特許第6178307号(P6178307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178307
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】スチールプロファイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 11/08 20060101AFI20170731BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20170731BHJP
   B23K 26/364 20140101ALI20170731BHJP
【FI】
   B21D11/08
   B21D5/01 Z
   B23K26/364
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-508840(P2014-508840)
(86)(22)【出願日】2012年5月4日
(65)【公表番号】特表2014-512963(P2014-512963A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012058311
(87)【国際公開番号】WO2012150352
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年3月27日
(31)【優先権主張番号】102011100633.1
(32)【優先日】2011年5月5日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513277267
【氏名又は名称】オリガミ・スティール・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ORIGAMI STEEL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・ヴンシュ
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−072728(JP,A)
【文献】 特開2008−137105(JP,A)
【文献】 特開平10−015619(JP,A)
【文献】 特開平07−100528(JP,A)
【文献】 特開平10−137854(JP,A)
【文献】 特開2004−162457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 11/08
B21D 5/01
B23K 26/364
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチールプロファイルを製造する方法であって、
ワークピース(2、44、52)を提供するステップと、
ワークピース(2、44、52)内の屈曲予定の領域に脆弱点(10)を形成するステップと、
ワークピース(2、44、52)を屈曲させて、ワークピース(2、44、52)に屈曲部を製造するステップと、を含み、
くぼみ(11)は、ワークピース(2、44、52)内の脆弱点(10)を形成し、
ワークピース(2、44、52)内の屈曲部(21)の内側に形成されたくぼみ(11)は、溶接によって屈曲加工後に閉じられ、
溶接は、ワークピース(1300)の屈曲部の外側(1320)から内側(1321)に向かう集光レーザビーム(1310)を用いて行われる、方法。
【請求項2】
脆弱点(10)は、ワークピース(2、44、52)内にくぼみ(11)を形成することによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脆弱点(10)は、フライス加工、圧延加工、押し抜き加工又はスタンピング加工により形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
屈曲後の脆弱点(10)は、溶接により補強される、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
脆弱点(10)を形成するとともにワークピース(2、44、52)内の屈曲部(21)の内側に形成されたくぼみ(11)は、屈曲加工時に縮小され又は閉じられ、
脆弱点(10)を形成するとともにワークピース(2、44、52)内の屈曲部(21)の外側に形成されたくぼみ(11)は、屈曲加工時に拡大される、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
脆弱点(10)を形成するくぼみ(11)を画定する側面(16)は、互いに剥離不能に接合される、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
屈曲は、自由曲げ、折り畳み又は型曲げにより行われる、請求項1から6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ワークピース(2、44、52)は、スチールストリップロール(42)を広げることによって提供される、請求項1から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
くぼみ(810)は、スチールストリップブランク(801)の形態であるワークピース(800)内に屈曲加工前に導入され、くぼみは、スチールストリップブランクの長手方向(815)に対して実質的に交差するように配向されるとともに、スチールストリップブランク(801)の側縁(816)にて開放されている、請求項1から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
くぼみ(810)はスチールストリップブランク(801)内に延びており、このとき、くぼみ(810)の第1の部分(821)を収めるスチールストリップブランク(801)の第1の領域(820)における曲げモーメント(840)が、くぼみ(810)の第2の部分(831)を収めるスチールストリップブランク(801)の第2の領域(830)に伝達されない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
矢板であって、
矢板(521;1021)を、別の矢板(511;1011)又は支持要素のロック部材(512;1012)に接続するロック部材(522;1022)と、
矢板(521;1021)の壁部(527;1027)から延びるネックストリップ(523;1023)と、
ネックストリップ(523;1023)からヘッドストリップ(524;1024)と、
ヘッドストリップ(524;1024)からフロントストリップ(525;1025)
と、
フロントストリップ(525;1025)から延びるクローストリップ(526;1026)とを備え、
クローストリップ(526;1026)はフロントストリップ(525;1025)に対して、少なくとも90°の角度(β;Ψ)にて実質的に配向されるとともに、ネックストリップ(523;1023)、ヘッドストリップ(524;1024)およびフロントストリップ(525;1025)によって形成されるU字状領域(528;1028)におけるフロントストリップ(525;1025)から延びる、矢板。
【請求項12】
ネックストリップ(1023)は壁部(1027)に対して、最大で90°の角度(χ)で配向され、および/又は、
ヘッドストリップ(1024)はネックストリップ(1023)に対して、最大で90°の角度(φ)で配向され、および/又は、
フロントストリップ(1025)はヘッドストリップ(1024)に対して、最大で90°の角度(σ)の角度で配向される、請求項11に記載の矢板。
【請求項13】
クローストリップ(1026)はフロントストリップ(1025)に対して、実質的に120°―140°の角度(Ψ)にて配向されている、請求項11又は12に記載の矢板。
【請求項14】
クローストリップ(514;524)の一端(402;502;503)はラウンド化されている、請求項11から13のいずれか1つに記載の矢板。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1つの請求項に記載の少なくとも2つの前記矢板を含む矢板壁。
【請求項16】
ワークピースからスチールプロファイルを製造するためのシステムであって、ワークピース(2、44、52)内の屈曲予定の領域に、脆弱点(10)を形成するための脆弱化装置(14、56)と
脆弱点(10)の領域においてワーク(2、44、52)を屈曲させるための屈曲化装置
(20、60、725)とを備え、
切断装置(720)は、スチールストリップブランクの長手方向(815)に対して実質的に交差するように配向されるとともにスチールストリップブランクの側縁(816)にて開放されているくぼみ(810)を導入するように設計されている、システム。
【請求項17】
ワークピース(2、44、52)を提供するための供給装置(50、704)を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
切断装置(43)は、スチールストリップコイル(42)から供給されたスチールストリップをワークピース(2、44、52)に分割するために設けられている、請求項16又は17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチール処理およびスチール製造の分野に関し、特にスチールプロファイル(steel profile)の製造に関する。本発明は、スチールプロファイルを製造する方法に関する。本発明はさらに、スチールプロファイル、特に前述の方法によって製造されるスチールプロファイルに関する。本発明はまた、矢板に関し、特にZ型の矢板に関する。本発明はさらに、ワークピース(workpiece)から、特にスチールブランク(steel blank)から、好ましくはスチールストリップブランク(steel strip blank)からスチールプロファイルを製造するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スチールプロファイルや矢板を製造する方法およびスチールプロファイルを製造するためのシステムは、基本的には従来技術から知られている。製鉄所では、スチールプロファイルは多くの場合、連続鋳造法、熱間圧延又は冷間圧延によって製造される。スチールブランクを形成する塊から作成されるスチールプロファイルも知られている。矢板壁を構築する際、矢板壁の構成要素としては、矢板の形態のスチールプロファイルがよく使用される。この場合、特にZ字状の矢板とU字状の矢板が知られており、これらは例えば「ラーセンインターロック(Larssen interlocks)」などのインターロックの各種形態によって互いに接続されている。矢板を地中に挿入、打ち込み(ramming)又は振動させる際に、インターロックを互いに挿入することにより、矢板は相互に接続される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、改善されたスチールプロファイルの製造方法、改善されたスチールプロファイル、改善された矢板、およびワークピースからスチールプロファイルを製造する改善されたシステムを提供することである。
【0004】
この目的は、スチールプロファイルを製造する方法であって、ワークピース、特にスチールブランク、好ましくは、スチールストリップブランクを提供するステップと、ワークピース内の屈曲予定の領域に脆弱点を形成するステップと、ワークピースを屈曲させて、ワークピースに屈曲部を製造するステップと、を含む方法である本発明によって達成される。
【0005】
本発明は、従来技術の方法がいくつかの欠点を有しているという認識に基づいている。従来技術の方法は、エネルギー集中化および労働集中化しており、高いセットアップ費用および/又はスタートアップ費用を伴う。これにより、大規模な少量受注量と比較的長い納期となってしまうので、製造は事前に長期に計画されるとともに、顧客の注文に柔軟に対応するためには大量のストックを保管することが必須である。
【0006】
本発明による方法の利点は、スチールプロファイルが、コイルおよび/又はスチールストリップのロールから好ましくは直接的に、又は出発物質としての圧延スチールワークピースから自立的に、柔軟に、完全に自動的に製造できることである。比較的低い工具コスト、労働コスト、および材料の損失が小さいことにより、製造コストも低く維持される。この方法を適用することによって、需要にうまく適合したタイミングの良い製造を達成することができるとともに、保管コストを低く抑えることができる。この方法はまた、エネルギー効率良く、クリーンで、かつ環境に優しく動作する。厚肉のスチールを処理する際に特にエネルギーを節約することができる。
【0007】
ワークピース内の脆弱点は好ましくは、ワークピースにおける屈曲予定部に沿って延びる。
【0008】
本発明による方法の有利な一実施形態によれば、脆弱点は、ワークピース内の特にノッチにくぼみを形成することによって形成される。これは、ワークピース内の屈曲予定の領域に脆弱点を形成するのに特に好都合でシンプルな変形である。
【0009】
本発明の内容において、「ノッチ」との表現は、開放端を有するようにワークピースに形成されるくぼみとして理解される。
【0010】
本発明による方法の別の実施形態では、脆弱点、特に脆弱点を形成するくぼみは、フライス加工、圧延加工、押し抜き加工又はスタンピング加工により形成される。このように脆弱点は特に簡単な方法により、必要に応じて自動的にワークピースに形成することができる。
【0011】
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、屈曲後の脆弱点は、溶接により、特にレーザ溶接により、好ましくはレーザハイブリッド溶接技術により補強される。このような屈曲目的のために設けられる脆弱点の補強により、特に高い剛性を有するスチールプロファイルが屈曲後に生成される。
【0012】
溶接は好ましくは、屈曲によって部分的に閉じられたくぼみを完全に閉じるように機能する。例えば、互いに接触するワークピース内のくぼみの端部を、溶接によって互いに剥離不能に接合することができる。
【0013】
本発明の内容において、「レーザ溶接」との表現は、光学的に収束された高強度のレーザビームを用いた、スチールプロファイルの2つの端部の剥離不能な接合を意味すると理解される。
【0014】
本発明による方法の一実施形態によれば、溶接は、ワークピースの屈曲部の外側から内側に向かう集光レーザビームを用いて、特に屈曲加工後にくぼみによって形成されるゼロギャップ(zero gap)に沿って行われ、ビームの焦点は好ましくはワークピースの中にある。「ゼロギャップ」との表現は、本発明の内容において、くぼみの側面は屈曲後に互いに対向する、例えば、化学結合を形成することなく接触することを意味すると理解される。
【0015】
基本的に、ワークピースを1回のみ屈曲させることによって、屈曲角度にかかわらず、ワークピース内の屈曲部の外側から内側に溶接を行う、又はワークピース内の屈曲部の内側から外側に溶接を行うことができる。しかしながら、スチールプロファイルを製造する場合、屈曲部によっては屈曲部の内側から溶接を始めることができなくなっており、それは、屈曲部および/又はゼロギャップの内側がワークピース内の隣接するストリップによって隠れ、レーザビームがアクセス不能となっているためである。溶接はまた、屈曲部の外側から内側に導かれるレーザビームによって、特に簡単な方法により行うことができる。発振ビーム又は2つの部分のレーザビームよりもむしろ、単一の集光レーザビームが好ましくは使用される。
【0016】
本発明の方法の別の実施形態では、脆弱点を形成するとともに屈曲部の内側に形成されたくぼみが、屈曲加工時に縮小され又は閉じられる、あるいは、脆弱点を形成するとともにワークピース内の屈曲部の外側に形成されたくぼみが、屈曲加工時に拡大される。これは、特に好都合な方法の実施形態であり、ここでは、脆弱点を形成するくぼみが屈曲目的のために特に適切な方法で形成される。本方法は、実行される屈曲に適合可能なように材料中のくぼみが屈曲前に形成されるため、このようにして単純化される。くぼみは、好ましくは、意図される屈曲角度に合わせることが可能である。
【0017】
本発明の方法の別の好都合な実施形態によれば、脆弱点を形成するくぼみは、ワークピース内に設けられ、ワークピース内の屈曲部の内側に形成されたくぼみは、溶接によって、特にレーザ溶接によって屈曲加工後に閉じられる。本方法では、最初に屈曲時に小型化されたくぼみが溶接により閉じられることで、スチールプロファイルを補強する。
【0018】
本発明による方法の別の実施形態では、脆弱点を形成するくぼみを画定する側面が剥離不能に接合されている。このように、屈曲目的で設けられた脆弱点が屈曲後に追加的補強される。
【0019】
本発明による方法の別の好都合な実施形態によれば、屈曲は、自由曲げ、折り畳み又は型曲げにより行われる。このように、ワークピースを特に簡単かつ自動化された方法で屈曲させて、スチールプロファイルを形成することができる。
【0020】
本発明の方法のさらに別の好ましい実施形態によれば、ワークピースは、スチールストリップロールを、特にコイルを広げることによって提供される。本発明の内容において、「コイル」との表現は、例えばスチールストリップコイルの形態で、巻線金属ストリップ(wound metal strip)を意味すると理解される。
【0021】
本発明による方法の別の好ましい実施形態によれば、くぼみは、スチールストリップブランクの形態であるワークピース内に屈曲加工前に導入され、くぼみは、スチールストリップブランクの長手方向に対して実質的に交差するように配向されるとともに、スチールストリップブランクの側縁にて開放されている。くぼみは例えば、スタンピングツール、高出力レーザビーム、又はスチールソーなどによって、スチールストリップブランク内に短手方向に導入されたスロット状のくぼみの形態で提供される。スチールストリップブランクの長手方向は好ましくは、例えば生産ライン上で製造ステップ中にスチールストリップブランクが移動する方向である。これはまた、より具体的には、スチールストリップコイルから巻きの取れたスチールストリップが製造ラインに供給される。
【0022】
くぼみがあることによって、製造プロセスの工程を、スチールストリップブランクの第1の領域にて、くぼみによって第1の領域から分離されているスチールストリップブランクの第2の領域に影響を与えることなく、行うことができる。
【0023】
前述した実施形態の好ましい発展形によれば、くぼみはスチールストリップブランク内に延びており、このとき、くぼみの第1の部分を収めるスチールストリップブランクの第1の領域における曲げモーメントが、くぼみの第2の部分を収めるスチールストリップブランクの第2の領域に伝達されない。これにより実質的に、スチールストリップブランクが使用されるスチールプロファイルの製造プロセスを簡略化する。本発明の方法によれば、スチールストリップブランクの個々のセクションを屈曲前に互いに完全に分離させることなく、屈曲を実施することができる。くぼみは、各スチールストリップブランクの第1の領域における曲げモーメントがスチールストリップブランクの第2の領域に伝達されないような方法で、スチールストリップブランク内に所定の深さで導入され、2つの領域はそれにもかかわらず、スチールストリップブランクの所定の部分に接合されたままである。
【0024】
本発明による製造プロセスによれば、スチールプロファイルを生成するために、スチールストリップブランクの第1の領域は、例えばワークピースがその中で屈曲可能なように、屈曲化装置内に配置される。くぼみはこの場合、例えば、脆弱化装置内に配置されたままであるスチールストリップブランクの第2の領域に屈曲が適用されることを防止するように機能する。
【0025】
最初に特定された目的は、スチールプロファイル、特に前述の方法によって製造されたスチールプロファイルであって、屈曲領域に脆弱点を有するワークピースの形態であるスチールプロファイルの発明によって達成される。
【0026】
本発明は、従来技術のスチールプロファイルが多くの欠点を持っているという認識に基づいている。今までは、従来技術のスチールプロファイルは、非常に大きなエネルギーを適用することによってのみ屈曲を行うことができた。展開された屈曲化技術に応じて、例えばワークピース内の屈曲部の内側にある、材料の蓄積や歪みは、最終加工時に除去されることを要する。
【0027】
本発明によるスチールプロファイルの1つの利点は、スチールプロファイルを形成するための屈曲化技術を特に単純でエネルギー効率の良い方法で行うことができることである。材料コストも低く抑えることができる。
【0028】
本発明のスチールプロファイルの1つの有利な実施形態によれば、脆弱点は、ワークピース内のくぼみとして形成される。脆弱点はこのように、特に単純かつ好都合な形態で提供される。
【0029】
本発明のスチールプロファイルの特に好ましい1つの実施形態では、ワークピースは、屈曲領域に実質的にV字状のくぼみを有し、くぼみの側面は、好ましくは90°―135°の範囲の角度を形成する。
【0030】
本発明のスチールプロファイルのさらに別の好ましい実施形態によれば、ワークピースは、屈曲領域に実質的にW字状のくぼみを有する。ここでのW字状のくぼみは、互いに隣接して設けられた2つのV字状のくぼみによって形成することができる。屈曲後、W字状のくぼみの側面、すなわち2つのV字状のくぼみのそれぞれの側面は、互いに対向してゼロギャップを形成している。このゼロギャップは溶接により、特にレーザ溶接により、閉じることができる。
【0031】
W字状のくぼみの1つの重要な利点は、ワークピースを屈曲する際に、特に小さな領域のみが変形される、すなわち冷間形成される、ということである。屈曲部の内側に向かって開放されたW字状のくぼみの場合には、屈曲部の内側には面していないワークピースの領域のみが屈曲加工時に変形する。その結果、ワークピースの材料の強度は屈曲によってわずかに影響を受ける。このことは、スチールプロファイルを使用する際に特に重要である。変形領域は硬化するものの、より脆弱となるからである。
【0032】
本発明のスチールプロファイルの別の好ましい実施形態によれば、ワークピースは、第1の領域ではV字状で第2の領域、特に底部ではW字状であるくぼみを有し、V字状領域の側面は、好ましくは約50°―110°の範囲の角度を形成する。ワークピースが屈曲された後に、くぼみのW字状領域の側面は互いに対向するとともに、ゼロギャップを形成する。くぼみのV字状領域の側面は、屈曲後に互いに対向するとともに、ゼロギャップを形成している。このように3つのゼロギャップが形成される。すなわち、1つのゼロギャップがV字状領域に形成され、2つのゼロギャップがW字状領域に、すなわち、W字状領域を形成する2つのV字状のくぼみの側面の間に形成される。これらのゼロギャップは、好ましくは溶接により、特にレーザ溶接により閉じられる。
【0033】
このようなくぼみの1つの重要な利点は、ワークピースを屈曲したときに、非常に小さな領域のみしか変形されないことである。屈曲部の内側に開放しているこの種のくぼみによれば、前述の領域は例えば、屈曲部の内側には面していない領域である。その結果、ワークピースの材料の強度は屈曲によってわずかに影響を受けるのみである。さらに、この種のくぼみによれば、材料に対する影響を最小限にしながら、大きな屈曲角度を生成することが可能である。また、ワークピースが延ばされる方向に関係なく、すなわち、ブランクの製造中にローラが回転する方向に関係なく、良好な曲げ特性を得ることができる。この種のくぼみが設けられたワークピースを屈曲した後に、ワークピースは、屈曲部の頂部にてワークピースの屈曲されていない領域よりも大きな厚みを有する。例えば、ワークピースが110°の角度で屈曲された場合、頂部は、屈曲されていない領域におけるワークピースの約1.7倍の厚みを有する。
【0034】
前述の2つの実施形態の別の好ましい発展形によれば、W字状のくぼみの側面はV字状のくぼみの側面に隣接する、特にW字状のくぼみにおけるそれぞれの外側側面がV字状のくぼみの側面に隣接する。これは具体的には、W字状のくぼみの外側側面の自由端部がV字状のくぼみの側面に隣接するものと理解することができる。例えば、V字状のくぼみの側面は互いに隣接しないが、W字状のくぼみの端部からワークピース内の屈曲部の内側に向かって、すなわちくぼみの開放側面に向かってそれぞれ延びる。このようにして特に、屈曲部の内側に開放されたくぼみを生成することができる。
【0035】
V字状のくぼみの側面の間の角度は、ワークピースの屈曲角度と等しいことが好ましい。また、W字状のくぼみのそれぞれの外側側面が実質的に互いに平行に配向されていることが好ましい。さらに好ましくは、V字状のくぼみの側面の間の角度が増加するにつれて、W字状のくぼみの幅が増加する。
【0036】
本発明のスチールプロファイルの別の好都合な設計において、ワークピースは、屈曲領域にある脆弱点を補強するための溶接継目、特にレーザ溶接継目を有する。これにより、特に安定しており、製造が単純なスチールプロファイルが得られる。
【0037】
最初に特定された目的は、上述した種類の方法により製造されたスチールプロファイルによって形成された矢板、特にZ型の矢板によって達成される。本発明の方法により製造される矢板は、矢板の屈曲されていない領域よりも、特に屈曲部の頂点にて大きな厚みを有する。DIN10248によると、矢板は一般的に、屈曲されていない領域では約12mmのオーダーの厚さを有する。
【0038】
最初に特定された目的は以下の本発明によって達成される。その発明は、矢板、特にZ型の矢板であって、矢板を別の矢板又は支持要素のロック部材に接続するロック部材と、矢板の壁部から実質的に垂直に延びるネックストリップと、ネックストリップから延びるクローストリップとを備え、クローストリップはネックストリップに対して、少なくとも90°、特に100°―130°の角度にて実質的に配向しており、クローストリップの一端は壁部に面する、矢板である。矢板の壁部から実質的に垂直に延びるネックストリップは、好ましくは、壁部に対して約90°の角度で配向されていることを意味するものと本発明の内容において理解されるべきである。
【0039】
矢板のロック部材は、好ましくは、前述した種類の方法による本発明によって製造される。これは、好ましくは、上述の方法でスチールストリップブランクを曲げることによってロック部材の形状にすることで行われる。ロック部材は特に、別の矢板のロック部材と係合するように使用される。これは、好ましくは、地面に激突または振動しているときに、別の矢板のロック部材にロック部材を挿入することによって行われる。
【0040】
本発明による矢板の好ましい実施形態によれば、ネックストリップは壁部に対して、最大90°の角度、特に約20°―60°の角度、好ましくは35°―45°の角度で配向されている。
【0041】
最初に特定された目的は以下の本発明によって達成される。その発明は、矢板、特にZ型の矢板であって、矢板を、別の矢板又は支持要素のロック部材に接続するロック部材と、矢板の壁部から実質的に垂直に延びるネックストリップと、ネックストリップから特に実質的に垂直に延びるヘッドストリップと、ヘッドストリップから特に実質的に垂直に延びるフロントストリップと、フロントストリップから延びるクローストリップとを備え、クローストリップはフロントストリップに対して、少なくとも90°の角度、特に100°―130°の角度にて実質的に配向されるとともに、ネックストリップ、ヘッドストリップおよびフロントストリップによって形成されるU字状領域におけるフロントストリップから延びる、矢板である。矢板の壁部から実質的に垂直に延びるネックストリップは、好ましくは、本発明の内容において、壁部に対して約90°の角度で配向されていることを意味するものと理解されるべきである。ネックストリップから実質的に垂直に延びるヘッドストリップは、好ましくは、本発明の内容において、ネックストリップに対して約90°の角度で配向されていることを意味するものと理解されるべきである。ヘッドストリップから実質的に垂直に延びるフロントストリップは、好ましくは、本発明の内容において、ヘッドストリップに対して約90°の角度で配向されていることを意味するものと理解されるべきである。
【0042】
矢板のロック部材は、好ましくは、前述した種類の方法による本発明によって製造される。これは、好ましくは、上述の方法でスチールストリップブランクを曲げることによってロック部材の形状にすることで行われる。ロック部材は特に、別の矢板のロック部材と係合するように使用される。これは、好ましくは、地面に激突または振動しているときに、別の矢板のロック部材にロック部材を挿入することによって行われる。
【0043】
矢板のロック部材(本段落では第2のロック部材として言及)は特に、ネックストリップとクローストリップを備える上述した種類のロック部材(本段落では第1のロック部材として言及)と係合するために使用される。2つのロック部材が係合している場合、2つのフロントストリップは互いに対向するとともに、実質的に平行に配向される。2つのロック部材におけるクローストリップもまた互いに対向している、すなわち、第1のロック部材のクローストリップが第2のロック部材のクローストリップと平行に延びている。第1のロック部材のネックストリップは、第1のロック部材のネックストリップ、ヘッドストリップおよびフロントストリップによって形成された第2のロック部材のU字状領域における矢板の壁部から延びている。クローストリップは、第1ロック部材のネックストリップおよびクローストリップによって形成された第1のロック部材の領域内に突出している。ロック部材によって互いに結合されている矢板の2つの壁部は実質的に互いに平行に並べられ、同一平面内に配置される。前述した種類の2つのロック部材が接合されている場合、従来技術のロック部材の接続におけるものと比較して体積の非常に小さい隙間が形成されている。この結果、ロック部材が相互に挿入された後の隙間を埋めるために必要とされる封止材の量が少なくなる。さらに好ましくは、第1のロック部材は矢板の第1の端部に形成され、別のロック部材、好ましくは第2のロック部材に対応するロック部材は、矢板の第2の端部に形成される。有限要素法に基づく数値分析およびロック部材を用いた試験により、前述した本発明における2つのロック部材の間の接続が特に引張力に対して弾力性があることが示されている。これは特に、ネックストリップが壁部に対して垂直に配向されるとともに、クローストリップはネックストリップに対して、120°―140°の角度にて延びる第1のロック部材の場合である。これはまた、ネックストリップが壁部に対して実質的に垂直に配向され、ヘッドストリップがネックストリップに対して実質的に垂直に配向され、フロントストリップはヘッドストリップに対して実質的に垂直に配向され、クローストリップはフロントストリップに対して120°―140°の角度にてネックストリップから延びている、第2のロック部材の場合である。もし、この種のロック部材が接合されたときに、引張力がロック部材(矢板の材料厚さは約10mmである)の壁部の延在方向に作用する場合、136kN(kN:キロニュートン)の引張力が作用するまでロック部材は崩れない。それに比較して、従来技術から知られるようなLarssenプロファイルの間の結合は、80kNの引張力が作用したときに崩れる。前述の引張力は、それぞれ長さ100ミリメートルの試料を用いて測定した。
【0044】
本発明による矢板の1つの好ましい発展形によれば、ネックストリップは壁部に対して、最大で90°の角度、特に約30°―70°の角度、好ましくは45°―55°の角度で配向され、および/又は、ヘッドストリップはネックストリップに対して、最大で90°の角度、特に約20°―50°の角度、好ましくは30°―40°の角度で配向され、および/又は、フロントストリップはヘッドストリップに対して、最大で90°の角度、特に約30°―70°の角度、好ましくは45°―60°の角度で配向される。
【0045】
本発明による矢板の1つの好ましい発展形によれば、クローストリップはフロントストリップに対して、実質的に120°―140°の角度にて配向されている。
【0046】
有限要素法に基づく数値分析およびロック部材を用いた試験により、前述した本発明における2つのロック部材の間の接続が特に引張力に対して弾力性があることが示されている。もし、引張力がロック部材(矢板の材料厚さは約10mmである)の壁部の延在方向に作用する場合、112kNの引張力が作用するまでロック部材は崩れない。110kNの引張力が作用したとき、例えば、接合されたロック部材の壁部は、力が作用していない元の位置に比べて50―60mm引き離される。これに比較して、上記のように接合されたロック部材の壁部は、力が作用していない元の位置に比べて90−100mm引き離される。換言すれば、引張力が作用したときの壁部の間のオフセットは、上述した2つのロック部材の間の結合に比べて小さい。別の利点は、約80kNのオーダーの力が作用したときに、上述したロック部材の場合よりも応力とひずみが小さくなることが確保されることである。これは特に溶接点に有利である。
【0047】
本発明の矢板の有利な一実施形態によれば、クローストリップの一端はラウンド化(rounded)されている。これは例えば、クローストリップの端部が、矢板の断面の観点からは鋭いエッジを有さないということを意味する。クローストリップの端部は好ましくは、フライス加工によりラウンド化される。ロック部材を互いに挿入することにより矢板を結合すると、鋭いエッジにより、連結部(interlocks)から材料が切り取られることとなる。ロック部材間の蓄積を確保する挿し木(cuttings)は、部分的にくさび形となる。ロック部材を互いに挿入すると深刻な影響を受ける、又は特定量の挿し木がロック部材間に蓄積する場合にはそれが不可能になる。連結部はまた、材料を切除する鋭いエッジによって損傷されるとともに、安定性が同時に損なわれる。クローストリップの端部のラウンド化により、そのような材料の切除を防止することができる。すなわちこれは、連結部に対して損傷を与えることなく、特に簡単な方法で2つの矢板のロック部材を互いに挿入可能であることを意味する。
【0048】
最初に特定された目的はまた、上述した種類の少なくとも2つの矢板、特にZ型の矢板を含む矢板壁である本発明によって達成される。
【0049】
最初に特定された目的はまた、ワークピースから、特にスチールブランクから、好ましくはスチールストリップブランクからスチールプロファイルを製造するためのシステムであって、ワークピース内の屈曲予定の領域に脆弱点を、特にくぼみを形成するための脆弱化装置と、脆弱点の領域において、ワークピースを屈曲させるための屈曲化装置とを備える、システムである本発明によって達成される。
【0050】
本発明は、スチールプロファイルを製造するための従来技術のシステムが特に複雑であり、高いレベルの消費電力、並びに高いセットアップ費用とスタートアップ費用を生じさせるという認識に基づいている。
【0051】
本発明によるシステムの1つの利点は、スチールプロファイルが特に簡単かつ自動化された方法でシステムを製造することができることにある。
【0052】
脆弱化装置は、好ましくは、フライス加工ユニット、パンチングユニット、スタンピングユニットおよび/又は圧延ユニットの形態で提供されても良い。好ましくは、屈曲化装置は、折り畳みユニット(folding unit)、型曲げユニット(die bending unit)および/又はワークピースの自由曲げを行うための屈曲化ユニットを含んでも良い。
【0053】
本発明のシステムの好ましい一変形例によれば、ワークピースを、特にスチールブランクを、好ましくはスチールストリップブランクを提供するための供給装置を備える。このように、スチールプロファイルを製造するためのワークピースをシステムに自動的に供給することができる。
【0054】
供給装置は、好ましくは、ワークピースの積層体からワークピースを受け取る自動グラップラーとして提供されても良い。さらに好ましくは、供給装置は、スチールストリップコイルを展開するための展開ユニット(unrolling unit)となることも可能である。
【0055】
本発明によるシステムの別の実施形態によれば、切断装置は、スチールストリップコイルから供給されたスチールストリップをワークピースに分割するために設けられている。このようにして、スチールストリップワークピースは、スチールプロファイルを製造するために必要なサイズおよび/又は長さに切断することができる。
【0056】
本発明によるシステムの別の好ましい実施形態によれば、切断装置は、スチールストリップブランクの長手方向に対して実質的に交差するように配向されるとともにスチールストリップブランクの側縁にて開放されているくぼみを導入するように設計されている。
【0057】
本発明の好ましい実施形態は、以下の図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明による方法の実施形態を示す図
図2】本発明によるスチールプロファイルの実施形態を示す図
図3】本発明によるシステムの第1の実施形態を示す図
図4A】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図
図4B】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図
図4C】くぼみ410(図4A)、441(図4B)と実質的に同じように形成されたくぼみ451を有するワーク450を示す図
図5】本発明による2つの矢板の2つの第一の実施形態を示す図
図6】本発明による矢板壁の第1の実施形態の断面図
図7】本発明によるシステムの第2の実施形態を示す図
図8】ワークピースの一実施形態の斜視図
図9図8における中間状態にあるスチールストリップコイルの斜視図
図10】本発明による2つの矢板の2つの第2の実施形態を示す図
図11】本発明による矢板壁の第2の実施形態の斜視図
図12】本発明による矢板壁の第2の実施形態の断面図
図13】ロック部材の一部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、スチールプロファイル(steel profile)1を製造する発明の方法の実施形態を示している。ワークピース(workpiece)2はそれぞれの場合において、ワークピース2の長手方向3に交差する方向である側面側から見たものが示されている。
【0060】
ステップAにおいて、ワークピース2は、高さ5と長さ6を有する矩形状のスチールストリップブランク(steel strip blank)4の形式で設けられている。
【0061】
ステップBにおいて、くぼみ(indentation)11の形態である脆弱点(Weakened point)10がワークピース2内の屈曲部(bend)13となる予定の領域12に形成されている。脆弱化装置14として用いられるツールユニット15は、ワークピース2から断片を除去する。プロセスにおいて、実質的に等しい長さの2つの側面16を有するV字状のくぼみ11が形成される。
【0062】
ステップCにおいて、ワークピース2は、ステップBでワークピース2内の屈曲部の内側21上に形成されたくぼみ11を閉じるように、屈曲化装置20によって領域12にて屈曲される。ステップBで形成されたくぼみ11の側面16は、屈曲状態において互いに接触する。
【0063】
本方法の別のステップ(図示せず)において、最初にくぼみ11として設けられていた脆弱点が補強されて、高い剛性を有するスチールプロファイル1を形成するように、側面16がレーザ溶接によって剥離不能に接合される。レーザ溶接は、側面16同士の接触時に形成される隙間がレーザ溶接継目(laser weld seam)によって閉じられるようにして行われる。技術的観点からは、形成された隙間がゼロギャップである場合もあり、この場合には側面に溶接を適用しなくても良い。
【0064】
図2は、図1に示されるワークピース2から本発明の方法により製造された、本発明によるスチールプロファイル1の実施形態の側面図を示す。同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付している。
【0065】
製造プロセスにて形成されたくぼみは、屈曲されることによって閉じられる。スチールプロファイルは溶接継目30を備え、溶接継目30によりくぼみが確実に閉じられることで、スチールが補強される。屈曲部の内側31又は外側において、溶接継目は、スチールプロファイル1に沿った視線方向(in the viewing direction along steel profile 1)に延びるとともに、図1に示す側面1に沿ってワークピース2内に部分的に伸びる。
【0066】
図3は、ワークピースからスチールプロファイルを製造するための本発明によるシステム40の実施形態を示している。スチールストリップコイル42からのスチールストリップが切断装置43にて更なる生産プロセスに適した大きさのワークピース44に分割可能なように、供給装置41はスチールストリップコイル42からスチールストリップを除去する。本システムはまた、ワークピースのパレット51から更なる製造プロセスのためにワークピース52を除去する第2供給装置50を備える。
【0067】
移送要素55は、処理されるべきワークピース44、52を、フライス加工ユニット(milling Unit)57の形態で設けられた脆弱化装置56に案内する。
【0068】
フライス加工ユニット57がワークピースにくぼみを形成した後、ワークピース44、52は、移送要素55によって、ワークピース44、52を屈曲させるための屈曲化装置60に案内される。
【0069】
屈曲化後、ワークピース44、52はレーザ装置61に供給され、レーザ装置61においてワークピース内のくぼみが閉じられる。溶接後、スチールプロファイル58は、移送要素55によって横にあるスタック59の上に置くことができる。
【0070】
システム40は中央コントローラ62によって制御される。
【0071】
図4A―Bは、本発明による方法の第2実施形態を示す。より具体的には、図4A―Bはそれぞれ、屈曲前(上)および屈曲後(下)におけるワークピース400の2つの中間状態を示している。
【0072】
図4Aは、ワークピース400の端部401を示し、ここでは端部402がラウンド化されている、すなわち鋭いエッジではない。図4Aの上部に示される中間状態において、ワークピース400内のくぼみ410は、W字状領域411とV字状領域412とを有する。W字状領域411は、第1のV字状部分420と第2のV字状部分421で構成される。視線方向から見て左側のV字状領域412の第1の側面413は、第1のV字状部分420の第1の側面422に隣接している。V字状部分420の第2の側面423は、第2のV字状部分421の第1の側面424に隣接している。第2のV字状部分421の第2の側面425は、V字状部分412の第2の側面414に隣接している。くぼみ410は、視線方向から見て左から右に順番に、V字状領域412の第1の側面413、第1のV字状部分420の第1の側面422、第1のV字状部分420の第2の側面423、第2のV字状部分421の第1の側面424、第2のV字状部分421の第2の側面425、V字状領域412の第2の側面414によって画定されている。
【0073】
第1の側面413と第2の側面414との間の開き角度は約110°である。
【0074】
図4Aの下部には、屈曲後の中間状態にあるワークピース400を示している。屈曲時において、ワークピースは約110°の屈曲角度まで屈曲されることにより、端部401とワーク400の右側部分430との間の約70°の開き角度が得られる。屈曲後において、それぞれのV字状領域又は部分の側面は互いに隣接するおよび/又はゼロギャップを形成する。すなわち、側面413は側面414とともにゼロギャップを形成し、側面422は側面423とともにゼロギャップを形成し、側面424は側面425とともにゼロギャップを形成する。
【0075】
図4Bは、くぼみ410と実質的に同じように形成されたくぼみ441を有するワークピース440を示している。同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付している。図4Bに示すくぼみ441において、第1の側面413と第2の側面414との間の開き角度は約90°である。屈曲時において、V字状領域412の側面413、414と、側面422、423と、W字状領域411の側面424、425がそれぞれゼロギャップを形成することで、互いに屈曲したセクション455、456の間の角度が約90°となる。
【0076】
図4Cは、くぼみ410(図4A)、441(図4B)と実質的に同じように形成されたくぼみ451を有するワーク450を示している。同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付している。図4Cに示されているくぼみ451において、第1の側面413と第2の側面414との間の開き角度は約50°である。屈曲時には、V字状領域412の側面413、414と、側面422、423と、W字状領域411の側面424、425がそれぞれゼロギャップを形成することで、互いに屈曲したセクション455、456の間の角度が約130°となる。
【0077】
図5は、第1の矢板511および第2の矢板521のそれぞれのセクション510、520を示している。第1の矢板511は、第2の矢板521のロック部材522と係合するロック部材512を備える。図5において、0°より大きい正の角度は時計方向530にて測定された角度であり、0°より小さい負の角度は反時計方向にて測定された角度である。
【0078】
第1の矢板511のロック部材512は、ネックストリップ(neck strip)513とクローストリップ(claw strip)514により形成される。ネックストリップ513は、第1の矢板511の壁部515からほぼ直角(約−90°)で延びている。このような角度を得るのに必要なワークの屈曲は例えば、図4Aに示すワークピース440の中間状態を介して実施されることが可能である。クローストリップ514は、ネックストリップ513から約−110°の角度αで延びている。このような約110°の角度を得るのに必要なワークの屈曲は例えば、図4Aに示すワークピース400の中間状態を介して実施されることが可能である。クローストリップ514の終端は、第1の矢板511の終端502を同時に形成している。終端502はラウンド化されている、すなわち少なくとも矢板断面の視点からは鋭い終端ではない。第2の矢板521のロック部材522は、ネックストリップ523、ヘッドストリップ524、フロントストリップ525およびクローストリップ526により形成される。ネックストリップ523は、第2の矢板521の壁部527からほぼ直角(約+90°)で延びている。ヘッドストリップ524は、ネックストリップ523からほぼ直角(約−90°)で延びている。フロントストリップ525は、ヘッドストリップ524からほぼ直角(約−90°)で延びている。このような直角を得るのに必要なワークの屈曲は例えば、図4Bに示すワークピース440の中間状態を介して実施されることが可能である。クローストリップ526は、フロントストリップ525から約−110°の角度βで延びている。このような約110°の角度を得るのに必要なワークの屈曲は例えば、図4Aに示すワークピース400の中間状態を介して実施されることが可能である。クローストリップ526の終端は、第2の矢板521の終端503を同時に形成している。終端503はラウンド化されている、すなわち少なくとも矢板断面の視点からは鋭い終端ではない。
【0079】
ネックストリップ523、ヘッドストリップ524およびフロントストリップ525は、矢板521のU字状領域528を形成する。壁部527との組み合わせで、U字状領域528は矢板521の鎌状(sickle-shaped)領域を形成する。クローストリップ526は、U字状領域528および/又は鎌状領域によって形成される内部空間529内に突出している。図5に示す構成では、壁部515、527は互いに平行に並べられ、同一平面内に配置されている。
【0080】
壁部515、527が互いに向かって移動されると、ロック部材512、522はフロントストリップ513、523とともに互いに当接する。矢板511、521の間に作用する張力が発生した場合、すなわち、矢板が壁部の延在方向に強い力で離れるように動かされる場合、クローストリップ514の終端502がフロントストリップ525に当接し、クローストリップ526の終端503がネックストリップ513に当接するようにして、ロック部材が互いに係合する。この連結(interlock)は、例えば矢板511、521の延在する長手方向に対して交差するように圧力がかかったときでも、ロックされたままである。連結中の矢板を図5の視線方向において取り替えることによってのみ、矢板を互いに分離することができる。
【0081】
図6は、2つの矢板を備える矢板壁600の断面を示している。図6に示す矢板は、図5に示す矢板と同様のものである。同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付している。第1の矢板511は、実質的にZ字状のプロファイルで製造されており、一端610(右側)にてロック部材512を有する第1の壁部515を備えている。第2の矢板521は、実質的にZ字状のプロファイルで製造され、一端620(左側)にてロック部材522を有する第1の壁部527を備えている。
【0082】
第1の矢板511の第1の壁部515から、第1の矢板511の第2の壁部640が第1の壁部515に対して約+50°の角度
で延びている。第2の壁部640から、第1の矢板511の第3の壁部613が第2の壁部640に対して約−50°の角度ρで延びている。一端621において、第3の壁部614は、第1の矢板のロック部材512と実質的に同じ構造を有するロック部材622を有している、つまり、ロック部材622は平面630をミラーとしたときにロック部材512と同じ形状を有している。
【0083】
第2の矢板521の第1の壁部527から、第2の矢板521の第2の壁部641が第1の壁部527に対して約−50°の角度πで延びている。第2の壁部641から、第2の矢板527の第3の壁部614が第2の壁部641に対して約+50°の角度ξで延びている。一端621において、第3の壁部614は、第1の矢板のロック部材512と実質的に同じ構造を有するロック部材622を有している、つまり、ロック部材622は平面630をミラーとしたときにロック部材512と同じ形状を有している。
【0084】
図7は、スチールストリップブランク702から矢板701を製造する本発明によるシステム700の第2の実施形態を示す。スチールストリップブランク702は、供給装置704によってスチールストリップコイル703から延ばされており、供給方向710に供給され、システム700の次のコンポーネントへ搬送方向710に供給される。搬送装置711を用いて、スチールブランク702がシステム700の個々の構成要素に沿っておよび/又は通って搬送方向710に搬送される。
【0085】
スチールストリップブランク702は、供給装置704からフライス加工装置712に進む。フライス加工装置712によって、脆弱点として設けられたくぼみがスチールストリップブランク702内に導入される。フライス加工装置712は、2つのフライス加工ユニット713、714を備える。最初にフライス加工ユニット713によって、くぼみが下方からスチールストリップブランク702内に導入される。次にフライス加工ユニット714によって、くぼみが上方からスチールストリップブランク702内に導入される。
【0086】
レーザ切断装置720を用いて、スチールストリップブランク702内にスロット形状の切欠きが導入される。切欠きはそれぞれ、スチールストリップブランク702の外縁から供給方向710に対して交差するようにほぼ直線状にスチールストリップブランク702内に延びる。具体的には、2つの切込みが供給方向710において所定の距離で、すなわちスチールストリップブランク702の側縁から所定の深さ内側に設けられている。切込みは特に、次の製造プロセスにおいて曲げモーメントが搬送装置710上のスチールストリップブランク702全体に伝達されることなく屈曲を行うために、設けられている。切り込みは、スチールストリップブランク702において次の製造プロセスにて切断される箇所に設けられる。
【0087】
システム700の屈曲化装置725は、スチールストリップブランク702を異なる箇所で屈曲させるよう構成されている。屈曲部の領域では、屈曲時に形成されるゼロギャップがレーザデバイス730によって閉じられる。溶接後、個々のワークピースは、切断装置740によってスチールブランク702から切断される。完成したワークピースは、例えば輸送のために、その後スタック750上に格納することができる。
【0088】
図8は、スチールストリップブランク801の形態で具現化された本発明によるワークピース800の一部の斜視図を示す。くぼみ810はスチールストリップブランク801内に設けられており、スチールストリップブランク801の延在する長手方向815に対して交差するように横方向にスチールストリップブランク801内に延びている。くぼみ810は、スチールストリップブランクの側縁816に開いている。第1の領域820は、くぼみ810の第1の部分821を画定している。第2の領域830は、くぼみ810の第2の部分831を画定している。曲げモーメント840は、破線で示す軸841周りのトルクの形でスチールストリップブランク801の第2の領域830上に付与することができる。すなわち、視線方向に見たときに、破線841の下に示されるスチールストリップブランクの領域はその位置に留まる一方で、破線841の上に示されるスチールストリップブランクのエッジは軸841周りのトルクを受ける。くぼみ810によって、この種の曲げモーメント841はスチールストリップブランク801の第1の領域820に伝達されない。すなわち、第1の領域820に伝達することなくおよび/又は第1の領域820上に影響を与えることなく、第2の領域830にて屈曲を行うことができる。
【0089】
図9は、屈曲後の中間状態における、図8に示すスチールストリップブランク801の斜視図を示す。すなわち、図8に示すスチールストリップブランク801が、矢板を製造するために製造プロセス中に実行される屈曲操作を受けたものである。図9は基本的に、製造プロセスの続くステップで互いに分離される2つの矢板901、902を示している。
【0090】
図10は、第1の矢板1011と第2の矢板1021のそれぞれのセクション1010、1020を示す。第1の矢板1011は、第2の矢板1021のロック部材1022と係合するロック部材1012を備える。図10を参照すると、0°より大きい正の角度は時計方向1030にて測定された角度であり、0°より小さい負の角度は反時計方向にて測定された角度である。
【0091】
第1の矢板1011のロック部材1012は、ネックストリップ1013とクローストリップ1014によって形成されている。ネックストリップ1013は、第1の矢板1011の壁部1015から+38°の角度ωで延びている。クローストリップ1014は、ネックストリップ1013から約+123°の角度ψで延びている。クローストリップ1014の終端は同時に、第1の矢板1011の終端1002を形成している。終端1002はラウンド化されている、すなわち少なくとも矢板断面の視点からは鋭い終端ではない。
【0092】
第2の矢板1021のロック部材1022は、ネックストリップ1023、ヘッドストリップ1024、フロントストリップ1025、クローストリップ1026によって形成されている。ネックストリップ1023は、第2の矢板1021の壁部1027から約−49.5°の角度χで延びている。ヘッドストリップ1024は、ネックストリップ1023から約+30.5°の角度φで延びている。フロントストリップ1025は、ヘッドストリップ1024から約+57°の角度σで延びている。クローストリップ1026は、フロントストリップ1025から約+123°の角度ψで延びている。クローストリップ1026の終端は同時に、第2の矢板1021の終端1003を形成している。終端1003はラウンド化されている、すなわち少なくとも矢板断面の視点からは鋭い終端ではない。図10に示す構成では、壁部1015、1027は互いに平行に並べられており、同一平面内に配置されている。
【0093】
矢板1011、1021の間に作用する張力が発生した場合、すなわち、矢板が強い力で離れるように動かされる場合、クローストリップ1014の終端1002がフロントストリップ1025とクローストリップ1026に当接し、クローストリップ1026の終端1003がネックストリップ1013とクローストリップ1014に当接するようにして、ロック部材が互いに係合する。この連結は、例えば矢板1022、1021の延在する長手方向に対して交差するように圧力がかかったときでもロックされたままである。連結中の矢板を図10の視線方向において取り替えることによってのみ、矢板を互いに分離することができる。
【0094】
図11、12はそれぞれ、2つの矢板を備える矢板壁1100の断面を示している。図11は斜視図を示し、図12は矢板壁1100の断面を示す。図11、12に示される矢板は、図10に示す矢板と構造が類似している。同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付している。第1の矢板1011は、実質的にZ字状のプロファイルで製造されており、一端1110(右側)にてロック部材1012を有する第1の壁部1015を備えている。第2の矢板1021は、実質的にZ字状のプロファイルで製造され、一端1120(左側)にてロック部材1022を有する第1の壁部1027を備えている。
【0095】
第1の矢板1011の第1の壁部1015から、第1の矢板1011の第2の壁部1140が第1の壁部1015に対して約−50°の角度νで延びている。第2の壁部1140から、第1の矢板1011の第3の壁部1113が第2の壁部1140に対して約+50°の角度μで延びている。一端1111において、第3の壁部1113は、第2の矢板1021のロック部材1022と実質的に同じ構造を有するロック部材1112を有している、つまり、ロック部材1112は平面1130をミラーとしたときにロック部材1022と同じ形状を有している。
【0096】
第2の矢板1021の第1の壁部1027から、第2の矢板1021の第2の壁部1141が第1の壁部1027に対して約+50°の角度λで延びている。第2の壁部1141から、第2の矢板1027の第3の壁部1114が第2の壁部1141に対して約−50°の角度κで延びている。一端1121において、第3の壁部1114は、第1の矢板のロック部材1012と実質的に同じ構造を有するロック部材1122を有している、つまり、ロック部材1122は平面1130をミラーとしたときにロック部材1012と同じ形状を有している。
【0097】
図13は、図10に示すロック部材1022の一部の断面を示す。この断面は、屈曲ステップ後に行われる溶接動作を示す図である。より具体的には、図13は、クローストリップ1026とフロントストリップ1025の一部を示している。屈曲後、くぼみの側面、例えば図4Aに示す側面413、414によってゼロギャップが形成される。ゼロギャップを閉じる(溶接する)ために、屈曲部の外側1320から屈曲部の内側1321に向かってレーザビーム1310が導かれる。レーザビーム1310は、実質的にワーク1300内部のゼロギャップに沿って実行される。溶接後、溶接ルート1330は、溶接継目の屈曲部外側1320上に形成され、溶接ルート(weld root)1331は、溶接継目の屈曲部内側1321上に形成されている。ワークピース1300の中に、2つの領域1340、1341が溶接後に形成される。領域1340は、溶接時に完全に溶融される実質的に三角形の溶接コア1345によって形成されている。領域1341は、溶接コア1345と、溶接作業に関与していないワークピースの領域1346との間の移行領域によって形成されている。屈曲部外側1320からの溶接により、屈曲部内側1321に先端が向かうくさび形(wedge-shaped)の溶接ルートが形成されることを確保することができる。レーザビーム1310の焦点1350はワークピース1300の内部、特に領域1340にある。この焦点位置、すなわち(レーザビームがワークピースに当たる点から始まる)ワークピース内の焦点の位置により広いルートが確保されるため、結果的に屈曲部外側の広い範囲が影響を受ける。W字状のくぼみ、特に屈曲状態でダブテール(dovetail)状に突出したW字状のくぼみの場合には、屈曲加工時に形成されたゼロギャップを結合(fuse)させることができる。屈曲加工時に変形された領域も結合されるため、結果的に、結合部にかかる冷却後の歪みは、前もって屈曲された状態に比べて少なくなる。
【0098】
溶接に使用されるレーザビーム1310は好ましくは、10kW(キロワット)から14kWの電力定格(power rating)を有する。約110°の屈曲角度においては、レーザ溶接ビームの電力定格は好ましくは約14kWであって、約−14mmの好ましい焦点位置を有し、約90°の屈曲角度においては、レーザ溶接ビームの公称電力は好ましくは約12kWであって、約−16mmの好ましい焦点位置を有し、約50°の屈曲角度においては、レーザ溶接ビームの公称電力は好ましくは約10kWであって、約−8mmの好ましい焦点位置を有する。レーザ溶接ビームは好ましくは、溶接時において溶接されるべきワークピースに沿って、図13の視線方向に1.5−1.8m/min(メートル/毎分)の速度で移動する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-12】
図13