(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
壁裏に設置された配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるべく壁材に第1の透孔及び第2の透孔のいずれか一方を形成する穿孔方法であって、前記第1の透孔は楕円孔からなり、且つ、第2の透孔は複数の円孔が連なった重合孔からなり、
前記配線ボックスの被探知部を壁表から探知するための探知部と、前記第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、前記第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備える探知器を用いて、前記配線ボックスの被探知部の位置を壁表から探知する工程と、
前記探知器により前記被探知部を探知した状態で、前記第1表示部で壁面に第1の透孔の楕円中心位置を表示するとともに、前記複数の第2表示部で壁面に前記第2の透孔の複数の正円中心位置を表示する工程と、
楕円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第1穿孔具を使用する場合、前記第1穿孔具の穿孔中心位置と前記第1表示部で壁面に表示された楕円中心位置とを合致させて、前記第1穿孔具で前記壁材に前記第1の透孔を穿孔し、他方、正円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第2穿孔具を使用する場合、前記第2穿孔具の穿孔中心位置と前記第2表示部で壁面に表示された正円中心位置とを合致させて、前記第2穿孔具で前記壁材に複数の円孔を順に形成して前記第2の透孔を穿孔する工程と、を含むことを特徴とする壁材の穿孔方法。
前記各一対の取付部の中間位置が前記第1の透孔の楕円中心位置に合致し、前記被探知部が前記一対の取付部間の中間位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔方法。
壁裏に設置された配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるべく壁材に第1の透孔及び第2の透孔のいずれか一方を形成し、前記第1の透孔は楕円孔からなり、且つ、第2の透孔は複数の円孔が連なった重合孔からなる、穿孔装置であって、
前記配線ボックスの被探知部を壁表から探知するための探知部と、前記第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、前記第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備え、前記探知部により前記被探知部を探知した状態で前記第1表示部及び前記複数の第2表示部により前記楕円中心位置及び前記複数の正円中心位置の全てを壁面に表示する、探知器と、
楕円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第1穿孔具、及び、正円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第2穿孔具のいずれか一方の穿孔具と、
を備え、
前記第1穿孔具を使用する場合、前記第1穿孔具の穿孔中心位置と前記第1表示部で壁面に表示された楕円中心位置とを合致させて、前記第1穿孔具で前記壁材に前記第1の透孔を穿孔可能であり、他方、前記第2穿孔具を使用する場合、前記第2穿孔具の穿孔中心位置と前記第2表示部で壁面に表示された正円中心位置とを合致させて、前記第2穿孔具で前記壁材に複数の円孔を順に形成して前記第2の透孔を穿孔可能であることを特徴とする穿孔装置。
壁裏に設置される配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるように壁材に、楕円孔である第1の透孔、及び、複数の円孔が連なった重合孔である第2の透孔のいずれか一方を形成すべく、第1の透孔の楕円中心位置及び第2の透孔の複数の円中心位置を壁面に表示するための穿孔中心位置表示装置であって、
壁表から探知される被探知部を有する配線ボックスと、
前記配線ボックスの前記被探知部を壁表から探知するための探知部と、前記第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、前記第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備え、前記探知部により前記被探知部を探知した状態で前記第1表示部及び前記複数の第2表示部により前記楕円中心位置及び前記複数の正円中心位置の全てを壁面に表示する、探知器と、を備えることを特徴とする穿孔中心位置表示装置。
壁材に、楕円孔である第1の透孔、及び、複数の円孔が連なった重合孔である第2の透孔のいずれか一方を穿孔して壁裏に設置された配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を前記第1及び第2の透孔を介して壁表に臨ませるべく、壁表から前記配線ボックスを探知するための探知器であって、
壁表から前記配線ボックスの被探知部を探知するための探知部と、
前記第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、
前記第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部と、を備え、
前記探知部により前記被探知部を探知した状態で前記第1表示部及び前記複数の第2表示部により前記楕円中心位置及び前記複数の正円中心位置の全てを壁面に表示することを特徴とする探知器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の配線ボックスには、複数の円孔を重合させて透孔を穿設するように、正円穿孔式の穿孔具のための穿孔中心位置を決定すべく、被探知部が配線ボックスの開口部の中心位置から偏心した位置に配置されている。この被探知部が磁気探知器で探知され、探知位置に基づいて複数の円孔の中心位置(穿孔位置)が定められる。しかしながら、その偏心した被探知部の位置に基づいて、楕円穿孔式の穿孔具用の穿孔中心位置を正確且つ簡単に定めることができない。他方、特許文献2の配線ボックスには、楕円孔からなる透孔を穿設するように、楕円穿孔式の穿孔具のための穿孔中心位置を決定すべく、被探知部が配線ボックスの開口部の略中心位置に配置されている。この被探知部が磁気探知器で探知され、楕円孔の中心位置(穿孔位置)が定められる。しかしながら、その中心に形成された被探知部の位置に基づいて、正円穿孔式の穿孔具用の穿孔中心位置を正確且つ簡単に定めることができない。すなわち、配線ボックスは、被探知部の形成位置により、(複数の円孔の)重合孔を穿設するタイプと、楕円孔を穿設するタイプの少なくとも2種類に分別されている。
【0007】
そして、壁面への穿孔位置を正確且つ簡単に定めるためには、設置されている配線ボックスの種類によって正円穿孔式及び楕円穿孔式の2種類の穿孔具を使い分けることが必要であった。特には、配線ボックスは隠蔽された壁裏空間に設置されるものであるため、作業者は、どちらの種類の配線ボックスが設置されているのかが分からず、穿孔位置を間違える虞があった。そして、少なくとも穿孔具と配線ボックスとの不整合を未然に防止するために、作業者は、2種類の穿孔具を事前に準備して常時携帯して現場に赴かなければならなかった。その結果、作業者の(肉体的及び経済的な)負担が大きくなるという問題があった。したがって、壁裏に設置された配線ボックスの被探知部の位置に応じて、正円穿孔式及び楕円穿孔式の穿孔具のいずれの穿孔具を用いても、配線ボックスを壁表に臨ませるように壁材に透孔を形成することができる穿孔方法等が求められている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、楕円穿孔式及び正円穿孔式のいずれの穿孔具を使用しても壁材に透孔を簡単に穿設することを可能とする壁材の穿孔方法、穿孔装置、配線器具設置装置、穿孔中心位置表示装置及び探知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の壁材の穿孔方法は、壁裏に設置された配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるべく壁材に第1の透孔及び第2の透孔のいずれか一方を形成する穿孔方法であって、第1の透孔は楕円孔からなり、且つ、第2の透孔は複数の円孔が連なった重合孔からなり、
配線ボックスの被探知部を壁表から探知するための探知部と、第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備える探知器を用いて、配線ボックスの被探知部の位置を壁表から探知する工程と、
探知器により被探知部を探知した状態で、第1表示部で壁面に第1の透孔の楕円中心位置を表示するとともに、複数の第2表示部で壁面に第2の透孔の複数の正円中心位置を表示する工程と、
楕円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第1穿孔具を使用する場合、第1穿孔具の穿孔中心位置と第1表示部で壁面に表示された楕円中心位置とを合致させて、第1穿孔具で壁材に第1の透孔を穿孔し、他方、正円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第2穿孔具を使用する場合、第2穿孔具の穿孔中心位置と第2表示部で壁面に表示された正円中心位置とを合致させて、第2穿孔具で壁材に複数の円孔を順に形成して第2の透孔を穿孔する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の壁材の穿孔方法は、請求項1に記載の穿孔方法において、各一対の取付部の中間位置が第1の透孔の楕円中心位置に合致し、被探知部が一対の取付部間の中間位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の穿孔装置は、壁裏に設置された配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるべく壁材に第1の透孔及び第2の透孔のいずれか一方を形成し、第1の透孔は楕円孔からなり、且つ、第2の透孔は複数の円孔が連なった重合孔からなる、穿孔装置であって、
配線ボックスの被探知部を壁表から探知するための探知部と、第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備え、前記探知
部により被探知部を探知した状態で
第1表示部及び複数の第2表示部により楕円中心位置及び複数の正円中心位置の全てを壁面に表示する、探知器と、
楕円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第1穿孔具、及び、正円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第2穿孔具のいずれか一方の穿孔具と、
を備え、
第1穿孔具を使用する場合、第1穿孔具の穿孔中心位置と第1表示部で壁面に表示された楕円中心位置とを合致させて、第1穿孔具で壁材に第1の透孔を穿孔可能であり、他方、第2穿孔具を使用する場合、第2穿孔具の穿孔中心位置と第2表示部で壁面に表示された正円中心位置とを合致させて、第2穿孔具で壁材に複数の円孔を順に形成して第2の透孔を穿孔可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の穿孔装置は、請求項3に記載の穿孔装置において、壁面における配線ボックスの被探知部の位置と、第1の透孔の楕円中心位置とが合致することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の配線器具設置装置は、配線器具を壁材に対して設置するための配線器具設置装置であって、
配線器具を取り付けるための一対の取付部、及び、壁表から探知される被探知部を有し、壁材に形成される第1の透孔又は第2の透孔から一対の取付部が壁表に臨むように壁裏に設置され、第1の透孔が楕円孔であり、且つ、第2の透孔が複数の円孔が連なった重合孔である、配線ボックスと、
配線ボックスの被探知部を壁表から探知するための探知部と、第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備え、前記探知
部により被探知部を探知した状態で
第1表示部及び複数の第2表示部により楕円中心位置及び複数の正円中心位置の全てを壁面に表示する、探知器と、
第1の透孔を穿孔すべく、第1表示部で壁面に表示された楕円中心位置を穿孔中心位置として楕円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第1穿孔具、及び、第2の透孔を穿孔すべく、第2表示部で壁面に表示された正円中心位置を穿孔中心位置として正円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第2穿孔具のいずれか一方の穿孔具と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の穿孔中心位置表示装置は、壁裏に設置される配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるように壁材に、楕円孔である第1の透孔、及び、複数の円孔が連なった重合孔である第2の透孔のいずれか一方を形成すべく、第1の透孔の楕円中心位置及び第2の透孔の複数の円中心位置を壁面に表示するための穿孔中心位置表示装置であって、
壁表から探知される被探知部を有する配線ボックスと、
配線ボックスの被探知部を壁表から探知するための探知部と、第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備え、前記探知部により被探知部を探知した状態で
第1表示部及び複数の第2表示部により楕円中心位置及び複数の正円中心位置の全てを壁面に表示する、探知器と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の探知器は、壁材に、楕円孔である第1の透孔、及び、複数の円孔が連なった重合孔である第2の透孔のいずれか一方を穿孔して壁裏に設置された配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を第1及び第2の透孔を介して壁表に臨ませるべく、壁表から配線ボックスを探知するための探知器であって、
壁表から配線ボックスの被探知部を探知するための探知部と、
第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、
第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部と、を備え、
探知部により被探知部を探知した状態で
第1表示部及び複数の第2表示部により楕円中心位置及び複数の正円中心位置の全てを壁面に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、探知器の探知部により配線ボックスの被探知部を探知した状態で、第1表示部で壁面に第1の透孔の楕円中心位置(第1穿孔中心位置)を表示するとともに、複数の第2表示部で壁面に第2の透孔の複数の正円中心位置(第2穿孔中心位置)を表示することによって、壁材に第1及び第2の透孔の両方を穿孔可能とする各穿孔中心位置を同時に壁面上に表示することができる。これにより、第1及び第2穿孔具のいずれか使用される穿孔具に応じて、第1の透孔の楕円中心位置及び第2の透孔の複数の正円中心位置の一方を選択し、簡単に壁材に透孔を穿設し、配線ボックスを壁表に適切に臨ませることができる。したがって、本発明は、楕円穿孔式及び正円穿孔式のいずれの穿孔具を使用しても、壁材に透孔を簡単に穿設することを可能とするものである。
【0017】
本発明の別実施形態によれば、上記効果に加えて、一対の取付部の中間位置が第1の透孔の楕円中心位置に合致していることにより、楕円中心位置に対して上下対称となる位置で一対の取付部を適切に露出させることができる。さらに、配線ボックスの被探知部及び楕円中心位置が合致していることにより、探知器の探知部で被探知部を探知する位置と、探知器の第1表示部で楕円中心位置を表示する位置とが同じ位置となり、作業者が直感的に探知器を操作することができ、探知器の良好な使用感を実現する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0020】
(実施例1)
本発明の一実施形態では、壁材Wに隠蔽状態で設置された配線ボックス170を壁表に臨ませるべく壁材Wに第1の透孔H1及び第2の透孔H2のいずれか一方を形成する。第1の透孔H1は、楕円(又は長円)孔である。この「楕円」形状は、矩形に近い長円形状をも含む概念である。他方、第2の透孔H2は、複数の(2つの)円孔が連なった重合孔である。本発明の一実施形態の穿孔装置は、壁材Wに設置された配線ボックス170を壁表に臨ませるべく壁材Wに第1の透孔H1及び第2の透孔H2のいずれか一方を選択して形成するための装置である。該穿孔装置は、探知器110と、第1穿孔具130及び第2穿孔具150のいずれかの穿孔具とからなる。また、一実施形態の配線器具設置装置は、壁材Wに第1の透孔H1又は第2の透孔H2を穿設して壁表に配線ボックス170を臨ませて配線器具Eを壁材Wに対して設置するための装置である。該配線器具設置装置は、探知器110と、第1穿孔具130及び第2穿孔具150のいずれかの穿孔具と、配線ボックス170とからなる。さらに、穿孔中心位置表示装置は、壁材Wに第1の透孔H1又は第2の透孔H2のいずれかを選択して穿設可能とすべく第1の透孔H1及び第2の透孔H2の穿孔中心位置C1、C2を全て壁面に表示するための装置である。該穿孔中心位置表示装置は、探知器110と、配線ボックス170とからなる。以下、各装置を構成する各部材について詳細に説明する。
【0021】
図1〜
図4を参照して、本発明の一実施形態の探知器110を説明する。
図1(a)(b)は、該探知器110の前方(正面)からの斜視図、及び、後方(背面)からの斜視図である。また、
図2(a)〜(c)は、該探知器110の正面図、側面図及び平面図である。さらに、
図3(a)、(b)は、該探知器110のA−A断面図及びB−B断面図である。そして、
図4は、該探知器110の分解斜視図である。
【0022】
図1及び
図2に示すとおり、一実施形態の探知器110は、中空の筐体111と、該筐体111内に配置された探知板112と、該探知部112に取り付けられた磁石である探知部113と、該筐体111の前端に設けられ、壁面に宛がわれる摺接部114と、を備える。該筐体111は、透明の樹脂(本実施形態ではポリスチレン)からなる中空体であり、左右側壁111a、上下側壁111b、前壁111c及び後壁111dで包囲されてなる。
【0023】
この筐体111の側面視において、左右側壁111aは、一方(前壁111c)側の矩形状部分と、他方(後壁111d)側の半円形状部分とが組み合わさってなる。そして、左右側壁111a、上下側壁111b及び前壁111cが平坦面として形成され、且つ、筐体111の後壁111dが湾曲面として形成されている。この筐体111の後壁111dの湾曲面の上方及び下方には、一対の十字形状の照準部118が形成されている。また、筐体111の前端縁において、左右側壁111a及び上下側壁111bの略中央から罫書き部119aが突出形成されている。この罫書き部119aは一対の突起であり、該罫書き部119aを壁面に押し付けることにより、壁面を凹ませて印を付すことができる。さらに、
図2に示すように、筐体111の左右側壁111aの外面には、その他端から略中央にかけて凹凸状の把持部119bが設けられている。この把持部119bは、作業者に把持されたときに滑り止めとして機能する。なお、説明の便宜上、
図1には、把持部119bを描写していない。
【0024】
そして、
図3(a)に示すとおり、筐体111側面視における矩形状部分と半円形状部分との境界において、探知板112を支持するための支持部111eが筐体111内に設けられている。該支持部111eは、筐体111の左右側壁111a及び上下側壁111bに対して垂直に延在する(又は前壁111cに平行に延在する)薄板であり、左右側壁111a及び上下側壁111bに一体的に形成されている。支持部111eには、上下側壁111b間に延びる幅狭のスリット111fが形成されており、該スリット111fの略中央で左右側壁111a方向に支持軸111gが延びている。そして、該スリット111f内に探知板112が配置され、筐体111内で支持軸111gによって該探知板112が軸支されている。
【0025】
探知板112は、側面視円形状の外周縁を有する不透明な樹脂製(本実施形態ではポリスチレン)の円板である。該探知板112は、その外周縁の前端側から前方に短筒状に突出した短筒部112aと、支持軸111gが挿通された軸孔112bと、該短筒部112aの反対側の外周縁で切り欠かれた一対の切り込み112cとを有する。該短筒部112aの内部には探知部113として磁石が組み込まれている。この磁石は、高い磁力を有する希土類磁石(例えば、ネオジム磁石)であり、筐体111の外壁を介して外部の磁石に応答可能である。また、該探知板112において、その重心が中心から偏位しないように、短筒部112a近傍の肉部が切り欠かれているとともに、反対側の肉部が肉厚に構成されている。つまり、探知板112の形状は、探知部113をコンパスのように機能させるべく均衡状態で軸支されるように設計されている。
【0026】
探知板112は、支持軸111gを中心にその周方向(
図3(a)の矢印方向)に回転可能であり、且つ、支持部111eのスリット111fを軸として左右側壁111a方向(
図3(b)の矢印方向)に傾動可能である。つまり、探知部113は、外部磁力に反応して、上下方向及び左右方向の2方向に回動することができる。そして、探知部113が前壁111cの中心位置に移動したとき、探知板112の切り欠き112cの位置と、筐体111の照準部118の中心位置とが合致する。すなわち、後述するように、探知板112の切り欠き112cの位置と、筐体111の照準部118の中心位置とを合致させることにより、配線ボックス170の被探知部173の位置を探知部113で探知することができる。
【0027】
また、
図3(a)に示すとおり、筐体111の前壁111cの中心には、第1表示部115が前方に向けて突出形成されている。この第1表示部115は、先端が鋭利な四角錐であり、筐体111の前壁111cに一体成形されてなる。そして、該第1表示部115が壁材Wに押し付けられることにより、壁材Wに凹み又は傷を付けることができる。また、該第1表示部115の上方及び下方で、2つの第2表示部116が前方に向けて突出形成されている。各第2表示部116は、左右側壁111a間の中間に位置し、第1表示部115から等距離dで離隔した位置にそれぞれ配置されている。すなわち、第1表示部115及び一対の第2表示部116は、左右側壁111aの中間で一直線上に整列している。第2表示部116は、第1表示部115と同様に先端が鋭利な四角錐である。該第2表示部116は、第1表示部115と異なり、筐体111の前壁111cに一体成形されたものではなく、筐体111の前壁111cに接着剤等で固定された板体114aに一体形成されている。該板体114aは、筐体111の前壁111cと正面視同一の形状寸法を有している。該板体114aの略中央には貫通孔が形成され、該貫通孔を第1表示部115が貫通するとともに板体114aの外面に突出している。なお、板体114aは、筐体111よりも硬質な樹脂(本実施形態ではポリカーボネート)から成形されたものである。すなわち、第2表示部116は第1表示部115よりも硬質である。
【0028】
そして、探知器110の前壁111c側には、配線ボックス170の探索の際、壁材Wに宛がわれる摺接部114が設けられている。この摺接部114は、筐体111に固定された板体114aと、該板体114aの外面に接着された緩衝体114bと、から構成されてなる。この緩衝体114bは、発泡ポリエチレンからなる柔らかいクッションシートである。後述するとおり、配線ボックス170の被探知部173を探索するときに摺接部114の緩衝体114bが壁面に直接的に摺接し、探知後、探知器110が壁材Wに押し付けられることにより、緩衝体114bが変形して第1及び第2表示部115、116が壁面に圧接して、壁面を凹み又は傷でマーキングする。そして、第1表示部115が第1の透孔H1を穿設するための楕円中心位置C1を表示する。他方、第2表示部116が第2の透孔H2を穿設するための複数(2つ)の正円中心位置C2を表示する(
図15参照)。
【0029】
図4は、本実施形態の探知器110の分解斜視図である。
図4を参照して、探知器110を組み立てる工程を説明する。
図4に示すとおり、筐体111は、一対の分割体111’からなる。また、磁石である探知部113が探知板112の短筒部112a内に接着剤等で固定される。そして、該筐体111に対して、別体である探知板112、支持軸111g、板体114a及び緩衝体114bが組み付けられる。
図4において、支持軸111gが探知板112の軸孔112bに挿通される。そして、探知板112がスリット111f内に収容され、且つ、該探知板112を貫通する支持軸111gが支持部111eの分割縁上の溝(凹条)に収容される。この状態で、筐体111の分割体111’の接合端面が嵌合式に組み合わされて接着されることにより、筐体111内に探知板112が回動可能に組み付けられる。そして、第1表示部115が板体114a中央の貫通孔を貫通するように、筐体111の前壁111cに板体114aが固定される。最後に、板体114aの外面に緩衝体114bが接着されることにより、探知器110が組み立てられる。
【0030】
次に、
図5〜
図7を参照して、本発明の一実施形態の楕円穿孔式の第1穿孔具130を説明する。
図5は、該第1穿孔具130の斜視図である。
図6(a)(b)は、該第1穿孔具130の正面図及び平面図である。
図7は、穿孔時の該第1穿孔具130を示す断面図である。
【0031】
図5に示すとおり、当該第1穿孔具130は、穿孔具本体131と、所定の穿孔軌跡を有する穿孔刃132と、位置決め軸133と、係合軸134と、切削深さ調整部135と、回転駆動軸136と、環状当接面137と、ロック部138と、水準器139と、を備える。本実施形態において、第1穿孔具130の穿孔刃132側を前方、且つ、その反対側を後方として定義する。
【0032】
当該第1穿孔具130の前端には、穿孔時に壁材Wに当接可能な環状の環状当接面137が形成されている。そして、この環状当接面137の内側には、縦長の小判型の楕円(長円)形状の穿孔軌跡を有する複数の鋸刃からなる穿孔刃132が形成されている。この穿孔刃132の穿孔軌跡の中心には、先端が尖った位置決め軸133が配置されている。すなわち、この位置決め軸133先端が第1の透孔H1のための第1穿孔中心位置に配置される。この位置決め軸133は、
図6(b)に示すようにバネで環状当接面137の前方に突出するように付勢されており、その先端が後方に押圧されたとき(例えば、位置決め軸133の先端が壁面に押し付けられたとき)後方に引っ込むように変位する。
【0033】
該穿孔刃132及び係合軸134は、回転駆動軸136と連動するように構成されている。また、穿孔具130の後端に設けられた回転駆動軸136を所定量、前方(穿孔方向)に押し込むと、穿孔刃132及び係合軸134が所定量だけ突出する。さらに、回転駆動軸136の回転が穿孔刃132及び係合軸134に伝達され、当該回転駆動軸136に入力される回転に従って、穿孔刃132及び係合軸134が共に回転する。そして、切削深さ調整部135が穿孔刃132及び係合軸134の突出量を制限可能であり、当該切削深さ調整部135を回転させて、その目盛り135aに合わせることによって切削深さを調整することができる。また、ハウジングとしての穿孔具本体131を開閉可能にロックするロック部138が穿孔具本体131の両側部に設けられている。
【0034】
第1穿孔具130の穿孔具本体131の上面には、
図5及び
図6(b)に示されているとおり、液体式の水準器139が設置されている。該水準器139は、楕円孔を傾かせずに正確に穿孔するために用いられる。この水準器139は、穿孔具本体131上で回転可能に固定された回転台139aと、当該回転台139a上に搭載された液体(オイル)を密封する筒体139bと、当該筒体139bに刻印された目盛り139cと、水準器139の傾きに応じて当該目盛り139c上を移動する気泡139dとを備える。この目盛り139cの内側に気泡139dが位置するように第1穿孔具130の姿勢を水平方向に調節及び維持する。
【0035】
図6(b)に示すとおり、この筒体139bは回転台139a上で回転可能であるとともに、穿孔具本体131及び回転台139aの係合関係(図示せず)により、1/8回転(45度)ごとに係止される。つまり、筒体139bは、穿孔具本体131の上面において、左右方向、前後方向及び斜め方向に沿って3つの配置をとり得る。例えば、筒体139bが左右方向に沿って配置された場合、気泡139dが目盛り139cの内側に位置していると、穿孔刃132の穿孔軌跡の短軸が水平方向に維持される。また、筒体139bが前後方向に沿って配置された場合、気泡139dを目盛り139cの内側に位置していると、第1穿孔具130の前後軸(すなわち、位置決め軸133、回転駆動軸136等)が水平方向に維持される。さらに、筒体139bが斜め方向(前後軸から45度)に沿って配置された場合、気泡139dが目盛り138cの内側に位置していると、穿孔刃132の短軸及び第1穿孔具130の前後軸の両方が同時に水平方向に維持される。これら水準器139の3つの配置は第1穿孔具130の使用状況に応じて使い分け可能である。
【0036】
図7は、壁材Wに穿孔している状態の本実施形態の第1穿孔具130の断面図である。当該第1穿孔具130で穿孔する際、まず形成する楕円形(第1の透孔H1)の穿孔中心位置に位置決め軸133を合わせ、且つ、水準器139を使用して第1穿孔具130の姿勢を水平に維持する。そして、水平姿勢のまま、第1穿孔具130の環状当接面137を壁面に押し付けると、位置決め軸133が後方に引っ込む。この状態で、回転駆動軸136に取り付けられた電動工具U(例えば、電気ドリル、電動ドライバー)を駆動させると共に第1穿孔具130(または電動工具U)を前方に押し込むと、
図7に示すとおり、穿孔刃132及び係合軸134が回転しながら壁材W内部にめり込んで前進する。係合軸134が壁材Wの切削片に食い込んで係合しているので、穿孔刃132の回転と共に切削片が回転して剥がれることなどを防止し、バリ等がないきれいな穿孔を安定して形成できる。そして、穿孔刃132を壁材Wの裏面に抜けるまで前進させると、穿孔刃132の穿孔軌跡に対応する楕円形状の穿孔が壁材Wに穿設される。ここで説明した穿孔機構は、特許文献1(特開2010−221303号公報)の穿孔具と部分的に共通しているため、その構造的な説明を一部省略する。なお、回転駆動軸136を駆動する手段として電動工具Uを挙げているが、手動の回転駆動手段を用いてもよい。あるいは、穿孔刃が回転しなくても壁材を穿孔(打ち抜き)可能に構成されていれば、回転駆動軸及び回転駆動手段を省略してもよい。
【0037】
次いで、
図8〜
図10を参照して、本発明の一実施形態の正円穿孔式の第2穿孔具150を説明する。
図8は、該第2穿孔具150の斜視図である。
図9(a)(b)は、該第2穿孔具150の正面図及び平面図である。
図10は、穿孔時の該第2穿孔具150を示す断面図である。
【0038】
図8に示すとおり、第2穿孔具150は、穿孔具本体151と、正円状の穿孔軌跡の穿孔刃152と、その穿孔中心に位置する位置決め軸153と、切削深さ調整部155と、回転駆動軸156と、環状当接面157と、を備える。
【0039】
該第2穿孔具150の前端には、穿孔時に壁材Wに当接可能な正円環状の環状当接面157が形成されている。そして、この環状当接面157の内側には、回転して正円形状の穿孔軌跡を描く一対の穿孔刃152が形成されている。
図9(a)に示すとおり、穿孔刃152は、その中心(位置決め軸153)から等距離(r/2)に位置する2つの単刃からなり、回転駆動軸156の回転に伴って、1つの正円状の穿孔軌跡を描くように構成されている。この第2穿孔具150には、これら穿孔刃152間の距離r(穿孔径)を調節可能な穿孔径調整機構158が設けられており、この穿孔径調整機構158を目盛りに従って操作する(すなわち、つまみを回す)ことにより、各穿孔刃152が互いに近接又は離隔し、穿孔直径rを所望の値に設定することができる。
【0040】
この穿孔刃152の穿孔軌跡の中心には、位置決め軸153が配置されている。すなわち、位置決め軸153は、第2の透孔H2の各正円中心位置C2に配置される。該位置決め軸153は、ドリル状の先端部を有し、穿孔刃152と共に回転して壁材Wに侵入可能に構成されている。また、第2穿孔具150の後端に設けられた回転駆動軸156を所定量、前方(穿孔方向)に押し込むと、穿孔刃152及び位置決め軸153が所定量だけ突出する。さらに、回転駆動軸156の回転が穿孔刃152及び位置決め軸153に伝達され、当該回転駆動軸156に入力される回転に従って、穿孔刃152及び位置決め軸153が共に回転する。そして、切削深さ調整部155が穿孔刃152及び位置決め軸153の突出量を制限可能であり、当該切削深さ調整部155を回転させて、その目盛りを合わせることによって切削深さを調整することができる。
【0041】
図10は、壁材Wに穿孔している状態の本実施形態の第2穿孔具150の断面図である。当該第2穿孔具150で穿孔する際、まず形成する正円形(第2の透孔H2)の穿孔中心位置に位置決め軸153を合わせる。なお、第2穿孔具150の穿孔軌跡は正円なので、水準器でその傾きを調整する必要がない。そして、第1穿孔具150の環状当接面137を壁面に押し付けると、位置決め軸153が回転駆動軸156とともに後方に引っ込む。この状態で、回転駆動軸156に取り付けられた電動工具U(例えば、電気ドリル、電動ドライバー)を駆動させると共に第2穿孔具150(または電動工具U)を前方に押し込むと、
図10に示すとおり、穿孔刃152及び位置決め軸153が回転しながら壁材W内部に食い込んで前進する。そして、穿孔刃152の先端が壁材Wの裏面に抜けるまで前進させると、穿孔刃152の穿孔軌跡に対応する正円形状の穿孔が壁材Wに穿設される。なお、回転駆動軸136を駆動する手段として電動工具Uを挙げているが、手動の回転駆動手段を用いてもよい。あるいは、穿孔刃が回転しなくても壁材を穿孔(打ち抜き)可能に構成されていれば、回転駆動軸及び回転駆動手段を省略してもよい。
【0042】
続いて、
図11及び
図12を参照して、本発明の一実施形態の配線ボックス170を説明する。
図11は、該配線ボックス170の斜視図である。
図12(a)〜(c)は、該配線ボックス170の正面図、側面図及び平面図である。
【0043】
図11及び
図12に示すとおり、配線ボックス170は、底壁及び周壁からなる矩形状の筺体であり、その前面に開口部171を有する。該配線ボックス170は、開口部171の周縁の上方及び下方に設けられた一対の取付部172と、底壁から開口部171側に延びる被探知部173と、壁裏の造営材に直接的又は間接的に固定される(正面視左側の側壁の)被固定部174と、を備える。一対の取付部172は、コンセントやスイッチ等の配線器具を取り付けるためのビス孔として構成されている。また、被探知部173は、正面視において開口部171の中心位置に配置されている。当該被探知部173は、配線ボックス170の底壁から前面開口部171側に向かって突起しており、この突起部先端で保持された磁石173aを有する。この磁石173aは、高い磁力を有する希土類磁石(例えば、ネオジム磁石)であり、壁材Wを介して壁表に作用可能である。後述するとおり、当該磁石173aから漏れ出す磁界を探知器110で壁表から探知することが可能である。そして、被探知部173の位置が、第1の透孔H1の楕円中心位置C1に合致する。一般的に、該配線ボックス170は、壁材Wに楕円孔を穿孔すべく、楕円穿孔式の穿孔具用に設計されている。
【0044】
図13(a)(b)は、壁裏に設置された配線ボックス170に壁材Wを介して配線器具(図示せず)を配設可能に構築された第1設置構造11及び第2設置構造12を示す。
図13(a)に示すとおり、第1設置構造11では、縦長の楕円形状の第1の透孔H1が壁材Wに穿設され、該第1の透孔H1を介して、配線ボックス170の開口部171及び一対の取付部172が壁表に臨んでいる。他方、
図13(b)に示すとおり、第2設置構造12では、2つの円孔が連なって重合した第2の透孔H2が壁材Wに穿設され、該第2の透孔H2を介して、配線ボックス170の開口部171及び一対の取付部172が壁表に臨んでいる。すなわち、第1設置構造11及び第2設置構造12の両方が配線器具を取付可能に構成されている。このように、配線ボックス170を壁表に臨ませるように第1設置構造11及び第2設置構造12のいずれか一方が選択され、配線器具が壁材Wに対して配設される。
【0045】
次に、上述した探知器110、第1穿孔具130又は第2穿孔具150、及び、配線ボックス170を用いて、壁材Wに第1の透孔H1又は第2の透孔H2を選択的に形成し、配線器具を壁材Wに取り付けるために第1設置構造11又は第2設置構造12を構築する方法(又は穿孔方法)を説明する。
【0046】
まず、図示しないが、壁裏空間の造営材(間柱)に間接的又は直接的に配線ボックス170を固定する。そして、配線ボックス170の開口部171を壁材W裏面に近接させるように、壁材Wを造営材に対して立設する。これにより、配線ボックス170が壁裏において壁材Wの所定位置に設置される。
【0047】
次いで、
図14(a)(b)に示すとおり、壁表から壁材Wの壁面に探知器110の摺接部114を宛がって、壁裏の配線ボックス170の被探知部173の位置を探索する。より詳細には、緩衝体114bを介して、壁材Wの壁面に探知器110の摺接部114を当接させると、磁石である探知部113が壁裏の配線ボックス170の被探知部173(磁石173a)に誘引される。この磁石同士の引力により、
図14(a)(b)の仮想線で示したとおり、探知板112が支持軸111gを中心に回動するとともに、スリット111fを軸として傾動して、探知部113が被探知部173の方向をコンパスのように指し示す。該探知部113が指し示す方向に向けて、探知器110を壁面に沿って摺動させることにより、被探知部173を探索する。そして、
図14(a)(b)の実線で示すように、探知部113が被探知部173を探知すると、探知部113が筐体前壁111cの中心に位置し、且つ、探知板112の切り込み112cが照準部118中心に位置する。
【0048】
このように、探知部113で被探知部173を探知した状態で、探知器110を水平姿勢に維持する(上下側壁111bを水平に保つ)。このとき、第1表示部115が配線ボックス170の被探知部173の真正面に位置し、2つの第2表示部116は、該第1表示部115から壁材Wの鉛直方向の両側に所定距離dで離隔した位置にある。そして、この探知した姿勢を維持しつつ、探知器110を壁材Wに対して押し付けることにより、摺接部114の緩衝体114bが押し潰され、錐状の第1表示部115及び第2表示部116が壁材Wに食い込む。このとき、力を面内に均一にかけることが難しいため、真ん中の第1表示部115よりも側方の第2表示部116に対する負荷 が大きい。該探知器110では、第2表示部116が第1表示部115よりも硬質であることにより、より負担がかかり易い第2表示部116の強度を強化し、その耐久性を効果的に向上させたものである。
【0049】
その結果、
図15に示すように、壁材Wの壁面に3つの穿孔中心位置(凹み)C1,C2、C2がマーキングされる。第1穿孔中心位置C1は、探知器110の第1表示部115によって表示され、第1の透孔H1の楕円中心位置に合致する。他方、第2穿孔中心位置C2は、探知器110の第2表示部116によって表示され、第2の透孔H2の2つの円孔の正円中心位置にそれぞれ合致する。そして、第1穿孔中心位置(楕円中心位置)C1と各第2穿孔中心位置(正円中心位置)C2とが距離dで離隔している。該距離dは、第1表示部115及び第2表示部116の間の距離dに対応している。一般的に、配管ボックス170の寸法は規格によって定められている。そのため、第1表示部115及び第2表示部116の相対位置(すなわち距離d)は、配管ボックス170の規格寸法に基づいて予め決定可能である。
【0050】
図15に示したとおり、探知器110によって、壁材Wの壁面には、楕円孔として第1の透孔H1を穿設するための楕円中心位置C1、及び、正円重合孔として第2の透孔H2を穿設するための複数の正円中心位置C2が表示された。この時点で、第1穿孔中心位置C1及び第2穿孔中心位置C2のいずれかに基づいて、第1の透孔H1及び第2の透孔H2を選択して穿孔可能である。
【0051】
続いて、作業者は、楕円形状に穿孔可能な第1穿孔具130、及び、正円形状に穿孔可能な第2穿孔具150のいずれか一方を準備する。このとき、作業者が片方の穿孔具のみを保有している場合には、保有する穿孔具を準備すればよい。あるいは、作業者が両方の穿孔具を保有している場合、壁材Wの種類等に応じて、いずれかの穿孔具を使用するかを選択して準備する。例えば、壁材Wが比較的硬質な木製合板(所謂コンパネ)である場合には、楕円穿孔式の第1穿孔具130を選択すると、その鋸歯状の穿孔刃132で壁材Wを穿孔することが困難であり且つ作業に時間を要することが知られている。このような場合、正円穿孔式の単刃状の第2穿孔具150を選択することが好ましい。あるいは、壁材Wが比較的柔らかい石膏ボードの場合には、正円穿孔式の第2穿孔具150を選択すると、少なくとも2つの正円を壁材Wに穿孔しなければならないので、第1穿孔具130と比べて穿孔作業により多くの時間がかかる。このような場合、楕円穿孔式の第1穿孔具130を使用することが好ましい。つまり、作業者は、その状況等に応じて、穿孔具を任意に使用することができる。
【0052】
そして、作業者が第1穿孔具130を使用する(又は第1穿孔具130のみを保有する)場合、第1穿孔具130の穿孔軌跡中心を示す位置決め軸133と楕円中心位置C1とを合致させて、第1穿孔具130で壁材Wに楕円形状の第1の透孔H1を穿孔する。これにより、
図13(a)で示した第1設置構造11が構築される。他方、作業者が第2穿孔具150を使用する(又は第2穿孔具150のみを保有する)場合、第2穿孔具150の穿孔軌跡中心を示す位置決め軸153と正円中心位置C2とを合致させて、第2穿孔具150で壁材Wに複数(2つ)の円孔を順に形成して第2の透孔H2を穿孔する。これにより、
図13(b)で示した第2設置構造12が構築される。このように、作業者は、第1及び第2穿孔具130、150を任意に用いて、第1の透孔H1又は第2の透孔H2のいずれかを選択して穿設し、配線ボックス170の開口部171及び一対の取付部172を壁表に臨ませることができる。そして、被探知部173の磁石173a(又は被探知部173全体)を除去することにより、壁材Wを介して配線器具を配線ボックス170(取付部172)に配設すべく、第1及び第2設置構造11、12を選択的に構築することができる。最後に、構築された第1及び第2設置構造11、12において、一対の取付部172に対して配線器具(図示せず)をビスで固定することにより、壁材Wに対して配線器具を設置することができる。なお、ここで説明した方法は、一例にすぎず、当業者であれば、各工程の順序を入れ替え、又は、状況に応じて不要な工程を省略することも可能である。
【0053】
以下、本発明に係る一実施形態の壁材の穿孔方法、穿孔装置、配線器具設置装置、穿孔中心位置表示装置及び探知器110の作用効果について説明する。
【0054】
本発明の一実施形態の穿孔方法(穿孔装置、配線器具設置装置、穿孔中心位置表示装置及び探知器110)では、探知器110の探知部113により配線ボックス170の被探知部173を探知した状態で、探知器110の第1表示部115で壁材Wの壁面に第1の透孔H1を構成する楕円孔の楕円中心位置C1を表示するとともに、複数(2つ)の第2表示部116で壁材Wの壁面に第2の透孔H2を構成する複数(2つ)の円孔の正円中心位置C2を表示することによって、壁材Wに第1及び第2の透孔H1、H2の両方を穿孔可能とする各穿孔中心位置C1、C2を同時に壁面上に表示することができる。これにより、第1穿孔具130及び第2穿孔具150のうちの任意に使用される穿孔具に応じて、第1の透孔H1の楕円中心位置C1及び第2の透孔H2の複数の正円中心位置C2のうちの一方を選択し、簡単に壁材Wに透孔を穿設し、配線ボックス170を壁表に適切に臨ませることができる。例えば、作業者が円穿孔式の第1穿孔具130及び楕円穿孔式の第2穿孔具150のいずれか片方しか所有していない場合でも、第1及び第2透孔H1、H2の穿孔中心位置C1、C2の両方が壁面に同時に表示されるため、所有する穿孔具に合わせて穿孔中心位置を適宜選択し、穿孔作業を簡単に行うことができる。そして、本実施形態の穿孔方法(穿孔装置、配線器具設置装置、穿孔中心位置表示装置及び探知器110)は、2種類の穿孔具を準備し且つ携帯する等の作業者の負担を大幅に軽減し、尚且つ、壁材の種類等、状況に応じて穿孔具又は穿孔形状を選択する自由度を作業者に提供する。
【0055】
さらに、本発明の一実施形態では、配線ボックス170の被探知部173及び楕円中心位置C1が合致していることにより、探知器110の探知部113で被探知部173を探知する位置と、探知器110の第1表示部115で楕円中心位置C1を表示する位置とが同じ位置となり、作業者が直感的に探知器110を操作することができ、探知器110の良好な使用感を実現することができる。
【0056】
(実施例2)
上記実施例1の配線ボックス170は開口部171中心に配置されたものであるが、本発明は別のタイプの配線ボックスにも応用可能であり、上記実施形態に限定されない。実施例2では、
図16(a)に示すとおり、配線ボックス270は、開口部271の中央から偏心した位置に被探知部273を備える。すなわち、該配線ボックス270は、一般的に、壁材Wに複数の円孔を穿孔すべく、正円穿孔式の穿孔具用に設計されたものである。この実施例2の探知器210は、被探知部273が開口部271の中心から偏心した配線ボックス210に対応している。すなわち、探知器210は、上記探知器110と同様の基本構成を有するが、第1表示部215及び第2表示部216の配列パターンが探知器110とは相違する。
【0057】
図16(a)(b)に示すとおり、該探知器210の筐体211の前壁211cの中心位置に一方の第2表示部216が設けられている。また、第2表示部216から上方に距離d離隔した位置に第1表示部215が設けられている。さらに、第1表示部215から上方に距離d離隔した位置に第2表示部216が設けられている。そして、第1表示部215及び一対の第2表示部216は、左右側壁211aの中間で一直線上に整列している。すなわち、
図16(b)のように、探知器210の探知部212aで配線ボックス270の被探知部273を探知した状態で、被探知部273の真正面に第2表示部216が配置され、その上方の第1表示部215、さらに上方に第2表示部216が配置される。
【0058】
そして、
図16(a)(b)のように、探知器210で配線ボックス270の被探知部273の位置を探知した状態で、壁面に探知器210を押しつけることにより、第1表示部215及び一対の第2表示部216を壁面にめり込ませることができる。その結果、
図17に示すように、第1表示部215で第1の透孔H1の楕円中心位置C1を表示し、且つ、一対の第2表示部216で第2の透孔H2の複数の正円中心位置C2を表示する。下方の正円中心位置C2は、被探知部273の位置に対応している。そして、これらマーキングに基づいて、第1及び第2穿孔具のうちのいずれか一方を選択して壁材Wを穿孔して、壁材Wの壁表に配線ボックス270の開口部271及び一対の取付部272を臨ませることができる。
【0059】
(実施例3)
本発明は、複数の配線器具を取り付け可能に複数の器具設置領域を有する配線ボックスに応用することも可能である。例えば、
図18(a)(b)に示すとおり、配線ボックス370は、3つの器具設置領域が側方に連設されたものである。壁裏に設置された配線ボックス370の3つの器具設置領域(開口部371及び3対の取付部372)を壁表に臨ませるには、複数の重合した透孔を壁面Wに穿孔することが必要である。すなわち、本実施例では、3つの第1の透孔H1(計3つの楕円孔)が水平方向に重合し、あるいは、3つの第2の透孔H2(計6つの円孔)が水平方向に重合することにより、1つの大きい透孔を構成する。そして、該配線ボックス370の真ん中の器具設置領域の中心に1つの被探知部373が配置されている。
【0060】
なお、探知器310は、実施例1の探知器110と共通する基本構成を有しているが、第1表示部315及び第2表示部316の配列パターンが該配線ボックス370に対応している。すなわち、該探知器310では、摺動部314の板体314aが側方に長手状に延在している。該板体314aには、その長手方向に等間隔で整列した3つの第1表示部315と、各第1表示部315の上下に整列した6つの第2表示部316とが設けられている。各第1表示部315は、配線ボックス370の各器具設置領域の中心位置に合致するように互いに離隔して配列されている。
【0061】
図18(a)(b)に示すとおり、探知器310で配線ボックス370の被探知部373の位置を探知した状態で、真ん中の第1表示部315が被探知部373の位置に合致する。この状態で、探知器310を水平姿勢に維持しつつ、壁面に探知器310を押しつけることにより、3つの第1表示部315及び6つの第2表示部316を壁面にめり込ませることができる。その結果、
図19に示すように、複数(3つ)の第1表示部315で第1の透孔H1の複数の楕円中心位置C1を表示し、且つ、複数(6つ)の第2表示部316で第2の透孔H2の複数の正円中心位置C2を表示する。真ん中の楕円中心位置C1が被探知部373の位置に対応している。そして、これらマーキングに基づいて、第1及び第2穿孔具のうちのいずれか一方を使用して壁材Wに複数の楕円孔又は複数の円孔を順番に穿孔して、壁材Wの壁表に配線ボックス370の開口部371及び3対の取付部372を臨ませることができる。
【0062】
なお、実施例1〜3の探知器110、210、310では、その筐体111、211、311の構造が共通している。そのため、筐体前壁111c、211c、311cの前面に取り付ける板体114a、214a、314aを交換することにより、その形態を相互に変換可能である。すなわち、多種の配線ボックス形状に合った所定パターンで第1及び第2表示部が配列した板体を予め複数準備し、配線ボックスの形状に応じて、探知器の筐体に取り付ける板体(第1及び第2表示部のパターン)を適宜選択及び変更することができる。これにより、配線ボックスの形状を問わず、第1表示部及び第2表示部で所望の穿孔中心位置を表示することが可能となる。
【0063】
(実施例4、5)
ところで、実施例2のような被探知部273aが偏心した配線ボックス270では、壁材Wに穿孔するまで被探知部273aが上下いずれに配置されているか分からない場合がある。なぜなら、配線ボックス270の被固定部274が左右側壁の片方(正面視左側)に形成されているため、配線ボックス270に対する造営材の(左右の)相対位置によって、配線ボックス270が上下反転されて設置されるからである。このような場合、事前情報がないと、探知器210で被探知部273を探知して第1表示部及び第2表示部で壁面に3つの点をそれぞれマーキングしたとしても、1つの第2穿孔中心位置C2が正確に表示されるだけで、マーキングが配線ボックス270の上方又は下方にずれて、残りの第1穿孔中心位置C1及び第2穿孔中心位置C2を正確に表示できない虞があった。
【0064】
(実施例4)
このような問題(又は課題)に対処すべく、実施例4では、配線ボックス470の被探知部473(磁石473a)を別体として着脱自在又は事後的に取付可能に構成したとともに、配線ボックス470の開口部471中心から上下に対称に偏心した2箇所の取付部473bに被探知部473(磁石473a)を取付可能に構成した。
図20(a)(b)は、壁面に楕円孔の第1穿孔中心位置C1及び複数の円孔の第2穿孔中心位置C2の両方を表示した壁材Wの正面概略図を示す。
図20(a)は、配線ボックス470の左側に固定部473を位置させ、左側の造営材(図示せず)に配線ボックス470を固定した状態を示し、他方、
図20(b)は、配線ボックス470の右側に固定部473を位置させ、右側の造営材(図示せず)に配線ボックス470を固定した状態を示している。すなわち、
図20(a)(b)の配線ボックス470は、互いに上下反転した状態で設置されている。
【0065】
図20(a)(b)に示すとおり、該被探知部473(磁石473a)の一対の取付部(偏心位置)473bが、左右側壁の中間に位置するとともに開口部471中心を境に上下対称に位置している。さらに、造営材の位置によって(すなわち、配線ボックス470が反転としても)被探知部473の位置が変わらないように、配線ボックス470を設置した状態で被探知部473を取り付ける位置を上方及び下方の取付部473bのいずれか一方に予め定めた。これにより、探知した被探知部473の位置が常に配線ボックス470の一方(本実施例4では下方)の偏心位置にあることが確定する。そして、上下いずれかの位置に規定された被探知部473の位置情報(又はルール)に基づいて、探知器で配線ボックス上に第1及び第2穿孔中心位置C1、C2を正確に壁面にマーキングすることができる。すなわち、実施例4では、
図20(a)(b)に示すとおり、配線ボックス470を設置した状態で、被探知部が下側の偏心位置に取り付けられることが規定(ルール付け)されていれば、被探知部の真正面の第2穿孔位置C2の上方に第1穿孔中心位置C1、第2穿孔位置C2が配置されることが分かるため、例えば実施例2の探知器210を用いて、第1穿孔中心位置C1、第2穿孔位置C2を正確に表示することができる。
【0066】
なお、実施例4では、一対の中空筒状の取付部473bに磁石473aを着脱自在であり、規定された偏心位置に基づいて、磁石473aが取付部473bに装着される(つまり、被探知部473が配線ボックス470の偏心位置に取り付けられる)。しかしながら、被探知部を配線ボックスに取り付ける機構は、これに限定されず、例えば、以下の機構が挙げられる。被探知部としての磁石を含む筒体を配線ボックス底壁の凹みに着脱自在に嵌合させる。該筒体を配線ボックス底壁に接着剤で事後的に接着する。該筒体を配線ボックス底壁に磁着する。
【0067】
すなわち、実施例4の穿孔方法の特徴は、以下のとおりである。
壁裏に設置された配線ボックスに形成される、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるべく壁材に第1の透孔及び第2の透孔のいずれか一方を形成する穿孔方法であって、前記第1の透孔は楕円孔からなり、且つ、第2の透孔は複数の円孔が連なった重合孔からなり、前記配線ボックスは、壁表から探知器によって探知される被探知部を備え、前記被探知部は前記配線ボックスの開口部中心位置から対称に偏心した少なくとも2つの偏心位置に着脱式又は事後的に配置可能であり、
前記配線ボックスを壁裏に設置するとき、少なくとも2つの偏心位置から被探知部を取り付ける位置を1つに定め、前記規定された偏心位置に前記被探知部を取り付ける工程と、
前記配線ボックスの前記被探知部を壁表から探知するための探知部と、前記第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、前記第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備える探知器を用いて、前記規定された偏心位置に基づいて前記配線ボックスの被探知部の位置を壁表から探知する工程と、
前記探知器により前記被探知部を探知した状態で、前記第1表示部で壁面に第1の透孔の楕円中心位置を表示するとともに、前記複数の第2表示部で壁面に前記第2の透孔の複数の正円中心位置を表示する工程と、
楕円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第1穿孔具を使用する場合、前記第1穿孔具の穿孔中心位置と前記第1表示部で壁面に表示された楕円中心位置とを合致させて、前記第1穿孔具で前記壁材に前記第1の透孔を穿孔し、他方、正円形状に穿孔可能な穿孔刃を有する第2穿孔具を使用する場合、前記第2穿孔具の穿孔中心位置と前記第2表示部で壁面に表示された正円中心位置とを合致させて、前記第2穿孔具で前記壁材に複数の円孔を順に形成して前記第2の透孔を穿孔する工程と、を含むことを特徴とする壁材の穿孔方法。
【0068】
(実施例5)
さらに、実施例5の構成も、実施例4と同様に上述した実施例2の問題を解消することができる。
図21(a)(b)は、壁面に楕円孔の第1穿孔中心位置C1及び複数の円孔の第2穿孔中心位置C2の両方を表示した壁材Wの正面概略図を示す。
図20(a)(b)と同様に、
図21(a)(b)の配線ボックス570は、互いに上下反転した状態で設置されている。
【0069】
図21(a)(b)に示すとおり、実施例5の配線ボックス570は、開口部571の中心から上下に対称に偏心した位置に一対の被探知部573(磁石573a)を備える。該一対の被探知部573は、左右側壁の中間に位置するとともに開口部571中心を境に上下対称に位置している。すなわち、
図21(a)(b)のように造営材の位置等に応じて配線ボックス570が上下反転したとしても、壁表から探知される一対の被探知部573の位置は変わらない。そして、探知器で2つの被探知部573の位置を探知及び確認することにより、配線ボックス570が壁裏に配置されている位置を正確に把握することができる。この位置情報に基づいて、例えば、実施例2の探知器210を使用し、下方の被固定部574を探知した状態で第1及び第2表示部215、216を壁面に押し付けることにより、
図21(a)(b)のように穿孔中心位置C1、C2をそれぞれ正確に表示することができる。よって、実施例5の形態では、作業者は、探知器の第1表示部及び第2表示部で壁面に3点マーキングする位置を間違えないように定めて、第1及び第2穿孔中心位置を壁面に正確に表示することができる。
【0070】
すなわち、実施例5の穿孔中心位置表示装置の特徴は以下のとおりである。
壁裏に設置される配線ボックスに形成された、配線器具を取り付けるための一対の取付部を壁表に臨ませるように壁材に、楕円孔である第1の透孔、及び、複数の円孔が連なった重合孔である第2の透孔のいずれか一方を形成すべく、第1の透孔の楕円中心位置及び第2の透孔の複数の円中心位置を壁面に表示するための穿孔中心位置表示装置であって、
壁表から探知される一対の被探知部を有し、前記一対の被探知部が開口部中心位置から上下に対称に偏心した位置にそれぞれ配置された、配線ボックスと、
前記配線ボックスの前記被探知部を壁表から探知するための探知部と、前記第1の透孔の楕円中心位置を壁面に表示するための第1表示部と、前記第2の透孔の複数の正円中心位置を壁面に表示するための複数の第2表示部とを備え、前記探知部により前記被探知部を探知した状態で前記1表示部及び前記複数の第2表示部により前記楕円中心位置及び前記複数の正円中心位置の全てを壁面に表示する、探知器と、を備えることを特徴とする穿孔中心位置表示装置。
【0071】
(変形例)
本発明は、上述の実施例1〜5の形態に限定されず、種々の変形及び改変を想定している。例えば、第1及び第2穿孔具の形態は、上記形態に限定されない。第1及び第2穿孔具は、最低限の穿孔機能を有していればよく、各機能を省略し、又は、他の機能を追加することもできる。また、第1表示部及び第2表示部は、少なくとも壁面にマーキングすることができればよく、壁面を着色するインクや黒鉛であってもよい。また、各部材の形状及び材質等は本発明の作用効果を発揮する限りにおいて、任意に変更可能である。
【0072】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。