特許第6178294号(P6178294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178294
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20170731BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20170731BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   G06F1/26 E
   B41J29/38 Z
   B41J29/38 B
   H04N1/00 106B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-197329(P2014-197329)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-72685(P2016-72685A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−143081(JP,A)
【文献】 特開2004−029893(JP,A)
【文献】 特開2007−178648(JP,A)
【文献】 特開2004−094821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 1/26
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBポートと、
表示部と、
前記表示部の駆動電圧及び前記USBポートに供給されるUSBバス電圧となる電圧を生成する電源装置と、
前記USBポートに過電流が流れたことを検知すると共に、前記USBポートへの前記USBバス電圧の供給を遮断可能な過電流保護部と、
不揮発性メモリーと、
前記過電流保護部から前記USBポートの過電流検知の通知を受けて前記不揮発性メモリーに過電流検知情報を記録し、本画像形成装置の起動時に前記不揮発性メモリーから前記過電流検知情報を読み出して、過電流が検知されたUSBポートに前記USBバス電圧が供給されないように前記過電流保護部を制御する制御部とを備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像形成装置の起動時に前記不揮発性メモリーから前記過電流検知情報を読み出して、前記USBポートに過電流が検知された旨を前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、過電流が検知されたUSBポートからUSBメモリーが取り外されたことを確認したとき、前記不揮発性メモリーから前記過電流検知情報を削除するとともに、該USBポートへの前記USBバス電圧の供給を開始するように前記過電流保護部を制御する請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、USBポートに流れる過電流から内部回路を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複合機等の画像形成装置にはUSBポートを備えたものがある。USBポートにUSBメモリーを挿入すると、画像形成装置のコントローラー基板からUSBバス電圧(VBUS)がUSBメモリーに供給されてUSBメモリーが動作する。このようなUSBポートに短絡故障等の不具合のあるUSBメモリーが誤って挿入されるとUSBポートに過電流が流れて画像形成装置が誤動作してしまう。そこで、そのような誤動作を防ぐために、画像形成装置にVBUS短絡保護スイッチ(VBUSスイッチ)を設ける場合がある。VBUSスイッチは、USBポートの過電流を検知したときにUSBポートへのVBUSの供給を遮断するスイッチである。
【0003】
下記特許文献1には、USBメモリーに異常があった場合、過電流検出部がVBUSの過電流を検知し、その情報をCPUが受け取ってユーザーに通知する装置が開示されている。また、下記特許文献2には、USBメモリーを挿入したときの突入電流の発生の際にVBUSスイッチがダウンすることを防ぐ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−29893号公報
【特許文献2】特開2004−94821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
VBUSスイッチが過電流を検知してからVBUSの供給を遮断するまでに10〜20msの時間がかかる。このため、VBUSスイッチがVBUSの供給を遮断する前に、上流の電源電圧がドロップして過電流状態となると、上流の電源ICが過電流を検知して保護機能が働いて電源ICから電源電圧が出力されなくなる。電源ICの過電流検知には自動復帰タイプやシャットダウンタイプなどがある。シャットダウンタイプにおいて、上述したようにVBUSスイッチの過電流検知よりも電源ICの過電流検知が先に発生して電源ICがダウンすると、電源ICは自動で回復することができない。そのため、ユーザーが画像形成装置の電源を入れ直す必要が生じる。
【0006】
USBポートの過電流が検知された場合、画像形成装置の表示パネルにコールサービス等の表示をすることも可能であるが、電源ICがダウンすると表示パネルに電源が供給されなくなって表示パネルは何も表示できなくなる。そうなると、ユーザーはなぜ画像形成装置に異常が発生したのかを知ることができなくなり、不具合のあるUSBメモリーをUSBポートに挿入したままで画像形成装置の電源のオン/オフを繰り返すおそれがある。もし、かかる状況で電源のオン/オフを繰り返した場合、基板が破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、USBポートの過電流が検知されて画像形成装置を再起動した場合においてそのUSBポートにUSBバス電圧を供給しないことを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、USBポートと、
表示部と、
前記表示部の駆動電圧及び前記USBポートに供給されるUSBバス電圧となる電圧を生成する電源装置と、
前記USBポートに過電流が流れたことを検知すると共に、前記USBポートへの前記USBバス電圧の供給を遮断可能な過電流保護部と、
不揮発性メモリーと、
前記過電流保護部から前記USBポートの過電流検知の通知を受けて前記不揮発性メモリーに過電流検知情報を記録し、本画像形成装置の起動時に前記不揮発性メモリーから前記過電流検知情報を読み出して、過電流が検知されたUSBポートに前記USBバス電圧が供給されないように前記過電流保護部を制御する制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、USBポートの過電流が検知されて画像形成装置を再起動した場合においてそのUSBポートにUSBバス電圧が供給されない。これにより、過電流の原因が排除されないまま画像形成装置の電源のオン/オフが繰り返されるのを防いで、基板の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】画像形成装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
図3】USBポートにUSBメモリーが挿入されたときの画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図4】画像形成装置の起動時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、装置本体11に、操作部47、画像形成部12、定着部13、給紙部14、原稿給送部6、及び原稿読取部5等を備えて構成されている。
【0013】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、表示部473を備える。表示部473は、タッチパネル機能を有するLCD(Liquid Crystal Display)で構成されている。
【0014】
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿給送部6により給送されてくる原稿、又は原稿載置ガラス161に載置された原稿の画像を原稿読取部5が光学的に読み取り、画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0015】
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、上記原稿読取動作により生成された画像データ、又はネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ、又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての用紙Pにトナー像を形成する。カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y、及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれに、上記画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光、及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、当該トナー像を一次転写ローラー126により中間転写ベルト125上に転写させる。
【0016】
中間転写ベルト125上に転写される上記各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成された当該カラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた用紙Pに転写させる。この後、定着部13が、用紙P上のトナー像を、熱圧着により用紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの用紙Pは、排出トレイ151に排出される。
【0017】
なお、画像形成装置1において、両面印刷を行う場合は、画像形成部12より一方の面に画像が形成された用紙Pを、排出ローラー対159にニップされた状態とした後、当該用紙Pを排出ローラー対159によりスイッチバックさせて反転搬送路195に送り、搬送ローラー対19により、上記ニップ部N及び定着部13に対して用紙Pの搬送方向上流域に再度搬送する。これにより、画像形成部12により当該用紙の他方の面に画像が形成される。
【0018】
次に、画像形成装置1の構成を説明する。図2は画像形成装置1の主要内部構成を示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、画像処理部31、画像メモリー32、駆動モーター70、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、HDD92、及びUSBポート80等を備える。
【0019】
原稿読取部5は、制御ユニット10による制御の下、光照射部及びCCDセンサー等を有する読取機構163(図1を参照)を備える。原稿読取部5は、光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサーで受光することにより、原稿から画像を読み取る。
【0020】
画像処理部31は、原稿読取部5で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部31は、原稿読取部5により読み取られた画像が画像形成部12により画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の予め定められた画像処理を行う。
【0021】
画像メモリー32は、原稿読取部5による読取で得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存する領域である。
【0022】
画像形成部12は、原稿読取部5で読み取られた印刷データ、ネットワーク接続されたコンピューター200から受信した印刷データ等の画像形成を行う。
【0023】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者からの指示を受け付ける。操作部47は、表示部473を備える。
【0024】
表示部473は、操作画面、プレビュー画面、印刷ジョブ状況の確認画面等の各種表示をする。
【0025】
ファクシミリ通信部71は、図略の符号化/復号化部、変復調部及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリの送信を行うものである。
【0026】
ネットワークインターフェイス部91は、LANボード等の通信モジュールから構成され、当該ネットワークインターフェイス部91に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内のコンピューター200等と種々のデータの送受信を行う。
【0027】
HDD92は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0028】
駆動モーター70は、画像形成部12の各回転部材及び搬送ローラー対19等に回転駆動力を付与する駆動源である。
【0029】
USBポート80は、USBメモリー300を接続可能なインターフェイスである。USBポート80にUSBメモリー300を挿入して接続することで、USBメモリー300が制御ユニット10に接続し、制御ユニット10からUSBメモリー300に対してデータの読み書きを行うことが可能になる。
【0030】
制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御ユニット10は、電源IC101、VBUSスイッチ102、USBハブ103、CPU104、及び不揮発性メモリー105を備える。
【0031】
電源IC101は、入力電圧Vin(例えば、DC12V)から出力電圧Vout(例えば、DC5V)を生成する電源装置である。出力電圧Voutは、表示部473の駆動電圧として供給され、また、USBバス電圧(VBUS)としてUSBポートへも供給される。電源IC101は、特許請求の範囲における電源装置に相当する。
【0032】
VBUSスイッチ102は、電源IC101の出力端とUSBポート80との間に設けられ、USBポート80に過電流が流れたことを検知すると共に、USBポート80へのVBUSの供給を遮断することが可能なスイッチである。VBUSスイッチ102は、特許請求の範囲における過電流保護部に相当する。
【0033】
USBハブ103は、CPU104におけるUSB PHYを複数チャンネルに分配する装置である。USBが複数チャンネルある場合、USBポート80はチャンネルごとに設けることができる。この場合、VBUSスイッチ102は、USBのチャンネルごとにVBUSの供給/遮断を切り替えることができ、USBハブ103は、VBUSスイッチ102に対して、USBのチャンネルごとにスイッチをオン/オフさせる制御を行う。
【0034】
CPU104は、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像処理部31、画像メモリー32、画像形成部12、駆動モーター70、ファクシミリ通信部71、ネットワークインターフェイス部91、HDD92、及びUSBポート80等と接続され、これら各部の制御を行う。CPU104は、USBポート80に挿入されたUSBメモリー300に対するホスト装置として機能する。
【0035】
CPU104は、VBUSスイッチ102からUSBポート80の過電流検知の通知を受けたとき、不揮発性メモリー105に、過電流が生じていることを示す過電流情報を記録する。不揮発性メモリー105は、画像形成装置1の電源がオフにされても記憶内容を保持し続けることができる。一方、CPU104は、画像形成装置1の起動時に、不揮発性メモリー105から過電流検知情報を読み出して、過電流が生じている場合には、過電流が検知されたUSBポート80にVBUSが供給されないようにVBUSスイッチ102を制御、すなわち、VBUSスイッチ102をオフ制御する。CPU104は、特許請求の範囲における制御部に相当する。
【0036】
このように、USBポート80の過電流が検知されたことを不揮発性メモリー105に記録しておくことによって、画像形成装置1の再起動時に不揮発性メモリー105から過電流検知情報が読み出し可能となり、過電流が生じている場合には、過電流が検知されたUSBポート80にVBUSが供給されないように制御することが可能になる。これにより、画像形成装置1の再起動時においてUSBポート80に不具合のあるUSBメモリー300が挿入されたままになっていても、電源IC101が過電流を検知することなく出力電圧Voutを供給することができる。
【0037】
上述したように、画像形成装置1の再起動時においてUSBポート80に不具合のあるUSBメモリー300が挿入されたままになっていても電源IC101から出力電圧Voutを供給することができるため、表示部473を駆動可能である。このため、CPU104は、画像形成装置1の起動時に不揮発性メモリー105から過電流検知情報を読み出して、USBポート80に過電流が検知された旨を表示部473に表示させることができる。
【0038】
このように、画像形成装置1の起動時にUSBポート80に過電流が検知された旨を表示部473に表示することで、画像形成装置1に異常が発生した原因をユーザーに知らせることができ、ユーザーは適切な処置を講ずることができる。
【0039】
また、CPU104は、過電流が検知されたUSBポート80からUSBメモリー300が取り外されたことを確認したとき、不揮発性メモリー105から過電流検知情報を削除するとともに、そのUSBポート80へのVBUSの供給を開始するようにVBUSスイッチ102を制御することができる。
【0040】
ただし、過電流が検知されたUSBポート80にはVBUSが供給されていないため、USBメモリー300がUSBポート80から取り外されたことは電気的に検知することができない。そこで、表示部473に確認画面を表示して、USBメモリー300を取り外したことをユーザーに入力してもらうことで、CPU104は、過電流が検知されたUSBポート80からUSBメモリー300が取り外されたことを確認することができる。
【0041】
このように、過電流の原因となったUSBメモリー300がUSBポート80から取り外されることで、画像形成装置1を再起動することなくUSBポート80へのVBUSの供給を再開することができる。
【0042】
次に、USBポート80にUSBメモリー300が挿入されたときの画像形成装置1の動作を説明する。図3は、USBポート80にUSBメモリー30が挿入されたときの画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。
【0043】
ユーザーがUSBポート80にUSBメモリー300を挿入すると(S1)、USBメモリー300にVBUSが供給される(S2)。このとき、USBメモリー300が短絡故障等していれば、USBポート80に過電流が流れる。
【0044】
VBUSスイッチ102は、USBポート80に過電流が流れたことを検知すると(S3でYES)、USBポート80へのVBUSの供給を遮断するとともに、USBハブ103に、USBポート80の過電流を検知したことを通知する(S4)。USBハブ103が過電流検知の通知を受けると、CPU104は、不揮発性メモリー105にUSBポート80の過電流検知情報を記録する(S5)。
【0045】
VBUSスイッチ102によるVBUSの遮断との時差で、上流の電源IC101が過電流を検知してダウンするおそれがある。もし電源IC101がダウンした場合には(S6でYES)、表示部473に駆動電圧が供給されなくなり、表示部473が消灯してシステム異常が発生する(S7)。この場合、表示部473に何も表示できなくなるため、ユーザーはなぜシステム異常が発生したかを知ることができない。システム異常が発生すると、ユーザーによって画像形成装置1の主電源がオフにされる(S8)。
【0046】
なお、USBポート80の過電流が検知されない場合(S3でNO)、及び電源ICがダウンしない場合(S6でNO)には、画像形成装置1は通常動作を継続することができる。その場合、ユーザーが任意のタイミングで画像形成装置1の主電源をオフにする(S8)。
【0047】
次に、画像形成装置1の起動時の動作について説明する。図4は、画像形成装置1の起動時の動作を示すフローチャートである。
【0048】
ユーザーが画像形成装置1の主電源をオンにして画像形成装置1が起動する(S11)。画像形成装置1が起動すると、まず、CPU104が、不揮発性メモリー105にアクセスして、過電流が生じていることを示す上記過電流検知情報が記録されているかどうかを確認する(S12)。
【0049】
もし画像形成装置1の起動時に不揮発性メモリー105に過電流検知情報が記録されていれば(S13でYES)、それはUSBポート80の過電流が検知されて画像形成装置1の電源がオフにされたことを表し、不具合のあるUSBメモリー300がまだUSBポート80に挿入されたままである可能性が高い。そこで、CPU104は、不揮発性メモリー105から過電流検知情報を読み出して、過電流が検知されたUSBポート80にVBUSが供給されないようにVBUSスイッチ102をオフにする(S14)。これにより、不具合のあるUSBメモリー300が挿入されたままのUSBポート80にVBUSが供給されないため、電源IC101が過電流を検知することなく出力電圧Voutを供給することができる。なお、画像形成装置1の起動時に不揮発性メモリー105に過電流検知情報が記録されていなければ(S13でNO)、処理は終了する。
【0050】
CPU104は、VBUSスイッチ102をオフにするとともに、表示部473に、USBポート80の過電流検知によりシステム異常が発生したことを表示させる。さらに、CPU104は、USBポート80からUSBメモリー300を取り外すこと表示部473に表示させる(S15)。
【0051】
ユーザーは、表示部473の表示に従ってUSBメモリー300を取り外す。USBメモリー300を取り外したことの確認は、ユーザーが操作部47を操作することにより入力する。CPU104は、USBメモリー300が取り外された確認ができるまで待機し(S16でNO)、USBメモリー300が取り外されたことを確認した場合(S16でYES)、CPU104は、VBUSスイッチ102をオフ制御して、USBポート80へのVBUSの供給を再開する(S17)。
【0052】
上記のように、本実施形態によれば、USBポート80の過電流が検知されて画像形成装置1を再起動した場合においてそのUSBポート80にVBUSを供給しないようにすることができる。これにより、過電流の原因であるUSBメモリー300が取り外されないまま画像形成装置1の電源のオン/オフが繰り返されるのを防いで、制御ユニット10などの基板の破損を防止することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、USBが1チャンネルの場合、USBハブ103を省略することができる。また、USBポート80の過電流は、短絡故障したUSBメモリー300の挿入に限らず、USBポート80自体の物理的損傷によっても発生し得る。また、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、プリンター等の他の画像形成装置でもよい。
【0054】
また、図1乃至図4を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置
80 USBポート
101 電源IC(電源装置)
102 VBUSスイッチ(過電流保護部)
104 CPU(制御部)
105 不揮発性メモリー
100 制御部
300 USBメモリー
473 表示部
図1
図2
図3
図4