特許第6178126号(P6178126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6178126太陽電池用封止材組成物およびその製造方法、ならびに、それを用いた太陽電池用封止材層および太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178126
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】太陽電池用封止材組成物およびその製造方法、ならびに、それを用いた太陽電池用封止材層および太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20170731BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20170731BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   C08L23/08
   C08L31/04 A
   H01L31/04 140
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-125401(P2013-125401)
(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公開番号】特開2015-902(P2015-902A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千田 洋毅
(72)【発明者】
【氏名】尾之内 久成
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/016557(WO,A1)
【文献】 特開2003−104976(JP,A)
【文献】 特開2012−119455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L23、31、C08J3
H01L31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系共重合体(A)および有機化合物添加剤(B)を含む太陽電池用封止材組成物の製造方法であって、
前記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点以上、前記エチレン系共重合体(A)の融点より10℃低い温度以下の温度範囲内で、前記エチレン系共重合体(A)および前記有機化合物添加剤(B)を混合するブレンド工程を含み、
前記有機化合物添加剤(B)が、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、老化防止剤、または、架橋助剤であることを特徴とする、太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項2】
前記エチレン系共重合体(A)がペレット状である、請求項1に記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項3】
前記ブレンド工程において、さらに有機過酸化物(C)を含み、かつ、前記有機化合物添加剤(B)の融点が、前記有機過酸化物(C)の一時間半減期温度より10℃低い温度以上である、請求項1または2に記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項4】
前記ブレンド工程において、溶剤を用いない、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項5】
前記ブレンド工程において、さらに液状添加剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項6】
前記ブレンド工程に次いで、溶融混練工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項7】
前記溶融混練工程が一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、またはミキシングロールによりなされる、請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項8】
前記エチレン系共重合体(A)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池用封止材組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により太陽電池用封止材組成物を得る工程、および、
前記太陽電池用封止材組成物を用いて太陽電池用封止材層を形成する工程、
を含む、太陽電池用封止材層の製造方法
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の方法により太陽電池用封止材組成物を得る工程、
前記太陽電池用封止材組成物を用いて太陽電池用封止材層を形成する工程、および、
前記太陽電池用封止材層、および、太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを形成する工程、を含む、太陽電池モジュールの製造方法
【請求項11】
前記太陽電池セルが、結晶シリコン太陽電池、硫化カドミウム/テルル化カドミウム太陽電池、銅インジウムガリウム二セレン化物太陽電池、非晶質シリコン太陽電池、または微結晶シリコン太陽電池である、請求項10に記載の太陽電池モジュールの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用封止材組成物およびその製造方法、ならびに、それを用いた太陽電池用封止材層および太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、一般に、ガラス基板、太陽電池封止材、発電素子、太陽電池封止材、およびバックシートを順次積層した構造を有する。そして上記太陽電池封止材には、低コストや高透過率等の観点から、エチレン系共重合体をマトリックスとする樹脂シートが用いられている。
【0003】
上記エチレン系共重合体には、耐久性を向上させるために有機過酸化物や架橋助剤などが含有されている。また、耐候性を付与するために、紫外線吸収剤のような紫外光領域に吸収領域を有する有機物やガラス、太陽電池素子の接着性を確保するために、シランカップリング剤が一般的に配合されている。
【0004】
シート状太陽電池封止材の成形は、Tダイ押出成膜機やカレンダー成形機などによって行われる。たとえば、エチレン系共重合体に、上述のような添加剤をあらかじめドライブレンドした後に、Tダイ押出機のホッパーから供給し、有機過酸化物が実質的に分解しない成形温度でシート状に押出成形する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記添加剤の中で、その融点が成形温度より高いものは溶融しないため、エチレン系共重合体に均一に分散しにくい問題があった。そのため、融点以上の温度で一度有機物を融解させる必要がある。しかし、高融点の有機物を、有機過酸化物が分解する温度以上の温度で融解させた場合、有機過酸化物の分解に伴う架橋反応が開始・進行し、シート表面にブツ等の不具合が発生したり、最終的な物性にも影響を及ぼすおそれがある。また、スクリュー回転数を上げて分散性を向上させる方法もあるが、せん断発熱の影響で樹脂温度が高くなり、結果的に過酸化物が分解する恐れがある。このため、高融点の有機物を、有機過酸化物が分解しない温度以下で分散させる方法が必要である。
【0006】
一つの手段として、二軸押出機のような溶融混練機でエチレン系共重合体にあらかじめ高融点の有機物のみをその融点以上で練りこんだマスターバッチを作製し、マスターバッチをエチレン系共重合体と有機過酸化物と一緒に低温で溶融混練しシート化する方法があげられる。しかしながら、上記手法でも、マスターバッチの工程が増えてしまうことで、材料のロスによるコスト増加や、熱履歴が増えることによるエチレン系共重合体自体の劣化が生じる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−186233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に照らし、有機過酸化物が実質的に分解しない成形温度で、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散された太陽電池用組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤がエチレン系共重合体に均一に分散された太陽電池用封止材層、および、それを用いた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す太陽電池用封止材組成物およびその製造方法、ならびに、それを用いた太陽電池用封止材層および太陽電池モジュールにより上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法は、エチレン系共重合体(A)および有機化合物添加剤(B)を含む太陽電池用封止材組成物の製造方法であって、
上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点以上、上記エチレン系共重合体(A)の融点より10℃低い温度以下の温度範囲内で、上記エチレン系共重合体(A)および上記有機化合物添加剤(B)を混合するブレンド工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法を用いることにより、有機過酸化物が実質的に分解しない成形温度で、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散させることが可能となる。また、液状添加剤を含む場合であっても、樹脂内部に含浸や分散する等により樹脂表面に液体成分が残ることなく、またブロッキングしない樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0013】
本発明では、上記温度範囲で撹拌混合することで、高融点の有機化合物の分散状態が良くなる。一方、上記ビカット軟化点以下で行うと、高融点化合物が(特にペレット状の場合に)樹脂に付着しにくくなり、また上記融点より10℃低い温度以下ではない場合には、樹脂同士がブロッキングしてしまう。より詳細には、従来のように上記ブレンド工程(プレブレンド)時に温度制御を行わずに長時間ブレンドを行うと、ペレットと回転羽との摩擦やペレット同士の摩擦等により内部温度が上昇してしまい、樹脂同士がブロッキングしてしまう恐れがある。一方、本願発明における上記温度範囲内でプレブレンドを行うことにより、上記問題を効果的に回避することができる。
【0014】
本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記エチレン系共重合体(A)がペレット状であることが好ましい。上記製造方法を用いることにより、一般に粉状よりも添加剤を混合・分散しにくいペレット状のエチレン系共重合体であっても、得られる太陽電池用封止材層のマトリックス樹脂であるエチレン系共重合体に均一に分散させることが可能となる。また、ペレットを用いることが可能となり、太陽電池用封止材組成物の生産加工性が向上する。
【0015】
なお、上記ペレット状とは、主に加工性向上のために、たとえば、直径または長さが1〜10mm程度の粒子状にしたものをいい、たとえば、略円柱状、略球状、略円盤状、略三角柱状、略四角柱状、略多面体状、楕円球状などの形態の粒体などをあげることができる。
【0016】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記ブレンド工程において、さらに有機過酸化物(C)を含み、かつ、上記有機化合物添加剤(B)の融点が、上記有機過酸化物(C)の一時間半減期温度より10℃低い温度以上であることが好ましい。本発明の製造方法を用いることにより、通常均一な分散が困難である、上記有機過酸化物(C)の一時間半減期温度付近またはより高い融点を持つ上記有機化合物添加剤(B)であっても、有機過酸化物が実質的に分解させずに、上記有機化合物添加剤(B)をエチレン系共重合体に均一に分散させることが可能となる。
【0017】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記ブレンド工程において、溶剤を用いないことが好ましい。上記製造方法においては、液状添加剤などの太陽電池用封止材組成物の構成成分以外には別途溶剤を用いることなく(ドライプロセス)、有機過酸化物が実質的に分解しない成形温度で、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記ブレンド工程において、さらに液状添加剤を含むことができる。上記製造方法においては、シランカップリング剤や液状の架橋助剤などの液状添加剤を含む場合であっても、樹脂内部に含浸や分散する等により樹脂表面に液体成分が残ることなく、またブロッキングしない樹脂組成物を得ることができる。簡易にマスターバッチを作製することもできる。なお、上記液状添加剤とは、ブレンド工程時に液状である添加剤をいい、ブレンド工程時の温度よりも融点が低い化合物が該当する。
【0019】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記ブレンド工程に次いで、溶融混練工程を含むことが好ましい。上記ブレンド工程を先に経由するより、溶融混練工程後に成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散された太陽電池用組成物を容易に得ることができる。さらには、上記ブレンド工程を先に経由することで、通常より低温の溶融混練工程であっても、高融点の有機化合物の分散性が良いシートを形成することができる。
【0020】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記溶融混練工程が、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、またはミキシングロールによりなされることが好ましい。上記構成を用いることにより、より効果的に、有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散された上記太陽電池用組成物を得ることができる。また、シートの成形は(封止材層の形成)は、カレンダー成形、Tダイ、またはインフレーション等による溶融押出成形によりなされることが好ましい。
【0021】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法において、上記有機化合物添加剤(B)が、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、老化防止剤、または、固形の架橋助剤であることが好ましい。上記化合物を用いることにより、上記組成物により形成される太陽電池用封止材層をより多機能にすることができる。
【0022】
また、本発明の太陽電池用封止材組成物において、上記エチレン系共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とすることが好ましい。上記エチレン系共重合体としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とすることにより、より確実に光透過性や耐久性に優れた太陽電池用封止材層を得ることができる。
【0023】
なお、上記主成分とするとは、上記太陽電池用封止材組成物のマトリックス樹脂が複数の樹脂の混合物である場合、重量比で50重量%以上含む場合をいうものとする。上記重量比は、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。
【0024】
一方、本発明の太陽電池用封止材層は、上記太陽電池用封止材組成物を用いて形成されたことを特徴とする。上記組成物を用いて形成されることにより、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤がエチレン系共重合体に均一に分散された太陽電池用封止材層となる。
【0025】
また、本発明の太陽電池モジュールは、上記太陽電池用封止材組成物を用いて形成された太陽電池用封止材層を含むことを特徴とする。上記太陽電池モジュールは、上記太陽電池用封止材層を有するため、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤がエチレン系共重合体に均一に分散された太陽電池モジュールとなる。
【0026】
また、本発明の太陽電池モジュールにおいて、上記太陽電池セルが、結晶シリコン太陽電池、硫化カドミウム/テルル化カドミウム太陽電池、銅インジウムガリウム二セレン化物太陽電池、非晶質シリコン太陽電池、または微結晶シリコン太陽電池であることが好ましい。上記太陽電池モジュールは、上記太陽電池セルを積層する太陽電池モジュールに用いることでより効果的に光電変換効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の太陽電池用封止材層を用いた太陽電池モジュールの例を示す。
図2】本発明の太陽電池用封止材層を用いた太陽電池モジュールの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法は、エチレン系共重合体(A)および有機化合物添加剤(B)を含む太陽電池用封止材組成物の製造方法であって、
上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点以上、上記エチレン系共重合体(A)の融点より10℃低い温度以下の温度範囲内で、上記エチレン系共重合体(A)および上記有機化合物添加剤(B)を混合するブレンド工程を含むことを特徴とする。
【0030】
(太陽電池用封止材組成物)
本発明の太陽電池用封止材組成物は、少なくともエチレン系共重合体(A)および有機化合物添加剤(B)を含むことを特徴とする。上記太陽電池用封止材組成物は、たとえば、エチレン系共重合体(A)を主成分として含む、光学的に透明なマトリックス樹脂の中に、少なくとも有機化合物添加剤(B)を分散させること等により形成することができる。
【0031】
上記エチレン系共重合体(A)として、たとえば、エチレンと極性モノマーの共重合体、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンの共重合体などをあげることができる。
【0032】
上記エチレン系共重合体(A)において、エチレン単位含有量が50〜90重量%であることが好ましく、60〜80重量%であることがより好ましく、65〜75重量%であることがさらに好ましい。上記含有量とすることにより、より確実に、柔軟性、透明性、成形性、耐ブロッキング性、太陽電池素子保護性に優れた太陽電池用封止材を得ることができる。
【0033】
上記極性モノマーとして、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、および、これらのカルボン酸塩などの塩などをあげることができる。上記カルボン酸の塩として、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0034】
上記炭素数3以上のα−オレフィンとして、たとえば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0035】
上記エチレン系共重合体(A)として、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体およびそのアイオノマーなどをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
上記エチレン系共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とすることが好ましい。上記エチレン系共重合体としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とすることにより、より確実に光透過性や耐久性に優れた太陽電池用封止材層を得ることができる。
【0037】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、酢酸ビニル単量体単位の含有率が20〜40重量部であることが好ましく、25〜35重量部であることがより好ましく、上記含有率の場合には希土類錯体などのマトリックス樹脂中への均一分散性の観点から好ましい。
【0038】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)を用いる場合には、市販品を適宜使用することができる。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の市販品として、たとえば、ウルトラセン(東ソー株式会社製)、エバフレックス(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)、サンテックEVA(旭化成ケミカルズ社製)、UBE EVAコポリマー(宇部丸善ポリエチレン社製)、エバテート(住友化学社製)、ノバテックEVA(日本ポリエチレン社製)、スミテート(住友化学社製)、ニポフレックス(東ソー社製)などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の屈折率として、たとえば、1.4〜1.7の範囲、1.45〜1.65の範囲、または、1.45〜1.55の範囲である。いくつかの実施形態において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の屈折率が1.5である。
【0040】
上記太陽電池用封止材組成物として、光学的に透明なマトリックス樹脂を用いることが好ましい。上記マトリックス樹脂として、上記エチレン系共重合体(A)とともに、上記エチレン系共重合体(A)の特性を損なわない限り、他のマトリックス樹脂を適宜用いてもよい。上記他のマトリックス樹脂として、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンテトラフルオロエチレンなどのポリオレフィン類、ポリイミド、非晶質ポリカーボネート、シロキサンゾル−ゲル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、エポキシ樹脂、および、シリコーン樹脂などをあげることができる。これらのマトリックス樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0041】
上記マトリックス樹脂(上記エチレン系共重合体(A)のみ、または他のマトリックス樹脂との併用)において、架橋性モノマーを加えて、架橋構造を有する樹脂としてもよい。
【0042】
上記架橋性モノマーとして、たとえば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物(たとえば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等)、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物(たとえば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート等)、多価カルボン酸(たとえば、無水フタル酸)と水酸基およびエチレン性不飽和基を有する物質(たとえば、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とのエステル化物、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(たとえば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル)、ウレタン(メタ)アクリレート(たとえば、トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとシクロヘキサンジメタノールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物等)、などをあげることができる。これらの架橋性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。なかでも、上記架橋性モノマーにおいて、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレートが好ましいものとしてあげられる。
【0043】
上記架橋性モノマーを含むマトリックス樹脂を用いる場合、たとえば、上記架橋モノマーに熱重合開始剤または光重合開始剤を加えて、加熱または光照射によって重合・架橋させ架橋構造を形成することができる。
【0044】
上記熱重合開始剤として、公知の過酸化物を適宜用いることができる。上記熱可塑性樹脂重合開始剤としては、たとえば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンズエート、ベンゾイルパーオキサイドなどをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0045】
上記熱重合開始剤の配合量は、たとえば、上記マトリックス樹脂100重量部に対して、0.1〜2重量部用いることができる。
【0046】
上記光重合開始剤としては、紫外線または可視光線により遊離ラジカルを生成する公知の光開始剤を適宜用いることができる。上記光重合開始剤として、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ベンジルジメチルケタール(チバ・ジャパン・ケミカルズ社製、イルガキュア651)、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのキサントン類、あるいはヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュア184)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ビトロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン・ケミカルズ社製、ダロキュア1116)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製、ダロキュア1173)などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
また、上記光重合開始剤として、たとえば、2,4,5−トリアリルイミダゾール二量体と2−メルカプトベンゾオキサゾール、ロイコクリスタルバイオレット、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン等との組み合わせなどをあげることができる。また、たとえば、ベンゾフェノンに対するトリエタノールアミン等の三級アミンのように、適宜公知の添加剤を用いてもよい。
【0048】
上記光重合開始剤の配合量は、たとえば、上記マトリックス樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部用いることができる。
【0049】
上記有機化合物添加剤(B)として、上記エチレン系共重合体(A)の融点よりも高い融点をもつ有機化合物であることが好ましい。本願発明の製造方法を用いることにより、特に、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散させることが可能になる。
【0050】
上記有機化合物添加剤(B)として、たとえば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、老化防止剤、または、固形の架橋助剤であることが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
有機化合物添加剤(B)として、たとえば、融点が100〜250℃であることが好ましく、150〜200℃であることがより好ましく、160〜180℃であることがさらに好ましい。なお、上記融点の測定は、昇温過程(10℃/分)における結晶状態から液体状態に転移する温度を観察しておこなうものとする。
【0052】
上記有機化合物添加剤(B)の含有量は、上記マトリックス樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部含有することが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましく、0.1〜1重量部であることがさらに好ましい。
【0053】
上記紫外線吸収化合物として、公知のものを適宜用いることができる。上記紫外線吸収化合物として、たとえば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収化合物としては、たとえば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−5,5’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(ヒドロキシメチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(2−ヒドロキシエチル)−5,5’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノンなどをあげることができる。
【0055】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収化合物としては、たとえば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール等、あるいは2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、2,2’−メチレンビス〔6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール〕、3,3−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}プロパン、2,2−{2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕}ブタン、2,2’−オキシビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルフィド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホキシド、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕スルホン、2,2’−ビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾリ−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール〕アミンなどをあげることができる。
【0056】
上記トリアジン系紫外線吸収化合物としては、たとえば、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチル)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−s−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどをあげることができる。
【0057】
上記サリチル酸系紫外線吸収化合物としては、たとえば、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどをあげることができる。
【0058】
上記シアノアクリレート系紫外線吸収化合物としては、たとえば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどをあげることができる。
【0059】
また、上記紫外線吸収化合物に波長変換機能を有するものを用いる場合、上記紫外線吸収化合物として、たとえば、波長域350〜400nmの光を、400nmを超える波長域の光よりも多く吸収する蛍光化合物をあげることができる。上記蛍光化合物として、有機蛍光化合物、および、無機蛍光化合物などをあげることができる。
【0060】
上記有機蛍光化合物として、公知の有機色素化合物(有機蛍光染料など)を用いることができる。上記有機蛍光化合物として、たとえば、ナフタルイミド、ペリレン、アントラキンノン、クマリン、ベンゾクマリン、キサンテン、フェノキサジン、ベンゾ[a]フェノキサジン、ベンゾ[b]フェノキサジン、ベンゾ[c]フェノキサジン、ナフタルイミド、ナフトラクタム、アズラクトン、メチン、オキサジン、チアジン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ベンゾキサンテン、チオーエピンドリン、ラクタムイミド、ジフェニルマレイミド、アセトアセトアミド、イミダゾチアジン、ベンズアントロン、ペリレンモノイミド、フタルイミド、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール、ジベンゾフラン、トリアジン、および、ハルビツール酸誘導体などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0061】
上記無機蛍光化合物として、たとえば、発光中心としてユーロピウムやサマリウムを有する錯体化合物などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0062】
上記蛍光化合物の吸光度として、たとえば、0.1〜6であることが好ましく、0.5〜4であることがより好ましく、0.8〜3であることがさらに好ましい。
【0063】
また、上記紫外線吸収化合物は、200〜400nm、特に280〜380nmの範囲内に最大吸収波長を有するものが好ましい。上記紫外線吸収化合物を用いることにより、照射光に含まれる紫外線のうち、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン系共重合体の光劣化を招く恐れのある紫外線をより効果的に吸収できる。なお、上記紫外線吸収化合物の最大吸収波長は、公知の手法を用いて市販の紫外線測定装置等を用いて測定することができる。
【0064】
上記紫外線吸収化合物のうち、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体の光劣化の防止の観点からはベンゾフェノン系紫外線吸収化合物を用いるのが好ましく、一分子中にヒドロキシル基を2個以下含むベンゾフェノン系紫外線吸収化合物を用いるのが特に好ましい。上記紫外線吸収化合物として、たとえば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノンなどをあげることができる。上記化合物は、320〜350nmの範囲内に最大吸収波長を有し、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体(A)の光劣化をより効果的に抑制することができる。
【0065】
上記酸化防止剤として、公知のものを適宜用いることができる。上記光酸化防止剤として、たとえば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0066】
上記酸化防止剤のなかでも、着色を抑制する効果が大きいことから、フェノール系酸化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが好ましい。
【0067】
上記光安定剤として、公知のものを適宜用いることができる。上記光安定剤として、ポリマーに対して有害なラジカル種を補足し、新たなラジカルを発生しないようにする機能を有する化合物があげられる。上記光安定剤として、たとえば、ヒンダードアミン系光安定剤などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。上記光安定剤を含むことによって、照射された光などの影響によってマトリックス樹脂の劣化し、太陽電池用封止膜が黄変するのを抑制することができる。
【0068】
低分子量の上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、たとえば、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキサイドおよびオクタンの反応生成物(分子量737)70重量%とポリプロピレン30重量%からなるもの;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(分子量685);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物(分子量509);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量481);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791);テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量847);2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900);1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900)などをあげることができる。
【0069】
高分子量の上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](分子量2,000〜3,100);コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(分子量3,100〜4,000);N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(分子量2,286)と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物;ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)などをあげることができる。
【0070】
また、上記ヒンダードアミン系光安定剤の市販品として、たとえば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA−63p、LA−67、LA−68(いずれもADEKA社製)、Tinuvin744、Tinuvin770、Tinuvin 765、Tinuvin123、Tinuvin144、Tinuvin622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもBASF社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)などをあげることができる。
【0071】
上記架橋助剤として、公知のものを適宜用いることができる。上記架橋助剤として、官能基としてラジカル重合性基を有する化合物があげられる。上記架橋助剤として、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能架橋助剤、(メタ)アクリルエステル(NKエステルなど)の単官能または2官能の架橋助剤などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。上記架橋助剤を用いることにより、より確実にマトリックス樹脂のゲル分率を向上させ、封止材層の接着性および耐久性を向上させることができる。また、上記架橋助剤は、上記液状添加剤として用いることがより好ましいが、固形の架橋助剤も単独使用または液状の架橋助剤と併用してもよい。
【0072】
上記老化防止剤として、公知のものを適宜用いることができる。上記老化防止剤として、たとえば、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0073】
上記太陽電池用封止材組成物においては、上記マトリックス樹脂に上記各成分(化合物)が混合・分散されている。上記太陽電池用封止材組成物において、所望の性能を損なわない範囲で、適宜公知の添加剤を含むことができる。上記添加剤として、たとえば、熱可塑性ポリマー、充填剤、可塑剤、シランカップリング剤、受酸剤、クレイ等があげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの他の添加剤のうち有機化合物であれば、上記有機化合物添加剤(B)として用いてもよい。
【0074】
上記ブレンド工程において、さらに有機過酸化物(C)を含み、かつ、上記有機化合物添加剤(B)の融点が、上記有機過酸化物(C)の一時間半減期温度より10℃低い温度以上であることが好ましい。
【0075】
上記有機過酸化物(C)として、上記熱重合開始剤を適宜用いることができる。上記重合開始剤において、なかでも、一時間半減期温度(半減期が一時間となる温度)が90〜180℃であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましく、110〜140℃であることがさらに好ましい。上記重合開始剤として、たとえば、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、第3ブチルパーオキシアセテート、第3ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ第3ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(第3ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(第3ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、第3ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、第3ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0076】
上記有機化合物添加剤(B)の融点が、上記有機過酸化物(C)の一時間半減期温度より10℃低い温度以上であることが好ましく、その他、20℃低い温度以上であるとしてもよく、30℃低い温度以上であるとしてもよく、40℃低い温度以上であるとしてもよい。本発明の製造方法を用いることにより、通常困難である上記有機過酸化物(C)の一時間半減期温度付近またはより高い融点を持つ上記有機化合物添加剤(B)であっても、有機過酸化物が実質的に分解させずに、成形温度よりも高い融点を有する有機化合物添加剤をエチレン系共重合体に均一に分散させることが可能となる。
【0077】
(太陽電池用封止材層の製造方法)
本発明の太陽電池用封止材組成物の製造方法は、エチレン系共重合体(A)および有機化合物添加剤(B)を含む太陽電池用封止材組成物の製造方法であって、
上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点以上、上記エチレン系共重合体(A)の融点より10℃低い温度以下の温度範囲内で、上記エチレン系共重合体(A)および上記有機化合物添加剤(B)を混合するブレンド工程を含むことを特徴とする。
【0078】
上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点(Vicat Softening Temperature、VST)とは、JIS K7206(試験荷重はA法(10N)、伝熱媒体の昇温速度は50℃/時の条件)によって測定された値を意味する。なお、断面積1mmの端面が1mm食い込んだ時点の温度を上記ビカット軟化点温度とする。
【0079】
上記ブレンド工程は、上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点以上、上記エチレン系共重合体(A)の融点より10℃低い温度以下の温度範囲内で、上記エチレン系共重合体(A)および上記有機化合物添加剤(B)を混合することを特徴とする。
【0080】
たとえば、上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点がX℃、上記エチレン系共重合体(A)の融点がY℃であった場合、上記ブレンド工程が行われる温度範囲は、X℃以上(Y−10)℃以下となる。
【0081】
上記温度範囲の下限として、上記エチレン系共重合体(A)のビカット軟化点より3℃高い温度、5℃高い温度、10℃高い温度、15℃高い温度、20℃高い温度等とすることができる。
【0082】
上記温度範囲の上限として、上記エチレン系共重合体(A)の融点より13℃低い温度、15℃低い温度、20℃低い温度、25℃低い温度等とすることができる。
【0083】
上記ブレンド工程の混合時間は、たとえば、1分〜60分で行うことができ、3分〜40分で行うことができ、5分〜30分で行うことができ、10分〜15分で行うことができる。
【0084】
上記ブレンド工程において、適宜公知の方法を用いて各材料(化合物)を混合(撹拌混合)することができる。たとえば、上記エチレン系共重合体(A)に上記有機化合物添加剤(B)を添加する方法、上記有機化合物添加剤(B)に上記エチレン系共重合体(A)を添加する方法、両者を同時または順次混練機器内に投入して機内で混合する方法、上記エチレン系共重合体(A)と上記有機化合物添加剤(B)と上記液体添加剤とを同時または順次投入する方法などをあげることができる。特に、上記エチレン系共重合体(A)がペレット状である場合、ペレット表面に上記有機化合物添加剤(B)を混合撹拌して付着させる方法を用いることが好ましい。さらに、上記エチレン系共重合体(A)がペレット状であって、かつ液状添加剤を用いる場合には、上記液状添加剤を混合撹拌してペレット内部に含浸させる方法を用いることが好ましい。また、上記ブレンド工程は、液状添加剤などの太陽電池用封止材組成物の構成成分以外には別途溶剤を用いない方法(ドライプロセスで行うこと)が好ましい。
【0085】
上記製造方法において、上記エチレン系共重合体(A)がペレット状であることが好ましい。
【0086】
なお、上記ペレット状とは、たとえば、直径または長さが1〜10mm程度の粒子状にしたものをいい、たとえば、2〜7mmとすることができ、3〜5mmとすることができる。また、上記ペレット状とは、たとえば、略円柱状、略球状、略円盤状、略三角柱状、略四角柱状、略多面体状、楕円球状などの形態の粒体などをあげることができる。
【0087】
上記ブレンド工程において、ブレンド混合物(マトリックス樹脂等)の温度制御は、たとえば、ジャケットや冷却器などを用いて行うことが好ましい。
【0088】
上記ブレンド工程に使用する機器として、たとえば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどを好ましいものとしてあげることができる。
【0089】
上記製造方法において、上記ブレンド工程に次いで、溶融混練工程を含むことが好ましい。
【0090】
上記溶融混練工程として、適宜公知の方法を用いることができる。上記溶融混練工程として、たとえば、加熱混練、ロールミル、プラストミル、溶融押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどにより行うことができる。また、上記溶融混練工程を経由して直接太陽電池用封止材層として成形してもよい。
【0091】
上記溶融混練工程の混合温度は、たとえば、40〜150℃で行うことができ、80〜140℃で行うことができ、90〜120℃で行うことができ、100〜110℃で行うことができる。過酸化物によるゲル化を防ぐために、110℃以下で行うことが好ましい。
【0092】
上記溶融混練工程の混合時間は、たとえば、1分〜20分で行うことができ、3分〜10分で行うことができ、3分〜7分で行うことができ、3分〜5分で行うことができる。
【0093】
(太陽電池用封止材層)
一方、本発明の太陽電池用封止材層は、上記製造方法で得られた太陽電池用封止材組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
【0094】
上記太陽電池用封止材層を製造するには、適宜公知の方法を用いることができる。たとえば、上記の太陽電池用封止材組成物(またはその各材料)を加熱混練、ロールミル、プラストミル等を用いて公知の方法で加熱混合した組成物を、通常の押出成形、カレンダー成形(カレンダリング)、真空熱加圧等により成形してシート状物を得る方法により適宜製造することができる。また、PETフィルム等の上に上記層を形成した後、表面保護層に転写する方法により製造することができる。また、ホットメルトアプリケーターにより、混練溶融と塗布を同時に行う方法を用いることができる。特に、本発明では上記ブレンド工程および上記溶融混練工程を溶融押出機等の混練機器内で行い、シート状、フィルム状等の封止材層としての成形まで連続して行う方法が好ましい。
【0095】
より具体的には、たとえば、上記製造方法で得られた上記太陽電池用封止材組成物を、表面保護層またはセパレーターなどにそのまま塗布・形成してもよし、上記材料を他の材料と混合組成物として塗布・形成してもよい。
【0096】
上記太陽電池用封止材組成物を塗布する場合、たとえば、上記太陽電池用封止材組成物のマトリックス樹脂の融点が50〜120℃であれば、上記組成物の混練溶融および塗布温度は、上記融点に30〜100℃加えた温度で行うことが好ましい。
【0097】
特に、本発明では上記ブレンド工程および上記溶融混練工程を溶融押出機等の混練機器内で行い、シート状、フィルム状等の封止材層としての成形まで連続して行う方法が好ましい。その他の方法として、いくつかの実施形態において、太陽電池用封止材層が下記の工程によって薄膜構造体に製造される:(i)ポリマー(マトリックス樹脂)粉末が所定の比率で溶媒(たとえば、テトラクロロエチレン(TCE)、シクロペンタノン、ジオキサンなど)に溶解されたポリマー溶液を調製する工程、(ii)ポリマー混合物を含有する発光色素(蛍光化合物)を、ポリマー溶液を所定の重量比で発光色素と混合して、色素含有ポリマー溶液を得ることによって調製する工程、(iii)色素/ポリマー薄膜を、色素含有ポリマー溶液をガラス基板の上に直接に流し込み、その後、基板を2時間で室温から最高で100℃まで熱処理し、残留溶媒を130℃での一晩のさらなる真空加熱によって完全に除くことによって形成する工程、および、(iv)使用前に、色素/ポリマー薄膜を水の中で剥がし、その後、自立型ポリマーフィルムを完全に乾燥する工程;(v)フィルムの厚さを、色素/ポリマー溶液の濃度および蒸発速度を変化させることによって制御することができる。
【0098】
上記太陽電池用封止材層の厚みは、20〜2000μmであることが好ましく、50〜1000μmであることがより好ましく、100〜800μmであることがさらに好ましい。20μmよりも薄くなると、封止材機能が発現しにくくなってしまう。一方、2000μmより厚くなると、太陽電池モジュールの厚みが大きくなり、コスト的にも不利益である。
【0099】
上記太陽電池用封止材層は、通常、太陽電池セルの封止に用いられるが、必要に応じて、インターコネクタ材、電極なども適宜封止するように積層される。上記太陽電池用封止材層の上記機能を損なわない限り、各層間などの適宜必要に応じて、他の層を介在してもよい。
【0100】
(太陽電池モジュール)
本発明の太陽電池モジュール1は、表面保護層10、上記太陽電池用封止材層20および太陽電池セル30を含むことを特徴とする。一例として図1、2に簡易な模式図を示すが、本発明がこれらに限定されるものではない。また、太陽電池セルの背面側にさらに封止材層40、バックシート50を適宜備えることもできる。また、これらの各層間に、上記太陽電池用封止材層の上記機能を損なわない限り、接着材層、粘着剤層などの他の層を適宜介在してもよい。また、上記背面用の封止材層として、適宜、本発明の太陽電池用封止材層を用いてもよい。
【0101】
上記太陽電池セルとして、たとえば、硫化カドミウム/テルル化カドミウム太陽電池、銅インジウムガリウム二セレン化物太陽電池、非晶質シリコン太陽電池、微結晶シリコン太陽電池または結晶シリコン太陽電池を用いることができる。上記太陽電池セルとして、結晶シリコン太陽電池であることが好ましい。
【0102】
上記太陽電池モジュールの製造において、上記太陽電池用封止材層を上記太陽電池セル等に転写してもよく、直接上記太陽電池セル上に塗布形成してもよい。また、上記太陽電池用封止材層と他の層を同時に形成してもよい。
【実施例】
【0103】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0104】
(表中の化合物)
実施例・比較例では、以下の化合物を用いた。
[エチレン系共重合体(A)]
・スミテートKA30:マトリックス樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)(住友化学社製、融点74℃、ビカット軟化点39℃)
・ウルトラセン710:マトリックス樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)(東ソー社製、融点71℃、ビカット軟化点40℃)
・スミテートMA10:マトリックス樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)(住友化学社製、融点57℃、ビカット軟化点33℃)
[有機化合物添加剤(B)]
・化合物B1:4,7−ビス(4−メトキシフェニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(融点201℃)
・化合物B2:4,7−ビス(4−イソブチルオキシフェニル)−2−イソブチル−2H−ベンゾトリアゾール(融点167℃)
・Tinuvin900:2−(2H−ベンゾチアジアゾール−2−イル)−4,6−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製、融点138℃)
[有機過酸化物(C)]
・Perbutyl E:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート(日油社製、一時間半減期温度119℃)
[シランカップリング剤]
・KBM503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製)
[架橋助剤]
・TAIC:架橋助剤、トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)
【0105】
(樹脂シートの作製)
実施例・比較例において、各化合物を表1の配合に基づき、各封止材層(封止材シート)を下記方法により製造した。
【0106】
各実施例・比較例において、小型粉砕機(アズワン社製)を用いて、各所定の温度範囲になるように冷却器で系中の温度制御しながら、各材料(化合物)を混合撹拌してプレブレンド(5分)を行った。その後、プレブレンドした樹脂組成物をラボプラストミル4C150型(ローラ形状:シグマ型、東洋精機社製)に投入し、80℃、10rpmで5分間混練した。得られた混練物を真空熱加圧装置VS20−3430(ミカドテクノス社製)を用いて100℃、20kNで5分間プレスを行い、厚み400μmの封止材シートを成型した。
【0107】
(プレブレンド後の樹脂の評価)
プレブレンド後の樹脂組成物に対し、肉眼での外観形状の評価を実施した。評価基準は以下のように行った。
・ブロッキングの発生がなかった場合、液体成分が表面に残っていなかった場合:○
・樹脂同士のブロッキングが生じていた場合、液体成分が樹脂表面に残っていた場合:×
【0108】
(シート分散性の評価)
まず、得られた封止材シートに対し、肉眼での外観形状の評価を行い、上記有機化合物添加剤(B)が残っていた場合は不合格とした。一方、肉眼では上記化合物の残存が判別できないものに対して、以下の評価を続けた。
【0109】
成型した封止材シートを2cm角で切り出し、有機化合物添加剤の吸光度をMCPD−9800(大塚電子社製)で測定し、吸光度/厚みをn=5の標準偏差を求め、分散性の評価を実施した。評価基準は以下のように行った。
・標準偏差が0.1未満であった場合:○
・標準偏差が0.1以上であった場合:×
【0110】
下記表1、表2に、各配合(重量部単位)および得られた封止材層樹脂シートを用いたときの各測定結果を示す。
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
測定・評価の結果、いずれの実施例においても、プレブレンド後の樹脂の評価およびシート分散性の評価はともに良好であった。一方、比較例1では、分散性が悪かった。また、比較例2では、分散性が悪く、液体成分が樹脂表面に残ってしまった。また、比較例3〜5では、プレブレンド時の温度が本願発明よりも高く、ブロッキングしてしまった。
【0113】
1 太陽電池モジュール
10 表面保護層
20 太陽電池用封止材層
30 太陽電池セル
40 裏面用封止材層
50 バックシート
図1
図2