【実施例】
【0126】
なお、本明細書中における糖鎖付加ポリペプチドの表記方法について下記に説明する。
例えば、S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28と示した場合には、SRIF28のポリペプチドの1位のSer(S1)と5位のAsnとが、両方ともジシアロ糖鎖付加Cys(C(disialo))によって、置換されていることを示す。
また、S1C(disialo)−D−Trp22−SRIF28と示した場合には、SRIF28のポリペプチドの1位のSer(S1)が、ジシアロ糖鎖付加Cys(C(disialo))によって、置換されており、さらに、22位のTrpが、D−Trpに置換されていることを示す。
また、C(disialo)−R−K−SRIF14と示した場合には、SRIF14のN末端側に、糖鎖付加Cys−Arg−Lys−が付加したことを示す。
また、29C(disialo)−SRIF28や、30C(disialo)−SRIF28と示した場合には、SRIF28のC末端である28位のCysに、さらにジシアロ糖鎖付加Cysが1つ付加したもの(29C(disialo)−SRIF28)、または、SRIF28のC末端である28位のCysに、さらに−W−ジシアロ糖鎖付加Cys(Wは、28位のCysに結合する任意のアミノ酸を示す)が付加したもの(30C(disialo)−SRIF28)を示す。
また、S1−2C(disialo)−SRIF28と示した場合には、SRIF28のポリペプチドのN末端に存在する1位のSerが、連続する2つのジシアロ糖鎖付加Cysに置換されていることを示す。
なお、「disialo」はジシアロ糖鎖を意味し、「monosialo」はモノシアロ糖鎖を意味し、「asialo」はアシアロ糖鎖を意味し、「diGlcNAc」はジグルクナック糖鎖を意味し、「GlcNAc」はN−アセチルグルコサミンを意味し、「diMan」はジマンノース糖鎖を意味し、「trisialo」はトリシアロ糖鎖を意味し、「tetrasialo」はテトラシアロ糖鎖を意味する。また、(disialo(aminoethylamide))と示した場合には、ジシアロ糖鎖のシアル酸のカルボキシ基が、アミノエチルアミノ基により保護されていることを意味する。「aminoethylamide」の代わりに、「Bn」、「amide」、「hexadecylamide」と示されているものは、それぞれ糖鎖上のシアル酸のカルボキシ基が、ベンジル基、アミノ基、ヘキサデシルアミノ基により修飾されていることを意味する。
【0127】
実施例1 S1C(disialo)−SRIF28の合成
1−1 チオールの糖鎖修飾反応
下記式(1)で表わされるペプチド1(配列番号38)(APC社製)(60.6mg、18.3μmol)と下記式(a)で表わされる化合物a(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)(85.8mg、36.6μmol、ペプチド1に対して2.0等量)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、5.5mL)に溶解し、室温で30分間反応させた。
【化17】
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【化18】
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反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%酢酸(AcOH)水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→75:25 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(2)で表わされる糖ペプチド2(配列番号39)(60.5mg、10.9μmol、収率59%)を得た。
【化19】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
229H
358N
50O
102S
4:[M+3H]
3+ 1858.3、[M+4H]
4+ 1394.0、[M+5H]
5+ 1115.4、found 1858.1、1393.8、1115.2。
【0128】
1−2 Acm基の脱保護
上記1−1に記載の方法で得られた糖ペプチド2(51.2mg、9.19μmol)に酢酸銀(I)(18.8mg、113μmol)の水溶液(3.7mL)を添加し、室温で40分間反応させた。200mMトリス‐塩酸緩衝液(pH7.4、3.7mL)に溶解したDTT(43.6mg、282μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(0.92mL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→75:25 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(3)で表わされる糖ペプチド3(配列番号40)(29.2mg、5.38μmol、収率58%)を得た。
【化20】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
223H
348N
48O
100S
4:[M+3H]
3+ 1810.9、[M+4H]
4+ 1358.4、[M+5H]
5+ 1086.9、[M+6H]
6+ 906.0、found 1810.7、1358.3、1086.6、905.7。
【0129】
1−3 ジスルフィド結合の形成
上記1−2に記載の方法で得られた糖ペプチド3(29.2mg、5.38μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、10.8mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエントA:B=77:23→64:36 17分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(4)で表わされる化合物(S1C(disialo)−SRIF28)(配列番号5)を含む画分を得た。
【化21】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→75:25 15分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1C(disialo)−SRIF28(17.2mg、3.17μmol、収率59%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
223H
346N
48O
100S
4:[M+3H]
3+ 1810.2、[M+4H]
4+ 1357.9、[M+5H]
5+ 1086.5、found 1810.0、1357.5、1086.4。
【0130】
実施例2 N5C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(5)で表わされる化合物(ペプチド5)(配列番号41)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(6)で表わされる化合物(N5C(disialo)−SRIF28)(配列番号6)を合成した。
【化22】
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【化23】
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【0131】
実施例3 A9C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(7)で表わされる化合物(ペプチド7)(配列番号42)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(8)で表わされる化合物(A9C(disialo)−SRIF28)(配列番号7)を合成した。
【化24】
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【化25】
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【0132】
実施例4 E12C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(9)で表わされる化合物(ペプチド9)(配列番号43)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(10)で表わされる化合物(E12C(disialo)−SRIF28)(配列番号8)を合成した。
【化26】
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【化27】
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【0133】
実施例5 R13C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(11)で表わされる化合物(ペプチド11)(配列番号44)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(12)で表わされる化合物(R13C(disialo)−SRIF28)(配列番号9)を合成した。
【化28】
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【化29】
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【0134】
実施例6 K14C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(13)で表わされる化合物(ペプチド13)(配列番号45)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(14)で表わされる化合物(K14C(disialo)−SRIF28)(配列番号10)を合成した。
【化30】
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【化31】
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【0135】
実施例7 A15C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(15)で表わされる化合物(ペプチド15)(配列番号46)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(16)で表わされる化合物(A15C(disialo)−SRIF28)(配列番号11)を合成した。
【化32】
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【化33】
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【0136】
実施例8 G16C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(17)で表わされる化合物(ペプチド17)(配列番号47)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(18)で表わされる化合物(G16C(disialo)−SRIF28)(配列番号12)を合成した。
【化34】
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【化35】
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【0137】
実施例9 K18C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(19)で表わされる化合物(ペプチド19)(配列番号48)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(20)で表わされる化合物(K18C(disialo)−SRIF28)(配列番号13)を合成した。
【化36】
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【化37】
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【0138】
実施例10 N19C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(21)で表わされる化合物(ペプチド21)(配列番号49)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(22)で表わされる化合物(N19C(disialo)−SRIF28)(配列番号14)を合成した。
【化38】
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【化39】
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【0139】
実施例11 F21C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(23)で表わされる化合物(ペプチド23)(配列番号50)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(24)で表わされる化合物(F21C(disialo)−SRIF28)(配列番号15)を合成した。
【化40】
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【化41】
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【0140】
実施例12 T26C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(25)で表わされる化合物(ペプチド25)(配列番号51)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(26)で表わされる化合物(T26C(disialo)−SRIF28)(配列番号16)を合成した。
【化42】
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【化43】
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【0141】
実施例13 29C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(27)で表わされる化合物(ペプチド27)(配列番号52)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(28)で表わされる化合物(29C(disialo)−SRIF28)(配列番号17)を合成した。
【化44】
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【化45】
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【0142】
実施例14 30C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(29)で表わされる化合物(ペプチド29)(配列番号53)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(30)で表わされる化合物(30C(disialo)−SRIF28)(配列番号18)を合成した。
【化46】
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【化47】
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【0143】
実施例15 S1C(disialo)−D−Trp22−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(31)で表わされる化合物(ペプチド31)(配列番号54)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(32)で表わされる化合物(S1C(disialo)−D−Trp22−SRIF28)(配列番号19)を合成した。
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【化49】
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【0144】
実施例16 A9C(disialo)−D−Trp22−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(33)で表わされる化合物(ペプチド33)(配列番号55)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(34)で表わされる化合物(A9C(disialo)−D−Trp22−SRIF28)(配列番号20)を合成した。
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
実施例17 C(disialo)−SRIF14の合成
ペプチド1の代わりに下記式(35)で表わされる化合物(ペプチド35)(配列番号56)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(36)で表わされる化合物(C(disialo)−SRIF14)(配列番号35)を合成した。
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
実施例18 C(disialo)−R−K−SRIF14の合成
ペプチド1の代わりに下記式(37)で表わされる化合物(ペプチド37)(配列番号57)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(38)で表わされる化合物(C(disialo)−R−K−SRIF14)(配列番号36)を合成した。
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0147】
実施例19 C(disialo)−C12linker−SRIF14の合成
19−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて、下記式(39)で表わされる、樹脂に結合した状態にある保護されたペプチド39(配列番号58)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化56】
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Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、HCTUを縮合剤として用いて、Fmoc−12−アミノドデカン酸およびFmoc−Cys(Trt)−OHを順に縮合した。縮合後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、3時間室温で振盪した。これにより、アミノ酸側鎖の保護基(Acm基以外)を脱離させるとともに、ペプチドと樹脂とを切り離した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドの一部をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル、グラジエント A:B=60:40→36.2:63.8 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(40)で表わされる化合物(ペプチド40)(配列番号59)(11.2mg)を得た。
【化57】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
97H
144N
22O
23S
3:[M+2H]
2+ 1042.3、[M+3H]
3+ 695.2、found 1042.0、695.0。
【0148】
19−2 チオールの糖鎖修飾反応
上記19−1に記載の方法で得られたペプチド40(6.8mg、3.3μmol)と上記式(a)で表わされる化合物a(19.1mg、8.15μmol)を7Mグアニジン塩酸塩と330μM TCEPを含む0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4、0.96mL)に溶解し、室温で2時間反応させた。HPLCで原料消失を確認した後、反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル、グラジエント A:B=80:20→50:50 25分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(41)で表わされる化合物(糖ペプチド41)(配列番号60)(7.1mg、1.6μmol、収率50%)を得た。
【化58】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
183H
283N
29O
85S
3:[M+3H]
3+ 1449.5、[M+4H]
4+ 1087.4、[M+5H]
5+ 870.1、found 1449.3、1087.2、870.0。
【0149】
19−3 Acm基の脱保護
上記19−2に記載の方法で得られた糖ペプチド41(10.3mg、2.37μmol)に酢酸銀(I)(9.7mg、58μmol)の水溶液(0.95mL)を添加し、室温で30分間反応させた。100mMリン酸緩衝液(pH7.4、0.95mL)に溶解したDTT(22.3mg、145μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(0.95mL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→50:50 25分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式42で表わされる糖ペプチド42(配列番号61)(5.8mg、1.4μmol、収率59%)を得た。
【化59】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
177H
273N
27O
83S
3:[M+3H]
3+ 1402.1、[M+4H]
4+ 1051.8、[M+5H]
5+ 841.7、found 1401.9、1051.7、841.5。
【0150】
19−4 ジスルフィド結合の形成
上記19−3に記載の方法で得られた糖ペプチド42(5.8mg、1.4μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、3.5mL)に溶解し、室温で30時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=70:30→50:50 25分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式43で表わされる化合物(C(disialo)−C12linker−SRIF14)(配列番号37)を含む画分を得た。
【化60】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→50:50 25分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、C(disialo)−C12linker−SRIF14(3.6mg、0.86μmol、収率61%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
177H
271N
27O
83S
3:[M+3H]
3+ 1401.5、[M+4H]
4+ 1051.3、[M+5H]
5+ 841.3、found 1401.2、1051.2、841.1。
【0151】
実施例20 S1−2C(disialo)−SRIF28の合成
20−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて保護されたペプチドを樹脂上に合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、3時間室温で振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドの一部をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=72:28→68.5:31.5 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(44)で表わされるペプチド44(配列番号62)(30.7mg)を得た。
【化61】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
146H
224N
44O
41S
5:[M+3H]
3+ 1138.3、[M+4H]
4+ 854.0、[M+5H]
5+ 683.4、found 1138.2、853.9、683.1。
【0152】
20−2 チオールの糖鎖修飾反応
上記20−1に記載の方法で得られたペプチド44(45.8mg、13.4μmol)と上記式(a)で表わされる化合物a(125.8mg、53.7μmol、ペプチド44に対して4.0等量)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、4.0mL)に溶解し、室温で30分間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=83:17→72:28 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式45で表わされる糖ペプチド45(配列番号63)(44.5mg、5.61μmol、収率42%)を得た。
【化62】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
318H
502N
58O
165S
5:[M+5H]
5+ 1588.6、[M+6H]
6+ 1324.0、[M+7H]
7+ 1135.0、[M+8H]
8+ 993.3、[M+9H]
9+ 883.0、found 1588.6、1324.0、1135.0、993.2、883.0。
【0153】
20−3 Acm基の脱保護
上記20−2に記載の方法で得られた糖ペプチド45(44.5mg、5.61μmol)に酢酸銀(I)(14.8mg、88.7μmol)の水溶液(2.2mL)を添加し、室温で30分間反応させた。200mMリン酸緩衝液(pH7.4、2.2mL)に溶解したDTT(33.2mg、215μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(561μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=83:17→72:28 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(46)で表わされる糖ペプチド46(配列番号64)(34.4mg、4.41μmol、収率79%)を得た。
【化63】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
312H
492N
56O
163S
5:[M+4H]
4+ 1950.0、[M+5H]
5+ 1560.2、[M+6H]
6+ 1300.3、found 1949.8、1560.1、1300.2。
【0154】
20−4 ジスルフィド結合の形成
上記20−3に記載の方法で得られた糖ペプチド46(34.4mg、4.41μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、8.8mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=77:23→65:35 16分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(47)で表わされる化合物(S1−2C(disialo)−SRIF28)(配列番号21)を含む画分を得た。
【化64】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=83:17→72:28 15分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1−2C(disialo)−SRIF28(20.1mg、2.58μmol、収率58%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
312H
490N
56O
163S
5:[M+4H]
4+ 1949.5、[M+5H]
5+ 1559.8、[M+6H]
6+ 1300.0、found 1949.4、1559.7、1299.9。
【0155】
実施例21 S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド44の代わりに下記式(48)で表わされる化合物(ペプチド48)(配列番号65)を用いたこと以外は、実施例20と同様にして、下記式(49)で表わされる化合物(S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28)(配列番号22)を合成した。
【化65】
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【化66】
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【0156】
実施例22 S1C(disialo)・R13C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド44の代わりに下記式(50)で表わされる化合物(ペプチド50)(配列番号66)を用いたこと以外は、実施例20と同様にして、下記式(51)で表わされる化合物(S1C(disialo)・R13C(disialo)−SRIF28)(配列番号23)を合成した。
【化67】
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【化68】
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【0157】
実施例23 N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド44の代わりに下記式(52)で表わされる化合物(ペプチド52)(配列番号67)を用いたこと以外は、実施例20と同様にして、下記式(53)で表わされる化合物(N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28)(配列番号24)を合成した。
【化69】
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【化70】
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【0158】
実施例24 S1−3C(disialo)−SRIF28の合成
24−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて保護されたペプチドを樹脂上に合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドの一部をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ50x250mm、流速:43.7mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→65:35 14分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(54)で表わされるペプチド54(配列番号68)(41.7mg)を得た。
【化71】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
149H
229N
45O
42S
6:[M+3H]
3+ 1172.7、[M+4H]
4+ 879.8、[M+5H]
5+ 704.0、found 1172.5、879.4、703.9。
【0159】
24−2 チオールの糖鎖修飾反応
上記24−1に記載の方法で得られたペプチド54(10.7mg、3.04μmol)と上記式(a)で表わされる化合物a(36.6mg、15.6μmol、ペプチド54に対して5.2等量)を10μM TCEPを含む33mMリン酸緩衝液(pH7.4、0.91mL)に溶解し、室温で100分間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→70:30 5分、次いで A:B=70:30→65:35 12分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(55)で表わされる糖ペプチド55(配列番号69)(11.7mg、1.14μmol、収率38%)を得た。
【化72】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
407H
646N
66O
228S
6:[M+5H]
5+ 2061.8、[M+6H]
6+ 1718.4、[M+7H]
7+ 1473.0、[M+8H]
8+ 1289.0、[M+9H]
9+ 1145.9、[M+10H]
10+ 1031.4、found 2061.8、1718.2、1472.9、1289.0、1145.8、1031.3。
【0160】
24−3 Acm基の脱保護
上記24−2に記載の方法で得られた糖ペプチド55(11.7mg、1.14μmol)に酢酸銀(I)(4.7mg、28μmol)の水溶液(0.46mL)を添加し、室温で2時間反応させた。200mMトリス‐塩酸緩衝液(pH7.4、0.46mL)に溶解したDTT(11.3mg、73μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(0.11mL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→70:30 5分、次いで70:30→55:45 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(56)で表わされる糖ペプチド56(配列番号70)(7.4mg、0.73μmol、収率64%)を得た。
【化73】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
401H
636N
64O
226S
6:[M+6H]
6+ 1694.7、[M+7H]
7+ 1452.7、[M+8H]
8+ 1271.3、[M+9H]
9+ 1130.1、[M+10H]
10+ 1017.2、found 1694.6、1452.5、1271.4、1130.0、1017.2。
【0161】
24−4 ジスルフィド結合の形成
上記24−3に記載の方法で得られた糖ペプチド56(7.4mg、0.73μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、1.8mL)に溶解し、室温で25時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→70:30 5分、次いで70:30→69.3:30.7 5分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製することで、下記式(57)で表わされる化合物(S1−3C(disialo)−SRIF28)(配列番号25)を含む画分を得た。
【化74】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→40:60 20分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1−3C(disialo)−SRIF28(4.7mg、0.46μmol、収率63%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
401H
634N
64O
226S
6:[M+3H]
3+ 3387.7、[M+4H]
4+ 2541.0、[M+5H]
5+ 2033.0、[M+6H]
6+ 1694.3、[M+7H]
7+ 1452.4、found 3387.6、2540.9、2032.7、1694.2、1452.3。
【0162】
実施例25 S1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド54の代わりに下記式(58)で表わされるペプチド58(配列番号71)を用いたこと以外は、実施例24と同様にして、下記式(59)で表わされる化合物(S1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28)(配列番号26)を合成した。
【化75】
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【化76】
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【0163】
実施例26 S1C(monosialo)−SRIF28の合成
化合物aの代わりに下記式(b)で表わされる化合物b(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(60)で表わされる化合物(S1C(monosialo)−SRIF28)(配列番号27)を合成した。
【化77】
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【化78】
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最終生成物において、下記式b1の糖鎖を有する糖鎖ポリぺプチドと、下記式b2の糖鎖を有する糖鎖付加ポリペプチドの比は、45:55であった。なお、構造が同一のモノシアロ糖鎖誘導体を使用することにより、実質的に均一の糖鎖構造を有する糖鎖付加ポリペプチドが製造可能である。
【化79】
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【0164】
実施例27 S1C(asialo)−SRIF28の合成
化合物aの代わりに下記式(c)で表わされる化合物c(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(61)で表わされる化合物(S1C(asialo)−SRIF28)(配列番号28)を合成した。
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0165】
実施例28 S1−2C(asialo)−SRIF28の合成
28−1 チオールの糖鎖修飾反応
上記20−1に記載の方法で得られたペプチド44(21.2mg、6.21μmol)と化合物c(44.5mg、25.3μmol、ペプチド44に対して4.1等量)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、1.9mL)に溶解し、室温で1時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=77:23→62:38 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(62)で表わされる糖ペプチド62(配列番号72)(24.0mg、3.54μmol、収率57%)を得た。
【化82】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
274H
434N
54O
133S
5:[M+4H]
4+ 1694.3、[M+5H]
5+ 1355.6、[M+6H]
6+ 1129.8、found 1694.3、1355.6、1130.0。
【0166】
28−2 Acm基の脱保護
上記28−1に記載の方法で得られた糖ペプチド62(24.0mg、3.54μmol)に酢酸銀(I)(6.0mg、36μmol)の水溶液(1.4mL)を添加し、室温で3時間反応させた。500mMリン酸緩衝液(pH7.4、0.57mL)に溶解したDTT(14.0mg、90.8μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(0.35mL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→65:35 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(63)で表わされる糖ペプチド63(配列番号73)(20.1mg、3.03μmol、収率86%)を得た。
【化83】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
268H
424N
52O
131S
5:[M+4H]
4+ 1658.7、[M+5H]
5+ 1327.2、found 1658.8、1327.0。
【0167】
28−3 ジスルフィド結合の形成
上記28−2に記載の方法で得られた糖ペプチド63(20.1mg、3.03μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、6.1mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=77:23→65:35 16分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(64)で表わされる化合物(S1−2C(asialo)−SRIF28)(配列番号29)を含む画分を得た。
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=92:8→80:20 16分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1−2C(asialo)−SRIF28(11.0mg、1.66μmol、収率55%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
268H
422N
52O
131S
5:[M+4H]
4+ 1658.2、[M+5H]
5+ 1326.8、[M+6H]
6+ 1105.8、[M+7H]
7+ 948.0、[M+8H]
8+ 829.6、found 1658.1、1326.7、1105.6、947.8、829.4。
【0168】
実施例29 S1−3C(asialo)−SRIF28の合成
29−1 チオールの糖鎖修飾反応
上記24−1に記載の方法で得られたペプチド54(21.3mg、6.06μmol)と化合物c(53.4mg、30.3μmol、ペプチド54に対して5.0等量)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、1.8mL)に溶解し、室温で1時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→70:30 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(65)で表わされる糖ペプチド65(配列番号74)(39.3mg、4.59μmol、収率76%)を得た。
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
ESI-MS:(m/z)calcd for C
341H
544N
60O
180S
6:[M+4H]
4+ 2140.2、[M+5H]
5+ 1712.3、[M+6H]
6+ 1427.1、found 2140.2、1712.4、1427.2。
【0169】
29−2 Acm基の脱保護
上記29−1に記載の方法で得られた糖ペプチド65(39.3mg、4.59μmol)に酢酸銀(I)(18.7mg、112μmol)の水溶液(1.8mL)を添加し、室温で90分間反応させた。200mMリン酸緩衝液(pH7.4、1.8mL)に溶解したDTT(43.4mg、28.1μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(0.46mL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→68:32 18分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(66)で表わされる糖ペプチド66(配列番号75)(27.6mg、3.28μmol、収率71%)を得た。
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
ESI-MS:(m/z)calcd for C
335H
534N
58O
178S
6:[M+4H]
4+ 2104.6、[M+5H]
5+ 1683.9、[M+6H]
6+ 1403.4、found 2104.6、1684.0、1403.3。
【0170】
29−3 ジスルフィド結合の形成
上記29−2に記載の方法で得られた糖ペプチド66(27.6mg、3.28μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、8.2mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=72:28→70.5:29.5 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(67)で表わされる化合物(S1−3C(asialo)−SRIF28)(配列番号30)を含む画分を得た。
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=96:4→82:18 20分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1−3C(asialo)−SRIF28(14.5mg、1.72μmol、収率52%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
335H
532N
58O
178S
6:[M+4H]
4+ 2104.1、[M+5H]
5+ 1683.5、[M+6H]
6+ 1403.1、found 2103.7、1683.3、1403.0。
【0171】
実施例30 N5N(disialo)−SRIF28の合成
30−1 糖ペプチドの固相合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Trt)−OH(72.5mg、120μmol)とDIPEA(104.6μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基をDMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて、下記式(68)で表わされる、樹脂に結合した状態にある保護されたペプチド68(配列番号76)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
次に、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、下記式(d)で表わされる化合物d(大塚化学株式会社製)(411.9mg、150.4μmol)、DMSO−DMF(1/1、v/v、871μL)溶液、TBTU(64.2mg、200μmol)、およびDIPEA(52.3μL、300μmol)を順次樹脂に添加し、室温で3時間振盪させて縮合させた。
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
DMFで洗浄後、この縮合操作を1回繰り返した。樹脂をDMFおよびジクロロメタンで洗浄後、DMF中の20%のピペリジンで20分間振盪しFmoc基を脱保護しDMFで樹脂を洗浄することで、保護された下記式(69)で表わされる化合物(ペプチド69)(配列番号77)を樹脂上で合成した。
【化90】
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この樹脂に、HOBt/DICを縮合剤として用いて、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Ala、Fmoc−Ser(tBu)−OHを順に縮合した。縮合後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。この粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル A:B=70:30]を用いて精製し、下記式(70)で表わされる糖ペプチド70(配列番号78)(29.1mg、5.26μmol)を得た。
【化91】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
235H
357N
47O
100S
3:[M+3H]
3+ 1846.6、[M+4H]
4+ 1385.2、[M+5H]
5+ 1108.4、found 1846.5、1385.1、1108.3。
【0172】
30−2 ジスルフィド結合の形成
上記30−1に記載の方法で得られた糖ペプチド70(12.2mg、2.20μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、5.5mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→66:35 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(71)で表わされる糖ペプチド71(配列番号79)(8.3mg、1.5μmol、収率68%)を得た。
【化92】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
235H
355N
47O
100S
3:[M+3H]
3+ 1846.5、[M+4H]
4+ 1384.7、[M+5H]
5+ 1108.0、found 1846.5、1384.7、1108.1。
【0173】
30−3 ベンジル基の脱保護
上記30−2に記載の方法で得られた糖ペプチド71(7.5mg、1.4μmol)を50mM水酸化ナトリウム水溶液(20.6mL)に溶解させ、0℃で80分間反応させた。200mM酢酸水溶液(5.1mL)を加え、混合溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→66.3:33.7 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(72)で表わされる化合物(N5N(disialo)−SRIF28)(配列番号31)を含む画分を得た。
【化93】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=80:20→60:40 30分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、N5N(disialo)−SRIF28(1.4mg、収率19%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
221H
343N
47O
100S
3:[M+3H]
3+ 1785.9、[M+4H]
4+ 1339.6、[M+5H]
5+ 1071.9、found 1785.7、1339.5、1071.8。
【0174】
実施例31 S1N(disialo)−SRIF28の合成
31−1 糖ペプチドの固相合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Trt)−OH(72.5mg、120μmol)とDIPEA(104.6μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基をDMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて、下記式(73)で表わされる、樹脂に結合した状態にある保護されたペプチド73(配列番号80)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化94】
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次に、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、化合物d(420.2mg、153.3μmol)、DMSO−DMF(1/1、v/v、871μL)溶液、TBTU(64.2mg、200μmol)、およびDIPEA(52.3μL、300μmol)を順次樹脂に添加し、室温で2時間振盪させて縮合させた。DMFで洗浄後、この縮合操作を1回繰り返した。樹脂をDMFおよびジクロロメタンで洗浄後、DMF中の20%のピペリジンで20分間振盪しFmoc基を脱保護しDMFで樹脂を洗浄することで、保護された下記式(74)で表わされるペプチド74(配列番号81)を樹脂上で合成した。
【化95】
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DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。この粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル A:B=71:29]を用いて精製し、下記式(75)で表わされる糖ペプチド75(配列番号82)(65.7mg、11.8μmol)を得た。
【化96】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
236H
358N
48O
100S
3:[M+4H]
4+ 1392.0、[M+5H]
5+ 1113.8、found 1391.9、1113.8。
【0175】
31−2 ジスルフィド結合の形成
上記31−1に記載の方法で得られた糖ペプチド75(20.3mg、3.65μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、9.0mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=72:28→67:33 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(76)で表わされる糖ペプチド76(配列番号83)(17.0mg、3.06μmol、収率84%)を得た。
【化97】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
236H
356N
48O
100S
3:[M+4H]
4+ 1391.5、[M+5H]
5+ 1113.4、found 1391.3、1113.2。
【0176】
31−3 ベンジル基の脱保護
上記31−2に記載の方法で得られた糖ペプチド76(7.0mg、1.3μmol)を50mM水酸化ナトリウム水溶液(19.1mL)に溶解させ、0℃で1時間反応させた。200mM酢酸水溶液(9.6mL)を加え、混合溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=85:15→77.5:22.5 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(77)で表わされる化合物(S1N(disialo)−SRIF28)(配列番号32)(2.7mg、0.50μmol、収率40%)を得た。
【化98】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
222H
344N
48O
100S
3:[M+3H]
3+ 1794.9、[M+4H]
4+ 1346.4、[M+5H]
5+ 1077.3、[M+6H]
6+ 897.9、found 1794.7、1346.2、1077.2、897.7。
【0177】
実施例32 S1C(disialo)・N19C(GlcNAc)−SRIF28の合成
32−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて保護されたペプチドを樹脂上に合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドの一部をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=72:28→64:36 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(78)で表わされるペプチド78(配列番号84)(28.9mg)を得た。
【化99】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
146H
226N
42O
39S
6:[M+3H]
3+ 1129.7、[M+4H]
4+ 847.5、found 1129.5、847.4。
【0178】
32−2 チオールの糖鎖修飾とStBu基の脱保護
上記32−1に記載の方法で得られたペプチド78(10.0mg、2.95μmol)と下記式(e)で表わされる化合物e(ブロモアセトアミド化した単糖:大塚化学株式会社製[0])(2.0mg、5.90μmol、ペプチド78に対して2.0等量)を20μM TCEPを含む33mMリン酸緩衝液(pH7.4、0.89mL)に溶解し、室温で2時間反応させた。
【化100】
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反応後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4、3.0mL)に溶解したDTT(45.5mg、295μmol)を添加し、室温で3時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→65:35 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(79)で表わされる糖ペプチド79(配列番号85)(6.8mg、1.9μmol、収率64%)を得た。
【化101】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
152H
234N
44O
45S
5[M+3H]
3+ 1187.0、[M+4H]
4+ 890.5、found 1187.0、890.5。
【0179】
32−3 チオールの糖鎖修飾反応
上記32−2に記載の方法で得られたペプチド79(6.8mg、1.9μmol)と上記式(a)で表わされる化合物a(22.4mg、9.56μmol、ペプチド79に対して5.0等量)を7.6mM DTTを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4、2.0mL)に溶解し、室温で2時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=85:15→65:35 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(80)で表わされる糖ペプチド80(配列番号86)(3.4mg、0.58μmol、収率31%)を得た。
【化102】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
238H
373N
51O
107S
5:[M+5H]
5+ 1165.2、[M+6H]
6+ 971.2、[M+7H]
7+ 832.6、[M+8H]
8+ 728.6、found 1165.2、971.1、832.6、728.6。
【0180】
32−4 Acm基の脱保護
上記32−3に記載の方法で得られた糖ペプチド80(3.8mg、0.65μmol)に酢酸銀(I)(2.7mg、16μmol)の水溶液(262μL)を添加し、室温で1時間反応させた。100mMリン酸緩衝液(pH7.4、426μL)に溶解したDTT(10.0mg、64.8μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(66μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→60:40 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(81)で表わされる糖ペプチド81(配列番号87)(2.5mg、0.44μmol、収率67%)を得た。
【化103】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
232H
363N
49O
105S
5:[M+3H]
3+ 1894.0、[M+4H]
4+ 1420.7、[M+5H]
5+ 1136.8、found 1893.8、1420.6、1136.7。
【0181】
32−4 ジスルフィド結合の形成
上記32−3に記載の方法で得られた糖ペプチド81(2.5mg、0.44μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、1.1mL)に溶解し、室温で終夜反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→70:30 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(82)で表わされる化合物(S1C(disialo)・N19C(GlcNAc)−SRIF28)(配列番号33)(1.5mg、0.26μmol、収率59%)を得た。
【化104】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
232H
361N
49O
105S
5:[M+3H]
3+ 1893.3、[M+4H]
4+ 1420.2、[M+5H]
5+ 1136.4、found 1893.5、1420.1、1136.3。
【0182】
実施例33 S1C(disialo)・N19C(diMan)−SRIF28の合成
化合物eの代わりに下記式(f)で表わされる化合物f(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例32と同様にして、下記式(83)で表わされる化合物(S1C(disialo)・N19C(diMan)−SRIF28)(配列番号34)を合成した。
【化105】
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【化106】
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【0183】
実施例34 C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(84)で表わされる化合物(ペプチド84)(配列番号88)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(85)で表わされる化合物(C(disialo)−SRIF28)(配列番号89)を合成した。
【化107】
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【化108】
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【0184】
実施例35 R11C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(86)で表わされる化合物(ペプチド86)(配列番号90)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(87)で表わされる化合物(R11C(disialo)−SRIF28)(配列番号91)を合成した。
【化109】
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【化110】
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【0185】
実施例36 F20C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(88)で表わされる化合物(ペプチド88)(配列番号92)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(89)で表わされる化合物(F20C(disialo)−SRIF28)(配列番号93)を合成した。
【化111】
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【化112】
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【0186】
実施例37 T24C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(90)で表わされる化合物(ペプチド90)(配列番号94)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(91)で表わされる化合物(T24C(disialo)−SRIF28)(配列番号95)を合成した。
【化113】
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【化114】
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
実施例38 F25C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(92)で表わされる化合物(ペプチド92)(配列番号96)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(93)で表わされる化合物(F25C(disialo)−SRIF28)(配列番号97)を合成した。
【化115】
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【化116】
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【0188】
実施例39 S27C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(94)で表わされる化合物(ペプチド94)(配列番号98)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(95)で表わされる化合物(S27C(disialo)−SRIF28)(配列番号99)を合成した。
【化117】
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【化118】
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【0189】
実施例40 C(disialo)−K−SRIF14の合成
ペプチド1の代わりに下記式(96)で表わされる化合物(ペプチド96)(配列番号100)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(97)で表わされる化合物(C(disialo)−K−SRIF14)(配列番号101)を合成した。
【化119】
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【化120】
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【0190】
実施例41 S1C(disialo)−F25Y−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに下記式(98)で表わされる化合物(ペプチド98)(配列番号102)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(99)で表わされる化合物(S1C(disialo)−F25Y−SRIF28)(配列番号103)を合成した。
【化121】
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【化122】
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【0191】
実施例42 S1C(disialo)−SRIF28−アミドの合成
ペプチド1の代わりに下記式(100)で表わされる化合物(ペプチド100)(配列番号104)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(101)で表わされる化合物(S1C(disialo)−SRIF28−アミド)(配列番号105)を合成した。
【化123】
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【化124】
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【0192】
実施例43 C(disialo)−PEGlinker−SRIF14の合成
43−1 ペプチドの合成
上記19−1に記載の方法で得られた、樹脂に結合している保護されたペプチド39(配列番号58)(50μmol)のFmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、HCTUを縮合剤として用いて、Fmoc−NH−(PEG)
2−COOH(メルク社製)およびFmoc−Cys(Trt)−OHを順に縮合した。Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、3時間室温で振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドの一部をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG‐120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル、グラジエント A:B=74:26→69:31 1分、次いで69:31→62:38 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(102)で表わされる化合物(ペプチド102)(配列番号106)(43.1mg)を得た。
【化125】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
94H
138N
22O
26S
3:[M+2H]
2+ 1045.2、[M+3H]
3+ 697.1、found 1045.0、697.0。
【0193】
43−2 C(disialo)−PEGlinker−SRIF14の合成
ペプチド1の代わりに上記43−1に記載の方法で得られたペプチド102を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(103)で表わされる化合物(C(disialo)−PEGlinker−SRIF14)(配列番号107)を合成した。
【化126】
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【0194】
実施例44 Biotin−S1C(disialo)−SRIF28の合成
44−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)を含むジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて、下記式(104)で表わされる、樹脂に結合した状態にある保護されたペプチド104(配列番号108)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化127】
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Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、HCTUを縮合剤として用いて、ビオチンを縮合させた。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。これにより、アミノ酸側鎖の保護基(Acm基以外)を脱離させるとともに、ペプチドと樹脂とを切り離した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→61:39 18分 直線濃度勾配溶出]で精製し、下記式(105)で表わされるペプチド105(配列番号109)を得た。
【化128】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
153H
233N
45O
42S
5:[M+3H]
3+ 1179.4、[M+4H]
4+ 884.8、[M+5H]
5+ 708.0、found 1179.2、884.4、707.9。
【0195】
44−2 Biotin−S1C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに上記44−1に記載の方法で得られたペプチド114を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(106)で表わされる化合物(Biotin−S1C(disialo)−SRIF28)(配列番号110)を合成した。
【化129】
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【0196】
実施例45 Biotin−PEGlinker−S1C(disialo)−SRIF28の合成
45−1 ペプチドの合成
上記44−1で得られた、樹脂に結合している保護されたペプチド104(配列番号108)のFmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、HCTUを縮合剤として用いて、Fmoc−NH−(PEG)
2−COOH(メルク社製)およびビオチンを順に縮合した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→61:39 22分 直線濃度勾配溶出]で精製し、下記式(107)で表わされるペプチド107(配列番号111)を得た。
【化130】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
162H
250N
46O
46S
5:[M+3H]
3+ 1247.1、[M+4H]
4+ 935.6、[M+5H]
5+ 748.7、found 1246.9、935.4、748.6。
【0197】
45−2 Biotin−PEGlinker−S1C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに上記45−1に記載の方法で得られたペプチド107を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(108)で表わされる化合物(Biotin−PEGlinker−S1C(disialo)−SRIF28)(配列番号112)を合成した。
【化131】
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【0198】
実施例46 Azido−S1C(disialo)−SRIF28の合成
46−1 ペプチドの合成
上記44−1で得られた、樹脂に結合している保護されたペプチド104(配列番号108)のFmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、HCTUを縮合剤として用いて、5−Azido−pentanoic acidを縮合した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=70:30→60:40 20分 直線濃度勾配溶出]で精製し、下記式(109)で表わされるペプチド109(配列番号113)を得た。
【化132】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
148H
226N
46O
41S
4:[M+3H]
3+ 1145.6、[M+4H]
4+ 859.5、[M+5H]
5+ 687.8、found 1145.5、859.2、687.5。
【0199】
46−2 Azido−S1C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりに上記46−1に記載の方法で得られたペプチド109を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(110)で表わされる化合物(Azido−S1C(disialo)−SRIF28)(配列番号114)を合成した。
【化133】
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【0200】
実施例47 S1C(disialo)・E12C(disialo)−SRIF28の合成
ペプチド44の代わりに下記式(111)で表わされる化合物(ペプチド111)(配列番号115)を合成して用いたこと以外は、実施例20と同様にして、下記式(112)で表わされる化合物(S1C(disialo)・E12C(disialo)−SRIF28)(配列番号116)を合成した。
【化134】
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【化135】
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実施例48 2C(disialo)−R−K−SRIF14の合成
ペプチド44の代わりに下記式(113)で表わされる化合物(ペプチド113)(配列番号117)を合成して用いたこと以外は、実施例20と同様にして、下記式(114)で表わされる化合物(2C(disialo)−R−K−SRIF14)(配列番号118)を合成した。
【化136】
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【化137】
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【0201】
実施例49 3C(disialo)−R−K−SRIF14の合成
ペプチド54の代わりに下記式(115)で表わされる化合物(ペプチド115)(配列番号119)を合成して用いたこと以外は、実施例24と同様にして、下記式(116)で表わされる化合物(3C(disialo)−R−K−SRIF14)(配列番号120)を合成した。
【化138】
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【化139】
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【0202】
実施例50 S1C(diGlcNAc)−SRIF28の合成
50−1 チオールの糖鎖修飾反応
ペプチド1(配列番号38)(APC社製)(25.0mg、7.56μmol)と下記式(h)で表わされる化合物h(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)(15.6mg、15.1μmol、ペプチド1に対して2.0等量)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、2.3mL)に溶解し、室温で30分間反応させた。
【化140】
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(h)
反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル A:B=75:25→62:38 13分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(117)で表わされる糖ペプチド117(配列番号121)(25.6mg、6.01μmol、収率79%)を得た。
【化141】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
195H
304N
48O
76S
4:[M+3H]
3+ 1556.0、[M+4H]
4+ 1167.3、found 1555.7、1167.0。
【0203】
50−2 Acm基の脱保護
上記50−1に記載の方法で得られた糖ペプチド117(28.3mg、6.07μmol)に酢酸銀(I)(12.5mg、74.5μmol)の水溶液(2.4mL)を添加し、室温で30分間反応させた。200mMトリス‐塩酸緩衝液(pH7.4、2.4mL)に溶解したDTT(28.8mg、187μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(0.6mL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→60:40 13分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(118)で表わされる糖ペプチド118(配列番号122)(19.8mg、4.38μmol、収率72%)を得た。
【化142】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
189H
294N
46O
74S
4:[M+3H]
3+ 1508.6、[M+4H]
4+ 1131.7、[M+5H]
5+ 905.6、found 1508.3、1131.5、905.4。
【0204】
50−3 ジスルフィド結合の形成
上記50−2に記載の方法で得られた糖ペプチド118(19.8mg、4.38μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)‐DMSO(1/1、v/v、8.8mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→60:40 13分 直線濃度勾配溶出]を用いて粗精製し、下記式(119)で表わされる化合物(S1C(diGlcNAc)−SRIF28)(配列番号123)を含む画分を得た。
【化143】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→78:22 12分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1C(diGlcNAc)−SRIF28(11.9mg、2.63μmol、収率60%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
189H
292N
46O
74S
4:[M+3H]
3+ 1508.0、[M+4H]
4+ 1131.2、[M+5H]
5+ 905.2、found 1507.7、1131.0、905.0。
【0205】
実施例51 S1C(diMan)−SRIF28の合成
化合物hの代わりに化合物fを用いたこと以外は、実施例50と同様にして、下記式(120)で表わされる化合物(S1C(diMan)−SRIF28)(配列番号124)を合成した。
【化144】
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【0206】
実施例52 N19C(diMan)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりにペプチド21を用い、化合物hの代わりに化合物fを用いたこと以外は、実施例50と同様にして、下記式(121)で表わされる化合物(N19C(diMan)−SRIF28)(配列番号125)を合成した。
【化145】
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【0207】
実施例53 S1C(GlcNAc)−SRIF28の合成
化合物hの代わりに化合物eを用いたこと以外は、実施例50と同様にして、下記式(122)で表わされる化合物(S1C(GlcNAc)−SRIF28)(配列番号126)を合成した。
【化146】
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【0208】
実施例54 N19C(GlcNAc)−SRIF28の合成
ペプチド1の代わりにペプチド21を用い、化合物hの代わりに化合物eを用いたこと以外は、実施例50と同様にして、下記式(123)で表わされる化合物(N19C(GlcNAc)−SRIF28)(配列番号127)を合成した。
【化147】
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【0209】
実施例55 S1C(trisialo)−SRIF28の合成
化合物aの代わりに下記式(i)で表わされる化合物i(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(124)で表わされる化合物(S1C(trisialo)−SRIF28)(配列番号128)を合成した。
【化148】
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(i)
【化149】
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【0210】
実施例56 S1C(tetrasialo)−SRIF28の合成
化合物aの代わりに下記式(j)で表わされる化合物j(ブロモアセトアミド化したオリゴ糖:大塚化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(125)で表わされる化合物(S1C(tetrasialo)−SRIF28)(配列番号129)を合成した。
【化150】
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(j)
【化151】
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【0211】
実施例57 S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28の合成
57−1 ブロモアセトアミド化されたジシアロ糖鎖誘導体の合成
下記式(k)で表わされる化合物k(大塚化学株式会社製)(204.1mg、92.1μmol)に水(2mL)、tert−Butyl N−(2−Aminoethyl)carbamate(0.29mL、0.18mmol)を加え、室温で1時間撹拌させた。凍結乾燥後、得られた凍結乾燥物にDMF(5mL)、HATU(349mg、921μmol)、DIPEA(161μL、921μmol)を加え37℃で18時間反応させた。溶液にトルエン(50mL)を加え析出した沈殿物をろ過で回収した。沈殿物をDMF(5mL)に溶解し、ゲルろ過精製[カラム:Sephadex G-25、φ20x200mm、流速:30mL/h]を用いて精製し、目的分画を回収し凍結乾燥することで、下記式(l)で表される化合物l(152.4mg、60.8μmol、収率66%)を得た。
【化152】
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(k)
【化153】
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(l)
MALDI-MS:(m/z)calcd for C
98H
166N
10O
64:[M+Na]
+ 2530.0、found 2529.4。
化合物l(100mg、39.8μmol)と炭酸水素アンモニウム(31.4mg、398μmol)を水(1mL)に溶解し室温で7日間反応させた。凍結乾燥後、得られた凍結乾燥物に対し、水(1mL)、DCC(41.0mg、199μmol)、DMF(1mL)に溶解したブロモ酢酸(27.7mg、199μmol)を順次加えた。氷冷下で1時間反応後、溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:8.0mL/分、展開溶媒 水:アセトニトリル=84:16]を用いて精製し下記式(m)で表される化合物m(ブロモアセトアミド化したジシアロ糖鎖誘導体:100mg、38.2μmol、収率96%)を得た。
【化154】
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(m)
MALDI-MS:(m/z)(m/z)calcd for C
100H
168BrN
11O
64:[M+Na]
+ 2648.9、found 2648.5。
【0212】
57−2 チオールの糖鎖修飾反応
上記57−1に記載の方法で得られた化合物m(14.2mg、5.40μmol)とペプチド1(15.0mg、4.53μmol)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、1.3mL)に溶解し、室温で30分間反応させた。反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%酢酸(AcOH)水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=86:14→82:18 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(126)で表わされる糖ペプチド126(配列番号130)(13.4mg、2.29μmol、収率51%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
243H
386N
54O
104S
4:[M+4H]
4+ 1465.1、[M+5H]
5+ 1172.2、[M+6H]
6+ 977.0、found 1464.9、1172.1、977.1。
【化155】
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【0213】
57−3 Boc基の脱保護
上記57−2に記載の方法で得られた糖ペプチド126(13.4mg、2.29μmol)を95%TFA水溶液(458μL)に溶解させ、室温で5分間振盪した。50mM酢酸アンモニウム水溶液(pH6.8、33mL)を添加した後、反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→65:35 10分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(127)で表わされる糖ペプチド127(配列番号131)(12.7mg、98μmol、収率98%)を得た。
【化156】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
233H
370N
54O
100S
4:[M+4H]
4+ 1415.1、[M+5H]
5+ 1132.2、[M+6H]
6+ 943.7、[M+7H]
7+ 809.0、found 1414.9、1132.1、943.6、808.9。
【0214】
57−4 Acm基の脱保護
上記57−3に記載の方法で得られた糖ペプチド127(12.7mg、2.25μmol)に酢酸銀(I)(9.2mg、55μmol)の水溶液(0.9mL)を添加し、室温で30分間反応させた。その後、200mMリン酸緩衝液(pH7.4、0.9mL)に溶解したDTT(21.2mg、137μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(225μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→60:40 13分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(128)で表わされる糖ペプチド128(配列番号132)(5.2mg、0.94μmol、収率42%)を得た。
【化157】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
227H
360N
52O
98S
4:[M+4H]
4+ 1379.5、[M+5H]
5+ 1103.8、[M+6H]
6+ 920.0、[M+7H]
7+ 788.7、found 1379.4、1103.7、919.9、788.6。
【0215】
57−5 ジスルフィド結合の形成
上記57−4に記載の方法で得られた糖ペプチド128(5.2mg、0.94μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、1.9mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=70:30→65:35 13分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(129)で表わされる化合物(S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28)(配列番号133)を含む画分を得た。
【化158】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=92:8→85:15 14分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28(3.8mg、0.69μmol、収率73%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
227H
358N
52O
98S
4:[M+3H]
3+ 1838.3、[M+4H]
4+ 1379.0、[M+5H]
5+ 1103.4、[M+6H]
6+ 919.6、[M+7H]
7+ 788.4、found 1838.0、1378.5、1103.2、919.5、788.2。
【0216】
実施例58 S1C(disialo(amide))−SRIF28の合成
58−1 ブロモアセトアミド化されたジシアロ糖鎖誘導体の合成
化合物k(大塚化学株式会社製)(152mg、68.6μmol)にDMF(1.9mL)、臭化リチウム(357mg、4.12mmol)、塩化フェナシル(273mg、1.37mmol)を順次加え、37℃で反応させた。10時間後、水(19mL)を加え析出物をろ過で取り除いた。ろ液に25%アンモニウム水(5mL)を加え室温で18時間反応させた後、100mMリン酸緩衝液(pH7.4、80mL)を加え中和した。溶液をHPLC[カラム:YMC Hydrosphere C18(5μm)、φ20x250mm、流速:8.0mL/分、展開溶媒 0.1%TFA水:アセトニトリル=98:2→92:8 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し凍結乾燥することで下記式(n)で表される化合物n(60.9mg、27.4μmol、収率40%)を得た。
MALDI-MS:(m/z)calcd for C
84H
140N
8O
60:[M+Na]
+ 2243.8、found 2243.6。
【化159】
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(n)
得られた中間体n(37.3mg、16.8μmol)と炭酸水素アンモニウム(13.3mg、168μmol)を水(0.37mL)に溶解し室温で7日間反応させた。凍結乾燥後、得られた[0]凍結乾燥物に対し、水(0.37mL)、DCC(17.3mg、84μmol)、DMF(0.37mL)に溶解したブロモ酢酸(11.7mg、84μmol)を順次加えた。氷冷下で1時間反応後の溶液をHPLC[カラム:YMC Hydrosphere C18(5μm)、φ20x250mm、流速:8.0mL/分、展開溶媒 0.1%TFA水:アセトニトリル=98:2→92:8、30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(o)で表される化合物o(ブロモアセトアミド化したジシアロ糖鎖誘導体:29.0mg、12.4μmol、収率74%)を得た。
【化160】
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(o)
MALDI-MS:(m/z)calcd for C
86H
142BrN
9O
60:[M+Na]
+ 2362.7、found 2362.5。
【0217】
58−2 S1C(disialo(amide))−SRIF28の合成
化合物aの代わりに上記58−1に記載の方法で得られた化合物oを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(130)で表わされる化合物(S1C(disialo(amide))−SRIF28)(配列番号134)を合成した。
【化161】
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【0218】
実施例59 S1C(disialo(Bn))−SRIF28の合成
59−1 ブロモアセトアミド化されたベンジル保護基を持つジシアロ糖鎖の合成
化合物a(28.9mg、12.3μmol)にDMF(0.58mL)、臭化リチウム(21.5mg、248μmol)、臭化ベンジル(14.6μL、122μmol)を順次加え、30℃で20時間反応させた。臭化ベンジル(14.6μL、122μmol)をさらに添加して20時間反応させた。反応液にトルエン(30mL)を加え、遠心分離(10,000×g、10分間)の後、沈殿物を水(100μL)に溶解してHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:8.0mL/分、展開溶媒 水:アセトニトリル=95:5→70:30 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(g)で表される化合物g(ブロモアセトアミド化したジシアロ糖鎖:7.6mg、3.0μmol、収率24%)を得た。
【化162】
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(g)
MALDI-MS:(m/z)calcd for C
100H
152BrN
7O
62:[M+Na]
+ 2544.8、found 2544.4。
【0219】
59−2 S1C(disialo(Bn))−SRIF28の合成
化合物aの代わりに化合物gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(131)で表わされる化合物(S1C(disialo(Bn))−SRIF28)(配列番号135)を合成した。
【化163】
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【0220】
実施例60 S1C(disialo(hexadecylamide))−SRIF28の合成
60−1 ブロモアセトアミド化されたジシアロ糖鎖誘導体の合成
化合物k(大塚化学株式会社製)(140mg、63.0μmol)に水(1.5mL)、メタノール(1.5mL)、ヘキサデシルアミン(300mg、126μmol)を加え、室温で1時間撹拌させた。凍結乾燥後、得られた凍結乾燥物にDMF(5mL)、HATU(239mg、630μmol)、DIPEA(110μL、630μmol)を加え37℃で反応させた。18時間後、溶液にジエチルエーテル(100mL)を加え析出した沈殿物をろ過で回収した。この沈殿物をDMF(5mL)に溶解し、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:8.0mL/分、展開溶媒 水:アセトニトリル=40:60→10:90、30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製することで下記式(p)で表される化合物p(71.1mg、26.6μmol、収率42%)を得た。
【化164】
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(p)
MALDI-MS:(m/z)calcd for C
116H
204N
8O
60:[M+Na]
+ 2692.3、found 2691.9。
【0221】
得られた化合物p(71.7mg、26.6μmol)と炭酸水素アンモニウム(21.8mg、266μmol)を水(0.7mL)、メタノール(0.7mL)に溶解し室温で反応させた。7日後、凍結乾燥して得られた凍結乾燥物に対し、水(0.7mL)、メタノール(0.7mL)、DCC(27.4mg、133μmol)、DMF(0.7mL)に溶解したブロモ酢酸(18.5mg、133μmol)を順次加えた。氷冷下で1時間反応後、溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:8.0mL/分、展開溶媒 水:アセトニトリル=40:60→10:90、30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し下記式(q)で表される化合物q(ブロモアセトアミド化したジシアロ糖鎖:24.9mg、8.9μmol、収率33%)を得た。
【化165】
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(q)
MALDI-MS:(m/z)calcd for C
118H
206BrN
9O
60:[M+Na]
+ 2811.2、found 2811.0。
【0222】
60−2 チオールの糖鎖修飾反応
ペプチド1(10.4mg、3.14μmol)を30μM TCEPを含む0.5Mリン酸緩衝液(pH7.4、62μL)に溶解させた。この溶液に、上記60−1に記載の方法で得られた化合物q(79.4mg、28.5μmol)のDMSO(3.7mL)溶液を添加し、室温で20分間反応させた。反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=50:50→22:78 14分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(132)で表わされる糖ペプチド132(配列番号136)(6.4mg、1.1μmol、収率35%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
261H
424N
52O
100S
4:[M+3H]
3+ 2007.2、[M+4H]
4+ 1505.7、[M+5H]
5+ 1204.7、[M+6H]
6+ 1004.1、found 2007.4、1505.5、1204.8、1004.0。
【化166】
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【0223】
60−3 Acm基の脱保護
上記60−2に記載の方法で得られた糖ペプチド132(6.4mg、1.1μmol)に酢酸銀(I)(3.8mg、23μmol)の水溶液(0.8mL)を添加し、室温で40分間反応させた。その後、200mMリン酸緩衝液(pH7.4、377μL)に溶解したDTT(8.8mg、57μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(106μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=48:52→38:62 3分、次いで38:62→30:70 8分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(133)で表わされる糖ペプチド133(配列番号137)(3.2mg、0.54μmol、収率49%)を得た。
【化167】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
255H
414N
50O
98S
4:[M+3H]
3+ 1959.9、[M+4H]
4+ 1470.1、[M+5H]
5+ 1176.3、[M+6H]
6+ 980.4、found 1959.6、1469.9、1176.1、980.5。
【0224】
60−3 ジスルフィド結合の形成
上記60−2に記載の方法で得られた糖ペプチド133(3.2mg、0.54μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)‐DMSO(1/1、v/v、1.1mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=48:52→38:62 3分、次いで38:62→30:70 8分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(134)で表わされる化合物(S1C(disialo(hexadecylamide))−SRIF28)(配列番号138)(2.8mg、0.48μmol、収率89%)を得た。
【化168】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
255H
412N
50O
98S
4:[M+3H]
3+ 1959.2、[M+4H]
4+ 1469.6、[M+5H]
5+ 1175.9、[M+6H]
6+ 980.1、found 1958.9、1469.4、1175.7、979.9。
【0225】
実施例61 S1−2C(disialo(amide))−SRIF28の合成
化合物cの代わりに化合物oを用いたこと以外は、実施例28と同様にして、下記式(135)で表わされる化合物(S1−2C(disialo(amide))−SRIF28)(配列番号139)を合成した。
【化169】
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【0226】
実施例62 S1−2C(disialo(Bn))−SRIF28の合成
化合物cの代わりに化合物gを用いたこと以外は、実施例28と同様にして、下記式(136)で表わされる化合物(S1−2C(disialo(Bn))−SRIF28)(配列番号140)を合成した。
【化170】
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【0227】
実施例63 S1C(Asn(disialo))−SRIF28の合成
化合物aの代わりに下記式(r)で表わされる化合物r(ブロモアセチル化した糖鎖付加Asn:大塚化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、下記式(137)で表わされる化合物(S1C(Asn(disialo))−SRIF28)(配列番号141)を合成した。
【化171】
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(r)
【化172】
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【0228】
実施例64 S1N(disialo)・N19C(diMan)−SRIF28の合成
64−1 糖ペプチドの固相合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Trt)−OH(72.5mg、120μmol)とDIPEA(104.6μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基をDMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて樹脂に結合した状態にある保護された下記式(138)で表わされるペプチド138(配列番号142)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化173】
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【0229】
次に、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、化合物d(141.0mg、51.5μmol)、DMSO−DMF(1/1、v/v、1.1mL)溶液、TBTU(21.2mg、66.0μmol)、およびDIPEA(17.2μL、98.7μmol)を順次樹脂に添加し、室温で4時間振盪させて縮合させた。DMFで洗浄後、この縮合操作を1回繰り返した。樹脂をDMFおよびジクロロメタンで洗浄後、DMF中の20%のピペリジンで20分間振盪しFmoc基を脱保護しDMFで樹脂を洗浄することで、下記式(139)で表わされる、樹脂に結合した状態にある保護されたペプチド139(配列番号143)を合成した。
【化174】
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DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。この粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル A:B=70:30]を用いて精製し、下記式(140)で表わされる糖ペプチド140(配列番号144)(5.8mg、1.1μmol)を得た。
【化175】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
241H
367N
49O
101S
4:[M+4H]
4+ 1424.8、[M+5H]
5+ 1140.0、found 1424.6、1139.9。
【0230】
64−2 チオールの糖鎖修飾反応
上記64−1に記載の方法で得られた糖ペプチド140(10.8mg、1.90μmol)と化合物f(5.3mg、5.1μmol)を141μM TCEPを含む100mMリン酸緩衝液(pH7.4、0.8mL)に溶解し、室温で24時間反応させた。反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル A:B=75:25→60:40 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(141)で表わされる糖ペプチド141(配列番号145)(4.9mg、0.74μmol、収率39%)を得た。
【化176】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
277H
426N
52O
127S
4:[M+3H]
3+ 2216.0、[M+4H]
4+ 1662.2、[M+5H]
5+ 1330.0、found 2215.6、1661.9、1330.1。
【0231】
64−3 Acm基の脱保護
上記64−2に記載の方法で得られた糖ペプチド141(4.9mg、0.74μmol)に酢酸銀(I)(1.5mg、9.0μmol)の水溶液(148μL)を添加し、室温で1.5時間反応させた。200mMリン酸緩衝液(pH7.4、145μL)に溶解したDTT(3.5mg、23μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(37μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=74:26→64:36 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(142)で表わされる糖ペプチド142(配列番号146)(3.7mg、0.57μmol、収率77%)を得た。
【化177】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
271H
416N
50O
125S
4:[M+3H]
3+ 2168.6、[M+4H]
4+ 1626.7、[M+5H]
5+ 1301.5、found 2168.6、1626.4、1301.3。
【0232】
64−4 ジスルフィド結合の形成
上記64−3に記載の方法で得られた糖ペプチド142(3.7mg、0.54μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)‐DMSO(1/1、v/v、1.4mL)に溶解し、室温で31時間反応させた。反応溶液を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→60:40 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(143)で表わされる糖ペプチド143(配列番号147)(2.9mg、0.45μmol、収率78%)を得た。
【化178】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
271H
414N
50O
125S
4:[M+3H]
3+ 2167.9、[M+4H]
4+ 1626.2、[M+5H]
5+ 1301.1、found 2167.9、1626.0、1301.2。
【0233】
64−5 ベンジル基の脱保護
上記64−4に記載の方法で得られた糖ペプチド143(2.9mg、0.45μmol)を50mM水酸化ナトリウム水溶液(13.6mL)に溶解させ、0℃で1時間反応させた。200mM酢酸水溶液(3.4mL)を加え、混合溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→60:40 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式144で表わされる化合物(S1N(disialo)・N19C(diMan)−SRIF28)(配列番号148)を含む画分を得た。
【化179】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ4.6x250mm、流速:0.7mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=95:5→85:15 2分、次いで85:15→65:35 20分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、S1N(disialo)・N19C(diMan)−SRIF28(1.6mg、0.25μmol、収率57%)を得た。
ESI-MS:calcd for C
257H
402N
50O
125S
4:[M+3H]
3+ 2107.8、[M+4H]
4+ 1581.1、[M+5H]
5+ 1265.1、found 2107.9、1580.9、1265.1。
【0234】
実施例65 C(disialo(aminoethylamide))・S1C(disialo)−SRIF28の合成
65−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて樹脂に結合した状態にある保護された下記式(145)で表わされるペプチド145(配列番号149)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化180】
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樹脂の一部(50μmol)を取り、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=73:27→63:37 30分 直線濃度勾配溶出]で精製し、下記式(146)で表わされるペプチド146(配列番号150)(30.4mg)を得た。
【化181】
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ESI-MS:(m/z)(m/z)calcd for C
150H
232N
44O
41S
6:[M+3H]
3+ 1167.7、[M+4H]
4+ 876.0、found 1167.5、875.9。
【0235】
65−2 糖鎖誘導体におけるBoc基の脱保護
化合物m(50.0mg、19.0μmol)を95%TFA水(2.5mL)に溶解させ、室温で振盪した。10分後、ジエチルエーテル(15mL)を加え、析出した沈殿を遠心分離(10,000×g10分間)した。沈殿物を水に溶解して凍結乾燥することで、下記式(s)で表される化合物s(ブロモアセトアミド化したジシアロ糖鎖:46.0mg、18.9μmol、収率99%)を得た。
【化182】
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(s)
ESI-MS:(m/z)calcd for C
90H
152BrN
11O
60:[M+2H]
2+ 1215.1、[M+3H]
3+ 810.4、found 1214.9、810.3。
【0236】
65−3 チオールの糖鎖修飾
上記65−1に記載の方法で得られたペプチド146(20.6mg、5.89μmol)と上記65−2に記載の方法で得られた化合物s(28.6mg、11.8μmol)を33mMリン酸緩衝液(pH7.4、1.8mL)に溶解し、室温で30分反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=74:26→64:36 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(147)で表わされる糖ペプチド147(配列番号151)(17.1mg、2.93μmol、収率50%)を得た。
【化183】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
240H
383N
55O
101S
6:[M+3H]
3+ 1950.1、[M+4H]
4+ 1462.8、[M+5H]
5+ 1170.5、[M+6H]
6+ 975.6、found 1949.9、1462.6、1170.3、975.4。
【0237】
65−4 StBu基の脱保護
上記65−3に記載の方法で得られた糖ペプチド147(17.1mg、2.93μmol)に、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4、3.4mL)に溶解したDTT(52.9mg、343μmol)を添加し、室温で3時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=95:5→75:25 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(148)で表わされる糖ペプチド148(配列番号152)(8.6mg、1.5μmol、収率51%)を得た。
【化184】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
236H
375N
55O
101S
5:[M+3H]
3+ 1920.7、[M+4H]
4+ 1440.8、[M+5H]
5+ 1152.8、[M+6H]
6+ 960.9、[M+7H]
7+ 823.7、found 1920.5、1440.6、1152.7、960.6、823.6。
【0238】
65−5 チオールの糖鎖修飾反応
上記65−4に記載の方法で得られたペプチド148(6.2mg、1.1μmol)と化合物a(3.8mg、1.6μmol)を1.6mM DTTを含む0.36Mリン酸緩衝液(pH7.4、339mL)に溶解し、室温で2.5時間反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→75:25 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(149)で表わされる糖ペプチド149(配列番号153)(6.4mg、0.80μmol、収率73%)を得た。
【化185】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
322H
514N
62O
163S
5:[M+4H]
4+ 2006.5、[M+5H]
5+ 1605.4、[M+6H]
6+ 1338.0、found 2006.6、1605.3、1338.0。
【0239】
65−6 Acm基の脱保護
上記65−5に記載の方法で得られた糖ペプチド149(8.2mg、1.0μmol)に酢酸銀(I)(2.1mg、13μmol)の水溶液(225μL)を添加し、室温で1時間反応させた。100mMリン酸緩衝液(pH7.4、204μL)に溶解したDTT(4.8mg、31μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(51μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→75:25 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(150)で表わされる糖ペプチド150(配列番号154)(5.5mg、0.70μmol、収率70%)を得た。
【化186】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
316H
504N
60O
161S
5:[M+4H]
4+ 1971.0、[M+5H]
5+ 1577.0、[M+6H]
6+ 1314.3、found 1970.6、1576.8、1314.2。
【0240】
65−7 ジスルフィド結合の形成
上記65−6に記載の方法で得られた糖ペプチド150(5.4mg、0.69μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、1.7mL)に溶解し、室温で終夜反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→65:35 30分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式151で表わされる化合物(C(disialo(aminoethylamide))・S1C(disialo)−SRIF28)(配列番号155)を含む画分を得た。
【化187】
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この画分を、HPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=90:10→75:25 20分 直線濃度勾配溶出]を用いてさらに精製し、C(disialo(aminoethylamide))・S1C(disialo)−SRIF28(3.1mg、0.40μmol、収率58%)を得た。
ESI-MS:calcd for C
316H
502N
60O
161S
5:[M+4H]
4+ 1970.5、[M+5H]
5+ 1576.6、[M+6H]
6+ 1314.0、[M+7H]
7+ 1126.4、[M+8H]
8+ 985.8、[M+9H]
9+ 876.3、found 1970.3、1576.4、1313.9、1126.4、985.5、876.1。
【0241】
実施例66 S1−4C(disialo)−SRIF28の合成
66−1 ペプチドの合成
固相合成用カラムに2−クロロトリチルクロリド樹脂(100μmol)を取り、DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、Fmoc−Cys(Acm)−OH(49.7mg、120μmol)とDIPEA(104.5μL、600μmol)のジクロロメタン(3.0mL)溶液を加え、1時間振盪した。ジクロロメタンおよびDMFで洗浄後、Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFで洗浄後、Prelude(商標)ペプチド合成機を用いて、Fmoc法によるペプチド固相合成法にて、下記式(152)で表わされる、樹脂に結合した状態にある保護されたペプチド152(配列番号156)を合成した。縮合反応は、縮合剤としてHCTUを使用してDMF中で行った。
【化188】
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Fmoc保護基を、DMF中の20%のピペリジンで処理することにより除去した。DMFおよびジクロロメタンで洗浄後、TFA:水:トリイソプロピルシラン:エタンジチオール(=90:2.5:5:2.5)を加え、室温で3時間振盪した。樹脂をろ過して除き、ろ液に冷却したジエチルエーテルを加え、粗ペプチドを沈殿として得た。粗ペプチドをHPLC[カラム:SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG-120(5μm)、φ50x250mm、流速:43.7mL/分、展開溶媒 A:0.1%TFA水 B:0.09%TFA/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=75:25→65:35 20分 直線濃度勾配溶出]で精製し、下記式(153)で表わされるペプチド153(配列番号157)(127.2mg)を得た。
【化189】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
152H
234N
46O
43S
7:[M+3H]
3+ 1207.1、[M+4H]
4+ 905.6、[M+5H]
5+ 724.6、found 1206.9、905.1、724.5。
【0242】
66−2 チオールの糖鎖修飾反応
上記66−1に記載の方法で得られたペプチド153(30.4mg、8.40μmol)と化合物a(128mg、54.7μmol)を33 mMリン酸緩衝液(pH7.4、2.5mL)に溶解し、室温で終夜反応させた。反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=82:18→71:29 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(154)で表わされる糖ペプチド154(配列番号158)(30.9mg、2.44μmol、収率29%)を得た。
ESI-MS:(m/z)calcd for C
496H
790N
74O
291S
7:[M+6H]
6+ 2112.7、[M+7H]
7+ 1811.1、found 2112.8、1811.0。
【化190】
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【0243】
66−3 Acm基の脱保護
上記66−2に記載の方法で得られた糖ペプチド154(30.9mg、2.44μmol)に酢酸銀(I)(5.0mg、30μmol)の水溶液(0.98mL)を添加し、室温で20分間反応させた。その後、200mMトリス‐塩酸緩衝液(pH7.4、0.98mL)に溶解したDTT(11.8mg、76.5μmol)および100mMアスコルビン酸水溶液(244μL)を添加し、速やかにフィルターでろ過した。ろ液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:0.1%AcOH水 B:0.09%AcOH/10%水/90%アセトニトリル グラジエント A:B=82:18→70:30 20分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(155)で表わされる糖ペプチド155(配列番号159)(20.6mg、1.64μmol、収率67%)を得た。
【化191】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
490H
780N
72O
289S
7:[M+5H]
5+ 2506.6、[M+6H]
6+ 2089.0、[M+7H]
7+ 1790.7、found 2506.5、2088.8、1790.4。
【0244】
66−4 ジスルフィド結合の形成
上記66−3に記載の方法で得られた糖ペプチド155(20.6mg、1.64μmol)を100mMトリス‐塩酸緩衝液(pH8.0)―DMSO(1/1、v/v、2.1mL)に溶解し、室温で2日間反応させた。その後、反応溶液をHPLC[カラム:SHISEIDO Proteonavi(5μm)、φ20x250mm、流速:7.0mL/分、展開溶媒 A:10mM酢酸アンモニウム水溶液 B:10mM酢酸アンモニウム‐アセトニトリル(1/9、v/v) グラジエント A:B=75:25→72:28 15分 直線濃度勾配溶出]を用いて精製し、下記式(156)で表わされるS1−4C(disialo)−SRIF28(配列番号160)(11.6mg、0.93μmol、収率57%)を得た。
【化192】
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ESI-MS:(m/z)calcd for C
490H
778N
72O
289S
7:[M+5H]
5+ 2506.2、[M+6H]
6+ 2088.7、[M+7H]
7+ 1790.5、found 2506.1、2088.6、1790.4。
【0245】
表1−1から表1−7に、実施例1〜66に記載の方法で得られた糖鎖付加SRIFペプチドのMSスペクトルデータ(ESI−MS)を示す。分子質量は、MassLynxバージョン4.1(Waters社製)を用いて、多価タンパク質質量分析のデコンボリューションを行うことによって得た。
【0246】
【表1】
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【表2】
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【表3】
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【表4】
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【表5】
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【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
実施例67−1 受容体結合親和性の算出
下記の方法で競合的結合実験を行い、受容体結合親和性を算出した。
競合的結合実験に用いた試薬とその正式化学名は以下の通り。HEPES(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)、BSA(ウシ血清アルブミン)。
競合的結合実験はリセルカバイオサイエンス社に委託し、実験およびデータ解析を行った。用いた受容体サブタイプおよび受容体膜標品を表2に示す。各結合実験に共通して、標識リガンドとして[
125I]Tyr
11−Somatostatin14(Tyr11−SRIF14)を、非標識リガンドとしてSomatostatin−14(SRIF14)を、バッファとして5mM MgCl
2、1mM CaCl
2、0.1% BSAを含んだ25mM HEPES、pH7.4を使用した。試験物質は、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、または、1000nMの濃度で使用し、膜標品と混ぜ合わせて反応液とした。また、反応液に添加した標識リガンドおよび非標識リガンドの濃度を表2に示す。反応液のインキュベーション条件は、SSTR2では25℃で4時間、SSTR1、SSTR3、SSTR4、SSTR5では25℃で2時間とした。実験回ごとに、陽性対照としてSRIF14を用いた。データ解析は、MathIQ
TM(ID Business Solutions社、UK)を使用して非線形性最小二乗法で、結合阻害率の数値データを基に50%阻害濃度(IC
50値)を求めた。結合阻害定数(Ki値)はCheng,Yらの方法(Biochem Pharmacol,22,3099−3108,1973)により算出した。
【表8】
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【0248】
結合実験を実施した化合物および結合実験の結果を表3Aに示す。また、対照化合物としてオクトレオチド、SRIF14およびSRIF28を同様に評価した。なお、オクトレオチドについては最高濃度を100nMとしたため、SSTR1、およびSSTR4においてIC
50値を算出できず、>100nMと表記した。
なお、
図1Aおよび
図1Bは、表3A中の化合物名に対応する糖鎖付加ペプチド(糖鎖付加体)の構造の一例を示す。
【0249】
【表9】
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【0250】
対照としたオクトレオチドはSSTR2、SSTR3、SSTR5の各受容体に、またSRIF14およびSRIF28は全てのSSTRに結合した。表3Aに示すように、本発明に係る化合物は、全てのSSTRに強力に結合した。陽性対照のSRIF14のSSTR1に対する結合親和性がKi値で0.362nMであったのに対し、本発明の糖鎖を1本または2本有する化合物は0.704〜147nMであり、優れた結合親和性を示した。また、本発明の糖鎖を3本有する化合物(実施例24、25、29の化合物)も、3.49nM、16.9nM、および、57.3nMを示し、優れた結合親和性を有していた。なお、その血中半減期の延長による生物学的利用能(バイオアベイラビリティ:BA)も大幅に増大するため、結合親和性のKi値が多少高い場合であっても、生体内において受容体に対し有効に作用することができる。同様に、SRIF14のSSTR2、SSTR3およびSSTR4に対する結合親和性がKi値でそれぞれ0.00755nM、0.0450nM、0.273nMであったのに対し、本発明の化合物はそれぞれ0.0119〜3.33nM、0.0531〜3.77nM、0.564〜40.5nMであり、いずれも優れた結合親和性を示した。また、SRIF14のSSTR5に対する結合親和性が0.326nMであったのに対し、本発明の化合物は8.33nMまでの高い結合親和性を示した。
実施例1〜6、10、13〜19、26、27、30、および、31の化合物は、SSTR1、SSTR2、SSTR3、SSTR4、SSTR5のすべての受容体に対し結合親和性を有する糖鎖1本修飾体であることがわかった。また、同様に、実施例20〜23、および28は、SSTR1〜SSTR5の全ての受容体に対する親和性を有する糖鎖2本修飾体であり、実施例24、25、および29はSSTR1〜SSTR5の全ての受容体に対する親和性を有する糖鎖3本修飾体であることがわかった。
【0251】
実施例67−2 受容体結合親和性の算出−2
表3Bに示す各化合物について、実施例67−1に記載の方法で競合的結合実験を行い、受容体結合親和性を算出した。また、対照化合物としてSRIF14およびSRIF28を同様に評価した。結合実験の結果を表3Bに示す。
なお、
図1Cおよび
図1Dは、表3B中の化合物名に対応する糖鎖付加ペプチドの構造の一例を示す。
【表10】
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表3Bに示すように、対照となるSRIF14およびSRIF28はSSTR1〜SSTR5の全ての受容体に結合した。ここで、実施例67−1と試験実施回等は異なるため、SRIF14の各受容体に対するKi値は異なり、2.5から13.2倍の高い数値となっている。実施例1、7、8、9、26、27、32、33、34、35、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65および66の化合物は、SSTR1に対するKi値は1.46〜100nM、同じくSSTR2で0.0536〜6.51nM、SSTR3で0.160〜7.44nM、SSTR4で1.39〜59.0nM、SSTR5で0.310〜95.0nMであり、全ての受容体に対して高い結合親和性を示した。実施例12の化合物は、SSTR2およびSSTR5に対するKi値がSRIF14の280〜1600倍であったが、SSTR1、SSTR3およびSSTR4に対しては17.9、7.44、24.1nMのKi値であり、結合親和性を保持していると考えられた。実施例38の化合物は、SSTR1、SSTR2、SSTR3に対するKi値がSRIF14の310〜5300倍と著しく親和性が低下していたが、SSTR4およびSSTR5対しては110、33.0nMのKi値であり、結合親和性を保持していると考えられた。実施例49の化合物は、SSTR2およびSSTR4に対するKi値がSRIF14の170倍および46倍以上であったが、SSTR1、SSTR3、SSTR5に対してはそれぞれ、270nM、14.0nM、23.0nMのKi値であり、結合親和性を保持していると考えられた。
【0252】
実施例67−3 受容体発現細胞を用いたアゴニスト活性評価−1
ソマトスタチン受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)である。SSTR1〜SSTR5はいずれもGタンパク質のサブファミリーであるGi/Goを介してアデニリルシクラーゼ活性を抑制し、細胞内cAMP濃度を低下させる。本実験系では、各ソマトスタチン受容体発現細胞を用い、試験物質のcAMP産生抑制作用のIC
50値を算出し、アゴニスト活性を評価した。また、対照化合物としてSRIF14、SRIF28を同様に評価した。
本実験に用いた試薬とその正式化学名は以下の通り。DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、IBMX(3-isobutyl−1−methylxanthine)、HBSS(Hank’s Buffered Salt Solution)。
SSTR2〜SSTR5に対する評価は、以下の条件で実験を行った。バッファとして、0.3% BSA、0.5mM IBMXを含んだDMEMを用い、表3Cに示す受容体発現細胞を10
4cells/wellで播種した。試験物質は0.00001nM、0.0001nM、0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM、または1000nMの濃度で、10μM forskolinと混ぜ合わせて処置し、室温で30分反応させた。反応後、0.2N HClで細胞を溶解し、細胞内に蓄積したcAMP量をケイマン社cyclic AMP EIA kit(Cayman、582002)を用いて測定した。
SSTR1に対する評価はセレップ社に委託し、実験を行った。バッファとして、20mM HEPES(pH7.4)、500μM IBMXを含んだHBSSを用い、SSTR1受容体発現細胞を10
4cells/wellで播種した。試験物質は0.001nM、0.01nM、0.1nM、1nM、10nM、または100nMの濃度で、1μM NKH477と混ぜ合わせて処置し、37℃で20分反応をさせた。反応後、細胞内に蓄積したcAMP量をシスバイオ社cAMP dynamic2 kit(cisbio、62AM4PE)を用いて測定した。
【表11】
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【0253】
糖鎖付加体として、実施例1、18、27、28、57および58の化合物を用いた際の、アゴニスト活性評価試験の実験結果(IC
50(nM))を表3Dおよび
図1Eに示す。対照化合物のSRIF14およびSRIF28のIC
50はSSTR1に対し0.83〜0.89nM、また、SSTR2、SSTR3、SSTR4、SSTR5に対してそれぞれ0.0076〜0.073nM、0.029〜0.21nM、0.015〜0.074nM、0.066〜0.12nMであった。糖鎖付加体である化合物の、SSTR1、SSTR2、SSTR3、SSTR4、SSTR5に対するアゴニスト活性のIC
50は1.0〜2.4nM、0.041〜0.10nM、0.12〜0.30nM、0.039〜0.085nM、0.043〜0.081nMであり、SSTR1〜SSTR5の全ての受容体に対して優れたアゴニスト活性を示した。実施例67−1および実施例67−2に示した結果から、これらの化合物は受容体結合能をもっていることが明らかであり、これらの化合物は受容体に結合することによってアゴニスト活性を発揮することが明らかとなった。
【表12】
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【0254】
実施例67−4 受容体発現細胞を用いたアゴニスト活性評価−2
糖鎖付加体として、表3Eに記載の各化合物を用いて、実施例67−3と同様にしてアゴニスト活性評価試験を実施した。実験結果を表3Eに示す。なお、表3E中、「−(ハイフン)」が記載されている欄は、未実施であることを示す。
【表13】
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【0255】
表3Eにおいて、糖鎖付加体である化合物の、SSTR1、SSTR2、SSTR3、SSTR4、SSTR5に対するアゴニスト活性のIC
50はそれぞれ1.2〜22nM、0.019〜1.4nM、0.039〜3.8nM、0.033〜1.6nM、0.031〜1.1nMであり、SSTR1〜SSTR5の受容体に対してアゴニスト活性を示した。実施例67−1及び実施例67−2に示した結果から、これらの化合物は受容体結合親和性を有しており、これらの化合物は受容体に結合することによってアゴニスト活性を発揮することが明らかとなった。
【0256】
実施例68 ラットを用いた薬物動態試験1
本発明の糖鎖付加ポリペプチド(糖鎖付加体)が、非糖鎖付加のSRIF28と比較して薬物血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)、血中半減期(t
1/2)、平均滞留時間(MRT)、およびバイオアベイラビリティなど薬物動態プロファイルが改善されていることを確認するために、ラットを用いて静脈内投与および皮下投与による薬物動態解析を行った。
【0257】
68−1 投与液および試薬の調製
糖鎖付加体(S1C(disialo)−SRIF28)を日本薬局方生理食塩液(大塚製薬工場社製)に溶解して40μM溶液を調製し、投与液とした。PBS溶液は、Phosphate buffered saline(シグマ社製 P4417)1錠を超純水200mLに溶解し、調製した。EDTA−PBSは、EDTA−2Na(和光純薬工業社製)を2mg/mLとなるようにPBSで溶解し、調製した。アプロチニン含有EDTA−PBS液は、アプロチニン(和光純薬工業社製 010-11834)を0.142mg/mLとなるようにEDTA−PBSで溶解して調製し、採取血液に対する抗凝固剤として用いた。
【0258】
68−2 血漿サンプルの調製
雄性のSD系ラット(Crl:CD(SD)、日本チャールスリバー株式会社、6週齢、n=3、体重161.3〜239.3g)の尾静脈もしくは背部皮下に、上記68−1で調製した投与液を、非絶食下1mL/kgの用量で注射筒および26G注射針(いずれもテルモ社製)を用いて投与した(S1C(disialo)−SRIF28として40nmol/kg)。投与前、投与後2分、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間後に、ラット頚部静脈より採血を行った。採取した血液0.2mLを、上記68−1で調製したアプロチニン含有EDTA−PBS液0.2mLと速やかに混和し、氷上で30分以上放置した。遠心分離(1,870xg、4℃、10分)後、上清を250μL採取し、血漿サンプルとした。ブランク血漿として、無処置のラット頚部静脈より採取した血液を同様に処理して得た血漿を用いた。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。なお、チップおよびチューブはビーエム機器社の低吸着性のものを使用した。
【0259】
68−3 血漿中濃度測定
上記68−2で得られた血漿サンプルにおけるS1C(disialo)−SRIF28の血漿中濃度測定を、フェニックスファーマシューティカルズ社ソマトスタチンEIAキット(Phoenix Pharmaceuticals Inc、EK-060-03)を用いて行った。血漿サンプルを、EIAキット付属アッセイバッファを用いて5倍、20倍、100倍、400倍、1600倍に希釈し、測定サンプルとした。検量線を作成するための標準液は、以下のように調製した。まず、上記68−2で得られたブランク血漿を、EIAキット付属アッセイバッファを用いて血漿サンプルと同様に希釈し、標準液調製用のアッセイバッファとした(例えば、血漿サンプルを100倍希釈する場合は、EIAキット付属アッセイバッファに1/100量のブランク血漿を添加して標準液調製用アッセイバッファとした)。S1C(disialo)−SRIF28をPBS溶液で希釈して100μM溶液を調製し、100μM溶液から2μM溶液を調製した。得られた2μM S1C(disialo)−SRIF28溶液を、標準液調製用アッセイバッファを用いて段階希釈し、20nM、10nM、2nM、0.4nM、0.08nM、0.04nMの標準液を調製した。得られた結果に、希釈率を掛け、さらに抗凝固剤処理としてのアプロチニン含有EDTA−PBS液での希釈率2を掛けることにより、血漿中濃度を算出した。対照として、糖鎖付加体の代わりに非糖鎖付加SRIF28を用いて同様の操作を行った。得られた血漿中のS1C(disialo)−SRIF28濃度推移を
図2に示す。
【0260】
68−4 薬物速度論的パラメータの算出
得られたS1C(disialo)−SRIF28濃度推移からモーメント解析手法を用い、AUCを台形法により算出した。また、外挿法により静脈内投与時の予測初期濃度(C
0)、さらにt
1/2、MRT、および皮下投与時の実測値より最高血漿中濃度(C
max)を求めた。得られた薬物速度論的パラメータを表4に示す。
【表14】
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図2および表4に示した結果から判明するように、S1C(disialo)−SRIF28は、非糖鎖付加SRIF28と比較してt
1/2およびMRTが著しく延長し、また、AUCおよびC
maxの増加が認められた。これらのことは、糖鎖付加体とすることにより血液中の分解活性に対し抵抗性が増したためと考えられる。糖鎖付加体は、非糖鎖付加体に比べ生体中での安定性が向上することが明らかである。また、AUCおよびC
maxが増加したことの要因は、本発明に係るバイオアベイラビリティの向上のほかに、これら生体中での安定性向上も一因と考えられる。
【0261】
実施例69 ラットを用いた薬物動態試験2
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、N5C(disialo)−SRIF28およびS1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。対照として、糖鎖付加体の代わりに非糖鎖付加SRIF28を用いた。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図3に示す。
【0262】
実施例70 ラットを用いた薬物動態試験3
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)・R13C(disialo)−SRIF28およびS1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。対照として、糖鎖付加体の代わりに非糖鎖付加SRIF28を用いた。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図4に示す。
【0263】
実施例71 ラットを用いた薬物動態試験4
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、N5C(disialo)−SRIF28、A9C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28、N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28、およびS1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図5に示す。
【0264】
実施例72 ラットを用いた薬物動態試験5
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、S1−2C(disialo)−SRIF28、およびS1−3C(disialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図6に示す。
【0265】
実施例69〜72の薬物動態試験において得られた血漿中の化合物濃度推移から、実施例68と同様に各化合物の薬物速度論的パラメータを算出した。また、得られたパラメータを用いて、バイオアベイラビリティを以下の数式により算出した。結果を表5Aに示す。
BA(%)=(AUC
(sc)/Dose
(sc)) / (AUC
(iv)/Dose
(iv))
AUC
(sc):皮下投与時のAUC(min・nM)
Dose
(sc):皮下投与における投与量(nmol/kg)
AUC
(iv):静脈内投与時のAUC(min・nM)
Dose
(iv):静脈内投与における投与量(nmol/kg)
【表15】
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【0266】
表5Aに示した結果から判明するように、本発明の糖鎖付加体は、修飾糖鎖の本数が増えるにつれてそのバイオアベイラビリティが増加した。すなわち、非糖鎖付加体で5%であったものが、糖鎖を1本付加した糖鎖付加ポリペプチドでは37〜60%、平均で50%に、2本の糖鎖を間隔ありで付加したものでは77〜85%、平均で81%に、3本の糖鎖を間隔ありで付加したものでは91%に増加していることが判明した。また、糖鎖を付加した間隔が密なものを比較すると、1本付加したものでは37%、2本付加したものでは55%、3本付加したものでは69%に増加していることが判明した(実施例1、20、および24の化合物)。これらの結果により、本発明に係る糖鎖修飾によってバイオアベイラビリティが向上することが証明された。
皮下投与時のバイオアベイラビリティが増加する要因には、様々な薬物動態学的な変動因子が存在する。そのうちの一因として、化合物の血中安定性、あるいは血中への(投与部位からの)移行性が考えられる。表5Aに示したように、皮下投与時の血中移行性を推察するための指標となる、皮下投与時のAUCは、修飾糖鎖本数の増加に伴い増大する(1本:2209min・nM、2本(間隔あり):3400min・nM、3本(間隔あり):4015min・nM)ことが認められ、血中移行性の向上がバイオアベイラビリティの増加に寄与していることが推察された。
また、修飾糖鎖の本数が増えるにつれ、静脈内および皮下投与時のt
1/2およびMRTの延長作用(たとえば、静脈内投与時のt
1/2、1本:19.0min、2本(間隔あり):27.2min、3本(間隔あり):39.8min)が認められ、血液中での安定性が向上していることが推察された。一方で、静脈内投与時のAUCは、修飾糖鎖本数に比した増大とはなっておらず(1本:4453min・nM、2本(間隔あり):4198min・nM、3本(間隔あり):4402min・nM)、化合物の修飾糖鎖本数増加による血中安定性増加のみがバイオアベイラビリティの増加に貢献しているものではないと考えられる。
皮下投与時のC
maxは、非糖鎖付加体に比べ修飾糖鎖本数が2本までは増加した(0本:4.47nM、1本:30.5nM、2本(間隔あり):35.6nM)が、3本(間隔あり)(24.8nM)では逆に減少する結果となった。投与部位(本実施例では皮下投与)からの血中移行を考えた場合、AUCが増加する要因として、速やかな血液中への移行、あるいは緩やかでも持続的な血液中への移行の二つの様式が推測される。前者は、投与部位での分解を避けるメリットがあるが、安定性に問題がなければ、後者の様式がより血中移行性が高いと推察される。バイオアベイラビリティの高い糖鎖を3本修飾したものにおいてC
maxが減少していたことは、急激ではなく緩やかな、かつ持続的な血中移行性を示した結果であると考えられる。これらのことから、本発明に関わる修飾糖鎖本数の増加は、急激な血漿中濃度の上昇がなく、持続的な血中移行性(一般的には吸収遅延効果とも言ってよい)を示すと考えられる。
【0267】
表5Aに示した結果から判明するように、修飾位置として、間隔をとった場合と密にした場合では、t
1/2およびMRTに著明な差はなかった(たとえば、静脈内投与時のt
1/2、2本(密):28.8min、2本(間隔あり):27.2min、3本(密):38.5min、3本(間隔あり):39.8min)。
また、AUCに関しては、静脈内投与時には糖鎖修飾が密である方が、AUCが増大した。すなわち、2本糖鎖の場合、間隔をとった化合物21、化合物22、化合物23の4029〜4465min・nMに比べ、密にした化合物20は7306min・nMであり、3本糖鎖の場合、間隔をとった化合物25の4402min・nMに比べ、密にした化合物24は5660min・nMである。
一方で、バイオアベイラビリティは、糖鎖修飾位置に間隔をとった方が密である方に比べ、向上した。すなわち、2本糖鎖の場合、密にした化合物20の55%に比べ、間隔をとった化合物21、化合物22、化合物23は77〜85%(平均値81%)であり、3本糖鎖の場合、密にした化合物24の69%に比べ、間隔をとった化合物25は91%である。これらのことから、本発明に関わる糖鎖修飾する位置としては、密に複数修飾するよりも、間隔をとり複数本修飾する方が、バイオアベイラビリティの向上に寄与するものと考えられる。
【0268】
実施例73 ラットを用いた薬物動態試験7
糖鎖付加体として、S1C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo(amide))−SRIF28、S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図7に示す。
【0269】
実施例74 ラットを用いた薬物動態試験8
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo(Bn))−SRIF28、S1C(disialo)−D−Trp22−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図8に示す。
【0270】
実施例75 ラットを用いた薬物動態試験9
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、R13C(disialo)−SRIF28、K14C(disialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図9に示す。
【0271】
実施例76 ラットを用いた薬物動態試験10
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、E12C(disialo)−SRIF28、N19C(disialo)−SRIF28、29C(disialo)−SRIF28、S1C(monosialo)−SRIF28、S1C(asialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図10に示す。
【0272】
実施例77 ラットを用いた薬物動態試験11
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、K14C(disialo)−SRIF28、C(disialo)−SRIF14を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図11に示す。
【0273】
実施例78 ラットを用いた薬物動態試験12
糖鎖付加体としてC(disialo)−SRIF14、C(disialo)−C12linker−SRIF14、C(disialo)−PEGlinker−SRIF14を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図12に示す。
【0274】
実施例79 ラットを用いた薬物動態試験13
糖鎖付加体としてSRIF28、S1C(disialo)−SRIF28、S1C(asialo)−SRIF28、S1C(diGlcNAc)−SRIF28、S1C(diMan)−SRIF28、S1C(GlcNAc)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図13に示す。
【0275】
実施例80 ラットを用いた薬物動態試験14
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、S1C(tetrasialo)−SRIF28、S1C(trisialo)−SRIF28、S1C(Asn(disialo))−SRIF28、S1−2C(disialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図14に示す。
【0276】
実施例81 ラットを用いた薬物動態試験15
糖鎖付加体としてSRIF28、S1C(disialo)−SRIF28、S1−2C(disialo)−SRIF28、S1−3C(disialo)−SRIF28、S1−4C(disialo)−SRIF28、を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図15に示す。
【0277】
実施例82 ラットを用いた薬物動態試験16
糖鎖付加体としてSRIF14、C(disialo)−SRIF14、C(disialo)−K−SRIF14、C(disialo)−R−K−SRIF14、2C(disialo)−R−K−SRIF14、3C(disialo)−R−K−SRIF14、を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図16に示す。
【0278】
実施例83 ラットを用いた薬物動態試験17
糖鎖付加体としてS1C(asialo)−SRIF28、S1−2C(asialo)−SRIF28、S1−3C(asialo)−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図17に示す。
【0279】
実施例84 ラットを用いた薬物動態試験18
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、S1−2C(disialo)−SRIF28、S1−2C(asialo)−SRIF28、C(disialo(aminoethylamide)・S1C(disialo)−SRIF28、S1−2C(disialo(Bn))−SRIF28、S1−2C(disialo(amide))−SRIF28を用いたこと以外は実施例68と同様にして、薬物動態試験を実施した。得られた血漿中の化合物濃度推移を
図18に示す。
【0280】
実施例73〜84の薬物動態試験7〜18において得られた血漿中の化合物濃度推移から、実施例68と同様にして、各化合物の薬物速度論的パラメータを算出した。得られた薬物速度論的パラメータを表5B〜表5Fに示す。
【表16】
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表5Bに示した結果から判明するように、S1C(disialo)−SRIF28、E12C(disialo)−SRIF28、R13C(disialo)−SRIF28、K14C(disialo)−SRIF28、N19C(disialo)−SRIF28、29C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)−D−Trp22−SRIF28は、静脈内投与において非糖鎖付加体のSRIF28に比較して、t
1/2が13〜18倍延長し、AUCは8〜23倍増加した。また、非糖鎖付加体のSRIF14に比較して、C(disialo)−SRIF14、C(disialo)−K−SRIF14、C(disialo)−R−K−SRIF14は、静脈内投与においてt
1/2が33〜38倍延長し、AUCは44〜55倍増加した。また、C(disialo)−C12linker−SRIF14、C(disialo)−PEGlinker−SRIF14は、非糖鎖付加体のSRIF14に比較して、t
1/2が22〜33倍延長し、AUCは14〜30倍増加した。すなわち、実施例68の場合と同様に、糖鎖修飾を行うことで血液中での安定性が向上した結果と考えられた。
【表17】
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【0281】
表5Cに示した結果から判明するように、修飾する糖鎖の大きさをGlcNAc(単糖)、diMan(5糖)、diGlcNAc(7糖)、asialo(9糖)、monosialo(10糖)、disialo(11糖)、trisialo(14糖)、tetrasialo(17糖)へと変更していった場合、修飾する糖鎖の大きさ依存的に皮下投与時のt
1/2、AUC、バイオアベイラビィティがそれぞれ2〜17倍、3〜120倍、2〜11倍増加した。このことから、修飾する糖鎖の大きさを変更することによって、血中安定性を向上させるだけでなく、その増加率に変化を持たせられることが明らかとなった。また、これらの糖鎖のうちジマンノース糖鎖やアシアロ糖鎖などは、特定のタンパク質と相互作用することが知られているため、特定のタンパク質あるいは特定のタンパク質を有する臓器や細胞へのターゲッティングにも利用可能と考えられる。また、非還元末端のシアル酸の修飾として、たとえばカルボキシ基へのaminoethylamide、amide、Bnなどの導入により電荷を変更させた糖鎖を付加した、S1C(disialo(amide))−SRIF28、S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28、S1C(disialo(Bn))−SRIF28は静脈内投与において非糖鎖付加体と比較して、t
1/2が11〜14倍延長し、AUCは7〜12倍増加し、血中安定性が向上した。これらのことは、シアル酸のカルボキシ基が血中滞留性に大きな影響を与え、カルボキシ基の負電荷の消失(disialo(Bn)、disialo(amide))、あるいは正電荷への変換(disialo(aminoethylamide))により、血中クリアランスや体内分布を制御できる可能性(利用法)を示している。
【表18】
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【0282】
表5Dに示した結果から判明するように、SRIF14にdisialo糖鎖を1本修飾したC(disialo)−R−K−SRIF14、2本修飾した2C(disialo)−R−K−SRIF14、3本修飾した3C(disialo)−R−K−SRIF14は静脈内投与において非糖鎖付加体に比較して、t
1/2がそれぞれ38、63、71倍延長し、またAUCはそれぞれ55、42、36倍増加した。同様に、SRIF28にdisialo糖鎖を1本修飾したS1C(disialo)−SRIF28、2本修飾したS1−2C(disialo)−SRIF28、3本修飾したS1−3C(disialo)−SRIF28、4本修飾したS1−4C(disialo)−SRIF28は静脈内投与において非糖鎖付加体に比較して、t
1/2がそれぞれ13、21、30、48倍延長し、またAUCはそれぞれ11、12、12、15倍増加した。SRIF14およびSRIF28どちらの場合においても、修飾するdisialo糖鎖の本数に従い、血中安定性が向上することが明らかとなった。
【表19】
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【0283】
表5Eに示した結果から判明するように、SRIF28にasialo糖鎖を1本修飾したS1C(asialo)−SRIF28、2本修飾したS1−2C(asialo)−SRIF28、3本修飾したS1−3C(asialo)−SRIF28は静脈内投与において非糖鎖付加体に比較して、t
1/2がそれぞれ10、6、5倍延長し、またAUCはそれぞれ10、6、6倍増加した。修飾する糖鎖がasialo糖鎖の場合においても、血中安定性が向上することが明らかとなった。
【表20】
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【0284】
表5Fに示した結果から判明するように、S1−2C(disialo)−SRIF28、S1−2C(asialo)−SRIF28、C(disialo(aminoethylamide))・S1C(disialo)−SRIF28、S1−2C(disialo(Bn))−SRIF28、S1−2C(disialo(amide))−SRIF28は静脈内投与において、非糖鎖付加体に比較して、t
1/2がそれぞれ6〜21倍延長し、AUCはそれぞれ6〜12倍増加した。すなわち、SRIF28に糖鎖を修飾することによって、血中安定性が向上した。また、シアル酸糖鎖本数の増加に従い、静脈内投与および皮下投与ともt
1/2、AUC,Cmax,BAが増加した。一方で、シアル酸のカルボキシ基の負電荷を消失した場合(2C(disialo(Bn))、2C(disialo(amide)))、あるいは正電荷を隣接に追加した場合(C(disialo(aminoethylamide))・S1C(disialo))には皮下投与時のt
1/2が延長したにも関わらず、AUCやCmaxは増加しなかった.シアル酸のカルボキシ基が血中滞留性あるいは血中移行に大きな影響を与えることから、糖鎖末端の電荷への変換により、血中クリアランスや体内分布を制御できる可能性(利用法)を示している。
【0285】
実施例85 ラット血漿を用いた血漿中安定性試験
85−1 処置液、試薬およびラット血漿の調製
糖鎖付加体および非糖鎖付加SRIF28をPBS溶液に溶解して2μM溶液を調製し、処置液とした。10%TFAは、トリフルオロ酢酸(和光純薬工業社製 208-02746)を10v/v%となるように水で溶解し、調製した。ラット血漿は、Wistar系ラット(Crlj:Wistar、雄性、日本チャールスリバー株式会社、7週齢)からヘパリン加血漿(ヘパリン:日本薬局方ヘパリンナトリウム注射液(持田製薬))として調製した。
【0286】
85−2 血漿添加サンプルの調製
ラット血漿0.27mL(n=3)に対し、上記85−1で調製した糖鎖付加体処置液0.03mLを速やかに混和して血漿添加サンプルとし、37℃恒温槽で保温した。混和後、0分と、1〜24時間までに経時的に血漿添加サンプル0.04mLを採取し、10%TFA0.01mLと速やかに混和した。遠心分離(20,000xg、4℃、10分)後、上清を0.04mL採取し、血漿中安定性測定サンプルとした。サンプリング時間は0時間、1時間、2時間、4時間、あるいは0時間、4時間、8時間、24時間とした。ブランク血漿として、処置液としてPBS溶液を用いたこと以外は同様に処理して得た血漿を用いた。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。実験回ごとに、陽性対照として非糖鎖付加SRIF28を用いた。
【0287】
85−3 サンプル中濃度測定および血漿中安定性インデックスの算出
実施例68−3の血漿中濃度測定と同様の方法で、上記85−2で得られた血漿中安定性測定サンプル中に残存する糖鎖付加体の濃度を測定した。混和後0分の糖鎖付加体濃度を100%とし、時間経過後の残存率を百分率(%)で表し、以下の指数式(1)の消失速度定数から算出式(2)を用いて、半減期を算出した。その後、実験回ごとの非糖鎖付加SRIF28の半減期を1として、糖鎖付加体の血漿中安定性インデックス(PS index)を算出した。結果を表6および
図19に示す。また、血漿中安定性インデックスが20以上のものについては、>20として表記した。なお、
図19では、血漿中安定性インデックスが20を超えるものであっても、20を上限として表記している。
残存率(%)=100・e
(k・t) ・・・(1)
e:自然対数の底
k:消失速度定数
t:時間(hour)
半減期(hour)=0.693/k ・・・(2)
【表21】
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【0288】
図19に示した結果から判明するように、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、SRIF28に比べ、血漿中安定性が増加した。すなわち、1位、5位、9位、12位に1本糖鎖を付加したもの(実施例1、2、3、4の化合物)では、SRIF28の4.5倍〜6.7倍であり、13位に糖鎖を付加したもので15.9倍(実施例5の化合物)、14位に糖鎖を付加したもので19.1倍(実施例6の化合物)、30位に糖鎖を付加したもので16.8倍(実施例14の化合物)であった。また、19位、C末端側にさらに糖鎖付加アミノ酸を1つ付加したものでは20倍以上(実施例10、13の化合物)であった。糖鎖を付加する位置は、1位からC末側へ向かうにつれて、血漿中安定性が増すことが示された。
【0289】
実施例86 ラットを用いたGH産生抑制試験
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、実施例67で示すように、SSTRの各受容体に対する親和性を有していた。一方、各SSTRに対する親和性が減衰したものも見られたが、このような場合においても実施例68〜85で示した血中半減期の延長やバイオアベイラビリティの増大などにより、生体内で受容体に対し薬理学的に有効に作用を示すことを証明するために、ラットを用いたインビボ試験として、成長ホルモン(GH)産生に対する本発明の糖鎖付加ポリペプチドの投与効果を評価する試験を実施した。血液中へのGH産生量の増加は、GHのパラクライン的作用を介し、各種臓器に対し細胞の増殖や分化系、生合成系の活性化あるいは抑制を引き起こし、生体反応に影響を及ぼすと考えられる。視床下部から放出されるソマトスタチンは下垂体前葉からの血中へのGH分泌を抑制する。本実験系は、血中GH産生量を指標に、糖鎖付加体のSSTRに対する薬理作用、および、糖鎖付加体の投与後の血中残存を評価できる試験系として実施した。
【0290】
86−1 投与液および試薬の調製
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、N19C(disialo)−SRIF28および29C(disialo)−SRIF28を用い、日本薬局方生理食塩液(大塚製薬工場社製)に溶解して1〜100μM溶液を調製し、投与液とした。また、GH遊離促進剤として、GRF(GH放出ホルモン、Growth hormone releasing factor)を使用した。GRFは、GRF注射液(注射用GRF住友50、Lot. 2006C、大日本住友製薬社製)を注射用水(Lot. 09H18C、扶桑薬品工業社製)1mLで溶解後、2μg/mLとなるように生理食塩液で25倍希釈し、調製した。採血の際に、抗凝固剤として用いるヘパリンは、日本薬局方ヘパリンナトリウム注射液(Lot. B084、持田製薬社製)を原液のまま、使用した。
【0291】
86−2 血漿サンプルの調製
雄性のSD系ラット(Crl:CD(SD)、日本チャールスリバー株式会社、6週齢、n=3、体重145.2〜163.9g)の背部皮下に、上記86−1で調製した投与液を、非絶食下1mL/kgの用量で注射筒および26G注射針(いずれもテルモ社製)を用いて投与した。対照群として、糖鎖付加ポリペプチドを含まない生理食塩液を、同様に投与した(ベヒクル群)。その後、すなわち糖鎖付加体投与後5〜6分の間に、全身麻酔剤としてペントバルビツール酸ナトリウム(ソムノペンチル、Lot.0608101、共立製薬社製)を50mg/kgとなるように、注射筒および注射針を用い腹腔内に投与した。糖鎖付加体投与後1時間に、すなわち麻酔下で50分以上経過した状態で、GH遊離促進剤としてGRFを尾静脈に1mL/kgの用量で注射筒および注射針を用いて投与した。GRF投与後5分に、ラット頚部静脈よりヘパリンを入れた注射筒および注射針を用い、採血を行った。採取した血液0.4mLを氷上で20分以上放置した後、遠心分離(1,870xg、4℃、10分)し、上清を100μL採取し、血漿サンプルとした。ブランク血漿として、無処置のラット頚部静脈より採取した血液を同様に処理して得た血漿を用いた。血漿サンプルは測定に用いるまで冷凍保存した。
【0292】
86−3 血漿中GH濃度の測定
上記86−2で得られた血漿サンプルにおけるGH濃度測定を、SPI−Bio社ラットGrowthHormoneEIAキット(SPI-Bio、A05104)を用いて行った。血漿サンプルを、EIAキット付属アッセイバッファを用いて20倍、100倍、500倍に希釈し、測定サンプルとした。検量線を作成するための標準液は、添付の説明書に従い蒸留水で40ng/mL溶液を調製した後、アッセイバッファを用いて段階希釈し、20ng/mL、10ng/mL、5ng/mL、2.5ng/mL、1.25ng/mL、0.63ng/mL、0.31ng/mLを調製した。得られた結果に、希釈率を掛けることにより、GH濃度を算出した。得られた血漿サンプル中GH濃度を表7に示す。
【表22】
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【0293】
表7に示した結果から判明するように、本発明の糖鎖付加体は、ラットにおけるGH産生を抑制した。実施例1、実施例10、実施例13の糖鎖付加体は、実施例67−1の手法により測定した場合、各受容体に対するKi値と糖鎖を有さないSRIF14のKi値との比が100:1〜1.3:1の範囲内と示されている。また、実施例1の糖鎖付加体は、実施例68〜72の手法により測定した場合、血中半減期が10倍以上増大していることが示されている。本実施例からは、糖鎖付加体が生体内でも薬理学的な作用を有効に発揮することが示された。
また、本発明の糖鎖付加体は、GRF投与の1時間前に投与した場合であっても、GH産生抑制作用を有していた。
また、実施例1と、実施例10および実施例13の糖鎖付加体では、ラットGH産生能に対する有効な投与量が10倍程度異なることが示された。このことは、実施例67−1の手法により測定した場合、それらの受容体親和性がKi値で10倍程度の差であることと類似する。糖鎖付加体の親和性が多少減衰した場合においても、薬理学的な活性を有することが示された。
【0294】
実施例87 ラットを用いたGH産生抑制試験2
実施例86−1〜86−3と同様にして、次に示す糖鎖付加体である化合物のラットGH産生抑制試験を実施した。糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、N5C(disialo)−SRIF28、A9C(disialo)−SRIF28、E12C(disialo)−SRIF28、R13C(disialo)−SRIF28、K14C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)−D−Trp22−SRIF28、S1C(disialo(Bn))−SRIF28、S1C(disialo(amide))−SRIF28、S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28、S1C(monosialo)−SRIF28、S1C(asialo)−SRIF28、C(disialo)−R−K−SRIF14、S1−2C(asialo)−SRIF28、S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28およびS1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28を用いた。得られた血漿サンプル中GH濃度を表8に示す。
【表23】
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【0295】
表8に示した結果から判明するように、本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、ラットにおけるGH産生を抑制した。S1C(disialo)−SRIF28は本試験系において、1nmol/kgからGH産生を抑制し、3〜10nmol/kgで82〜99%のGH産生抑制効果を示した。これは実施例67−1及び67−2および実施例68〜85で示したように、SSTR1〜SSTR5に対して親和性を持ち、血中滞留性が向上したためであると考えられる。
実施例67−1及び67−2において、S1C(disialo)−SRIF28と同等の親和性を示すN5C(disialo)−SRIF28、A9C(disialo)−SRIF28、E12C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)−D−Trp−SRIF28、S1C(disialo(Bn))−SRIF28およびC(disialo)−R−K−SRIF14は、10nmol/kgで95〜99%のGH産生抑制効果を示し、S1C(disialo)−SRIF28と同等の効果を示した。
【0296】
実施例68〜85の手法に示す結果から、S1C(monosialo)−SRIF28、S1C(asialo)−SRIF28、S1−2C(asialo)−SRIF28およびS1C(disialo(amide))−SRIF28は、皮下投与時のAUCがS1C(disialo)−SRIF28の3分の1から2分の1であり、またS1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28は7分の1であった。一方、実施例67−1及び67−2に示す手法によって、これらはいずれもS1C(disialo)−SRIF28よりも高い親和性を示した。そのため本実験系において、S1C(monosialo)−SRIF28、S1C(asialo)−SRIF28、S1−2C(asialo)−SRIF28、S1C(disialo(aminoethylamide))−SRIF28およびS1C(disialo(amide))−SRIF28は10nmol/kgで70〜99%のGH産生を抑制し、S1C(disialo)−SRIF28と同等の効果を示したと考えられる。
【0297】
実施例67−1及び67−2に示す手法によって、R13C(disialo)−SRIF28、K14C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28およびS1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28は、S1C(disialo)−SRIF28よりも低い親和性を示した。一方、実施例68〜85の手法に示す結果から、皮下投与時のAUCが、S1C(disialo)−SRIF28の1.8倍から2.8倍と向上した化合物である。本実験系において、R13C(disialo)−SRIF28、K14C(disialo)−SRIF28、S1C(disialo)・N5C(disialo)−SRIF28およびS1C(disialo)・N5C(disialo)・A9C(disialo)−SRIF28は、10もしくは100nmol/kg投与によってGH産生抑制活性を示した。これらの結果は、受容体親和性が低下した場合においても血中安定性が増大することで、ソマトスタチンの活性を補償または増大させることができたことを示す。
【0298】
実施例88 消化管閉塞モデルでの薬効試験
本発明の糖鎖付加ポリペプチドは、実施例86および実施例87で示すように、ラット生体内においてもアゴニストとして有効に作用することを証明した。次に、疾患モデルにおいても有効性を示すことを証明するために、ラット消化管閉塞モデルでの評価を実施した。イレウス等の消化管閉塞では、消化管の組織障害、また水や電解質などの吸収能低下により、腹部膨満感・嘔吐・腹痛などといった消化器症状を示す。その病態は、消化管内容物の通過障害や、消化液や生理活性物質の消化管内への放出によって引き起こされることが知られている。ソマトスタチンは、消化器系に発現するSSTRを介して各種消化液の分泌抑制、あるいは水・電解質の吸収促進により消化管内容物を減少させるといった作用を示し、症状改善に有効とされる。本実験系は、腸管閉塞後の空腸における腸液重量の変化を指標として、腸液の吸収促進あるいは分泌抑制作用を評価する試験系として実施した。また、組織障害時の指標として逸脱酵素であるアミラーゼ(膵臓)、乳酸脱水素酵素(LDH、肝臓)およびクレアチンホスホキナーゼ(CPK、骨格筋、心筋等)の血液パラメータを測定した。
【0299】
実施例88−1 消化管閉塞モデルの作成
本試験は三菱化学メディエンス社に委託し、実施した。雄性のSD系ラット(Crl:CD(SD)日本チャールスリバー株式会社、8週齢、n=5以上、体重251.1〜278.1g)を12時間以上絶食させた。2%イソフルラン及び笑気:酸素=7:3吸入にて麻酔導入し、手術中はこれを維持した。腹部を正中切開し、十二指腸提筋から約10cmのところの空腸を縫合糸にて結紮した。その後、切開部を速やかに縫合し、化合物投与まで絶食とした。偽処置群は、空腸の結紮を行わず、腹部を正中切開した後に切開部を縫合する処置を行った。
【0300】
実施例88−2 化合物の調製および投与
糖鎖付加体としてS1C(disialo)−SRIF28、C(disialo)−R−K−SRIF14、S1−2C(asialo)−SRIF28を用い、日本薬局方生理食塩液(大塚製薬工場社製)に溶解して40μM溶液を調製し、投与液とした。消化管閉塞手術から18時間後、1mL/kgの用量で注射筒および25G注射針(いずれもテルモ社製)を用いて頸背部に皮下投与した。Vehicle群として、糖鎖付加ポリペプチドを含まない生理食塩液を、同様に投与した。また、対照としてオクトレオチドを投与した。
【0301】
実施例88−3 腸液重量の測定
化合物投与1時間後に、吸入麻酔下にて腹部を正中切開し、腹部大静脈から血液を1.5mL採取した。そして、十二指腸提筋側の結紮空腸を摘出した。空腸表面の液体および血液をペーパータオルで除去し、空腸に付いた神経・血管・脂肪を切除した後に、長さ6cmとなるように切り取り、湿重量を測定した。その後、36度で24時間乾燥させ、乾重量を測定した。腸液重量(mg)は、湿重量‐乾重量で算出した。得られた空腸の腸液重量を表9に示す。
【表24】
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【0302】
表9から明らかなように、vehicleは、偽処置と比較して腸液重量が有意に増加し、結紮による消化管閉塞に伴い腸液の分泌亢進が生じていることが認められた。ソマトスタチンやオクトレオチドは、このような消化管閉塞モデルにおいて、腸液の腸管内への分泌抑制と腸組織側への腸液吸収促進作用を有することが示されており(Scand J Gastroenterol. 1995 May;30(5):464-9.)、本実験系においてもオクトレオチドはその作用が確認された。S1C(disialo)−SRIF28、C(disialo)−R−K−SRIF14、S1−2C(asialo)−SRIF28ではいずれもvehicleと比較して、腸液重量の増加が認められ、本発明における糖鎖付加体においても、腸液の分泌抑制、水・電解質の吸収促進といった有効性を示すことが明らかとなった。また、S1−2C(asialo)−SRIF28はS1C(disialo)−SRIF28と比較して、実施例83および84において皮下投与時のAUCが2分の1となっていたが、実施例67−1においてS1C(disialo)−SRIF28よりもSSTR1〜SSTR5に対する親和性が1.7〜2.9倍ほど高いことが明らかとなっている。このことは、血漿中濃度が低い場合であっても受容体親和性の向上により本モデルにおける薬効が類似していることの理由と考えられる。また同様に、C(disialo)−R−K−SRIF14はS1C(disialo)−SRIF28の皮下投与時のAUCを比較すると少し低いが、受容体親和性が0.7〜2.4倍ほど高いため、薬効が類似していることの理由と考えられる。
【0303】
実施例88−4 血液パラメータの測定
実施例88−3で採取した血液を用いて、アミラーゼ濃度(IU/L)、LDH濃度(IU/L)およびCPK濃度(IU/L)を自動分析装置7170(日立製作所)を用いて測定した。測定方法はそれぞれ、BG5B法、UV−rate法およびJSCC法を用いた。得られた結果を表10に示す。
【表25】
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【0304】
表10から明らかなように、vehicleは偽処置と比較してアミラーゼ活性、LDH活性が増加しており、消化管閉塞に伴い消化器系の組織障害が生じていることが推察された。S1C(disialo)−SRIF28およびC(disialo)−R−K−SRIF14では、vehicleと比較し、アミラーゼ活性は低値であった。一方、オクトレオチドでは、アミラーゼ活性はvehicleと同等であった。実施例67−1及び67−2から明らかなように、S1C(disialo)−SRIF28、C(disialo)−R−K−SRIF14、およびS1−2C(sialo)−SRIF28はSSTR1〜SSTR5までの全ての受容体に結合親和性を有するのに対し、オクトレオチドはSSTR2、SSTR3、SSTR5に対し特異的に親和性を有する化合物である。ラット膵臓においては、SSTR1〜SSTR5のすべての受容体が発現しているとの報告があることから(J Histochem Cytochem. 2004 Mar;52(3):391-400.)、糖鎖付加体はオクトレオチドとは異なった受容体に作用することによって、組織障害を軽減した可能性が考えられた。また、オクトレオチド、C(disialo)−R−K−SRIF14では、vehicleと比較し、LDH活性は低値であった。そのほか、各パラメータに対し、糖鎖付加体の投与によって悪化するものはなかった。