(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記短絡検出処理ユニットは、前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との電位の高低差又は少なくとも2つの前記短絡検出端子の電位の高低差に基づいて、前記インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在するか否かを判断し、短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジチップ。
前記短絡検出処理ユニットは、前記検出待ち接続端子以外の接続端子と電気接続されており、短絡が存在すると判断した場合、前記検出待ち接続端子以外の接続端子のうちの少
なくとも2つの接続端子間の電気接続を切断し、又は、前記検出待ち接続端子以外の接続端子のうちの少なくとも2つの接続端子を地面に接続させることを特徴とする請求項2に記載のインクカートリッジチップ。
前記検出待ち接続端子は、高圧接続端子であり、前記検出待ち接続端子以外の接続端子は、低圧接続端子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクカートリッジチップ。
前記短絡検出端子は、前記検出待ち接続端子と前記検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置され且つ線状を呈し、又は、前記検出待ち接続端子を取り囲んで環状を呈して配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクカートリッジチップ。
複数の接続端子と、前記複数の接続端子のうちの検出待ち接続端子と前記検出待ち接続端子以外の1つ又は複数の接続端子との間に全体又は一部が配置された短絡検出端子と、分圧給電ユニット、前記短絡検出端子及び前記検出待ち接続端子以外の接続端子と接続された短絡検出処理ユニットと、前記短絡検出処理ユニット及び前記検出待ち接続端子と接続され、前記検出待ち接続端子からの電圧を分圧し且つ分圧によって得られた低電圧を前記短絡検出処理ユニットに伝送するための分圧給電ユニットとを備え、前記短絡検出端子には、前記分圧給電ユニットによって得られた低電圧が提供されるインクカートリッジチップのチップ短絡検出方法であって、
前記複数の接続端子のうちの検出待ち接続端子に印加された電圧を分圧して1つ又は複数の低電圧を得るステップと、
前記低電圧を短絡検出処理ユニットに伝送するステップとを含むことを特徴とするチップ短絡検出方法。
前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との電位の高低差、又は、2つ以上の前記短絡検出端子の電位の高低差を検出することによって、前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との間に短絡が存在するか否かを判断し、
短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的問題の1つは、低コストで、耐久性があり、接続端子の短絡によってインクカートリッジにおける電子素子が損傷を受けることを回避可能なインクカートリッジ、インクカートリッジチップ及びチップ短絡検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的問題を解決すべく、本発明は、回路基板を備えたインクカートリッジチップを提供する。前記回路基板には、前記インクカートリッジチップが記録装置に取り付けられる際に記録装置側端子と接触接続される複数の接続端子が配置されている。本発明に係るインクカートリッジチップは、
【0010】
前記複数の接続端子のうちの検出待ち接続端子と前記検出待ち接続端子以外の1つ又は複数の接続端子との間に全体又は一部が配置された短絡検出端子と、
【0011】
分圧給電ユニット、前記短絡検出端子及び前記検出待ち接続端子以外の接続端子と接続された短絡検出処理ユニットと、前記短絡検出処理ユニット及び前記検出待ち接続端子と接続され、前記検出待ち接続端子からの電圧を分圧し且つ分圧によって得られた低電圧を前記短絡検出処理ユニットに伝送するための分圧給電ユニットとを備えている。
前記短絡検出端子には、前記分圧給電ユニットによって得られた低電圧が提供される。
【0012】
さらに、前記短絡検出処理ユニットは、前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との電位の高低差又は少なくとも2つの前記短絡検出端子の電位の高低差に基づいて、前記インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在するか否かを判断し、短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。
【0013】
また、前記短絡検出処理ユニットは、前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との電位差がデフォルト値より小さいか否か若しくは前記短絡検出端子の電位と電位前記検出待ち接続端子の電位とが同じであるか否かを判断するため、又は、少なくとも2つの前記短絡検出端子の電位差がデフォルト値より小さいか否か若しくは少なくとも2つの前記短絡検出端子の電位が同じであるか否かを判断するためにさらに用いられる。
【0014】
さらに、前記短絡検出処理ユニットは、前記検出待ち接続端子以外の接続端子と電気接続されており、短絡が存在すると判断した場合、前記検出待ち接続端子以外の接続端子のうちの少なくとも2つの接続端子間の電気接続を切断し、又は、前記検出待ち接続端子以外の接続端子のうちの少なくとも2つの接続端子を地面に接続させる。
【0015】
さらに、前記検出待ち接続端子以外の接続端子は、前記インクカートリッジチップの2つの取付検出接続端子を含み、前記短絡検出処理ユニットは、2つの前記取付検出接続端子の間に直列接続されている。前記短絡検出処理ユニットは、短絡が存在すると判断した場合、2つの前記取付検出接続端子間の電気接続を切断し、又は、2つの前記取付検出接続端子を地面に接続させる。
【0016】
また、前記短絡検出処理ユニットは、前記インクカートリッジチップにおける前記低圧電子素子とさらに接続されてよい。前記短絡検出処理ユニットは、短絡が存在すると判断した場合、前記低圧電子素子と前記検出待ち接続端子以外の接続端子のいずれかとの電気
接続を切断してよい。
【0017】
また、前記短絡検出処理ユニットは、検出ユニットと、制御可能なスイッチとをさらに含んでよい。前記制御可能なスイッチは、第1電界効果トランジスタを含み、前記検出ユニットは、第2電界効果トランジスタを含む。前記第1電界効果トランジスタは、入力端及び出力端を介して、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の2つの接続端子、若しくは、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の1つの接続端子及
び低圧電子素子、のそれぞれと接続され、又は、前記第1電
界効果トランジスタの入力端は、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の2つの接続端子、若しくは、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の1つの接続端子及び前記低圧電子素子、と接続され、且つ、前記第1電界効果トランジスタの出力端は、地面に接続されている。前記第1電界効果トランジスタの制御端は、RC回路を介して地面に接続されている。前記第2電界効果トランジスタの制御端は、前記短絡検出端子と接続され、前記第2電界効果トランジスタの入力端は、前記検出待ち接続端子と接続され、前記第2電界効果トランジスタの出力端は、前記第1電界効果トランジスタの制御端と接続され且つ前記RC回路を介して地面に接続されている。
【0018】
また、
前記RC回路が、第1抵抗と第1コンデンサとによって構成され、前記分圧給電ユニットは、
一端が地面に接続され、他端が第2抵抗及び前記短絡検出端子のそれぞれと接続された、第3抵抗と第2コンデンサとの並列回路をさらに含
み、前記第2抵抗は、前記検出待ち接続端子と接続され
ている。
【0019】
さらに、本発明に係るインクカートリッジチップは、2つ以上の前記短絡検出端子を備えてよい。
【0020】
前記分圧給電ユニットは、前記2つ以上の短絡検出端子及び前記検出待ち接続端子のそれぞれと接続され、分圧回路を利用して前記検出待ち接続端子に印加された電圧を段階的に分圧して、得られた各低電圧を前記2つ以上の短絡検出端子のそれぞれに供給する。
【0021】
また、前記短絡検出端子は、第1短絡検出端子と第2短絡検出端子とをさらに含み、前記分圧給電ユニットは、第1分圧ユニット及び第2分圧ユニットをさらに含んでよい。前記第1分圧ユニットは、前記検出待ち接続端子からの電圧に対して分圧を行い且つ分圧で得られた第1低電圧を前記第1短絡検出端子に供給し、前記第2分圧ユニットは、前記検出待ち接続端子からの電圧に対して分圧を行い且つ分圧で得られた第2低電圧を前記第2短絡検出端子に供給する。
【0022】
また、前記短絡検出処理ユニットは、検出ユニットと、制御可能なスイッチとをさらに含んでよい。前記制御可能なスイッチは、第1電界効果トランジスタを含み、前記検出ユニットは、第2電界効果トランジスタを含む。前記第1電界効果トランジスタは、入力端及び出力端を介して、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の2つの接続端子、若しくは、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の1つの接続端子及び前記低圧電子素子、と接続され、又は、前記第1電界効果トランジスタの入力端は、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の2つの接続端子、若しくは、前記インクカートリッジチップにおける前記検出待ち接続端子以外の1つの接続端子及び前記低圧電子素子、と接続され、且つ、前記第1電界効果トランジスタの出力端は、地面に接続されている。前記第1電界効果トランジスタの制御端は、RC回路を介して地面に接続されている。前記第2電界効果トランジスタの制御端は、前記第1短絡検出端子と接続され、前記第2電界効果トランジスタの入力端は、前記第2短絡検出端子と接続され、前記第2電界効果トランジスタの出力端は、前記第1
電界効果トランジスタの制御端と接続され且つ前記RC回路を介して地面に接続されている。
【0023】
さらに、前記第1分圧ユニットは、第1RC回路及び1つの抵抗を含み、前記第1RC回路の一端は、地面に接続され、前記第1RC回路の端は、前記第1分圧ユニットの当該抵抗(R12)及び前記第1短絡検出端子のそれぞれと接続されている。前記第2分圧ユニットは、第2RC回路及び抵抗を含み、前記第2RC回路の一端は、地面に接続され、前記第2RC回路の他端は、前記第2分圧ユニットの当該抵抗(R25、R22)及び前記第2短絡検出端子のそれぞれと接続されている。前記第1分圧ユニットの当該抵抗(R12)及び前記第2分圧ユニットの当該抵抗(R25、R22)は、それぞれ前記検出待ち接続端子に接続されている。
【0024】
さらに、前記検出待ち接続端子は、高圧接続端子であり、前記検出待ち接続端子以外の接続端子は、低圧接続端子である。
【0025】
さらに、前記短絡検出端子は、前記検出待ち接続端子と前記検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置され且つ線状を呈し、又は、前記検出待ち接続端子を取り囲むように環状を呈して配置されている。さらに、前記短絡異常処理は、前記接続端子の少なくとも1つと前記インクカートリッジチップの低圧電子素子との接続を切断するステップ、前記接続端子のうちの2つ以上の接続端子間の接続を切断するステップ、及び/又は、前記記録装置に前記インクカートリッジチップが異常であると表示する信号を発信するステップを含む。
【0026】
本発明のもう1つの形態によれば、インクカートリッジをさらに提供する。当該インクカートリッジは、前述した技術的解決手段に基づいたインクカートリッジチップを備えている。
【0027】
本発明のもう1つの形態によれば、複数の接続端子と、前記複数の接続端子のうちの検出待ち接続端子と前記検出待ち接続端子以外の1つ又は複数の接続端子との間に全体又は
一部が配置された短絡検出端子と、分圧給電ユニット、前記短絡検出端子及び前記検出待ち接続端子以外の接続端子と接続された短絡検出処理ユニットと、前記短絡検出処理ユニット及び前記検出待ち接続端子と接続され、前記検出待ち接続端子からの電圧を分圧し且つ分圧によって得られた低電圧を前記短絡検出処理ユニットに伝送するための分圧給電ユニットとを備え
、前記短絡検出端子には、前記分圧給電ユニットによって得られた低電圧が提供されるインクカートリッジチップのチップ短絡検出方法が提供される。本発明に係るチップ短絡検出方法は、検出待ち接続端子に印加された電圧を分圧して1つ又は複数の低電圧を得るステップと、前記低電圧を短絡検出処理ユニットに伝送するステップとを含む。
【0028】
さらに、前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との電位の高低差、又は、2つ以上の前記短絡検出端子の電位の高低差を検出することにより、前記短絡検出端子と前記検出待ち接続端子との間に短絡が存在するか否かを判断する。短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。
【0029】
さらに、前記インクカートリッジチップに短絡が存在すると判断した場合に実行する短絡異常処理は、前記接続端子の少なくとも1つと前記インクカートリッジチップの低圧電子素子との接続を切断するステップ、前記接続端子のうちの2つ以上の接続端子間の接続を切断するステップ、及び/又は、前記記録装置に前記インクカートリッジチップが異常であると表示する信号を発信するステップを含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、従来技術と比較して、以下のメリットを有する。本発明によれば、インクカートリッジが記録装置に取り付けられる初期段階において、インクカートリッジチップ側から短絡を能動的に検出することができる。これによって、記録装置が短絡を検出した際にインクカートリッジにおける記憶素子が既に損傷している可能性が減少する。また、短絡検出回路が配置されていない記録装置においても、インクカートリッジを使用する安全性が高まる。分圧給電ユニットを介して分圧を実行した後、電
圧を短絡検出処理ユニットに伝送する技術的手段は、バッテリを介して短絡検出回路に給電する従来技術に対して、コストが大幅に削減され、電量の消尽によって短絡検出不可能なことがなく、チップの長期間の使用が可能であり、さらに、耐久性がより高い。
【0031】
本発明の他の効果、目的及び特徴について、以下にある程度説明する。当業者は、以下の説明に基づいて本発明をある程度明らかに理解でき、又は、本発明から教示を得ることができるであろう。本発明の目的及び他の効果について、以下の明細書、特許請求の範囲及び図面に特別に示される構成から実現及び獲得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面及び実施形態と併せて、本発明の実施形式について詳細に説明する。これによって、当業者は、本発明に係る技術的解決手段がどのように用いられて技術的問題を解決するか、また、技術的効果を実現する過程を十分に理解し、これに基づいて実施することができる。本発明の各実施形態及び各実施形態の各特徴は、矛盾がない限り、相互に組
み合わせることが可能であり、形成される技術的解決手段のすべては、本発明の保護範囲内である。
【0034】
本発明に係るインクカートリッジチップは、回路基板を備えている。回路基板には、インクカートリッジチップが記録装置に取り付けられる際に、記録装置側端子と接触接続される複数の接続端子(210〜290、710〜770、510〜590、610〜690)が配置されている。本発明に係るインクカートリッジチップは、短絡検出端子(301、301b、301c及び301d)、短絡検出処理ユニット(402及び302)及び分圧給電ユニット(303及び403)をさらに備えている。
【0035】
短絡検出端子の全体又は一部は、検出待ち接続端子と検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置されている。短絡検出処理ユニットは、分圧給電ユニット及び検出待ち接続端子以外の接続端子と接続されている。分圧給電ユニットは、短絡検出処理ユニットと接続され、検出待ち接続端子からの電圧を分圧し且つ分圧によって得られた低電圧を短絡検出処理ユニットに伝送する。
【0036】
分圧給電ユニットを介して短絡検出処理ユニットに給電することで、チップ短絡検出を低コストで且つ耐久的に実行することができる。チップの短絡検出処理ユニットによる短絡検出及び処理の方式は、具体的には、以下の方式であってよい。
【0037】
短絡検出処理ユニットは、短絡検出端子と検出待ち接続端子との電位の高低差又は少なくとも2つの短絡検出端子の電位の高低差に基づいて、インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在するか否かを判断し、さらに、短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。より具体的には、短絡検出処理ユニットは、少なくとも2つの短絡検出端子の電位の高低差又は短絡検出端子と検出待ち接続端子との電位の高低差を判断することによって、チップの接続端子の間に短絡が存在するか否かを判断する。
【0038】
説明を簡素化し、技術的解決手段を明確に提示するため、以下、インクジェットプリンタ及びインクカートリッジを例として説明する。以下の実施形態の解決手段についての説明は、インク以外の印刷材料を収容するカートリッジ(例えばトナーカートリッジ)及びこれに対応する記録装置にも適用可能である。
【0039】
<実施形態1>
図1aは、本発明の実施形態1に係るチップが適用されるインクカートリッジの構成概略図である。
図1bは、
図1aに示されるインクカートリッジが適用されるインクジェットプリンタにおいて、装置側端子の配列構成概略図である。
図1cは、本発明の実施形態1に係るチップの正面構成概略図である。
図1dは、本発明の実施形態1に係るチップの側面構成概略図である。
図1eは、本発明の実施形態1に係るチップの電気回路の構成概略図である。
図1fは、本発明の実施形態1に適用するインクカートリッジがプリンタに対応するように取り付けられる構成概略図である。
【0040】
図1aに示すように、インクカートリッジ1は、印刷用のインクを貯蔵するためのインクカートリッジ本体11と、インクカートリッジ本体11の底壁に形成され、且つインクカートリッジ1がインクジェットプリンタに取り付けられた後にインクカートリッジ本体11内のインクをプリントヘッドに伝送するためにインク供給管と接続されているインク供給部12と、インクカートリッジ本体11の外壁に取外し可能に配置され、インクカートリッジ1がインクジェットプリンタに取り付けられた後に
図1bに示されるプリンタの接触手段4と対向し且つ対応する電気接続を生成するインクカートリッジチップ2とを備えている。
【0041】
図1bに示すように、接触手段4には、複数の装置側端子(実施形態では9つの端子)が形成されている。接触手段4における9つの装置側端子410〜490は、インクカートリッジがプリンタに挿入される挿入方向Zにおいて、所定ピッチで挿入方向Zに垂直な2列に配列されている。
【0042】
図1cに示すように、チップ2は、回路基板201を備えている。回路基板201には、記録装置本体の装置側端子410〜490と接触接続される複数の接続端子210〜290が配置されている。回路基板201がインクカートリッジ本体11に取り付けられる際に、接続端子210〜290は外側の表面に露出している。外側に露出した表面を回路基板の正面といい、正面に対応する回路基板のもう一方の面を背面という。9つの接続端子は、概して長方形の形状であり、インクカートリッジがプリンタに挿入される挿入方向Zに所定ピッチで挿入方向Zに垂直な2列に配列されている。上側列の接続端子210〜240と下側列の接続端子250〜290とは、相互に千鳥状に配置されていることが好ましい。
【0043】
図1dに示すように、チップ2は、回路基板201、記憶素子202、抵抗素子203及び接続端子210〜290を備えている。チップ2に含まれる電気素子は2つあり、それぞれ、回路基板201に配置された第1電気素子(即ち、記憶素子202)及び第2電気素子(即ち、抵抗素子203)である。もちろん、インクカートリッジに配置された圧電センサが、第2電気素子として同様に実施形態1に適用される。ここで、記憶素子202は、EEPROM、RAM+バッテリ又はFLASH等様々な性質を有する記憶媒体であってよく、主にインク量の情報、インクカートリッジタイプの情報等のようなインクカートリッジに関連する情報を記憶するために用いられる。抵抗素子203は、動作する際、記憶素子202の駆動電圧3.6vより遥かに高い駆動電圧(例えば42v)が印加される。9つの接続端子は、低圧電子素子と接続された低圧接続端子210〜240、260〜280、及び、高圧電子素子と接続された高圧接続端子250、290である。低圧接続端子210〜240、260〜280において、接続端子210、240は取付検出端子であり、他の接続端子はそれぞれ記憶素子202と接続されている。高圧接続端子250、290は、それぞれ抵抗素子203と接続されている。記憶素子202及び抵抗素子203は、回路基板201の背面に配置されている。9つの接続端子210〜290は、端子群を構成し、回路基板201の正面に配置されている。
【0044】
図1fに示すように、インクカートリッジ1がインクジェットプリンタに挿入される際に、チップ2は、
図1bに示されるプリンタの接触手段4と対向する。チップ2の9つの接続端子210〜290は、プリンタの接触手段4における9つの装置側端子410〜490とそれぞれ対応するように接触し、対応する電気接続を生成して、電気素子とインクジェットプリンタとの間で信号を伝送する。
【0045】
チップ短絡を効果的に検出し且つチップの損傷を回避するため、回路基板には、上記の接続端子以外に、短絡検出端子、短絡検出処理ユニット及び分圧給電ユニットが配置されている。
【0046】
また、短絡検出端子の数は、1つでもよく、複数でもよい。各短絡検出端子の全体又は一部が、回路基板における検出待ち接続端子と検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置されている。分圧給電ユニットは、検出待ち接続端子に印加された電圧を分圧して1つ又は複数の低電圧を得て、当該低電圧を短絡検出処理ユニットに供給し、短絡検出処理ユニットに給電するために用いられる。短絡検出処理ユニットは、短絡検出端子と検出待ち接続端子との電位の高低差又は少なくとも2つの短絡検出端子の電位の高低差に基づいて、短絡検出端子と検出待ち接続端子との間に短絡が存在するか否かを判断し、さらに、短絡が存在すると判断した場合、インクカートリッジチップの損傷を回避するために、短
絡異常処理を実行することができる。例えば、短絡異常処理は、接続端子と記憶素子との間の接続を切断するステップ、少なくとも2つの接続端子の間の接続を切断するステップ、及び/又は、記録装置にインクカートリッジチップが異常であると表示する信号を発信するステップを含んでよい。異常の信号が発信されることで、プリンタに例えば”インクカートリッジの取付が異常”、”インクカートリッジに短絡が発生”等のようなエラーメッセージが表示される。これによって、プリンタによる印刷が行われず、ユーザがインクカートリッジに対して検査又は交換を行う。
【0047】
好ましくは、当該検出待ち接続端子は高圧接続端子である。つまり、短絡検出端子は、低圧接続端子と高圧接続端子との間に配置されている。この場合、高圧接続端子と低圧接続端子との間の短絡状況を対象的に検出することができ、低圧接続端子と接続された低圧電子素子の高圧による損傷が回避される。
【0048】
また、短絡検出処理ユニットは、接続された短絡検出端子と接続された検出待ち接続端子との電位の高低差、又は、接続された複数の短絡検出端子の電位の高低差に基づいて、インクカートリッジチップにおける検出待ち接続端子と検出待ち接続端子以外の接続端子との間に短絡が存在するか否かを判断する。より具体的には、短絡検出処理ユニットは、短絡検出端子と検出待ち接続端子との電位の高低差又は複数の短絡検出端子の電位の高低差(例えば、電圧が同じであるか否か)を判断する。例えば、短絡検出端子と検出待ち接続端子との電位の高低差、又は、複数の短絡検出端子の電位の高低差が、デフォルト値以下の場合は、インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在すると判断し、逆に、デフォルト値を超える場合は、短絡が存在しないと判断する。短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。
【0049】
実施形態1において、
図1eに示すように、短絡検出端子の数は1つであり、つまり、短絡検出端子301である。分圧給電ユニット303は、短絡検出端子301及び検出待ち接続端子250とそれぞれ接続され、検出待ち接続端子250に印加された42vの電圧を分圧して1つの低電圧を得る。当該低電圧は0v〜38vであり、当該低電圧を対応する短絡検出端子301に提供して、短絡検出端子301及び短絡検出処理ユニット302に給電する。短絡検出処理ユニット302は、短絡検出端子301及び検出待ち接続端子250とそれぞれ接続され、短絡検出端子301と検出待ち接続端子250との電位の高低差に基づいて、短絡検出端子301と検出待ち接続端子250との間に短絡が存在するか否かを判断し、短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。
【0050】
具体的には、
図1eに示すように、短絡検出端子301の全体又は一部は、検出待ち接続端子250と接続端子210又は260との間に配置され、且つ所定の距離で接続端子250の近くに配置されている。ここで、短絡検出端子301の全体又は一部が検出待ち接続端子と検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置されているということは、短絡検出端子301のすべての部位又は一部の部位が、検出待ち接続端子250と検出待ち接続端子以外の接続端子210又は260との直線又は弧線の接続線に配置されていることである。
【0051】
分圧給電ユニット303は、短絡検出端子301及び検出待ち接続端子250とそれぞれ接続され、抵抗等の素子から構成された分圧回路によって分圧を実現してよい。接続端子250に印加された42vの電圧を分圧して1つの低電圧を得る。当該低電圧は0v〜38vの間であり、当該低電圧を短絡検出端子301に提供して、短絡検出端子301及び短絡検出処理ユニット302に給電する。
【0052】
短絡検出処理ユニット302は、短絡検出端子301及び検出待ち接続端子250と接続され、短絡検出端子301と検出待ち接続端子250との電位の高低差に基づいて短絡
が存在するか否かを判断する。短絡検出処理ユニット302は、接続端子210及び接続端子240と接続され、短絡が存在すると判断した後、接続端子210及び接続端子240に対して短絡異常処理を実行する。短絡検出処理ユニットとして、電界効果トランジスタ又は三極管を用いて短絡検出を行ってよく、電界効果トランジスタ、制御可能なスイッチ又は自己回復性ヒューズを用いて短絡異常処理を行ってよい。
【0053】
短絡異常処理は、具体的には、以下のような処理であってよい。チップ2の2つの取付検出接続端子210と240との間の回路を切断し、又は、チップ2の接続端子と記憶素子との間を切断する。より具体的には、短絡が存在すると判断した場合、短絡検出処理ユニットは、検出待ち接続端子と検出待ち接続端子以外の接続端子のうちのいずれかの接続端子との接続を切断し、又は、接続端子と記憶素子との接続を切断することができる。
【0054】
2つの取付検出接続端子210及び240の間の電気接続が切断されると、インクカートリッジは、取付検出の際に異常の対応に戻り、プリンタにエラーメッセージを表示するように注意を促す。短絡異常処理は、プリンタに”短絡信号”を発信することであってもよく、当該短絡信号は、”エラー報告”又は”短絡状態情報”等プリンタが識別可能な信号であってよい。これによって、プリンタに関連処理を行うようにユーザに注意を促す。
【0055】
以上の説明から、短絡検出処理ユニット302は、検出待ち接続端子以外の接続端子と電気接続可能であること、また、短絡が存在すると判断した場合に実行される短絡異常処理は、検出待ち接続端子以外の接続端子のうちの少なくとも2つの接続端子間の電気接続を切断することであってよく、これによってインクカートリッジチップが記録装置に正常に対応するできないことは、当業者に理解されたい。切断された2つの接続端子は、2つの取付検出接続端子に限定されない。
【0056】
短絡検出端子は、任意の形状であってよい。上記の短絡検出端子は、検出待ち接続端子の任意の方向の近くに位置してよく、当該方向において短絡検出端子と接続端子との間の短絡を検出するために用いることができる。好ましくは、短絡検出端子は、特定の接続端子と他の接続端子との間の各方向における短絡を検出できるように、特定の接続端子を取り囲む環状端子であってよい。
図2aは、本発明の実施形態1に係るインクカートリッジチップの構成概略図である。
図2bは、
図2aにおける短絡検出端子の拡大構成概略図である。
図2a及び
図2bに示すように、短絡検出端子301aは、環状であり、接続端子250の外側を取り囲むように配置され、接続端子250と所定距離の間隔が保たれている。好ましくは、検出端子301aは、接続端子250を取り囲むように配置され、当該接続端子250の各方向に短絡が存在するか否かを検出するために用いることができる。
【0057】
本発明の実施形態に記載の短絡検出端子の数は、1つに限定されない。短絡検出端子は、高圧接続端子をペアで検出するものであってもよく、1組又は複数組でチップの任意の1つ又は複数の接続端子の周囲に対応するように配置されてもよい。この場合、対応する1組の短絡検出端子の電位の高低差に基づいて、各接続端子と他の端子との間に短絡が存在するか否かをそれぞれ判断する。また、短絡検出端子は、検出待ち接続端子と検出待ち接続端子以外の接続端子との直線又は弧線の接続線方向を貫通する方式で配置された線状端子であってよい。当該線状端子は、
図1cに示される弧状端子又は
図2aに示される環状端子であってもよく、他の規則又は不規則の形状で配置されてもよい。本発明の実施形態に記載の方法及び短絡検出装置は、上記のタイプのチップに限定されない。
【0058】
本発明の実施形態1は、本発明の任意の実施形態に係るインクカートリッジチップを備えたインクカートリッジをさらに提供する。
【0059】
本発明に係る実施形態1は、記録装置本体とインクカートリッジとを備えた記録装置を
さらに提供する。記録装置本体には、装置側端子が配置されている。インクカートリッジが記録装置に取り付けられている状態において、装置側端子と接続端子とは、それぞれ対応して接触接続されている。
【0060】
チップとプリンタとの良好の接触を確保することを前提として、チップにおける接続端子は、他の形状又は他の配列方式であってよい。
図3aに示すように、接続端子510〜590は、一列に配列されている。
図3bに示すように、接続端子610〜690は、不規則に配置されている。ここで、上記の検出端子群は、図に示されていない。
【0061】
<実施形態2>
図4aは、本発明の実施形態2に係るチップの正面構成概略図である。
図4bは、本発明の実施形態2に係るチップの側面構成概略図である。
図4cは、本発明の実施形態2に係るチップの電気回路の構成概略図である。
【0062】
図4bに示すように、本発明の実施形態に係るチップは、回路基板701、記憶素子702及び第2電気素子703を備えている。回路基板701には、2列の接続端子が配置されていることが好ましい。記憶素子702は、インクカートリッジに関連する情報を記憶するために用いられる。第2電気素子703は、チップが取り付けられたインクカートリッジに配置されてもよい。ここで、第2電気素子703は、圧電センサであってもよく、抵抗素子であってもよい。
【0063】
図4aに示すように、チップの回路基板701における接続端子は、それぞれ上側列の接続端子710〜720及び下側列の接続端子730〜770の2列に配置され、且つ上側列の接続端子と下側列の接続端子とは、相互千鳥状に配置されている。ここで、接続端子710、720、740〜760は、それぞれ記憶素子702に接続され、低圧接続端子という。接続端子730、770は、それぞれ第2電気素子703に接続され、高圧接続端子という。
【0064】
図4cに示すように、短絡検出端子301bは、検出待ち接続端子730と検出待ち接続端子以外の接続端子(例えば、接続端子740)との間に配置されている。
【0065】
分圧給電ユニット403は、短絡検出端子301b及び接続端子730とそれぞれ電気接続され、抵抗等の素子から構成された分圧回路によって分圧を実現してよい。
【0066】
短絡検出処理ユニット402は、短絡検出端子301b及び検出待ち接続端子730と接続(電気接続)されており、短絡検出端子301bと検出待ち接続端子730との電圧の高低差を検出することによって、検出待ち接続端子730と検出待ち接続端子以外の接続端子(例えば、接続端子740)との間に短絡が存在するか否かを判断する。接続端子740と記憶素子702とは、短絡検出処理ユニット402を介して直列接続されている。短絡が存在すると判断した場合、短絡検出処理ユニット402は、接続端子740と記憶素子702との間の電気接続を切断して、短絡異常処理を実行する。
【0067】
短絡検出処理ユニット402は、さらに、電界効果トランジスタ又は三極管を用いて、インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在するか否かを判断する。また、短絡検出処理ユニット402は、電界効果トランジスタ、制御可能なスイッチ及び自己回復性ヒューズを用いて、短絡異常処理を実現することができる。
【0068】
本発明の実施形態に係る短絡検出処理ユニットは、低圧接続端子と記憶素子との間に接続されていることが好ましい。短絡の場合であっても、接続端子と記憶素子との間の信号チャネルを切断することにより、記憶素子に高圧信号が印加されることが回避され、それ
によって記憶素子及びインクカートリッジがより効果的に保護される。
【0069】
実施形態2において、分圧給電ユニット403は、接続端子730に印加された36vの電圧を分圧して1つの低電圧を得る。当該低電圧は0v〜32vの間であり、当該低電圧を短絡検出端子301bに提供して、短絡検出端子301b及び短絡検出処理ユニット402に給電する。短絡検出処理ユニット402は、短絡検出端子301bと接続端子730との電位の高低差に基づいて、短絡検出端子301bと接続端子730との間に短絡が存在するか否かを判断し、短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。短絡異常処理は、具体的には、以下のような処理であってよい。接続端子740と記憶素子702とを切断状態にし、接続端子と記憶素子との間の通信チャネルを切断し、プリンタが正常の対応信号を受信できずエラーメッセージを表示するようにする。短絡異常処理は、プリンタに”短絡信号”を発信し、プリンタに関連処理を行うように注意を促すことであってもよい。当該短絡信号は、”エラー報告”又は”短絡状態情報”等プリンタが識別可能な信号であってよい。
【0070】
本発明の短絡検出端子は、1つに限定されない。短絡検出端子は、ペアで高圧接続端子を検出するものであってもよく、1組又は複数組でチップの任意の1つ又は複数の接続端子の周囲に対応するように配置されてもよく、他の接続端子の間の短絡状況を検出するために用いられてもよい。さらに、短絡検出端子は、環状であってもよく、他の規則又は不規則の形状で配置されてもよい。本発明の実施形態に記載の方法及び短絡検出装置は、上記のタイプのチップ、インクカートリッジ及び記録装置に限定されず、他のタイプのチップ、インクカートリッジ及び記録装置にも同様に適用される。
【0071】
<実施形態3>
図5は、本発明の実施形態3に係るチップの1つのチップ短絡検出装置の電気回路の構成概略図である。ここで、2つの電気回路構成は、それぞれ短絡検出処理ユニット及び分圧給電ユニットの回路構成である。上記の短絡検出装置は、ハードウェア回路から構成されてよい。
【0072】
図5に示すように、電気回路において、端子Dは短絡検出端子(上記の実施形態に係る端子301、301bに対応)であり、端子Cは検出待ち接続端子(上記の実施形態に係る検出待ち接続端子250、730)である。端子A及びBは、短絡検出処理ユニットが位置するチップにおける端子D及び端子C以外の他の端子又は素子であり、例えば、それぞれ検出待ち接続端子以外の接続端子(上記の実施形態に係る接続端子210、240に対応)であり、又は、検出待ち接続端子以外の1つの接続端子及びチップの回路基板における記憶素子(上記の実施形態に係る接続端子740及び記憶素子702に対応)である。
【0073】
短絡検出処理ユニットは、検出ユニットと、制御可能なスイッチとを含む。制御可能なスイッチは、第1電界効果トランジスタK1を含む。第1電界効果トランジスタK1は、入力端及び出力端を介して、端子A及び端子Bのそれぞれと接続されている。第1電界効果トランジスタK1の制御端は、RC回路を介して地面に接続されている。ここで、第1抵抗R1及び第1コンデンサC1がRC回路を構成している。検出ユニットは、第2電界効果トランジスタK2を含む。第2電界効果トランジスタK2の制御端は、短絡検出端子Dに接続され、第2電界効果トランジスタK2の入力端は、接続端子Cに接続され、第2電界効果トランジスタK2の出力端は、第1電界効果トランジスタK1の制御端及びRC回路と接続されている。
【0074】
分圧給電ユニットは、第3抵抗R3と第2コンデンサとの並列回路を含む。並列回路の一端は、地面に接続され、並列回路の他端は、第2抵抗R2及び短絡検出端子Dのそれぞ
れと接続され、第2抵抗R2は、接続端子Cに接続されている。
【0075】
実施形態3において、第1電界効果トランジスタK1として、具体的にはNMOS(N型電界効果トランジスタ)が採用され、第2電界効果トランジスタK2として、具体的にはPMOS(P型電界効果トランジスタ)が採用される。
図5からわかるように、分圧給電ユニットは、検出待ち接続端子Cに印加された電圧Vsenseを分圧して1つの低電圧Vsense_fill1を得る。低電圧Vense_fill1を短絡検出端子Dに供給して、短絡検出端子D及び短絡検出処理ユニットに給電する。チップに短絡が発生していない場合、接続端子Cの電位Vsenseは、短絡検出端子Dの電位Vsense_fill1より高い。第2電界効果トランジスタK2は、導通状態にあり、短絡検出処理ユニットは、短絡の発生を検出しておらず、第1電界効果トランジスタK1の入力端と出力端との間は導通され、つまり、2つの取付検出接続端子A及びBは、第1電界効果トランジスタK1を介して相互に連通し、チップは正常に作動している。
【0076】
短絡検出端子Dに短絡が発生する(つまり、接続端子Cと短絡検出端子Dとがショートする)際、接続端子Cの電位Vsenseは短絡検出端子Dの電位Vsense_fill1と同じであり、第2電界効果トランジスタK2は停止状態とされる。短絡検出処理ユニットは短絡が発生したことを検出し、第1電界効果トランジスタK1の入力端と出力端とが切断され、2つの接続端子AとBとが接続不可能となる。これによって、プリンタにエラーメッセージが表示され、ユーザにインクカートリッジを検査するように注意を促す。
【0077】
実施形態2に係る電界効果トランジスタは、接続端子間の回路の開閉を制御することができる限り、他のスイッチ素子(例えば三極管、自己回復性ヒューズ又は継電器等)に代替されてもよい。
【0078】
実施形態3に係る短絡検出処理ユニット及び分圧給電ユニットは、1つのモジュールに一体化されてもよく、短絡検出処理ユニットの回路及び分圧給電ユニットの回路は、1つの回路に一体化されてもよい。実施形態3の類似機能を実現するモジュール又は電気回路のすべては、実施形態3に適用する。
【0079】
<実施形態4>
図7は、本発明の実施形態に係るもう1つのチップ短絡検出装置が実施形態1に記載の9接点チップに用いられる電気回路の構成概略図である。説明を容易にするため、上記の実施形態1と同一又は対応する素子について、同様の図面標記を採用している。
【0080】
図7に示すように、本実施形態において、チップ短絡検出端子は、2つであり、それぞれ短絡検出端子301c及び短絡検出端子301である。端子301及び301dの全体又は一部は、回路基板201における複数の接続端子のうちの検出待ち接続端子(実施形態4では、接続端子250)と検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置されている。短絡検出端子301dは、所定の距離で短絡検出端子301cの近くに配置されている。実施形態4において、接続端子250を検出待ち接続端子とする(各接続端子について、具体的には、図面標記がより簡潔である
図1cを参照)。
【0081】
短絡検出処理ユニット302は、短絡検出端子301c及び301d(それぞれ第1短絡検出端子及び第2短絡検出端子に対応する)とそれぞれ接続され、短絡検出端子301cと301dとの電位の高低差を比較することによって、短絡が存在するか否かを判断し、接続端子210と240との間に直列接続され、短絡異常処理を行うために用いられる。短絡検出処理ユニットは、電界効果トランジスタ又は三極管によって短絡検出を実現してよく、電界効果トランジスタ、制御可能なスイッチ又は自己回復性ヒューズによって短
絡異常処理を実現してよい。
【0082】
図には、2つの短絡検出端子だけが例示的に示されている。当業者は、この図から、2つ以上の短絡検出端子が含まれてよいことがわかる。この状況において、短絡検出処理ユニットは、2つ以上の短絡検出端子とさらに電気接続され、2つ以上の短絡検出端子の電位の高低差を判断することによって、インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在するか否かを判断する。例えば、当該2つ以上の短絡検出端子の電位の高低差がデフォルト値以下であるか否かを判断する。デフォルト値以下の場合、インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在すると判断する。
【0083】
分圧給電ユニット303は、各短絡検出端子301c、301d及び検出待ち接続端子250とそれぞれ接続され、抵抗等の素子から構成された分圧回路を用いて、検出待ち接続端子250に印加された電圧を段階的に分圧して得られた各低電圧を各短絡検出端子301c、301d及び短絡検出処理ユニットにそれぞれ供給してよい。
【0084】
実施形態4において、分圧給電ユニットは、接続端子250に印加された42vの電圧を分圧して2つの低電圧を得る。当該低電圧は0v〜38vであり、2つの低電圧の差は4v以上である。当該2つの低電圧を対応する短絡検出端子301c及び301dにそれぞれ提供して、短絡検出端子301c、301d及び短絡検出処理ユニットに給電する。
【0085】
短絡検出処理ユニットは、短絡検出端子301cと301dとの電位の高低差に基づいて、短絡検出端子301cと301dとの間に短絡が存在するか否かを判断し、短絡検出端子301cと301dとの電位が同じである場合、短絡が存在すると判断し、短絡異常処理を実行する。
【0086】
短絡異常処理は、具体的には、以下のような処理であってよい。接続端子210と240とを切断状態にし、210及び240は取付検出端子であるため、インクカートリッジは、取付検出の際に異常の応答に戻り、プリンタにエラーメッセージを表示するように注意を促す。短絡異常処理は、プリンタに”短絡信号”を発信し、プリンタに関連処理を行うように注意を促すことであってもよい。当該短絡信号は、”エラー報告”又は”短絡状態情報”等プリンタが識別可能な信号であってよい。
【0087】
本発明の実施形態に係る短絡検出端子は、環状であってもよく、他の規則又は不規則の形状で配置されてもよい。本発明の実施形態に記載の方法及び短絡検出装置は、上記のタイプのチップ、インクカートリッジ及び記録装置に限定されず、他のタイプのチップ、インクカートリッジ及び記録装置にも同様に適用される。
【0088】
<実施形態5>
図8は、本発明の実施形態に係るもう1つのチップ短絡検出装置が実施形態2に記載の7接点チップに用いられる電気回路の構成概略図である。実施形態5において、接続端子730を検出待ち接続端子とする(各接続端子について、具体的には、図面標記がより簡潔である
図4cを参照)。実施形態5において、短絡検出処理ユニットが2つの短絡検出端子(301f及び301e)の電圧が同じであると判断した場合、インクカートリッジチップの接続端子の間に短絡が存在すると判断する。以下、さらに詳細に説明する。
【0089】
図8に示すように、実施形態5では、チップ短絡検出端子は2つであり、短絡検出端子301fは、所定の距離で短絡検出端子301eの近くに配置されている。端子301eと301fとの全体又は一部は、回路基板201内の複数の接続端子のうちの検出待ち接続端子730と検出待ち接続端子以外の接続端子との間に配置されている。
【0090】
短絡検出処理ユニットは、短絡検出端子301e及び301fとそれぞれ接続され、短絡が存在するか否かを判断するために用いられ、且つ、接続端子740と記憶素子702との間に直列接続され、短絡異常処理を実行するために用いられる。短絡検出処理ユニットとして、電界効果トランジスタ又は三極管によって短絡検出を実現してよく、電界効果トランジスタ、制御可能なスイッチ又は自己回復性ヒューズによって短絡異常処理を実現してよい。
【0091】
分圧給電ユニットは、短絡検出端子301e、301f及び接続端子730とそれぞれ電気接続され、抵抗等の素子から構成された分圧回路によって分圧を実現してよい。
【0092】
本発明の実施形態に係る短絡検出処理ユニットは、低圧接続端子と記憶素子との間に接続されていることが好ましい。短絡の場合であっても、接続端子と記憶素子との間の信号チャネルを切断することにより、記憶素子に高圧信号が印加されることが回避され、それによって記憶素子及びインクカートリッジがより効果的に保護される。
【0093】
実施形態5において、分圧給電ユニット403は、接続端子730に印加された36vの電圧を分圧して2つの低電圧を得る。当該低電圧は0v〜32vの間であり、2つの低電圧の差は4v以上である。当該2つの低電圧を対応する短絡検出端子301e及び301fにそれぞれ提供して、短絡検出端子301e、301f及び短絡検出処理ユニットに給電する。短絡検出処理ユニットは、短絡検出端子301eと301fとの電位の高低差に基づいて、短絡検出端子301eと301fとの間に短絡が存在するか否かを判断し、短絡検出端子301eと301fとの電位が同じである場合、短絡が存在すると判断し、短絡異常処理を実行する。短絡異常処理は、具体的には、以下のような処理であってよい。接続端子740と記憶素子702とを切断状態にし、接続端子と記憶素子との間の通信チャネルを切断し、プリンタが正常の対応信号を受信できずエラーメッセージを表示するようにする。短絡異常処理は、プリンタに”短絡信号”を発信し、プリンタに関連処理を行うように注意を促すことであってもよい。当該短絡信号は、”エラー報告”又は”短絡状態情報”等プリンタが識別可能な信号であってよい。
【0094】
本発明の実施形態に係る短絡検出端子は、環状であってもよく、他の規則又は不規則の形状で配置されてもよい。本発明の実施形態に記載の方法及び短絡検出装置は、上記のタイプのチップ、インクカートリッジ及び記録装置に限定されず、他のタイプのチップ、インクカートリッジ及び記録装置にも同様に適用される。
【0095】
類似的に、2つ以上の短絡検出端子が配置されている場合、短絡検出処理ユニットは、当該2つ以上の短絡検出端子の電圧が同じかあるか否かを判断可能であり、電圧が同じである場合、チップの接続端子の間に短絡が存在すると判断する。
【0096】
<実施形態6>
図6は、本発明の実施形態に係るチップのもう1つのチップ短絡検出装置の電気回路の構成概略図である。ここで、2つの電気回路構成は、それぞれ短絡検出処理ユニット及び分圧給電ユニットの回路構成である。上記の短絡検出装置は、ハードウェア回路から構成されてよい。
【0097】
図6に示すように、電気回路におけるD端子は第1短絡検出端子であり、E端子は第2短絡検出端子であり、C端子は検出待ち接続端子である。端子D及び端子Eは、それぞれ
図7の短絡検出端子301c及び301dに対応し、又は、
図8の短絡検出端子301e及び301fに対応してよい。端子Cは、
図7の検出待ち接続端子250に対応し、又は、
図8の検出待ち接続端子730に対応してよい。短絡検出処理ユニットは、検出ユニットと制御可能なスイッチとを含む。制御可能なスイッチは、第1電界効果トランジスタK
1を含む。第1電界効果トランジスタK1は、入力端及び出力端を介してAとBとの間に接続されている。A及びBは、それぞれ短絡検出処理ユニットに制御されるチップの他の端子(例えば、
図7の接続端子210及び240等)又は短絡検出処理ユニットに制御される接続端子及び記憶素子(例えば、
図8の接続端子740及び記憶素子202等)である。より具体的に、第1電界効果トランジスタK1は、入力端及び出力端を介して、検出待ち接続端子以外の2つの接続端子と接続されてもよく、検出待ち接続端子以外の接続端子及び記憶素子と接続されてもよい。検出ユニットは、第2電界効果トランジスタK2を含む。第2電界効果トランジスタK2は、第2電界効果トランジスタK2の制御端を介して短絡検出端子Eに接続され、第2電界効果トランジスタK2の入力端を介して接続端子Dに接続されている。第1電界効果トランジスタK1の制御端は、第1抵抗と第1コンデンサとの並列回路を介して、地面に接続されている。第2電界効果トランジスタK2は、出力端を介して、第1電界効果トランジスタK1の制御端、及び、第1抵抗R1と第1コンデンサとの並列回路から構成されたRC回路と接続されている。
【0098】
分圧給電ユニットは、第1分圧ユニットと第2分圧ユニットとを含む。第1分圧ユニット及び第2分圧ユニットは、それぞれ、RC回路又は1つ以上の抵抗素子等から構成され、分圧作用を果たすことができればよい。第1分圧ユニットは、検出待ち接続端子からの電圧に対して分圧を行い、分圧で得られた第1低電圧を第1短絡検出端子及び短絡検出処理ユニットに供給する。第2分圧ユニットは、検出待ち接続端子からの電圧に対して分圧を行い、分圧で得られた第2低電圧を第2短絡検出端子及び短絡検出処理ユニットに供給する。
【0099】
例えば、第1分圧ユニットは、抵抗R13及びコンデンサC12から構成された第1RC回路と抵抗R12とを含んでよい。第2分圧ユニットは、抵抗R24及びコンデンサC23から構成された第2RC回路と抵抗R22、R25とを含んでよい。R13とR24との抵抗値は同じであってよく、C12及びC23は、同様のコンデンサ素子であってよく、抵抗R12と抵抗R22との抵抗値は、同じでも異なってもよい。ここで、R12、R13及びR25、R22、R24が構成された抵抗の比率は、分圧で得られた2つの低電圧の差が4v以上であることに満たされればよい。第1分圧ユニットの第1RC回路の一端は、地面に接続され、第1RC回路の他端は、抵抗R12及び短絡検出端子Dとそれぞれ接続されている。抵抗R12は、検出待ち接続端子Cに接続されている。第2分圧ユニットの第2RC回路の一端は地面に接続され、第2RC回路の他端はもう1つの第2抵抗R22及び短絡検出端子Eとそれぞれ接続されている。抵抗R22と抵抗R12との抵抗値は同じであってよい。もう1つの抵抗R22は、抵抗R25を介して検出待ち接続端子Cに接続されている。
【0100】
実施形態6において、第1電界効果トランジスタK1として、具体的にはNMOS(N型電界効果トランジスタ)が採用され、第2電界効果トランジスタK2として、具体的にはPMOS(P型電界効果トランジスタ)が採用される。
図6からわかるように、分圧給電ユニットは、検出待ち接続端子Cに印加された電圧Vsenseを分圧して2つの低電圧Vsense_fill1及びVsense_fill2を得る。低電圧Vense_fill1を短絡検出端子Dに供給して、短絡検出端子D及び短絡検出処理ユニットに給電する。低電圧Vsense_fill2を短絡検出端子Eに供給して、短絡検出端子E及び短絡検出処理ユニットに給電する。チップに短絡が発生していない場合、接続端子Dの電位Vsense_fill1は、短絡検出端子Eの電位Vsense_fill2より高い。第2電界効果トランジスタK2は、導通状態にあり、短絡検出処理ユニットは、短絡の発生を検出しておらず、第1電界効果トランジスタK1の入力端と出力端とは導通されている。つまり、2つの取付検出接続端子A及びBは、第1電界効果トランジスタK1を介して相互に連通し、チップは正常に作動している。
【0101】
短絡検出端子D及びEに短絡が発生する(つまり、短絡検出端子Dと短絡検出端子Eとがショートする)際、短絡検出端子Dの電位Vsense_fill1は短絡検出端子Eの電位Vsense_fill2と同じであり、第2電界効果トランジスタK2は停止状態とされる。短絡検出処理ユニットは、短絡が発生したことを検出し、第1電界効果トランジスタK1の入力端と出力端とが切断され、2つの接続端子AとBとが接続不可能となる。これによって、プリンタにエラーメッセージが表示され、ユーザにインクカートリッジを検査するように注意を促す。
【0102】
実施形態6に係る電界効果トランジスタは、接続端子間の回路の開閉を制御することができる限り、他のスイッチ素子(三極管、自己回復性ヒューズ又は継電器等)に代替されてもよい。第4抵抗及びもう1つの第2抵抗から構成された直列抵抗は、1つの抵抗値が同じ抵抗に代替されてもよい。
【0103】
<実施形態7>
実施形態7に係るチップ短絡検出装置の短絡検出処理ユニットは、実施形態3に係るチップ短絡検出装置の短絡検出処理ユニットの変形例である。
【0104】
図9は、本発明の実施形態7に係るチップ短絡検出装置の短絡検出処理ユニットの電気回路の構成概略図である。実施形態7の
図9に示される短絡検出処理ユニットの電気回路構成は、実施形態3の
図5に示される短絡検出処理ユニットの電気回路構成と比較すると、第1電界効果トランジスタK1の接続方式が異なっている。実施形態9において、第1電界効果トランジスタK1の入力端は両ポートA及びBと接続され、第1電界効果トランジスタK1の出力端は地面に接続されている。
【0105】
図9に示すように、短絡検出処理ユニットの電気回路において、A及びBの両ポートは、短絡検出処理ユニットに直列接続されたチップの他の接続端子又は電気素子である。第1電界効果トランジスタK1の入力端は両ポートA及びBに接続され、第1電界効果トランジスタK1の出力端は地面に接続され、第1電界効果トランジスタK1の制御端は第1抵抗と第1コンデンサとの並列回路を介して地面に接続されている。残りの短絡検出処理ユニットの電気回路の構成は、実施形態3の
図5又は実施形態6の
図6に示される短絡検出処理ユニットの電気回路の構成と同じである。
【0106】
本発明の実施形態7に係るチップ短絡検出装置の分圧給電ユニットとして、実施形態3に係るチップ短絡検出装置の分圧給電ユニットが提供されてよい。
【0107】
上記のチップ短絡検出装置は、ハードウェア回路から構成されてよい。
【0108】
実施形態7において、第1電界効果トランジスタK1及び第2電界効果トランジスタK2として、具体的にはPMOS(P型電界効果トランジスタ)が採用される。ここで、接続端子Cの電圧標記はVsenseであり、短絡検出端子Dの電圧標記はVsense_fill1である。
【0109】
図9からわかるように、接続端子Cの電圧は、Vsenseであり、短絡検出端子Dの電圧は、Vsense_fill1である。チップに短絡が発生していない(即ち、接続端子と短絡検出端子Dとがショートしていない)場合、接続端子Cの電位Vsenseは、短絡検出端子Dの電位Vsense_fill1より高い。第2電界効果トランジスタK2は導通状態にあり、短絡検出処理ユニットは短絡が発生していないと判断する。第2電界効果トランジスタK2によって、接続端子Cの高電圧が第1電界効果トランジスタK1の制御端に接続されている。第1電界効果トランジスタK1の入力端と出力端とが切断され、両ポートA及びBは第1電界効果トランジスタK1を介して地面に接続されていな
いため、電位が低く抑えられることなく、チップは正常に動作する。
【0110】
チップに短絡が発生する(つまり、接続端子Cと短絡検出端子Dとがショートする)際、接続端子Cの電位Vsenseは短絡検出端子Dの電位Vsense_fill1と同じであり、第2電界効果トランジスタK2は停止状態とされる。短絡検出処理ユニットは、短絡が発生したと判断して、短絡異常処理を実行する。第2電界効果トランジスタK2は、接続端子Cの高電圧を第1電界効果トランジスタK1の制御端に接続させない。第1電界効果トランジスタK1の入力端と出力端とが導通され、両ポートA及びBは第1電界効果トランジスタK1を介して地面に接続される。これによって、電位が低く抑えられ、プリンタにエラーメッセージが表示される。
【0111】
実施形態7に係る短絡検出処理ユニットは、実施形態6に係るチップ短絡検出装置に同様に適用される。
【0112】
実施形態7に係る短絡検出処理ユニットが短絡異常処理を実行する際に、両ポートA及びBは第1電界効果トランジスタを介して地面に接続されている。これは、ポートA及びBの電位を低く抑え、接続端子CとポートA又はBとの短絡によって高圧がチップに損傷を与えることを防ぎ、導通回路の電位を低く抑えることにより、プリンタがエラーメッセージを表示するためである。ただし、地面に接続することは、実施形態7に必須な技術的解決手段ではなく、電位を低く抑え、チップの損傷を防ぎ、プリンタがエラーメッセージを表示するという目的が実現されればよい。
【0113】
本技術的解決手段に係る分圧給電ユニットと、短絡検出処理ユニット及び短絡検出端子との電気回路の接続方式は、実施形態1〜7に記載の接続方式に限定されない。分圧給電ユニットは、短絡検出処理ユニットと直接に接続され、短絡検出処理ユニットに給電してもよい。短絡検出端子は、分圧給電ユニット又は短絡検出処理ユニットと接続されている。短絡検出端子と検出待ち接続端子とは、短絡が発生する際、短絡検出処理ユニットの動作又は分圧給電ユニットの分圧給電に影響を与える。これによって、短絡検出処理ユニットは、短絡を検出し且つ短絡異常処理を実行する。
【0114】
実施形態1〜7において、分圧給電ユニットは、短絡検出端子及び短絡検出処理ユニットと相互に接続されている。これによって、分圧給電ユニットは、短絡検出端子にも分圧給電し、短絡検出処理ユニットにも分圧給電し、最終的にチップ短絡検出の機能を有する。
【0115】
また、
図11に示す電気回路は、
図6に示す電気回路とほぼ同様の構成であるが、
図11に示す電気回路では、分圧給電ユニットのポートD、Eと短絡検出処理ユニットのポートD、Eとが接続されて、短絡検出処理ユニットに給電する。一方、第1短絡検出端子は、Cポートに配置され、第2短絡検出端子は、R25とR22との間のFポートに配置されている。ここで、抵抗R12とR22とは同じであり、抵抗R13とR24とは同じであり、コンデンサC12とC23とは同じである。2つの短絡検出端子が短絡する際に、分圧給電ユニットの2つの分圧Vsense_fill1とVsense_fill2とは同じであり、第2電界効果トランジスタK2は停止され、短絡検出処理ユニットは、短絡を検出して短絡異常処理を実行する。第1電界効果トランジスタK1は停止され、ポートAとBとは切断される。当該電気回路において、短絡検出端子は、分圧給電ユニットと接続され、短絡検出端子と検出待ち接続端子とは、短絡が発生する際、分圧給電ユニットの分圧給電に影響を与える。これによって、短絡検出処理ユニットは、短絡を検出し且つ短絡異常処理を実行する。
【0116】
短絡検出端子は、短絡検出処理ユニットに直接に接続されてもよい。分圧給電ユニット
は、短絡検出処理ユニットが動作するように、短絡検出処理ユニットに給電し、短絡検出端子は、短絡によって短絡検出処理ユニットの動作に影響を与えることで、短絡検出処理ユニットによって検出され、且つ短絡異常処理が実行される。
【0117】
<実施形態8>
図10は、本発明の実施形態8に係るチップ短絡検出方法のフロー図である。当該方法は、上記の実施形態に係るチップによって実行されてよい。チップには、低圧接続端子と高圧接続端子とを含む少なくとも2つの接続端子が配置されている。チップは、チップ短絡検出装置を備え、チップ短絡検出装置は、1つ又は複数の短絡検出端子、短絡検出処理ユニット及び分圧給電ユニットを含む。各手段の機能及び接続関係については、前述した各実施形態での詳細説明を参照し、ここで説明を省略する。
【0118】
当該チップ短絡検出方法は、具体的には、以下のステップを含む。
【0119】
ステップ810:検出待ち接続端子に印加された電圧を分圧して1つ又は複数の低電圧を得て、低電圧を短絡検出処理ユニットに伝送する。
【0120】
ここで、ステップ810は、低コストで、耐久的にチップの短絡検出を実行することができるものである。さらに、ステップ820及び830を行うことで、具体的な短絡検出及び処理を実行することができる。
【0121】
ステップ820:短絡検出端子と検出待ち接続端子との電位の高低差、又は、2つ以上の短絡検出端子の電位の高低差を検出することによって、短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在するか否かを判断する。
【0122】
ステップ830:短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると判断した場合、短絡異常処理を実行する。
【0123】
上記の実施形態1及び実施形態4に記載のチップにおいて、インクカートリッジに配置された電気素子の種類は、第1電気素子及び第2電気素子の2つあり、第1電気素子の駆動電圧は、第2電気素子の駆動電圧より小さい。接続端子の種類は、第1電気素子と接続された低圧接続端子及び第2電気素子と接続された高圧接続端子の2つある。短絡検出端子は、第1接続端子と第2接続端子との間に配置されている。接続端子の数は、少なくとも2つであり、制御可能なスイッチは、2つの第1類取付検出接続端子の間に直列接続されている。
【0124】
短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した場合に実行する短絡異常処理は、具体的には、以下のような処理であってよい。
【0125】
短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した際に、制御可能なスイッチを切断状態になるように制御し、これによって、取付検出接続端子から記録装置本体まで送信される取付信号が変更される。
【0126】
実施形態2及び実施形態5にチップにおいて、インクカートリッジに配置された電気素子の種類は、第1電気素子及び第2電気素子の2つあり、第1電気素子の駆動電圧は、第2電気素子の駆動電圧より小さい。接続端子の種類は、第1電気素子と接続された低圧接続端子及び第2電気素子と接続された高圧接続端子の2つある。短絡検出端子は、第1接続端子と第2接続端子との間に配置されている。接続端子の数は、少なくとも2つであり、制御可能なスイッチは、低圧接続端子と記憶素子との間に直列接続されている。
【0127】
短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した場合に実行する短絡異常処理は、具体的には、以下のような処理であってよい。
【0128】
短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した際に、制御可能なスイッチを切断状態になるように制御し、これによって、取付検出接続端子から記録装置本体まで送信される取付信号が変更される。
【0129】
短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した際に実行する短絡異常処理は、上記のいくつかの好ましい方式に限定されない。短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した際に、接続端子を介して検出結果又はエラー信号を記録装置本体に送信する方式であってもよく、短絡検出端子と接続端子との間に短絡が存在すると検出した際に、チップと記録装置本体との間の信号伝送チャネルを切断する方式であってもよい。
【0130】
本発明の実施形態に係る技術的解決手段によれば、インクカートリッジが記録装置に取り付けられる初期段階において、インクカートリッジチップ側から短絡を能動的に検出することができる。これによって、記録装置が短絡を検出する際にインクカートリッジの記憶素子が既に損傷しているという可能性が減少する。また、短絡検出回路が配置されていない記録装置においても、インクカートリッジを使用する安全性が高まる。分圧給電ユニットを介して分圧を実行した後、電圧を短絡検出処理ユニットに伝送する技術的手段は、バッテリを介して短絡検出回路に給電する従来技術に比べ、コストが大幅に削減され、電量の消尽によって短絡検出不可能なことがなく、チップの長期間の使用が可能であり、さらに、耐久性がより高い。
【0131】
当業者であれば、以下の点を理解するであろう。上記の各実施形態の全部又は一部のステップは、プログラムコマンドに関連するハードウェアを介して実現されてよい。前述したプログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてよい。当該プログラムを実行すると、上記の各方法の実施形態を含むステップが実行される。上記の記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、コンパクトディスク(CD)等、各種のプログラムのコードを記憶可能な媒体を含む。
【0132】
最後に説明すべきことは、以下のとおりである。上記の各実施形態は、本発明に係る技術的解決手段を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。上記において各実施形態を参照しながら本発明について詳細に説明したが、当業者は以下の点について理解すべきである。上記の各実施形態に記載した技術的解決手段について、改変又はその中の一部又は全部の技術的特徴について同等置換することができる。なお、これらの改変や置換によって、対応する技術的解決手段の本質が、本発明に係る各実施形態の技術的解決手段の範囲から逸脱することはない。
【0133】
上述した内容は、本発明の理解を容易にするために用いられた実施形態であり、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、実施の形式及び細部において、いかなる改変及び変更が可能である。しかし、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に定義された範囲を基準とするべきである。