特許第6178002号(P6178002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178002
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】円筒体用の全方向アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/27 20060101AFI20170731BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20170731BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H01Q9/27
   G06K19/077 292
   G01R31/36 A
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-514988(P2016-514988)
(86)(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公表番号】特表2016-530742(P2016-530742A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2014038586
(87)【国際公開番号】WO2014189831
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】13/901,225
(32)【優先日】2013年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/974,778
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン トドロフ ボーリルコフ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ コロナド ホルタル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム モリス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェフリー スペクト
(72)【発明者】
【氏名】カルヴィン クリストファー ジャイルズ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンチン ディミトロフ ステファノフ
【審査官】 佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−139544(JP,A)
【文献】 特開2012−170262(JP,A)
【文献】 米国特許第05587573(US,A)
【文献】 特開2006−324074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
G06K 19/077
H01Q 1/36
H01Q 9/27
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体用のアンテナであって、
円筒体に結合されたフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に結合された第1の端子及び第2の端子を有する少なくとも1つのアンテナトレースを含むアンテナと、
前記第1の端子及び前記第2の端子に電気的に結合された集積回路と、
を備え、前記アンテナは、2個の対称的ループ全方向アンテナであることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記フレキシブル基板は、電磁場ディフレクターであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記フレキシブル基板は、接着剤によって前記円筒体上に置かれる保護層と、可撓性の多層プリント回路基板と、及び、前記円筒体に被せられ、熱又は光によって活性化されて収縮して前記フレキシブル基板を前記円筒体に形状一致させる収縮性材料とからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記円筒体は電池であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記電池のカソードと前記集積回路との間に電気的に結合された第1のリードと、
前記電池のアノードと前記集積回路との間に電気的に結合された第2のリードと、
を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記集積回路は、アナログ−デジタル変換器及び通信回路を更に備え、前記集積回路は前記電池の状態を感知し、前記電池の前記状態を信号により通信するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記電池の前記状態は、過放電保護と、過充電保護と、残容量測定と、電圧測定と、サイクル寿命測定と、及び電源管理とからなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記集積回路は、無線周波数識別チップ又は近距離無線通信チップであることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
前記2個の対称的ループ全方向アンテナは、同位相形態であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項10】
前記2個の対称的ループ全方向アンテナは、逆位相形態であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項11】
円筒体用の折り畳みアンテナであって、
円筒体に結合されたフレキシブル基板であって、該フレキシブル基板内部に配置されたアパーチャを有し、前記円筒体を前記アパーチャ内に通過させて前記円筒体の周囲に前記フレキシブル基板を巻きつけることができるように構成された、該フレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板に結合された第1の端子及び第2の端子を有するアンテナと、
前記第1の端子及び前記第2の端子に結合された集積回路と、
を備え、前記アンテナは、2個の対称的ループ全方向アンテナであることを特徴とするアンテナ。
【請求項12】
前記円筒体は電池であることを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記集積回路は、無線周波数識別チップ又は近距離無線通信チップであることを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記集積回路は、アナログ−デジタル変換器及び通信回路を更に備え、前記集積回路は、第1のリードが前記電池のアノードに電気的に結合され、および第2のリードが前記電池のカソードに電気的に結合された状態で前記電池の状態を感知し、前記電池の前記状態を信号により通信するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記集積回路は、前記電池の前記状態をリーダーに信号により通信し、前記リーダーは、スマートフォンと、タブレットと、パーソナルコンピュータと、専用無線周波数識別タグリーダーと、専用近距離無線通信タグリーダーと、携帯型コンピューティング装置、及びコンピューティング装置に電気的に結合されたワンドアンテナとからなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に円筒体用のアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)が、セキュリティー、在庫管理、アクセス制御などの用途において普及しつつある。そのサブカテゴリーの1つとして、高周波(HR)帯域(13.56MHz)においてRFIDと同じキャリア周波数を使用する近距離無線通信(NFC)が、無線センサーなどの用途で用いられている。NFC対応スマートフォンの数は、様々な用途の受動的又は能動的トランスポンダー(RFIDタグ/NFCタグ)とともに増加している。RFID/NFCタグに使用されている現在のRFID/NFCループアンテナは、13.56MHzの範囲で共振し、通常は長方形又は円形の形状を有するダイポールアンテナである。ダイポールアンテナの空間応答は2方向性であり、リーダーのアンテナとタグのアンテナが平行の場合に最大となり、それらが垂直となる場合に0となる。
【0003】
例えば、RFID/NFCタグがつけられた物体が任意の位置に置かれているか、又は任意の方向に動いている場合のように、3次元(3D)の応答が求められる場合、互いに対してほぼ直交する2個のアンテナが必要とされる。このような組み合わせは製造、及びRFID/NFCチップと同調、一致させることが困難であり、多くの場合、カスタムASIC(特定用途向け集積回路)を必要とする。一般的な電池は円筒状であるため、アンテナを円筒体上に配置する必要がある場合にはこの組み合わせは更に複雑となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、RFID及び/又はNFC用途における円筒体用の単一の全方向アンテナが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、円筒体用のアンテナ用の装置は、円筒体に結合されたフレキシブル基板を備えうる。前記フレキシブル基板は、第1の端子及び第2の端子が集積回路に結合されたアンテナをフレキシブル基板上に有しうる。前記集積回路は、アナログ−デジタル変換器及び通信回路を更に備えてよく、電池の状態を感知して前記電池の状態を信号により通信するように構成することができる。
【0006】
別の実施形態では、円筒体用のアンテナ用の装置は、円筒体に結合されたフレキシブル基板であって、内部に配置されたアパーチャを有し、前記円筒体を前記アパーチャ内に通過させて前記円筒体の周囲にフレキシブル基板を巻きつけることができるように構成されたフレキシブル基板を備えうる。第1の端子及び第2の端子を有するアンテナを、集積回路とともに前記フレキシブル基板に結合することができる。前記集積回路は、アナログ−デジタル変換器及び通信回路を更に備えてよく、電池の状態を感知して前記電池の状態を信号によりリーダーに通信するように構成することができる。
【0007】
更に別の実施形態では、電池上の電池状態指示回路用の装置は、円筒型電池に結合された可撓性フェライトシールドを有しうる。第1の端子及び第2の端子を有する連続的なループアンテナを、前記フェライトシールド上に印刷することができる。集積回路を前記アンテナの前記第1の端子及び前記第2の端子に電気的に結合することができるが、集積回路は、アナログ−デジタル変換器、及び電池の状態を感知して前記状態を信号によりリーダーに通信するように構成された通信回路を更に備えうる。 集積回路は、電池のアノードに電気的に接続された第1のリードと、電池のカソードに電気的に接続された第2のリードによって電池に電気的に結合されることができる。
【0008】
本明細書に述べられる実施形態によって提供されるこれらの要素及び更なる要素は、以下の詳細な説明を図面と併せて考慮することでより深い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図に示される実施形態は、その性質上、例示的かつ代表的なものであって、「特許請求の範囲」によって定義される発明の主題を限定することを意図するものではない。以下の「発明を実施するための形態」は、以下の図面と併せ読むことでその理解が得られるものである。なお、図中、同様の構造は同様の参照符合によって示している。
図1】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、円筒体上に印刷された全方向アンテナを示す。
図2A】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの逆位相形態を示す。
図2B】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの逆位相形態を示す。
図3A】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの同位相形態を示す。
図3B】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの同位相形態を示す。
図3C】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの同位相形態を示す。
図3D】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの同位相形態を示す。
図4】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、折り畳みアンテナを示す。
図5A】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、円筒体の周囲に折り畳みアンテナを巻きつける工程を示す。
図5B】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、円筒体の周囲に折り畳みアンテナを巻きつける工程を示す。
図5C】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、円筒体の周囲に折り畳みアンテナを巻きつける工程を示す。
図6】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、その曲面の中心を中心として回転させられた折り畳みアンテナの読み取り範囲を示す。
図7】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、その長軸を中心として回転させられた折り畳みアンテナの読み取り範囲を示す。
図8】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの同位相形態を示す。
図9】本開示において示し、説明する1又は2以上の実施形態に基づいた、複数の全方向アンテナの実施形態の読み取り範囲を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、円筒体53上に配置又は印刷することが可能であり、RFID/NFC技術を用いて読み取ることができる3D性能(全方向アンテナのあらゆる向き)を与えることが可能な単一の全方向アンテナの一実施形態を概略的に示したものである。全方向アンテナの異なる実施形態及び全方向アンテナの動作について本明細書で更に詳しく説明する。
【0011】
ここで図1を参照すると、円筒体53上に配置することができる全方向アンテナ40が示されている。全方向アンテナ40は、複数のアンテナを形成するか又は1又は2以上の連続的なループアンテナを形成しうる複数のアンテナトレース45を有することができる。各ループは、複数のアンテナトレース45の1重又は2重以上の巻き又は巻き線を有することができる。一実施形態では、全方向アンテナ40は、円筒体53上に直接印刷される。別の実施形態では、全方向アンテナ40はフレキシブル基板50上に直接印刷される。フレキシブル基板50は、例えば、フレキシブル基板50を円筒体53に接合することを可能とする可撓性かつ/又は収縮性材料である多層プリント回路基板である、接着剤により円筒体53上に配置される保護層であってよい。収縮性材料は、円筒体53を覆って配置してから、熱又は光によって活性化させて収縮させフレキシブル基板50を円筒体53に形状一致させることができる。
【0012】
特定の実施形態では、フレキシブル基板50は、円筒体53が時間変動磁場などの磁場に曝される結果、電流(渦電流)が流れうる又は循環しうる任意の材料で形成されている場合には、円筒体53上で使用するための電磁場(EMF)ディフレクターとすることができる。磁場に曝される際に電流が流れうる又は循環しうる材料には、任意の鉄金属及び/若しくは非鉄金属、又は有限量の電子を流すことができる任意の材料が含まれる。このようなEMFディフレクターは、円筒体53に塗工、印刷、又は接着することができ、全方向アンテナ40により誘導される、かつ/又は円筒体53内部に渦電流が発生する際に環境によって誘導されるあらゆる磁場を遮蔽又は減衰させる機能を有しうる。EMFディフレクターは、円筒体53に接合される可撓性フェライトシールドとするか、又は特定の周波数で高い透磁率を有する他の任意の材料で形成することができる。EMFディフレクターには、本明細書に参照によってその全容を援用するところの米国仮特許出願第61/746,265号に示され、述べられる「磁場ダイバーター」という別名もある。EMFディフレクターは、渦電流が生成されてアンテナの周囲の磁場を弱めることを防止するために導電性であってはならない。例えば、鉄、ニッケル、又はコバルト、及び導電性ではないこれらの対応する合金など、電気絶縁性を有し高い透磁率を与える他の材料もフェライトシールドとして使用することができる。EMFディフレクターにより、磁場に曝露される結果として電流が流れうるか又は循環しうる円筒体53にRFID/NFC技術を適用することが可能となる。
【0013】
図1、6、及び7を参照すると、長軸710が円筒体53の中心の長さに沿って示されている。図7に示されるように長軸710に沿って円筒体53を見た場合に円形端面83が見られる。図6に示されるように、長軸710に垂直に円筒体53を見た場合に長手方向の図82が見られる。
【0014】
別の実施形態では、EMFディフレクターを円筒体53とフレキシブル基板50との間に介在させるか又は配置することができる。EMFディフレクターは、円筒体53に塗工、印刷、又は接着することができ、フレキシブル基板50をEMFディフレクターに対して収縮させるか又は接着することができる。
【0015】
チップ位置55はフレキシブル基板50上のどこに配置されてもよいが、アンテナトレース45の第1の端子60及び第2の端子65の近くであることが好ましい。第1の端子60及び第2の端子65は、集積回路(IC)のはんだ、導電性接着剤、超音波溶接、又はかしめ用の接合連結部を与えることができる。このようなICは、所定の機能を実行するために互いに電気的に接続された通信回路、及び/又はアナログデジタル(ADC)チップで構成することができる。ICは、これらに限定されるものではないが、表示回路、電源回路、RFIDチップ、NFCチップ、入力/出力回路又はポートなどの他の回路を含むことができる。ICは、通信回路とADCを互いに並べて物理的に同じ位置に配置するか又はこれらを互いに物理的に統合することができる。ICは、フレキシブル基板50に結合するか又は円筒体53と直接結合することができる。ICは、求められる機能の性能を含むように特に製造されたASICを含むこともできる。この機能は、電池の特定の状態を決定し、その情報を機能情報の形でリーダーに中継することでありうる。この機能は、電池の特定の状態の通知を信号で通信することであってもよく、又はこの機能は、音声的、視覚的、又は振動感覚による表示を含みうる電池の特定の状態の表示を与えることであってもよい。振動感覚とは振動を感知する能力のことであり、振動感覚表示は、振動の感覚を与えるための機械的又は電気機械的手段である。電池の特定の状態としては、電池が使用寿命の終わりに近づいた際の電池の出力、放電の速度が含まれ、電池が使用されるか又は交換する必要があることの表示、又は電池の充電の状態を与えてもよい。この機能は、過放電保護、過充電保護、残容量測定、電圧測定、サイクル寿命測定、及び電源管理に関する機能情報を与えることであってもよい。電源管理機能としては、電池の識別、電池の健康状態、電池の保護、セルバランシング、ガスゲージ(fuel gauging)、充電制御、変圧、負荷調整、電池のオン/オフ、出力設定値の調節、再充電を認めるか又は防止するか、電池バイパス、温度モニタリング、及び充電速度の調節が挙げられる。機能情報としては、下記に述べるような識別情報も含まれうる。
【0016】
第1のリード70及び第2のリード75を円筒体53の両端との接続に使用することができる。第1のリード70及び第2のリード75はアンテナトレース45と交差せずともよく、円筒体53上、又はフレキシブル基板50上に直接印刷することができる。第1のリード70及び/又は第2のリード75は、円筒体53から電気的に絶縁することができる。例えば円筒体53が電池である場合、第1のリード70はチップ位置55から電池上端(アノード)にまで延びてよく、電池上端に電気的に接続されるまで電池から電気的に絶縁された状態とすることができる。第2のリード75もチップ位置55から電池下端(カソード)にまで延びてよく、又は第2のリード75はチップ位置55において円筒体53上で終端してもよい。第1のリード70及び第2のリード75は、例えば銀エポキシ樹脂などの導電性接着剤により、又は超音波溶接により、円筒体53の各端部に接続することができる。
【0017】
ICは、例えば、RFIDチップ及び/又はNFCチップ、ADC、第1の端子60、第2の端子65、第1のリード70、及び第2のリード75を互いに物理的に統合し、電気的に接続することができる。ICは、固有の数字/記号の配列、又は例えば、製造日、ロット番号、シリアル番号、及び他の識別可能な情報などの情報を示す固有の識別子(RFIDタグに相当する)を有するように構成してもよい。ICは、第1のリードが電池のアノードに電気的に接続され、第2のリードが電池のカソードに電気的に接続された状態で電池の電圧を感知するように構成することもできる。ICは、電池のアノードとカソードの間の電圧を感知してこの電圧をリーダーに信号により報告することができる。
【0018】
図2A及び2Bは、2個の対称的ループを有する全方向アンテナの同位相形態200を示したものである。図3A、3B、3C、及び3Dは、2個の対称的ループを有する全方向アンテナの逆位相形態300を示したものである。図2A及び3Aは、重なり合わない2個の対称的ループを分かりやすく示すために2個の対称的ループを有する全方向アンテナを平らな状態で示している。一実施形態では、2個の対称的なループを有する全方向アンテナは、円筒体上に直接印刷することができる。別の実施形態では、2個の対称的なループを有する全方向アンテナは、上記に述べたようにフレキシブル基板50上に印刷することができる。フレキシブル基板50は第1の縁部205及び第2の縁部210を有することができる。2個の対称的なループを有する全方向アンテナの対称的なループのそれぞれは、1重、2重、又はそれ以上に巻かれたアンテナトレース45を有することができる。
【0019】
このような2個の対称的なループを有する全方向アンテナが、図2A及び2Bに逆位相形態200で、また、図3A、3B、3C、及び3Dに同位相形態で示されている。このような2個の対称的なループを有する全方向アンテナが円筒体に結合される場合、2個の対称的なループを有する全方向アンテナの2個のループは互いから約180°離れて(円筒体の反対側に)位置し、これにより2個の対称的なループを有する全方向アンテナとリーダー(図示せず)との間のより効果的な信号通信が可能となる。逆位相形態200では、円筒体の円筒端(上端と下端)において信号忠実度が高くなり、円筒体の上部と下部に沿ったアンテナトレース45の円形部分同士は互いに同位相であり、アンテナトレース45の長軸部分同士は相殺する。「同位相」なる用語は、波形が同調しているか、又は2又は3以上の波形の周波数が同じであり、それらの正のピークと負のピークが同時に生じる状況を含みうる。「相殺する」なる用語は、2又は3以上の波形が約180°位相がずれており、同じ周波数及び振幅を有する状況を含みうる。
【0020】
図2B及び3Bは、円筒体(図示せず)の周囲に巻くことができるそれぞれ図2A及び3Bのフレキシブル基板50上の2個の対称的なループを有する全方向アンテナを示したものである。第1の縁部205と第2の縁部210とに重なり合う部分はない。チップ位置55並びに第1の端子60及び第2の端子65が示されており、上記に述べたように動作する。この例示的な実施形態では、フレキシブル基板50が円筒物の周囲に巻かれる際、第1の縁部205と第2の縁部210とは互いにほぼ平行となる。別の実施形態では、2個の対称的なループを有する全方向アンテナは、第1の縁部205及び第2の縁部210を有するものに限定されず、図1に示されるような円筒形の形状を有するフレキシブル基板50上に印刷されてもよい。円筒形状のフレキシブル基板50は円筒体に被せることができ、図2Bに示されるように巻きつけなくともよい。
【0021】
図3A、3B、3C、及び3Dは、対称的なループのそれぞれが2重の巻き線を有する2個の対称的なループを有する全方向アンテナの同位相形態30を示している。2個の対称的なループを有する全方向アンテナは、上記に述べたように円筒体上、又はフレキシブル基板50上に直接印刷することができる。同位相形態300では、アンテナトレース45のチップ位置55との接続部は、図2A及び2Bの逆位相接続に示されるものと逆になっている。同位相形態300では、円筒体の長軸に沿った信号忠実度が高くなり、アンテナトレース45の円形部分同士が互いに逆位相で相殺し、アンテナトレース45の長軸部分同士が同位相となっている。
【0022】
特定の実施形態では、フレキシブル基板50は、多層プリント回路基板(PCB)であってよい。第1の端子60は、アンテナトレース45とは異なる多層PCB上の層を介してチップ位置55上のICに電気的に接続することができる。これにより、トレース同士が電気的に接続されることなく、図3A及びBに示されるようなトレース同士の重なり合いが可能となる。更に、第1のリード70及び第2のリード75も、第1のリード70及び第2のリード75のアンテナトレース45との交差を促すために多層PCBの別の層上にあってよい。図3C及び3Dに示されるように、下記により詳細に述べるようなICと第1の端子60及び第2の端子65との電気的接続を可能とするために架橋要素63が必要とされる場合もある。
【0023】
図3Cを参照すると、フレキシブル基板50は電池ラベルの厚さを小さくするために陥凹させるか又は切り抜くことができる。フレキシブル基板50の第1のタブ310によって第1のリード70用の構造を与えることができ、第1のタブ310を、第1のリード70が円筒体の上部に弾力的に接続されるように折り返すことができる。フレキシブル基板50の第2のタブ311によって第2のリード75用の構造を与えることができ、第2のタブ311を、第2のリード75が円筒体の下部に弾力的に接続されるように折り返すことができる。
【0024】
図4は、フレキシブル基板50上の折り畳みアンテナ400を示したものである。折り畳みアンテナ400は、少なくとも1つの連続的ループを形成するアンテナトレース45を有することができる。一実施形態では、アンテナトレース45は、少なくとも3重、又はより好ましくは少なくとも5重に巻かれた連続的なループアンテナを形成する。アパーチャ405がフレキシブル基板50内に設けられている。フレキシブル基板は、第1の延長部分410、第2の延長部分411、及び第3の延長部分412の3つの延長部分を有することができる。これら3つの延長部分(410、411、及び412)は、折り畳みアンテナ400の構成要素の取り付け表面を与えるために用いられる。例えば、第1の延長部分410は、第1のリード70を円筒体に弾性的に連結するために使用することができ、第2の延長部分411は、第2のリード75を円筒体に弾性的に連結するために使用することができ、第3の延長部分412は、チップ位置55を折り畳みアンテナ400に弾性的に連結するために使用することができる。
【0025】
図5A、5B、及び5Cは、図4の折り畳みアンテナ400を円筒体の周囲に巻きつけるための工程を示したものである。図5Aでは、折り畳みアンテナ400のアパーチャ405が引っ張って開かれる。矢印01は、アパーチャ405の下の下側部分が矢印02により示される上側部分から引き離されることによって、図5Bに見られる形状となることを示している。次に、第1のフラップ510及び第2のフラップ515が、円筒体に対して平らに置かれて形状が一致するように「折り畳まれる」。図5Cは、折り畳みアンテナ400の最終形態を示す。第1のフラップ515が折り畳みアンテナ400に接して示されている。
【0026】
図6は、円筒体600がリーダー(図示せず)の前方においてその曲面の中心610を中心として360°回転させられる際に折り畳みアンテナ400を使用して読み取られる範囲を示している。円筒体600の中心からの距離はミリメートルで測定されている。電池のアノード及びカソードの周囲の読み取り範囲は、電池の中心610から約25mm〜約35mmでありうる。読み取り範囲は、電池の長軸に沿って電池の中心610から約30mmでありうる。
【0027】
図7は、円筒体700がリーダー(図示せず)の前方においてその長軸710を中心として360°回転させられる際に折り畳みアンテナ400を使用して読み取られる範囲を示している。円筒体700の中心からの距離はミリメートルで測定されている。電池がその長軸710を中心として回転させられる際の読み取り範囲は、約20mm〜約28mmでありうる。折り畳みアンテナ400の読み取り範囲は、電池がその長軸710を中心として回転させられる際により一貫した読み取り範囲を与えることができる。
【0028】
図8は、対称的なループ1個につき3重の巻きを有する同位相形態の2個の対称的なループを有する全方向アンテナ800を示したものである。2個の対称的なループを有する全方向アンテナ800は、上記に述べたように、円筒体上又はフレキシブル基板50上に直接印刷することができる。同位相形態では、円筒体の長軸に沿った信号忠実度が高くなり、アンテナトレース45の円形部分同士が互いに逆位相で相殺し、アンテナトレース45の長軸部分同士が同位相となっている。
【0029】
フレキシブル基板50の第1のタブ310によって第1のリード70用の構造を与えることができ、第1のタブ310を、第1のリード70が円筒体の上部に弾力的に接続されるように折り返すことができる。フレキシブル基板50の第2のタブ311によって第2のリード75用の構造を与えることができ、第2のタブ311を、第2のリード75が円筒体の下部に弾力的に接続されるように折り返すことができる。
【0030】
本開示は、最大で3個の対称的なループに限定されるものではなく、所望の読み取り範囲を実現するために必要とされる任意の数のものであってよい点は理解されるべきである。通信回路に関して以下に説明するように、既に全世界で使用されているRFID規格に適合させるために低周波(約125kHz〜約134.2kHz及び約140kHz〜約148.5kHz)、高周波(約13.56MHz)、又は超高周波(約868MHz〜約928MHz)を使用することができる。RFIDチップとRFIDチップリーダーの共振周波数を満たす同調性範囲を有するLC(インダクタンス及びキャパシタンス)タンク回路を与えるために、何個の対称的なループを使用し、対称的なループ1個につき何重の巻き線を使用しうるかを決定するうえで、対応するIC入力キャパシタンス及びアンテナのインダクタンスが求められる必要がある。
【0031】
図9は、円筒体用の2個の対称的なループを有する全方向アンテナの複数の実施形態の読み取り範囲をミリメートル(mm)で示したものである。同位相形態での比較を行うため、対称的なループ1個につき2重の巻き線(○)を有する全方向アンテナ、対称的なループ1個につき3重の巻き線(□)を有する全方向アンテナ、及び5重の折り畳み(×)全方向アンテナが示されている。2重の巻き線(○)を有する全方向アンテナは、約18mm〜約30mmの読み取り範囲を有しうる。3重の巻き線(□)を有する全方向アンテナは、約22mm〜約33mmの読み取り範囲を有しうる。5重の折り畳み(×)全方向アンテナは、約22mm〜約25mmの読み取り範囲を有しうる。
【0032】
図1〜4及び図8を参照すると、アンテナ又はフレキシブル基板50の印刷には、対象表面(円筒体又はフレキシブル基板)上に材料を適用するためのRFスパッタリング技術などのスクリーン、グラビア、又はインクジェット印刷の使用によりアンテナ又はフレキシブル基板50を形成する機械、対象の表面上で材料を形成するために印加される衝撃又は圧力、金属箔マスク及びエッチング技術、又は対象表面に適用された熱若しくは光活性化材料が含まれうる。
【0033】
アンテナトレース45、第1の端子60、第2の端子65、第1のリード70、及び第2のリード75は、銅、アルミニウム、銀、金、又は他の導電性金属で形成することができる。他の例としては、導電性ポリマー、導電性接着剤、及びグラファイトなどの導電性炭素が挙げられる。一実施形態では、アンテナトレース45、第1の端子60、第2の端子65、第1のリード70、及び第2のリード75は、上記に述べたようにして印刷することができる。別の実施形態では、アンテナトレース45、第1の端子60、第2の端子65、第1のリード70、及び第2のリード75は、絶縁されるか又は裸の予め形成された導線であってよい。予め形成された導線が裸線である場合、導線は非導電性シート、非導電性テープ、非導電性フレキシブル基板、又は非導電性収縮ラップで被覆することができる。例えば、非導電性シート又は収縮ラップは製品ラベルとすることができる。
【0034】
一実施形態では、ICは電池により電力供給することができる(10)(アクティブ型)。別の実施形態では、ICは、リーダーが検出された場合にのみ電力供給されてもよく(10)(バッテリー補助パッシブ型)、更に別の実施形態では、ICは電池により電力供給されなくともよい(パッシブ型)(例えば外部電源からエネルギーを得る)。
【0035】
通信回路は、これらに限定されるものではないが、例えば、ISO/IEC 14223、14443、15693、15961、15962、15963、18000、18092及び21481通信規格に含まれるような無線周波数識別(RFID)回路構成(RFIDタグ)及び/又は近距離無線通信(NFC)回路構成(NFCタグ);例えば、IEEE 802.15.1通信規格に含まれるようなBluetooth回路構成;例えば、IEEE 802.11通信規格に含まれるようなWiFi回路構成;例えばIEEE 802通信規格に含まれるようなZigbee回路構成;及び任意の適当な固定無線通信回路構成などの任意の適当な通信プロトコルを使用することができる。通信回路は、高周波(HF)、超高周波(UHF)、又はマイクロ波周波などの任意の適当な周波数帯域を利用することができる。
【0036】
本開示は、1個の電池に限定されるものではなく、その状態を監視するためにRFIDタブ(チップ)又はNFCタグ(チップ)を使用する任意の円筒体又は物体に適用できることは理解されるはずである。例えば、円筒体は、二次電池、燃料電池、積層されたコイン電池、又は積層された円筒型電池であってもよい。円筒型電池としては、例えば、AAAA、AAA、AA、C、D、CR2、A123、及び円筒形状を有する他の電池が挙げられる。
【0037】
リーダーは、RFIDタグ又はNFCタグを読み取ることが可能な任意の装置であってよい。具体的な例としては、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)、専用RFIDタグリーダー、専用NFCタグリーダー、携帯型コンピューティング装置、又はコンピューティング装置に電気的に接続されたワンドアンテナが挙げられる。リーダーは、呼びかけ信号を送信することによってICを作動するために使用することができ、又はICに「ウェイクアップ」信号を送信することができる。呼びかけ信号は、IC内の回路にエネルギー印加し、ICの機能情報を送信するためにICに電力を供給するために用いられる所定の周波数のRFパルスであってよい。「ウェイクアップ」信号もやはりRFパルスであってよいが、ICは、ICに電力を供給し、その機能情報を送信するために別の電力源からの電力を使用してもよい。リーダーは、機能情報を視覚的に提示するためのディスプレイ、又は機能情報を音声により提示するための音声装置を有してもよい。リーダーは、機能情報が提示される前にこれを解釈及び/又は改変するためのアルゴリズムを含んでもよい。
【0038】
「ほぼ」及び「約」なる語は、本明細書では、すべての量的比較、値、測定値、又は他の表現に起因しうる内在的な不確定性の程度を示すために用いられる場合がある点に留意されたい。本明細書では、これらの用語は、量的表現が、論点となっている対象物の基本的機能に変化をもたらすことなく記載された基準から変動しうる程度を表すためにも用いられる。
【0039】
特定の用語は本開示ではあくまで便宜上用いられるものであり、限定的なものではない。「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「上側」及び「下側」なる語は、参照される図面における方向を示している。用語には、上記に示される語のみでなく、それらの派生語、及び同様の意味の語が含まれる。
【0040】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0041】
あらゆる相互参照又は関連する特許又は特許出願を含む、本明細書に引用される文献はすべて、明らかに除外されるか、又は別の方法で限定されている場合を除き、参照によって本明細書中にその全容を援用するものである。いずれの文献の引用もこうした文献が本明細書中で開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、又は他のいずれかの参照文献との組合せにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更には、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられる意味又は定義が優先するものとする。
【0042】
以上、本発明の特定の実施形態を例示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行いうる点は当業者には明らかであろう。したがって本発明の範囲に含まれるこうした変更及び改変はすべて、付属の特許請求の範囲において網羅することが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9