(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について適宜図面を参照して説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において適宜変更して実施可能である。
【0010】
(第1実施形態)
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース部3と、手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、伸縮自在に設けられた延長管5と、吸込具6とを備えて構成されている。
【0011】
掃除機本体2は、吸引力を発生させる電動送風機2a、この電動送風機2aの吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部2bなどを備えている。なお、本実施形態では、いわゆるサイクロン式の電気掃除機1を例に挙げて説明するが、いわゆる紙パック式の電気掃除機に適用してもよい。
【0012】
ホース部3の一端は、掃除機本体2の集塵部2bと連通するように掃除機本体2の接続口2cに接続されている。また、ホース部3の他端は、操作管4の一端に接続されている。
【0013】
操作管4は、手元操作スイッチSWなどを備えたグリップ4a、延長管5が接続されて掃除機本体2から給電される図示しない給電端子などを備えている。この給電端子には、延長管5の一端に設けられる図示しない通電端子が接続される。
【0014】
操作管4の手元操作スイッチSWを操作することなどによって、電動送風機2aの運転の強弱切り替えや、吸込具6に設けられた第1回転清掃体20(
図3参照)の入り切り等が可能となっている。
【0015】
延長管5は、外管5aと内管5bとを備え、外管5aの他端部に内管5bの一端部が挿入されて外管5aと内管5bとの内側に設けられた図示しない通風路が連通するように連結されて、伸縮自在に構成されている。なお、
図1は、延長管5が最短の状態を図示している。
【0016】
図2は、吸込具の上面図である。
図2に示すように、吸込具6は、上面視において略T字形状を呈する吸口ケース10と、吸口ケース10に連結される吸口継手13と、を備えている。
【0017】
吸口ケース10は、上面視において、左右方向(幅方向、後記する第1回転清掃体20の回転軸の軸方向)に細長く形成された吸口本体11と、吸口本体11の長手方向の中央部に吸口継手13と連結される連結部12と、を備えている。連結部12には、吸口本体11と吸口継手13とを連通させる流路R(
図3参照)が形成されている。
【0018】
吸口本体11には、前端面から左右側面にかけてバンパ11aが設けられている。バンパ11aは、ゴムやエラストマー等の弾性材料から形成されており、使用時に吸口本体11内の気密を確保するとともに、電気掃除機1(
図1参照)の使用時に吸口本体11が家具等に衝突した際に、当該家具等への傷付きと吸口本体11への衝撃を吸収する緩衝材の役割を果たしている。
【0019】
吸口継手13は、連結部12に対して回動自在に連結される第1連結部14と、この第1連結部14に対して回動自在に連結される第2連結部15と、を備えている。
【0020】
第1連結部14は、
図2の上面視において略半トラック形状を呈し、連結部12と連結される円筒形状の軸14aを有している。この軸14aは、軸方向が吸口本体11の長手方向であって、軸14aの両端部が連結部12に形成された軸受部12g,12g(
図4参照)に支持されている。また、第1連結部14は、床面(清掃面)M(
図6参照)に対して略平行な状態から略垂直な状態まで(上下方向に)回動可能となるように構成されている。すなわち、第1連結部14を吸口ケース10に対して軸14aを支点として回動させることによって、延長管5を床面M(
図6参照)に略平行な状態と略垂直な状態との間において回動させることができる。
【0021】
第2連結部15は、第1連結部14に対して吸口本体11の長手方向に(
図2の紙面時計回り方向および反時計回り方向に)回動可能となるように構成されている。これにより、例えば、延長管5を床面Mに対して略垂直にした状態から、延長管5を床面Mに略平行な状態に向けて倒すことができる。
【0022】
また、第2連結部15には、給電が行われる給電端子15a,15aが設けられている。なお、本実施形態の電気掃除機1(
図1参照)では、吸込具6に給電する電力を、掃除機本体2からホース部3、操作管4、延長管5を通じて供給するように構成されている。
【0023】
このような吸口継手13は、例えば延長管5(
図1参照)を床面Mに対して略垂直とした状態において、その延長管5を左右方向(長手方向)に倒して、操作管4(グリップ4a)を左右方向のいずれかにねじることで、吸口本体11を左右方向のいずれかに略90度回転させ、吸口本体11の左右方向を移動方向にした掃除が可能である。したがって、壁際に沿って吸込具6を移動させて掃除したり、狭い隙間に吸込具6を挿入したりして掃除することが可能になる。
【0024】
図3は、吸込具の下面図である。
図3に示すように、吸込具6は、第1回転清掃体20、第2回転清掃体30を備えている。吸口ケース10(吸口本体11)には、下面(清掃面に対峙する面)に、開口部を有する吸込室Q2(
図6参照)が形成されている。
【0025】
第1回転清掃体20は、吸口本体11の長手方向(左右方向)に沿って前後方向の前側に配置され、吸口本体11に回転可能に支持されている。また、第1回転清掃体20は、吸口本体11の長手方向(第1回転清掃体20の軸方向)の一端側から他端側まで連続して設けられている。
【0026】
また、第1回転清掃体20は、硬さが異なるブラシなど複数種類のブラシ20a,20b,20cを備え、各ブラシ20a,20b,20cが回転軸21(
図6参照)に対してらせん状に配設されている。なお、本実施形態では、3種類のブラシ20a,20b,20cを配設した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、2種類以下であってもよく、4種類以上であってもよく、らせん状に配置されたブラシ間にゴムなどの弾性材料からなるブレード部材をらせん状に配置する構成を追加してもよく、適宜変更することができる。
【0027】
第2回転清掃体30は、第1回転清掃体20の直径よりも小径の刷毛体30bを有し、第1回転清掃体20に対して後方且つ平行に配置されている。また、第2回転清掃体30は、第1回転清掃体20の軸方向(吸口本体11の長手方向)の一端側から他端側にかけて連続して設けられている。換言すると、第2回転清掃体30は、1本の刷毛体30bによって構成されている。
【0028】
また、第2回転清掃体30は、第1回転清掃体20の回転軸21と平行な軸部30a(軸)を有し、軸部30aが吸口ケース10(吸口本体11)に回転可能に支持されている。なお、第2回転清掃体30は、電動機によって駆動されるものではなく、吸込具6を移動させたときの床面M(
図6参照)との摩擦力によって回転するように構成されたものである。このように、第2回転清掃体30は、電動機によって駆動するものではなく、軸部30aを介して吸口本体11に支持されるものであるので、第2回転清掃体30の構成を簡略化することができる。
【0029】
吸込具6は、吸口ケース10の連結部12の下面に、ブラシ駆動スイッチ16、車輪17、軸受押え部材31,32を備えている。
【0030】
ブラシ駆動スイッチ16は、吸込具6の下面が床面M(清掃面)に接触しているか否かを検出するスイッチであり、車輪16aとともに構成されている。この車輪16aは、ばね等の付勢手段によって常に吸口ケース10(連結部12)の下面から一部が突出するように設けられている。そして、車輪16aが吸口ケース10から飛び出して床面Mと接触していないと検出されたときには、後記する回路基板50(制御基板)の制御によって電動機40の駆動が停止され、第1回転清掃体20の回転が停止する。また、車輪16aが押し込まれて床面Mと接触していると検出されたときには、回路基板50の制御によって電動機40が駆動され、第1回転清掃体20が回転する。
【0031】
車輪17は、操作管4で操作される前後動や回転操作の応力を受けて吸込具6の底面を床面(清掃面)に密着させ、これにより吸込具6の操作性能を向上する役割を有している。
【0032】
また、車輪17は、第2回転清掃体30の軸部30a(
図6参照)と平行な軸17aを有し、この軸17aが吸口ケース10(連結部12)に回動自在に支持されている。また、車輪17は、軸方向の中央に左右両端よりも小径の小径部17bを有している。なお、小径部17bによって形成される凹みは、車輪17が床面Mに接触したときに、例えば、米粒などの粒形の大きな固形塵埃が通過できる大きさ以上の隙間に設定される。
【0033】
軸受押え部材31は、第1回転清掃体20の回転軸21(
図6参照)および第2回転清掃体30の軸部30a(
図6参照)の一端を支持するものであり、吸口ケース10にねじ31bを介して固定されている。
【0034】
軸受押え部材32は、第1回転清掃体20の回転軸21(
図6参照)および第2回転清掃体30の軸部30a(
図6参照)の他端を支持するものであり、吸口ケース10に後記するロック機構(
図8参照)を介して固定されている。
【0035】
図4は、吸込具の上ケースを外した状態を示す上面図である。
図4に示すように、吸込具6は、第1回転清掃体20(
図3参照)および第2回転清掃体30(
図3参照)の上方に、第1回転清掃体20を駆動する電動機40および電動機40を制御する回路基板50を備えている。
【0036】
電動機40は、吸口本体11(下ケース11A)の長手方向の一端側に取り付けられている。また、電動機40は、その出力軸40a(
図6参照)が吸口本体11の長手方向と平行に配置されている。また、電動機40の出力軸40a(
図6参照)は、長手方向の一端側に向けて延び、吸口本体11内の一端部(図示右側の端部)において、歯付きベルト41pを介して第1回転清掃体20の回転軸21(
図6参照)と連結されている。
【0037】
また、電動機40は、ステータ41の一端に、フロントキャップ42が固定され、ステータ41の他端に、図示しないリアキャップを介してカバー部材43が取り付けられている。
【0038】
ステータ41には、フロントキャップ42側の外周面に、冷却用の空気をステータ41内に導入するための開口41cが形成されている。また、ステータ41のカバー部材43側には、冷却用の空気をステータ41内から排出するための開口41dが形成されている。なお、開口41c,41dの個数や位置は、電動機40を冷却できるものであれば本実施形態に限定されるものではなく適宜変更できる。
【0039】
カバー部材43は、ステータ41の図示しないリアキャップの端部に被せられる部材であり、合成ゴム等の弾力性を有する絶縁部材で形成され、リアキャップに設けられた電気部品を覆っている。本実施形態では、このカバー部材43の弾力性を利用して収容室Q1に電動機40の一端側が支持されているので、電動機40の振動が吸口ケース10(
図2参照)に伝わり難い構造となっている。
【0040】
なお、フロントキャップ42には、図示しない合成ゴム等の弾力性を有するブッシュが装着され、このブッシュを介して、電動機40が吸口ケース10(
図2参照)の下ケース11Aと上ケース11B(
図6参照)との間に支持されるようになっている。したがって、電動機40は、フロントキャップ42側においても防振構造が採用されている。
【0041】
回路基板50は、吸口本体11の長手方向の他端側に取り付けられている。また、回路基板50は、長辺が長手方向に沿って配置された長方形状の基板を有し、実装面50aが鉛直方向上向きの状態で吸口本体11内に配置されている。なお、実装面50aは、必ずしも鉛直方向上向きに限定されず、水平方向に対して傾斜してもよく、前後方向を向くように(縦向きに)してもよい。
【0042】
連結部12は、軸受部12gを含む領域に、電動機40が収容される空間(収容室Q1)と連通する空間Q3を有している。この空間Q3は、軸14aの筒状空間と連通し、第1連結部14の内部の流路R(
図3参照)と連通している。また、流路R(
図3参照)と空間Q3とを区画する壁部12aには、流路R(
図3参照)と空間Q3とを連通させる連通孔12a1が形成されている。
【0043】
吸口本体11の一端側には、軸受ユニット部41uが設けられている。この軸受ユニット部41uには、電動機40からの駆動力を第1回転清掃体20(
図3参照)に伝達するプーリ41gや歯付きベルト41pなどからなる動力伝達機構が設けられている。
【0044】
図5は、吸込具の内部の配線図である。
図5に示すように、回路基板50は、リード線60a,60aを介して電動機40と接続され、給電端子15a(
図4参照)とリード線60b,60bを介して接続され、リード線60c,60cを介してブラシ駆動スイッチ16(
図3参照)と接続されている。
【0045】
吸口ケース10は、電動機40と回路基板50とが収容される収容室Q1(
図6参照)と、第1回転清掃体20および第2回転清掃体30が収容される吸込室Q2(
図6参照)とを区画する隔壁11cに、収容室Q1と吸込室Q2とを連通させる連通部18,19が形成されている。
【0046】
連通部18は、複数の小孔18aで構成され、吸口本体11の電動機40と回路基板50との間に位置して、吸込室Q2(
図6参照)と連通している。
【0047】
連通部19は、複数の小孔19aで構成され、連結部12に位置して、流路R(
図3参照)と連通している。なお、小孔19aは、吸口本体11の長手方向の中心よりも回路基板50側に偏って形成されている。
【0048】
吸込具6は、吸口本体11の長手方向(左右方向)の中央部に発光手段70を備えている。この発光手段70は、長手方向に細長く延びる導光板71と、導光板71を支持する脚部72a,72bと、LED素子73と、を含んで構成されている。
【0049】
導光板71は、例えば、アクリル樹脂などの透明または半透明の板状部材で構成され、脚部72a,72bを介して回路基板50よりも鉛直方向上方において水平となるように配置されている。脚部72aは、回路基板50上の角部(内側後方の角部)に配置され、脚部72bは、隔壁11c上に配置されている。
【0050】
LED素子73は、回路基板50の角部の脚部72aの位置に実装されている。なお、回路基板50には、LED素子73を発光させる駆動回路も設けられている。このように、LED素子73の駆動回路を回路基板50に組み込むことにより、部品点数(基板数)を削減することができる。
【0051】
LED素子73が発光することにより、導光板71の端部から中央部の露出部71aに光が伝達される。露出部71aは、吸口本体11に形成された開口11b(
図2参照)から外部に露出する部分である。このように、LED素子73を、露出部71aに最も近い側の回路基板50に配置することにより、導光板71の長さを最小にすることができる。
【0052】
なお、LED素子73としては、単色に発光する素子に限定されず、多色に発光する素子を用いて、電気掃除機1の運転モードに応じて発光する色を切り替えるようにしてもよい。
【0053】
図6は、
図2のA−A線断面図である。
図6に示すように、吸口ケース10の吸口本体11は、第1回転清掃体20を覆うように下部分を形成する下ケース11A、および下ケース11Aの上部に被着された上ケース11Bを備えている。これら下ケース11A、上ケース11Bを含む吸口ケース10および前記した吸口継手13の主たる部品は、軽量で硬質の材料、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂材料で形成され、剛性が高められている。
【0054】
下ケース11Aは、第1回転清掃体20および第2回転清掃体30が配置される吸込室Q2と、電動機40が収容される収容室Q1とを区画する隔壁11cを有している。この隔壁11cは、第1回転清掃体20の表面に沿って形成される隔壁湾曲部11dと、第2回転清掃体30の表面に沿って形成される隔壁湾曲部11eとを有し、隔壁湾曲部11dと隔壁湾曲部11eとが連続して形成されている。つまり、隔壁湾曲部11dと隔壁湾曲部11eとの境界において、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30との間を区画する鉛直方向に延びる壁が形成されていないことを意味している。また、隔壁湾曲部11dは、断面視において、第1回転清掃体20の略前端部まで延びている。隔壁湾曲部11eは、断面視において、第2回転清掃体30の後端部よりも後方且つ先端が軸部30aと略一致する高さまで下降するように延びている。
【0055】
上ケース11Bは、連結部12と一体に形成されて電動機40および回路基板50(
図4参照)の上部を覆う本体部11fと、この本体部11fの外側に重ねて配置されるカバー部11gと、を有している。カバー部11gは、上ケース11Bの前部および左右両端部に渡って配置されている(
図2参照)。また、カバー部11gの前面側には、電動機40が収容される収容室Q1と吸込具6の外部とを連通させる連通孔11g1が形成されている。なお、本実施形態では、バンパ11aが、下ケース11Aと上ケース11B(カバー部11g)とで挟み込まれることで保持されている。
【0056】
なお、本実施形態では、吸口ケース10を正面視したときに(前方から見たときに)、連通孔11g1を視認できる位置に形成されている場合を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、連通孔11g1をバンパ11aの上端部11a1よりも上下方向の下側に形成し且つ連通孔11g1をバンパ11aで閉塞しないようにして、吸口ケース10を正面視したときに(前方から見たときに)、連通孔11g1を視認できない位置に形成する構成にしてもよい。
【0057】
第1回転清掃体20は、回転軸21にブラシ20a,20b,20cを保持するコア部材22が外嵌されている。コア部材22は、ブラシ20aを保持する断面視略C字状の保持部22a、保持部22aの両側に隣接してブラシ20bを保持する同断面形状の保持部22b,22b、保持部22bに隣接してブラシ20cを保持する同断面形状の保持部22cを有し、回転軸21の軸方向に対して保持部22a,22b,22cがらせん状に配置されている。このように、ブラシ20a,20b,20cをらせん状に配置することにより、第1回転清掃体20が回転したときに、床面Mにブラシ20a,20b,20cを連続して当てることができ、第1回転清掃体20の動作時の振動を抑制することができる。
【0058】
第2回転清掃体30は、軸部30aの周囲にパイプ体30eが固定され、このパイプ体30eの外周面に刷毛体(起毛布)30bが植設されている。この刷毛体30bの先端は、隔壁湾曲部11eの表面全体に接する様な刷毛高さを有するものに限定されず、必ずしも隔壁湾曲部11eの表面全体に接するものである必要はない。
【0059】
例えば、
図6に示すように、隔壁湾曲部11eの内側(刷毛体30bに対向する面)に、断面形状が略三角形状の突起35aを設けるようにしてもよい。この突起35aは、軸部30aに沿って刷毛体30bに対応する位置に直線状に延びて形成されている。この場合、軸部30aに向けて延びる突起35aの起立面35a1と刷毛体30bの先端が接触する様に刷毛高さを設定することにより、回転方向W2には第2回転清掃体30が摩擦抵抗が小さくほぼ自由に回転するが、回転方向W2と逆方向には摩擦抵抗が大きくほぼロック状態となる。なお、本実施形態では、突起35aを1ヶ所に設けた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、突起35aを第2回転清掃体30の回転方向に間隔を置いて2つ以上の複数個所に設ける構成であってもよい。また、突起35aの断面形状は、三角形に限定されるものではなく、第2回転清掃体30の回転方向W2と逆方向への回転を規制することができるものであれば、軸部30aに向けて延びる板状の突起であってもよい。
【0060】
さらに詳しく説明すると、第2回転清掃体30の回転駆動力は、刷毛体30bと床面Mとの摩擦力であり、第2回転清掃体30の回転制動力は、刷毛体30bと突起35aとの摩擦力である。刷毛体30bを構成する微細繊維は、パイプ体30eに対し円周方向に傾斜しており、その傾斜の方向は、刷毛体30bが床面に接する位置にて、吸込具6の前方から後方向きである。このため、吸込具6を前進させる時は、刷毛体30bと床面Mとの摩擦力すなわち第2回転清掃体30の回転駆動力は小さくなり、刷毛体30bと突起35aとの摩擦力すなわち第2回転清掃体30の回転制動力は大きくなり、第2回転清掃体30の回転は規制される。逆に吸込具6を後進させる時は、刷毛体30bと床面Mとの摩擦力すなわち第2回転清掃体30の回転駆動力は大きくなり、刷毛体30bと突起35aとの摩擦力すなわち第2回転清掃体30の回転制動力は小さくなり、第2回転清掃体30は回転する。
【0061】
なお、本実施形態例において、吸込具6の前進時には、第2回転清掃体30の回転がほぼロック状態になると説明したが、必ずしもロックする必要はなく、吸込具6が前進している状態で第2回転清掃体30の回転が、フリーの時と比較して遅くなれば、第1回転清掃体20によって吸込室Q2内に掻き込まれた塵埃が吸口本体11の後方に掃き出されるのを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態では、パイプ体30eの全周方向に刷毛体30bを均等に配置した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、第1回転清掃体20と同様に、刷毛体30bを軸部30aの軸方向に対してらせん状に配置する構成であってもよい。
【0063】
また、第1回転清掃体20の一端と他端の色相を互いに異なるもの(例えば、一端側を緑色、他端側を青色)とし、第2回転清掃体30の一端と他端の色相についても、第1回転清掃体20の一端と他端の色相に対応するもの(一端側を緑色、他端側を青色)とすることが好ましい。これにより、第2回転清掃体30を取り外して、再度組み付ける際に、刷毛体30bの逆目の向きが逆になるのを防止することができる。
【0064】
図6に示すように、電動機40のステータ41(ケーシング)は、横断面(出力軸40aに直交する断面の輪郭、輪切り断面)が略小判形状を呈している。ステータ41は、一対の円弧部41aと、これらの円弧部41aをつなぐ一対の直線部41bとを備えている。なお、電動機40は、略小判状のものに限定されるものではなく、円形状のものであってもよい。
【0065】
また、電動機40は、収容室Q1において、直線部41bが鉛直方向の軸Z1に対して傾斜した姿勢、つまり一方の円弧部41aが前方上向き且つ他方の円弧部41aが後方下向きとなるように収容されている。
【0066】
また、電動機40は、収容室Q1において、電動機40(ステータ41)の前端部41s(前後方向の最前部)が、第1回転清掃体20の後端部20s(前後方向の最後部)よりも前方に位置するように配置されている。これにより、第1回転清掃体20の後端部20sから後方に突出する電動機40の距離を短くでき、吸口本体11の前後幅を短くすることが可能になる。
【0067】
また、電動機40は、収容室Q1において、電動機40(ステータ41)の下端部41t(鉛直方向の最下部)が、第1回転清掃体20の上端部20t(鉛直方向の最上部)よりも鉛直方向の下方に位置するように配置されている。これにより、第1回転清掃体20の上端部20tから上方に突出する電動機40の距離を短くでき、吸口本体11の清掃面からの高さ(最大高さ)を低くすることができる。その結果、ソファやベッドなどの高さの低い隙間に吸口本体11を挿入し易くできる。
【0068】
ステータ41の内部には、アーマチュア44が回転自在に支持されている。また、ステータ41の内周には、界磁用の瓦状に形成された2つのマグネット45が周方向に間隔を隔てて固着されている。すなわち、本実施形態の電動機40は、スロットの個数が7個、マグネット45が2つ設けられた2極7スロットのモータである。なお、前記したスロットの数は、7個に限られることはなく他の個数(例えば8個)に設定してもよい。
【0069】
アーマチュア44は、出力軸40aを有し、この出力軸40aにコア部材44aと、コンミテータ44bが固着されている。コア部材44aは、鉄心片を積層することで構成され、出力軸40aを中心にして放射状に延びる複数(例えば、本実施形態では7個)のティース44cを有する。ティース44cは、軸方向から見て略T字状に形成されており、これらティース44c間に軸方向に長い蟻溝状のスロット(例えば、本実施形態では7個)が形成されている。ティース44cには、スロットを介して図示しないコイルが巻装されている。
【0070】
また、吸口本体11の上ケース11Bは、円弧部41aの近傍および直線部41bの近傍において、円弧部41aおよび直線部41bに略沿う形状を有している。また、吸口本体11の下ケース11Aは、隔壁湾曲部11eの途中から略上方に延びて、上ケース11Bと連結されている。
【0071】
図7は、
図2のB−B線断面図である。
図7に示すように、回路基板50は、収容室Q1において、実装面が鉛直方向(上下方向)上向きとなるように配置されている。すなわち、回路基板50は、第1回転清掃体20の後方ではなく、第1回転清掃体20の上端部20t(鉛直方向の最上部)よりも上側に配置されている。なお、回路基板50は、位置決め手段やねじ固定によって、位置ずれしないように吸口本体11内に固定されている。また、本実施形態では、回路基板50を水平に配置した場合を例に挙げて説明したが、回路基板50を水平方向に対して傾斜した状態で配置する構成であってもよく、回路基板50の実装面が前後方向を向くように、回路基板50を起立した状態で配置してもよい。
【0072】
図8は、軸受押え部材のロック機構の平面図を示し、(a)はロック状態、(b)はロック解除状態である。なお、
図8(a)では、説明の便宜上、軸受押え部材32(
図8(b)参照)を取り外した状態を示している。
【0073】
図8(a)に示すように、吸口本体11は、第1回転清掃体20の回転軸21の端部(他端)を回転自在に支持する軸受部41mと、第2回転清掃体30の軸部30aの端部(他端)を回転自在に支持する軸受部41nとを有している。
【0074】
軸受押え部材32は、吸口本体11の下ケース11A(
図6参照)に着脱(開閉)可能であり、係止部材33を介して吸口本体11の他端側の下面に取り付けられる。
【0075】
係止部材33は、円筒形状の支持部33aを有し、この支持部33aを上ケース11Bと下ケース11Aから突出した支持突起(不図示)によって上下から支持されている。また、係止部材33には、支持部33aの回転動作によって軸受ユニット部41uの側面41u1に形成されたスリット状の孔(不図示)から進退可能に動作する係止部33bと、係止部33bを側面41u1から進退動作させるレバー33cと、が形成されている。
【0076】
図8(a)に示すロック状態では、係止部33bの一部が側面41u1に形成されたスリット状の孔(不図示)から突出するとともに、軸受押え部材32に形成されたスリット状の孔(不図示)に突出した係止部33b入り込むことで、軸受押え部材32が吸口本体11に固定される。
【0077】
そして、
図8(a)に示すロック状態からレバー33cを図示時計回り方向に回動させることで、支持部33aが時計回り方向に回動し、
図8(b)に示すように、係止部33bが、軸受押え部材32に形成されたスリット状の孔(不図示)から抜け出ることで、軸受押え部材32を吸口本体11から取り外すことができる。
【0078】
ところで、第1回転清掃体20のブラシ20a,20b,20cには、糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等が絡み付き易く、一旦絡み付くとこの種の塵埃は回転により徐々に蓄積され、ブラシ20a,20b,20cを固定する筒状基体に締め付けられるようになる。そこで、第1回転清掃体20のブラシ20a,20b,20cに絡んだ糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等を取り除くために、第1回転清掃体20を吸口本体11から取り外して掃除する必要がある。
【0079】
そこで、延長管5から取り外した吸込具6を上向きとした状態において、前記のようにしてレバー33cを操作して、軸受押え部材32を吸口本体11から取り外す。そして、第1回転清掃体20の軸受部41m側のブラシ20a,20b,20cを指でつかみ、上方に引き上げた後、第1回転清掃体20を他端側の斜め上方に引き上げることにより、第1回転清掃体20の一端(軸受部41mとは反対側)が吸口本体11から離脱する。
【0080】
なお、第2回転清掃体30についても、軸受部41n側の刷毛体30bをつかみ、上方に引き上げた後、第2回転清掃体30を他端側の斜め上方に引き上げることにより、第2回転清掃体30の一端(軸受部41nとは反対側)を吸口本体11から離脱させることができる。
【0081】
掃除後は、上記と逆の手順で、第1回転清掃体20の一端と第2回転清掃体30の一端とを吸口本体11に組み込んだ後、第1回転清掃体20の他端を軸受部41m、第2回転清掃体30の他端を軸受部41n、にそれぞれ上方から押し込む。そして、軸受押え部材32を吸口本体11の所定の位置に位置決めした後、レバー33cを前記とは逆方向に操作することで、軸受押え部材32が係止部33bによって係止される。
【0082】
このように、片側の軸受押え部材32を取り外すだけで、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30の双方を吸口本体11から取り外すことができ、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30の清掃時の作業性を向上できる。また、第2回転清掃体30を1本もののブラシによって構成することで、第2回転清掃体30を容易に交換することができる。例えば、第2回転清掃体30として、絨毯用のものと、フローリング用のものとを用意しておき、利用者の好み(使用環境)に応じて交換することが容易になる。また、利用者が吸口本体11の後ろ側から塵埃を吸い込む機能が不要であると考える場合もあるので、そのような場合にも対応できるように、第2回転清掃体30を刷毛(はけ)形状のものに交換できるようにしてもよい。
【0083】
図9は、吸込具を後進させたときの塵埃の流れを模式的に示す側面図である。なお、吸込具6が床面Mに接触していない場合には、連結部12に設けられた車輪16aが下方に突出して、ブラシ駆動スイッチ16がオフになり、第1回転清掃体20の動作が停止する。
【0084】
図9に示すように、吸込具6が床面Mに接触すると、車輪16aが押し込まれ(白抜き矢印参照)、ブラシ駆動スイッチ16がオンになり、第1回転清掃体20がW1方向(図示反時計回り方向)に回転する。このとき、床面Mと接触する領域のブラシ20a,20b,20cの先端が撓むことで、ブラシ20a,20b,20cと床面Mとの接触抵抗を十分に確保することができ、床面Mの塵埃を効果的に掻き込むことができる。
【0085】
同様に、第2回転清掃体30が床面Mと接触することにより、床面Mと接触する領域の刷毛体30bが撓むことで、刷毛体30bと床面Mとの接触抵抗を十分に確保することができる。
【0086】
この場合、吸込具6が床面Mに接触した状態で吸込具6を後進させると、第2回転清掃体30は、刷毛体30bと床面Mとの接触抵抗より刷毛体30bと隔壁湾曲部11e(
図6参照)との接触抵抗が小さいため、符号W3で示す回転方向に回転し、床面M上の塵埃DSを吸込室Q2(
図6参照)内に導入することができる。導入された塵埃DSは、吸込室Q2(
図6参照)から流路R(
図3参照)を通じて吸口継手13(
図2参照)の通路に運ばれ、その後、延長管5、操作管4およびホース部3を通じて掃除機本体2の集塵部2bに吸引される(
図1参照)。集塵部2bによって塵埃が取り除かれた空気は、図示しないフィルタおよび電動送風機2a内を通り、掃除機本体2の外部に排出される(
図1参照)。
【0087】
図10は、吸込具を前進させたときの塵埃の流れを模式的に示す側面図である。
図10に示すように、吸込具6が床面Mに接触した状態で吸込具6を前進させると、第2回転清掃体30は、刷毛体30bと床面Mとの接触抵抗よりも刷毛体30bと隔壁湾曲部11eの突起35aとの接触抵抗が大きいため回転せず、吸込室Q2内に吸引された塵埃が吸口本体11の後方に掃き出されるのを防止することができる。特に、第1回転清掃体20の回転によって吸込室Q2内に吸引された塵埃が後方へ弾かれ、吸口本体11の後方に飛び出ることを抑制できる。
【0088】
吸引された塵埃は、吸込室Q2(
図6参照)から流路R(
図3参照)を通じて吸口継手13の通路に運ばれ、その後、延長管5、操作管4およびホース部3を通じて掃除機本体2の集塵部2bに吸引される(
図1参照)。集塵部2bによって塵埃が取り除かれた空気は、図示しないフィルタおよび電動送風機2a内を通り、掃除機本体2の外部に排出される(
図1参照)。
【0089】
このように、第1回転清掃体20の後方に床面Mと接する第2回転清掃体30を設けたことにより、吸込具6を後進させたときに(吸込具6を後方に引いたときに)、第2回転清掃体30が床面Mとの接触抵抗により回転することで、吸口本体11の後方の塵埃DSを吸込室Q2内に吸い込むことができる(
図9参照)。
【0090】
また、吸込具6を前進させたときに(吸込具6を前方へ押したときに)、第2回転清掃体30の回転が規制されるため、第1回転清掃体20によって吸込室Q2内に掻き込まれた塵埃が、吸口本体11の後方に掃き出されるのを防止することができる(
図10参照)。
【0091】
また、第2回転清掃体30の回転方向を規制する手段として可動部を設ける必要がないので、構造が簡単になる。また、砂ゴミ等の侵入により、規制機能が損なわれる恐れも少なくなる。
【0092】
図11は、吸込具を後進させたときの塵埃の流れを模式的に示す下面図である。
図11に示すように、第2回転清掃体30が第1回転清掃体20の一端から他端に渡って全副に設けられているので、吸込具6を後進させたときに(吸込具6を後方に引いたときに)、吸口本体11の両側(軸方向の両側)の塵埃DS1,DS2を吸込室Q2(
図6参照)に吸い込むことができ、さらに吸口本体11の中央の塵埃DS3を吸込室Q2(
図6参照)に吸い込むこともできる。このように、吸込具6を後進させたときに、吸込室Q2の全幅に渡って塵埃DS1,DS2,DS3を取り込むことができる。
【0093】
また、車輪17に小径部17bが形成されているので、吸込具6を後進させたときに、小径部17bを通して塵埃DS3を前方に通過させることができ、塵埃DS3を第2回転清掃体30によって吸込室Q2(
図6参照)に取り込み易くできる。
【0094】
図12は、吸込具による別の効果を模式的に示す下面図である。
図12に示すように、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30とが前後方向に離間して配置され、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30との間に隙間Sが形成されるので、吸込具6を移動させたときに、吸込具6の左右(側方)にある塵埃DS4を隙間Sから吸込室Q2(
図6参照)内に取り込むことができる。
【0095】
このように第2回転清掃体30が吸込室Q2の全幅に渡って連続的に設けられているため、吸込室Q2から後方へごみ(塵埃)が飛び出す恐れを低減することができ、また吸込室Q2内の音が漏れて騒音が増大する恐れを低減することができる。また、第2回転清掃体30が吸込室Q2の全幅に渡って連続的に設けられているため、吸込室Q2の気密が向上するので、吸込具6の左右(側方)にある塵埃DS4を隙間Sから吸込室Q2内に取り込む吸引力を増大することができる。
【0096】
なお、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30との間の隙間Sは、吸口本体11の前後幅D(
図2参照)が過大とならず、かつ、吸込具6の左右側方から塵埃DS4の吸い込みを損なわない範囲において適宜設定することができる。
【0097】
図13は、吸込具の内部の冷却風の流れを示す模式図である。
図13に示すように、掃除機本体2(
図1参照)の電動送風機2a(
図1参照)を駆動させることにより、連通孔11g1(
図6参照)から吸い込まれた空気E1は、連通孔11g1の奥側に起立した壁部11mに当たり、壁部11mに沿って一端側(図示右側)に進んだ後、電動機40側に入り込み、電動機40のステータ41の開口41cからステータ41の内部を通り、ステータ41の開口41dから排出されることで電動機40が冷却される。
【0098】
電動機40を冷却した後の空気は、符号E2で示すように、連通部18を介して吸込室Q2(
図6参照)に吸い込まれる。また、電動機40を冷却した後の空気は、符号E3で示すように、空間Q3と流路R(
図3参照)とを連通する連通孔12a1に吸い込まれる。また、電動機40を冷却した後の空気は、符号E4で示すように、空間Q3、軸14aの内部を通って第1連結部14に吸い込まれる。
【0099】
また、掃除機本体2(
図1参照)の電動送風機2a(
図1参照)を駆動させることにより、連通孔11g2(
図7参照)から吸い込まれた空気E5は、壁部11mに沿って他端側(図示左側)に進んだ後、回路基板50の側方後部側に回り込んで、回路基板50の外側方に形成されて壁部に形成された連通孔11nから回路基板50側に入り込み、回路基板50上を流れた後、連通部19を介して流路R(
図3参照)に吸い込まれる。
【0100】
このように、冷却風を収容室Q1(
図6、
図7参照)内に取り込むことで、電動機40および回路基板50を冷却することができる。なお、この冷却風を流す構成は一例であって、電動機40および回路基板50を冷却することができる構成であれば、本実施形態に限定されるものではない。
【0101】
以上説明したように、第1実施形態の電気掃除機1は、第1回転清掃体20および第2回転清掃体30が配置される吸込室Q2と、吸込室Q2の上方に配置されて電動機40および回路基板50を収容する収容室Q1とに区画する隔壁11cを有する吸口ケース10と、を備え、電動機40の前端部40sが第1回転清掃体20の後端部20sよりも前方に位置するとともに、収容室Q1には回転軸21の軸方向の一端側に電動機40、他端側に回路基板50が配置され、第2回転清掃体30は、吸込室Q2の一端から他端の全幅に渡って設けられている。
【0102】
このように、電動機40および回路基板50を第1回転清掃体20よりも上部に、回転軸21の軸方向の一端側に電動機40、他端側に回路基板50を配置することで、吸口ケース10の吸口本体11の前後幅D(
図2参照)を短くすることができるので、吸口本体11と床面Mとの接触面積が減少し、床面Mと吸込具6との摩擦が減少し、使用者の操作性(吸込具6の移動を少ない力で操作できるなど)を向上させることができる。
【0103】
しかも、第2回転清掃体30が吸込室Q2の一端から他端の全幅に渡って設けられているので、吸込具6を後進させたときに(後方に引いたときに)、吸口本体11(第1回転清掃体20)の後方の全幅に渡って床面Mから塵埃を吸い込むことができる。
【0104】
また、吸口本体11の前後幅D(
図2参照)を短くできることにより、吸口本体11の左右方向(長手方向)を移動方向にした掃除をする際に、壁際や、家具の間などより狭い隙間に挿入して掃除することが可能になる。
【0105】
また、第1実施形態では、第2回転清掃体30が吸込室Q2の一端から他端に至るまで連続して形成されている。これによれば、吸込具6を前進させたときに吸込具6の前方から吸い込んだ塵埃が第2回転清掃体30の後方に抜け出るのを防止することができる。また、第1実施形態では、作動音が吸込具6の後方から外部に洩れ出るのを抑制することができる。
【0106】
また、第1実施形態では、第2回転清掃体30が第1回転清掃体20から離間して配置されている。これによれば、第1回転清掃体20と第2回転清掃体30との間の隙間Sから、吸込具6の側方の塵埃を吸い込むことが可能になる(
図12参照)。これにより、吸込具6の前後左右のすべての方向から塵埃を吸い込むことが可能になる。
【0107】
また、第1実施形態では、第2回転清掃体30が吸口ケース10に対して着脱可能に構成されている(
図8参照)。これによれば、第2回転清掃体30を吸口ケース10から取り外して行うことができるので、第2回転清掃体30の清掃作業が容易になる。また、第2回転清掃体30の種類、例えば、床面Mが絨毯である絨毯用の刷毛体(ブラシ)と、床面Mがフローリングであるフローリング用の刷毛体(ブラシ)とを交換できるようにして、使用環境に応じて第2回転清掃体30の種類を変更することができ、効率的な清掃を行うことが可能になる。
【0108】
なお、第1実施形態では、電動機40の出力軸40aが第1回転清掃体20の回転軸21よりも後方に位置するようにして電動機40を第1回転清掃体20の上部後方に配置する場合を例に挙げて説明したが、電動機40の前端部40sが第1回転清掃体20の後端部20sよりも前方に位置する構成であればよく、例えば、第1回転清掃体20の回転軸21と、電動機40の出力軸40aとが鉛直方向において重なるように配置する構成、換言すると第1回転清掃体20の真上に電動機40が位置する構成であってもよい。また、吸口本体11の前後幅を損なわない範囲であれば、電動機40の出力軸40aが第1回転清掃体20の回転軸21よりも前方に位置する構成であってもよい。
【0109】
また、第1実施形態では、電動機40の下端部40t(
図6参照)が、第1回転清掃体20の上端部20t(
図6参照)よりも鉛直方向下方に位置する場合を例に挙げて説明したが、電動機40の下端部40tが、第1回転清掃体20の上端部20tよりも鉛直方向上方に位置する構成であってもよい。
【0110】
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態に係る電気掃除機の吸込具を示す下面図である。第2実施形態に係る電気掃除機1の吸込具6Aは、第2回転清掃体30に替えて第2回転清掃体30Aとした構成である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0111】
図14に示すように、第2回転清掃体30Aは、3本の回転清掃体37a,37b,37cを備え、各軸が同一直線L上に位置するようにして構成されている。回転清掃体37aは、一端が軸受押え部材31側の軸受(不図示)に、他端が吸口本体11に形成された軸受部37dに、それぞれ回転可能に支持されている。回転清掃体37bは、一端が軸受部37dに、他端が吸口本体11に形成された軸受部37eに、それぞれ回転可能に支持されている。回転清掃体37cは、一端が軸受部37eに、他端が軸受押え部材32側の軸受(不図示)に、それぞれ回転可能に支持されている。なお、各回転清掃体37a,37b,37cの構成は、第1実施形態の第2回転清掃体30の構成と同様である。
【0112】
第2実施形態によれば、第2回転清掃体30A(回転清掃体37a,37b,37c)が、吸込室Q2(
図6参照)の一端から他端にかけて設けられているので、吸込具6Aを後進させたときに、吸口本体11の後方の床面Mの塵埃を吸込室Q2のほぼ全幅に渡って吸い込むことができる。
【0113】
また、第2回転清掃体30Aを3本の回転清掃体37a,37b,37cで構成することにより、例えば中央の回転清掃体37bの刷毛の密度を高くして気密性を向上させ、両側の回転清掃体37a、37cの刷毛の密度を低くして、後方の塵埃DS1,DS2を吸引し易くするなど、目的に応じて3本の回転清掃体の仕様を異ならせることが容易になる。
【0114】
なお、本実施形態では、第2回転清掃体30Aを3本の回転清掃体37a,37b,37cで構成した場合を例に挙げて説明したが、3本に限定されるものではなく、2本で構成しても、4本以上で構成してもよい。
【0115】
また、本実施形態では、回転清掃体37a,37b,37cの軸方向の長さをすべて同じにした場合を例に挙げて説明したが、互いに異なる長さ、例えば、回転清掃体37bの長さを、回転清掃体37a,37cの長さよりも長くする構成であってもよい。
【0116】
また、中央の回転清掃体37bを、他の回転清掃体37a,37cよりも第1回転清掃体20側に近づける構成であってもよい。また、中央の回転清掃体37bを、他の回転清掃体37a,37cよりも第1回転清掃体20側から遠ざける構成であってもよい。これにより比較的大きな塵埃も流路R(
図3参照)に吸引し易くなる。
【0117】
(第3実施形態)
図15は、本発明の第3実施形態に係る電気掃除機の吸込具を示す下面図である。第3実施形態に係る電気掃除機1の吸込具6Bは、第2回転清掃体30に替えて第2回転清掃体30Bとした構成である。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0118】
図15に示すように、吸込具6Bは、3本の回転清掃体39a,39b,39cを備え、左右の回転清掃体39a,39cを前側、中央の回転清掃体39bを後側にずらして配置したものである。また、回転清掃体39bの一端と回転清掃体39aの他端とが前後において重なり、回転清掃体39bの他端と回転清掃体39cの一端とが前後において重なるように配置されている。
【0119】
また、回転清掃体39aは、その一端が軸受押え部材31の軸受(不図示)に、他端が吸口本体11に形成された軸受部39dに、それぞれ回転可能に支持されている。回転清掃体39cは、その一端が吸口本体11に形成された軸受部39eに、他端が軸受押え部材32の軸受(不図示)に、それぞれ回転可能に支持されている。回転清掃体39bは、その一端が連結部12近傍に形成された軸受部39fに、他端が連結部12近傍に形成された軸受部39gに、それぞれ回転可能に支持されている。
【0120】
第3実施形態によれば、第2回転清掃体30B(回転清掃体39a,39b,39c)が、吸込室Q2(
図6参照)の一端から他端の全幅に渡って設けられているので、吸込具6Bを後進させたときに、吸口本体11の後方の床面Mの塵埃を吸込室Q2の全幅に渡って吸い込むことができる。
【0121】
このように回転清掃体39aと39bの隙間および回転清掃体39bと39cとの隙間を無くすことができるので、隙間を通して,吸込室Q2から後方へごみ(塵埃)が飛び出す恐れを低減することができ、また吸込室Q2内の音が漏れて騒音が増大する恐れを低減することができる。また、吸込室Q2の気密が向上するので、吸込具6の左右(側方)にある塵埃DS4を隙間Sから吸込室Q2内に取り込む吸引力を増大することができる(
図12参照)。
【0122】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。例えば、各実施形態では、第2回転清掃体30,30A,30Bを第1回転清掃体20の軸方向の一端から他端に渡って配置した場合を例に挙げて説明したが、第2回転清掃体30,30A,30Bを、第1回転清掃体20よりも軸方向に長くする構成であってもよい。なお、この場合には、吸込具6,6A,6Bを後進させたときに第2回転清掃体30,30A,30Bで掻き込んだ塵埃を吸込室Q2に誘導する流路を設けることが好ましい。