(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10とする。)の一部を切り欠いて示す斜視図である。
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体12に印刷を行う。記録媒体12は、例えば、記録紙である。記録媒体12は、記録紙に限定されない。記録媒体12は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステル等の樹脂製のシートやフィルム、織布や不織布等の布帛、その他の媒体であってもよい。
【0014】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Yは主走査方向を表す。本実施形態では、主走査方向Yは、左右方向である。主走査方向Yは、記録媒体12の幅方向である。図面中の符号Xは副走査方向を表す。副走査方向Xは主走査方向Yと交差する方向(例えば、平面視で垂直に交差する方向)である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。副走査方向Xは、記録媒体12の長手方向である。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体12が載置されるプラテン14を備えている。プラテン14には、移動機構として、円筒状のグリットローラ16が設けられている。グリットローラ16は、その上面を露出させた状態でプラテン14に埋設されている。グリットローラ16は、フィードモータ(図示せず)によって駆動される。
【0016】
図1に示すように、プラテン14の上方には、ガイドレール18が配置されている。ガイドレール18は、プラテン14と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール18の下方には、複数のピンチローラ20が略等間隔に配置されている。ピンチローラ20は、グリットローラ16に対向している。ピンチローラ20は、記録媒体12の厚さに応じて上下方向の位置を設定可能に構成されている。ピンチローラ20とグリットローラ16との間に記録媒体12を挟み込む。グリットローラ16およびピンチローラ20は、記録媒体12を挟持しながら記録媒体12を副走査方向Xに搬送可能に構成されている。ガイドレール18は、前方に突出した係合部22を有している。
【0017】
図1に示すように、プリンタ10は、インクヘッドユニット30を備えている。インクヘッドユニット30は、プラテン14の上方に配置されている。
図2に示すように、インクヘッドユニット30は、複数のインクヘッド32A、インクヘッド32B、インクヘッド32C、インクヘッド32Dと、ケース34と、ヘッドプレート36と、キャリッジ31(
図1参照)とを備えている。ケース34は、キャリッジ31に設けられている。複数のインクヘッド32A〜32Dは、ケース34内に収容されている。ケース34は、インクヘッド32A〜32Dの後述するノズル面33Z(
図3参照)が外部に露出されるようにインクヘッド32A〜32Dを収容する。複数のインクヘッド32A〜32Dは、キャリッジ31に搭載されている。ヘッドプレート36は、キャリッジ31に設けられている。ヘッドプレート36の上部には、ケース34が取り付けられている。
【0018】
図1に示すように、キャリッジ31の後部には、前向きに凹んだ凹部31Aが形成されている。この凹部31Aには、ガイドレール18の係合部22が係合している。キャリッジ31は、ガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能である。
【0019】
図1に示すように、ケース34の背面上部には、主走査方向Yに延びる駆動ベルト24の一部が固定されている。駆動ベルト24は、環状の無端ベルトである。駆動ベルト24は、スキャンモータ(図示せず)に接続され、スキャンモータによって回転駆動される。駆動ベルト24が走行すると、キャリッジ31はガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動する。インクヘッドユニット30(
図2参照)は、キャリッジ31を介してガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能である。
【0020】
図3に示すように、インクヘッド32A〜32Dは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い形状に形成されている。インクヘッド32A〜32Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド32A〜32Dは、副走査方向Xに並ぶ複数の第1ノズル33Xと、副走査方向Xに並ぶ複数の第2ノズル33Yと、第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yが形成されたノズル面33Zとを備えている。第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yは、記録媒体12にインクを吐出する。第1ノズル33X内および第2ノズル33Y内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。なお、第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yは微小であるため、
図3では複数の第1ノズル33Xおよび複数の第2ノズル33Yを直線で表している。本実施形態では、インクヘッド32A〜32Dは、第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yの2種類のノズルを備えているが、1種類のノズルを備えていてもよいし、3種類以上のノズルを備えていてもよい。
【0021】
図3に示すように、ヘッドプレート36には、主走査方向Yに並ぶ複数の開口38A、開口38B、開口38C、開口38Dが形成されている。開口38A〜38Dは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い形状に形成されている。開口38A〜38Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。開口38A〜38Dは、副走査方向Xに関して揃った位置に形成されている。開口38A〜38Dには、それぞれインクヘッド32A〜32Dが取り付けられる。第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yは、下方から見たときにそれぞれ開口38A〜38Dの内側に位置している。第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yは、それぞれ開口38A〜38Dを介して外部に露出している。
図2に示すように、ノズル面33Zは、ヘッドプレート36より下方に位置する。
【0022】
図1に示すように、プリンタ10は、キャッピングユニット50を備えている。キャッピングユニット50は、プラテン14の右方に位置する側方部材15に配置されている。キャッピングユニット50は、インクヘッドユニット30より下方に配置されている。キャッピングユニット50は、吸引動作を行う。
図2に示すように、キャッピングユニット50は、複数のキャップ51A、キャップ51B、キャップ51C、キャップ51Dと、移動テーブル56と、押圧体57と、移動機構70と、吸引ポンプ64とを備えている。移動テーブル56は、移動体の一例である。吸引ポンプ64は、吸引装置の一例である。吸引ポンプ64は、後述する密閉空間50S内の流体(例えば空気やインク)を吸引する。吸引ポンプ64は、第1ノズル33X(
図3参照)内のインクおよび第2ノズル33Y(
図3参照)内のインクを吸引する。吸引ポンプ64は、キャップ51A〜51D内のインクを吸引する。
【0023】
図4に示すように、キャップ51A〜51Dは、移動テーブル56に設けられている。キャップ51A〜51Dは、それぞれ移動テーブル56に形成された開口59A〜59Dに取り付けられている。キャップ51A〜51Dは、主走査方向Yに並ぶ。キャップ51A〜51Dは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い形状に形成されている。キャップ51A〜51Dは、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。キャップ51A〜51Dは、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Z(
図3参照)を覆うようにインクヘッド32A〜32Dにそれぞれ着脱可能に形成されている。なお、「ノズル面33Zを覆う」とは、ノズル面33Zの全体が覆われる場合に限られず、少なくとも第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yの全体が覆われる場合を含む。キャップ51Aは、キャップ51B〜51Dと同じ構成であるため、以下では、キャップ51Aの説明のみ行う。
【0024】
図5に示すように、キャップ51Aは、リップ部52と、吸収体53と、本体ケース54と、インク流路55(
図6も参照)とを備えている。キャップ51Aは、ノズル面33Z(
図3参照)を覆うようにインクヘッド32Aに着脱可能に形成されている。
図6に示すように、キャップ51Aがインクヘッド32Aに取り付けられたときに、キャップ51Aとノズル面33Zとの間に密閉空間50Sが形成される。
【0025】
図6に示すように、リップ部52は、上方に向けて開口している。リップ部52は、本体ケース54の内部に配置されている。リップ部52は、ノズル面33Z(
図3参照)に接触可能に本体ケース54に設けられている。リップ部52がノズル面33Zに接触したとき、ノズル面33Zとの間に密閉空間50Sが形成される。密閉空間50S内は、大気圧より低い圧力となる。リップ部52は、可撓性を有している。リップ部52は、例えばゴムによって形成されている。
図4に示すように、リップ部52は、平面視で長円状に形成されている。
図6に示すように、リップ部52の下部には、貫通孔52Hが形成されている。貫通孔52Hは、インク流路55と連通している。
【0026】
図6に示すように、吸収体53は、リップ部52の内部に配置されている。吸収体53は、貫通孔52Hより上方に配置されている。吸収体53は、リップ部52の上端52Tより下方に配置されている。吸収体53は、インクを吸収可能な多孔質の材料である。吸収体53としては、例えば、スポンジが挙げられる。
【0027】
図6に示すように、インク流路55は、本体ケース54に形成されている。インク流路55は、貫通孔52Hの下方に位置する。インク流路55は、上下方向に延びる。キャップ51Aの本体ケース54には、吸引チューブ65が接続されている。吸引チューブ65は、インク流路55と連通する。吸引チューブ65は、吸引ポンプ64(
図2参照)と接続している。
【0028】
図2に示すように、吸引ポンプ64は、側方部材15(
図1参照)の内部に配置されている。吸引ポンプ64は、キャッピングユニット50より右方に配置されている。吸引ポンプ64は、吸引チューブ65(
図6参照)を介してキャップ51A〜51Dと連結されている。吸引ポンプ64により、密閉空間50S(
図6参照)内の空気が吸引されると、インクヘッド32A〜32Dの第1ノズル33X内のインクおよび第2ノズル33Y内のインクは、第1ノズル33Xの外部および第2ノズル33Yの外部に排出され、第1ノズル33Xおよび第2ノズル33Yの目詰まりを抑制することができる。第1ノズル33Xの外部および第2ノズル33Yの外部に排出されたインクは、吸引ポンプ64により吸引され、図示しない排液タンクに貯留される。
【0029】
図2に示すように、移動機構70には、移動テーブル56が設けられている。移動機構70は、インクヘッド32A〜32D(即ちインクヘッドユニット30)の移動に連動して移動テーブル56を主走査方向Yおよび上下方向に移動させる。これにより、移動テーブル56に設けられたキャップ51A〜51Dを、キャップ51A〜51Dがそれぞれノズル面33Zを覆うキャップ位置H1(
図2参照)と、キャップ51A〜51Dがノズル面33Zから離隔した離隔位置H2(
図7参照)との間で主走査方向Yおよび上下方向に移動させることができる。移動機構70は、支持台60と、バネ63とを備えている。
【0030】
支持台60は、移動テーブル56の下方に配置されている。支持台60は、移動テーブル56を支持する。
図4に示すように、支持台60は、複数の支持板61A、支持板61B、支持板61C、支持板61Dを備えている。支持板61A〜61Dは、上下方向に延びる。支持板61A、61Bは、移動テーブル56より前方に配置されている。支持板61C、61Dは、移動テーブル56より後方に配置されている。
図2に示すように、支持板61A、61Bには、案内溝62が形成されている。案内溝62は、左右方向に延びる第1部分62Aと、第1部分62Aの右端から右斜め上方に延びる第2部分62Bと、第2部分62Bの右端から右方に延びる第3部分62Cとを備えている。第3部分62Cは、第1部分62Aより上方に位置する。なお、支持板61Aおよび支持板61Bと同様に、支持板61C、61Dにも、案内溝62が形成されている。
【0031】
図2に示すように、バネ63は、支持台60と移動テーブル56とに接続されている。バネ63としては、例えば引張コイルばねが挙げられる。バネ63は、移動テーブル56を下方に向けて付勢する。
【0032】
図4に示すように、移動テーブル56は、平面視で、矩形状に形成されている。移動テーブル56は、複数の軸58A、軸58B、軸58C、軸58Dを備えている。軸58A〜58Dは、移動テーブル56から外方に向けて突出する。軸58Aおよび軸58Bは、前方に向けて突出する。軸58Cおよび軸58Dは、後方に向けて突出する。軸58A〜58Dは、それぞれ支持板61A〜61Dの案内溝62に挿入されている。軸58A〜軸58Dは、案内溝62内を移動する。
【0033】
図4に示すように、押圧体57は、移動テーブル56と一体となって移動可能に形成されている。押圧体57は、四角柱状に形成されている。本実施形態では、押圧体57は移動テーブル56上に設けられている。押圧体57は、キャップ51Dより右方に配置されている。押圧体57は、移動テーブル56の右端に設けられている。押圧体57は、インクヘッドユニット30によって押圧可能に構成されている。本実施形態では、押圧体57は、ヘッドプレート36によって押圧可能な位置に配置される。押圧体57は樹脂材料から形成され、JIS K7205に規定された摩耗量が、ヘッドプレート36よりも大きいとよい。押圧体57の摩耗量Aに対するヘッドプレート36の摩耗量Bの割合(摩耗量B/摩耗量A)は、例えば、0.005〜0.750である。
【0034】
図4に示すように、移動テーブル56には、当接体67が設けられている。当接体67は、移動テーブル56と一体となって移動可能に形成されている。当接体67は、L字形状に形成されている。当接体67は、主走査方向Yに延びる第1部分67Aと副走査方向Xに延びる第2部分67Bとを備えている。第1部分67Aは、インクヘッドユニット30に接触可能に構成されている。本実施形態では、第1部分67Aは、ヘッドプレート36と接触可能な位置に配置されている。第2部分67Bは、押圧体57の押圧面57Aより右方に位置する。第2部分67Bは、通常は、インクヘッドユニット30にとは接触しない。
【0035】
移動テーブル56は、キャップ位置H1(
図2参照)と離隔位置H2(
図7参照)との間で、主走査方向Yおよび上下方向に移動可能に構成されている。キャップ位置H1とは、移動テーブル56が最も高い位置(即ちキャップ51A〜51Dが最も高い位置)に配置されたときの位置(
図2参照)に相当する。離隔位置H2とは、移動テーブル56が最も低い位置(即ちキャップ51A〜51Dが最も低い位置)に配置されたときの位置(
図7および
図8参照)に相当する。なお、ここでは、移動テーブル56が位置H1と位置H2との間の位置(即ち密閉空間50Sが形成されていない位置)に配置されたときの位置H3(
図9参照)も離隔位置に相当する。
【0036】
図7に示すように、ヘッドプレート36が押圧体57を押圧していないとき、移動テーブル56は、バネ63によって下方に付勢されるため、移動テーブル56は、位置H2に位置する。キャリッジ31の移動に伴ってヘッドプレート36が右方に(
図7の矢印Aの方向に)移動すると、ヘッドプレート36が押圧体57に接触する(
図8参照)。このとき、ヘッドプレート36は、押圧体57の上側の凡そ20%の部分に接触する。ヘッドプレート36が押圧体57に接触したとき、インクヘッド32Aのノズル面33Zの下方にキャップ51Aが位置し、インクヘッド32Bのノズル面33Zの下方にキャップ51Bが位置し、インクヘッド32Cのノズル面33Zの下方にキャップ51Cが位置し、インクヘッド32Dのノズル面33Zの下方にキャップ51Dが位置する。また、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zは、キャップ51A〜51Dとは接触していない。
【0037】
さらに、ヘッドプレート36が右方に移動すると、押圧体57がヘッドプレート36に押圧されるため、押圧体57が右方に移動する。これにより、バネ63の付勢力に抗して移動機構70が移動テーブル56を移動させる。詳細には、移動テーブル56の軸58A〜58Dが案内溝62内を第1部分62Aから第2部分62Bに向けて移動する。これにより、移動テーブル56が
図8の矢印Bの方向(ここでは右斜め上方)に移動し、移動テーブル56が位置H2より上方に位置する位置H3に移動する(
図9参照)。移動テーブル56が位置H2から位置H3に移動するとき、押圧体57がヘッドプレート36に対して摺動する。即ち、ヘッドプレート36と押圧体57との接触面積が徐々に大きくなる。このように、押圧体57とヘッドプレート36とが接触した状態で、押圧体57が上方に移動するため、押圧体57とヘッドプレート36との間で摩耗が生じ得る。このとき、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な主走査方向Yの位置は変更されない。一方、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な上下方向の位置は変更される。即ち、キャップ51A〜51Dがノズル面33Zに接近し、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの間隔が小さくなる。
【0038】
さらに、ヘッドプレート36が右方に移動すると、押圧体57がヘッドプレート36に押圧されるため、移動テーブル56の軸58A〜58Dが案内溝62内を第2部分62Bから第3部分62Cに向けて移動する。これにより、移動テーブル56が
図9の矢印Bの方向にさらに移動し、移動テーブル56が位置H3より上方に位置する位置H1に移動する。移動テーブル56が位置H1に移動すると、キャップ51A〜51Dがそれぞれインクヘッド32A〜32Dに取り付けられ、キャップ51A〜51Dとノズル面33Zとの間に密閉空間50S(
図6参照)が形成される。密閉空間50Sが形成されたときには、ヘッドプレート36は、押圧体57の上側の凡そ50%の部分に接触する。このとき、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な主走査方向Yの位置が変更されず、かつ、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な上下方向の位置が変更されるため、キャップ51A〜51Dは、ノズル面に対して摺動しない。このように、キャップ51A〜51Dが離隔位置(位置H2参照)からキャップ位置(位置H1参照)に移動するときには、押圧体57とヘッドプレート36との間でのみ摩耗が生じ得る。
【0039】
また、移動テーブル56が位置H1に位置する状態から、ヘッドプレート36が左方に(
図2の矢印Cの方向に)移動すると、移動テーブル56の軸58A〜58Dが案内溝62内を第3部分62Cから第1部分62Aに向けて移動する。これにより、移動テーブル56は、
図2の矢印Dの方向(ここでは左斜め下方)に移動し(位置H1から位置H2に移動し)、キャップ51A〜51Dがそれぞれインクヘッド32A〜32Dから取り外される。なお、ヘッドプレート36が押圧体57を押圧し始める直前から押し終わる直後までの間は、キャップ51A〜51Dの上方には、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zが位置することになる。即ち、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な主走査方向Yの位置関係は変更されない。
【0040】
以上のように、本実施形態のプリンタ10では、キャップ51A〜51Dを離隔位置H2からキャップ位置H1に移動させる際に、まずインクヘッドユニット30が押圧体57に接触する。インクヘッドユニット30が押圧体57をさらに押圧すると、押圧体57がインクヘッドユニット30に対して摺動する。このとき、インクヘッド32A〜32Dのノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な主走査方向Yの位置は変更されず、ノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な上下方向の位置が変更され、キャップ51A〜51Dがノズル面33Zに接近する。そして、キャップ51A〜51Dはノズル面33Zに対して摺動することなく、ノズル面33Zを覆うキャップ位置H1に移動する。このように、キャップ51A〜51Dが離隔位置H2からキャップ位置H1に移動する際には、インクヘッドユニット30と押圧体57との間でのみ摺動による摩耗が生じ得、ノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの間では摩耗が生じない。このため、キャップ51A〜51Dをインクヘッド32A〜32Dに繰り返し着脱しても、キャップ51A〜51Dとノズル面33Zとの密着性の低下は抑制される。
【0041】
本実施形態のプリンタ10によれば、インクヘッドユニット30は、インクヘッド32A〜32Dが取り付けられた開口38A〜38Dが形成されたヘッドプレート36を備え、押圧体57がヘッドプレート36によって押圧されることによって移動機構70が移動テーブル56を移動させるように構成されている。これにより、キャップ51A〜51Dが離隔位置H2からキャップ位置H1に移動する際には、ヘッドプレート36と押圧体57との間でのみ摺動による摩耗が生じ得、ノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの間での摩耗を抑制することができる。
【0042】
本実施形態のプリンタ10によれば、押圧体57の摩耗量はヘッドプレート36の摩耗量よりも大きいとよい。一般に押圧体57はヘッドプレート36よりも容易に交換できるため、交換しやすい押圧体57が先に摩耗することによってメンテナンスが比較的容易となる。
【0043】
本実施形態のプリンタ10によれば、押圧体57は、移動テーブル56に設けられている。これにより、押圧体57のレイアウトの自由度が向上する。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0045】
上述した実施形態では、ヘッドプレート36が押圧体57を押圧し、押圧体57がヘッドプレート36に対して摺動していたが、これに限定されない。例えば、押圧体57がケース34によって押圧されることによって移動機構70が移動テーブル56を移動させるように構成されていてもよい。これにより、キャップ51A〜51Dが離隔位置H2からキャップ位置H1に移動する際には、ケース34と押圧体57との間でのみ摺動による摩耗が生じ得、ノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの間での摩耗を抑制することができる。このとき、押圧体57は樹脂材料から形成され、JIS K7205に規定された摩耗量が、ケース34よりも大きいとよい。一般に押圧体57はケース34よりも容易に交換できるため、交換しやすい押圧体57が先に摩耗することによってメンテナンスが比較的容易となる。押圧体57の摩耗量Aに対するケース34の摩耗量Cの割合(摩耗量C/摩耗量A)は、例えば、0.005〜0.750である。
【0046】
また、押圧体57がインクヘッド32Dの側面(即ちノズル面33Zとは異なる面)によって押圧されることによって移動機構70が移動テーブル56を移動させるように構成されていてもよい。これにより、キャップ51A〜51Dが離隔位置H2からキャップ位置H1に移動する際には、インクヘッド32Dの側面と押圧体57との間でのみ摺動による摩耗が生じ得、ノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの間での摩耗を抑制することができる。このとき、押圧体57は樹脂材料から形成され、JIS K7205に規定された摩耗量が、インクヘッド32Dの側面よりも大きいとよい。一般に押圧体57はインクヘッド32Dよりも容易に交換できるため、交換しやすい押圧体57が先に摩耗することによってメンテナンスが比較的容易となる。押圧体57の摩耗量Aに対するインクヘッド34Dの側面の摩耗量Dの割合(摩耗量D/摩耗量A)は、例えば、0.005〜0.750である。
【0047】
上述した実施形態では、押圧体57は移動テーブル56に設けられているが、これに限定されない。例えば、押圧体57は、キャップ51A〜51Dの少なくとも一つに設けられていてもよい。例えば、押圧体57がキャップ51Aに設けられている場合には、押圧体57はインクヘッド32Aの側面に押圧される。
【0048】
上述した実施形態では、移動機構70は、移動テーブル56を主走査方向Yおよび上下方向に移動させるように構成されていたが、これに限定されない。移動機構70は、例えば、主走査方向Yおよび上下方向に加え、副走査方向Xにも移動テーブル56を移動可能に構成されていてもよい。この場合、移動テーブル56は、平面視で、インクヘッドユニット30に対して斜めに移動することになる。
【解決手段】プリンタ10において、移動テーブル56と一体となって移動可能に形成された押圧体57がインクヘッドユニット30によって押圧されることによって移動機構70が移動テーブル56を移動させ、押圧体57がインクヘッドユニット30に対して摺動するときに、ノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な主走査方向Yの位置を変更することなくノズル面33Zとキャップ51A〜51Dとの相対的な上下方向の位置を変更することによって、キャップ51A〜51Dを離隔位置H2からキャップ位置H1に移動させる。