(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配線・配管材を敷設面上に配設すべく前記配線・配管材を上部にて保持可能な台座と、前記台座と前記敷設面との間に介在して前記台座を嵩上げするスペーサと、前記台座を前記敷設面に固定するための、連結部および固定部を有する固定具とを、備え、
前記スペーサを介在させることなく前記台座を前記敷設面に配置した第1配置状態で、前記連結部が、前記台座に設けられる第1空間に外側から差し込まれて、前記台座に連結されるとともに、前記固定部が、前記台座の外方に張り出して前記敷設面に固定され、かつ、前記スペーサを介在させて前記台座を前記敷設面に配置した第2配置状態で、前記連結部が、前記スペーサまたは前記台座に設けられる第2空間に外側から差し込まれて、前記台座および/または前記スペーサに連結されるとともに、前記固定部が、前記台座および前記スペーサの外方に張り出して前記敷設面に固定されるよう、前記第1空間および前記第2空間が設けられ、また、前記固定具が形成される、配線・配管材用台座装置。
前記第1空間を形成する内壁面または前記第2空間を形成する内壁面には、差し込まれた前記連結部と係合してその連結部を位置決めする位置決め部が設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材用台座装置。
前記第1空間を形成する下方を向く第1天壁面と前記連結部の上面とは、前記第1配置状態にて略接するように設けられ、かつ、前記第2空間を形成する下方を向く第2天壁面と前記連結部の上面とは、前記第2配置状態にて略接するように設けられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材用台座装置。
前記第1台座は、その第1台座に設けられた被連結部に第1固定具に設けられた連結部が連結されるとともに、前記第1固定具に設けられた固定部が前記敷設面に固定されることで、前記敷設面に固定され、
前記スペーサは、前記台座および/または前記スペーサに設けられた被連結部に前記第1固定具と同一の第2固定具に設けられた連結部が連結されるとともに、前記第2固定具に設けられた固定部が前記敷設面に固定されることで、前記敷設面に、前記スペーサと一体化される前記第2台座とともに固定されている、請求項6に記載の配線・配管材の交差配設構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の台座22による配管材21の配設においては、配管材21の配設高さは、台座22の高さによって定まるため、異なる高さ位置に配管材21を配設するには、それら高さに対応して、高さの異なる複数の台座22、22を用意する必要があり、面倒であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材の高さ位置を、簡単に変えて配設することができる、配線・配管材用台座装置、配線・配管材の交差配設構造、および配線・配管材の交差配設装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材用台座装置、配線・配管材の交差配設構造、および配線・配管材の交差配設装置は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材用台座装置は、配線・配管材を敷設面上に配設すべく前記配線・配管材を上部にて保持可能な台座と、前記台座と前記敷設面との間に介在して前記台座を嵩上げするスペーサと、前記台座を前記敷設面に固定するための、連結部および固定部を有する固定具とを、備える。ここで、前記スペーサを介在させることなく前記台座を前記敷設面に配置した第1配置状態で、前記連結部が、前記台座に設けられる第1空間に外側から差し込まれて、前記台座に連結されるとともに、前記固定部が、前記台座の外方に張り出して前記敷設面に固定され、かつ、前記スペーサを介在させて前記台座を前記敷設面に配置した第2配置状態で、前記連結部が、前記スペーサまたは前記台座に設けられる第2空間に外側から差し込まれて、前記台座および/または前記スペーサに連結されるとともに、前記固定部が、前記台座および前記スペーサの外方に張り出して前記敷設面に固定されるよう、前記第1空間および前記第2空間が設けられ、また、前記固定具が形成される。
【0007】
この配線・配管材用台座装置によると、上部に配線・配管材を保持するための台座は、スペーサを介在させることなく敷設面に設置され、また、スペーサにより嵩上げされて敷設面に設置される。こうして、スペーサを使用しなかったり、スペーサを使用したりすることで、台座の配置される高さ、ひいては、配線・配管材の配設される高さを変更することができる。特に、スペーサが積重ね可能となっていれば、その個数を調整することで、台座の配置される高さ、ひいては、配線・配管材の配設される高さを必要とする高さに変更することができる。また、スペーサを介在させることなく台座を敷設面に配置した第1配置状態では、固定具は、その連結部が、台座に設けられる第1空間に外側から差し込まれて台座に連結され、固定部が、敷設面に固定される。そして、スペーサを介在させて台座を敷設面に配置した第2配置状態では、固定具は、その連結部が、スペーサまたは台座に設けられる第2空間に外側から差し込まれて、台座および/またはスペーサに連結され、固定部が、敷設面に固定される。こうして、台座に第1空間を設けるとともに、スペーサまたは台座に第2空間を設けることで、スペーサを用いない第1配置状態と、スペーサを用いた第2配置状態とのいずれにおいても、同じ、固定具を用いることができる。そして、固定具は、その連結部が第1空間または第2空間に外側から差し込まれ、固定部が、台座やスペーサの外方に張り出すことから、台座やスペーサを配置した後でも、固定具を配置して、連結部を台座やスペーサに連結し、かつ、固定部を敷設面に固定することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材用台座装置は、請求項1に記載の配線・配管材用台座装置において、前記第1空間および前記第2空間の両方は、保持する配線・配管材の経路下とは異なる各側部に設けられる。こうして、第1空間と第2空間とを、保持する配線・配管材の経路下とは異なる各側部に設けることで、配線・配管材で邪魔されることなく、固定具の連結部を第1空間とか第2空間に差し入れたり、固定部を敷設面に固定することができる。すなわち、配線・配管材を台座で保持した後であっても、容易に、固定具を配置して、連結部を台座やスペーサに連結し、かつ、固定部を敷設面に固定することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材用台座装置は、請求項1または2に記載の配線・配管材用台座装置において、前記第2空間は、前記スペーサに設けられ、前記台座および前記スペーサは、前記第2配置状態にて互いに連通する貫通孔を有する。そして、前記第2配置状態では、雄ねじ部材が、前記台座の貫通孔と前記スペーサの貫通孔とを貫通して前記第2空間に差し込まれた前記連結部にねじ込まれるとともに、前記固定部が前記敷設面に固定されることで、前記台座と前記スペーサとが一体となって、前記敷設面に固定される。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材用台座装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材用台座装置において、前記第1空間を形成する内壁面または前記第2空間を形成する内壁面には、差し込まれた前記連結部と係合してその連結部を位置決めする位置決め部が設けられる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材用台座装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材用台座装置において、前記第1空間を形成する下方を向く第1天壁面と前記連結部の上面とは、前記第1配置状態にて略接するように設けられ、かつ、前記第2空間を形成する下方を向く第2天壁面と前記連結部の上面とは、前記第2配置状態にて略接するように設けられる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材の交差配設構造は、配線・配管材を敷設面上に配設すべく前記配線・配管材を上部にて保持可能な台座と、前記台座と前記敷設面との間に介在して前記台座を嵩上げするスペーサとを、備える。ここで、前記台座としての第1台座が、前記スペーサを介在させることなく前記敷設面に配置されて、その第1台座の上部に設けられた配線・配管材保持部により、前記配線・配管材としての第1配線・配管材が保持される。また、前記台座としての第2台座が、前記スペーサを介在させて前記敷設面に配置されて、その第2台座の上部に設けられた配線・配管材保持部により、前記配線・配管材としての第2配線・配管材が、前記第1配線・配管材の上方をその第1配線・配管材と交差するように保持される。そして、前記第2台座と前記スペーサとは、組み付けられて一体化されている。
【0013】
この配線・配管材の交差配設構造によると、上部に配線・配管材を保持するための台座は、スペーサを介在させることなく敷設面に設置され、また、スペーサにより嵩上げされて敷設面に設置される。こうして、スペーサを使用しなかったり、スペーサを使用したりすることで、台座の配置される高さ、ひいては、配線・配管材の配設される高さを変更することができる。そこで、第1台座を、スペーサを介在させることなく敷設面に配置し、第2台座をスペーサを介在させて敷設面に配置することで、容易に、第1台座の上部の配線・配管材保持部で保持した配線・配管材に対し、その上方に、第2台座の上部の配線・配管材保持部で保持した配線・配管材を交差させることができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材の交差配設構造は、請求項6に記載の交差配設構造において、前記第1台座は、その第1台座に設けられた被連結部に第1固定具に設けられた連結部が連結されるとともに、前記第1固定具に設けられた固定部が前記敷設面に固定されることで、前記敷設面に固定されている。そして、前記スペーサは、前記台座および/または前記スペーサに設けられた被連結部に前記第1固定具と同一の第2固定具に設けられた連結部が連結されるとともに、前記第2固定具に設けられた固定部が前記敷設面に固定されることで、前記敷設面に、前記スペーサと一体化される前記第2台座とともに固定されている。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係る配線・配管材の交差配設装置は、配線・配管材を敷設面上に配設すべく前記配線・配管材を上部にて保持可能な台座と、前記台座と前記敷設面との間に介在して前記台座を嵩上げするスペーサとを、備える。ここで、前記スペーサは、そのスペーサを前記台座と前記敷設面との間に介在させることで、前記台座の上部に設けられた配線・配管材保持部が保持する配線・配管材が、前記スペーサを介在させることなく前記敷設面に配置された他の台座に設けられた配線・配管材保持部が保持する配線・配管材よりも、上方に交差して配設されるよう、前記台座を嵩上げする高さを有する。
【0016】
この配線・配管材の交差配設装置によると、上部に配線・配管材を保持するための台座は、スペーサを介在させることなく敷設面に設置され、また、スペーサにより嵩上げされて敷設面に設置される。こうして、スペーサを使用しなかったり、スペーサを使用したりすることで、台座の配置される高さ、ひいては、配線・配管材の配設される高さを変更することができる。ここで、スペーサは、そのスペーサを介在させることで、台座の上部に設けられた配線・配管材保持部が保持する配線・配管材が、スペーサを介在させることなく敷設面に配置された他の台座に設けられた配線・配管材保持部が保持する配線・配管材よりも、上方に交差して配設されるよう、台座を嵩上げする高さを有しており、このスペーサを用いることで、簡単に、配線・配管材を交差させて配設することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る配線・配管材用台座装置、配線・配管材の交差配設構造、および配線・配管材の交差配設装置によれば、スペーサを適宜用いることで、配線・配管材の高さ位置を、簡単に変えて配設することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る配線・配管材用台座装置、配線・配管材の交差配設構造、および配線・配管材の交差配設装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜
図15は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、建物の屋上とか建造物の床面等、その他の敷設面を示す。2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。3は、前記配線・配管材2を前記敷設面1に配設するための配線・配管材用台座装置を示す。
【0021】
配線・配管材用台座装置3は、台座4とスペーサ5と固定具6とを備える。台座4は、配線・配管材2を敷設面1上に配設すべく配線・配管材2を上部にて(詳しくは、上部に並列させて)保持可能なものである。詳細には、台座4は、その台座4の上部に設けられた配線・配管材保持部7により、配線・配管材2を保持する。そして、スペーサ5は、台座4と敷設面1との間に介在して台座4を嵩上げするものであり、詳しくは、スペーサ5は、積重ね可能となっている。固定具6は、台座4を敷設面1に固定するためのものであり、連結部6aおよび固定部6bを有する。
【0022】
そこで、スペーサ5を介在させることなく台座4を敷設面1に配置した第1配置状態で(
図2、
図3参照)、固定具6における連結部6aが、台座4に設けられる第1空間8に外側から差し込まれて、台座4に連結されるとともに、固定具6における固定部6bが、台座4の外方に張り出して敷設面1に固定され、かつ、スペーサ5を介在させて台座4を敷設面1に配置した第2配置状態で(
図4〜
図7参照)、連結部6aが、スペーサ5または台座4(図示実施の形態においては、スペーサ5)に設けられる第2空間9に外側から差し込まれて、台座4および/またはスペーサ5(図示実施の形態においては、台座4およびスペーサ5)に連結されるとともに、固定部6bが、台座4およびスペーサ5の外方に張り出して敷設面1に固定されるよう、第1空間8および第2空間9が設けられ、また、固定具6が形成されている。つまり、固定具6における固定部6bからの連結部6aまでの高さに合わせて、第1配置状態での第1空間8の高さと、第2配置状態での第2空間9の高さとが設定される。逆に見れば、第1配置状態での第1空間8の高さと、第2配置状態での第2空間9の高さとは同じであって、その高さに合わせて、固定具6における固定部6bからの連結部6aまでの高さが設定される。
【0023】
詳細には、第1空間8および第2空間9の両方は、保持する配線・配管材2の経路下とは異なる各側部(図示実施の形態においては、配線・配管材2を並列させるその並列方向Pの各側部)に設けられる。そして、第1空間8を形成する下方を向く第1天壁面8aと連結部6aの上面とは、前記第1配置状態にて略接するように設けられる。同様に、第2空間9を形成する下方を向く第2天壁面9aと連結部6aの上面とは、前記第2配置状態にて略接するように設けられる。そして、第1空間8を形成する内壁面または第2空間9を形成する内壁面(図示実施の形態においては、第2空間9を形成する内壁面)には、差し込まれた連結部6aと係合してその連結部6aを位置決めする位置決め部Xが設けられる。
【0024】
また、図示実施の形態においては、第2空間9は、スペーサ5に設けられる。そして、台座4およびスペーサ5は、前記第2配置状態にて互いに連通する貫通孔4a、5aを有する。そこで、この第2配置状態では、雄ねじ部材としての第2雄ねじ部材11が、台座4の貫通孔4aとスペーサ5の貫通孔5aとを貫通して第2空間9に差し込まれた連結部6aにねじ込まれることで、連結部6aは、台座4およびスペーサ5に連結される。そして、第2雄ねじ部材11が連結部6aにねじ込まれるとともに、固定部6bが敷設面1に固定されることで、台座4とスペーサ5とが一体となって、敷設面1に固定される。
【0025】
具体的には、台座4は、横長となる略直方体形状の台座本体4xと、前述の配線・配管材保持部7を支持する支持体4yとを備える。台座本体4xは、上面に、その台座本体4xの長手方向に沿って延びる溝4bを有して、内部には、重りとなるコンクリートブロック4cが収容されている(
図9参照)。支持体4yは、台座本体4xの溝4bに嵌められ、ビス12により台座本体4xに固定される。この支持体4yは、上方に開口する断面略コ字形状をして、溝4bに沿って延びるように形成されている。また、この支持体4yは、断面略コ字形状の両先端から、互いに向かい合う側に延びて若干下方に折れ曲がって形成された係合部4dを有する。
【0026】
そこで、これら係合部4d、4dに、配線・配管材保持部7(詳しくは、配線・配管材保持部7に設けられる被係合部7a)が係合し、その配線・配管材保持部7は、支持体4yの延びる方向(つまりは、台座4の長手方向)の任意位置に支持される。そして、複数(図示実施の形態においては、二つ)の配線・配管材保持部7、7を、支持体4yの長手方向に並べることで、その方向に、配線・配管材2、2を並列させることができる。すなわち、支持体4yの延びる方向、つまりは台座4の長手方向が、配線・配管材2を並列させるその並列方向Pとなる。
【0027】
そして、前述の第1空間8は、配線・配管材2の並列方向Pである、台座4の長手方向の各側部に設けられる。詳細には、第1空間8は、配線・配管材2の並列方向Pの各側部において、側方および下方に開口する凹部によって形成される。そして、この第1空間8の上方が被連結部4eとなり、この被連結部4eには、前述の貫通孔4aが設けられる。そこで、第1配置状態では、第1雄ねじ部材10が、台座4の貫通孔4aを貫通して第1空間8に差し込まれた連結部6aにねじ込まれるとともに、固定部6bが敷設面1に固定されることで、台座4は、敷設面1に固定される。
【0028】
また、この被連結部4eには、第1空間8から上に向かって窪み4fが設けられ(
図9参照)、第1空間8からこの窪み4fに指を差し入れて指を掛けることで、台座4を容易に持ち運ぶことができる。すなわち、台座4は、被連結部4eに、台座4の持ち運びのための指掛け部を備える。また、前述したように、第1空間8を形成する下方を向く第1天壁面8a、つまり被連結部4eの下面と、固定具6における連結部6aの上面とは、前記第1配置状態にて略接するように設けられる。
【0029】
配線・配管材保持部7は、二つの分割保持体7x、7xを備える。これら分割保持体7x、7xは、対称形状に形成されて、両側から配線・配管材2を挟むように、配線・配管材2の周面に沿って湾曲して形成される。そして、各分割保持体7xの下部には、前述の被係合部7aが設けられ、また、上部には、締付けボルト(図示せず)を取り付けるための取付部7bが設けられる。つまり、各取付部7bには、取付孔7cがあけられ、両取付孔7c、7cを挿通する締付けボルトを締め付けることで、両分割保持体7x、7xが、配線・配管材2を挟み込むとともに、配線・配管材2を台座4の上面に押さえつけ、これによって、台座4の係合部4d、4dに係合した両分割保持体7x、7x(つまり、配線・配管材保持部7)は、台座4に固定され、また、配線・配管材2は、台座4に保持される。
【0030】
スペーサ5は、略直方体形状に形成され、配線・配管材2の並列方向P(図示実施の形態においては、台座4の長手方向)の各側に配置される。そして、前述の第2空間9は、配線・配管材2の並列方向Pの各側部に設けられる。詳細には、第2空間9は、配線・配管材2の並列方向Pの各側部において、側方および下方に開口する凹部によって形成される。そして、この第2空間9の上方が被連結部5bとなり、この被連結部5bには、前述の貫通孔5aが設けられる。また、前述したように、第2空間9を形成する下方を向く第2天壁面9a、つまり被連結部5bの下面と、固定具6における連結部6aの上面とは、前記第2配置状態にて略接するように設けられる。
【0031】
また、第2空間9を形成する内壁面(図示実施の形態においては、奥側の面)には、前述の位置決め部Xが設けられ、この位置決め部Xは、上下に延びる凸部X1からなる。そして、この凸部X1が、固定具6における連結部6aの後述する凹部6dと係合することで、連結部6a(つまり、固定具6)を位置決めする。また、連結部6aは、第2空間9にちょうど嵌まり、この第2空間9を形成する内壁面もまた、連結部6aを位置決めする位置決め部Xとなる。
【0032】
また、スペーサ5、5どうしは、それらを積み重ねたとき、互いに位置決めされる。同様に、スペーサ5と台座4とは、互いに位置決めされる。図示実施の形態においては、スペーサ5は、上面に、位置決め凸部5c(図示実施の形態においては二つの位置決め凸部)が設けられ、下面に、位置決め凹部5d(図示実施の形態においては二つの位置決め凹部)が設けられる。そして、スペーサ5、5どうしを積み重ねると、下側のスペーサ5の位置決め凸部5cが、上側のスペーサ5の位置決め凹部5dに嵌まり、これらスペーサ5、5は、互いに位置決めされる。そして、スペーサ5の上に台座4を載せると、スペーサ5の位置決め凸部5cが、台座4の第1空間8を形成する内壁面に係合し、これらスペーサ5と台座4とは、互いに位置決めされる。
【0033】
固定具6は、例えば金属板からなり、起立部6cと、前述の連結部6aおよび固定部6bとから構成される。詳細には、連結部6aが、直立する起立部6cの上端から一方の方向に水平に折れ曲がって形成され、固定部6bが、起立部6cの下端から、一方の方向とは反対の方向に水平に折れ曲がって形成される。そして、連結部6aの先端部分に凹部6dが設けられ、前述したように、この凹部6dと、スペーサ5における第2空間9を形成する内壁面の凸部X1とが係合する。また、連結部6aには、雌ねじ6eが設けられ、この雌ねじ6eに雄ねじ部材(つまり、前述の第1雄ねじ部材10とか第2雄ねじ部材11)がねじ込まれることとなる。また、固定部6bには、アンカーボルト(図示せず)が通される固定孔6fがあけられている。さらに、固定部6bは、その周縁を残して上方に膨出して形成されており、その膨出によって、下面側に、接着剤の充填空間6gが形成される。すなわち、固定部6bは、敷設面1に、アンカーボルトを用いて固定されたり、接着剤を用いて固定されたりする。
【0034】
次に、配線・配管材2の交差配設構造13について説明する(
図1参照)。この交差配設構造13は、前述の台座4とスペーサ5とを備える。そこで、台座4としての第1台座401が、スペーサ5を介在させることなく敷設面1に配置されて、その第1台座401の上部に設けられた配線・配管材保持部7により、配線・配管材2としての第1配線・配管材201が保持される。また、台座4としての第2台座402が、スペーサ5を介在させて敷設面1に配置されて、その第2台座402の上部に設けられた配線・配管材保持部7により、配線・配管材2としての第2配線・配管材202が、第1配線・配管材201の上方をその第1配線・配管材201と交差するように保持される。
【0035】
そして、第2台座402とスペーサ5とは、組み付けられて一体化されている。図示実施の形態においては、第2雄ねじ部材11が、台座4の貫通孔4aとスペーサ5の貫通孔5aとを貫通して第2空間9に差し込まれた連結部6aにねじ込まれることで、第2台座402とスペーサ5とは一体化される。
【0036】
また、この交差配設構造13は、固定具6(詳しくは、第1固定具601および、その第1固定具601と同一の第2固定具602)を備える。そこで、第1台座401は、その第1台座401に設けられた前述の被連結部4eに第1固定具601に設けられた連結部6aが連結されるとともに、第1固定具601に設けられた固定部6bが敷設面1に固定されることで、敷設面1に固定される。そして、スペーサ5は、第2台座402および/またはスペーサ5に設けられた被連結部(図示実施の形態においては、第2台座402およびスペーサ5に設けられた被連結部4e、5b)に第2固定具602に設けられた連結部6aが連結されるとともに、第2固定具602に設けられた固定部6bが敷設面1に固定されることで、敷設面1に、スペーサ5と一体化される第2台座402とともに固定されている。
【0037】
次いで、配線・配管材2の交差配設装置14について説明する(
図1参照)。この交差配設装置14は、前述の台座4とスペーサ5とを備える。そこで、スペーサ5は、そのスペーサ5を台座4と敷設面1との間に介在させることで、台座4(つまり、第2台座402)の上部に設けられた配線・配管材保持部7が保持する配線・配管材2(つまり、第2配線・配管材202)が、スペーサ5を介在させることなく敷設面1に配置された他の台座4(つまり、第1台座401)に設けられた配線・配管材保持部7が保持する配線・配管材2(つまり、第1配線・配管材201)よりも、上方に交差して配設されるよう、台座4を嵩上げする高さを有する。すなわち、例えば、配線・配管材2の直径が27.5mmであるのに対し、スペーサ5の、台座4を嵩上げする高さを、30mmとすることで、片側につき一つ(つまり、一段)のスペーサ5で、配線・配管材2、2を干渉するとなく交差させることができる。
【0038】
次に、以上の構成からなる配線・配管材用台座装置3、交差配設構造13、および交差配設装置14の作用効果について説明する。これら装置および構造によると、上部に配線・配管材2を保持するための台座4は、スペーサ5を介在させることなく敷設面1に設置され、また、スペーサ5により嵩上げされて敷設面1に設置される。こうして、スペーサ5を使用しなかったり、スペーサ5を使用したりすることで、台座4の配置される高さ、ひいては、配線・配管材2の配設される高さを変更することができる。すなわち、スペーサ5を適宜用いることで、配線・配管材2の高さ位置を、簡単に変えて配設することができる。そこで、
図1に示すように、第1台座401を、スペーサ5を介在させることなく敷設面1に配置し、第2台座402をスペーサ5を介在させて敷設面1に配置することで、容易に、第1台座401の上部の配線・配管材保持部7で保持した配線・配管材2(詳しくは、第1配線・配管材201)に対し、その上方に、第2台座402の上部の配線・配管材保持部7で保持した配線・配管材2(詳しくは、第2配線・配管材202)を交差させることができる。
【0039】
また、スペーサ5は、そのスペーサ5を介在させることで、台座4の上部に設けられた配線・配管材保持部7が保持する配線・配管材2が、スペーサ5を介在させることなく敷設面1に配置された他の台座4に設けられた配線・配管材保持部7が保持する配線・配管材2よりも、上方に交差して配設されるよう、台座4を嵩上げする高さを有しており、このスペーサ5を用いることで、簡単に、配線・配管材2、2を交差させて配設することができる。
【0040】
また、スペーサ5は、積重ね可能となっており、その使用する個数を調整することができる。こうして、スペーサ5を使用しなかったり、その個数を調整して使用したりすることで、台座4の配置される高さ、ひいては、配線・配管材2の配設される高さを必要とする高さに変更することができる。
【0041】
また、スペーサ5を介在させることなく台座4を敷設面1に配置した第1配置状態では、固定具6は、その連結部6aが、台座4に設けられる第1空間8に外側から差し込まれて台座4に連結され、固定部6bが、敷設面1に固定される(
図2、
図3参照)。そして、スペーサ5を介在させて台座4を敷設面1に配置した第2配置状態では、固定具6は、その連結部6aが、スペーサ5または台座4(図示実施の形態においては、スペーサ5)に設けられる第2空間9に外側から差し込まれて、台座4および/またはスペーサ5(図示実施の形態においては、台座4およびスペーサ5)に連結され、固定部6bが、敷設面1に固定される(
図4〜
図7参照)。こうして、台座4に第1空間8を設けるとともに、スペーサ5または台座4(図示実施の形態においては、スペーサ5)に第2空間9を設けることで、スペーサ5を用いない第1配置状態と、スペーサ5を用いた第2配置状態とのいずれにおいても、同じ、固定具6を用いることができる。
【0042】
そして、固定具6は、その連結部6aが第1空間8または第2空間9に外側から差し込まれ、固定部6bが、台座4やスペーサ5の外方に張り出すことから、台座4やスペーサ5を配置した後でも、固定具6を配置して、連結部6aを台座4やスペーサ5に連結し、かつ、固定部6bを敷設面1に固定することができる。
【0043】
また、第1空間8および第2空間9の両方は、保持する配線・配管材2の経路下とは異なる各側部(図示実施の形態においては、配線・配管材2の並列方向Pの各側部)に設けられている。これにより、配線・配管材2で邪魔されることなく、固定具6の連結部6aを第1空間8とか第2空間9に差し入れたり、固定部6bを敷設面1に固定することができる。すなわち、配線・配管材2を台座4で保持した後であっても、容易に、固定具6を配置して、連結部6aを台座4やスペーサ5に連結し、かつ、固定部6bを敷設面1に固定することができる。
【0044】
また、このように、配線・配管材2の配設経路を確定してから(つまり、台座4の位置調整とか配線・配管材2の配設状態や交差状態の調整の後に)、台座4を固定具6を用いて敷設面1に固定可能であるが、台座4の重りとなるコンクリートブロック4cにより、固定具6が不要な個所は固定することなく、必要なところだけ固定することもできる。そして、この固定にあたっては、スペーサ5の有無によって高さを異にする台座4に対し、同じ固定具6を用いて固定することができる。
【0045】
また、第2配置状態では、第2雄ねじ部材11が、台座4の貫通孔4aとスペーサ5の貫通孔5aとを貫通して連結6a部にねじ込まれて、台座4とスペーサ5とが連結部6aに共締めされることで、台座4とスペーサ5とが組み付けられて一体化されるため、別途、台座4とスペーサ5とを一体化する必要がない。
【0046】
また、第1空間8を形成する第1天壁面8aと、固定具6における連結部6aの上面とは、第1配置状態にて略接するように設けられる。これにより、第1配置状態にて、連結部6aで被連結部4eをしっかりと支持することができる。同様に、第2空間9を形成する第2天壁面9aと、固定具6における連結部6aの上面とは、第2配置状態にて略接するように設けられる。これにより、第2配置状態にて、連結部6aで被連結部5bをしっかりと支持することができる。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第2配置状態にて、固定具6(詳しくは、第2固定具602)における連結部6aは、第2雄ねじ部材11が台座4(詳しくは、第2台座402)およびスペーサ5の貫通孔4a、5aを貫通することで、台座4およびスペーサ5(詳しくは、それらの被連結部4e、5b)に連結されるが、第2雄ねじ部材11がスペーサ5の貫通孔5aのみを貫通することで、スペーサ5のみに連結されてもよい。そして、この場合には、別途の手段により、台座4とスペーサ5とを一体化するよう組み付けるのがよい。
【0048】
また、第2空間9は、スペーサ5に設けられなくとも、
図16および
図17に示すように、台座4に設けられてもよい。ここで、
図16は、第1配置状態を示し、
図17は、第2配置状態を示す。この実施の形態においては、台座4の被連結部4eは、上下に分離し、分離した被連結部4e、4eの間が、第1空間8となり、下側の被連結部4eの下方が第2空間9となる。そこで、第1配置状態においては、固定具6(詳しくは、第1固定具601)における連結部6aは、台座4(詳しくは、第1台座401)の上側の被連結部4eに連結される。一方、第2配置状態においては、固定具6(詳しくは、第2固定具602)における連結部6aは、台座4(詳しくは、第2台座402)の分離した両方の被連結部4e、4eに連結される。そして、このとき、台座4とスペーサ5とは、互いに位置決めされており、スペーサ5がずれることなく両者は一体化されている。
【0049】
また、第2空間9を形成する内壁面には、位置決め部Xが設けられるが、同様にして、第1空間8を形成する内壁面においても、差し込まれた連結部6aと係合してその連結部6aを位置決めする位置決め部が設けられてもよい。
【0050】
また、第1空間8を形成する下方を向く第1天壁面8aと連結部6aの上面とは、第1配置状態にて略接するように設けられるが、この略接する部分は、連結部6aの上面のいずれの場所であってもよく、また、全体であってもよく、さらには、接することなく離れていてもよい。同様に、第2空間9を形成する下方を向く第2天壁面9aと連結部6aの上面とは、第2配置状態にて略接するように設けられるが、この略接する部分は、連結部6aの上面のいずれの場所であってもよく、また、全体であってもよく、さらには、接することなく離れていてもよい。
【0051】
また、固定具6における連結部6aには、雄ねじ部材10、11がねじ込まれるが、この雄ねじ部材10、11に替えて、例えば、連結部6aに係合する係止爪を有する部材を用いてもよい。また、雄ねじ部材等を用いることなく、固定具6(詳しくは、連結部6a)で、台座4とかスペーサ5を押さえつけるようにしてもよい。また、この固定具6は、必要なければ用いなくともよい。
【0052】
また、スペーサ5は、積重ね可能となっているが、積重ね可能でなくともよい。
【0053】
また、スペーサ5は、台座4に対し、その両側に個別に配置されるが、それらスペーサ5、5の間を、敷設面1に直置きした配線・配管材2の経路として利用してもよい。また、スペーサ5は、台座4に対し両側に個別に配置されなくとも、両者が一体に形成された一枚ものからなっていてもよい。そして、このようにスペーサ5を一体に形成した場合であっても、その中間位置に、配線・配管材2の経路となる空間を設けるようにしてもよい。
【0054】
また、台座4は、配線・配管材2を並列させて保持可能となっていなくとも、一本の配線・配管材2のみを保持するものであってもよい。