特許第6178263号(P6178263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6178263性能を調節したイメージインテンシファイアの電源供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178263
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】性能を調節したイメージインテンシファイアの電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 31/50 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
   H01J31/50 Z
   H01J31/50 D
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-42384(P2014-42384)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-197539(P2014-197539A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】13/786,878
(32)【優先日】2013年3月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512067159
【氏名又は名称】エクセリス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100190632
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 誠也
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ホーグ ボウエン
(72)【発明者】
【氏名】ランソム ハル キャッスルベリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エリック ギャリス
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0072749(US,A1)
【文献】 特開2001−319604(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0108180(US,A1)
【文献】 米国特許第04882481(US,A)
【文献】 特開平01−289056(JP,A)
【文献】 特開昭63−072050(JP,A)
【文献】 特公昭40−023618(JP,B1)
【文献】 特開昭64−017358(JP,A)
【文献】 特開昭55−052917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J29/36−29/45
29/98
31/08
31/26−33/04
40/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧源と、
前記第1の電圧源に直列に接続された第2の電圧源と、
前記第1の電圧源の負極とイメージインテンシファイアの光電陰極の間に接続された第1のスイッチと、前記光電陰極と前記第2の電圧源の負極の間に接続された第2のスイッチと、を備えるスイッチング機構と、
前記光電陰極と前記第1のスイッチの間に接続された光源保護(BSP)抵抗と、
前記BSP抵抗と前記光電陰極の間に直列に接続された定電流シンクと、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチに接続された制御回路であって、前記イメージインテンシファイアのデューティファクタを調整するために、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御する制御回路と、
を含むことを特徴とする電源供給装置。
【請求項2】
前記第1の電圧源、前記第1のスイッチ、及び前記BSP抵抗に並列に、前記光電陰極と前記第1の電圧源の正極との間に接続されたダイオードクランプをさらに含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記定電流シンクは、デプレッション型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記定電流シンク及び前記BSP抵抗に並列に接続された電圧クランプ回路をさらに含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記光電陰極に接続された負極を有する第4の電圧源と、
前記第1の電圧源の正極と前記第4の電圧源の正極の間に接続された第3のスイッチと、
をさらに含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項6】
光電陰極、マイクロチャンネルプレート、及び蛍光スクリーンを有するイメージインテンシファイアの性能を調節する電源供給装置であって、
負極及び正極を有する第4の電圧源であって、前記第4の電圧源の前記負極は、前記光電陰極に接続された第4の電圧源と、
前記第4の電圧源の正極と第1の電圧源の正極の間に接続された第3のスイッチと、
前記第3のスイッチと前記光電陰極の間に接続されたダイオードと、
負極及び正極を有する第2の電圧源であって、前記第2の電圧源の前記負極は、前記第1の電圧源の前記正極に接続された第2の電圧源と、
負極及び正極を有する第3の電圧源であって、前記第3の電圧源の前記負極は、前記第2の電圧源の正極に連結し、前記第3の電圧源の前記正極は、前記蛍光スクリーンに接続された第3の電圧源と、
前記第1の電圧源の負極と前記光電陰極の間に接続された第1のスイッチであって、閉じたときに光電陰極を充電するために、前記第1の電圧源を前記光電陰極に連結し、開いたときに前記光電陰極から前記第1の電圧源の接続を切る第1のスイッチと、
前記第2の電圧源の前記負極と前記光電陰極の間に接続された第2のスイッチであって、閉じたときに前記光電陰極を放電するために前記光電陰極を前記第2の電圧源に連結し、開いたときに前記第2の電圧源から前記光電陰極の接続を切る第2のスイッチと、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチに接続された制御回路であって、前記イメージインテンシファイアのデューティファクタを調節するために、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御する制御回路と、
を含むことを特徴とする電源供給装置。
【請求項7】
前記制御回路は、デューティサイクルを調節することによって、前記イメージインテンシファイアに対する性能指数(FOM)を設定する、請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項8】
記第1の電圧源の前記正極及び前記第4の電圧源の前記正極の間に接続された第3のスイッチを含み、
前記制御回路は、前記第3のスイッチにさらに連結し、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチを同時に作動させるように構成される、請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項9】
光電陰極を有するイメージインテンシファイアの性能を調節する方法であって、
第1の期間、前記光電陰極を充電するステップと、
第2の期間、前記光電陰極を放電するステップと、
前記イメージインテンシファイアのデューティファクタを調節するために、前記第1の期間及び前記第2の期間を制御するステップと、
前記イメージインテンシファイアが高光源レベル状態で動作するとき、前記光電陰極のピーク負電圧を減少するステップと、
定電流シンクを通して前記光電陰極を再充電するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記制御するステップは、前記デューティファクタを調節することにより、前記イメージインテンシファイアの性能指数(FOM)を設定することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージインテンシファイア(image intensifiers)、特に、イメージインテンシファイアの電源を制御して、性能(performance)を調節するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージインテンシファイアは、夜間の視力を向上できることでよく知られている。イメージインテンシファイアは、観察者の目によって検出するために十分な明るさの信号を生成するために、受け取った入射光(incident light)を増幅する。これらの装置は、暗領域(dark region)からのイメージを提供するために、特に、有用であり、産業上の利用も軍事的利用もできる。米軍は、目に見えないターゲットを見て、ターゲットに照準を定める夜間の作戦行動中にイメージインテンシファイアを使用する。低輝度可視スペクトル放射(low intensity visible spectrum)及び近赤外放射(near−infrared radiation)は、ターゲットから反射され、反射エネルギーは、イメージインテンシファイアによって増幅される。結果として、ターゲットは、付加的な光源を用いなくても、目に見えるようになる。他の例は、パイロットの暗視視力を向上させるイメージインテンシファイアを用いることと、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)(夜盲症(night blindness))の患者に暗視視力(night vision)を提供することと、天体を撮影することとを含む。
【0003】
図1は、典型的なイメージインテンシファイア10を図示する。イメージインテンシファイア10は、光電陰極14上の遠くのもの(distant object)からの可視光放射及び赤外線放射(visible and infrared radiation)(まとめてここでは光源(light)と呼ぶ)の焦点を合わせる対物レンズ12を含む。光電陰極(photocathode)14、例えば、580〜900ナノメートルスペクトル領域の光源の低放射線レベルに実に敏感な光電子放出半導体ヘテロ構造(photoemissive semiconductor heterostructure)は、電磁放射線(electromagnetic radiation)に反応して、電子の空間的なコヒーレント放射(spatially coherent emission)を提供する。光電陰極14から発せされた電子は、マイクロチャンネルプレート(micro−channel plate)(MCP)20の入力面(input plane)へ加速される。MCP20は、空間的にコヒーレントな方法で入射電子を増幅する。MCP20の出力面(output plane)から噴出する電子は、蛍光スクリーン(phosphor screen)16(陽極(anode))へ加速される。蛍光スクリーン16は、MCP20の出力よりも高い正電位の状態を保つ。蛍光スクリーン16は、発した電子を可視光に変換する。オペレーターは、接眼レンズ18を通して蛍光スクリーンによって提供された可視光イメージをみてもよい。
【0004】
従来のMCP20は、光電陰極14からの電子放射の密度を増加させるために用いられる、多数の(a array of)貫通する微細な穴(microscopic holes)を有する薄いガラス板を含む。MCP20を貫通する穴の内側に衝突する電子は、多数の二次的電子の放射という結果になり、より多くの二次的な電子の放射を同様に引き起こす結果となる。このように、それぞれの微細な穴は、例えば、最高10,000まで増加する(a gain of)チャンネル型二次的電子放射増倍管(channel−type secondary emission electron multiplier)のような機能を果たす。MCP20の電子ゲイン(electron gain)は、その入力面と出力面との間の電位差によって主に制御される。電源22は、電力を光電陰極14、MCP20、及び蛍光スクリーン16に印加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
暗視装置に用いられるイメージインテンシファイアは、画質に対する性能指数(Figure of Merit)(FOM)と呼ばれる測定を使用する。FOMは、1ミリメートル当たりの線対(line pairs per millimeter)(lp/mm)と、信号対雑音比(signal−to−noise ratio)(SNR)とで測定され、解像度(resolution)の算術積(arithmetic product)である。それは、無次元数(unitless)である。解像度は、50〜72lp/mmの範囲で、一般的に変化する。SNRは、20〜25の範囲で、一般的に変化する。FOMは、全体的に優れた画質に一般的に相当する、より高いFOMとともに、1000〜1800の範囲で、一般的に変化する。FOMは、米国政府が所定の閾値以下のFOMを有する輸出アイテム(exported items)を要求することによって、暗視システムの輸出を制限するから、いくつかの状況において(in some contexts)、重要である可能性がある。結果的に、イメージインテンシファイアのFOMを調節する方法及び装置は、有用である。
【0006】
本発明の実施態様は、イメージインテンシファイアの性能を調節する方法及び装置で具体化される。性能は、とりわけ、イメージインテンシファイアのデューティファクタ(duty factor)を制御することによって調節される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
発明は、同一の参照番号を有する、同様な構成要素を備える、添付図面に関連して参照すると、以下の詳細な説明から理解できる。これは、一般的な方法によると、図面の様々な特徴は、縮尺通りに図示されていないことを強調(emphasize)する。一方、様々な特徴の寸法は、任意に拡張又は明確さのために縮小される。添付した図面は、以下の図面である。
図1】従来技術に従ったイメージインテンシファイアを示す。
図2】本発明の態様に従ったイメージインテンシファイアに用いる電源供給装置を示す。
図3】本発明の態様に従ったイメージインテンシファイアに用いる別の電源供給装置を示す。
図4】本発明の態様に従ったイメージインテンシファイアに用いる別の電源供給装置を示す。
図5】本発明の態様に従ったイメージインテンシファイアに用いる別の電源供給装置を示す。
図6】本発明の態様に従ったイメージインテンシファイアに用いる別の電源供給装置を示す。
図7】本発明の態様に従って性能を調節するためのイメージインテンシファイアを制御するためのステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2は、本発明の態様に従って、図1に示されるように、イメージインテンシファイア10に用いる電源供給装置(power supply)100aを示す。電源供給装置100aは、直列に連結した、第一の電圧源、第二の電圧源、及び第三の電圧源(V1、V2、及びV3)と呼ばれる、主要な三つの電源電圧を含む。第三の電圧源V3の正極は、蛍光スクリーン16に連結し、例えば、約+4000〜+6000ボルトの直流の正電圧を蛍光スクリーン16に印加する。第二の電圧源V2の正極は、MCP20の出力面(output plane)に連結し、第二の電圧源V2の負極は、MCP20の入力面(input plane)に連結する。MCP20にわたって、第二の電圧源によって印加される電圧は、約−800〜−1100ボルトの直流であってもよい。第一の電圧源V1の負極は、光電陰極14に連結し、第二の電圧源V2に対して負であり、第二の電圧源V2に対して約600ボルトの直流であってもよい。主要な電圧源に対して提供された値は、一例であり、異なる実施態様では変化してもよいと理解できる。
【0009】
図示された電源供給装置100aは、VpbaとVpbbと呼ばれる、二つの二次的な電圧源をさらに含む。VpbaとVpbb、二次的な電圧源のうちのいずれか一つは、光電陰極が、(下記のように)S2と呼ばれる第二のスイッチが閉じている間にオフにされるように、正バイアス(positive bias)を提供するために任意に用いられてもよい。実施態様によっては、これらの二次的電圧源のうちの一つ又は両方は、例えば、省略及び直接接続で置き換えてもよい。
【0010】
電源供給装置100aの第一の電圧源V1は、マイクロチャンネルプレート(MCP)の入力面に対して、光電陰極に対する負電圧から生じる。S1と呼ばれる第一のスイッチは、R1と呼ばれる第一の抵抗及びC1と呼ばれる第一のコンデンサを経由して陰極にこの電圧を供給するために、閉じられる。第一のコンデンサは、第一の抵抗R1と並列に連結する。使用するときに、第一のスイッチS1は、光電陰極を充電するために、第一の期間、閉じられる。それから、第一のスイッチS1は開き、S2と呼ばれる第二のスイッチは、第一のスイッチS1が閉じた後のある時点で光電陰極からの負電荷を取り除くために第二の期間、閉じられる。それから第二のスイッチS2は、第一のスイッチS1が次に閉じる前に、再度、開く。
【0011】
第一のスイッチS1と第二のスイッチS2のタイミングは、TDC102と呼ばれる、タイマー/駆動回路(timer/driver circuit)によって制御される。TDC102は、必要なタイミング信号を生成するために用いられるマイクロコントローラ等の駆動回路若しくはプログラム可能な集積回路と、タイマーと構成される集積回路等の様々な従来の電子的手段によって実装できる。
【0012】
第一の期間及び第二の期間をTDC102と制御することによって、電源供給装置のデューティファクタ(duty factor)を調節できる。これにより、イメージインテンシファイアの性能指数(figure of merit)(FOM)を設定する。一実施形態では、TDCは、イメージインテンシファイアのデューティファクタを、信号対雑音比(SNR)及びインテンシファイアの性能指数(FOM)の調節を許可するための工場で調整可能な上限に制限するスイッチS1及びスイッチS2を作動させる。イメージインテンシファイアの実効光感応(effective photoresponse)は、オリジナル光感応 × デューティファクタ(original photoresponse times the duty factor)になる。ここで、デューティファクタは、光電陰極がスイッチの周期の合計時間に対して、ネガティブ(光電陰極がオン(photocathode on)、光電流放出(emitting photocurrent))である時間の比率として表現される。同様に、SNR及びFOMは、実効光感応(effective photoresponse)の平方根にほぼ比例する。このように、デューティファクタを減少するタイミングを調節することにより、SNR及びFOMは、所望の目標値を達成するために下方修正できる。一実施形態では、TDC102は、全ての光源レベルで固定された状態を保ち、工場出荷時の設定期間で動作する。他の実施形態では、期間は、例えば、陰極の電流(cathode current)に応えて変化しても、入力照度(input illumination)の変化の結果として以下に説明されるABC回路に応えて変化してもよい。期間が変化する場合、この動作は、オートゲーティング(autogating)という。オートゲーティングの場合、FOMは、デューティファクタの最大値を工場出荷時の設定値に限定することにより、工場でまだ調整可能である。
【0013】
スイッチS2は、非線形の電流シンクとして振る舞う。第一のスイッチS1及び第二のスイッチS2は、MOSFETs、バイポーラトランジスタ、SCRs、トライアック(Triacs)、又は光遮断器(optoisolator)等の様々な切り替え可能な構成要素であり得る。第一のスイッチS1及び第2のスイッチS2は以下の図6の電源供給装置100eに図示されるように、イメージインテンシファイアの光電陰極に直接的に接続できる。
【0014】
図2において、第一の抵抗R1は、光源保護(bright source protection)(BSP)抵抗の機能を果たす。抵抗R1は、比較的高い値を有する(例えば、2〜10ギガオーム(gigaohms)等の約数ギガオーム)。抵抗R1を通して流れる光電陰極の電流によって引き起こされる電圧低下は、光電陰極に印加される電圧を低下させる。これにより、光電陰極14及びMCP20間の加速電位(accelerating potential)を減少させる。光電陰極14にぶつかる光が増加するにつれて、光源レベルにほぼ比例する陰極電流(cathode current)が増加し、増加した陰極電流が抵抗R1に流れる。これにより、抵抗R1の抵抗性電圧低下(resistive voltage drop)に起因して、MCP入力面に対して実効光電陰極電圧(effective photocathode voltage)が減少する。
【0015】
さらに、電源電圧100aは、第一のダイオード(D1という)及び第二のダイオード(D2という)を含む。第一のダイオードD1及び第二のダイオードD2は、光電陰極及び第一の電圧源V1の正極(positive terminal)の間に直列に連結する。光電陰極、イメージインテンシファイアに印加されるピーク負電圧を減少させるための第一のコンデンサC1、第一の抵抗R1、第一のダイオード、及び第二のダイオードD2の機能は、高光源状態(high light condition)で動作する。電圧低下は、光源保護(bright source protection)をチューブに提供し、輸出のために政府が課す性能制限(Government−imposed performance restriction)に従うために必要な高光源解像度(high light resolution)を下げてもよい。高光源の比較的大きい光電陰極電流は、光電陰極のピーク負電圧を下げるために、R1にわたって電圧低下を引き起こす。コンデンサC1は、スイッチから光電陰極への電圧偏位(voltage excursion)に連結する。スイッチS1及びスイッチS2から光電陰極への最大振幅電圧(peak−to−peak voltage)のほとんどに連結するために、C1の値は、光電陰極からイメージインテンシファイア内のMCPの入力への静電容量よりも少なくとも数倍が選択されてもよい。光電陰極からイメージインテンシファイア内のMCPの入力への静電容量は、C1を一般的に数100ピコファラッド(picofarad)にするために、約20〜50ピコファラッドであることが一般的である。第一の抵抗R1及び第一のコンデンサC1の時定数(time constant)は、第一のスイッチS1及び第二のスイッチS2のスイッチング期間に比べて長くてもよい。R1−C1の時定数は、約二以上であってもよい。一方、スイッチ周期期間は、一般的に数10ミリ秒未満(例えば、可視のちらつき(visible flicker)及び別の望ましくないストロボ効果を避けるため)である。しかしながら、R1−C1の時定数は、スイッチングする際に過度の電力消費を引き起こす、又は、オートゲーティングを適応しない(non−autogated application)イメージを不鮮明(wash out)にする過度の平均光電流を生じるように、短くない。周期時間と対称的に、S1及びS2のスイッチの閉じる時間は、比較的短くできる。スイッチは、スイッチ出力電圧をスイッチ入力電圧に近づけるためにだけ十分長く閉じた状態を保つ。あるスイッチは、これをマイクロ秒未満で達成できる。しかしながら、それは、放射妨害波(radiated emission)を最小化するための光電陰極でスイッチングエッジレート(switching edge rate)を故意に減少させることが好ましい。光電陰極で、0.01〜20フートキャンドル(footcandle)等の比較的高光源状態において、光電陰極の電圧は、パルスを発し続けるものの、第一の抵抗R1にわたる電圧低下に起因して、一般的にほぼ負にならない(ほぼ正になる)。
【0016】
ダイオードD2は、ツェナーダイオード(Zener diode)であってもよく、ダイオードD1は、従来のダイオードであってもよい。ダイオードD1と連動してツェナーダイオードD2は、チューブをアクティブにすることと、有用なイメージを生成することとを続けるための高光源の光子放出を提供するために、負の偏位(negative excursion)がMCP入力面に対して負であることを保証する上限に、光電陰極のピーク正電圧偏位(positive peak voltage excursion)をクランプ(clamp)するために働く。光入力が効果的に高いときに、光電流は、第二のスイッチS2が閉じる前に、光電陰極に負電圧を完全に放電するために十分大きくなる。この場合、実効デューティサイクル(effective duty cycle)は、MCPへの過度の光電流に起因して、イメージウォッシュアウト(image washout)が発生することを防ぐことと同様に、光電陰極及びMCPの入力面を保護するために、さらに減少する。このように、電源供給装置は、電源供給装置がオートゲーティング(autogated)でないとしても、有用なイメージ及び高光源状態で光電陰極保護を提供できる。
【0017】
第二の電圧源V2及び第三の電圧源V3は、それぞれMCP及び蛍光スクリーンに対する電源であり、イメージインテンシファイアに対する電源供給装置として通常用いられている。ABCと呼ばれる自動輝度調節(automatic brightness control)を用いてもよい。自動輝度調節ABCは、蛍光スクリーン電流を監視するために用いられてもよく、第二の電圧源V2の電圧レベルを減少すると、蛍光スクリーン電流は、所定値を越え始める。第二電圧源V2によって供給された電圧の減少は、適度な高光源状態の蛍光スクリーンからの過度の出力輝度(output brightness)を避けるためMCPにおいて低い電子ゲイン(electron gain)の原因となる。
【0018】
図3は、電源供給装置100aと同様な別の電源供給装置100bを図示する。電源供給装置100bにおいて、電源供給装置100aの光源保護抵抗R1は、電源供給装置100aの抵抗R1よりも低い抵抗を有する、R1’と呼ばれる、比較的低い抵抗の抵抗に直列で、Q1と呼ばれる、デプレッション型MOSFET(depletion−mode MOSFET)を含む定電流シンクに置き換えられる。R1’の値は、MOSFETを通して所望の電流を生成するために設定されてもよく、R1’の値は、一般的に約10メガオームである。電源供給装置100bは、イメージインテンシファイア22が図1の第一の抵抗R1によって提供される漸近(asymptotic)の再充電によって提供されるよりも早く高いゲイン(high gain)に戻れるように、光電陰極の負のピーク電位を高い光源から低い光源へ遷移(transision)する光電陰極の再充電のより早い手段を提供する。第一の抵抗R1を通して光電陰極を充電する電源供給装置100aは、抵抗R1’及びデプレッション型MOSFET Q1を通して光電陰極を充電する電源供給装置100bよりも光電陰極を完全に充電するための期間(終止電圧の99パーセントに到達するための三つの時定数(three time constants))をより長く必要である。それは、同一の初期電流で設定される場合三分の一の時間で直線ランプ(linear ramp)の光電陰極を充電する。
【0019】
図4は、電源供給装置100bと同様な別の電源供給装置100cを図示する。電源供給装置100cにおいて、D3と呼ばれる、ツェナーダイオード(Zener Diode)は、電源供給装置100bのダイオードD1及びD2よりも光電陰極の電圧をクランプするために提供される。ツェナーダイオードD3は、抵抗R1’及びトランジスタQ1にわたって直列に接続される。この実施形態では、抵抗R1’及びトランジスタQ1は、光源保護回路を形成する。しかしながら、抵抗R1(図2)は、これらの構成要素と交換できることが理解される。ツェナーダイオードD3は、光電陰極の波形の負の偏位(negative excursion)がイメージインテンシファイアをアクティブにすることと、高光源状態で有用なイメージを生成することとを続けるために、MCP入力面に対して負の状態を保つように、定電流源にわたって、最大電圧低下を制限する。ツェナーダイオードの電圧クランプ(voltage clamp)が示されている間、他の電圧クランプ回路が代用できることも理解される。
【0020】
図5は、電源供給装置100dの別の実施形態を図示する。電源供給装置100a〜cにおいて、高光源の光電陰極のピーク負電圧は、低い光源(low light)の光電陰極のピーク負電圧によって判定され、クランプ電圧(clamping voltage)よりも少ない。図5の電源供給装置100dにおいて、高光源のピーク負電圧は、所望であれば、二つが独立に調節できるように、低い光源のピーク負電圧から独立している。高光源のピーク負電圧は、BT1と呼ばれる第四の電圧源の値によって判定され、ダイオードD4に直列に連結する、D4と呼ばれるダイオードにわたって小さい順電圧低下(small forward voltage drop)より少ない。第四の電圧源BT1及びダイオードD4は、S3と呼ばれる第三のスイッチによって、第一の電圧源V1の正極に連結する。第三のスイッチS3は、TDC102によって制御されてもよい。
【0021】
使用中に、負電圧は、第一のスイッチS1及び第三のスイッチS3を閉じることによって印加されてもよい。光電陰極のピーク負電圧は、第三のスイッチS3を使用する際に切り替わる第四の電圧源BT1及び第一のスイッチS1を使用する際に切り替わる第一の電圧源V1の組み合わせ(combination)より大きく、コンデンサC1にわたる電圧低下よりも小さい。一実施形態では、第一のスイッチS1及び第三のスイッチS3は、完全な同時性が適切な稼働に必要ないものの、負パルスを生成するために、少なくとも実質的に同時に、閉じたり開いたりする。ダイオードD4、第四の電圧源BT1、及び第三のスイッチS3は直列に接続しているため、それらは、任意の順に配置できる。一連の連結の一端は、MCP入力面につながりがある(tied to)ことを示す。しかしながら、この一端は、例えば、スイッチ制御機能及び駆動機能を実装するために、Vpba又はVpbbのポシティブエンド(positive end)にもつながる。この場合、第四の電圧源BT1は、光電陰極上の正味のピーク負電圧を保証するためのVpba又はVpbbのうちのいずれかよりも多い電圧を実質的に有する。
【0022】
図6は、電源供給装置100eの別の実施形態を図示する。図2〜5に図示された光源保護構成要素を使用することに代えて、光源保護は、自動輝度制御ABCの制御下で第一の電圧源V1及び第二の電圧源V2の振幅を能動的に制御することによって、電源供給装置100eで提供される。第一の電圧源V1の電圧振幅は、直接制御でき、又は、第一の電圧源は、固定された状態を保つことができ、電圧レベルは、ポストレギュレーター(post−regulator)(図示せず)によって変化してもよい。
【0023】
環境光(ambient light)が低い値から増加すると、自動輝度制御ABCは、よいイメージのための好ましいSNRを維持する間、ゲイン(gain)を減少させるために、第二の電圧源V2の振幅を減少させてもよい。環境光が高光源の領域に近づき、多数の信号が存在するとき、SNRが画質のファクター(factor for image quality)をもはや限定しないように、自動輝度制御ABCは、第二の電圧源V2のさらなる減少に代えて又は加えて、第一の電圧源V1の振幅を減少させ始めてもよい。第一の電圧源V1の振幅がイメージインテンシファイア22の必要な高光源解像度を維持するために判定される最低の値に達すると、自動輝度制御ABCは、第一の電圧源V1のさらなる減少を停止し、過度の出力輝度を避けるため、第二の電圧源V2の減少に戻る。代わりに、第一の電圧源V1は、光電陰極電流を感知する別個の制御回路によって制御できる。いずれにしても、環境光が十分に高くなるとき、平均の光電陰極電流は、第一のスイッチS1による光電陰極静電容量の周期的な再充電によって制限され、第一のスイッチS1は、前述したように、短い期間だけ閉じる。光電陰極電流の平均の最大値は、V × C × Fである。ここで、Vは光電陰極に印加されるピーク負電圧であり、Cは、光電陰極の静電容量 + スイッチ及び連結部の浮遊容量(stray capacitance)であり、Fは、第一のスイッチS1の短時間の閉じる頻度である。
【0024】
図7は、本発明の態様に従ったイメージインテンシファイアを調節するための電源供給装置を制御するためのステップのフローチャート700を図示する。フローチャート700のステップは、図2〜6に図示される電源供給装置100a〜eを参照して以下に説明する。フローチャート700のステップを実装するための代替手段の電源供給装置は、この明細書から当業者によって理解されるだろう。さらに、一以上のフローチャート700のステップは、省略されてもよく、及び/又は、ステップは、本発明の精神と範囲から離れない他のステップに対して、異なる順番で、又は、実質的に同時に実行されてもよい。
【0025】
ステップ702において、イメージインテンシファイアの光電陰極は、第一の期間、充電される。一実施形態では、第一のスイッチS1(及び任意に第三のスイッチS3)は、光電陰極を充電するために、第一の電圧源V1(及び任意に第四の電圧源BT1)を、イメージインテンシファイア22の光電陰極に、第一の期間、連結するために閉じられる。スイッチS1(及び任意にスイッチS3)は、第一の期間後に開かれる。
【0026】
ステップ704において、イメージインテンシファイアの光電陰極は、第二の期間、放電される。一実施形態では、第二のスイッチS2は、イメージインテンシファイア22の光電陰極を放電するために、第二の期間、閉じられる。スイッチS2は、第二の期間の後、開けられる。
【0027】
ステップ706において、第一の期間及び第二の期間は、イメージインテンシファイアのデューティサイクル(duty cycle)を調節するために、制御される。一実施形態では、TDC102は、イメージインテンシファイア22のデューティサイクルを調節するために、第一の期間及び第二の期間、それぞれに対して第一のスイッチS2及び第二のスイッチS2(及び任意に第三のスイッチ)を制御する。それは、イメージインテンシファイアに対する性能指数(FOM)を設定する。
【0028】
ステップ708において、イメージインテンシファイアの光電陰極のピーク負電圧は、高光源レベル状態に減少される。一実施形態では、ピーク負電圧は、図2〜6で参照される上述した技術を用いることにより、減少されてもよい。ステップ710において、光電陰極のピーク正電圧は、上限にクランプされる(clamped to an upper limit)。一実施形態では、ピーク正電圧は、図2で参照される上述した技術を用いることによりクランプされてもよい。
【0029】
発明は、特定の実施形態をここで参照して、図示及び説明したものの、発明を開示した詳細に限定する意図はない。むしろ、様々な修正が、発明から逸脱しないで、特許請求の範囲及び特許請求の範囲に均等の範囲内でなされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7