【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売説明日:平成26年 6月12日 販売説明した場所:アーク証券株式会社(東京都千代田区丸の内2−1−1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取引所における取引対象について所定の値段幅で増減する売買希望価格である気配値と、各気配値での売り注文数及び買い注文数と、を関連づけた板情報を取得するデータ取得処理部と、
前記板情報における前記売り注文数及び前記買い注文数を、前記値段幅を所定数倍して気配値を集約した集約気配値に関連づけて集約処理する集約処理部と、
前記板情報を表示装置に表示する処理を行う表示処理部と、を備え、
前記表示処理部は、
前記集約気配値に集約された気配値の範囲に、前記板情報における最新の取引価格である現在値が含まれる場合には、前記集約気配値に代えて前記現在値を表示することを特徴とする情報表示装置。
取引所において売買取引される取引対象についての売買希望価格である気配値と、各気配値での売り注文数及び買い注文数と、を関連づけた板情報と、該板情報に基づいて行われた各売買取引における売買価格、出来高及び取引時刻を含む取引情報と、を取得するデータ取得処理部と、
前記取引情報に基づくチャート情報を生成するチャート生成部と、
前記チャート情報及び前記板情報を表示装置に表示する表示処理部と、を備え、
前記表示処理部は、前記チャート情報及び前記板情報を合成して透過的に表示することを特徴とする情報表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、以下の説明では、市場(取引所)において取引される取引対象の例として株式を例にとって説明するが、FXや先物など、その他の金融商品についても適宜適用可能である。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報表示装置を適用が適用される株式等の売買システムの一例を示す図である。
図1に示す売買システムは、株式の取引所(取引所)等に設置された取引所側サーバ装置(取引所側装置)100と、取引所側装置100と例えば専用線ネットワークを介して接続された、証券会社等の株式売買仲介業者が運用する仲介サーバシステム2と、仲介サーバシステム2とインターネットやその他のWANを含むネットワークを介して接続される投資家等の利用者が使用するシステム(利用者システム)1と、を含む。
なお、
図1の表示は一例あり、実際は複数の仲介業者が運用する仲介サーバシステム2、複数の利用者が使用する複数の利用者システム1が含まれる。
図1では、取引所側装置100は単一の装置であるかのように示されているが、売買注文を受け付ける複数の分散サーバ、板情報やティックデータを配信するサーバを含むサーバ群からなっていても良い。
【0011】
取引所側装置100は、仲介サーバシステム2から供給される株式等の売買注文を受け付けて約定処理を行うとともに、取引情報(板情報、ティック(約定)データ)を仲介サーバシステム2に供給する。
ティックデータには、ティック値段(売買価格)とその出来高、約定時刻が含まれている。
【0012】
仲介サーバシステム2は、ネットワークを介して利用者システム1から送信される売買注文を処理して取引所側装置100に供給する売買処理サーバ200と、取引所側装置100から送信される取引情報を保持して利用者システム1に配信する情報受信処理装置201と、を備えている。
なお、情報受信処理装置201は、取引所側装置100から送信された取引情報(板情報、ティックデータ)を、過去データデータベース(DB)に蓄積しておくことが出来る。
取引所側装置100、売買処理サーバ200、情報受信処理サーバ201の構成については詳細な説明を割愛するが、プログラムを実行するCPUと、プログラムや一時データを展開するワークエリアとしてのRAM、プログラムやデータを格納するハードディスクやROM、ネットワークに接続するためのネットワークアダプタを備えた一般的なパーソナル・コンピュータ、サーバ装置を利用できる。
【0013】
また、利用者システム1は、仲介サーバシステム2の情報受信処理装置201から取引情報や板情報を受信して、値動きチャートや板情報を表示する板・チャート表示装置(以下、情報表示装置と記載する)10と、仲介サーバシステム2の売買処理サーバ200に対して売買注文を送信する注文管理システム(OMS:Order Management System)50と、を備えている。
【0014】
情報表示装置10は、一般的には同一のローカルネットワークに接続されている(あるいはインターネット等を経由して接続可能な遠隔地に設置された)注文管理システム40と通信が可能である。
従って、本実施形態の情報表示装置10は、後に詳述するように注文管理システム40から自取引の情報を取得して板表示に反映することが可能である。
【0015】
本実施形態の情報表示装置10の構成について説明する前に、情報表示装置10が前提とする「オークション方式(ザラバ方式)」の株式取引について概説する。
「オークション取引」では、証券取引所等が仲介業者を介して利用者(投資家)に提供する「板情報」と呼ばれる情報に基づいて取引が行われる。
【0016】
図2は上記「板情報」を説明する図である。
「板情報」は、ある株式銘柄に対する現在の買い注文、売り注文の状況(気配)を示す情報であり、リアルの注文情報を売/買別、値段別に表示している。
図2に示す「板情報」において、「気配値(板とも呼ぶ)」は、株式銘柄の売り注文や買い注文が出ている値段である。
「売り気配株数」はこの値段(指値)で売りたいとして「売り注文」が出されている株式の数である。
図2の例では、490円の指値で225000株、491円の指値で75000株、492円で436000株、493円の指値で110000株、494円で237000株の売り注文が出されていることが示されている。これらの売り気配株数は、複数の投資家等取引主体による売り注文の気配株数の合計である。
【0017】
それに対し、「買い気配株数」は、この値段(指値)で買いたいとして「買い注文」が出されている株式の数である。
図2の例では、489円で69000株、488円で186000株、487円で114000株、486円で89000株、485円で86000株の買い注文が出されていることが示されている。
「オークション取引」においては、最も値段の低い売り注文の指値(ここでは490円)、最も値の高い買い注文(ここでは490円)を「(最優先)気配値」と呼び、約定が最優先され、売買側夫々の最優先気配値で売買取引が行われる。
なお、下記に説明するが、売り側の最優先気配値(最優先売り気配値)をASKと呼び、買い側の最優先気配値(最優先買い気配値)をBIDと呼ぶ。
【0018】
図2の板情報に示す気配において、50000株を490円の指値で買うという新規注文が発生した場合、490円において出来高50000株で自動的に約定が成立する。上記のように、490円の売り気配に対する同値段の新規買い注文は最優先気配であり、約定が最優先されるからである。
この時、この銘柄の株価は490円となる。同時に、売り気配株数として示される売り注文の残数は175000株(225000株−50000株)になる。
【0019】
その後、50000株を489円の指値で売り注文が発生した場合、489円において50000株の出来高で自動的に約定が成立する。上記のように、489円の買い気配に対する同値段の新規売り注文は最優先気配であり、約定が最優先されるからである。
その時、この銘柄の株価は489円となる。同時に、買い気配株数として示される買い注文の残数は、19000株(69000株−50000株)となる。
【0020】
489円の買い気配が全て消化された(489円での買い気配株数がなくなった)場合には、488円が買い側の次の最優先気配となり、約定を最優先されることになる。
【0021】
このように、「オークション方式」においては、板情報として示される、既に注文されている売り気配、買い気配に対して新たに買い注文、売り注文が行われることで約定が成立し、その都度に株価が決定する。
また「オークション取引」においては、売り気配株数、買い気配株数が消化されていくことにより板情報における売り買い側の最優先気配値が所定刻みの呼値(例えば1円)ごとに推移していく。
【0022】
図3は、売買が約定することで発生するティックデータの一例を説明する図である。
上記したようにティックデータとは、取引所側装置100において板情報に示される売り気配、買い気配に従って売買が行われたときの時刻(約定時刻)、ティック値段及び出来高を記録したデータであり、取引所装置100から随時配信される。
【0023】
図3に例示するティックデータでは、例えば、11時00分01秒において、10000(出来高)の対象銘柄株が490円で約定(売買)されたことが示されている。
また、11時00分15秒において、100000(出来高)の対象銘柄株が再び490円で売買され、11時03分50秒において、さらに50000の対象銘柄株がさらに490円で売買され、11時05分10秒において、5000の対象銘柄株が489円で約定(売買)され、11時07分25秒において、30000の対象銘柄株が再び489円で売買され、11時08分18秒において、268000の対象銘柄株が490円で売買され、11時08分19秒において、10000の対象銘柄株が491円で売買され、11時08分25秒において、5000の対象銘柄株が490円で売買されたことが示されている。
【0024】
夫々の約定(売買)は「ティック」と呼ばれ、各「ティック」のティック値段を「ティック値段(売買価格)」と呼ぶ。
このティックデータに基づいて、本実施形態の情報表示装置では、所定単位期間(秒足、分足、日足など)における4本値(高値、安値、始値、終値)を公知の方法で算出し、算出した4本値をもとにローソク足チャートを生成、表示する。このローソク足チャートについては公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
図4は、本実施形態に係る情報表示装置が表示する情報表示画面を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係る情報表示画面30は、例えば、板情報表示欄31と、表示銘柄設定欄32と、後述するサマライズ倍率選択ボタン(プルダウンメニュー)33と、売り注文数量入力欄34と、売平均約定予想単価表示欄35と、買い注文数量入力欄36と、買平均約定予想単価表示欄37と、四本値表示欄38と、合成透過切り替えボタン39と、を備えている。
板情報表示欄31は、
図2に示したような、取引所側装置100から受信した板情報を表示するための領域である。
【0026】
図4の板情報表示欄31においては、現在値が675.5円、最優先買い気配値(BID)が675.3円で買い気配株数が13000、最優先売り気配値が676.7円で売り気配株数が5000であることが示されている。
板情報表示欄31は、集約気配値表示欄31aと、最優先買い気配値用符号欄31b、最優先売り気配値用符号欄31c、買い気配株数表示欄31d、売り気配株数表示欄31e等を備えている。これらの欄の用途については後に詳述する。
図4に示す板情報は、
図2とは異なり呼値が縮小された(10銭)銘柄についての板情報であり、縮小された呼値を所定数倍することにより気配値を集約して得た新たな気配値によって注文数量をサマライズ(集約した)板情報である。
このような板情報の表示態様に本実施形態の情報表示装置の特徴がある。
【0027】
また、情報表示画面30は取引用画面としても機能し、板情報表示欄31に表示される気配値をダブルクリックすることにより、売り(指値)注文、買い(指値)注文を行うことが出来る。
表示銘柄設定欄32は、取引対象銘柄、すなわち板情報表示欄31に表示する板情報に係る取引銘柄を設定するための領域である。キーボードによる入力や、マウスを用いたプルダウンメニューの選択によって取引銘柄を設定することが出来る。
【0028】
サマライズ選択ボタン33は、下記に説明する板情報呼値のサマライズ倍率を選択するためのボタンである。
売り注文数量入力欄34は、成行注文における売り注文数量を入力するための領域である。
売り注文平均約定単価表示欄35は、売り注文数量入力欄34に入力された売り注文が全量執行された場合の平均約定単価が表示される領域である。
買い注文数量入力欄36は、成行注文における買い注文数量を入力するための領域である。
【0029】
買い注文平均約定単価表示欄37は、買い注文数量入力欄36に入力された買い注文が全量執行された場合の平均約定単価が表示される領域である。
四本値表示欄38は、
図3に示したようなティックデータに基づく所定単位期間(秒足、分足、日足など)における4本値(高値、安値、始値、終値)や現在値などの取引情報を表示するための領域である。
合成透過切り替えボタン39は、下記に説明する板情報とチャート情報の合成透過表示を行うか否かを設定するためのボタンである。
【0030】
図2に示した板情報において、指値(気配値)が1円単位で増減しているが、この増減幅である1円等の値段を「呼値」と呼ぶ。すなわち、株式を売買する際の価格の刻み幅が「呼値」である。
「呼値」が5円であれば、1円や2円刻みなどの価格では、売買することが出来ない。
この呼値は株価によって異なるが、東京証券取引所の制度変更により、1株の値段が5000円以下の場合には「呼値」の単位を10銭(0.1円)単位に設定し得ることが予定されている。
これにより、以下のような問題点が想定される。
【0031】
図5は、呼値縮小化によって発生する板情報の視認性にかかる問題点を示す図である。
図5において、(a)は呼値が1円単位である場合に板情報表示欄31に表示される板情報を示している。
図2の板情報とは気配値(指値)と気配株数(注文数量)が異なるが、
図2と同様に呼値は1円幅である。そして、15円幅で15値段が表示されている。
また、売り側の最優先気配値(ASK)が809円であり、買い側の最優先気配値(BID)が808円であり、且つ現在値が809円であることを示している。
これを同じ15値段表示で、呼値を10銭(指値や気配値が10銭刻み)としたものを
図5(b)に示す。
【0032】
図5(a)では、気配値が801円から815円まで1円刻みで表示されていたが、
図5(b)では、10銭(0.1円刻み)で、808.1円から809.5円まで、1円50銭(1.5円)幅で15値段が表示されている。
また、
図5(b)の状態では、ASKは809.0円、BIDが808.8円、現在値は809.0円である。
呼値の細分化(10銭化)が行われた結果、当然、1呼値あたり(10銭ごと)の注文(気配)数量は減少する。
【0033】
図5(a)の状態では例えば808円という指値に集約されていた買い気配株数(18)が、808.1円〜808.9円という細かい指値に夫々分散される(808.8円の買い気配株数2000、808.7円の買い気配株数3000、808.5の買い気配株数1000、808.3の買い気配株数1000、808.3円の買い気配株数1000、808.2円の買い気配株数1000、808.1円の買い気配株数10000)からである。
【0034】
この状態から、売り気配が消化されて株価(現在値)が+1円20銭変動(値上がり)すると、板情報表示欄31に表示される板情報は、例えば、
図5(c)に示す状態となる。
図5(c)の板情報には
図5(b)と同様に1円50銭(1.5円)幅で15値段が表示されているが、値上がりの結果、同じ15値段表示では809.5円から810.9円までが10銭刻み(呼値が10銭)で表示される。
図5(b)、
図5(c)それぞれの板情報に示される気配値(指値)を比較すると、全く異なる値段が表示されていることがわかる。
通常、板情報の表示は取引所(取引所側装置100)から配信される板情報に含まれる呼値(気配値)単位ごとの注文数量(気配株数)をそのまま忠実に表示することが一般的であるが、呼値細分化の結果、板情報内に表示される指値の変化が激しくなる。
その結果、人間の視覚では価格情報を追いかけることがほぼ困難である。
【0035】
仮に実際の価格変動率(変動幅)が少なくても、
図4の情報表示画面に板情報表示欄31に表示される表示気配値が突発的に次々と切り替わることによる利用者の精神的なストレスは大きい。
その結果板情報自体の利用価値が薄れ、モニタートレード環境は一層難しさを増すことになる。
【0036】
さらに、売買注文の発注においても、細かく分散された気配値あたりの注文数量が希薄化することによる影響で、ある程度まとまった注文数量の発注を行う場合、約定単価の想定が難しい。これにより、発注業務への悪影響も懸念される。
例えばある売り気配値に対して、成行で買い注文を行った場合、その売り気配値の注文数量よりも多くの買い注文を行うと、余剰分は次の売り気配値に対して行われることになる。従って、気配値が細かい呼値で分散されていると、売り注文が結果的にどの値段の買い気配値まで行われるか容易に判断しがたいため、約定単価の計算が難しくなるのである。
【0037】
本実施形態に係る情報表示装置はこのような問題点を解消し得る新たな板情報の表示態様を実現するものである。
すなわち、本発明の情報表示装置10の情報表示画面30(
図4)では、呼値の細分化により激しく変動する板情報を、一定の呼値単位にサマライズして表示することで、板情報に表示される気配値の変動を押さえた従来と同等な板情報を提供できるようにする。
また、発注時の利便性を図るため、約定予想単価の算出機能をも提供する。
これにより、利用価値のある板情報を提供することが可能である。
【0038】
図6は、本実施形態に係る情報表示装置の機能構成を示す図であり、(a)はハードウェア構成を示す機能ブロック図、(b)はソフトウェアによる機能構成を示すブロック図である。
図6(a)に示すように、情報表示装置10は、装置全体の制御を行う汎用のオペレーティングシステムを実行するともチャート表示処理を実現するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)11と、CPU11による処理のために各種のプログラムや一時データ、変数が展開されるRAM(Random Access Memory)12と、プログラムやデータが格納されるHDD(Hard Disk Drive)14やROM(Read Only Memory)を備えている。
RAM12には、情報受信処理サーバ201から取得したティックデータ、板情報のデータが記憶される。
【0039】
また、情報表示装置10は、ネットワークに接続するためのイーサネット(登録商標)アダプタなどのネットワークI/F15と、液晶モニタ等の表示装置13と、キーボードやマウス等の入力装置16と、を備えている。
【0040】
図6(b)に示すように、CPU11は、表示設定処理部21と、データ取得処理部22と、四本値演算処理部23と、板情報サマライズ処理部24と、表示処理部27と、売平均約定予想単価演算部28と、買平均約定予想単価演算部29と、を実行する。
また、表示処理部27は、板情報表示処理部27aと、チャート表示処理部27bと、板情報・チャート合成表示処理部27cと、売平均約定予想単価表示処理部27dと、買平均約定予想単価表示処理部27eと、を含む。
板情報・チャート合成表示処理部27cについては、下記に説明する他の実施形態にて説明する。
【0041】
表示設定処理部21は、入力装置6を用いて行われる、表示装置13に表示するチャートを含む各種情報の表示設定を受けつけて設定する処理部である。
データ取得処理部22は、取引所側装置100が提供する、都度の売買(ティック)における約定情報(ティックデータ)や板情報を、仲介サーバシステム2を介して取得する処理部である。
【0042】
また、
図1に示すように、本実施形態の情報表示装置は、OMS50とLANを介して接続されており、データ取得処理部22は、OMS50によって行った注文の約定通知、及びその出来高(約定数)を受け取ることが可能である。
ただし、OMS50及び情報表示装置10を単一の装置とし、情報表示装置10によって、売買処理サーバ200に対する売買注文、注文履歴の管理、チャート表示を行うようにしても良い。
【0043】
四本値演算処理部23は、データ取得処理部22が取得したティックデータに基づいて四本値を演算する。上記したように、四本値は、始値、現値、高値、安値の4つの値である。
【0044】
また、
図4に示した様に、本実施形態の情報表示装置では、板情報に表示される気配値に対して操作(マウスにてダブルクリック)することにより、その値段で売買注文を行えるようになっている。
サマライズされた気配値について売買注文操作を行った場合に、実際の縮小呼値の気配値で注文がなされたときの注文数量が全量執行するまでの平均約定単価を、板気配株数から算出して表示する。
売り注文平均約定単価演算部28は、
図4の売り注文数量入力欄34に入力された売り注文数に基づいて、売平均約定単価を演算する。
買い注文平均約定単価演算部29は、
図4の買い注文数量入力欄36に入力された買い注文数に基づいて、買平均約定単価を演算する。
【0045】
チャート表示処理部27bは、四本値演算処理部23によって演算された四本値に基づくローソク足を表示装置13に表示する処理を行う。
板情報サマライズ処理部24は、データ取得処理部22が取得した板情報を解析し、表示設定処理部21によって設定されたサマライズ倍率に基づいて注文数量のサマライズ処理を行う。
板情報表示処理部27aは、データ取得処理部22から取得された板情報をそのまま表示し、あるいは板情報サマライズ処理部24によって集約された板情報を表示装置13に表示する処理を行う。
板情報・チャート合成表示処理部27cは、下記に説明するように、板情報とローソクチャートを合成して表示する処理部である。
【0046】
売り注文平均定単価表示部27dは、売り注文平均約定単価演算部により演算された売り注文約定予想単価を売り注文平均約定予想単価表示欄34に表示する処理を行う。
買い注文平均約定単価表示部27eは、買い注文平均約定単価演算部により演算された買い注文約定予想単価を買い注文平均約定予想単価表示欄36に表示する処理を行う。
【0047】
図7は、
図6に示す情報表示装置(板情報サマライズ処理部24、板情報表示処理部27a)による板情報の表示態様の一例を示す図である。
図7(a)は、
図5(b)の板情報において10銭に細分化された呼値の倍率を10倍に設定して注文数量を集約したものである。
図7(a)の場合、呼値は1円単位となり、802円から815円までの気配値が板情報に示されている。
811.0円〜811.9円の売り注文(売り気配)は811円に集約され、810.0円〜810.9円の売り注文は810円に集約され、809.0円〜809.9円の売り注文は809円に集約され、808.0円〜808.9の買い注文は808.8円に集約され、807.0円〜807.9円の買い注文は807円に集約され、806.0円〜806.9円の買い注文は806円に集約されている。
集約されたこれらの気配値は、
図4の集約気配値表示欄31aに表示される。
【0048】
ほぼ
図5(a)と同様の状態となっているが、取引の実態は呼値が10銭に細分化されているため、現在値を809.0円、ASKを809.0円、BIDを、808.8円と表示している。
現在値は、その値段が含まれる集約気配値表示欄31aに小数点付きで表示している。
ASK809.0円の「.0」の値は、ASKが含まれる集約気配値の左側の最優先買い気配値用符号欄31b(
図4)に表示され、BID808.8円の「.8」の値は、BIDが含まれる集約気配値の右側の最優先売り気配値用符号欄31c(
図4)に表示される。
すなわち、呼値集約した板情報では、ASK、BIDの値段は、それらが含まれる集約値段の両側に付加的に表示するようにしている。
【0049】
この状態で、
図5と同様に+1円20銭変動(値上がり)した結果、現在値が810.2円、ASKが810.3円、BIDが810.2円となったが、
図7(b)の板情報に示される15値表示の気配値は802円から815円までであり、
図7(a)に示す気配値と変化がない。
つまり、+1円20銭の変動とは、呼値が10銭単位であれば大幅な変動であり、板情報に現れる気配値に大きな変動を及ぼすが、呼値が10銭×10(1円)単位であれば小幅な変動に過ぎない。従って、板情報に現れる気配値にほとんど影響がないのである。
板情報に示される気配値には、ほとんど変動が起こらないため、表示気配値が突発的に次々と切り替わるという問題が解消され、利用者のストレスを著しく軽減することが出来る。
もちろん、本実施形態の情報表示装置上で呼値集約を行っているのみで、取引所側装置100から供給される板情報における呼値は10銭単位であるため、現在値、ASK、BIDについては、そのままの値を表示する。
【0050】
図7に示した板情報の表示態様を実現した板情報サマライズ処理部24による呼値サマライズ処理をさらに詳述する。
図4に示した本実施形態の情報表示画面に示すように、(仲介サーバシステム2を介して)取引所側装置100から配信される板情報に含まれる呼値の単位に対し、板情報サマライズ処理部24は、サマライズ(集約)の倍率として1倍(通常)、2倍、5倍、10倍、20倍の設定を可能としている。
具体的には、取引所側装置100から板情報として提供される例えば東証Arrowhead現物取引銘柄の全呼値情報(FLEX−FULL)に基づいて、指定倍率単位で注文数量をリアルタイムで集約して
図7に示すような表示を行う。
ただし、呼値の細分化が行われる銘柄は、所定の条件を満たした一部の銘柄のみであり、すべての板情報において指値(気配値)が10銭単位となっている訳ではない。
【0051】
例えば現在値が500円であり、呼値が10銭(0.1円)単位に設定された銘柄について、サマライズ倍率を10倍に設定した場合、板情報サマライズ処理部24は、「500.0〜500.9、501.0〜501.9、502.0〜502.9」など、呼値の10倍にあたる1円幅にある注文数量を売/買別に集約する。
なお、
図4の情報表示画面への気配値の表示は集約範囲の下限値を用い、この場合、500円、501円、502円の気配値を表示する。
ただし、現在値にあたる指値は現在値を正確に(取引所装置100から配信されたままで)表示することとし、現在値が501.3である場合、板情報内の気配値は、「・・・500円、501.3円、502円・・」となる。
【0052】
最優先売り気配値(ASK)の表示は、その気配値段が含まれる気配値の左側に表示する。
最優先買い気配値(BID)の表示は、その気配値段が含まれる気配値の右側に表示する。
例えば、現在値501.3円、ASKが501.5円、BIDが501.2円の場合、現在値を中心として「5 501.3 2」などと表示する。
このような表示方式を採用することにより、値段が一定幅変動しても、板表示気配値が画面から消えることがない。また、現在値、ASK、BIDの値を集約した気配値の両側に表示することにより、板情報内の気配値の上下変動を起こすことなく明確に表示することが出来る。
【0053】
図8は、本実施形態に係る情報表示装置における呼値サマライズ処理部による呼値の集約処理を詳細に説明する図である。
東京証券取引所の制度変更によって2014年7月からは、株価が5000円超〜10000円以下の一部銘柄は呼値が1円単位、株価が1000円超〜5000円以下の一部銘柄は呼値が50銭(0.5円)単位、株価が1000円以下の一部銘柄について呼値が10銭単位(0.1円)、となるとされている。この株価による呼値の違いを呼値ランクと呼ぶ。
制度変更の結果、呼値の最小単位すなわち最小呼値は10銭(0.1円)となった。
集約気配値の刻み(呼値)は、「0.0円」が起点となるが、呼値が1円未満(0.0円〜0.9円)の場合は、何倍に集約しても集約呼値は0円となる。
図8に示す呼値は、ある一の集約範囲の下限値となる気配値を基準(起点)にした呼値である。
【0054】
板情報サマライズ処理部24は、呼値の集約倍率を2倍に設定した場合には、最小呼値である10銭刻みの呼値を、2倍の20銭刻みとする。
すなわち、板情報サマライズ処理部24は、取引所側装置100から取得した板情報における1.0円、1.1円の呼値を1.0円のグループに、1.2円、1.3円の呼値を1.2円のグループに、1.4円、1.5円の呼値を1.4のグループに、1.6円、1.7円の呼値を1.6円のグループに、1.8円、1.9円の呼値を1.8円のグループに、2.0円、2.1円の呼値を2.0円のグループに、2.2円、2.3円の呼値を2.2円のグループに、2.4円、2.5円の呼値を2.4円のグループに、2.6円、2.7円の呼値を2.6円のグループに、2.8円、2.9円の呼値を2.8円のグループに、3.0円、3.1円の呼値の3.0円のグループに、3.2円、3.3円の呼値を3.2円のグループに、3.4円、3.5円の呼値を3.4円のグループに、3.6円、3.7円の呼値を3.6円のグループに、3.8円、3.9円の呼値を3.8円のグループに夫々集約する。
【0055】
また、呼値の集約倍率を5倍に設定した場合には、板情報サマライズ処理部24は、10銭刻みの呼値を、5倍の50銭(0.5円)刻みとし、取引所側装置100から取得した板情報における1.0円から1.4円の呼値を1.0円のグループに、1.5円から1.9円の呼値を1.5円のグループに、2.0円から2.4円の呼値を2.0円のグループに、2.5円から2.9円の呼値を2.5円のグループに、3.0円から3.4円の呼値を3.0円のグループに、3.5円から3.9円の呼値を3.5円のグループに集約する。
【0056】
また呼値の集約倍率を10倍に設定した場合には、板情報サマライズ処理部24は、10銭刻みの呼値を、10倍の100銭(1円)刻みとし、取引所側装置100から取得した板情報における1.0円から1.9円の呼値を1.0円のグループに、2.0円から2.9円の呼値を2.0円のグループに、3.0円から3.9円の呼値を3.0円のグループに集約する。
例えば、
図7(a)の場合、806.0円を基準に考えると、0.0円から0.9円の呼値は0円に集約されるため、806.円から806.9円の注文について呼値を10倍にした表示集約気配値は806円のままである
また、1.0円から1.9円の呼値は1円に集約されるため、807.円から807.9円の注文について呼値を10倍にした表示集約気配値は807円となる。
さらに、2.0円から2,9円の呼値は、2円に集約されるため、808.円から808.9円の注文について呼値を10倍にした表示集約気配値は808円となる。
また、呼値表示を20倍に設定した場合には、板情報サマライズ処理部24は、10銭刻みの呼値を、20倍の200銭(2円)刻みとし、取引所側装置100から取得した板情報における1.0円から1.9円を1.0円に集約し、2.0円から3.9円を2.0円に集約し、図示しないが、4.0円から7.9円の呼値を4.0円に集約する。
最小呼値の倍率指定は、最小呼値ランクの境界において、集約処理で矛盾が出ないように2倍、5倍、10倍、20倍の指定とする(50倍は可とする。30倍などの指定は、5000円以上の呼値ランクの境界で10銭集約と1円集約が混合することになるため回避する)。
【0057】
図9は、本実施形態の情報表示装置における現在値、ASK/BIDの表示態様を説明する図である。
図9において、(a)は呼値表示を10倍表示にした場合を示し、(b)は呼値表示を5倍表示にした場合示している。
(a)において、811.0円〜811.9円の売り注文を811円に集約し、810.0円〜810.9円の売り注文を810円に集約し、809.0円〜809.9円の売り注文を809円に集約している。
【0058】
また、808.0円〜808.9円の売買注文については、808.0円に集約し、807.0円〜807.9円の買い注文を807円に集約し、806.0円〜806.9円の買い注文を806円に集約している。
現在値は808.4円、ASKは808.3円であり、BIDは808.2円である。
802円、803円、・・815円の集約気配値の値と、現在値である808.4円の値は、
図4の集約気配値表示欄31aに表示される。
また、ASK808.3円の「.3」の値は、ASKが含まれる集約気配値表示欄31aの左側の最優先買い気配値用符号欄31bに表示され、BID808.2円の「.2」の値は、BIDが含まれる集約気配値表示欄31aの右側の最優先売り気配値用符号欄31cに表示される。
【0059】
また、(b)において、810.5円〜810.9円の売り注文を810.5に集約し、810.0円〜810.4円の売り注文を810.0に集約し、809.5円〜809.9円の売り注文を809.0に集約し、808.5円〜808.9円の売り注文を808.5に集約する。
また、808.0円〜808.4円の売買注文については808.3円に集約し、また、807.5〜807.9の買い注文を807.5円に集約し、807.0円〜807.5円の買い注文を807.0円に集約する。
805.0、805.5、806.0、・・812.0の集約気配値は、
図4の集約気配値表示欄31aに表示される。
【0060】
現在値については、現在値が含まれる集約気配値表示欄31a(ここでは、808.4円)に小数点付きで表示する。
ASK808.3円の「.3」の値は、ASK値段が含まれる集約気配値表示欄31aの左側の最優先買い気配値用符号欄31bに表示され、BID808.2円の「.2」の値は、BIDが含まれる集約気配値表示欄31aの右側の最優先売り気配値用符号欄31cに表示される。
板寄せ時は、最優先注文値段の集約気配値の符号欄に小数点付きで表示する。
【0061】
ここで、売り注文平均約定単価演算部28、買い注文平均約定単価演算部29による演算処理について説明する。
例えば、
図9(a)の板情報において、売り注文平均約定単価演算部28は、100株の成行注文があった場合、最優先買い気配値(BID)808.2円で11000株の売買を約定し、さらに、807円の買い気配値に対して45000株、806円の買い気配値に対して38000株の売買を約定し、805円の買い気配値に対して6000株の売買を約定し、合計100000株の成行注文が全て執行したと考える。
その場合、808.2×11000+807×45000+806×38000+805×6000を売買株数100000で割れば、売り注文平均約定単価を得ることが出来る。
もちろん、各集約値段に含まれる10銭単位の気配値とその注文数量を用いて得た合計約定値段を売買株数100000で割れば、より正確な値を得ることが出来る。
【0062】
逆に、買い注文平均約定単価演算部29は、
図9(a)の板情報において100000株の成行注文があった場合、最優先売り気配値(BID)808.3円で20000株の売買を約定し、さらに、809円の売り気配値に対して7000株の売買を約定し、810円の売り気配値に対して12000株の売買を約定し、2011円の売り気配値に対して61000株の売買注文が約定し、合計100000株の成行注文が全て執行したと考える。
その場合、808.3×20000+809×7000+810×12000+811×61000を売買株数100000で割れば、買い注文平均約定単価を得ることが出来る。
もちろん、各集約値段に含まれる10銭単位の気配値とその注文数量を用いて得た合計約定値段を売買株数100000で割れば、より正確な値を得ることが出来る。
【0063】
さらに、情報表示装置10は、
図4に示す情報表示画面30において、注文数量欄34、36がダブルクリックされることによって新規発注画面を起動するが、その場合の注文値段について、売指値注文時には、板表示気配値(集約値段の下限値)、買指値注文時は集約値段の上限値を、新規発注画面に貼り付ける(注文値段に設定する)。
また、集約値段の上限値や下限値に限らず、売り買い別に相対的な指値(指値相対値)を、図示しない設定画面から設定して、新規発注画面に貼り付ける指値を自動的に調整可能としてもよい。
例えば、10銭単位銘柄(1000円未満)について、呼値を10倍に設定して気配値を表示しており、買い相対値を10段階の5に設定している場合は、新規発注画面に貼り付ける指値を、XXX円40銭とする。
すなわち、呼値を10倍集約した気配値が800.0〜800.9の場合、買い相対値が10段階の1段階であれば800.0円、800段階であれば800.1円(800円10銭)、3段階であれば800.2円(800円20銭)、4段階であれば800.3円(800円30銭)、5段階であれば800.4円(800円40銭)、6段階であれば、800.5円(800円50銭)、7段階であれば800.6円(800円60銭)、8段階であれば、800.7円(800円70銭)、9段階であれば800.8円(800円80銭)、10段階であれば(800円90銭)の買い指値、ということになる。
【0064】
ドラッグアンドドロップによる自社注文数量欄からの訂正操作は、集約気配値に含まれる全値段の注文を対象とし、ドロップした集約気配値(売指値は集約値段の下限値、買指値は集約値段の上限値)に一括訂正する。
以上のように、呼値の細分化により気配値が激しく変動するようになった板情報に表示される売り買い注文数を、一定の呼値単位で集約した気配値(集約値段)に関連づけて表示するようにしたことで、従来(呼値細分化前)と同等の視認性、機能性を備える板情報を実現することが出来る。
【0065】
[第2の実施形態]
オークション取引における短期トレード用の情報ツールとしては、リアルの注文情報を売/買別、値段別に表示した板情報と、約定値段の履歴をローソク足にして表現したチャート情報が幅広く利用されているが、板情報だけではトレンドの方向性を掴むことが難しく、またチャート情報だけでも、その銘柄の流動性(注文の厚み)や取引の活況度の確認が出来ず、また発注操作が円滑に行うことが出来ない。
【0066】
特に取引の高速化と、呼値縮小の影響により、一瞬で値段の飛ぶ板情報の利用が難しくなったこともあり、板情報とチャート情報を合わせてトレードに活用するケースが多くなっているからである。
【0067】
そこで、昨今では複数銘柄の板情報やチャート情報を一覧化して表示可能であるとともに板情報とチャート情報の切り替えが可能な情報表示装置が広く用いられており、チャート情報、板情報の2つを並べて表示した状態で取引や銘柄監視を行うケースが多い。
【0068】
図10は、板情報とチャート情報を従来の態様で並べて表示した場合の情報表示画面を示す図である。
図10では、例えば、板情報とチャート情報の双方を表示可能な情報表示画面50に、A銘柄、B銘柄、C銘柄、D銘柄、E銘柄、F銘柄の6つの銘柄の夫々について板情報とチャート情報を並べて表示している。
このように多くの銘柄について板情報とチャート表示の双方を表示した場合、情報表示画面50の表示スペースを圧迫し、多くの銘柄情報を一覧化して表示することが出来ない。
【0069】
情報表示画面50において、各銘柄の板情報及びチャート情報の双方を表示可能な領域を6領域(表示領域51、52、53、54、55、56)確保可能に過ぎない。
すなわち、
図10に示すように情報表示画面50の1区画目(領域51の左側領域)にA銘柄の板情報、2区画目(領域51の右側領域)にA銘柄のチャート情報を表示できるが、板情報またはチャート情報を表示可能な区画を最大12区画分表示可能なスペースしかなければ、異なる2情報を並べた場合に6銘柄分の情報しか表示できないこととなる。
【0070】
特にデイトレードでは、複数銘柄の板情報やチャート情報を監視し、個別銘柄の値動きに応じて売買を繰り返すことで日中取引時間帯での鞘取りを行っているため、より多くの銘柄について、必要な情報を表示可能であることが望ましい。
【0071】
また、
図10に示すように同一銘柄の板情報とチャート情報とを2つの区画に横並びに表示出来ても、そもそも人間の視覚は1点しか凝視することが出来ない。
よって、長時間に渡り複数銘柄且つ視点の離れた2情報の監視を継続することは難しい。
【0072】
また、このような問題点は、画面サイズの小さいスマートフォンなどのモバイル機器においてより顕著である。
図11は、スマートフォンなど画面サイズが小さい機器において、板情報とチャート情報を従来の態様で表示した場合の情報表示画面を示す図である。
2情報を並べて表示した場合において、異なる2情報を1視点で凝視することは人間の視覚の特性上困難であり、特に昨今利用が拡大しているスマートフォンにおいては、画面スペースの制約により板情報やチャート情報の2情報を同時に表示することすら難しい。
よって、
図11に示すスマートフォン用の情報表示画面50aには、売買気配(板情報)表示用のタブとチャート表示用のタブを交互に切り替えて表示可能となっている。
利用者は、必要に応じてこれらのタブをタップして板情報とチャート情報の切り替え操作を行いながら情報分析する必要がある。これは、非常に不便である。
このような画面サイズに起因する制約があるものの、リアルの板情報やチャート情報をスマートフォン向けに提供するサービスも進んでおり、この情報を活用してデイトレードを行っている投資家も多いのも事実である。
【0073】
特に、一般の個人投資家による売買注文の多くは、その手軽さもありスマートフォンなどのモバイル端末から発注されている。
【0074】
そこで、本実施形態の情報表示装置では、PCベースの情報表示装置やスマートフォン等のモバイル端末において、板情報とチャート情報とを効率的に参照可能とするために、これらの情報を合成透過表示し、一視点で複数の情報を得られるようにした。
【0075】
本実施形態の板・チャート合成透過表示では、以下のように情報の合成を行う。
すなわち、合成表示処理部27c(
図6)は、板情報表示処理部28aによる板情報のレイヤ(コントロール)を前面に、チャート表示処理部2bによるチャート情報のレイヤ(コントロール)を後面に配置し、双方の画像データを合成する。
そして、合成表示処理部27cは、図示しない設定画面を介した利用者の設定に基づいて、前面に配置したレイヤ(板情報)の透明度を調整することにより、板情報を強調したり、逆にチャート情報を強調したりする。
また、前面側に配置する板情報の背景色を「透明」に設定することにより、板情報とチャート情報を完全合成し、鮮明に表示することが出来る。
【0076】
板情報のコントロールを前面に配置するのは、板情報の注文数量欄のクリック操作により、注文発注操作を可能にするためである。
また、透過の設定は利用者の視覚によって様々であるので、グラデーション(不透明度)設定を利用者により任意に実行可能とし、且つ設定情報を保存する機能を備えても良い。
また、板情報画面及びチャート情報画面の配色は、画面合成時の見栄えに大きく影響するため、画面の文字色・ローソク足色・背景色等の設定を設定画面から実行可能としてもよい。
合成画面の更新は、データ取得処理部22が、仲介サーバシステム2、取引所側装置100から取得するリアルの板情報を、ティックデータの受信の度に更新する。
【0077】
図12は、本実施形態の情報表示装置における合成表示処理部による板・チャート合成透過表示の態様を示す図である。
図12において、(a)は、板情報レイヤの透明度を0%とし板情報のみを情報表示画面50に表示した状態を示している。
また(b)は、板情報とチャート情報を合成透過表示しながらも、板情報レイヤの透明度を高くして(例えば70%)チャート表示に基調を置いた状態を示している。
また、(c)は、板情報とチャート情報を合成透過表示しながらも、板情報レイヤの透明度を低くして(例えば30%)板情報の表示に基調を置いた状態を示している。
(d)は、板情報レイヤの透明度を100%としてチャート情報のみを表示した状態を示している。
(e)は、板情報レイヤの透明度を0%とするとともに、板情報の背景色を「透明」に設定することにより、板情報とチャート情報を双方とも鮮明に表示して板情報とチャート表示を対等に表示した合成表示を示している。
【0078】
板・チャート合成表示の結果、PCベースの情報表示装置10やスマートフォン等のモバイルデバイスにおいて、以下のような表示が可能となる。
【0079】
図13は、本実施形態の板・チャート合成表示を適用した情報表示画面を示した図である。
図13に示す情報表示画面50において、領域61〜72の12領域に、A銘柄、B銘柄、C銘柄、D銘柄、E銘柄、F銘柄、G銘柄、H銘柄、I銘柄、J銘柄、K銘柄、L銘柄の12銘柄のそれぞれについて、板情報、チャート情報を合成透過表示している。
これにより、各銘柄について板情報・チャート情報の夫々を表示しながら、
図10の場合に比べて2倍数の銘柄について情報を表示することが出来ている。
また、各銘柄については1視点で2情報(板情報・チャート情報)を参照することが出来る。
【0080】
図14は、スマートフォンなど画面サイズが小さい機器において、本実施形態の板・チャート合成表示を適用した情報表示画面を示す図である。
図14に示すように、スマートフォンの場合は、情報表示画面50aに表示可能な銘柄は一つのみであるが、板情報、チャート情報を合成透過表示しているため、
図11のように板情報(売買気配)、チャート情報のタブを切り替えることなく、一視点で双方の情報を参照することが出来ている。
このように、スマートフォンなど画面サイズの狭いデバイスに、板・チャート合成透過機能を適用することで、表示切り替え操作が不要になり、板情報、チャート情報の同時把握が可能になりスムーズなトレードを行うことが出来る。
【0081】
本実施系に係る板情報とチャート情報の合成透過表示は、特に表示サイズの狭いモバイルデバイス向けに最も効果を発揮する。
オークション取引を行う上で、最も利用頻度の高い、板情報とチャート情報の2情報を合成透過処理し、1情報として加工表示することにより、表示スペースの効率化と2情報1視点化を可能にする。
これにより、表示スペースの効率化による異なる多数銘柄(2情報表示)の監視環境の実現することが出来、また2情報1視点化の実現により、視覚的問題を解決することが出来る。
スマートフォントレードにおける利便性の向上(板情報とチャート表示間での切り替え操作が不要となる)
これらの技術の適用により、短期トレードにおいて最も利用価値の高い、板情報・チャート情報の利便性を高めることが出来る。
【0082】
図15は、本実施形態に係る表示設定処理部による表示設定処理を説明するフローチャートである。
表示設定処理部21は、表示対対象銘柄入力欄61にキーボード等の入力装置16によって銘柄コード(四桁の証券コード)又は銘柄名の入力があったか否かを判断する(ステップS101)。
銘柄コード又は銘柄名の入力があったと判断した場合(ステップS101でYes)、表示設定処理部21は、入力された銘柄コード又は銘柄名を取得して、RAM12に格納し、表示対象銘柄として設定する(ステップS102)。
【0083】
表示設定処理部21は、サマライズ倍率選択欄にデフォルト値(通常倍率)以外の選択があるか否かを判断する(ステップS103)。
選択が無い場合、すなわちプルダウンメニューがデフォルト値である場合(ステップS103でNo)、表示設定処理部21は、ステップS104においてサマライズ倍率を通常(1倍)にセットする。
デフォルト値以外の選択がある場合(ステップS103でYes)、表示設定処理部21は、ステップS105において、選択されている値が「2倍(×2)」であるか否かを判断する。
【0084】
選択値が2倍である場合(ステップS105でYes)、表示設定処理部21は、ステップS106において、サマライズ倍率を2倍にセットする。
選択値が2倍でない場合(ステップS105でNo)、表示設定処理部21は、ステップS107において、選択されている値が「5倍(×5)」であるか否かを判断する。
【0085】
選択値が5倍である場合(ステップS107でYes)、表示設定処理部21は、ステップS108において、サマライズ倍率を5倍にセットする。
選択値が5倍でない場合(ステップS107でNo)、表示設定処理部21は、ステップS109において、選択されている値が「10倍(×10)」であるか否かを判断する。
選択値が10倍である場合(ステップS109でYes)、表示設定処理部21は、ステップS110において、サマライズ倍率を10倍にセットする。
選択値が10倍でない場合(ステップS109でNo)、表示設定処理部21は、ステップS111において、サマライズ倍率を20倍にセットする。
【0086】
次に、表示設定処理部21は、ステップS112において、合成透過切り替えボタンがONになっているかを判断する。
ONになっていれば(ステップS112でYes)、ステップS111において、表示設定処理部21は、板情報・チャート情報合成透過処理を行い、表示設定処理を終了する。
OFFとなっていれば(ステップS112でNo)、そのまま表示設定処を終了する。
【0087】
図16は、本実施形態に係る板情報表示処理を説明するフローチャートである。
板情報サマライズ処理部24は、ステップS201において、データ取得処理部22によって板情報が取得されたか否かを判断する。
板情報が取得されていない場合(ステップS201でNo)、板情報サマライズ処理部24は、そのまま板情報表示処理を終了する。
板情報が取得されたと判断した場合(ステップS201でYes)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS202において、
図10の表示設定処理で設定された表示倍率が通常(×1)であるか否かを判断する。
【0088】
表示倍率が通常であると判断した場合(ステップS202でYes)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS203において、板情報表示処理部27aに対し、データ取得処理部22が取得した板情報をそのまま表示装置13(情報表示画面30)に表示させる。
表示倍率が通常ではない(×1ではない)と判断した場合(ステップ202でNo)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS204において、表示倍率が2倍(×2)であるか否かを判断する。
【0089】
表示倍率が2倍(×2)であると判断した場合(ステップS204でYes)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS205において、データ取得処理部22が取得した板情報を2倍の呼値でサマライズし、それを表示装置13(情報表示画面30の板情報表示欄31)に表示させる。
表示倍率が2倍ではない(×2ではない)と判断した場合(ステップ204でNo)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS206において、表示倍率が5倍(×5)であるか否かを判断する。
【0090】
表示倍率が5倍(×5)であると判断した場合(ステップS206でYes)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS207において、データ取得処理部22が取得した板情報を5倍の呼値でサマライズし、それを表示装置13(情報表示画面30の板情報表示欄31)に表示させる。
表示倍率が5倍(×5)ではないと判断した場合(ステップS206でNo)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS208において、表示倍率が10倍(×10)であるか否かを判断する。
表示倍率が5倍(×10)であると判断した場合(ステップS208でYes)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS209において、データ取得処理部22が取得した板情報を10倍の呼値でサマライズし、それを表示装置13(情報表示画面30の板情報表示欄31)に表示させる。
表示倍率が10倍ではない(×10ではない)と判断した場合(ステップ208でNo)、板情報サマライズ処理部24は、ステップS210において、データ取得処理部22が取得した板情報を20倍の呼値でサマライズし、それを表示装置13(情報表示画面30の板情報表示欄31)に表示させる。
【0091】
[第3の実施形態]
[第2の実施形態]における板情報・チャート情報の合成透過表示において、[第1の実施形態]における板情報のサマライズ表示を行うようにしても良い。
図17は、本実施形態に係る集約処理を行った板情報とチャート情報とを合成透過表示した情報表示画面を示す図である。
図17に示す情報表示画面50における例えば15の領域に、
図4に示すような板情報と、チャート情報を合成透過表示している。
もちろん、各領域において、夫々異なる銘柄の板情報とチャート情報を表示可能であるとともに、透過表示の態様も
図12と同様に、板情報のみを情報表示画面に表示した状態、板情報とチャート情報を合成透過表示しながらもチャート表示に基調を置いた状態、板情報とチャート情報を合成透過表示しながらも板情報の表示に基調を置いた状態、
チャート表示のみを表示した状態を示している。板情報とチャート表示を対等に表示した合成表示とを切り替えることが出来る。
このように構成することで、板呼値変動を緩和した適正な板情報及び予想約定単価算出機能を提供することに最大銘柄数の監視による取引機会損失の抑止を図るとともに、2情報1視点による板・チャート情報の効率的な情報把握が可能となる。
【0092】
[第1の発明]
取引所における取引対象に対し、所定の値段幅で増減する売買希望価格である気配値と、各気配値での売り注文数及び買い注文数と、を関連づけた板情報を取得するデータ取得処理部と、板情報における売り注文数及び買い注文数を、値段幅を所定数倍して集約した集約気配値に関連づけて集約処理する集約処理部と、板情報を表示装置に表示する処理を行う表示処理部と、を備えた。
[第2の発明]
第1の発明において、表示処理部は、板情報における最新の取引価格である現在値と、最優先される売り側の気配値である最優先売り気配値と、最優先される買い側の気配値である最優先買い気配値については、集約処理部による集約前の気配値を板情報内に表示する。
【0093】
[第3の発明]
取引所において売買取引される取引対象に対する売買希望価格である気配値と、各気配値での売り注文数及び買い注文数と、を関連づけた板情報と、該板情報に基づいて行われた各売買取引における売買価格、出来高及び取引時刻を含む取引情報と、を取得するデータ取得処理部と、取引情報に基づくチャート情報を生成するチャート生成部と、チャート情報及び板情報を表示装置に表示する表示処理部と、を備え、
表示処理部は、チャート情報及び板情報を合成して透過的に表示する。
[第4の発明]
第3の発明において、板情報における売り注文数及び買い注文数を、値段幅を所定数倍して集約した集約気配値に関連づけて集約処理する集約処理部と、を備え、表示処理部は、集約処理された板情報を、チャート情報と合成して透過的に表示する。
【0094】
[第5の発明]
データ取得処理部と、集約処理部と、表示処理部と、を備えた情報表示装置の情報表示方法であって、データ取得処理部が、取引所において売買取引される取引対象に対し、所定の値段幅で増減する売買希望価格である気配値と、各気配値での売り注文数及び買い注文数と、を関連づけた板情報を取得するステップと、集約処理部が、板情報における売り注文数及び買い注文数を、値段幅を所定数倍して集約した集約気配値に関連づけて集約処理するステップと、表示処理部が、板情報を表示装置に表示する処理を行うステップと、を含む。
[第6の発明]
データ取得処理部と、チャート生成部と、表示処理部と、を備えた情報表示装置の情報表示方法であって、データ取得処理部が、取引所において売買取引される取引対象に対する売買希望価格である気配値と、各気配値での売り注文数及び買い注文数と、を関連づけた板情報と、該板情報に基づいて行われた各売買取引における売買価格、出来高及び取引時刻を含む取引情報と、を取得するステップと、チャート生成部が、取引情報に基づくチャート情報を生成するステップと、表示処理部が、チャート情報及び板情報を合成して透過的に表示するステップと、を含む。
[第7の発明]
第5又は第6の発明の情報表示方法をコンピュータに実行させるための情報表示プログラムである。