特許第6178151号(P6178151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178151
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
   A61H7/00 323S
   A61H7/00 322B
   A61H7/00 323L
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-158496(P2013-158496)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-27405(P2015-27405A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原田 永敏
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−369853(JP,A)
【文献】 特開2000−334011(JP,A)
【文献】 特開2004−242707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 15/00
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療部をマッサージするマッサージ手段と、
使用者に関する情報を検出する検出手段と、
前記マッサージ手段の動作を制御する制御部と、
前記検出手段により使用者に関する情報を検出する検出ステップと、前記マッサージ手段が所定の順序で動作するマッサージステップと、で構成される1又は複数のマッサージコースと、
前記マッサージコースを指定するコース指定手段と、
前記コース指定手段により指定されたマッサージコース終了後に、前記検出ステップをスキップして前記マッサージステップの全部又は一部を実行するリピート手段と、を有し、
前記リピート手段は、前記マッサージコースの実行前又は実行中に選択することができるようになっていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記リピート手段は、前記コース指定手段により指定されたマッサージコース終了後に、前記検出ステップをスキップして当該マッサージコースのマッサージステップの全部又は一部を実行するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記リピート手段は、先に実行されたマッサージコース終了後に、前記検出ステップをスキップして当該マッサージコースとは異なるマッサージコースのマッサージステップの全部又は一部を実行するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記検出手段として、使用者の体型を検出する体型検出手段を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記検出手段として、使用者の生体情報を検出する生体情報検出手段を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記リピート手段により、再び実行される前記マッサージステップは1回であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各被施療部に対応して設けられたマッサージユニットと空気袋を備えたマッサージ機において、施療目的に応じてマッサージユニットと空気袋が動作する自動コースを備えたマッサージ機が知られている。このマッサージ機は、使用者の体型に応じたマッサージを行うべく、自動コースを開始する前に、使用者の肩位置(体型)を検出するよう構成されている(例えば、特許文献1の図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−216029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した自動コースは、予め定められた時間が経過すると自動的に終了するように設定されている。従って、自動コース終了後に物足りないと感じた場合には、マッサージ機から離れることなく、もう一度自動コースを実行すべく操作器を操作する。この場合、上記特許文献1に開示されたマッサージ機においては、同じ使用者であって着座姿勢も大差ないにもかかわらず、2回目の自動コースを開始するにあたって、肩位置(体型)検出を重複して行うこととなり、煩わしいという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、不要なステップをスキップして、迅速にマッサージコースを連続して実行することができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被施療部をマッサージするマッサージ手段と、使用者に関する情報を検出する検出手段と、前記マッサージ手段の動作を制御する制御部と、前記検出手段により使用者に関する情報を検出する検出ステップと、前記マッサージ手段が所定の順序で動作するマッサージステップと、で構成される1又は複数のマッサージコースと、前記マッサージコースを指定するコース指定手段と、前記コース指定手段により指定されたマッサージコース終了後に、前記検出ステップをスキップして前記マッサージステップの全部又は一部を実行するリピート手段と、を有し、前記リピート手段は、前記マッサージコースの実行前又は実行中に選択することができるようになっていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、検出ステップをスキップして、2回目のマッサージコースを迅速に実行することができる。本発明は、例えば、同一の使用者が連続してマッサージコースを実行する場合に有効である。
【0007】
この場合、前記リピート手段は、前記コース指定手段により指定されたマッサージコース終了後に、前記検出ステップをスキップして当該マッサージコースのマッサージステップの全部又は一部を実行するよう構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、気に入ったマッサージコースを効率よく繰り返すことができる。
【0008】
あるいは、前記リピート手段は、先に実行されたマッサージコース終了後に、前記検出ステップをスキップして当該マッサージコースとは異なるマッサージコースのマッサージステップの全部又は一部を実行するよう構成することもできる。
このような構成とすることにより、異なるマッサージコースを効率よく実行することができる。
【0009】
また、前記検出手段として、使用者の体型を検出する体型検出手段を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の体型に応じてマッサージコースを実行することができる。また、再度の体型検出を省略することができる。
【0010】
また、前記検出手段として、使用者の生体情報を検出する生体情報検出手段を有していることが好ましい。
このような構成とすることにより、マッサージコース開始前の使用者の生体情報を把握してマッサージコースを実行することができる。また、マッサージコース間における生体情報検出を省略することができる。なお、ここでいう生体情報とは、脈波、脈拍、心拍、体温、脳波等、使用者の体調にかかわるあらゆる情報を含む。
【0011】
また、前記リピート手段により、再び実行される前記マッサージステップは1回であることが好ましい。
このような構成とすることにより、例えば、使用者がマッサージ中に眠ってしまった場合に、マッサージステップが何度も繰り返されることを防止でき、予期しない過度なマッサージを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不要なステップをスキップして、迅速にマッサージコースを連続して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
図2】背パッドの斜視図である。
図3】座部の斜視図である。
図4】マッサージユニットの側面図であり、(a)はアームが後方に位置した状態、(b)はアームが前方へ位置した状態を示している。
図5】マッサージ機の構成を示すブロック図である。
図6】リモートコントローラの説明図である。
図7】マッサージコース1のタイムチャートである。
図8】マッサージコース2のタイムチャートである。
図9】リピート機能の説明図である。
図10】リピート機能の説明図である。
図11】リピート解除機能の説明図である。
図12】リピート機能の説明図である。
図13】リピート機能の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[全体構成]
以下、本発明のマッサージ機1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の斜視図である。図2は背パッド41の斜視図である。図3は座部3の斜視図である。図4はマッサージユニット8の側面図であり、(a)はアーム8aが後方に位置した状態、(b)はアーム8aが前方へ位置した状態を示している。図5はマッサージ機1の構成を示すブロック図である。図6はリモートコントローラ16の説明図である。
なお、視認性を考慮して、図1においては後述する背パッド41を省略して図示しており、図3においては後述する座部3のカバー部32を省略して図示している。
【0015】
図1に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部3と、座部3の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部4と、座部3の前部に上下揺動回動可能に設けられた使用者の脚部を支持するフットレスト5と、座部3の左右両側に設けられた使用者が腕部を載置する肘掛け部6と、により構成される椅子本体2と、この椅子本体2を支持するとともに床面に設置される脚フレーム7と、を有している。
【0016】
背凭れ部4内には、身長方向に沿って昇降可能に構成された使用者の背部をマッサージするマッサージ手段としてマッサージユニット8が設けられている。また、図1図3に示すとおり、座部3、背凭れ部4、フットレスト5、及び肘掛け部6には、エアの給排気により膨張収縮し、対応する部位をそれぞれマッサージするマッサージ手段としてエアセルa1〜a9が設けられている。また、使用者に関する情報を検出する検出手段として、使用者の体型を検出する体型検出手段8cと、使用者の生体情報を検出する生体情報検出手段11と、を備えている。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、図1に示す起立状態のマッサージ機1の座部3に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0017】
[背凭れ部の構成]
背凭れ部4は、座部3の下方に設けられ前後方向に伸縮する直動式の第1アクチュエータ9(図5参照)により、座部3に対して前後方向にリクライニング可能に構成されており、床面に対して略水平の状態と、座部3の座面3aに対して略垂直に起立した状態と、の間における任意の位置で停止できるようになっている。また、背凭れ部4は、前後方向に開口する開口部40aを有する背凭れ部本体40と、背凭れ部本体40の前方に配設され伸縮性を有する背パッド41と、により構成されている。背凭れ部本体40には、昇降モータM1を駆動させることにより、上下方向に延びる左右で対をなすガイドレール(図示せず)に沿って昇降するマッサージユニット8が設けられている。
【0018】
図1及び図4に示すとおり、マッサージユニット8は、左右で対をなし前後方向に揺動可能であるアーム8aと、アーム8aの上下先端に設けられた施療子8bと、を有しており、揉みモータM2や叩きモータM3の駆動によりアーム8aを左右又は前後に動作させて揉み又は叩きを行わせることができる。また、進退モータM4(進退駆動部)の駆動により使用者に対して進退することができる。また、マッサージユニット8は、使用者に関する情報として体型を検出する体型検出手段8cを備えている。この体型検出手段8cは、アーム8aに取り付けられており、アーム8aが所定の揺動角度になったことを体型検出手段8cが検出することにより、具体的には使用者の肩位置が検出される。以下では、検出される体型として、肩位置を例示して説明する。
【0019】
アーム8aは、左右方向を揺動軸17として揺動可能であり、バネ等よりなる付勢手段18により上側の施療子8bが下側の施療子8bよりも前位置となるように前方へ付勢されている。そして、図4(a)に示すように、アーム8aが後方へ位置した状態で、マッサージユニット8を上半身に沿って移動させる過程で、施療子8bを介してアーム8aに作用する使用者からの押圧力が解除されて、図4(b)に示すように、アーム8aが所定の揺動角度まで前方揺動したときのマッサージユニット8の上下位置から肩位置が検出される。しかも、検出された肩位置に基づいて、後述する制御部15が背部における腰部等の特定部位を判別可能に構成されている。なお、本実施形態では、体型検出手段をアーム8aの揺動に基づいて検出する構成としたが、これに限定されず、例えば、マッサージユニット8に圧力センサを設けて、圧力変化に基づいて体型を検出する構成としてもよい。
【0020】
図2に示すとおり、背パッド41の内部には、左右で対をなす胴体用エアセルA1が上下方向に複数対設けられている。本実施形態における胴体用エアセルA1は、使用者の腰部に対応する腰部用エアセルa1、及び脇部に対応する脇部用エアセルa2により構成されている。腰部用エアセルa1及び脇部用エアセルa2は、開口部40a(図1も参照)側である内側を固定端a11,a21として外側が立上るように膨張して、胴体を左右方向から挟持するよう構成されている。
【0021】
[フットレストの構成]
フットレスト5は、座部3の下方に設けられ前後方向に伸縮する直動式の第2アクチュエータ10(図5参照)により、座部3に対して上下方向に回動可能に構成されており、膝を曲げて脚部を載置する垂下状態と、膝を伸ばして脚部を載置する上昇状態と、の間における任意の位置で停止できるようになっている。更に、フットレスト5は、図示しない伸縮機構により座部3に対して使用者の脚部の長手方向に沿って伸縮可能に構成されている。フットレスト5は、使用者の脹脛部を保持する脹脛保持部50と、脹脛保持部50の足先側に設けられ使用者の足部を保持する足保持部51と、を有しており、左右の脚部を振り分けて各保持部50,51に保持しうるよう凹状溝が形成されている。脹脛保持部50は、脹脛部の背面が対向する底壁50a、脹脛部の外側面が対向する左右で対をなす外壁50b、及び対の外壁50b,50b間に設けられ脹脛部の内側面が対向する中間壁50cにより構成され、足保持部51は、足裏面が対向する底壁51a、足部の外側面が対向する左右で対をなす外壁51b、及び対の外壁51b,51b間に設けられ足部の内側面が対向する中間壁51cにより構成されている。そして、各壁部の壁面には、脚部を押圧する脚部用エアセルA2としての脹脛部用エアセルa8及び足部用エアセルa9が設けられている。
【0022】
[肘掛け部の構成]
肘掛け部6は、座部3の両側方に設けられており、座部3の下方を外側からカバーする側面パネル60と、側面パネル60の上部に一体的に設けられ使用者の腕部を保持する腕保持部61と、を有している。腕保持部61は、背凭れ部4の側部から前方へ延設されており、使用者の腕部を載置する底壁61a、底壁61aの外側端部から立設され腕部の外側面が対向する側壁61b、及び底壁61aに対向する上壁61cにより構成され、正面視で略コの字状に形成されている。そして、底壁61a及び上壁61cにおける前腕部に対応する箇所の壁面には、前腕部を上下方向から押圧する複数の前腕部用エアセルa4が設けられ、側壁61bにおける上腕部及び肩部に対応する箇所の壁面には、上腕部及び肩部を側方から押圧する上腕部用エアセルa3が設けられている。なお、上腕部用エアセルa3は、左右方向成分のみならず前後方向成分の押圧作用も奏するよう、上腕部及び肩部よりも前方へ延設されている。
更に、前述した胴体用エアセルA1として、使用者の腰部を左右から挟持するエアセルを座部3の左右両側方に設けてもよい。この場合、胴体用エアセルA1を肘掛け部6(側面パネル60)の内側面における腰部に対応する位置に設ければよい。
【0023】
[座部の構成]
図1及び図3に示すとおり、座部3は、金属等よりなる硬質の座受け部30と、座受け部30の上部に設けられて使用者の臀部及び大腿部を支持するウレタン等よりなる軟質のクッション部31と、を有している。また、座部3の座面3aは前上がり傾斜状に形成されており、着座した使用者の重心は後方成分を有することとなる。そして、クッション部31の後部には、臀部に対応する左右で対をなす臀部用エアセルa5,a6が設けられており、クッション部31の前部には、大腿部に対応する左右で対をなす大腿部用エアセルa7が設けられている。左右の臀部用エアセルa5,a6は、所定間隔を存して、それぞれ内側を固定端a51,a61として外側が立上るよう構成されている。図1に示すとおり、クッション部31と各エアセルa5〜a7は、レザー等よりなるカバー部32により一体的に被覆されている。
【0024】
すなわち、左側の臀部用エアセルa5が膨張すると、臀部の左側部を略右上方へ押し上げることとなり、右側の臀部用エアセルa6が膨張すると、臀部の右側部を略左上方へ押し上げることとなる。従って、臀部を左右いずれか一方に傾けながら押し上げることとなり、骨盤部分に効果的なひねり動作を与えることができる。一方、左右の大腿部用エアセルa7,a7は、左右方向に近接して位置しており、それぞれ後側を固定端a71として前側が立上るよう構成されている。しかも、大腿部用エアセルa7は、その押圧面a70が前上がり傾斜状の座面3aに対して略後方に向かって膨張するよう構成されている。すなわち、大腿部用エアセルa7が膨張すると、股関節を支点として大腿部を略後上方へ押し上げることとなる。従って、股関節を支点として大腿部を略後方へ十分移動させることができ、大腿部を胸に引き付けるようなストレッチ感覚を与えることができる。また、腰部を含む身体を背凭れ部4側へと押し付けることができ、適正な着座姿勢に矯正することができる。
【0025】
また、臀部用エアセルa5,a6及び大腿部用エアセルa7は、上下に複数(本実施形態では2つ)のエアセルが重合して、臀部用エアセル群及び大腿部用エアセル群が構成されている。従って、各エアセルa5〜a7の膨張量を大きくすることができ、臀部及び大腿部の移動量を十分に確保することができる。
【0026】
[制御部の構成]
図5に示すように、制御部15には、マッサージユニット8の動作を制御すべく、昇降モータM1、揉みモータM2、叩きモータM3,及び進退モータM4が電気的に接続されており、背凭れ部4とフットレスト5の動作を制御すべく、第1及び第2アクチュエータ9,10が電気的に接続されている。また、体型検出手段8cと生体情報検出手段11が電気的に接続されている。なお、生体情報検出手段11により検出される生体情報は、脈波、脈拍、心拍、体温、脳波等、使用者の体調にかかわる情報であれば特に限定されないが、本実施形態では脈波を検出する構成を採用している。
【0027】
具体的には、この生体情報検出手段11は、使用者の耳又は指先等の被検出部位に装着して脈波を検出できるようになっている。この生体情報検出手段11は、被検出部位へ向けて光を発する発光素子と、被検出部位からの反射光を受ける受光素子と、を有しており、受光素子が計測した受光信号から脈波を検出することができる。この生体情報検出手段11は他の構成であってもよい。例えば、被検出部位へ向けて光を発する発光素子と、被検出部位を透過した光を受ける受光素子と、を有し、受光素子が計測した受光信号から脈波を検出するようにしてもよい。
【0028】
そして、検出した脈波から使用者のストレス度を判定する。具体的には、リラックス状態のときに脈波中に多く含まれる高周波数成分(HF)と、覚醒(活性)状態のときに脈波中に多く含まれる低周波数成分(LF)と、を用いて、一般的にストレス度の指標とされているLF/HF又はLF/(LF+HF)を算出することにより、使用者のストレス度を判定する。判定されたストレス度は、後述するリモートコントローラ16に設けられた表示部79(図6参照)に表示される。
【0029】
図5に示すように、上述した各エアセルa1〜a9は、可撓性中空のエアチューブを介してポンプ13及びバルブ14等からなる給排気装置12に接続されている。この給排気装置12は座部3の下方に収容されており、同じく座部3の下方に収容された制御部15からの指示に従って駆動し、各エアセルa1〜a9への給排気を互いに独立して行うことができるようになっている。そして、制御部15からの指示により給排気装置12が駆動し、エアセルa1〜a9が膨縮することにより、使用者の各部位を押圧可能である。本実施形態では、胴体用エアセルA1(a1,a2)、脚部用エアセルA2(a8,a9)、上腕部用エアセルa3、前腕部用エアセルa4、左臀部用エアセルa5、右臀部用エアセルa6、及び大腿部用エアセルa7は、それぞれ独立系統として給排気装置12に接続されており、制御部15により独立して動作制御される。
【0030】
また、給排気装置12は、制御部15からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作する他、制御部15に接続されたリモートコントローラ16を使用者が操作することにより制御部15へ入力された信号に基づいても動作することができる。なお、マッサージユニット8、第1及び第2アクチュエータ9,10の動作についても同様に、制御部15からの指示に従って予め設定されたプログラムにより動作する他、リモートコントローラ16を使用者が操作することにより制御部15へ入力された信号に基づいても動作することができる。
【0031】
制御部15は、メモリ(図示せず)を有しており、このメモリには所定の順序でマッサージユニット8及び/又はエアセルa1〜a9が動作するマッサージコースが複数記憶されている。なお、本実施形態では、複数の異なるマッサージコース1〜4が記憶されているが、メモリに記憶されているマッサージコースは1つであってもよい。各マッサージコース1〜4は、使用者に関する情報を検出した後、所定時間(例えば15分間)の間、各マッサージ手段8,a1〜a9が所定の順序で動作し、所定時間経過後に各マッサージ手段8,a1〜a9は自動的に停止するようプログラムされている。
【0032】
[リモートコントローラの構成]
図6に示すとおり、リモートコントローラ16は、電源ボタン70、背凭れ部4のリクライニング動作を操作するリクライニングボタン71、フットレスト5の上下回動及び伸縮をそれぞれ操作する回動ボタン72及び伸縮ボタン73、及び、マッサージユニット8の昇降を操作する上下ボタン74を有している。また、各マッサージコース1〜4に対応する複数のコースボタン75〜78を有しており、コースボタン75〜78を操作することにより、対応するマッサージコースが実行されるようになっている。すなわち、コースボタン75〜78は、マッサージコースを指定するコース指定手段として機能する。更に、生体情報検出手段11により検出された使用者の体調を表示するための液晶等よりなる表示部79を有している。また、詳細は後述するが、コース指定手段75〜78により指定されたマッサージコース終了後にマッサージコースを再度実行するリピートボタン80(リピート手段)を有している。
【0033】
[マッサージコースの構成]
以下、マッサージコースの一例について説明する。図7は、マッサージコース1のタイムチャートである。図8は、マッサージコース2のタイムチャートである。なお、図7及び図8では、マッサージ手段としてマッサージユニット8の動作のみを図示しているが、マッサージ機1は各エアセルa1〜a9も動作している。
【0034】
図7に示すとおり、コース指定手段75により、例えば、マッサージコース1が指定されると、制御部15は、まずマッサージユニット8を昇降させて、体型検出手段8cにより使用者の肩位置を検出する。また、肩位置検出を行っている間に、生体情報検出手段11により使用者の生体情報(脈波)を検出して、マッサージコース1開始前の使用者の体調(ストレス度)を判定する。つまりマッサージコース1は、はじめに使用者の肩位置と生体情報を検出する過程である検出ステップS1を有している。
【0035】
肩位置検出の工程について詳述すると、時間T1において、マッサージユニット8を初期位置である首位置から腰位置まで一旦下降させてから、腰位置から上昇させる過程で肩位置を検出する。マッサージユニット8は、体型検出手段8cにより検出された肩位置で上下移動を所定時間T2停止し、当該所定時間T2中に使用者は上下ボタン74を操作して、肩位置を微調整できるようになっている。そして、当該所定時間T2が経過したマッサージユニット8の上下位置に基づいて肩位置を決定する。
【0036】
検出ステップS1が完了すると、制御部15は、マッサージユニット8と各エアセルa1〜a9を駆動してマッサージ動作を開始させる。そうすると、マッサージユニット8は、昇降動作、揉み動作、及び叩き動作を、定められたプログラムに従って単独又は組み合わせて行う。また、各エアセルa1〜a9も同様に、定められたプログラムに従って膨張及び収縮を行う。なお、マッサージユニット8及び/又は各エアセルa1〜a9は、検出された肩位置に基づいて動作制御されるよう構成されており、使用者の体型に応じたマッサージが行われるようになっている。
【0037】
また、検出された生体情報によって判定された体調に基づいて、マッサージユニット8及び/又は各エアセルa1〜a9の強さ等を制御してもよい。なお、マッサージユニット8の強は使用者側への進出量に比例し、各エアセルa1〜a9の強さは膨張量に比例する。そして、所定時間T3が経過すると、各マッサージ手段8,a1〜a9は停止してマッサージコース1が終了する。つまりマッサージコース1は、検出ステップS1の完了後であってマッサージ手段8,a1〜a9が所定の順序でマッサージ動作する工程であるマッサージステップS2を有している。このように、マッサージコース1は、検出ステップS1及びマッサージステップS2により構成されている。
【0038】
図8に示すとおり、マッサージコース2もマッサージコース1と同様に、使用者に関する情報を検出する検出ステップS1と、マッサージ手段8,a1〜a9によりマッサージ動作を行うマッサージステップS2と、により構成されている。マッサージコース2がマッサージコース1と異なる点は、マッサージステップS2におけるマッサージ手段8,a1〜a9の動作であり、検出ステップS1は同じである。また、図示は省略するが、他のマッサージコース3,4も同様に検出ステップS1及びマッサージステップS2により構成されている。
【0039】
[リピート機能]
次に、リピート機能について説明する。図9及び図10はリピート機能の説明図である。リピート手段80は、マッサージコースを複数回連続して実行させる手段であり、2回目以降のマッサージコースは、検出ステップS1をスキップしてマッサージステップS2のみを実行させることができる。
【0040】
以下、同一のマッサージコースを連続して実行する場合について、図9に基づいて説明する。
使用者がマッサージ機1に着座し、リモートコントローラ16を操作してリピートボタン80をONする。これによりリピート機能が発揮される。続いて、好みのマッサージコース(例えば、マッサージコース1)に対応するコースボタン75をONする。そうすると、マッサージコース1が開始される。すなわち、まず時間T1,T2の検出ステップS1において、体型検出手段8c及び生体情報検出手段11によって、使用者の肩位置が検出されるとともに体調が判定される。ここで、検出された肩位置や判定された体調を表示部79に表示させるとよい。時間T1,T2が経過して検出ステップS1が終了するとマッサージステップS2へと移行し、検出された肩位置及び体調に基づいて、各マッサージ手段8,a1〜a9によるマッサージ動作が実行される。
【0041】
そして、マッサージコース1のマッサージステップS2に対応して定められた時間T3が経過すると、マッサージを終了することなく、2回目のマッサージコース1が開始される。ただし、2回目のマッサージコース1は、検出ステップS1をスキップして、マッサージステップS2から開始される。そして、マッサージコース1のマッサージステップS2に対応して定められた時間T3が経過すると、マッサージコース1を終了する。ここで、マッサージコース1終了後の体調を判定して表示部79に表示させるとよい。このように、コース指定手段75により指定した好みのマッサージコースを、重複する検出ステップS1を省略して、複数回連続して実行することができる。
【0042】
以下、異なるマッサージコースを連続して実行する場合について、図10に基づいて説明する。
使用者がマッサージ機1に着座し、リモートコントローラ16を操作してリピートボタン80をONする。これによりリピート機能が発揮される。続いて、先に実行するマッサージコース(例えば、マッサージコース1)に対応するコースボタン75をONする。続いて、先に実行するマッサージコース1に引き続いて実行するマッサージコース1とは異なるマッサージコース(例えば、マッサージコース2)に対応するコースボタン76をONする。そうすると、まずマッサージコース1が開始される。すなわち、まず時間T1,T2の検出ステップS1において、体型検出手段8c及び生体情報検出手段11によって、使用者の肩位置が検出されるとともに体調が判定される。ここで、検出された肩位置や判定された体調を表示部79に表示させるとよい。時間T1,T2が経過して検出ステップS1が終了するとマッサージステップS2へと移行し、検出された肩位置及び体調に基づいて、各マッサージ手段8,a1〜a9によるマッサージ動作が実行される。
【0043】
そして、マッサージコース1のマッサージステップS2に対応して定められた時間T3が経過すると、マッサージを終了することなく、マッサージコース1とは異なるマッサージコース2が開始される。ただし、マッサージコース2は、検出ステップS1をスキップして、マッサージステップS2から開始される。そして、マッサージコース2のマッサージステップS2に対応して定められた時間T3が経過すると、マッサージコース2を終了する。ここで、マッサージコース2終了後の体調を判定して表示部79に表示させるとよい。このように、コース指定手段76により指定した好みのマッサージコースを、重複する検出ステップS1を省略して、複数回連続して実行することができる。
【0044】
本実施形態では、再び実行されるマッサージステップS2を1回に設定している。このように設定することにより、例えば、使用者がマッサージ中に眠ってしまった場合に、マッサージステップS2が何度も繰り返されることを防止でき、予期しない過度なマッサージを防止できる。ただし、再び実行されるマッサージステップS2は1回に限定されず、複数回に設定することも可能である。この場合は、マッサージコース実行中にリピート機能を解除できるようにすることが好ましい。リピート機能の解除はリピートボタン80をOFFすればよく、すなわちリピートボタン80がリピート手段とリピート解除手段を兼用すればよい。
【0045】
[リピート解除機能]
次に、リピート解除機能について、先にマッサージコース1を実行し、引き続いてマッサージコース2を実行する場合を例示して説明する。図11はリピート解除機能の説明図である。
リピート解除を行った場合は、リピート解除手段80を操作した時点で実行されているマッサージステップS2中の動作が全て完了した後にマッサージコースが終了するよう構成されていることが好ましい。具体的には、図11に示す通り、先に実行されるマッサージコース1の実行中(例えば矢印Aで示すタイミング)にリピート解除を行った場合は、当該マッサージコース1のマッサージステップS2の動作が全て完了した時点(矢印Bで示すタイミング)でマッサージコースが終了する。また、後に実行されるマッサージコース2の実行中(例えば矢印Cで示すタイミング)にリピート解除を行った場合は、当該マッサージコース2のマッサージステップS2の動作が全て完了した時点(矢印Dで示すタイミング)でマッサージコースが終了する。
【0046】
また、本実施形態では、リピート手段80により2回目以降に実行されるマッサージステップS2は、当該マッサージステップS2中の動作が全て完了するまで継続する構成としたが、当該マッサージステップS2において設定されている動作を途中で終了する、又は途中から開始する構成としてもよい。図12はリピート機能の説明図であり、2回目以降のマッサージステップを途中で終了する例を示している。図13はリピート機能の説明図であり、2回目以降のマッサージステップを途中から実行する例を示している。
【0047】
この場合、図12に示すように、制御部15は、2回目以降のマッサージステップS2の前半部分のみを実行し、マッサージユニット8を初期位置である首位置まで移動させてからマッサージコースを終了させればよい。あるいは、図13に示すように、制御部15は、2回目以降のマッサージステップS2の後半部分のみを実行し、マッサージコースを終了させればよい。当然、2回目以降のマッサージステップS2は、時間T3(図10参照)よりも短い時間T4(図12参照)又は時間T5(図13参照)の間実行されることとなる。このように、リピート手段80により2回目以降に実行されるマッサージステップS2は、全部であってもよいし、一部であってもよい。また、リピート機能を発揮させるタイミングは、上述したタイミングに限られず、例えば、マッサージコース実行中にリピートボタンをONすると、当該マッサージコース又は当該マッサージコースとは異なるマッサージコースのマッサージステップS2が連続して実行されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、不要なステップをスキップして、迅速にマッサージコースを連続して実行することができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 マッサージ機
8 マッサージユニット(マッサージ手段)
8c 体型検出手段(検出手段)
11 生体情報検出手段(検出手段)
15 制御部
75〜78 コースボタン(コース指定手段)
80 リピートボタン(リピート手段/リピート解除手段)
a1 腰部用エアセル(マッサージ手段)
a2 脇部用エアセル(マッサージ手段)
a3 上腕部用エアセル(マッサージ手段)
a4 前腕部用エアセル(マッサージ手段)
a5 左臀部用エアセル(マッサージ手段)
a6 右臀部用エアセル(マッサージ手段)
a7 大腿部用エアセル(マッサージ手段)
a8 脹脛部用エアセル(マッサージ手段)
a9 足部用エアセル(マッサージ手段)
S1 検出ステップ
S2 マッサージステップ
図1
図2
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図10
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図12
図13