特許第6178167号(P6178167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178167
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】車両のスペアタイヤ支持装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 43/04 20060101AFI20170731BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20170731BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20170731BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20170731BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20170731BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   B62D43/04 G
   B62D25/08 K
   B62D25/20 J
   B60R13/02 Z
   F16B41/00 H
   F16B37/14 G
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-176677(P2013-176677)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-44481(P2015-44481A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂口 恵士
(72)【発明者】
【氏名】松下 和彦
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−087782(JP,U)
【文献】 特開2000−072049(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2670171(FR,A1)
【文献】 実公平06−045387(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 43/04
B62D 25/08
B62D 25/20
B60R 13/02
F16B 41/00
F16B 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後面に形成されたバックドア開口をその後方から開閉するよう開、閉動作可能とされるバックドアと、上記バックドア開口の開口縁部の外方に露出するボルト頭部を有し、このボルト頭部の捻回により車体の後部にスペアタイヤを支持可能とするボルト体と、上記ボルト頭部に対し嵌脱可能に嵌合して、上記ボルト体の自由な回転を阻止する回り止め具とを備えた車両のスペアタイヤ支持装置において、
上記回り止め具を上記バックドア開口の開口縁部に往、復回動可能に枢支し、上記回り止め具がその往回動で上記ボルト頭部に嵌合可能となるようにし、
上記閉動作するバックドアが所定の復回動姿勢の回り止め具を押動して往回動させるようにしたことを特徴とする車両のスペアタイヤ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後部にスペアタイヤを支持しているボルト体が不意に緩むことを防止するため、このボルト体の自由な回転を阻止する回り止め具を備えた車両のスペアタイヤ支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両のスペアタイヤ支持装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両のスペアタイヤ支持装置は、車体の後面に形成されたバックドア開口をその後方から開閉するよう開、閉動作可能とされるバックドアと、上記バックドア開口の開口縁部の外方に露出するボルト頭部を有し、このボルト頭部の捻回により車体の後部にスペアタイヤを支持可能とするボルト体とを備えている。
【0003】
そして、車両のタイヤがパンクした場合などに、このタイヤを上記スペアタイヤと交換しようとする場合には、上記ボルト頭部をレンチなどを用いて弛緩方向に捻回する。すると、上記車体の後部に対する上記スペアタイヤの支持が解除されて、上記タイヤとの交換作業ができることとされる。
【0004】
一方、上記構成において、車両の走行中などに、上記ボルト体が不意に緩んだ場合には、車体の後部からスペアタイヤが脱落するおそれを生じる。そこで、上記ボルト体が不意に緩むことを防止するため、このボルト体のボルト頭部に対し嵌脱可能に嵌合して、上記ボルト体の自由な回転を阻止する回り止め具を設けたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−72049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の技術における回り止め具は、上記ボルト頭部とは位置的に関連性なく設けられている。このため、第1に、上記ボルト頭部の捻回により車体の後部にスペアタイヤを支持させた後、このスペアタイヤを支持しているボルト体が不意に緩むことを防止するため、上記ボルト頭部に対し回り止め具を嵌合させようとするときには、まず、上記ボルト頭部の所定位置に上記回り止め具を位置決めすることが要求される。よって、その分、上記ボルト体の緩み防止のための作業が煩雑になるおそれがある。
【0007】
また、第2に、上記したようにボルト頭部の捻回により車体の後部にスペアタイヤを支持させた後には、通常、上記ボルト頭部に対し回り止め具を嵌合させるが、この回り止め具はボルト頭部とは関連性なく設けられているため、上記嵌合作業を忘れてしまうことがあり、この場合には、車両の走行時の振動などで、上記ボルト体が不意に緩むおそれを生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車体の後部にスペアタイヤを支持しているボルト体が不意に緩むことを防止するため、このボルト体のボルト頭部に回り止め具を嵌合させる場合において、このボルト体の緩み防止のための作業が容易にできるようにし、また、仮に、上記ボルト頭部への回り止め具の嵌合を忘れたとしても、上記ボルト体が不意に緩むことが防止されるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、車体2の後面に形成されたバックドア開口4をその後方から開閉するよう開、閉動作A,B可能とされるバックドア5と、上記バックドア開口4の開口縁部の外方に露出するボルト頭部31を有し、このボルト頭部31の捻回により車体2の後部にスペアタイヤ9を支持可能とするボルト体24と、上記ボルト頭部31に対し嵌脱可能に嵌合して、上記ボルト体24の自由な回転を阻止する回り止め具43とを備えた車両のスペアタイヤ支持装置において、
上記回り止め具43を上記バックドア開口4の開口縁部に往、復回動E,F可能に枢支し、上記回り止め具43がその往回動Eで上記ボルト頭部31に嵌合可能となるようにし、
上記閉動作するバックドア5が所定の復回動F姿勢の回り止め具43を押動して往回動Eさせるようにしたことを特徴とする車両のスペアタイヤ支持装置である。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、車体の後面に形成されたバックドア開口をその後方から開閉するよう開、閉動作可能とされるバックドアと、上記バックドア開口の開口縁部の外方に露出するボルト頭部を有し、このボルト頭部の捻回により車体の後部にスペアタイヤを支持可能とするボルト体と、上記ボルト頭部に対し嵌脱可能に嵌合して、上記ボルト体の自由な回転を阻止する回り止め具とを備えた車両のスペアタイヤ支持装置において、
上記回り止め具を上記バックドア開口の開口縁部に往、復回動可能に枢支し、上記回り止め具がその往回動で上記ボルト頭部に嵌合可能となるようにしている。
【0013】
このため、車体の後部にスペアタイヤを支持しているボルト体が不意に緩むことを防止するため、このボルト体のボルト頭部に上記回り止め具を嵌合させて上記ボルト頭部の自由な回転を阻止しようとするときには、上記回り止め具を単に往回動させればよい。よって、上記ボルト体の緩み防止のための作業は容易にできる。
【0014】
また、上記閉動作するバックドアが所定の復回動姿勢の回り止め具を押動して往回動させるようにしている。
【0015】
このため、上記したようにボルト体により車体の後部にスペアタイヤを支持した際、仮に、上記ボルト頭部に回り止め具を嵌合させることを忘れたとしても、その後に必然的にバックドアを閉動作させたとき、このバックドアに連動して上記回り止め具が往回動させられる。よって、上記回り止め具への作業を忘れても、この回り止め具は上記ボルト頭部に嵌合し、上記ボルト体が不意に緩むことは自動的に防止される。
【0016】
また、上記バックドアは、通常、上記回り止め具に比べて十分に大きい質量を有している。このため、上記閉動作するバックドアは上記回り止め具を、より確実に押動して往回動させる。よって、この回り止め具の上記ボルト頭部への嵌合は、より確実に達成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図3のI−I線矢視拡大断面図である。
図2】車体の後部の全体斜視図である。
図3図2の部分拡大詳細斜視図である。
図4図1のIV−IV線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の車両のスペアタイヤ支持装置に関し、車体の後部にスペアタイヤを支持しているボルト体が不意に緩むことを防止するため、このボルト体のボルト頭部に回り止め具を嵌合させる場合において、このボルト体の緩み防止のための作業が容易にできるようにし、また、仮に、上記ボルト頭部への回り止め具の嵌合を忘れたとしても、上記ボルト体が不意に緩むことが防止されるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0019】
即ち、車両のスペアタイヤ支持装置は、車体の後面に形成されたバックドア開口をその後方から開閉するよう開、閉動作可能とされるバックドアと、上記バックドア開口の開口縁部の外方に露出するボルト頭部を有し、このボルト頭部の捻回により車体の後部にスペアタイヤを支持可能とするボルト体と、上記ボルト頭部に対し嵌脱可能に嵌合して、上記ボルト体の自由な回転を阻止する回り止め具とを備える。
【0020】
上記回り止め具は上記バックドア開口の開口縁部に往、復回動可能に枢支される。上記回り止め具はその往回動で上記ボルト頭部に嵌合可能とされる。上記閉動作するバックドアは所定の復回動姿勢の回り止め具を押動して往回動させる。
【実施例】
【0021】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0022】
図において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0023】
車両1の車体2は、その内部空間が車室3とされる。車体2は、その後面に形成され、車室3の内外を連通させるバックドア開口4と、このバックドア開口4を開閉可能とするバックドア5と、上記バックドア開口4の下部開口縁部の一部分を構成し、車体2の幅方向に延びて車体2の骨格部材とされる板金製のロアバックパネル7と、上記バックドア開口4の下部開口縁部の他部分を構成し、上記ロアバックパネル7をその上方から覆ってこのロアバックパネル7に取り付けられる樹脂製のガーニッシュ8と、上記車体2の後下部の下方域に設けられ、スペアタイヤ9を支持可能とするスペアタイヤ支持装置10とを備えている。
【0024】
上記バックドア5は、その一端部が上記バックドア開口4の上部開口縁部に左右枢支具14,14により枢支され、この枢支具14,14を中心として他端部側が上記バックドア開口4をその後方から開閉するよう開、閉動作A,B可能とされる。具体的には、このバックドア5の開、閉動作A,Bは、上、下方回動に相当している。
【0025】
上記車体2の幅方向の中央部における上記ガーニッシュ8の部分に下方に向かって凹む凹部15が形成され、この凹部15に貫通孔16が形成される。上記ロアバックパネル7の上面板17に固着され、その上端部が上記貫通孔16を通し上記凹部15内に突出するストライカ18が設けられる。上記バックドア5を閉動作Bさせて上記バックドア開口4を閉じたとき(図1中二点鎖線)、上記ストライカ18は上記バックドア5の他端部(回動端部)を解除可能に係止し、これにより、上記バックドア5はバックドア開口4を閉じた状態に保持される。
【0026】
上記スペアタイヤ支持装置10は、車体2の前後方向に延び、上記スペアタイヤ9をその上面に横臥姿勢で載置させるタイヤキャリア22を有している。このタイヤキャリア22は、その前端部が上記車体2下部の下面に設けられたブラケット23に枢支され、この枢支により後端部側が上、下方回動C,D可能とされる。
【0027】
上記スペアタイヤ9を載置したタイヤキャリア22を上方回動Cさせることにより、車体2の後下部の下面側と上記タイヤキャリア22との間に上記スペアタイヤ9を挟み付けた状態で、上記タイヤキャリア22の後端部を車体2の後下部に支持可能とするボルト体24が設けられる。
【0028】
上記ボルト体24は、軸心27が上下方向に延びて、その上端部が上記ロアバックパネル7の上面板17に形成された貫通孔28に挿通され、下端部に雄ねじ29が形成されたボルト本体部30と、このボルト本体部30の上端部に一体的に形成され、上記ロアバックパネル7の上面板17の上面側に当接する正六角形のボルト頭部31と、上記雄ねじ29と螺合して上記タイヤキャリア22の後端部にその下方から係脱可能に係止される係止フック32とを有している。上記ボルト体24は、上記ガーニッシュ8の凹部15に対し車体2の幅方向で隣接するよう設けられる。
【0029】
上記ボルト本体部30の雄ねじ29を上記係止フック32に螺合させた状態で、更に螺合させるよう上記ボルト頭部31をレンチなどにより上記軸心27回りに捻回すれば、上記係止フック32が上昇し、これに伴い上記タイヤキャリア22の後端部側が上方回動Cさせられる。そして、このタイヤキャリア22の上方回動Cにより、車体2の後下部の下面側と上記タイヤキャリア22との間にこのタイヤキャリア22上の上記スペアタイヤ9を挟み付ければ、このスペアタイヤ9は車体2の後下部に支持される(図1,2中実線)。
【0030】
一方、上記ボルト頭部31を上記とは逆方向に上記軸心27回りに捻回して、上記ボルト本体部30の雄ねじ29を上記係止フック32に対し緩めれば、この係止フック32は下降する。そこで、上記タイヤキャリア22の後端部側を少し持ち上げて、上記ボルト体24を後方へ傾動させれば、上記タイヤキャリア22の後端部への上記係止フック32の係止が解除される(図1中一点鎖線)。そこで、上記タイヤキャリア22の後端部側を下方回動Dさせれば、このタイヤキャリア22上からスペアタイヤ9を取り出すことができ、このスペアタイヤ9はパンクなどしたタイヤと交換可能とされる。また、上記と逆の手順によれば、前記したように車体2の後下部に上記スペアタイヤ9を支持させることができる。
【0031】
車体2の後下部に上記ボルト体24により上記スペアタイヤ9を支持した状態での車両1の走行時などに、上記ボルト体24が不意に緩むことを防止するため、ボルト緩み防止装置36が設けられる。
【0032】
上記ボルト緩み防止装置36は、上記ボルト体24の軸心27上で上記ガーニッシュ8に形成される円形貫通孔37と、上記軸心27上に位置してこの軸心27回りに回動可能となるよう上記円形貫通孔37にその上方から嵌入される円環形状の台座38と、この台座38の下端部に一体的に形成され、上記円形貫通孔37の下部開口縁部に係合してこの円形貫通孔37から上記台座38が抜け出ることを防止する複数(3つ)のフック部39と、上記台座38から一体的に延出して上記凹部15の内側面に当接し、上記台座38の軸心27回りの回動を所定角度(30°)内に制限する回り止めアーム40とを有している。この場合、台座38は、上記ボルト体24のボルト頭部31を囲繞するよう設けられる。
【0033】
また、上記ボルト緩み防止装置36は、上記ボルト頭部31に嵌脱可能に嵌合して、上記ボルト体24の上記軸心27回りでの自由な回転を阻止する回り止め具43と、この回り止め具43を上記台座38を介し上記バックドア開口4の下部開口縁部に往、復回動E,F可能に枢支させる枢支具44とを有している。具体的には、上記回り止め具43の往、復回動E,Fは、下、上方回動に相当している。
【0034】
上記回り止め具43は上記台座38をその上方から全体的に被覆可能とする円板体46と、この円板体46に一体的に形成され、上記ボルト頭部31に外嵌可能とされる円環体47と、この円環体47の内周面に形成され、上記ボルト頭部31の各角部に係合可能な複数(12個)の嵌合凹部48とを有し、これら各嵌合凹部48は、上記円環体47の周方向に等間隔に配置される。
【0035】
上記の場合、回り止め具43が往回動Eしたとき、この回り止め具43の円板体46が上記台座38をその上方から全体的に被覆し、この際、上記回り止め具43の自重により、上記円環体47が上記ボルト頭部31に外嵌すると共に、上記各嵌合凹部48が上記ボルト頭部31の各角部に対し、わずかながたつきで嵌合することとされ、これにより、上記ボルト頭部31の上記軸心27回りでの自由な回転が阻止される(図1中二点鎖線)。
【0036】
なお、上記回り止め具43が往回動Eしたとき、上記軸心27回りで、上記ボルト頭部31の各角部の位置と、上記回り止め具43の各嵌合凹部48との位置とが合致しない場合には、上記回り止め具43を上記台座38と共に上記軸心27回りに少し回動させて、上記両位置を互いに合致させ、これにより、上記回り止め具43を上記ボルト頭部31に嵌合させて、このボルト頭部31の自由な回転を阻止させればよい。
【0037】
また、上記の場合、仮に、ボルト頭部31の各角部の位置と、上記回り止め具43の各嵌合凹部48の位置とが合致しないままで放置したとしても、その後、上記ボルト体24に緩みが生じてそのボルト頭部31が少し回転した場合には、上記両位置が合致して、上記回り止め具43はその自重により上記ボルト頭部31に嵌合することとなり、これにより、ボルト頭部31の自由な回転が阻止される。
【0038】
一方、上記回り止め具43が復回動Fしたとき、所定の回動角以上に復回動Fすることを阻止するストッパ49が上記円板体46に一体的に突設される。上記ストッパ49により上記回り止め具43がそれ以上の復回動Fを阻止された所定の復回動F姿勢では、この回り止め具43は、上記ガーニッシュ8から上方に向かって突出する起立姿勢とされる(図1中実線)。
【0039】
図1中実線図示のように、上記回り止め具43が上記所定の復回動F姿勢をした状態で、上記バックドア5を閉動作Bさせたとき(図1中二点鎖線)、このバックドア5は上記回り止め具43を押動して往回動Eさせるようになっている。そして、前記したように、この往回動Eした回り止め具43は上記ボルト頭部31に嵌合可能とされ、この嵌合により、このボルト頭部31の自由な回転が阻止される。
【0040】
なお、以上は図示の例によるが、上記バックドア5は、車体2の幅方向に向かって回動することにより上記バックドア開口4に対し開、閉動作するものであってもよい。また、上記ボルト頭部31はバックドア開口4の側部開口縁部の外方に露出するものであってもよい。
【0041】
また、上記回り止め具43の円環体47の内周面の内径寸法を上記ボルト体24のボルト頭部31がわに向かうに従い漸次、もしくは段階的に大きくなる形状としてもよい。このようにすれば、上記回り止め具43がその復回動F姿勢から往回動Eして、この回り止め具43の円環体47が上記ボルト頭部31に外嵌する際、この外嵌は、その当初においてより確実かつ容易にできる。よって、その後、上記ボルト頭部31に対し円環体47の外嵌を進行させる場合において、仮に、上記ボルト頭部31の各角部に対する上記各嵌合凹部48の嵌合が、わずかながたつきでなされたり、軽負荷による圧入でなされたりするとしても、上記ボルト頭部31への回り止め具43の円環体47の外嵌は容易かつ円滑にできる。また、このようにした場合、上記ボルト頭部31と、このボルト頭部31に嵌合した回り止め具43の円環体47との間から生じるがたつき音は、より確実に抑制される。
【0042】
上記構成によれば、回り止め具43を上記バックドア開口4の開口縁部に往、復回動E,F可能に枢支し、上記回り止め具43がその往回動Eで上記ボルト頭部31に嵌合可能となるようにしている。
【0043】
このため、車体2の後部にスペアタイヤ9を支持しているボルト体24が不意に緩むことを防止するため、このボルト体24のボルト頭部31に上記回り止め具43を嵌合させて上記ボルト頭部31の自由な回転を阻止しようとするときには、上記回り止め具43を単に往回動Eさせればよい。よって、上記ボルト体24の緩み防止のための作業は容易にできる。
【0044】
また、上記閉動作するバックドア5が所定の復回動F姿勢の回り止め具43を押動して往回動Eさせるようにしている。
【0045】
このため、上記したようにボルト体24により車体2の後部にスペアタイヤ9を支持した際、仮に、上記ボルト頭部31に回り止め具43を嵌合させることを忘れたとしても、その後に必然的にバックドア5を閉動作Bさせたとき、このバックドア5に連動して上記回り止め具43が往回動Eさせられる。よって、上記回り止め具43への作業を忘れても、この回り止め具43は上記ボルト頭部31に嵌合し、上記ボルト体24が不意に緩むことは自動的に防止される。
【0046】
また、上記バックドア5は、通常、上記回り止め具43に比べて十分に大きい質量を有している。このため、上記閉動作Bするバックドア5は上記回り止め具43を、より確実に押動して往回動Eさせる。よって、この回り止め具43の上記ボルト頭部31への嵌合は、より確実に達成される。
【0047】
また、上記実施例によれば、回り止め具43が往回動Eした際におけるこの回り止め具43の上記ボルト頭部31への嵌合は、上記回り止め具43の自重を利用したものである。
【0048】
このため、上記ボルト体24の緩み防止は、上記ボルト頭部31への回り止め具43の嵌合をばねなど別途の部材を用いて行うことに比べ、より簡単な構成で達成できる。
【符号の説明】
【0049】
1 車両
2 車体
3 車室
4 バックドア開口
5 バックドア
7 ロアバックパネル
8 ガーニッシュ
9 スペアタイヤ
10 スペアタイヤ支持装置
22 タイヤキャリア
23 ブラケット
24 ボルト体
27 軸心
28 貫通孔
29 雄ねじ
30 ボルト本体部
31 ボルト頭部
36 ボルト緩み防止装置
43 回り止め具
44 枢支具
A 開動作
B 閉動作
C 上方回動
D 下方回動
E 往回動
F 復回動
図1
図2
図3
図4