特許第6178186号(P6178186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6178186通信制御装置、無線通信システム、通信制御方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178186
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】通信制御装置、無線通信システム、通信制御方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/08 20090101AFI20170731BHJP
【FI】
   H04W28/08
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-197346(P2013-197346)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-65529(P2015-65529A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健志
(72)【発明者】
【氏名】野一色 裕人
(72)【発明者】
【氏名】北辻 佳憲
【審査官】 齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/061680(WO,A2)
【文献】 国際公開第2013/059128(WO,A1)
【文献】 特開2012−227815(JP,A)
【文献】 特表2014−500662(JP,A)
【文献】 特表2014−533011(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/119506(WO,A1)
【文献】 特表2013−535851(JP,A)
【文献】 特開2012−049712(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/124016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおける通信制御装置であり、
前記シグナリング処理装置の負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記シグナリング処理装置である大負荷シグナリング処理装置を検知する監視部と、
前記検知された前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷シグナリング処理装置の下位装置の前記シグナリング処理装置に対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御部と、を備え
前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、
前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置は、前記端末が接続する基地局の上位装置であって、前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、
前記リダイレクト制御部は、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置に対して、前記大負荷シグナリング処理装置を特定するリダイレクト情報を通知する、
通信制御装置。
【請求項2】
前記大負荷シグナリング処理装置の負荷の状態を表す負荷情報に基づいて前記大負荷シグナリング処理装置の代替装置のためのリソースを決定し、決定した前記リソースを仮想化基盤に指示し、前記大負荷シグナリング処理装置の代替装置としての機能を前記仮想化基盤により実現させる仮想化基盤制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記大負荷シグナリング処理装置に対して、前記再接続命令の相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングのデータを廃棄させるシグナリング制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項4】
シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを基地局、MME、S−GW、P−GWで処理する無線通信システムにおいて、
EPCノードであ前記S−GW及び前記P−GWの各負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記EPCノードである大負荷EPCノードを検知する監視部と、
前記検知された前記大負荷EPCノードのシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷EPCノードの下位装置の前記MMEに対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御部と、を備え
前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、
前記再接続命令を指示する相手の前記MMEは、前記端末が接続する前記基地局の上位装置であって、前記大負荷EPCノードのシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、
前記リダイレクト制御部は、前記再接続命令を指示する相手の前記MMEに対して、前記大負荷EPCノードを特定するリダイレクト情報を通知する、
無線通信システム。
【請求項5】
シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおける通信制御方法であり、
前記シグナリング処理装置の負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記シグナリング処理装置である大負荷シグナリング処理装置を検知する監視ステップと、
前記検知された前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷シグナリング処理装置の下位装置の前記シグナリング処理装置に対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御ステップと、を含み、
前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、
前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置は、前記端末が接続する基地局の上位装置であって、前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、
前記リダイレクト制御ステップにおいて、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置に対して、前記大負荷シグナリング処理装置を特定するリダイレクト情報を通知する、
通信制御方法。
【請求項6】
シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおける通信制御処理を行うためのコンピュータプログラムであって、
前記シグナリング処理装置の負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記シグナリング処理装置である大負荷シグナリング処理装置を検知する監視ステップと、
前記検知された前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷シグナリング処理装置の下位装置の前記シグナリング処理装置に対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであり、
前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、
前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置は、前記端末が接続する基地局の上位装置であって、前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、
前記リダイレクト制御ステップにおいて、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置に対して、前記大負荷シグナリング処理装置を特定するリダイレクト情報を通知する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、無線通信システム、通信制御方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「Evolved Packet Core:EPC」(非特許文献1参照)のネットワーク機能を仮想化する「Network Function Virtualization:NFV」(非特許文献2参照)という技術が検討されている。NFVの主な目的は、通信事業者の機能を仮想化基盤により仮想化することによって、設備コスト、運用コストを削減することにある。
【0003】
通信事業者の通信網に含まれる様々な通信機器、例えばモバイルコアの機能であるMME(Mobility Management Entity)やS−GW(Serving Gateway)、P−GW(PDN Gateway)、ルーターやキャリアグレードNAT(Network Address Translator)、HLR(Home Location Register)、eNodeB(eNB)、ファイアウォールや認証サーバなどは、一般に専用機器で構成されている。NFV技術では、汎用的なハードウェアで構成されたサーバ装置によるVM(Virtual Machine)で構成される仮想化基盤(非特許文献3、4参照)上で、例えばEPCノード(MME、S−GW、P−GW)のソフトウェアを仮想化基盤上のVMにリモートでインストールし実行させる。これによってコスト削減の効果以外にも、例えば制御系の信号処理が増えた場合に自動的にリソースを追加して耐障害性を高めることができるという効果なども得られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS23.401(V12.0.0),“General Packet Radio Service(GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access”
【非特許文献2】NFV White Paper, Oct. 2012, インターネット<URL:http://portal.etsi.org/NFV/NFV_White_Paper.pdf>
【非特許文献3】Kernel-based Virtual Machine, インターネット<URL:http://www.linux-kvm.org/page/Main_Page>
【非特許文献4】VMware, インターネット<URL:http://www.vmware.com/jp>
【非特許文献5】3GPP TS36.331(V11.5.0),“Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Radio Resource Control (RRC); Protocol specification”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のNFV技術では、VMによるEPCノードの構成の制御方法や制御装置の構成が検討課題である。
【0006】
EPCノード(MME、S−GW、P−GW)が端末からのシグナリングの処理の負荷によって過負荷状態になると、過負荷のEPCノードはシグナリングの相手の端末に対して再接続命令(Reject)を返信することにより、自己のシグナリングの負荷の軽減を図ることが可能である。しかし、多量のシグナリングが到達しているため、その再接続命令の返信処理によってさらに負荷が増大し、個々のシグナリングに対して端末への再接続命令を返信完了するまでに多くの時間がかかる。結果的に、端末が再度シグナリングを送信しシグナリング処理が完了するまでに多くの時間を要し、端末はサービスを利用開始するまでに時間がかかる。又は過負荷のEPCノードで保持されるシグナリングデータが処理バッファから溢れることにより、端末に対して再接続命令が返信されない場合が発生する。このため、過負荷のEPCノードの負荷を分散させるために負荷分散先のEPCノードをNFV技術により追加しても、過負荷のEPCノードから端末への再接続命令の返信が遅れたり、端末に対して再接続命令が返信されなかったりすると、追加された負荷分散先のEPCノードを有効に活用できないという課題がある。また、EPCノードでシグナリングを処理し切れない場合、EPCノードでシグナリングをポリシングで落とす。しかし、この場合、端末はシグナリングを再送することになり、輻輳の根本的な課題を解決する策にならない。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、シグナリングの送信元の通信装置(シグナリング送信元通信装置)である例えば端末との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置(例えば、複数のEPCノード(MME、S−GW、P−GW))で処理する通信システムにおいて、過負荷になりつつある例えばEPCノードよりも前でシグナリングを処理するノード(例えば、eNB、MME)で再接続命令の返信処理を実施することで、過負荷になりつつあるEPCノードの再接続命令の返信処理の負荷を削減し、速やかに必要となるEPCノードを追加し、例えば端末から再送されたシグナリングを処理させ、該端末が通信可能となる環境を速やかに整備することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る通信制御装置は、シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおける通信制御装置であり、前記シグナリング処理装置の負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記シグナリング処理装置である大負荷シグナリング処理装置を検知する監視部と、前記検知された前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷シグナリング処理装置の下位装置の前記シグナリング処理装置に対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御部と、を備え、前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置は、前記端末が接続する基地局の上位装置であって、前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、前記リダイレクト制御部は、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置に対して、前記大負荷シグナリング処理装置を特定するリダイレクト情報を通知する、ことを特徴とする。
【0009】
(2)本発明に係る通信制御装置においては、上記(1)の通信制御装置において、前記大負荷シグナリング処理装置の負荷の状態を表す負荷情報に基づいて前記大負荷シグナリング処理装置の代替装置のためのリソースを決定し、決定した前記リソースを仮想化基盤に指示し、前記大負荷シグナリング処理装置の代替装置としての機能を前記仮想化基盤により実現させる仮想化基盤制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
(3)本発明に係る通信制御装置においては、上記(1)又は(2)の通信制御装置において、前記大負荷シグナリング処理装置に対して、前記再接続命令の相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングのデータを廃棄させるシグナリング制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明に係る無線通信システムは、シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを基地局、MME、S−GW、P−GWで処理する無線通信システムにおいて、EPCノードであ前記S−GW及び前記P−GWの各負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記EPCノードである大負荷EPCノードを検知する監視部と、前記検知された前記大負荷EPCノードのシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷EPCノードの下位装置の前記MMEに対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御部と、を備え、前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、前記再接続命令を指示する相手の前記MMEは、前記端末が接続する前記基地局の上位装置であって、前記大負荷EPCノードのシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、前記リダイレクト制御部は、前記再接続命令を指示する相手の前記MMEに対して、前記大負荷EPCノードを特定するリダイレクト情報を通知する、ことを特徴とする。
【0013】
)本発明に係る通信制御方法は、シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおける通信制御方法であり、前記シグナリング処理装置の負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記シグナリング処理装置である大負荷シグナリング処理装置を検知する監視ステップと、前記検知された前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷シグナリング処理装置の下位装置の前記シグナリング処理装置に対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御ステップと、を含み、前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置は、前記端末が接続する基地局の上位装置であって、前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、
前記リダイレクト制御ステップにおいて、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置に対して、前記大負荷シグナリング処理装置を特定するリダイレクト情報を通知する、ことを特徴とする。
【0014】
)本発明に係るコンピュータプログラムは、シグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおける通信制御処理を行うためのコンピュータプログラムであって、前記シグナリング処理装置の負荷の状態を監視し、所定以上の負荷の前記シグナリング処理装置である大負荷シグナリング処理装置を検知する監視ステップと、前記検知された前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記シグナリング送信元通信装置とのシグナリングを処理する前記大負荷シグナリング処理装置の下位装置の前記シグナリング処理装置に対して、該シグナリング相手の前記シグナリング送信元通信装置への再接続命令を指示するリダイレクト制御ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであり、前記シグナリング送信元通信装置は端末であり、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置は、前記端末が接続する基地局の上位装置であって、前記大負荷シグナリング処理装置のシグナリング相手である前記端末の情報を管理し、前記リダイレクト制御ステップにおいて、前記再接続命令を指示する相手の前記シグナリング処理装置に対して、前記大負荷シグナリング処理装置を特定するリダイレクト情報を通知する、コンピュータプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、EPCノード(MME、S−GW、P−GW)など、端末等のシグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムにおいて、過負荷になりつつあるシグナリング処理装置の再接続命令の返信処理の負荷を削減することができる。また、シグナリングを送信する端末は速やかにシグナリング処理を完了させ、サービスにアクセスできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例1に係る通信制御方法の説明図である。
図3】本発明の実施例1に係る通信制御方法のシーケンスチャートである。
図4】本発明の実施例2に係る通信制御方法の説明図である。
図5】本発明の実施例2に係る通信制御方法のシーケンスチャートである。
図6】本発明の実施例3に係る通信制御方法の説明図である。
図7】本発明の実施例3に係る通信制御方法のシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。図1において、EPC10は、MME11とS−GW12とP−GW13とHSS(Home Subscriber Service)14を有する。MME11はシグナリング処理部111と端末管理部112を有する。S−GW12はシグナリング処理部121を有する。P−GW13はシグナリング処理部131を有する。EPC10は、仮想化基盤上のVMにより構成される。
【0018】
EPC10は、IMS(IP Multimedia System)やインターネットなどの外部ネットワークと接続されている。また、EPC10は基地局(eNB:eNodeB)20と接続されている。eNB20はシグナリング処理部21と端末管理部22を有する。また、EPC10は通信制御装置40と接続されている。通信制御装置40は、監視部41とリダイレクト制御部42とシグナリング制御部43とVM制御部(仮想化基盤制御部)44を有する。
【0019】
端末30はeNB20を介して無線通信する。端末30のユーザデータは、eNB20、S−GW12、P−GW13を経由して外部ネットワークと送受される。端末30のシグナリングデータは、eNB20、MME11、S−GW12、P−GW13の各シグナリング処理部21、111、121、131で処理される。本実施形態では、シグナリングの送信元の通信装置(シグナリング送信元通信装置)の一例として、端末30を挙げている。MME11、eNB20の各端末管理部112、22は、シグナリングの相手の端末30の情報を管理する。
【0020】
通信制御装置40において、監視部41は、MME11、S−GW12、P−GW13の各負荷の状態を監視し、所定以上の負荷のEPCノードである大負荷EPCノードを検知する。該監視では、例えば、トラフィック流量を監視し、該監視結果に基づいてトラフィック流量の統計情報(例えば、端末30とEPCノードの組ごとの統計値)を取得することが挙げられる。具体的には、シグナリングパケットのアドレス情報をDPI(Deep Packet Inspection)し、一定間隔で各EPCノードへのシグナリングパケット流量を測定し、シグナリングパケット流量が所定の閾値を超えたEPCノード(大負荷EPCノード)を検知する。これにより、過負荷になりつつあるEPCノードや過負荷のEPCノードを検知できる。なお、トラフィック流量の監視対象の端末30としては、「Service request」又は「Attach request」を送信中の端末30とし、「Connect」状態で通信中の端末30は対象外とする。
【0021】
リダイレクト制御部42は、監視部41により検知された大負荷EPCノードのシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷EPCノードよりも前に処理するeNB20又はMME11に対して、該シグナリング相手の端末30への再接続命令を指示する。
【0022】
シグナリング制御部43は、大負荷EPCノードに対して、再接続命令の相手である端末30とのシグナリングのデータを廃棄させる。VM制御部44は、仮想化基盤を用いて大負荷EPCノードの代替装置を準備する。
【0023】
以下、図1に示す無線通信システムに係る通信制御方法について実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0024】
実施例1は、MME11が過負荷になりつつある場合である。図2は、本発明の実施例1に係る通信制御方法の説明図である。図2(1)において、あるMME11が過負荷になりつつある。該過負荷になりつつあるMME11(大負荷MME11)では、端末30からのシグナリングを処理しきれないので、端末30に対して再接続命令を返信する必要がある。ここで、大負荷MME11が該再接続命令の返信処理を行うと、再接続命令の返信処理の遅延増大や再接続命令の返信不能が起こり得る。
【0025】
そこで、本実施例1では、図2(2)において、大負荷MME11のシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷MME11よりも前に処理するeNB20に対して、該シグナリング相手の端末30への再接続命令を指示(リダイレクト命令)する。これにより、大負荷MME11よりも前でシグナリングを処理するeNB20が、該大負荷MME11のシグナリング相手の端末30へ再接続命令を返信する。
【0026】
eNB20の端末管理部22は、シグナリングの相手である端末30の情報を管理している(非特許文献5参照)。このため、eNB20の端末管理部22は、大負荷MME11のシグナリング相手の端末30を把握できる。これにより、eNB20から該当する端末30への再接続命令が返信されるので、大負荷MME11の再接続命令の返信処理の負荷を削減することができる。この結果として、再接続命令の返信処理の遅延増大や再接続命令の返信不能を防止できる。
【0027】
図3は、本発明の実施例1に係る通信制御方法のシーケンスチャートである。以下、図3を参照して、図1に示す無線通信システムの実施例1に係る動作を説明する。
【0028】
(ステップS1)通信制御装置40の監視部41は、各MME11を監視し、過負荷になりつつある大負荷MME11(MME_1)を検知する。
【0029】
(ステップS2)通信制御装置40は過負荷処置を行う。該過負荷処置では、大負荷MME11(MME_1)に対して、大負荷MME11(MME_1)のシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷MME11(MME_1)よりも前に処理するeNB20を特定する情報を通知する。また、該eNB20と大負荷MME11(MME_1)間にあるスイッチに対して、該eNB20から大負荷MME11(MME_1)へ送られるトラフィックの廃棄を指示する。
【0030】
(ステップS3)通信制御装置40の監視部41は、VM制御部44に対して、過負荷指示を行う。該過負荷指示では、VM制御部44に対して、大負荷MME11(MME_1)の負荷の状態を表す負荷情報を通知し、大負荷MME11(MME_1)の代替装置のためのリソース追加を指示する。
【0031】
(ステップS4)VM制御部44は、大負荷MME11(MME_1)の負荷情報に基づいて、大負荷MME11(MME_1)の代替装置のためのリソース(VMの処理能力、VM数など)を決定する。
【0032】
(ステップS5)VM制御部44は、仮想化基盤の制御部(ハイパーバイザー:Hypervisor)に対して、決定したリソースを指示する。
【0033】
(ステップS6)ハイパーバイザーは、VM指示を行う。該VM指示では、VM制御部44から指示されたリソースに基づいて、VMに対して、大負荷MME11(MME_1)の代替装置としてのMME11(追加MME11)の機能を実現させる。
【0034】
(ステップS7)追加MME11は、eNB20に対して、自己の増設の設定を行う。
【0035】
(ステップS8)追加MME11は、ハイパーバイザーに対して、MME追加の応答(VM応答)を行う。
【0036】
(ステップS9)ハイパーバイザーは、VM制御部44に対して、指示されたリソースの応答を行う。
【0037】
(ステップS10)VM制御部44は、監視部41に対して、過負荷指示に対する応答を行う。
【0038】
(ステップS11)リダイレクト制御部42は、大負荷MME11(MME_1)に対して、リダイレクト情報を通知する。該リダイレクト情報は、大負荷MME11(MME_1)のシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷MME11(MME_1)よりも前に処理するeNB20を特定する情報を有する。
【0039】
(ステップS12)大負荷MME11(MME_1)は、リダイレクト情報に基づいて、自己で処理されるシグナリングを処理するeNB20に対して、自己で処理されるシグナリングの相手である端末30への再接続命令を指示(リダイレクト命令)する。これにより、リダイレクト命令を受けたeNB20が、大負荷MME11(MME_1)で処理されるシグナリングの相手である端末30へ再接続命令を返信する。該返信対象の端末30として、既にシグナリングを実行中の端末30と、eNB20のリダイレクト命令の受信後にシグナリングが開始された端末30とが挙げられる。
【0040】
大負荷MME11(MME_1)は、eNB20に対してリダイレクト命令を行うが、この負荷は端末30個別に再接続命令を返信する負荷に比べて小さい。これにより、大負荷MME11(MME_1)に対する負荷の削減効果は得られる。
【0041】
再接続命令を受けた端末30からのシグナリングは、再接続により、追加MME11で処理される。又は、再接続命令を受けた端末30からのシグナリングは、再接続により、全MME11の中からラウンドロビンの重み付けで選択されたMME11で処理されるようにしてもよい。なお、シグナリング制御部43は、大負荷MME11(MME_1)に対して、再接続命令の相手である端末30とのシグナリングのデータを廃棄させる。
【0042】
なお、本実施例1では、リダイレクト制御部42から大負荷MME11(MME_1)を介してeNB20へリダイレクト命令を行うが、リダイレクト制御部42から直接にeNB20へリダイレクト命令を行うようにしてもよい。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、S−GW12が過負荷になりつつある場合である。図4は、本発明の実施例2に係る通信制御方法の説明図である。図4(1)において、あるS−GW12が過負荷になりつつある。該過負荷になりつつあるS−GW12(大負荷S−GW12)では、端末30からのシグナリングを処理しきれないので、端末30に対して再接続命令を返信する必要がある。ここで、大負荷S−GW12が該再接続命令の返信処理を行うと、再接続命令の返信処理の遅延増大や再接続命令の返信不能が起こり得る。
【0044】
そこで、本実施例2では、図4(2)において、大負荷S−GW12のシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷S−GW12よりも前に処理するMME11に対して、該シグナリング相手の端末30への再接続命令を指示(リダイレクト命令)する。これにより、大負荷S−GW12よりも前でシグナリングを処理するMME11が、該大負荷S−GW12のシグナリング相手の端末30へ再接続命令を返信する。
【0045】
MME11の端末管理部112は、シグナリングの相手である端末30の情報を管理しているので、大負荷S−GW12で処理されるシグナリングの相手である端末30を把握できる。これにより、MME11から該当する端末30への再接続命令が返信されるので、大負荷S−GW12の再接続命令の返信処理の負荷を削減することができる。この結果として、再接続命令の返信処理の遅延増大や再接続命令の返信不能を防止できる。
【0046】
図5は、本発明の実施例2に係る通信制御方法のシーケンスチャートである。以下、図5を参照して、図1に示す無線通信システムの実施例2に係る動作を説明する。
【0047】
(ステップS21)通信制御装置40の監視部41は、各S−GW12を監視し、過負荷になりつつある大負荷S−GW12(S−GW_1)を検知する。
【0048】
(ステップS22)通信制御装置40の監視部41は、VM制御部44に対して、過負荷指示を行う。該過負荷指示では、VM制御部44に対して、大負荷S−GW12(S−GW_1)の負荷の状態を表す負荷情報を通知し、大負荷S−GW12(S−GW_1)の代替装置のためのリソース追加を指示する。
【0049】
(ステップS23)VM制御部44は、DNS(Domain Name System)サーバに対して、過負荷処置を行う。該過負荷処置では、大負荷S−GW12(S−GW_1)に対する重みを0とし、大負荷S−GW12(S−GW_1)を割り当てないようにする。
【0050】
(ステップS24)VM制御部44は、大負荷S−GW12(S−GW_1)の負荷情報に基づいて、大負荷S−GW12(S−GW_1)の代替装置のためのリソース(VMの処理能力、VM数など)を決定する。そして、VM制御部44は、ハイパーバイザーに対して、決定したリソースを指示する。
【0051】
(ステップS25)ハイパーバイザーは、VM指示を行う。該VM指示では、VM制御部44から指示されたリソースに基づいて、VMに対して、大負荷S−GW12(S−GW_1)の代替装置としてのS−GW12(追加S−GW12)の機能を実現させる。
【0052】
(ステップS26)追加S−GW12は、ハイパーバイザーに対して、VM指示の応答(VM応答)を行う。
【0053】
(ステップS27)ハイパーバイザーは、VM制御部44に対して、指示されたリソースの応答を行う。
【0054】
(ステップS28)VM制御部44は、DNSサーバに対して、追加S−GW12の登録を行う。
【0055】
(ステップS29)VM制御部44は、大負荷S−GW12(S−GW_1)のシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷S−GW12(S−GW_1)よりも前に処理するMME11に対して、リダイレクト命令およびリダイレクト情報を通知する。該リダイレクト情報は、大負荷S−GW12(S−GW_1)を特定する情報を有する。
【0056】
(ステップS30)MME11は、VM制御部44からリダイレクト命令を受けると、VM制御部44からのリダイレクト情報に基づいて、大負荷S−GW12(S−GW_1)で処理されるシグナリングの相手である端末30への再接続命令を返信する。該返信対象の端末30として、既にシグナリングを実行中の端末30と、MME11のリダイレクト命令の受信後にシグナリングが開始された端末30とが挙げられる。
【0057】
再接続命令はeNB20を介して該当の端末30へ送信される。なお、シグナリング制御部43は、大負荷S−GW12(S−GW_1)に対して、再接続命令の相手である端末30とのシグナリングのデータを廃棄させる。
【0058】
(ステップS31)端末30は、再接続命令を受信すると、再接続を行う。該再接続はeNB20を介してMME11で処理される。
【0059】
(ステップS32)MME11は、端末30からの再接続を受けると、DNSサーバに対してS−GW12の選択を行う。これにより、追加S−GW12が選択される。
【0060】
(ステップS33)MME11は、該選択された追加S−GW12とのセッションを確立する。
【0061】
なお、本実施例2では、VM制御部44がリダイレクト制御部42としてMME11へリダイレクト命令を行っている。
【実施例3】
【0062】
実施例3は、P−GW13が過負荷になりつつある場合である。図6は、本発明の実施例3に係る通信制御方法の説明図である。図6(1)において、あるP−GW13が過負荷になりつつある。該過負荷になりつつあるP−GW13(大負荷P−GW13)では、端末30からのシグナリングを処理しきれないので、端末30に対して再接続命令を返信する必要がある。ここで、大負荷P−GW13が該再接続命令の返信処理を行うと、再接続命令の返信処理の遅延増大や再接続命令の返信不能が起こり得る。
【0063】
そこで、本実施例3では、図6(2)において、大負荷P−GW13のシグナリング相手である端末30とのシグナリングを該大負荷P−GW13よりも前に処理するMME11に対して、該シグナリング相手の端末30への再接続命令を指示(リダイレクト命令)する。これにより、大負荷P−GW13よりも前でシグナリングを処理するMME11が、該大負荷P−GW13のシグナリング相手の端末30へ再接続命令を返信する。なお、大負荷P−GW13よりも前でシグナリングを処理するMME11としては、大負荷P−GW13よりも一つ前でシグナリングを処理するMME11であってもよく、又は、大負荷P−GW13よりも二つ以上前でシグナリングを処理するMME11であってもよい。
【0064】
MME11の端末管理部112は、シグナリングの相手である端末30の情報を管理しているので、大負荷P−GW13で処理されるシグナリングの相手である端末30を把握できる。これにより、MME11から該当する端末30への再接続命令が返信されるので、大負荷P−GW13の再接続命令の返信処理の負荷を削減することができる。この結果として、再接続命令の返信処理の遅延増大や再接続命令の返信不能を防止できる。
【0065】
図7は、本発明の実施例3に係る通信制御方法のシーケンスチャートである。以下、図7を参照して、図1に示す無線通信システムの実施例3に係る動作を説明する。
【0066】
(ステップS41)通信制御装置40の監視部41は、各P−GW13を監視し、過負荷になりつつある大負荷P−GW13(P−GW_1)を検知する。
【0067】
(ステップS42)通信制御装置40の監視部41は、VM制御部44に対して、過負荷指示を行う。該過負荷指示では、VM制御部44に対して、大負荷P−GW13(P−GW_1)の負荷の状態を表す負荷情報を通知し、大負荷P−GW13(P−GW_1)の代替装置のためのリソース追加を指示する。
【0068】
(ステップS43)VM制御部44は、DNSサーバに対して、過負荷処置を行う。該過負荷処置では、大負荷P−GW13(P−GW_1)に対する重みを0とし、大負荷P−GW13(P−GW_1)を割り当てないようにする。
【0069】
(ステップS44)VM制御部44は、大負荷P−GW13(P−GW_1)の負荷情報に基づいて、大負荷P−GW13(P−GW_1)の代替装置のためのリソース(VMの処理能力、VM数など)を決定する。そして、VM制御部44は、ハイパーバイザーに対して、決定したリソースを指示する。
【0070】
(ステップS45)ハイパーバイザーは、VM指示を行う。該VM指示では、VM制御部44から指示されたリソースに基づいて、VMに対して、大負荷P−GW13(P−GW_1)の代替装置としてのP−GW13(追加P−GW13)の機能を実現させる。
【0071】
(ステップS46)追加P−GW13は、ハイパーバイザーに対して、VM指示の応答(VM応答)を行う。
【0072】
(ステップS47)ハイパーバイザーは、VM制御部44に対して、指示されたリソースの応答を行う。
【0073】
(ステップS48)VM制御部44は、DNSサーバに対して、追加P−GW13の登録を行う。
【0074】
(ステップS49)VM制御部44は、大負荷P−GW13(P−GW_1)よりも前でシグナリングを処理するMME11に対して、リダイレクト命令およびリダイレクト情報を通知する。該リダイレクト情報は、大負荷P−GW13(P−GW_1)を特定する情報を有する。該リダイレクト命令およびリダイレクト情報が通知されるMME11には、大負荷P−GW13(P−GW_1)のシグナリング相手の端末30とのシグナリングを処理するMME11が含まれる。なお、大負荷P−GW13(P−GW_1)のシグナリング相手の端末30とのシグナリングを処理するMME11を特定することができる場合には、大負荷P−GW13(P−GW_1)のシグナリング相手の端末30とのシグナリングを処理するMME11に対してのみ、リダイレクト命令およびリダイレクト情報を通知すればよい。
【0075】
(ステップS50)MME11は、VM制御部44からリダイレクト命令を受けると、VM制御部44からのリダイレクト情報に基づいて、大負荷P−GW13(P−GW_1)で処理されるシグナリングの相手である端末30への再接続命令を返信する。該返信対象の端末30として、既にシグナリングを実行中の端末30と、MME11のリダイレクト命令の受信後にシグナリングが開始された端末30とが挙げられる。
【0076】
再接続命令はeNB20を介して該当の端末30へ送信される。なお、シグナリング制御部43は、大負荷P−GW13(P−GW_1)に対して、再接続命令の相手である端末30とのシグナリングのデータを廃棄させる。
【0077】
(ステップS51)端末30は、再接続命令を受信すると、再接続を行う。該再接続はeNB20を介してMME11で処理される。
【0078】
(ステップS52)MME11は、端末30からの再接続を受けると、DNSサーバに対してP−GW13の選択を行う。これにより、追加P−GW13が選択される。
【0079】
(ステップS53)MME11は、S−GW12を介して該選択された追加P−GW13とのセッションを確立する。
【0080】
なお、本実施例3では、VM制御部44がリダイレクト制御部42としてMME11へリダイレクト命令を行っている。
【0081】
上述した実施形態によれば、端末との間のシグナリングを複数のEPCノード(MME、S−GW、P−GW)で処理する無線通信システムにおいて、過負荷になりつつあるEPCノードの再接続命令の返信処理の負荷を削減することができる。また、端末への再接続命令の返信を迅速に行うことができる。これにより、EPCノードの負荷が大きい状態が長時間継続したり、端末が通信できなくなったりすることを防ぐ効果が得られる。
【0082】
また、端末の再接続が迅速に行われるので、負荷分散先として追加されたEPCノードを有効に活用することができる。これにより、通信サービス提供事業者は、端末からのシグナリングパケット流量に基づいた必要最小限のリソースでEPCノードを追加することにより、通信サービスを提供できる。また、EPCにより通信サービスを提供する事業者は、品質の高い通信サービスを最小限のコストで提供することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0084】
例えば、上述した実施形態では、EPCノード(MME、S−GW、P−GW)を有する無線通信システムに適用したが、端末等のシグナリング送信元通信装置との間のシグナリングを複数のシグナリング処理装置で処理する通信システムに対して広く適用可能である。また、シグナリングとして、端末とネットワーク側装置との間のシグナリング、ネットワーク側装置とネットワーク側装置の間のシグナリングが挙げられる。ネットワーク側装置とネットワーク側装置の間のシグナリングでは、シグナリング送信元通信装置として、例えば、基地局、基地局制御局などが挙げられる。
【0085】
また、上述した通信制御装置40を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0086】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0087】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
10…EPC、11…MME、12…S−GW、13…P−GW、20…eNB(基地局)、21,111,121,131…シグナリング処理部(シグナリング処理装置)、22,112…端末管理部、30…端末、40…通信制御装置、41…監視部、42…リダイレクト制御部、43…シグナリング制御部、44…VM制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7