(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体部の前記外周部に連結されており、前記外周部に対して回動可能であり、前記回動に伴って、前記容器本体の側壁に対し固定されるロック位置と前記側壁に対しロックされない解除位置との間を移動する固定部
をさらに備える、
請求項1又は2に記載の蓋体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の容器のように、蓋体の外枠全体がパッキンの役割を担うことができる比較的軟質の材料から形成される場合、外枠が変形する虞が少なからずある。そうすると、使用を重ねるにつれ、パッキンがしっかりと容器本体の周縁部に密着しなくなり得る。
【0006】
そこで、特許文献2の容器のように、比較的硬質の蓋本体の外周部の内側面(容器本体の内部に面する面)にパッキンを装着する構成とすると、蓋本体とパッキンとの隙間に水や汚れが入り込み易く、洗浄時に蓋本体からパッキンを取り外すことが必要となる。この場合、洗浄が面倒になる上、部品の紛失の虞も生じる。また、特許文献2では、弁体及びフラップが異素材の蓋本体に取り外し可能に支持されるため、洗浄時には、これらの部品も蓋本体から取り外さなければならず、さらに洗浄が面倒になり、部品の紛失の虞が生じる。なお、特許文献1,2の容器に関する以上の問題は、食品用の容器だけでなく、密閉状態と通気状態とに切り替える必要がある容器全般に起こり得る問題である。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、外枠の変形の虞が低減されるとともに、部品の紛失の虞が少なく、洗浄が容易な蓋体及びこれを備えた容器、並びにそのような蓋体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1観点に係る蓋体は、開口を規定する周縁部を有する容器本体に取り付けられる蓋体であって、前記容器本体の開口を覆い、前記容器本体の内部に面する内側面及びその反対側の外側面を有する板状の部材であり、外周部を有する本体部と、前記本体部とは異なる材料からなり、前記本体部の前記外周部において前記外側面に一体化された外枠部と、前記外枠部に連続し、前記外枠部に対して折り曲げ可能であり、前記折り曲げに伴って、前記容器本体の内外を連通させるように前記本体部又は前記外枠部に形成されている通気孔を開閉するフラップ部と、前記本体部とは異なる材料からなり、前記本体部の前記外周部において前記内側面に一体化されており、前記容器本体の開口を密閉するように、前記容器本体の前記周縁部に密着可能なシール部とを備える。前記本体部は、前記外枠部及び前記シール部よりも硬質の材料から形成されている。前記外枠部及び前記フラップ部は、同じ材料により一体的に形成されている。
【0009】
ここでは、パッキンの役割を果たすシール部が、蓋体の本体部とは異なる材料から形成されているにも関わらず、蓋体の本体部の内側面(容器本体の内部に面する面)に一体化されている。従って、本体部とシール部との間に水や汚れの入り込む隙間がなく、また、シール部の存在による部品点数の増加もない。一方、蓋体の本体部の外側面(容器本体の内部に面する内側面の反対面)にも、蓋体の本体部とは異素材の外枠部が一体化されており、これらの間にも水や汚れの入り込む隙間がなく、また、外枠部の存在による部品点数の増加もない。さらに、外枠部及びシール部は比較的軟質の材料から形成されるものの、比較的硬質の本体部と一体化されているため、使用を重ねても変形の虞が少ない。さらに、外枠部とフラップ部とが同じ材料により一体的に形成されているため、フラップ部の存在による部品点数の増加もない。すなわち、ここでは、本体部、外枠部、シール部及びフラップ部が一部品からなるため、部品点数が少なく、洗浄に有利である。以上をまとめると、ここでは、外枠の変形の虞が低減されるとともに、部品の紛失の虞が少なく、洗浄が容易である。
【0010】
本発明の第2観点に係る蓋体は、第1観点に係る蓋体であって、前記外周部には、1又は複数の貫通孔が形成されている。前記シール部、前記外枠部及び前記フラップ部は、前記本体部の成形後に、前記外周部の前記貫通孔を介して前記本体部の前記内側面及び前記外側面の一方の側から他方の側へ流し込まれる材料により一体的に形成される。
【0011】
ここでは、外枠部及びこれに連続するフラップ部と、シール部とが、本体部に形成された貫通孔を介して本体部の一方の側から他方の側に同じ材料を流し込むことにより一体的に成形される。従って、フラップ部、外枠部及びシール部の成形工程が簡素化される。
【0012】
本発明の第3観点に係る蓋体は、第1又は第2観点に係る蓋体であって、前記本体部の前記外周部に連結されており、前記外周部に対して回動可能であり、前記回動に伴って、前記容器本体の側壁に対し固定されるロック位置と前記側壁に対しロックされない解除位置との間を移動する固定部をさらに備える。
【0013】
ここでは、蓋体の本体部の外周部に、蓋体を容器本体の側壁に対し固定するための固定部が連結されている。従って、シール部を介しての蓋体と容器本体との密着性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第4観点に係る蓋体は、第3観点に係る蓋体であって、前記固定部は、前記本体部と同じ材料により一体的に形成されている。すなわち、ここでは、本体部、外枠部、シール部及びフラップ部に加え、固定部も一体化されている。従って、固定部を設けることで蓋体と容器本体との密着性を向上させつつも、依然として部品の紛失の虞が少なく、洗浄性も維持される。
【0015】
本発明の第5観点に係る蓋体は、第1から第4観点のいずれかに係る蓋体であって、前記外枠部は、不透明である。前記本体部は、透明又は半透明であり、平面視において、前記外枠部の内側にのみ配置される。
【0016】
ここでは、平面視において、透明又は半透明の蓋体の本体部が、その外周縁において不透明の外枠部により囲まれている。従って、ここでの蓋体は、見る者に輪郭のはっきりした印象を与え、デザイン性に優れている。
【0017】
本発明の第6観点に係る蓋体は、第1から第5観点のいずれかに係る蓋体であって、前記本体部は、前記外周部に取り囲まれ、前記外枠部よりも下方に窪んでいる平面部材を有する。前記本体部又は前記外枠部は、前記平面部材よりも上方に突出しており、前記通気孔を閉じた時に前記フラップ部を受け取るフラップ受け部をさらに有する。
【0018】
ここでは、外枠部と平面部材とにより段差が形成される。従って、蓋体の上に容器本体を積み重ねた場合に容器本体が動きにくく、複数の容器を安全に積み重ねることができる。一方で、このような段差の存在により、より高い位置にある外枠部に連続するフラップ部が通気孔を閉じにくくならないように、通気孔が平面部材よりも上方に突出しているフラップ受け部に形成されている。
【0019】
本発明の第7観点に係る容器は、開口を規定する周縁部を有する容器本体と、前記容器本体に取り付けられる請求項1から6のいずれかに記載の蓋体とを備える。ここでは、第1観点と同様の効果を奏することができる。
【0020】
本発明の第7観点に係る蓋体の製造方法は、開口を規定する周縁部を有する容器本体に取り付けられる蓋体の製造方法であって、前記容器本体の開口を覆うための板状の部材であり、1又は複数の貫通孔が形成されている外周部を有する本体部を成形するステップと、前記本体部の成形後に、前記本体部の前記外周部の前記貫通孔を介して、前記本体部において前記容器本体の内部に面する内側面及びその反対側の外側面の一方の側から他方の側へ前記本体部とは異なる材料を流し込むことにより、前記外周部において前記外側面に一体化された外枠部、及び前記外枠部に連続するフラップ部を成形するとともに、前記外周部において前記内側面に一体化されたシール部を成形するステップとを備える。前記本体部は、前記外枠部、前記フラップ部及び前記シール部よりも硬質の材料で成形される。前記フラップ部は、前記容器本体の内外を連通させるように前記本体部又は前記外枠部に形成されている通気孔を開閉可能に成形される。前記シール部は、前記容器本体の開口を密閉するように、前記容器本体の前記周縁部に密着可能に成形される。ここでは、第1及び第2観点と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パッキンの役割を果たすシール部が、蓋体の本体部とは異なる材料から形成されているにも関わらず、蓋体の本体部の内側面(容器本体の内部に面する面)に一体化されている。従って、本体部とシール部との間に水や汚れの入り込む隙間がなく、また、シール部の存在による部品点数の増加もない。一方、蓋体の本体部の外側面(容器本体の内部に面する内側面の反対面)にも、蓋体の本体部とは異素材の外枠部が一体化されており、これらの間にも水や汚れの入り込む隙間がなく、また、外枠部の存在による部品点数の増加もない。さらに、外枠部及びシール部は比較的軟質の材料から形成されるものの、比較的硬質の本体部と一体化されているため、使用を重ねても変形の虞が少ない。さらに、外枠部とフラップ部とが同じ材料により一体的に形成されているため、フラップ部の存在による部品点数の増加もない。すなわち、ここでは、本体部、外枠部、シール部及びフラップ部が一部品からなるため、部品点数が少なく、洗浄に有利である。以上をまとめると、ここでは、外枠の変形の虞が低減されるとともに、部品の紛失の虞が少なく、洗浄が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を、食品を収容するための容器及びこれに含まれる蓋体、並びにそのような蓋体の製造方法に適用した場合の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、
図3及び
図6のとおりに上下方向を定義するとともに、
図4の左右方向を幅方向、上下方向を長手方向と称することとし、これを基準として他の図面の説明も行うこととする。
【0024】
図1は本実施形態に係る容器100の斜視図である。同図に示すように、本実施形態に係る容器100は、上部に開口S1(
図2参照)を有する容器本体1と、この上部の開口S1を塞ぐように容器本体1に取り付けられる蓋体2とにより構成されている。以下、これらを詳細に説明する。
【0025】
<1.容器本体>
図2は容器本体1の斜視図、
図3は容器本体1の側方断面図である。
図2及び
図3に示すように、容器本体1は、上部が開放した有底の直方体状である。上部の開口S1を規定する容器本体1の上端部である環状の周縁部1aは、平面視において全体が矩形状であるが、四隅が円弧状に形成されている。すなわち、容器本体1は、四隅が円弧状で全体が矩形状の平板状の底面部11と、底面部11の外周縁から上方へ起立する筒状の側壁部12とを有する。
【0026】
側壁部12の上端付近には、水平方向に外側へ突出する板状のフランジ部13が連続している。このフランジ部13は、側壁部12の全周に亘って環状に延びている。また、フランジ部13は、外周縁において下方へ折れ曲がった形状を有しており、これにより、フランジ部13には、下方へ突出した突起13aが形成されている。この突起13aは、蓋体2を容器本体1にしっかりと固定すべく、後述される蓋体2のフック部53を引っ掛けるための機構である。
【0027】
また、フランジ部13には、側壁部12を構成する4枚の側壁部12a〜12dのうち、幅方向に延びる側壁部12a,12cに対応する位置において、フランジ部13からさらに水平方向に外側へ突出した把持部14が連続している。各把持部14は、幅方向に延びる板状に形成されており、ユーザーが容器100を把持するのに適している。また、把持部14も、外縁において下方へ折れ曲がった形状を有しており、これにより、把持部14には、下方へ突出した突部14a(
図10参照)が形成されている。突部14aは、把持部14に触れているユーザーの指を引っ掛けるための機構であり、ユーザーが容器100を落とさないようにするための滑り止めとなる。
【0028】
底面部11の下面には、四隅付近において、下方へ突出した脚部15が形成されている。脚部15は、平面視において中心角が約90°のV字形状である。この脚部15は、容器100を複数個上下に積み重ねたときに、底面部11が後述する蓋体2のフラップ部30のせいで浮き上がらないようにするための機構であり、これにより、積み重ねられた容器100が安定する。
【0029】
容器本体1は、底面部11及び側壁部12に加え、フランジ部13、把持部14及び脚部15を含むその全体が、同じ材料により一体的に成形されている。容器本体1の材料は、ポリプロピレンや飽和ポリエステル等の硬質の樹脂であり、弾性材料である。また、容器本体1は、耐熱性及び耐冷性を有するが、本実施形態でいう耐熱性及び耐冷性とは、例えば、それぞれ140℃、−20℃といった、電子レンジでの使用や冷凍庫内での保存に耐え得る程度の温度耐性である。なお、他の実施形態では、容器本体1を構成する材料は特には限定されず、例えば、電子レンジの使用を不可とするのであれば、耐熱性を有さなくてもよいし、金属製でも構わない。また、容器本体1は、透明又は半透明である。
【0030】
<2.蓋体>
図4は容器100の平面図、
図5は蓋体2の底面図、
図6は
図4のVI−VI線断面図、
図7は
図4のVII−VII線断面図、
図8は
図4のVIII−VIII線断面図、
図9は
図4のIX−IX線断面図、
図10は
図4のX−X線断面図、
図11はフラップ部30を開いた状態を示す拡大斜視図である。
図4及び
図5に示すように、蓋体2は、容器本体1の開口S1を覆うための板状の本体部20と、本体部20の外側面に配置される外枠部60と、その反対側の内側面に配置されるシール部40とを有する。なお、本体部20の「内側面」とは、容器本体1の内部空間に面する面を意味し、本体部20の「外側面」とは、その反対側の面を意味する。また、外枠部60には、フラップ部30が連続している。以下、これらの部位について、詳細に説明する。
【0031】
本体部20は、四隅が円弧状で全体が矩形状の平板部材21と、この平板部材21の外周縁に連続する環状の外周部22とを有する。外周部22は、その全周に亘って平板部材21よりも上方に膨出している。より具体的には、
図6及び
図8に示すとおり、外周部22は、平板部材21から外側上方へ隆起する環状の内壁部22aと、内壁部22aの上端から外側へ水平方向に延びる環状の天面部22bと、天面部22bの外周縁から下方へ延びる環状の外壁部22cと、外壁部22cの下端から外側へ水平方向に突出した環状のフランジ22dとを有する。従って、容器本体1の内部空間に面する外周部22の下面側には、環状溝S2が形成されており、この環状溝S2内に、環状のシール部40が配置されている。
【0032】
シール部40は、いわゆるパッキンの役割を果たす部材であり、蓋体2を容器本体1に取り付けたときに、容器本体1の開口S1を密閉するように容器本体1の周縁部1aに密着する。従って、本実施形態における本体部20は、ポリプロピレンや飽和ポリエステル等の硬質の樹脂材料により一体的に成形されているが、シール部40は、ゴムやエラストマー等のより軟質の弾性材料により一体的に成形されている。すなわち、本体部20とシール部40とは異素材であるが、以下に詳述するとおり、シール部40は、本体部20の外周部22においてその内側面に一体化されている。従って、シール部40と本体部20との間に水や汚れの入り込む隙間はない。また、本実施形態における本体部20及びシール部40は、容器本体1と同様に、耐熱性及び耐冷性を有する。ただし、他の実施形態では、本体部20及びシール部40を構成する材料は上記されたものに限定されず、例えば、電子レンジの使用を不可とするのであれば、耐熱性を有さなくてもよいし、本体部20は金属製でも構わない。
【0033】
図6及び
図8に示すとおり、シール部40は、縦断面視において逆U字状である。そのため、シール部40の下面、すなわち内側面には、容器本体1の上端の周縁部1aを受け取るための環状溝S3が形成されている。シール部40は、本体部20の内壁部22a、天面部22b及び外壁部22cに隙間なく一体化されている。
【0034】
一方、本体部20の外周部22を挟んでシール部40の反対側には、外枠部60が配置されている。外枠部60は、外周部22の全周に亘って延びており、平面視において本体部20の輪郭を規定する環状の部材である。また、外枠部60は、外周部22の外壁部22c全体を外側から覆っており、蓋体2を外周面側から見たとき、外壁部22cは一切見えないが、外周部22のフランジ22dは露出している。そして、
図1に示すとおり、外枠部60とフランジ22dとは、蓋体2の側周面において概ね面一となるように形成されている。さらに、本体部20の上面側においても、外枠部60と天面部22bとは、概ね面一となるように形成されている。よって、蓋体2は、外観において凸凹感が少なく、この点でデザイン性に優れている。
【0035】
本体部20の外周部22の天面部22b及び外壁部22cには、周方向に沿って所定の間隔で、複数の貫通孔S4が形成されている。なお、
図4に、これらの貫通孔S4の位置を参考として点線で示しているが、実際の平面視では、これらの貫通孔S4は外枠部60の下方に隠れて見えない。そして、これらの貫通孔S4を介して、外枠部60とシール部40とが連続している。外枠部60は、シール部40と同じ材料により一体的に形成されている。
【0036】
外枠部60には、外周部22の幅方向に延びる一辺に相当する部位の中央付近において、フラップ部30が連続している。フラップ部30は、外枠部60と同じ材料により一体的に形成されている。
図10及び
図11に示すとおり、フラップ部30は、概ね均一の厚みを有する板状の部材であるが、外枠部60との連結部位付近において、フラップ部30の幅方向全体に亘って薄肉に形成されている。従って、ユーザーにより適当な方向の力が加えられると、フラップ部30は、この薄肉の部位を回動軸として、根元の外枠部60に対して弾性ヒンジにより折れ曲がることができる。
図10には、折れ曲がった状態のフラップ部30が実線で示されており、上下方向に一直線状に延びた状態のフラップ部30が二点鎖線で示されている。
【0037】
上記した通り、外周部22に取り囲まれる平板部材21は、外周部22の天面部22bよりも下方に窪んでいるが、フラップ部30付近では、平板部材21に代えて、平板部材21よりも上方に膨出した水平面部23が存在している。水平面部23は、本体部20の一部であり、平板部材21と水平面部23とは連続している。水平面部23は、フラップ部30がその根元の薄肉の部位を中心に回動して水平に倒れたときに、ぴったりとフラップ部30に面で密着するように構成されている。また、このとき、フラップ部30の上面と、外枠部60の上面とは、概ね面一となるように形成されている。よって、蓋体2は、外観において凸凹感が少なく、この点でデザイン性に優れている。
【0038】
なお、容器本体1の底面部11に設けられている脚部15の高さは、水平面部23と平面部材21との高さの差とフラップ部30の厚みとの合計以上となるように構成されている。容器100を複数個上下に積み重ねたときに、水平面部23及びフラップ部30の存在により上方の容器本体1が浮き上がり、下方の容器100の蓋体2から脱落しないようにするためである。また、平板部材21を取り囲む背の高い外周部22も、上方の容器100の脱落を防いでいる。
【0039】
水平面部23には、容器本体1の内外を連通させるための通気孔S5が形成されている。一方、フラップ部30には、この通気孔S5と概ね同じ形状の栓体30aが形成されており、この栓体30aは、フラップ部30が水平面部23に向かって水平に倒れたときに、通気孔S5に挿入されるような位置に配置されている。本実施形態における栓体30aは、フラップ部30と一体的にゴムやエラストマー等の同じ軟質の弾性材料から形成されている。従って、栓体30aは、通気孔S5内への挿入時に弾性変形し、これにより、通気孔S5がしっかりと気密に塞がれる。なお、通気孔S5は、フラップ部30の栓体30aが挿入されていない開状態とされているとき、電子レンジでの加熱時に容器100内部の蒸気を外部へ適度に逃がしたり、逆に、冷蔵庫で冷やした場合に発生する容器100内の負圧を解消したり等に役立つ。一方で、栓体30aが通気孔S5に挿入された閉状態では、食品を容器100内に気密に閉じ込め、食品の鮮度等を守ったり、食品の外部への漏れを防いだり等することができる。
【0040】
また、蓋体2は、本体部20の外周部22の4つの辺にそれぞれ連結される板状の固定部50を有する。固定部50は、蓋体2と容器本体1との密着性を向上させるべく、蓋体2を容器本体1の側壁部12に対し固定するためのするための部材である。固定部50は、本体部20と同じ材料により一体的に成形されている。
図4及び
図5に示すように、固定部50は、外周部22に沿って一定の長さを有するが、この長さ方向の両端部において、2箇所に分かれて外周部22のフランジ22dに連結されている。固定部50は、概ね均一の厚みを有するが、フランジ22dとの2箇所の連結部位51,52付近において、この連結部位51,52の長さ方向全体に亘って薄肉に形成されている。従って、ユーザーにより適当な方向の力が加えられると、固定部50は、この薄肉の部位を回動軸として、根元のフランジ22dに対して弾性ヒンジにより折れ曲がることができる。
図6〜
図10には、折れ曲がった状態の固定部50が実線で示されており、水平方向に一直線状に延びた状態の固定部50が二点鎖線で示されている。
【0041】
また、各固定部50の2箇所の連結部位51,52間には、空間S6が形成されている。そして、4つの固定部50のうち、外周部22の幅方向に延びる辺に連結されている2つの固定部50(以下、参照符号50aで表す)は、蓋体2を容器本体1に取り付けた状態で、この空間S6と容器本体1の把持部14とが位置合わせされるように配置されている。すなわち、把持部14は、固定部50aがその根元の薄肉の部位を中心に回動して上下方向に起立したときに、空間S6内に収容される。従って、把持部14の存在が固定部50の回動の妨げとなることがない。
【0042】
また、固定部50には、連結部位51,52から遠ざかる方向に一定の間隔を空けて、連結部位51,52と略同じ幅だけ延びるフック部53が形成されている。フック部53は、縦断面視においてL字型の形状を有しており、より具体的には、
図6〜
図9に実線で示す状態では、固定部50の板状の本体から内側に延びた後、本体部20の上方に向かって延びている。そして、フック部53は、固定部50aがその根元の薄肉の部位を中心に回動して上下方向に起立したときに、容器本体1の側壁部12に位置するフランジ部13の突起13aに引っ掛かる。従って、固定部50が上下方向に起立するとき、このフック部53と、容器本体1のフランジ部13(突起13aを含む)とが弾性変形し、フック部53が突起13aにロックされる。また、逆に、ロックを解除するときも、フック部53とフランジ部13(突起13aを含む)とが弾性変形し、フック部53が容器本体1の突起13aから外れる。
【0043】
また、本実施形態における本体部20及び固定部50は、透明又は半透明に形成されており、外枠部60、フラップ部30及びシール部40は、不透明に形成されている。本体部20は、平面視において、外枠部60の内側にのみ配置されており、言い換えると、透明又は半透明の蓋体の本体部20が、その最外縁において不透明の外枠部60により囲まれている。従って、ここでの蓋体2は、見る者に輪郭のはっきりした印象を与え、デザイン性に優れている。
【0044】
<3.蓋体の成形方法>
以下、上記した蓋体2の成形方法について説明する。まず、本体部20及び固定部50を連結した形状の空洞を有する第1の金型を用意し、これに溶融したポリプロピレン等の樹脂の原料を流し込み、冷却硬化させる。その後、第1の金型から成形済みの本体部20及び固定部50を取り出す。
【0045】
続いて、成形された本体部20を第2の金型で覆う。この金型は、外枠部60及びフラップ部30を連結した形状の空洞を有する部位(以下、第1部位という)と、シール部40の外形と同じ形状の空洞を有する部位(以下、第2部位という)とを有する。そして、この第1部位と第2部位とを有する第2の金型に、溶融したゴムやエラストマー等の原料を流し込む。このとき、貫通孔S4を介して本体部20の上面側及び下面側が連通した状態になるため、一方側から他方側へ原料が流れ込む。その後、この原料を冷却硬化させる。そして、これにより、本体部20の外周部22の内側面に一体化されたシール部40が成形されると同時に、シール部40の外側面に一体化された外枠部60とこれに連続するフラップ部30とが成形される。また、このとき、貫通孔S4内も、外枠部60及びシール部40と同じ材質により中実となる。その後、第2の金型を取り外す。
【0046】
<4.容器の使用方法>
続いて、この容器100の使用方法について説明する。まず、食品を容器本体1に収容し、蓋体2を取り付ける。このとき、容器本体1の上端の周縁部1aが蓋体2のシール部40の下面の環状溝S3に挿入されるように、蓋体2を取り付ける。これにより、容器本体1の周縁部1aは、縦断面視において逆U字形のシール部40に内側及び外側の両側からしっかりと挟まれて、これに密着する。また、ここからさらに手で力を加えて、シール部40の弾性力に抗して蓋体2を容器本体1側に押し込めば、シール部40は容器本体1の周縁部1aに押圧され、両者の密着度が増すことになる。その結果、容器本体1からの食品の漏れを確実に防止することができる。
【0047】
そして、蓋体2をある程度押し込んだ後、各固定部50を下向きに折り曲げる。すなわち、2つの固定部50aを折り曲げ、把持部14が空間S6に挿入されるようにするとともに、フック部53を容器本体1のフランジ部13の突起13aに引っ掛け、固定する。また、残りの2つの固定部50も同様に折り曲げる。そして、この状態で蓋体2から手を離すと、シール部40の弾性力によって蓋体2と容器本体1とが離間する方向に力が作用する。これにより、フック部53とフランジ部13の突起13aとの間に上下に互いに押し合うような力が作用する。こうして、各固定部50は、容器本体1に強固に固定される。
【0048】
この状態で、食品を密閉状態で保存する場合には、本体部20の上面に形成されている通気孔S5を塞げばよい。上述したように、フラップ部30を水平に倒れるまで折り曲げ、さらに下方に向けて強く押すと、フラップ部30が弾性変形して、栓体30aが通気孔S5内にしっかりと嵌め込まれる。一方、収容した食品を電子レンジで加熱する場合等には、フラップ部30を引き上げ、栓体30aを通気孔S5から離脱させる。この状態で容器100を電子レンジに収容し加熱を行えば、容器100内の蒸気が適度に逃がされ、蒸れ過ぎや乾燥から食品を守りつつ、食品を加熱することができる。なお、電子レンジで加熱後、蓋体2を取り外した状態では、把持部14を手で持つことで容器本体1を移動させることができる。すなわち、加熱後の容器本体1は側壁部12や底面部11の温度が高いため、把持部14を持つことで熱さを軽減することができる。
【0049】
また、容器100の使用後には、容器本体1と蓋体2とをそれぞれ洗浄する。このとき、容器本体1は、全ての部位が同じ材料により一体的に形成されているため、細かな隙間がなく、洗浄が容易である。また、蓋体2は、本体部20及び固定部50と、外枠部60、シール部40及びフラップ部30とが異素材で形成されているものの、上記したとおり、これらの部位は要所々々で隙間なく一体化されている。従って、蓋体2についても、細かな隙間がなく、洗浄が容易である。
【0050】
<5.特徴>
上記実施形態では、パッキンの役割を果たすシール部40が、蓋体2の本体部20とは異なる材料から形成されているにも関わらず、蓋体2の本体部20の内側面(容器本体の内部に面する面)に一体化されている。従って、本体部20とシール部40との間に水や汚れの入り込む隙間がなく、また、シール部40の存在による部品点数の増加もない。一方、蓋体2の本体部20の外側面(容器本体の内部に面する内側面の反対面)にも、蓋体2の本体部20とは異素材の外枠部が一体化されており、これらの間にも水や汚れの入り込む隙間がなく、また、外枠部60の存在による部品点数の増加もない。さらに、外枠部60及びシール部40は比較的軟質の材料から形成されるものの、比較的硬質の本体部20と一体化されているため、使用を重ねても変形の虞が少ない。さらに、外枠部60とフラップ部30とが同じ材料により一体的に形成されているため、フラップ部30の存在による部品点数の増加もない。すなわち、ここでは、本体部20、外枠部60、シール部40及びフラップ部30が一部品からなるため、部品点数が少なく、洗浄に有利である。以上をまとめると、ここでは、外枠の変形の虞が低減されるとともに、部品の紛失の虞が少なく、洗浄が容易である。
【0051】
また、上記実施形態では、外枠部60及びこれに連続するフラップ部30と、シール部40とが、本体部20に形成された貫通孔S4を介して本体部20の一方の側から他方の側に同じ材料を流し込むことにより一体的に成形される。従って、フラップ部30、外枠部60及びシール部40の成形工程が簡素化される。
【0052】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0053】
<6−1>
貫通孔S4は1つだけであってもよい。
<6−2>
上記実施形態では、通気孔S5が形成される水平面部23を本体部20の一部としたが、外枠部60の一部としてもよいし、本体部20の一部と外枠部60の一部を組み合わせたものであってもよい。
【0054】
<6−3>
上記実施形態では、栓体30aはフラップ部30と同じ材料により一体的に成形されていたが、別体の栓体30aをフラップ部30に取り付けるようにしてもよい。この場合においては、勿論、栓体30aは、フラップ部30とは異なる材質から形成されるものであってもよい。
【0055】
<6−4>
固定部50は、本体部20と異素材であってもよい。また、固定部50を省略し、シール部40の圧着によってのみ、蓋体2が容器本体1に固定されるようにしてもよい。
【0056】
<6−5>
外枠部60、フラップ部30及びシール部40が透明又は半透明であってもよいし、これに代えて又は加えて、本体部20及び固定部50が不透明であってもよい。また、本体部20と、外枠部60、フラップ部30及びシール部40とは、同じ色彩及び/又は同じ透明度であってもよい。