することによりプログラムされる。これらのPLDは、マスクプログラマブルデバイスとして公知である。PLDはさらに、他の態様で、たとえばヒューズまたはアンチヒューズ技術を使用して実現され得る。「PLD」および「プログラマブルロジックデバイス」という用語は、これらの例示的なデバイスを含むがこれらに限定されず、単に部分的にプログラマブルなデバイスを含む。たとえば、1つのタイプのPLDは、ハードコードされたトランジスタロジックと、ハードコードされたトランジスタロジックをプログラマブルに相互接続するプログラマブルスイッチファブリックとの組み合わせを含む。
【0018】
上に示されるように、アドバンスドFPGAは、アレイにおいていくつかの異なるタイプのプログラマブルロジックブロックを含み得る。たとえば、
図1は、マルチギガビットトランシーバ(「MGT」)101と、コンフィギュラブルロジックブロック(「CLB」)102と、ランダムアクセスメモリブロック(「BRAM」)103と、入力/出力ブロック(「IOB」)104と、構成およびクロッキングロジック(「CPNFIG/CLOCKS」)105と、デジタル信号処理ブロック(「DSP」)106と、特殊化入力/出力ブロック(「I/O」)107(たとえば構成ポートおよびクロックポート)と、デジタルクロックマネージャ、アナログ−デジタル変換器、およびシステム監視ロジックなどといった他のプログラマブルロジック108とを含む多くの異なるプログラマブルタイルを含むFPGAアーキテクチャ100を示す。いくつかのFPGAはさらに、専用のプロセッサブロック(「PROC」)110を含む。
【0019】
いくつかのFPGAにおいて、各プログラマブルタイルは、各隣接したタイルにおける対応するインターコネクト要素へのおよび当該インターコネクト要素からの標準化された接続を有するプログラマブルインターコネクト要素(「INT」)111を含む。したがって、一緒に利用されるプログラマブルインターコネクト要素は、示されるFPGAのためのプログラマブルインターコネクト構造を実現する。プログラマブルインターコネクト要素111はさらに、
図1の上部に含まれる例によって示されるように、同じタイル内のプログラマブルロジック要素への接続および当該プログラマブルロジック要素からの接続を含む。
【0020】
たとえば、CLB102は、ユーザロジックと単一のプログラマブルインターコネクト要素(「INT」)111とを実現するようにプログラムされ得るコンフィギュラブルロジック要素(「CLE」)112を含み得る。BRAM103は、1つ以上のプログラマブルインターコネクト要素に加えて、BRAMロジック要素(「BRL」)113を含み得る。典型的に、タイルに含まれるインターコネクト要素の数は、タイルの高さに依存する。示される実施形態では、BRAMタイルは、5つのCLBと同じ高さを有するが、他の数(たとえば4つ)も使用され得る。DSPタイル106は、適切な数のプログラマブルインターコネクト要素に加えて、DSPロジック要素(「DSPL」)114を含み得る。たとえば、IOB104は、プログラマブルインターコネクト要素111の1つのインスタンスに加えて、入力/出力ロジック要素(「IOL」)115の2つのインスタンスを含み得る。当業者に明らかであろうように、たとえばI/Oロジック要素115に接続された実際のI/Oパッドは典型的に、入力/出力ロジック要素115のエリアに制限されない。
【0021】
示される実施形態において、ダイ(
図1に示される)の中心の近くの水平エリアは、構成、クロックおよび他の制御ロジックに使用される。この水平エリアまたはカラムから延在する垂直カラム109は、FPGAの幅にわたってクロックおよび構成信号を分散させるように用いられる。
【0022】
図1に示されるアーキテクチャを利用するいくつかのFPGAは、FPGAの大部分を構成する規則的なカラム状構造を途絶させる付加的なロジックブロックを含む。付加的なロジックブロックは、プログラマブルブロックおよび/または専用ロジックであり得る。たとえば、プロセッサブロック110は、CLBおよびBRAMのいくつかのカラムに及ぶ。
【0023】
なお、
図1は、例示的なFPGAアーキテクチャを示すことのみを意図する。たとえば、ロウにおけるロジックブロックの数、ロウの相対的な幅、ロウの数および順番、ロウに含まれるロジックブロックのタイプ、ロジックブロックの相対的なサイズ、および
図1の上部に含まれるインターコネクト/ロジック実現例は、純粋に例示である。たとえば、実際のFPGAにおいて、CLBの1つより多い隣接したロウは典型的に、ユーザロジックの効率的な実現を促進するよう、CLBが現われるところにはどこにでも含まれるが、隣接したCLBのロウの数はFPGAの全体サイズとともに変動する。FPGA100は、専用のハードウェアに設けられるか、プログラマブルリソースにおいてインスタンス化されるか、または、その組合せのいずれかである電流ステアリングDACを有し得る。さらに、本願明細書に記載されるようなパッケージチップは、たとえばモノリシックFPGAのようなモノリシックデバイスに限定されず、互いに積み重ねられるか、インタポーザの上に積み重ねられるか、またはその組合せであり、かつ、たとえばスタックドシリコンインターコネクト技術(Stacked Silicon Interconnect Technology(「SSIT」))のようなチップとしてパッケージ化される複数のダイを含み得る。したがって、たとえば、1つ以上のDACがこのようなパッケージ化されたチップにおいて1つのダイ上に存在し得、FPGAリコンフィギュアラブルリソースの1つ以上の部分がこのようなパッケージ化されたチップにおいて別のダイ上に存在し得、このようなダイはインタポーザを使用して互いに結合され得る。
【0024】
図2は、電流ステアリングDACの例示的な従来のドライバ電流ステアリングスイッチ回路200を示すブロック/回路図である。
図3は、
図2のドライバ電流ステアリングスイッチ回路200の例示的なドライバスイッチモデル300を示すブロック/回路図である。
図2および
図3を同時に参照して、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路200がさらに記載される。
【0025】
たとえばV
DDのような供給電圧204は、ドライバ抵抗型負荷214であるR
drvに結合される。抵抗型負荷214はドライバノード203にさらに結合される。この例において、トランジスタ211〜213はNMOSトランジスタであるが、NMOSおよび/もしくはPMOSトランジスタまたは他のタイプのトランジスタが他の実施形態において使用され得る。トランジスタ211のドレインノードはドライバノード203に結合され、また、トランジスタ211のソースノードは共通ノード222に結合される。トランジスタ211はドライバトランジスタである。トランジスタ212のドレインノードは共通ノード222に結合され、トランジスタ211および212の間にドレイン−ソース結合を提供する。トランジスタ212のソースノードは接地205に結合される。トランジスタ212はドライバトランジスタ211のための電流源である。
【0026】
トランジスタ211が実際上ドライバスイッチである際に、トランジスタ211のゲートはドライブ信号201を受け取るよう結合され、トランジスタ212が効果的にテイル電流源を提供するべきである際に、トランジスタ212のゲートは、テイル信号または他のバイアス電圧信号202を受け取るよう結合される。トランジスタ213のゲートはドライバノード203に結合される。トランジスタ213のソースノードは、抵抗型負荷245を通じて終端電圧244によって電流が供給された状態でたとえばトランジスタ247によって提供される電流シンクに結合され得、トランジスタ213のドレインノードはDACの出力ノード246に結合され得る。寄生容量247は、出力ノード246と接地205との間に結合されるように説明的に示される。トランジスタ213のソースノードは共通ノード249に結合され得る。効果的に、トランジスタ213は電流ステアリング(「CS」)スイッチを提供し得る。トランジスタ247のドレインノードは、トランジスタ213へのトランジスタ247のドレイン−ソース結合のために、共通ノード249に結合され得る。トランジスタ247のソースノードは接地205に結合され得る。トランジスタ247のゲートはバイアス電圧248を受け取るよう結合され得る。それらに従うと、トランジスタ247は電流ステアリング電流シンクを提供し得る。
【0027】
スイッチダイナミクスをモデル化するために、キャパシタ303によってモデル化されるキャパシタンスが、トランジスタ213に関連付けられ、定数値としてモデル化され得る、電流ステアリングスイッチのゲートキャパシタンス値C
gを近似するよう使用され得る。トランジスタ211および212は、ドライバスイッチ301およびドライバ電流源302とそれぞれ置換され得る。同様に、トランジスタ213および247は、電流ステアリングスイッチ347および電流ステアリング電流源348とそれぞれ置換され得る。
【0028】
トランジスタ211が実質的に非導通チャネル状態(「オフ」)である場合、対応するドライバスイッチ301は開き、ノード203上のドライバ信号350に応答してCSスイッチ347は閉じる。電流ステアリングスイッチ347が閉じている場合、トランジスタ213は実質的に導通チャネル状態(「オン」)である。
【0029】
ドライバスイッチ301が閉じる前に、電流ステアリングスイッチ347上のゲート電圧レベルは、抵抗型負荷214を通過するVdd204の供給電流、すなわちドライバ信号350、によって概して決定され、ゲートキャパシタンス303を充電する。さらに、ドライバスイッチ301が閉まると、すなわち、ドライバ電流源302を通じて電流を引き抜くと、CSスイッチ347はしたがって、ノード203でのドライバ信号350に応答して開く。
【0030】
図4は、例示的な従来のCS−DAC400を示すブロック/回路図である。CS−DAC400は、ドライバスイッチモデルまたは電流ステアリングセル300−1〜300−Nとしてモデル化され得る複数のドライバ電流ステアリングスイッチ回路200を有し得、Nについては1より大きい正の整数である。電流ステアリングセルは単に、スイッチング要素と直列の電流源であり得る。たとえば、CS−DAC400は、漸進的により大きなサイズのトランジスタおよび電流源が使用される2進加重DACであり得るか、または、CS−DAC400は、電流ステアリングセルの単項加重DACであり得るか、または、CS−DAC400は、サーモメータコード化および2進コード化電流ステアリングセルの組合せを有するセグメント化DACであり得るか、または、CS−DAC400は、MSBについて粗い粒度の第1のサーモメータコード化電流ステアリングセルと、LSBについて微細な粒度の第2のサーモメータコード化電流ステアリングセルとの組み合わせを有するセグメント化DACであり得る。したがって、CS−DAC400は、さまざまなタイプの電流ステアリングセルまたは電流ステアリングセルのタイプのさまざまな組合せのいずれかを有し得るので、概して2進の電流ステアリングセルが明瞭さの目的のために記載されても、任意のタイプの電流ステアリングセル、したがって、任意のタイプのCS−DACが使用され得るということが理解されるべきである。
【0031】
CS−DAC400への適用されたデジタル符号入力に依存して、これらの電流ステアリングセル300−1〜300−Nのうちのいくつかまたはすべてが変換処理に参加し得る。系統的な電圧ロス(たとえばレイアウトにおけるIRドロップ)および/またはランダムエラー(たとえばプロセススプレッド)により、変換に参加する電流ステアリングセル300−1〜300−Nは、同じ瞬間ですべてスイッチングし得ない。これは、理想的ではないコード遷移につながり得、出力スペクトルにおけるスパー(spur)につながる。さらに、CS−DAC400の空間的に別個の部分における2つのセルは同じ瞬間にスイッチングし得るが、CS−DAC400の出力ネットワークにおける遅延により、それらの寄与は同じ瞬間で合計され得ない。そのため、より一般的に、タイミングエラーについて論じる場合の以下の記載は同様に、そのような出力依存の遅延エラーを包含する。
【0032】
電流ステアリングセルまたは「フィンガー」300−1〜300−Nは、共通の抵抗型負荷214を共有し得る。たとえば、スイッチ301−1を通る電流がI
0である場合、スイッチ301−2を通る電流は、スイッチ301−1を通る電流の2倍、すなわち2I
0であり得る。スイッチ301−2のすぐ後の次のスイッチは、当該スイッチを通る4I
0の電流を有し得る。したがって、スイッチ301−2に関連付けられる1つ以上のトランジスタは概して、スイッチ301−1に関連付けられる1つ以上のトランジスタの2倍である。さらに、スイッチ301−2のすぐ後のスイッチに関連付けられる1つ以上のトランジスタは概して、スイッチ301−1に関連付けられる1つ以上のトランジスタの4倍であり得る。これに対応して、そのようなスイッチを提供するために使用されるそのようなトランジスタに関連付けられるキャパシタンスは、漸進的により大きくあり得る。たとえば、キャパシタ303−2のキャパシタンスは、キャパシタ303−1のキャパシタンスより著しく大きい。同様に、ドライバスイッチモデル300−2の後の次のフィンガーのキャパシタのキャパシタンスは、キャパシタ303−2のキャパシタンスより著しく大きい。
【0033】
Nが3に等しいとすると、コード110については、フィンガー300−1および300−2はオンにスイッチングされ、フィンガー300−3はオフにスイッチングされ得る。次のコードが001である場合、フィンガー300−1および300−2はオフにスイッチングされ、フィンガー300−3はオンにスイッチングされ得るので、フィンガー300−1および300−2に関連付けられるより小さなトランジスタよりもたとえばフィンガー300−3に関連付けられる大きなトランジスタをオンにスイッチングするのにより多くの時間がかかることによって、タイミンググリッチが存在し得る。
【0034】
また、2進コード化もしくはサーモメータコード化またはその組合せにかかわらず、より大きい電流ステアリングセルをより小さな電流ステアリングセルへ分割することが示唆された。したがって、たとえば、1つの電流ステアリングセルにおけるトランジスタは、複数の電流ステアリングセルにそれぞれ関連付けられる複数のより小さなトランジスタとして表わされ得る。サーモメータコード化および/または2進コード化電流ステアリングセルが使用されるかどうかにかかわらず、正確さまたは精度を向上させるためのこの電流ステアリングセルの分割は、同様にサイズを増加させる。2進コード化電流ステアリングセルに関して、特に、スイッチング遷移時間を等しくするよう1つ以上の2進−サーモメータデコーダが使用され得、これにより、タイミンググリッチを回避する、すなわち、より均一にタイミングダイナミクスを分散する。しかしながら、DACに1つ以上の2進−サーモメータデコーダを有することは、そのようなDACがかなり大きくあり得ることを意味する。
【0035】
したがって、電流ステアリングセルまたはフィンガー300−1〜300−Nのいずれかまたはすべてのタイミングを調節することができることによって、2進コードおよび/またはサーモメータコード化変換セルの場合にかかわらず、CS−DACの電流ステアリングセル同士の間のタイミングの調節に対して性能が向上され得る。さらに、2進コード化電流ステアリングセルを有するCS−DACに関して、フィンガー300−1〜300Nのいずれかまたはすべてのタイミングを調節することができることによって、このような面積効率のよいDACに如何なる2進−サーモメータデコーダも有する必要なく、より面積効率の大きいDACが提供され得る。
【0036】
図2〜
図4を同時に参照して、CSスイッチが閉じる場合、トランジスタ213のゲート電圧は概してそのソース電圧をしきい値電圧値だけ超える。限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、この条件は概して、ドライバCSスイッチ回路200の「スイッチングの瞬間」として考えられ得る。ドライバスイッチが時間tで閉じると、トランジスタ213上のゲート電圧V
Gは以下のように充電し得る。
【0038】
式中、τ=R
drvC
gである。ゲート電圧がV
GからV
G+V
thまで遷移するのにかかる時間Δt
onが、V
GがV
G+V
thに置換されるとともにtがΔt
onに置換された式(1)の再構成によって与えられる。
【0040】
式(2)を使用して、低性能または低分解能のDACが高性能または高分解能のDACを較正するよう用いられ得るということが理解され得る。ドライバ電流ステアリングスイッチ回路においてテイル電流を介して制御され得るゲート電圧V
G0の初期値に対するタイミング感度は、式(2)によって包含され得る。同様に、スイッチしきい値電圧および関連付けられるバックゲート電圧に対するタイミング感度も式(2)によって包含される。
【0041】
以下に記載されるように、低性能DACは本願明細書において、較正対象のDACと区別するために、タイミング較正DAC(「TCALDAC」)と称される。このようなTCALDACの出力は、スイッチングトランジスタのバルク電位に対して基準とされ得る。限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、較正対象のDACは、以下CS−DACと称される。TCALDACの分解能は、用途ごとに変動し得る使用されるタイミング分解能に依存し得る。
【0042】
図5は、例示的な修正システム500を示すブロック図である。修正システム500は、較正システム520と、たとえばCS−DACのような、較正システム520に結合される較正されるべきDAC510とを含む。使用され得る他のタイプのDACは、さらに詳細に以下に記載されるように、抵抗ラダーおよびスイッチドキャパシタDACを含むがこれに限定されず、CS−DAC510のアナログ出力503における1つ以上のタイミングエラーは、アナログ出力503の周波数ドメインにおけるスプリアス成分を測定することによって、特徴付けられ得る。これらのエラーは、CS−DAC510内部のスイッチングイベントのタイミングを調節することにより修正され得る。
【0043】
より具体的には、CS−DAC510は、関連付けられる周波数F
outを有する正弦波励起に対応するデジタルコードの連なりによって誘導され得る。限定ではなく明瞭さの目的のために、デジタル入力501〜CS−DAC510は基本周波数F
outを有する正弦波デジタルトーンであるとする。デジタル入力501はNビット幅であり得、Nについては高分解能DACに関連付けられる。クロック信号502はCS−DAC510に提供され得、このようなクロック信号は周波数F
sであり得る。
【0044】
CS−DAC510について、アナログ出力503の出力スペクトルのフーリエ変換は周波数F
outでのスペクトル成分を示し得、このような基本周波数F
outの高調波または非高調波での1つ以上のスプリアス成分(「スパー(spur)」)をさらに示し得る。これらのスパーの正確な位置はアーキテクチャに依存し得る。たとえば、単端のCS−DAC510において、支配的なスパーが2*F
outにて存在し得、差動CS−DAC510については、2次非線形性が概して2*F
outでの支配的なスパーを相殺し得、第3高調波3*F
outにてスパーを産出する。したがって、一般に、アナログ出力503は基本周波数F
outと、スプリアス成分n*F
outとを有し得、nは第n高調波を表わす。従来、高調波スパーが支配的であっても、いくつかのDACは、非高調波成分によってさらに限定される性能を有し得る。それに従うと、以下の記載は、スパーの起源がCS−DACのスイッチングダイナミクスに関係が付けられるならば、高調波または非高調波にかかわらず、如何なる支配的なスパーも適用可能である。さらに、非支配的なスパーは、対象のスパーであり得る。
【0045】
スパーは、DACにおける3つのエラーメカニズムの1つ以上に由来し得る。1つのエラーメカニズムは、振幅エラーまたはDACにおける電流源同士間におけるミスマッチにより得る。これらの振幅エラーは、たとえば米国特許番号第7,466,252B1号に記載されるように、大きく較正され得る。別のエラーメカニズムは、上に記載されるように、変換もしくはスイッチングの瞬間および/または出力遅延に関係するタイミングエラーにより得る。電流ステアリングセル同士間でのスイッチングの瞬間における差は、現在の高性能信号変換器の場合、ピコ秒の時間的尺度のオーダである傾向がある。
【0046】
完全性のために、さらに別のエラーメカニズムは、DACの出力インピーダンスにおける変動により得る。非理想的な電流源は、インピーダンスと並列である理想的な電流源としてモデル化され得る。非理想的な電流源の両端の電圧における如何なる変動よっても、このような並列インピーダンスが電圧依存の電流をシャントすることが引き起こされ、これによりこのような変換処理の正確さが低下する。十分に高い出力周波数について、DAC構造に関連付けられる寄生容量は、この非理想的なインピーダンスとして作用し得、DACがすべてのコードにわたって遷移するので、シャントされた電流の量は変動し得る。コード依存のエラーは、非線形であり得るので、スパーが出力スペクトルにおいて発生し得る。
【0047】
図5を継続して、CS−DAC510のアナログ出力503のスペクトルは、第1のフィルタ511への入力として提供され得る。フィルタ511は、概して対象のスプリアス成分のみがフィルタ出力504の一部として提供されるようにアナログ出力503のスペクトルをフィルタリングし得る。フィルタ511は、対象のスパーに関して概して集中するバンドパスフィルタであり得る。随意に、フィルタ511は、基本周波数F
outに対して概して集中するノッチフィルタであり得る。フィルタ出力504は、たとえば増幅器512のように、ゲインステージへの入力として提供され得る。それらに従って、フィルタ出力504は概して単に、このようなゲインステージに入るための対象のスプリアス成分を効果的に提供し得る。
【0048】
スパー振幅は実質的に抑制され得るが、増幅器512は随意であり得る。たとえば、スパー振幅は、基本周波数F
outに対して50デシベル以上だけ低く抑制され得る。したがって、増幅なしで、ローカル発振器514のリークおよび/またはセルフミキシングがミキサー513のミキサー出力508の出力スペクトルを占め得る。したがって、限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、増幅器512が使用されることとする。
【0049】
増幅器512からの増幅出力505はミキサー513への入力として提供される。したがって、増幅出力はミキサー513に結合されるローカル発振器514とミックスされ得、ローカル発振器514の周波数が対象のスプリアス成分の周波数に対応するようセットされ得る。ミキサー513のミキサー出力508における周波数成分は、増幅出力505のスパー周波数とミキサー513に入力として提供されるローカル発振器514の発振器出力506の発振器周波数との和(「和周波数」)であるか、または、それらの間の差(「差周波数」)であり得る。ローカル発振器およびスパー周波数は名目上同じであり得るので、これは、スプリアス周波数の2倍の和のトーンと、0ヘルツ(またはDC)に近い差周波数とを産出し得る。
【0050】
第2のフィルタ515は、ミキサー出力508を受け取るよう随意に結合され得る。フィルタ515は、検出器516にフィルタ出力509を提供するよう、関連付けられるゲインステージ507を有し得る。それらに従うと、フィルタ515は、1つの場合において和周波数を取り除くために使用され得、別の場合において適用可能なように差周波数を検出器509に通すために使用され得る。たとえば、フィルタ515は、ローパスフィルタまたは能動積分器として実現され得る。検出器516は、それへと通過した各差周波数の振幅を検出または測定するように構成され得る。たとえば、検出器516は、アナログ―デジタル変換器(「ADC」)として実現され得る。
【0051】
検出器516からの検出器出力521は、制御ブロック(「コントローラ」)517の入力ポート518へ提供され得る。コントローラ517は、そこに入力された検出器出力521の各状態を記録するように、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで構成され得る。検出器出力521のそのような状態に応答して、コントローラ517は、コントローラ517の出力ポート519から出力されるM個の制御信号522のセットを生成するように構成され得、Mは0より大きい正の整数である。一般に、以前に記載されたような電流ステアリングセルのスイッチのような電流ステアリングに含まれるCS−DAC510の各スイッチについて、1つの制御信号522が存在し得る。性質がアナログであり得る制御信号522は、以下にさらに詳細に記載されるように、1つ以上のタイミングエラーを修正するために、CS−DAC510に提供され得る。それらに従って、制御信号522への各生じた変更は、CS−DAC510の性能を向上させるために使用され得、最適または最適に近い結果が発見されるまで制御信号522を調節するようコントローラ517が効果的に性能のこのような変化を観察する。ある実施形態において、コントローラ517は、このような反復的な調節のための状態マシン523を含み得る。しかしながら、別の実施形態において、そのような反復的な調節を実行するために、アルゴリズムがソフトウェアにおいて実現され得る。これらは単に、制御されたフィードバックを使用して最適または最適に近い結果を得る多くの態様の2つの例である。
【0052】
制御信号522は、以下にさらに詳細に記載されるように、スイッチトランジスタゲートノードに適用されるドライバ信号の制御を通じておよび/または良好に関連付けられる別のスイッチトランジスタのバルク電位の制御を通じて、スイッチングダイナミクスを調節するために使用され得る。
【0053】
図6は、
図5のCS−DAC510の例示的なドライバ電流ステアリングスイッチ回路600を示すブロック/回路図である。ドライバ電流ステアリングスイッチ回路600は、
図2のドライバ電流ストリングスイッチ回路200といくつかの共通コンポーネントを有しており、したがって、明瞭さの目的のために概して差のみが以下に記載される。ドライバ電流ステアリングスイッチ回路600は、
図5および
図6を同時に参照してさらに記載される。
【0054】
制御信号622は、コントローラ517の出力ポート519の一部であり得るTCALDAC602への入力として、コードc1を提供するために使用され得る。この例では、TCALDAC602につきM個の制御ビットが存在し、CS−DAC510へのN個の入力ビットについてN個のTCALDAC602が存在するので、2進システムの場合には合計N*M個のビットが存在し得、または、セグメント化されたシステムの場合にはN*M個より多い制御ビットが存在し得る。TCALDAC602のアナログ出力603は、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路600のNMOSトランジスタ612のゲートノードに提供され得る。NMOSトランジスタ612が説明的に示されているが、PMOSおよび/もしくはNMOSトランジスタまたは他のタイプのトランジスタが使用されてもよい。トランジスタ612のソースノードは接地205に結合され、トランジスタ612のドレインノードは共通ノード222に結合される。随意に、トランジスタ212はトランジスタ612がこの動作の全体を行うことを可能にするために取り除かれ得る。
【0055】
CS−DAC510の関連付けられる複数のドライバ電流ステアリングスイッチ回路600の複数のNMOSトランジスタ612にバイアスをかけるために、アナログ出力603を含み得る制御信号622が使用され得、そのようなアナログ出力603の各々はそのテイル電流を介してドライバ電流ステアリングスイッチ回路600のスイングを調節するために使用され得る。それらに従って、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路600におけるNMOSトランジスタ612は、テイル電流調節構成と称され得る。
【0056】
TCALDAC602に適用されたそのようなコードc1に応答して、付加的な量のテイル電流が主なテイル電流トランジスタ212と平行に減少され得る。これは、トランジスタ211のようなドライバスイッチが閉まっているまたはオンの場合、抵抗型負荷214を通って流れる電流を調節するために使用され得る。この状態で、抵抗型負荷214の両端の電流抵抗(「IR」)の低下は、トランジスタ213のような電流ステアリングスイッチへのオフ電圧を提供するよう使用され得る。トランジスタ211のようなこのようなドライバスイッチが開くまたはオフに切り替わる場合、トランジスタ213上のゲート電圧は、アナログ供給電圧VDDA604に向かって遷移し始め得る。デジタルロジック供給電圧VDD204を置換するこのような供給電圧VDDA604は、VDD204上でのデジタルノイズの結合を回避するようよりクリーンな供給電圧であり得る。一般に、トランジスタ213のゲート電圧がそのソース電圧を上回るしきい値電圧であることに応答して、トランジスタまたはスイッチ213は、オンである、すなわち、実質的に導電状態であると考えられ得る。したがって、制御コードc1は、実質的に非導電状態またはオフ状態からオン状態へのトランジスタ213の遷移のために、効果的に開始電圧をセットするよう使用され得、これにより、このようなデバイスのスイッチングの瞬間の時間をもたらす。一般に、トランジスタ212を通る名目上の電流は、TCALDAC602がその中間コードまたは概してその辺りで動作する状態で、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路600のスイングが概してそれについての公称値であり得るように、特定され得る。これらに従って、正または負の相対的なタイミング調節が、このようなコードc1に応答して適用され得る。したがって、電流ステアリングセルまたはフィンガーは、出力タイミングへの調節を実行するよう、そのタイミングが調節され得るか、またはより特定的には、そのスイッチングの瞬間が調節され得る。上記の制御フィードバック経路がCS−DAC510の出力を使用するので、このようなCS−DAC510の出力ネットワークに関連付けられる遅延がそのような調節において考慮される。
【0057】
上記のテイル電流調節構成は、以下にさらに詳細に記載されるように、バルク電圧調節構成とともに使用され得る。さらに、調節可能な抵抗ブロックおよび/または調節可能なキャパシタンスブロックは、以下にさらに詳細に記載されるように、テイル電流調節構成またはバルク電圧調節構成において、制御信号522の状態を格納するための揮発性または不揮発性のプログラマブル要素を有し得る。さらに、このようなテイル電流調節構成とは別個または独立して、このようなバルク電圧調節構成が使用され得る。
【0058】
バルク電圧調節構成について、制御信号623は、コントローラ517の出力ポート519のTCALDAC612にコードc2を提供するよう使用され得る。TCALDAC612からの、
図5のタイミング調節制御信号522の一部であり得るアナログ出力614は、トランジスタ213のボディバイアスノード613に結合され得る。これは、N個のビット分解能の2進加重DACについて電流ステアリングセル600の選択またはアドレス指定された電流ステアリングセルへの連続的な適用のために一度にM個のビットをローカルに登録することを想定する。随意に、N個のビットのそのような2進加重DACのN個の電流ステアリングセルセル600の各々を一度に個々にアドレス指定する(すなわち登録なく直接アドレス指定する)ようN*Mビットが使用され得る。しかしながら、セグメント化されたCS−DACまたは単項CS−DACが使用される場合、制御ビットの数は、同じ分解能Nについてはるかに大きくなる。たとえば、Nビットの単項CS−DACは、電流ステアリングセルについて2^(N−1)ビットを有し得るので、バス幅を低減するよう連続的な形態で提供され得るΜ*2^(N−1)制御ビットが存在し得る。したがって、Nビットの分解能DACは、そのようなDACの構成に依存して、異なるインプリケーション(implication)を有する。
【0059】
ボディバイアスノード613は、トランジスタ213のウェル615にバルク電位を提供するために結合され得る。言いかえれば、トランジスタ213のバルク−ソース間の電位差を調節するよう、トランジスタ213のバルク電圧またはボディバイアスが調節され得る。この調節は、動作の間に、動的にバルク電位を調節する必要があることとは対照的に、一度の調節であり得る。また、CS−DAC510において複数のドライバ電流ステアリングスイッチ回路600が存在し得るので、複数のトランジスタ213および関連付けられる複数のボディバイアスノード613が存在し得る。随意に、CS−DAC510において複数のトランジスタ213によって共有される1つの共通のPウェル615が存在し得、したがって、このような共通のPウェル615は、そのような関連付けられる複数のトランジスタ213をサポートするための単一のボディバイアスノード613を有し得る。限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、各NMOSトランジスタ213は、関連付けられるアナログ出力614に応答するその個別の制御のための別個のPウェル615を有するとされるであろう。
【0060】
このようなバルク−ソース間の電位差の調節は、トランジスタ213の動作しきい値電圧を変更するように使用され得る。それらに従って、バルク電位を増加させることによりソース−バルク間の電位差を低下させることによって、トランジスタ213のしきい値電圧が低減され得る。トランジスタ213について低下したしきい値電圧により、ドライバトランジスタ211がVDDAに向かって遷移すると、電流ステアリングセルのスイッチングの瞬間が発生する場合に効果的にスピードアップするよう、このようなバルク電位調節がない場合よりも早くトランジスタ213はオンにスイッチングまたは切り替わり得る。反対に、スイッチングの瞬間は、トランジスタ213のソース電圧に対してトランジスタ213のバルク電位を減少させてトランジスタ213の動作しきい値電圧を増加させることによってスローダウンされ得、トランジスタ213は、そのようなバルク電位調節がない場合よりも遅くオンにスイッチングまたは切り替わり、これにより、電流ステアリングセルのスイッチングの瞬間が発生する場合に効果的にスローダウンする。したがって、TCALDAC612に適用されるコードc2は、電流ステアリングセルのスイッチングの瞬間に調節を行なわせるよう使用され得る。
【0061】
一般に、タイミング調節制御信号522は、同じICの各CS−DAC510においてローカルに登録され得る。さらに、マルチプレクサ(明瞭さの目的のために図示せず)がCS−DAC510の出力とフィルタ511との間に結合され得るので、較正を使用するそのようなCS−DAC510は較正に専用である必要はない。さらに、バルク電圧調節構成およびテイル電流調節構成について、タイミング調節制御信号522はアナログ信号であり得る。
【0062】
繰り返すと、タイミングエラーは、DACの1つ以上のスイッチングの瞬間における変動を引き起こし得、これによりDACリニアリティが低下され得る。上述したように、ヘテロダイン検波が、タイミングエラーに影響を受けやすいそのようなDACの出力パラメータ、すなわち、スプリアススペクトル性能を検出または測定するよう使用される。このようなエラーは、参加する電流ステアリングスイッチのバルクソース電位を調節することを介してスイッチングの瞬間を調節することによって、および/または、それぞれそのようなスイッチの上流のドライバのスイングを調節することによって較正され得る。反復的な調節によって、DAC性能における結果生じる各変化が検出され得、それについての最適は、制御されたフィードバックシステムの一部として発見され得る。
【0063】
図7は、
図5のCS−DAC510の例示的なドライバ電流ステアリングスイッチ回路700を示すブロック/回路図である。ドライバ電流ステアリングスイッチ回路700は、
図2のドライバ電流ステアリングスイッチ回路200とのいくつかの共通コンポーネントを有しており、したがって、明瞭さの目的のために一般に違いのみが以下に記載される。
図5および
図7を同時に参照して、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路700がさらに記載される。
【0064】
制御信号522のすべてもしくは一部は、プログラマブルに調節可能な抵抗もしくはロードブロック701への入力としてコードc3を提供するよう使用され得、および/または、制御信号522のすべてもしくは別の部分は、プログラマブルに調節可能なキャパシタンスブロック702への入力としてコードc4を提供するよう使用され得る。この構成において、制御信号522は、調節可能な抵抗ブロック701および/または調節可能なキャパシタンスブロック702のフィンガーをスイッチオンまたはオフするためのデジタル信号であり得る。随意に、線形または抵抗性領域において動作するように構成されるPMOSトランジスタへのバイアス電圧信号を駆動するためにDACは使用され得る。さらに、調節可能な抵抗ブロック701および/または調節可能なキャパシタンスブロック702は、制御信号522の状態を格納するための揮発性または不揮発性のプログラマブル要素を有し得る。それらに従って、CS−DAC510のドライバ電流ステアリングスイッチ回路700をプログラムした後、較正システム520はCSDAC510から切り離され得る。それらに従って、ICは、複数のCS−DAC510を含み得る。これらのCS−DAC510の各々は一般に、CS−DAC510の少なくとも1つの較正に関連付けられる任意のタイミング調節を組み込むためにプログラムされ得る。
【0065】
調節可能な抵抗ブロック701は、VDDA604とドライバノード203との間に結合され得る。調節可能なキャパシタンスブロック702は、スイッチゲート上にて付加的なキャパシタンスにおいてスイッチングするようドライバノード203と接地205との間に結合され得る。調節可能な抵抗ブロック701の抵抗が、このような調節可能な抵抗ブロックに制御信号522を介して提供されるコードc3に応答して調節され得、および/または、調節可能なキャパシタンスブロック702のキャパシタンスが、そのような調節可能なキャパシタンスブロックに制御信号522を介して提供されるコードc4に応答して調節され得る。ドライバ抵抗および/または出力キャパシタンスは、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路700のスイッチングの瞬間を調節するよう使用され得る。
【0066】
図6および
図7を参照して、ドライバ電流ステアリングスイッチ回路のスイッチングの瞬間を調節するために記載される4つのメカニズムの1つ以上は、単独にまたは任意の組合せで使用され得る。しかしながら、限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、以下の記載はドライバ電流ステアリングスイッチ回路600の使用を前提としている。
【0067】
図5に戻って、コントローラ517は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施されるかにかかわらず、たとえばM個のタイミング調節制御信号522の使用を通じてそのスイッチのスイッチングの瞬間を変更させることによってCS−DAC510のスペクトル性能の最適化するよう、アルゴリズムを実行するように構成され得る。このようなM個のタイミング調節制御信号522は、1つ以上のTCALDAC602および/または1つ以上のTCALDAC612のような、出力ポート519の1つ以上のTCALDACの出力を介して提供され得る。
【0068】
コントローラ517は、検出器出力521を監視する間に制御信号522を変動し得る。検出器出力521の状態は、たとえばBRAMのようなコントローラ517のストレージまたはコントローラ517にアクセス可能なストレージにおいて制御信号522を適用するよう、相関して格納され得る。
【0069】
検出器出力521の記録された振幅の増加は性能の低下を暗示し得、より低い振幅は性能の向上に対応し得る。性能を向上または最適化するようコントローラ517によって使用され得る多くのアルゴリズムが存在する。このようなアルゴリズムは、すべての可能なコードのブラインドサーチ、最急降下(steepest descent)または遺伝的アルゴリズムを含むがこれらに限定されない。一般に、この場合には検出器出力振幅の最小化であり得る値の最小化に向けられた任意のアルゴリズムが使用され得る。すべてのコードのブラインドサーチは、あるDACアーキテクチャについて実現可能であり得、較正スペースについてグローバル最小点を産出し得る。しかしながら、すべてのコードの「ブラインド」サーチが実行されない場合にグローバル最小点であるとの極小の混同の回避するよう、より洗練されたアルゴリズムが、注意して使用され得る。
【0070】
さらに、CS−DAC510は、単一の出力を有するものとして説明的に示されており、したがって、明瞭さのため、単端の実施形態が説明的に示される。しかしながら、CS−DAC510は、2つの出力、すなわち差動出力、を有し得る。したがって、本願明細書における記載は同様に、差動の実施形態に該当する。
【0071】
本願明細書において詳述されるコンセプトは、このようなシステムの離散的実現例、SoC実現例、またはハイブリッド実現例に適用され得る。しかしながら、コントローラ517は本来、修正システム500によって提供される自由によってさまざまなアルゴリズム実現例の効率の直接的な評価が可能になる、たとえばFPGAまたはマイクロプロセッサのようなリコンフィギュラブルな環境における実現例に役立つ。
【0072】
全体としてDACへのデジタル正弦波入力のような正弦波励起によって励起される変換器のスプリアス性能に対する影響による電流ステアリングセルにおけるエラーを決定するヘテロダイニングが記載されるが、本願明細書において記載される線に沿って、変換器におけるいずれかまたはすべてのスイッチの時間的なダイナミクスを調節して、それに関連付けられるタイミングエラーを最小限または低減するようヘテロダイニング以外の実施形態が使用され得る。しかしながら、単一のヘテロダインステージがそのようなタイミングエラーを決定するよう使用され得るということが認識されるべきである。さらに、タイミングエラーは、たとえば入力デジタルコードにスイッチングシーケンスをマッピングすることによってエラーを最小限にすることを試みることとは対照的に、実際にエラーを修正するよう、たとえば各電流ステアリングセルについてセルのレベルにて修正または最小限にされ得る。それらに従って、関係するスイッチングエラーを相殺するマッピングが存在しない1つ以上の入力コードが存在し得るということが可能であり、したがって、上記のタイミングエラー調節が実際にエラーを修正するよう使用され得る際に、入力デジタルコードにスイッチングシーケンスをマッピングする使用に関連付けられる制限が回避され得る。一般に、それらに従って、上記タイミングエラー調節は、マッピングと比較すると、入力コードに寛容であり得る。
【0073】
上記の記載を念頭において、さまざまな他の実施形態がさらに記載される。それらに従って、NMOSトランジスタが以下の記載において使用されるが、PMOSまたはNMOSおよびPMOSトランジスタの組合せが他の実施形態において使用されてもよいということが理解されるべきである。
【0074】
図8は、例示的な差動ステアリングセル800を示す回路図である。差動電流ステアリングセル800は、
図5のCS−DAC510における複数の電流ステアリングセル800の1つであり得る。NMOSトランジスタ801およびNMOSトランジスタ802は、共通ノード804にて共通して結合されるソースノードを有する。共通ノード804と接地205との間に結合される電流源805は、テイル電流を表し得る。電流源805は、1つのトランジスタであり得るが、電流源805はカスコードトランジスタとして実現される可能性が高い。出力カスコードトランジスタ(図示せず)は、既知のように、スイッチまたはトランジスタ801および802の上に位置し得る。差動電流ステアリングセルは、高性能変換器において共通であるが、本願明細書における記載は、差動および単端の電流ステアリングセルに適用可能である。
【0075】
CS−DAC510は、自身に対するデジタルコード入力を有し得、このようなデジタルコードの値に応答して、制御信号は、そのようなCS−DAC510の電流ステアリングセル800においてスイッチ801および802のゲートに適用され得る。電流ステアリングセル800について、スイッチ801および802のうちの1つは、そのブランチを通るよう電流をルーティングする間に、オンまたは閉じられ得、スイッチ801および802の別の一つまたは相補的な1つは、オフまたは開き得る。また、CS−DAC510は、そのアーキテクチャに依存して、電流ステアリングセル800のうちのいくつかから構成され得、このような電流ステアリングセル800は2進加重であり得るか、サーモメータコード化され得るか、セグメントコード化され得る。差動アーキテクチャについては、出力は単端または差動の態様で取られ得る。以下の記載はスイッチのダイナミクスに対応するので、そのような記載はこれらのアーキテクチャのすべてに適用可能である。
【0076】
NMOSトランジスタ801および802のp型ボディ、バルクまたはウェル接続は、共通ノード803を通じて接地205に結合され得る。それらに従って、そのようなボディ領域は、トリプルウェル構造のP−ウェルを含むがこれに限定されないP−基板またはP−ウェルによって提供され得る。NMOSデバイスの場合、NMOSトランジスタ801および802の上の「バックゲート」または「バックボディ効果」は、トリプルウェル構造におけるそのP−ウェルをそのようなトランジスタのソースノードに結合することによって低減または最小限にされ得る。PMOS構成の場合、N−ウェルは同様に、PMOSトランジスタのソースノードに結合されるか、または、関連付けられる電圧ドメインについてのロジックハイもしくはもっとも高い電位に結合され得る。それらに従って、ソースバルク電位V_SBは、ドレインソース電流およびトランジスタのスイッチングダイナミクスを制御するよう使用され得る。
【0077】
一般に、「バックゲート」効果は、厄介なものと考えられる。たとえば、NMOSトランジスタが積み重ねられる場合に、それらのソース電位は、それらのバルク領域に対して上昇される。このようなバルク領域は、上に詳述されるような接地電位にあり得る。NMOSトランジスタについてのソースバルク電位の増加は、そのようなトランジスタにおけるチャンネルを反転させることをより困難にするとともに、そのようなスイッチをオンすることをより困難にする。これらのダイナミクスは、周知のシックマンホッジスの方程式(Shichmann Hodges equation)およびV_SBしきい値電圧依存方程式によって記載され、それぞれトランジスタ電流方程式(1)としきい値電圧方程式(2)である。
【0079】
一般に、これらの方程式は、長いチャンネルプロセスにのみ有効であるが、上記の現象は、すべてのプロセスノードにて一般に観察可能である。上記の記載はNMOSデバイスについてであったが、同様の分析はPMOSデバイスに適用される。
【0080】
バルクノードが基板から分離される場合、トリプルウェルにおけるNMOSデバイスの場合またはPMOSデバイスのためにn−ウェルを使用する場合にあろうように、バックゲートバイアスは独立して制御され得る。したがって、スイッチゲートでの固定されたドライバ構成について、スイッチングダイナミクスは、
図5および
図6を参照して以前に記載されるように、バックゲートを使用して独立して制御され得る。それらに従って、スイッチングダイナミクスは、そのスイングを変更することによりドライバを通じて制御され得る。
【0081】
電流ステアリングセル同士間でのスイッチング遷移ダイナミクスの差は、時間において同じ瞬間にすべての関連付けられるスイッチを閉じるのとは対照的に、出力におけるグリッチおよび他の非均一性につながり得る。たとえば、スイッチS1は、まず最初および何らかのその後の持続時間にて閉じ得、関連付けられるスイッチS2が閉じ得る。当該持続時間の間に、出力における非理想性またはグリッチが存在し得る。スイッチングダイナミクスにおける変動および関連付けられるスイッチングの瞬間は、ランダム半導体プロセス変動および/またはスイッチングアレイの両端のI−R勾配のような恐らくシステム的誤差に起因し得る。以下に付加的に詳細に記載されるように、スイッチングダイナミクスは、スイッチングイベントにおける変動が低減または最小限にされ得るように変更され得る。
【0082】
上述したように、2つ以上の電流ステアリングセル同士間のダイナミクスはこのようなセル間で同一の振幅を有することとする。したがって、前述の議論において、たとえば電流源同士の間のミスマッチによるデータ変換器出力への振幅エラーの寄与は存在しなかったことが暗に仮定された。この仮定は、たとえば米国特許番号第7,466,252B1号に記載されるようにそのような振幅エラーを較正する能力を考慮してなされた。
【0083】
データ変換器は、高速高性能デバイスについて部分的にスペクトル試験を使用して特徴付けられ得る。上記の記載は概して、単端出力を有するDACに関したが、DACは差動出力を有し得る。
図9は、例示的なテストベンチ900を示す回路/ブロック図である。CS−DAC510の場合、デジタル正弦波誘導入力信号501およびクロック信号502が前述のように適用され得、生じる差動出力が、スペクトラムアナライザー902を使用して分析され得る。この例において、CS−DAC510は、差動出力、すなわち出力信号911および912を提供するように構成される。出力信号911および912にそれぞれ関連付けられる出力線は、終端ネットワーク903に結合され得る。終端ネットワーク903は、電流を電圧に変換するとともに変圧器901にインピーダンス整合を提供しており、出力信号911および912に関連付けられるそれぞれの出力線に結合された終端抵抗型負荷913および914を含み得る。もちろん、別の構成において、2つより少ないまたは多い抵抗器が使用され得る。変圧器901は、出力信号911および912を受け取ってこのような差動アナログ信号を単端出力915に変換するよう結合され得、変圧器901の出力915は、スペクトラムアナライザー出力916を提供するよう、スペクトラムアナライザー902に入力として提供され得る。さらに、ボックス919を用いて一般に示されるように、終端ネットワーク903は、終端供給または接地のいずれかに結合され得る。
【0084】
図10は例示的な理想的な変換器スペクトル出力1000を示す信号図であり、
図11は例示的な非理想の変換器スペクトル出力1100を示す信号図である。
図10および
図11を同時に参照して、テストベンチ900がさらに記載される。
図10および
図11の各々において、X軸は単位をヘルツとする周波数軸1002であり、Y軸は単位をデシベルとする振幅軸1001である。
【0085】
理想的な正弦波入力501によって励起される理想的なDAC510の場合、従来信号トーン1005がスペクトラムアナライザー902の出力916において観察可能である。そのような信号トーン1005は、周波数F
out1010にて第1のナイキストゾーン1003に存在し得る。DAC510における非理想性は、説明的に
図11に示されるように、出力スペクトルにおけるスパーにつながり得る。最も大きいスパー振幅に対する信号振幅の比は、スプリアスフリーダイナミックレンジ(spurious free dynamic range;「SFDR」)1101として規定され得、すなわち、周波数3F
out1030でのスパー1102の振幅に対する周波数F
out1010での信号トーン1005の振幅の比として規定され得る。
【0086】
単端の態様で動作する電流ステアリングセルの場合、支配的なスパーは、HD2と称される出力トーンの第2高調波にあり得る。差動出力電流ステアリングセルの場合、2次非線形性は相殺する傾向があり、支配的なスパーは、HD3と称される基本周波数の3倍にあり得る。信号変換器のサンプルレートに対する出力基本トーンの比に依存して、第2のナイキストゾーン1004に存在するこれらのスパーの画像は帯域において折り重ね得る。それらに従って、好適に良好に設計されたDACの場合、変換器の性能に特有である、出力スペクトルにおけるフィンガープリント周波数が存在し得る。これらのフィンガープリント周波数は、変換器アーキテクチャ、クロックサンプルレートおよび出力トーンの周波数の知見により、演繹的に決定され得る。それらに従って、対象となり得る他の周波数は、2F
out1020、F
S/2 1040およびF
S1050であり、クロックトーン1006は周波数F
S1050に存在する。
【0087】
本願明細書において記載される分類のタイミングエラーは、出力頻度F
outが増加されると、たとえばSFDR1101のようなスペクトルのメトリックが、20dB/デケード(decade)にてロールオフする指示周波数応答を有し得る。そのようなタイミングエラーは、数十から数百MHzの関連付けられる周波数を有する出力トーンについて顕在化し得る。この範囲の下では、振幅エラーが支配的であり得、この範囲の上では、出力インピーダンスが性能を限定し始め得る。また、変換器出力における振幅エラーは、米国特許第7,466,252B1号に記載されるように修正され得る。
【0088】
図12は、別の例示的な修正システム500を示すブロック図である。修正システム500は、以前に記載されるように、較正システム520と、たとえばCS−DAC510のような、較正システム520に結合される較正されるべきDAC510とを含むが、以下の違いが存在する。また、以前に記載されるようにかつ以下に付加的に詳細に記載されるように、CS−DAC510のアナログ出力503における1つ以上のタイミングエラーは、アナログ出力503の周波数ドメインにおけるスプリアス成分を測定することによって特徴付けられ得る。その後、これらのエラーは、CS−DAC510の内部のスイッチングイベントのタイミングを調節することにより修正され得る。
【0089】
CS−DAC510は、差動アナログ出力503をバンドパスフィルタ511に提供する。CS−DAC510の上部出力ネット(upper output net)は終端抵抗型負荷913に結合され得、CS−DAC510の下部出力ネット(lower output net)は終端抵抗型負荷914に結合され得る。フィルタ出力504は、増幅器512に提供される差動出力であり得る。増幅器512は、差動アンプ出力505をミキサー513に提供し得る。随意に、バンドパスフィルタ511および増幅器512は、単一の回路1210へ組み合わせられ得る。ミキサー出力508は、ローパスフィルタ515への入力として提供され得、ローパスフィルタ515のフィルタ出力509は、検出器516への入力として提供され得る。コントローラ517の出力ポート519のTCALDAC602および/または612は、M個の較正またはタイミング調節信号522をCS−DAC510に提供するよう使用され得る。
【0090】
各々がM個の制御信号522を提供し得る、コントローラ517における複数のTCALDAC602および/または612の場合、XCS−DAC510のアレイについて各々、たとえばX*Mの出力、すなわち、M個の制御信号522のX個のセットが存在し得る。前述のように、修正システム500に関する他の詳細は、明瞭さの目的のために繰り返されない。
【0091】
CS−DAC510のスプリアス性能の特徴付けをより完全に理解するよう、
図17−1〜
図17−4の例示的な信号タイミング図が提供される。
図10〜
図12を同時に参照して、
図17−1〜
図17−4はさらに記載される。
図17−1〜
図17−4は、差動アナログ出力503、差動アンプ出力505、ミキサー出力508、およびローパスフィルタ出力509にそれぞれ対応する。
【0092】
修正システム500は、測定のために、対象のスプリアストーンをDCにダウンコンバートするようヘテロダインプロセスを使用する。この実施形態において、フィンガープリントスパー1102が基本周波数の第3高調波、すなわち3*F
out1030、に関連付けられる差動CS−DAC510である。単端のCS−DAC510の場合、このようなフィンガープリントスパー1102は、2*F
out1020である基本周波数の第2高調波にあるが、差動出力の点において、以下の記載は同様に単端出力に該当する。他のスプリアストーンは、信号変換器の出力スペクトルに存在し得るが、上に詳述されたものは、最も大きいエネルギーを有する傾向があり、したがって以下にさらに詳細に記載されるように、測定においてより大きなダイナミックレンジを提供し得る。
【0093】
CS−DAC510は、そのような周波数にて主なまたは信号トーン1005を有するよう、対象の周波数で、すなわち基本周波数F
out1010で動作され得る。それらに従って、いくつかはノイズフロア1601を上回りその他はノイズフロア1601を下回るタイミングエラーが明白であり得るスペクトル領域が存在しており、したがって、信号トーン1005はそのような基本周波数F
out1010について合成され得る。
【0094】
CS−DAC510における非理想性により、3*F
out1030でのスパーは、信号トーン1005と共に作り出され得る。対象のトーン、すなわち概して3*F
out1030でのスパー1102以外のこのような基本およびスプリアストーンを抑制するよう、差動アナログ出力503を受け取るよう結合されるバンドパスフィルタ(「BPF」)511が使用され得る。BPF511のBPFエンベロープ1602を提供する通過帯域パラメータは、ミキサーローパスフィルタ(「LPF」)の組合せの周波数選択性により相対的に緩和され得る。BPF511の減衰パラメータは、ノイズフロア1601の限界よりも、基本および修正システム500のスパーのより良好な抑制を提供し得る。随意に、修正システム500の基本周波数に集中したノッチフィルタは、BPF511と同じ効果を提供するために使用され得る。
【0095】
ゲインステージ、すなわち増幅器512は、スパー1102の振幅が主なトーン1005の振幅に対して減衰され得るので、BPF511の後に使用され得る。常に、増幅器512は、
図17−2に一般に示されるように、BPF511の通過帯域内において、ノイズ発生のうちのいくつかを増幅し得る。随意に、別の実施形態において、アクティブフィルタ1210が増幅器512およびBPF511の両方を包含するよう使用され得る。
【0096】
次いで、そのような増幅されたスパー1102は、ミキサー513に適用され得る。ローカル発振器514の周波数は、スパー周波数すなわちこの例における3*F
out1030が演繹的に既知であり得るので、この周波数に具体的にセットされ得る。ミキサー513は、ヘテロダインのためにスパー1102およびローカル発振器514の和周波数および/または差周波数のトーンを作り出し得る。
【0097】
したがって、ミキサー出力508の周波数は、0Hz近くであり得、すなわちDC1600および6*F
out1660であり得る。言いかえれば、差によって、スパー1102がDC1600にダウンコンバートされ得、和によって、スパー1102が6*F
out1660にアップコンバートされ得る。随意に、上位LPF515は各和成分を取り除くために使用され得る。上位LPF515は、そのようなフィルタリング動作の低いカットオフ周波数を生成するよう使用され得る。そのような低いカットオフ周波数は、BPF511の通過帯域内で増幅されてその後にダウンコンバートされたノイズ成分を減衰するよう機能する。それらに従って、同等の通過帯域を有する高QのBPF511よりも、ハイポールLPF515を作製するほうが容易であり得るが、いずれの実施形態も使用され得る。
【0098】
LPF515のフィルタ出力509での生じる信号対雑音比は、小さなフィルタリングされないノイズ帯域幅に対する強いスパー振幅の比により、かなり高くなり得る。それらに従って、安定させるべきLPF515の出力の場合、少なくとも6つのLPFフィルタ時定数とほぼ同等である待機持続時間が使用され得る。この持続時間は、較正手順が更新され得るレートを効果的に設定するために使用され得る。
【0099】
LPF515のフィルタ出力509またはLPF515の代わりに使用される以下に付加的に詳細に記載されるような能動積分器は本質的に、システムゲインを考慮に入れた状態で、オリジナルのスパー1102の振幅に関係付けられるBPFエンベロープ1602の正の周波数部分1604であり得る。それらに従って、LPF515のフィルタ出力509より良好な信号対雑音性能を有する低速アナログ−デジタル変換器(「ADC」)は、コントローラ517に提供されるサンプリングされた振幅のデジタル表現を供給するよう使用され得る。言いかえれば、修正システム500およびフィルタ出力509は、検出器出力521を提供するよう検出器516に提供され、検出器出力521は、幅Dのデジタル信号であり得る。随意に、コントローラ517のアルゴリズム状態マシン523は、効果的にアナログ制御ループを提供し得る。実施形態において、システムレベル最適化が、LPF515における積分時間についてのBPF511の通過帯域パラメータをターゲットとされた信号対雑音比にトレードすることにより、実行され得る。
【0100】
BPF511は、基本周波数1010が高調波的にスパー1102のような対象のスパーに関係付けられ得るので、基本周波数1010での主なトーン1005を取り除くようにミキサー513の上流に存在し得る。随意に、非高調波的に関係付けられる対象のスパーは、基本周波数を拒絶するBPFで認められ得る。そのような基本周波数が取り除かれなかった場合、たとえばスパー1102のようなスパーに対する主なトーン1005の振幅は、増幅器512を飽和させ得る。増幅器512が、そのような比によって飽和させられない場合、たとえばこのようなスパー1102は主なトーン1005に匹敵するレベルに増幅され得、したがって、ミキサー出力508は、そのようなスパーに関係付けられる所望の成分に加えて、そのような基本周波数からのDC寄与を含み得る。
【0101】
検出器出力521は、スパー1102の振幅に相関し得る。スパー1102の振幅によって特徴付けられるタイミングエラーは、以前に記載されるように、バックゲートバイアスおよび/またはドライバスイングの調節によって向上され得る。それらに従って、TCALDAC612および/または602は、コントローラ517の一部として提供され得る。このようなTCALDACは、以前に記載されるように、タイミングの瞬間の所望の変化を作用するために、分解能パラメータと期待される動作範囲とを有し得る。
【0102】
繰り返すと、電流ステアリングセル同士の間のタイミングの不一致は、ピコ秒のオーダであり得る。バックゲートバイアシングは、実施形態に依存して変動し得るタイミング感度を有し得るが、それは、明瞭さの目的のために、約25ps/Vであると仮定され得る。それらに従って、5ビット以上を有するとともに約0.5Vのフルスケールの出力電圧を有する簡素な分解能DACは、TCALDAC612に適用されると、コードインクリメント当たり約0.5psより良好なタイミング変更に影響することが可能であり得る。修正精度は、より高い解像度変換器および/またはより制限されたフルスケールの範囲について増加され得る。TCALDAC602を介するスイング調節は、約50ps/Vの感度を達成し得る。簡素な分解能変換器の場合、バックゲートバイアシングへの同等のタイミング変更が得られ得る。主なテイル電流デバイスと平行に電流シンクをドライブする電圧出力を有するTCALDAC602が使用され得る。随意に、電流シンク構成におけるTCALDAC602が使用され得る。上記の値は単に例示的であり、これらおよび/または他の値が、用途ごとに変動し得るように使用され得る。
【0103】
前述のように、コントローラ517においてインスタンス化され得るアルゴリズムが使用され得、このようなアルゴリズムは、より容易にFPGAにおける実現例に役立ち得る。以下に付加的に詳細に記載されるように、アルゴリズム実現可能性が実行時間の点から記載される。
【0104】
力ずくのアプローチ(brute force approach)は、推定目的のための最も悲観的または最も保守的なアプローチであり得、したがって、テスト時間は、あまり保守的でないアプローチの場合に短くされ得るということが認識されるべきである。さらに、TビットTCALDACについて、2^Tの可能なコードによる力ずくの反復は、このようなコードの小さなセットのみが重要であり得るので、非常に非最適であり得る。したがって、別のサーチアプローチは、二分探索またはバイナリーサーチであろう。さらに、力ずくのテストアプローチは、タイミング較正から著しく利益を取得し得る、電流ステアリングセルの量を減らすアーキテクチャ上の考慮を利用しないということが認識されるべきである。たとえば、12bの2進加重アーキテクチャにおいて、6つの最上位ビットのみがスペクトルの性能を支配し得、したがって、タイミング較正から著しく利益を取得し得る。これらのビットのみについてタイミングを修正することは劇的なパフォーマンス向上を有し得、約3つ以上の桁だけ何百ミリセカンドまでテスト時間を低減し得る。最急降下または遺伝的アルゴリズムのようなよりインテリジェントなアルゴリズムの使用により、テスト時間がさらに低減され得る。非常に多くのスイッチを有するセグメント化されたCS−DACまたは単項DACのような他のアーキテクチャの場合、そのようなスイッチは、互いに近接近した単項セルとしてグループで較正され得る一方、小さなランダムなタイミング差異を被るのみである。空間的に遠く離れたスイッチは、システム的な影響を被り得るので、空間的に隣接したスイッチ同士をグループ化することで、較正効率を産出し得る。実現例に依存して、同等のF
outトーンは異なる切替シーケンスのために生成され得る。同じF
outだが異なるスイッチングシーケンスについての結果の差動解析は、どのスイッチが修正システム500のエラー処理において支配的であるか識別することを助け得る。それらに従って、CS−DAC510は、エラー条件を支配する1つ以上のスイッチをカットアウトすることが可能になるように、冗長なスイッチを有するように構成され得る。全体的に、一般に、アーキテクチャの知見および実現されたアーキテクチャが、全体の性能に対してあまり影響なく劇的にテスト時間を低減するために使用され得る。計算されたテスト時間は、性能パッケージテストまたはknown-good die(「KGD」)アプローチについて妥当であり得る。
【0105】
繰り返すと、DACの性能は、1つ以上のスイッチングイベントに関連付けられるタイミングエラーを較正することにより向上される。上記の記載は、FPGA、ASIC、または、プリント回路板(「PCB」)上の離散的な部分として実現される他のコンポーネントを有する離散DACについてあったが、デジタル信号プロセッサ、FPGAもしくはマイクロコントローラ、または、フィルタ515までおよびフィルタ515を含むデータ変換器および信号処理の回路網によって提供されるコントローラ517は、インタポーザダイ構成を有するまたは有さない積み重ねられたダイの一部としての別個のダイとしてアナログファブリック上で実現され得る。検出器は、制御アルゴリズムが動作するFPGAデジタルファブリック上で実現されるXADCであり得る。アナログファブリック上で、TCALDACが実現され得る。本願明細書に記載されるようなアナログ処理ブロックは回路環境に依存し得る。たとえば、ミキサーは、ICアナログファブリックダイ実現例のためのギルバートセルミキサーとして実現され得るか、または、PCBの上の受動ダイオードリングミキサーとして実現され得る。
【0106】
さらに、修正システム500は、オンチップビルトインセルフテスト(「BIST」)回路として実現され得、そのようなリソースは、専用であるかまたは較正の後、利用可能なリソースのプールに戻され得る。それらに従って、1つ以上のDAC510のスイッチングの瞬間を制御するための較正の結果を格納するよう、1つ以上のDAC510に結合されるレジスタまたは他のストレージデバイスが使用され得る。それらに従って、FPGA100のプログラマブルリソースまたは他のプログラマブルリソースは、DAC510を制御するためのTCALDACを制御するよう使用され得る。
【0107】
ローカル発振器514は、たとえば以下に記載されるように、DACとして実現され得る。限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、CS−DAC510の2つのアレイがDACダイ上に設けられるとする。さらに、限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、各アレイ内に、すべてが同じサンプルグローバルサンプリングクロックを共有する複数のI−QDAC対が存在するとする。I−Q対における1つのDAC510は、3*F
outローカル発振器信号を合成するよう使用され得る一方、このような対における他のDAC510がタイミング修正を経る。ローカル発振器514に使用されるDAC510の高調波はしたがって、タイミング較正を経るDACの9*F
outにて効果的にあり得、ミキサー513の帯域幅内に存在する可能性が低い。このアプローチの利点は、そのようなアレイ内の対のI−QDAC510は、同じサンプリングクロックを使用するので、本質的に互いに位相ロックされ得ることである。
【0108】
ローカル発振器514としてDAC510を使用することはシリコン面積を節約し得、複数のDAC510を並列に較正することを促進し得る。ローカル発振器514としてDAC510を使用することは、生成されるべき任意のトーン周波数を用いて、変換器の動作範囲内での任意の所望の周波数でのテストを可能にすることを促進し得る。たとえば、テスト中のDAC510は、最も大きいスプリアストーンについてスキャンされるその出力スペクトルを有し得るとともに、このトーンがフィンガープリント位置にて発見されなければ、たとえば規格遵守不良に関する推論が引き出され得る。随意に、本願明細書において記載される技術は、最も大きいスパーに適用されてその振幅を最小限にし得る。任意の構成について、DAC発振器514の周波数選択性は、テスト下においてDAC510の出力スペクトルを掃引してこのような較正前および較正後出力を特徴付けるよう、検出スキームと組み合わせられ得る。これは、スプリアストーンに関連付けられる周波数にて単に修正するのではなく、DAC510出力スペクトルの全体にわたって較正によってエラー修正されたことを保証するために使用され得る。掃引された出力スペクトルを有する実施形態について、BPF511は、調節可能であるか、または随意に、たとえばそれぞれのミキサー513を含むカスケード接続された2つ以上のミキサーステージを使用するスーパーヘテロダインであり得、中帯域周波数成分およびベースバンドのダウンコンバートされた周波数成分を作り出すためのスーパーヘテロダインモードを提供するよう使用され得る。そのような掃引された出力スペクトル実施形態は、標準通信理論および本願明細書における先行する記載から直接的に従っているので、明瞭さの目的のために、任意のより多くの詳細において記載されない。
【0109】
図13は、さらに別の例示的な修正システム500を示すブロック図である。修正システム500は、以前に記載されるように、較正システム520と、たとえば、較正されるべき較正システム520に結合されるCS−DAC510のようなDAC510とを含むが、以下の違いが存在する。また、以前に記載されるとともに以下に付加的に詳細に記載されるように、CS−DAC510のアナログ出力503における1つ以上のタイミングエラーは、アナログ出力503の周波数ドメインにおいてスプリアス成分を測定することにより特徴付けられ得る。次いで、これらのエラーは、CS−DAC510内部のスイッチングイベントのタイミングを調節することにより修正され得る。
【0110】
図13の修正システム500において、増幅器出力505は、上部ミキサー513−1および下部ミキサー513−2に提供される。ローカル発振器514の発振器出力506−1はミキサー513−1に提供され、ローカル発振器514の発振器出力506−2はミキサー513−2への入力として提供される。発振器出力506は、互いに対して90度位相シフトされ得る。限定ではなく例示による明瞭さの目的のために、発振器出力506−1は、90度位相シフトされ、発振器出力506−2は位相シフトされていない、すなわち、それぞれ90度および0度の信号であるとする。それらに従って、ローカル発振器514は、2つのローカル発振器であり得る。たとえば、1つの発振器DAC514への入力は、所望の位相シフトに対応する多くのクロックまたは発振器サイクルによって、他の発振器DAC514に対して遅延され得る。
【0111】
本願明細書において前述のように効果的にヘテロダインすることは、
図13の修正システム500のロックイン構成を作り出すことまで延在され得る。2つの発振器514を使用することによってまたは互いに対して90度位相シフトされる2つの出力を有する単一の発振器514を使用することによって、スパーの振幅および位相は、関連付けられるローカル発振器514出力に関して測定または検出され得る。
【0112】
したがって、ミキサー513−1のミキサー出力508−1は、Q検出器516−1への入力についてフィルタ出力509−1を得るよう、フィルタ515−1への入力として提供される。ミキサー513−2のミキサー出力508−2は、I検出器516−2への入力についてフィルタ出力509−2を得るよう、フィルタ515−2への入力として提供される。
【0113】
図13の修正システム500によって産出された振幅情報は、
図5の修正システム500に同等であり得る。しかしながら、
図13の修正システム500によって産出された位相情報は、付加的な洞察を提供し得る。それらに従って、Q検出器516−1のQ検出器出力521−1およびI−検出器516−2のI−検出器出力521−2は、それぞれQ検出器入力およびI検出器入力として、それぞれの入力ポート518−1および518−2へ提供され得る。限定ではなく明瞭さの目的のために、このような入力の各々の幅はDビットであり、Dは正の整数であるとする。コントローラ517は、前述と同じ振幅情報であるが異なる位相情報を提供するためのIおよびQ入力に応答して、2つのTCALDACトリムコードを処理するように構成され得る。TCALDACトリムコードの関数としての位相の変化は、TCALDACトリムコードのうちサーチの方向を示すために利用され得る。
【0114】
図14−1〜
図14−4は、さまざまな例示的な信号またはトーンを示すそれぞれの信号図である。
図14−1は、理想的な正弦波トーン1401と、振幅エラーを有する正弦波トーン1402とを含んでおり、正弦波トーン1401および1402は互いに同相である。
図14−1についてのエラー信号1405が、
図14−3に示される。したがって、振幅エラーは、理想的な正弦波トーン1401と同相であるエラー信号1405を生成し得る。
図14−2は、理想的な正弦波トーン1401と、タイミングエラーを有する正弦波トーン1403とを含んでおり、正弦波トーン1403は、サイクルにわたってさまざまなポイントにて理想的な正弦波トーン1401に対してわずかに違相しているに過ぎず、とりわけゼロ交差である。
図14−2についてのエラー信号1406が
図14−4に示される。したがって、タイミングエラーは、理想的な正弦波トーン1401に対して90度位相がシフトされるエラー信号1406を生成し得る。
図14−1および
図14−4から、原則において、ロックイン実施形態によって提供される付加的な位相情報を使用してタイミングおよび振幅エラーが切り離され得るということが理解されるべきである。識別された振幅エラーについて、コントローラ517のような制御ブロックおよび較正システム520のような制御システムは、米国特許第7,466,252B1号でのようにスケーリングされた電流修正を包含するよう構成され得る。
【0115】
上述したように、コードのサイクルにわたって作り出されるスパーの位相の関係が決定され得る。実施形態におけるこの決定は、変調されているDACの分離されたスイッチの結果ではない。それらに従って、情報は、電流ステアリングセルレベルでエラーを修正するあまりターゲットとされなかった測定システムとは対照的に、システムレベル(DACレベル)にてエラーを積極的に修正するよう使用され得る。
【0116】
図15は、さらに別の例示的な修正システム500を示すブロック図である。修正システム500は、サブサンプリングループバックの実施形態である。ループバックは完全に、たとえば同じダイ内または同じマルチダイパッケージ内といった、内部ループバックであり得る。たとえば、ループバックは、同じSSITパッケージにおいて、1つのダイ上のDACおよび別のダイ上のアナログ−デジタル変換器(「ADC」)のためのものであり得る。修正システム500は、前述のように、較正システム520と、たとえばCS−DAC510のような、較正システム520に結合される較正されるべきDAC510とを含むが、以下の違いが存在する。また、以前に記載されるとともに以下に付加的に詳細に記載されるように、CS−DAC510のアナログ出力503における1つ以上のタイミングエラーは、アナログ出力503の周波数ドメインにおいてスプリアス成分を測定することにより特徴付けられ得る。次いで、これらのエラーは、CS−DAC510内部のスイッチングイベントのタイミングを調節することにより修正され得る。
【0117】
図15の修正システム500において、ミキサー513、ローカル発振器514、フィルタ515および検出器516はすべて、周波数F
adcにてクロック信号1502を受け取るよう結合されるアナログ−デジタル変換器(「ADC」)1501と置換される。ADC1501は、DAC510とは別個のダイ上に存在し得る。増幅器512の差動出力505は、ADC1501への入力として提供される。ADC1501は、コントローラ517のADC入力ポート518へADCデジタル出力521を提供する。
【0118】
ADC1501は、クロック信号1502に応答して、サブサンプリングのために動作され得る。直接的に増幅器出力505をサンプリングする高速ADC1501は、別の実施形態において使用され得るが、このようなシステムは、サブサンプリングの実施形態と同じ分解能を達成しない場合がある。サブサンプリングモードで動作するADC1501は、ADC1501のサンプルレートF
adcで入力信号を効果的にビート(beat)する。このようなビーティングは、スプリアストーンの帯域幅がADC1501の帯域幅より小さい場合に、ADC1501の変換帯域幅以内に効果的に存在する生じる信号を生成し得る。ADCサンプルレートは、コヒーレントサンプリング基準に従って、スプリアス信号に対して選択され得る。
【0119】
DAC510のアレイに戻って、ADC1501のアレイはそのようなダイ上に存在し得る。それらに従って、単一のDAC510およびADC1501の組合せのループバック構成を使用して、他のすべてのDAC510が測定され、かつ、残りの対応するADC1501を使用して同時に較正される。
【0120】
上記の記載を念頭において、高性能DACが、時間インターリーブされたDAC510のアレイから構築され得る。上記の記載を使用して、このような高性能DAC内のDAC510は、全体としてこのようなアレイにおいて残存するDAC510を修正するよう進行する前に、そのタイミングエラーのいずれかを修正し得る。個々のDAC510が、孤立して正弦波トーンを合成し、それについて修正されるよう使用され得る場合、時間インターリーブされたDAC510のアレイが一斉に動作し得、DAC510同士の間のタイミングエラーが低減または最適化され得るトーンが作り出される。言いかえれば、そのようなアレイにおけるDAC510同士の間のタイミングエラーの測定および修正が、時間インターリーブベースで進み得る。
【0121】
図16は、上記の記載に従った較正フロー1600を示すフロー図である。
図5〜
図16を同時に参照して、較正フロー1600がさらに記載される。
【0122】
較正フロー1600は、信号変換器の較正に一般に関する。1601では、アナログ出力信号503がDAC510から提供される。前述のように、たとえばスパーといったスプリアススペクトル性能パラメータが、DAC510のそのようなアナログ出力信号503において1602にて検出される。そのような検出は、以前に記載されるように、アナログ出力信号503を処理した後であり得る。また、このようなスプリアススペクトル性能パラメータは、DAC510に関連付けられるタイミングエラーに影響を受けやすい。1603では、検出されたこのようなスプリアススペクトル性能パラメータに応答して、調節信号522が提供される。調節信号522は、DAC602および/または612のような少なくとも1つの他のDACからDAC510に提供されて、DAC510を較正するようDAC510のタイミングエラーを修正する。1604では、DAC510は調節信号522を使用して較正される。
【0123】
上記は例示的な実施形態を記載しているが、1つ以上の局面に従う他の実施形態およびさらなる実施形態が、その範囲から逸脱することがなければ考案され得、当該範囲は添付の請求の範囲およびその等価物によって決定される。ステップをリストする請求項は、ステップの如何なる順序も暗示しない。商標はそれぞれの所有者の所有物である。