(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分岐管の開放端が、前記蒸気タービンから蒸気を抽気する抽気管または前記蒸気タービンから蒸気を排気する排気管に接続されていることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン配管。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1の構成を示す斜視図である。
図2は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1に備えられる上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30の斜視図を示した図である。
【0013】
図1に示すように、高圧タービン200の上半側および下半側のそれぞれに、ボイラからの蒸気を導入できるように、上半側主蒸気管11および下半側主蒸気管12を備えている。ここでは、上半側主蒸気管11および下半側主蒸気管12をそれぞれ2つ備えた一例を示している。
【0014】
上半側主蒸気管11には、高圧タービン200に導く蒸気を遮断する上半側主蒸気止め弁20が介在している。また、この上半側主蒸気止め弁20の下流側に、高圧タービン200に導く蒸気の流量を調整する上半側主蒸気加減弁30が介在している。上半側主蒸気管11と同様に、下半側主蒸気管12には、高圧タービン200に導く蒸気を遮断する下半側主蒸気止め弁40が介在している。また、この下半側主蒸気止め弁40の下流側に、高圧タービン200に導く蒸気の流量を調整する下半側主蒸気加減弁50が介在している。
【0015】
図1には、床部210を介して、上方のフロアには高圧タービン200の上半部側および上半側主蒸気管11(上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30を含む)を備え、下方のフロアには高圧タービン200の下半部側および下半側主蒸気管12(下半側主蒸気止め弁40および下半側主蒸気加減弁50を含む)を備えた一例を示している。
【0016】
図1に示すように、蒸気タービン配管1や蒸気タービン建屋のコンパクト化などを図るため、上半側主蒸気加減弁30の下流側の上半側主蒸気管11は、例えば、2つのエルボ管11aの間に直管11bを有する複雑な配管構成となっている。一方、下半側主蒸気加減弁50の下流側の下半側主蒸気管12は、例えば、水平管による構成が主となる配管構成となっている。
【0017】
上半側主蒸気止め弁20と下半側主蒸気止め弁40の構成は同じであり、上半側主蒸気加減弁30と下半側主蒸気加減弁50の構成は同じである。そこで、ここでは、
図2に示された上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30を参照して、それぞれに備えられたドレン管について説明する。
【0018】
図2に示すように、上半側主蒸気止め弁20には、弁座の上流側のドレンを排出するための弁座前ドレン管21、および弁座の下流側のドレンを排出するための弁座後ドレン管22が備えられている。上半側主蒸気加減弁30には、弁座の下流側のドレンを排出するための弁座後ドレン管31が備えられている。
【0019】
なお、
図1において、下半側主蒸気止め弁40の、弁座前ドレン管を符号41で、弁座後ドレン管を符号42で示している。また、下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管を符号51で示している。
【0020】
各ドレン管には、遮断弁が設けられ、各ドレン管の終端は、例えば復水器に連通している。各ドレン管の遮断弁を開くことで、ドレンが復水器に導かれる。各ドレン管の遮断弁は、高圧タービン200のウォーミングの際には開かれ、例えば、上半側主蒸気管11や下半側主蒸気管12で発生するドレンを復水器に導く。各ドレン管の遮断弁は、ウォーミング完了後、閉じられる。
【0021】
次に、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成について説明する。なお、ここでは、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成を例示して説明するが、この構成を下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管51の配管構成に適用することもできる。
【0022】
(第1の配管構成)
図3は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の第1の配管構成を模式的に示した図である。
【0023】
弁座後ドレン管31には、遮断弁32が備えられている。また、第1の配管構成では、
図3に示すように、弁座後ドレン管31から、遮断弁32よりも上半側主蒸気加減弁30側で分岐し、開放端を有する分岐管60を備える。この分岐管60の開放端は、上半側主蒸気加減弁30と高圧タービン200との間の上半側主蒸気管11に接続(連結)されている。すなわち、分岐管60は、遮断弁32よりも上半側主蒸気加減弁30側の弁座後ドレン管31と、上半側主蒸気加減弁30と高圧タービン200との間の上半側主蒸気管11とを連通させている。
【0024】
遮断弁32を閉じた後において、分岐管60には、圧力差によって、例えば、弁座後ドレン管31側から上半側主蒸気管11側に蒸気が流れる。
【0025】
このような構成を備えることで、遮断弁32が閉じられた後であっても、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31において、開放端を備えることができる。そのため、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31において、一端が開口し、他端が閉止された構成のみとはならない。これによって、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0026】
(第2の配管構成)
図4は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の第2の配管構成を模式的に示した図である。なお、以下において、第1の配管構成と同一の構成部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
【0027】
第2の配管構成では、
図4に示すように、弁座後ドレン管31から、遮断弁32よりも上半側主蒸気加減弁30側で分岐し、開放端を有する分岐管61を備える。この分岐管61の開放端は、高圧タービン200から蒸気を排気する排気管201(例えば、低温再熱蒸気管)に接続されている。すなわち、分岐管61は、遮断弁32よりも上半側主蒸気加減弁30側の弁座後ドレン管31と、排気管201とを連通させている。
【0028】
遮断弁32を閉じた後において、分岐管61には、圧力差によって、例えば、弁座後ドレン管31側から排気管201側に蒸気が流れる。
【0029】
このような構成を備えることで、第1の配管構成における作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
なお、ここでは、分岐管61の開放端を排気管201に接続した一例を示したが、この構成に限れるのものではない。分岐管61の開放端は、例えば、高圧タービン200から蒸気を抽気する抽気管(図示しない)に接続されてもよい。この構成によっても、上記構成と同様に、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、ドレン管の破損を防止することができる。
【0031】
(第3の配管構成)
図5は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の第3の配管構成を模式的に示した図である。
【0032】
第3の配管構成では、
図5に示すように、弁座後ドレン管31から、遮断弁32よりも上半側主蒸気加減弁30側で分岐し、開放端を有する分岐管62を備える。この分岐管62の開放端は、遮断弁32よりも下流側の弁座後ドレン管31に接続されている。すなわち、分岐管62は、遮断弁32よりも上半側主蒸気加減弁30側の弁座後ドレン管31と、遮断弁32よりもよりも下流側の弁座後ドレン管31とを連通させている。
【0033】
分岐管62には、遮断弁32を閉じた後においても、蒸気が流れる。そのため、分岐管62には、分岐管62を流れる蒸気の流量を制限するために、例えば、流路断面が狭くなる狭窄部63を備えることが好ましい。
【0034】
このような構成を備えることで、第1の配管構成における作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の蒸気タービン配管2における、上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30を備えた上半側主蒸気管11、および下半側主蒸気止め弁40および下半側主蒸気加減弁50を備えた下半側主蒸気管12の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1におけるそれらと同じである。
【0036】
第2の実施の形態の蒸気タービン配管2では、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31、または弁座後ドレン管31および下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管51の配管構成が第1の実施の形態の配管構成と異なるため、その異なる点について主に説明する。
【0037】
(第4の配管構成)
図6は、第2の実施の形態の蒸気タービン配管2における上半側主蒸気管11および下半側主蒸気管12の第4の配管構成を模式的に示した図である。
【0038】
下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管51には、遮断弁52が備えられている。一方、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31には、遮断弁は備えられていない。
【0039】
また、第4の配管構成では、
図6に示すように、上半側主蒸気加減弁30に接続された弁座後ドレン管31は、開放端を有する。この弁座後ドレン管31の開放端は、下半側主蒸気加減弁50と高圧タービン200との間の下半側主蒸気管12に接続されている。すなわち、弁座後ドレン管31は、上半側主蒸気加減弁30と、下半側主蒸気加減弁50の下流側の下半側主蒸気管12とを連通させている。
【0040】
ここで、弁座後ドレン管31の開放端は、下半側主蒸気管12における、下半側主蒸気加減弁50にける絞りによる流れの乱れの影響が小さくなる部分で接続されることが好ましい。なお、弁座後ドレン管31は、上半側ドレン管として機能し、弁座後ドレン管51は、下半側ドレン管として機能する。
【0041】
弁座後ドレン管51の終端は、例えば復水器に連通している。遮断弁52は、高圧タービン200のウォーミングの際には開かれる。この際、上半側主蒸気加減弁30の下流の上半側主蒸気管11で発生するドレンは、弁座後ドレン管31を介して下半側主蒸気管12に導かれる。そして、下半側主蒸気管12に導かれたドレンは、下半側主蒸気加減弁50の下流の下半側主蒸気管12で発生するドレンとともに、弁座後ドレン管51を介して、復水器に導かれる。遮断弁52は、ウォーミング完了後、閉じられる。
【0042】
遮断弁52を閉じた後において、弁座後ドレン管31には、圧力差によって、例えば、上半側主蒸気加減弁30側から下半側主蒸気管12側に蒸気が流れる。
【0043】
このような構成を備えることで、遮断弁52が閉じられた後であっても、弁座後ドレン管31は、開放端を備えることができる。そのため、弁座後ドレン管31において、一端が開口し、他端が閉止された構成とはならない。これによって、弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0044】
なお、ここでは、弁座後ドレン管31の開放端を下半側主蒸気加減弁50の下流の下半側主蒸気管12に接続した一例を示したが、この構成に限れるのものではない。
図7は、第2の実施の形態の蒸気タービン配管2における上半側主蒸気管11および下半側主蒸気管12の第4の配管構成における他の異なる構成を模式的に示した図である。
【0045】
図7に示すように、弁座後ドレン管31の開放端を、下半側主蒸気加減弁50と遮断弁52との間の弁座後ドレン管51に接続してもよい。すなわち、上半側主蒸気加減弁30と、下半側主蒸気加減弁50と遮断弁52との間の弁座後ドレン管51とを連通させるように弁座後ドレン管31を構成してもよい。この構成によっても、上記構成と同様に、弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0046】
(第5の配管構成)
図8は、第2の実施の形態の蒸気タービン配管2における上半側主蒸気管11および下半側主蒸気管12の第5の配管構成を模式的に示した図である。
【0047】
図8に示すように、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31には、遮断弁は備えられていない。下半側主蒸気加減弁50には、ドレン管は設けられていない。
【0048】
第5の配管構成では、下半側主蒸気加減弁50と高圧タービン200との間の下半側主蒸気管12に、ドレンを外部に導く下半側ドレン管53が設けられている。この下半側ドレン管53には、遮断弁54が備えられている。下半側ドレン管53の終端は、例えば復水器に連通している。
【0049】
上半側主蒸気加減弁30に接続された弁座後ドレン管31は、開放端を有する。この弁座後ドレン管31の開放端は、下半側主蒸気加減弁50と下半側ドレン管53との間の下半側主蒸気管12に接続されている。すなわち、弁座後ドレン管31は、上半側主蒸気加減弁30と、下半側主蒸気加減弁50と下半側ドレン管53との間の下半側主蒸気管12とを連通させている。なお、弁座後ドレン管31の開放端は、下半側ドレン管53が接続された部分よりも下流側の位置で下半側主蒸気管12に接続されてもよい。
【0050】
ここで、弁座後ドレン管31の開放端および下半側ドレン管53の一端は、下半側主蒸気管12における、下半側主蒸気加減弁50にける絞りによる流れの乱れの影響が小さくなる部分で接続されることが好ましい。なお、弁座後ドレン管31は、上半側ドレン管として機能する。
【0051】
遮断弁54は、高圧タービン200のウォーミングの際には開かれる。この際、上半側主蒸気加減弁30の下流の上半側主蒸気管11で発生するドレンは、弁座後ドレン管31を介して下半側主蒸気管12に導かれる。そして、下半側主蒸気管12に導かれたドレンは、下半側主蒸気加減弁50の下流の下半側主蒸気管12で発生するドレンとともに、下半側ドレン管53を介して、復水器に導かれる。遮断弁54は、ウォーミング完了後、閉じられる。
【0052】
遮断弁54を閉じた後において、弁座後ドレン管31には、圧力差によって、例えば、上半側主蒸気加減弁30側から下半側主蒸気管12側に蒸気が流れる。
【0053】
このような構成を備えることで、遮断弁54が閉じられた後であっても、弁座後ドレン管31は、開放端を備えることができる。そのため、第4の配管構成における作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
なお、ここでは、弁座後ドレン管31の開放端を、下半側主蒸気加減弁50と下半側ドレン管53との間の下半側主蒸気管12に接続した一例を示したが、この構成に限れるのものではない。
図9は、第2の実施の形態の蒸気タービン配管2における上半側主蒸気管11および下半側主蒸気管12の第5の配管構成における他の異なる構成を模式的に示した図である。
【0055】
図9に示すように、弁座後ドレン管31の開放端を、下半側主蒸気管12と遮断弁54との間の下半側ドレン管53に接続してもよい。すなわち、上半側主蒸気加減弁30と、下半側主蒸気管12と遮断弁54との間の下半側ドレン管53とを連通させるように弁座後ドレン管31を構成してもよい。この構成によっても、上記構成と同様に、弁座後ドレン管31の異常な温度上昇を抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の蒸気タービン配管3における、上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30を備えた上半側主蒸気管11、および下半側主蒸気止め弁40および下半側主蒸気加減弁50を備えた下半側主蒸気管12の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1におけるそれらと同じである。
【0057】
第3の実施の形態の蒸気タービン配管3では、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成が第1の実施の形態の配管構成と異なるため、その異なる点について主に説明する。なお、ここでは、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成を例示して説明するが、この構成を下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管51の配管構成に適用することもできる。
【0058】
図10は、第3の実施の形態の蒸気タービン配管3における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成を模式的に示した図である。
【0059】
上半側主蒸気止め弁20の弁座後ドレン管22には、
図10に示すように、遮断弁23が備えられている。
【0060】
弁座後ドレン管31は、一端が上半側主蒸気加減弁30に接続され、他端が遮断弁23と上半側主蒸気止め弁20との間の弁座後ドレン管22に接続されている。また、弁座後ドレン管31には、遮断弁35が備えられている 。遮断弁35が開かれた状態では、弁座後ドレン管31は、上半側主蒸気加減弁30と、遮断弁23と上半側主蒸気止め弁20との間の弁座後ドレン管22とを連通させている。なお、弁座後ドレン管22は、第1のドレン管として機能し、弁座後ドレン管31は、第2のドレン管として機能する。
【0061】
ここで、遮断弁35は、ウォーミングのときや上半側主蒸気加減弁30が開かれているときには、開かれた状態となっている。遮断弁35は、上半側主蒸気止め弁20が開かれている状態で、上半側主蒸気加減弁30が閉じられた時(全閉時)、それと同時に閉じられ、全閉となる。これによって、蒸気が、弁座後ドレン管22および弁座後ドレン管31を介して高圧タービン200に流れるのを防止する。
【0062】
弁座後ドレン管22の終端は、例えば復水器に連通している。遮断弁23は、高圧タービン200のウォーミングの際には開かれる。この際、上半側主蒸気加減弁30の下流の上半側主蒸気管11で発生するドレンは、弁座後ドレン管31を介して弁座後ドレン管22に導かれる。そして、弁座後ドレン管22に導かれたドレンは、上半側主蒸気止め弁20からのドレンとともに、復水器に導かれる。遮断弁23は、ウォーミング完了後、閉じられる。
【0063】
遮断弁23を閉じた後において、弁座後ドレン管31には、圧力差によって、例えば、弁座後ドレン管22との接続部側から上半側主蒸気加減弁30側に蒸気が流れる。
【0064】
このような構成を備えることで、遮断弁23が閉じられた後であっても、弁座後ドレン管31は、開放端を備えることができる。そのため、弁座後ドレン管31において、一端が開口し、他端が閉止された構成とはならない。これによって、弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0065】
(第1〜第3の実施の形態における、弁座後ドレン管31の温度上昇の抑制に係る説明)
上記したように、第1の実施の形態においては、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31において、開放端を備えることで、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。また、上記したように、第2および第3の実施の形態においては、弁座後ドレン管31が、開放端を備えることで、弁座後ドレン管31が異常に温度上昇することを抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0066】
ここで、弁座後ドレン管31が開放端を備えることで、弁座後ドレン管31の異常な温度上昇を抑制することができる理由について説明する。
【0067】
(1)管内圧力変動による発熱(熱音響効果)の説明
ここで、内径がRの円筒の管内圧力変動の周波数をf(Hz)とする。文献(荒川、川橋、機械学会論文集、62巻598号、B(1996)、p.2238−2245)によれば、管内圧力変動振幅Pを管内平均圧力P
0で割って無次元化した式(1)の関係を用いて、管壁近傍の境界層内で圧力変動による熱音響効果で発生する熱流束q(W/m
2)は、式(2)で求められる。
【0070】
ここで、P
1は無次元圧力振幅、Kは定数、γは比熱比、μは粘性係数、aは音速、δは境界層の厚さ、Rは円筒の内径である。
【0071】
円筒の内周長は、πRであるので、円筒の単位長さあたりの発熱量Q(W/m)は、式(3)によって求められる。
【0073】
ここで、角振動数ωを2πfとすると、境界層の厚さδは、式(4)で求められる。
【0076】
(2)配管端が閉端であると管壁温度が上昇し、開端であると管壁温度が上昇しないことの説明
図11は、配管端が閉端222であると管壁温度が上昇することを説明するための、配管220の断面および噴流を発生するノズル230を模式的に示した図である。
図12は、配管端が開端223であると管壁温度が上昇しないことを説明するための、配管220の断面および噴流を発生するノズル230を模式的に示した図である。
【0077】
配管220の一端の開口部221にノズル230から噴流が衝突した場合、配管220内に大きな圧力変動が発生し、上記(1)で説明したように、熱音響効果によって配管220が加熱される。
【0078】
配管220の管壁温度をTとすると、熱音響効果による配管220の単位長さ当たりの発熱量Q(W/m)は、式(5)で求められる。
【0080】
ここで、cは配管220の材料の比熱、ρは配管220の材料の密度、λは配管220の材料の熱伝導率である。また、Aは配管220の断面積、hは配管220の周囲への自然対流熱伝達率、Dは配管220の周囲長、T
∞は周囲温度である。また、vは配管220内の流れの平均流速、θは配管220内の流体の温度、c
fは配管220内の流体の比熱、ρ
fは配管220内の流体の密度、A
fは配管220内の流路断面積、xは配管220の軸方向の座標である。
【0081】
他端が閉端222の場合には、配管220内に流れが生じないため、式(5)のvは「0」となり、式(5)は式(6)となる。
【0083】
ここで、配管220が保温材で保温され、熱伝導率が小さい鋼管の場合には、式(6)において、右辺の第2項および第3項を省略し、式(7)に示す近似ができる。
【0085】
一方、他端が開端223の場合には、配管220内に流れが生じる。ここで、配管220が保温材で保温され、熱伝導率が小さい鋼管の場合には、式(5)において、右辺の第2項および第3項を省略し、式(8)に示す近似ができる。
【0087】
配管220内の流体の温度と、配管220の管壁温度Tはほぼ等しいと近似できる。また、式(8)において式(9)の関係を満たすときには、配管220内の流れによる冷却効果が、熱音響効果による加熱効果を上回り、管壁温度Tは低下する。
【0089】
ここで、配管端が閉端または開端であるときの管壁温度を測定した。
図13は、試験装置を模式的に示した図である。なお、
図13には、配管220の配管端が開端であるときの状態を示している。
【0090】
測定では、長さが360mm、内径が10mm、外径が12mmのステンレス製の配管220を使用した。配管220の開口部221において、配管220の中心軸O
tに垂直な直線Lとノズル230の中心軸O
nとがなす角αを80度とした。大気雰囲気(10℃程度)で、ノズル230から大気雰囲気と同じ温度の空気を噴出した。ノズル230の噴出孔の直上流の圧力P
nと大気圧P
aとの比(P
a/P
n)を0.44とした。
【0091】
配管220の軸方向の中心位置の配管220の外壁温度を熱電対で測定した。そして、この測定した温度を管壁温度とした。配管220の他端を閉端とするときには、蓋で他端を閉鎖した。
【0092】
図14は、配管端が閉端または開端であるときの管壁温度を測定した結果を示す図である。本測定は、ノズル230からの噴出が管の一端に衝突する状態で、配管端を開端とした状態から、閉端とし、その後再び開端としたときの測定結果を示している。
【0093】
図14に示すように、配管端が閉端の場合にのみ、管壁温度が上昇していることがわかる。また、配管端が閉端の状態から開端とすると、管壁が急速に冷却されることがわかる。これらの現象は、前述した各式で評価したものと一致している。すなわち、配管端が開端の場合には、管壁温度が上昇しないことがわかる。
【0094】
この結果から、弁座後ドレン管31が開放端を備えることで、弁座後ドレン管31の異常な温度上昇を抑制できることがかわる。
【0095】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態の蒸気タービン配管4における、上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30を備えた上半側主蒸気管11、および下半側主蒸気止め弁40および下半側主蒸気加減弁50を備えた下半側主蒸気管12の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1におけるそれらと同じである。
【0096】
第4の実施の形態の蒸気タービン配管4では、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成が第1の実施の形態の配管構成と異なるため、その異なる点について主に説明する。なお、ここでは、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成を例示して説明するが、この構成を下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管51の配管構成に適用することもできる。
【0097】
(第6の配管構成)
図15は、第4の実施の形態の蒸気タービン配管4における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の第6の配管構成を模式的に示した図である。
【0098】
弁座後ドレン管31には、遮断弁32が備えられている。また、
図15に示すように、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31には、拡張部33が備えられている。この拡張部33は、弁座後ドレン管31の流路断面を拡張し、かつその拡張を弁座後ドレン管31の軸方向の所定の距離に亘って設けた空間を備えている。すなわち、拡張部33は、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31の一部に、弁座後ドレン管31の流路断面が拡張された空間を備えることで構成される。
【0099】
このように、拡張部33を備えることで、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31における、共振振動の発生を抑制することができる。これによって、遮断弁32が閉じられた後であっても、弁座後ドレン管31の異常な温度上昇を抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0100】
なお、上記した構成は、弁座後ドレン管31に備えられることに限られない。例えば、ボイラからの蒸気を高圧タービン200に導く蒸気通路から分岐され、遮断弁を有する分岐管などに、上記構成を適用してもよい。この場合においても、蒸気通路と遮断弁との間の分岐管における、共振振動の発生を抑制することができる。
【0101】
(第7の配管構成)
図16は、第4の実施の形態の蒸気タービン配管4における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の第7の配管構成を模式的に示した図である。
【0102】
弁座後ドレン管31には、遮断弁32が備えられている。また、図
16に示すように、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31内には、減衰部34が備えられている。この減衰部34は、共振振動(共鳴振動)を減衰させるもので構成される。減衰部34は、例えば、オリフィス構造、共鳴型マフラ構造などの共振振動を減衰させる減衰要素構造を有する。
【0103】
このように、減衰部34を備えることで、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31における、共振振動を減衰することができる。これによって、遮断弁32が閉じられた後であっても、弁座後ドレン管31の異常な温度上昇を抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0104】
なお、上記した構成は、弁座後ドレン管31に備えられることに限られない。例えば、ボイラからの蒸気を高圧タービン200に導く蒸気通路から分岐され、遮断弁を有する分岐管などに、上記構成を適用してもよい。この場合においても、蒸気通路と遮断弁との間の分岐管における、共振振動を減衰することができる。
【0105】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態の蒸気タービン配管5における、上半側主蒸気止め弁20および上半側主蒸気加減弁30を備えた上半側主蒸気管11、および下半側主蒸気止め弁40および下半側主蒸気加減弁50を備えた下半側主蒸気管12の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン配管1におけるそれらと同じである。
【0106】
第5の実施の形態の蒸気タービン配管5では、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成が第1の実施の形態の配管構成と異なるため、その異なる点について主に説明する。なお、ここでは、上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成を例示して説明するが、この構成を下半側主蒸気加減弁50の弁座後ドレン管51の配管構成に適用することもできる。
【0107】
図17は、第5の実施の形態の蒸気タービン配管5における上半側主蒸気加減弁30の弁座後ドレン管31の配管構成を模式的に示した図である。
【0108】
図17に示すように、弁座後ドレン管31には、遮断弁32が備えられている。前述したように、高圧タービン200のウォーミング完了後、遮断弁32は、閉じられる。この状態で、高圧タービン200の定格運転まで負荷を上昇していくと、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31の温度が異常に上昇することがある。
【0109】
そこで、第5の実施の形態においては、高圧タービン200のウォーミング完了後においても、遮断弁32を開いた状態とし、高圧タービン200の負荷が30〜50%となったときに遮断弁32を閉じる。
【0110】
ここで、高圧タービン200の負荷が30%より低い状態では、上半側主蒸気加減弁30における弁開度は小さい。そのため、上半側主蒸気加減弁30の弁体と弁座との隙間を通過する蒸気の流れは大きく乱れる。そして、この状態で、遮断弁32が閉じられていると、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31における圧力変動が大きくなり、温度の異常上昇に繋がる。
【0111】
一方、高圧タービン200の負荷が30〜50%となるときには、上半側主蒸気加減弁30における弁開度が大きくなるため、上半側主蒸気加減弁30の弁体と弁座との隙間を通過する蒸気の流れの乱れは減少する。そのため、この状態で、遮断弁32を閉じても、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31における圧力変動が抑制され、温度の異常上昇は生じない。
【0112】
このように、遮断弁32を閉じるタイミングを調整することで、上半側主蒸気加減弁30と遮断弁32との間の弁座後ドレン管31にける、圧力変動を抑制することができる。これによって、遮断弁32が閉じられた後であっても、弁座後ドレン管31の異常な温度上昇を抑制し、弁座後ドレン管31の破損を防止することができる。
【0113】
以上説明した実施形態によれば、蒸気タービン配管系において温度の異常な上昇を防止し、信頼性の高い蒸気タービン配管
および配管を提供することが可能となる。
【0114】
また、上記した第1〜第5の実施の形態において、弁座後ドレン管31の一方の端部が、上半側主蒸気加減弁30に接続された一例を示しているが、この構成に限られるものではない。例えば、弁座後ドレン管31の一方の端部を、上半側主蒸気加減弁30の直下流の上半側主蒸気管11に接続した構成としてもよい。この構成の場合、例えば、
図3に示す配管構成では、分岐管60の上半側主蒸気管11との接続部よりも、上半側主蒸気加減弁30側に、弁座後ドレン管31の一方の端部が接続される。
【0115】
なお、この構成は、下半側の弁座後ドレン管51にも適用してもよい。すなわち、弁座後ドレン管51の一方の端部を、下半側主蒸気加減弁50に接続する代りに、下半側主蒸気加減弁50の直下流の下半側主蒸気管12に接続した構成としてもよい。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。