特許第6178341号(P6178341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧 ▶ ベレニウム コーポレイションの特許一覧

特許6178341低糖シロップ及び低糖シロップの製造方法
<>
  • 特許6178341-低糖シロップ及び低糖シロップの製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178341
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】低糖シロップ及び低糖シロップの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/14 20060101AFI20170731BHJP
   C12P 19/02 20060101ALI20170731BHJP
   C12P 19/12 20060101ALI20170731BHJP
   C12P 19/04 20060101ALI20170731BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20170731BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20170731BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20170731BHJP
   C12N 9/26 20060101ALN20170731BHJP
【FI】
   C12P19/14 ZZNA
   C12P19/02
   C12P19/12
   C12P19/04 Z
   A23L33/10
   A23K20/163
   A61K47/26
   A61K47/36
   !C12N9/26 A
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-555614(P2014-555614)
(86)(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公表番号】特表2015-508640(P2015-508640A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】US2013023530
(87)【国際公開番号】WO2013116175
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月13日
(31)【優先権主張番号】61/592,725
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】GB1203703.2
(32)【優先日】2012年3月2日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】593063172
【氏名又は名称】テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】TATE & LYLE INGREDIENTS AMERICAS LLC
(73)【特許権者】
【識別番号】507235181
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ エンザイムス リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ロヒト メドヘーカー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョセフ ホフマン
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−117784(JP,A)
【文献】 特開昭55−124497(JP,A)
【文献】 特開昭64−016596(JP,A)
【文献】 特表2009−524439(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/137839(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/017093(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/020741(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/094418(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/118269(WO,A1)
【文献】 米国特許第07273740(US,B1)
【文献】 Richardson,T.H., et al.,A novel, high performance enzyme for starch liquefaction. Discovery and optimization of a low pH, thermostable alpha-amylase,Journal of Biological Chemistry,2002年,Vol.277, No.29,pp.26501-26507
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/00−19/64
A23L 33/00−33/29
A61K 47/00−47/69
A23K 10/00−40/35
C12N 9/00− 9/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、並びに化粧品組成物のための、低糖でより低粘度のシロップを製造する方法であって、
(a)澱粉又は澱粉質材料とルファアミラーゼ酵素と性媒体とのスラリーを、100℃〜115℃の第一温度でジェット処理して、前記スラリーが5分〜8分間テールライン中に存在するように前記スラリーを容器に輸送する、ことと;
(b)前記澱粉又は澱粉質材料を加水分解して10%〜25%のDP1+DP2含有量、70%〜90%のDP3〜11含有量、及び0%〜15%のDP11+含有量を有する糖類分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、前記容器内の前記スラリーを、80℃〜95℃の第二温度に維持する、ことと;
(c)反応生成物に、一つ以上の更なる精製又は処理工程を行って、低糖でより低粘度のシロップを提供する、ことと
を含んでおり、
前記ルファアミラーゼ酵素は、配列番号1のヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされたポリペプチドであり、
工程(a)の後、工程(b)を行う前に、前記スラリーのpHを調整せず又は変化させず、
前記シロップは、63デキストロース当量(DE)のコーンシロップと比較して低い糖含有量を有し、かつ、前記シロップが80%の乾燥固形分を有するときに、20℃において1500ポアズ未満の粘度を有し、
方法において使用する酵素の種類がアルファアミラーゼ酵素のみである、方法。
【請求項2】
工程(c)は前記反応生成物を濾過することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)は前記反応生成物を活性炭に接触させることを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
工程(c)は前記反応生成物をイオン交換樹脂に接触させることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)は前記反応生成物から水を除去して5%〜5%の乾燥固形分を達成することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)は、前記反応生成物を濾過すること、前記反応生成物を活性炭及びイオン交換樹脂に接触させること、並びに前記反応生成物から水を除去して5%〜5%の乾燥固形分を達成すること含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)は、前記反応生成物に、膜を使用した限外濾過を行うことを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応生成物と少なくとも1つの高強度甘味料とを組み合わせる更なる工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記澱粉又は澱粉質材料を、酸接触させない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水性媒体が最初にpHを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記澱粉又は澱粉質材料の量の.01質量%〜.2質量%の量の前記第一のアルファアミラーゼ酵素を使用する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記澱粉がコーンスターチであるか、又は前記澱粉質材料がコーンからのものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
DP11+含有量が0〜5%である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、並びに化粧品の原料として有用な、比較的低い糖含有量及び低粘度のシロップ、並びにそのようなシロップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖含有量の高い消費者製品は、肥満及び関連する健康状態につながるとされ、広い批判を受けてきた。消費者はますます、成分表示上低い糖含有量を有する製品を探している。表示目的上、糖(sugars)は、単量体又は二量体の炭水化物(DP1〜2、DPは「重合度」である)として明確に定義されている。低い糖含有量の要求を満たすために、食品会社は、処方の糖含有量を低減する成分処方を活発に調査している。市場に出ている現行のコーンシロップは、95%程度の糖含有量(HFCS)を有する可能性があり;典型的に、糖含有量は40%〜95%の範囲である。63デキストロース当量(DE)のコーンシロップ、例えばSweetose(登録商標)4300は、64〜66%の糖含有量を有しており、高マルトースシロップは40〜60%の糖含有量を有する可能性がある。これらのシロップは現在、食品用途における、増量剤、甘味料、食感調節剤、及び増粘剤として、並びに水分制御のために用いられている。シロップをかさ高くするために、粘度は重要な物理的特性である。コーンシロップ中の糖含有量を低減する1つの方法としては、より高度な炭水化物ポリマー(DPが11超)を有する糖を置換することである。しかしながら、これは、これらのシロップの束一的性質、特に粘度を著しく変える可能性がある。粘度の変化は、食品の美的価値に悪影響を与える可能性があるだけでなく、特別な製造装置の必要性を生じる可能性もある。これらの問題を回避するために、実質的により低い糖含有量を有しており、63DEのコーンシロップの粘度に似た粘度を有するコーンシロップが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、いくつかの会社はポリオールを使用してシロップの糖含有量を低減している。しかしながら、ポリオールは高価である可能性があり、それらの多くは望ましくない胃腸への副作用がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、低糖でより低粘度のシロップを製造する方法であって、澱粉又は澱粉質材料を加水分解して約10%〜約25%のDP1+DP2含有量、約70%〜約90%のDP3〜11含有量、及び0%〜約15%のDP11+含有量を有する糖類(saccharide)分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、澱粉又は澱粉質材料と第一のアルファアミラーゼ酵素とを水性媒体中で接触させることを含んでおり、第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又は上記ポリペプチドの酵素活性断片を含むアミノ酸配列である、方法を提供する。
【0005】
上記の方法は、以下の更なる工程:反応生成物を濾過すること;反応生成物を活性炭に接触させること;反応生成物をイオン交換樹脂に接触させること;反応生成物から水を除去して約65%〜約85%の乾燥固形分を達成すること;反応生成物に、膜を使用した限外濾過を行うこと;及び/又は反応生成物と少なくとも1つの高強度甘味料とを組み合わせることの一つ以上を含んでもよい。一実施形態において、方法は、反応生成物を濾過すること、反応生成物を活性炭及びイオン交換樹脂に接触させること、並びに反応生成物から水を除去して約65%〜約85%の乾燥固形分を達成することの、更なる工程を含む。他の実施形態において、方法は、澱粉又は澱粉質材料を、酸又は第一のアルファアミラーゼ酵素以外のいかなる酵素にも接触させないように行う。
【0006】
上記の方法の一側面において、水性媒体は最初にpH約5〜約7を有する。接触工程は、例えば、約75℃〜約120℃の温度で実施してもよい。
【0007】
一実施形態において、上記の方法は、まず澱粉又は澱粉質材料、水性媒体、及び第一のアルファアミラーゼ酵素のスラリーを、約100℃〜約115℃の第一温度に加熱、例えばジェット処理(jet cooked)して、次に約80℃〜約95℃の第二温度に維持するように行ってもよい。
【0008】
一実施形態において、上記の方法において使用する第一のアルファアミラーゼ酵素の量は、澱粉又は澱粉質材料の量の約0.01質量%〜約0.2質量%である。
【0009】
方法で使用する澱粉はコーンスターチでもよい。澱粉質材料はコーンからのものであってよい。
【0010】
得られる反応生成物のDP11+含有量は、一実施形態において0〜5%であってよい。糖類(saccharide)は、少なくとも約35%のDP4含有量を有してもよい。一実施形態において、糖類は、少なくとも約35%のDP4含有量、及びDP5〜DP10のそれぞれについて約6%未満の含有量を有する。
【0011】
上記の方法によって得られる反応生成物は、一実施形態において、反応生成物が80%の乾燥固形分を有するときに、20℃において約1500ポアズ未満の粘度を有してもよい。
【0012】
上記の方法は、澱粉又は澱粉質材料をマルトテトラジェニックアルファアミラーゼに更に接触させる工程を含んでもよい(すなわち、第一のアルファアミラーゼ酵素と同様に、マルトテトラジェニックアルファアミラーゼに接触させる)。
【0013】
上記の方法の一実施形態において、まず澱粉又は澱粉質材料、水性媒体、及び第一のアルファアミラーゼ酵素のスラリーをジェット処理して(jet cooked)液状澱粉混合物を提供し、液状澱粉混合物とマルトテトラジェニックアルファアミラーゼとを接触させる。マルトテトラジェニックアルファアミラーゼに接触させる間、第一のアルファアミラーゼ酵素が液状澱粉混合物中に存在していてもよい。マルトテトラジェニックアルファアミラーゼは、シュードモナスサッカロフィリアマルトテトラヒドロリアーゼ(Pseudomonas saccharophila maltotetraohydrolyase)の異型でもよい。マルトテトラジェニックアルファアミラーゼは:(i)G223Eアミノ酸置換、及び(ii)国際公開第2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較して24個までの更なるアミノ酸の欠損、付加、挿入、若しくは置換;又は(iii)国際公開2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を含む、国際公開第2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列を有する野生型マルトテトラヒドロリアーゼの異型であって、アルファアミラーゼ活性を有する異型であってよい。
【0014】
本発明の一側面において、澱粉又は澱粉質材料を、マルトテトラジェニックアルファアミラーゼ、例えばシュードモナスサッカロフィリアマルトテトラヒドロリアーゼ(Pseudomonas saccharophilia maltotetraohydrolyase)の異型に、更に接触させる(すなわち、澱粉又は澱粉質材料を、第一のアルファアミラーゼ酵素と同様に、マルトテトラジェニックアルファアミラーゼに接触させる)。まず澱粉又は澱粉質材料、水性媒体、及び第一のアルファアミラーゼ酵素のスラリーをジェット処理(jet cooked)して液状澱粉混合物を提供し、液状澱粉混合物とマルトテトラジェニックアルファアミラーゼとを接触させる。このようにこれらの異なる酵素の組合せを使用することは、糖(DP1+2)及びより高度なオリゴ糖(DP11+)の形成を低減又は最小化しつつ、得られるシロップ中のDP4の含有量を増加又は最大化させるのを助ける態様で、澱粉又は澱粉質材料の加水分解を達成する。
【0015】
他の側面において、本発明は、低糖でより低粘度のシロップの製造方法であって:
(a)澱粉又は澱粉質材料と第一のアルファアミラーゼ酵素とを、水性媒体中で、任意に高剪断条件の下、例えばジェット処理の下、第一温度で接触させて、ゼラチン化澱粉の流体物質を提供することと;
(b)約10%〜約25%のDP1+DP2含有量、約70%〜約90%のDP3〜11含有量、及び0%〜約15%のDP11+含有量を有する糖類分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、流体物質を第二温度に維持することと;
(c)反応生成物に一つ以上の精製又は処理工程を行って、低糖でより低粘度のシロップを提供することと;
を含んでおり、
第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又は上記ポリペプチドの酵素活性断片を含むアミノ酸配列であり、
方法において使用する酵素の種類がアルファアミラーゼのみである、
方法を提供する。
【0016】
工程(a)は、例えば、90℃以上、又は100℃以上、例えば、約100℃〜約115℃、約104℃〜約108℃、又は約107℃〜約110℃の温度で行ってもよい。工程(a)は、例えば、約2分〜約20分間行ってもよい。工程(b)は、例えば、約80℃〜約100℃、約80℃〜約95℃、若しくは約90℃〜約95℃の温度、又は約90℃超の温度で行ってもよい。工程(b)は、例えば、約1.5時間〜約5時間、約2時間〜約4時間、又は約3時間行ってもよい。第二温度は第一温度より低くてもよい。
【0017】
本発明はまた、水及び糖類を含むシロップに関し、糖類は約10%〜約25%のDP1+DP2含有量、約70%〜約90%のDP3〜11含有量、及び0%〜約15%のDP11+含有量を提供する糖類分布を有しており、シロップが80%の乾燥固形分を有するときに、シロップは20℃において約1400ポアズ以下の粘度を有する。一つの側面において、糖類は、少なくとも約35%のDP4含有量、及びDP5〜DP10のそれぞれについて約6%未満の含有量を提供する糖類分布を有する。他の側面において、糖類は、10%以下、又は5%以下のDP11+含有量を提供する糖類分布を有する。
【0018】
また、本発明は、上記のシロップ、並びに食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品の成分の少なくとも1つを含む、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品製品を提供する。
【0019】
本発明の他の側面は、シロップ、及び少なくとも1つの高強度甘味料を含む甘味料製品に関する。
【0020】
一実施形態において、水及び糖類を含むシロップであって、糖類は、DP1が1〜4%;DP2が10〜15%;DP3が9〜13%;DP4が7〜11%;DP5が6〜10%;DP6が13〜19%;DP7が12〜17%;DP8が4〜7%;DP9が3〜7%;DP10が2〜6%;DP11が7〜15%;DP11+が0〜4%であり、総量が100%の糖類分布を有する、シロップが提供される。他の実施形態において、上記のシロップ、並びに少なくとも1つの食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品の成分を含む、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品製品が提供される。更に別の側面は、上記のシロップ及び少なくとも1つの高強度甘味料を含む甘味料製品を提供する。
【0021】
本発明の他の実施形態は、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、及び化粧品組成物のための、低糖でより低粘度のシロップを製造する方法であって、
(a)澱粉又は澱粉質材料、第一のアルファアミラーゼ酵素、及び水性媒体のスラリーを、100℃〜115℃の第一温度でジェット処理することと;
(b)10%〜25%のDP1+DP2含有量、70%〜90%のDP3〜11含有量、及び0%〜15%のDP11+含有量を有する糖類分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、スラリーを80℃〜95℃の第二温度に維持することと;
(c)反応生成物に一つ以上の精製又は処理工程を行って、低糖でより低粘度のシロップを提供することと;
を含んでおり、
第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又は上記ポリペプチドの酵素活性断片を含むアミノ酸配列であり、
方法において使用する酵素の種類がアルファアミラーゼのみである、
方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の方法の例示的な実施形態を模式的な形態で説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で用いる用語「DPN」は重合度を意味し、Nは糖内のモノマー単位数(すなわち、グルコース又はデキストロース単位)であり、したがって、DPNは糖類の組成を反映する。例えば、DP1は単糖類であり;DP2は二糖類であり;DP1+2は単糖類及び二糖類の総量であり;DP3〜11はDP3〜DP11の総量であり;及びDP11+は1分子当たり11個以上のモノマー単位を含む糖類の総量である。DPNは、糖類全体の乾燥重量を基準とした個々の糖類の質量パーセントとして表される。生成物のDPN組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定した。サンプルをミリQ水で約5%固形分に希釈して、0.45μmのフィルタを通して濾過した。20マイクロリットルのサンプルを注入した。分離は、屈折率検出器に連結した銀の形態のスチレンジビニルベンゼン樹脂ベースのカラムであるBio−Rad HPX 42Aカラムを使用して行った。42Aカラムは、HFCSの分析に用いられるカラムよりも軽度に架橋型である。より低度の架橋は樹脂に開いた構造を与え、より高分子量の構造に対して樹脂をより透過性にする。それは樹脂上の銀のカウンターイオンと糖上のヒドロキシル基との間の配位子―配位子反応と組み合わせて、20分未満の運転時間でDP12までの分離を可能にする。マルトペントース上の、商業的に入手可能な純粋な糖の標準はほとんどないので、計量は、応答係数を用いずに面積パーセントを使用して行った。これら全ての糖についての屈折率応答は非常に似ていることが予想される。
【0024】
本明細書で用いる用語「DS」は、コンピュータプログラム、Refractive Index Dry Substance(RI―DS)、Standard Analytical Method E―54、Corn Refiners Association、第6版、1977年、E―54、第1〜11頁を使用して決定される物質のパーセント乾燥固体を意味する。
【0025】
本明細書で用いる用語「糖(sugar)」は、単糖類及び/又は二糖類を意味する。
【0026】
本明細書で用いる用語「シロップ」は、糖類の水性溶液を意味する。
【0027】
本明細書で用いる用語「粘度」は、流体が流れる抵抗を意味する。シロップの粘度は典型的に、温度及び固体濃度に影響される。粘度は、所定の温度及び所定の%DSにおけるポアズ(P)又はセンチポアズ(cps)で表す。
【0028】
本発明のシロップの調製方法は、原料又は出発物質として澱粉又は澱粉質材料を利用する。澱粉又は澱粉質材料は、本技術分野において通常実施される多くのあらゆる方法を用いて、多くの異なる源から得ることができる。例えば、澱粉又は澱粉質材料は、コーン(例えば、デントコーン)、又は他の穀類原料、例えば米、小麦、オオムギ、オート麦、若しくはソルガムから、よく知られた湿式ミリング及び乾式ミリング技術によって得ることができる。湿式ミリングでは、コーン又は他の原料をしばらく含浸し、挽いて、油を含む胚芽を他の成分から分離することができる。残った非胚芽材料は、異なる流れへと分離することができる、澱粉、タンパク質(例えば、グルテン)、及び繊維を含むスラリーである。澱粉の流れは、コーン又は他の澱粉の豊富な原料から、本技術分野において通常実施されている乾式ミリング技術によって得ることもできる。更に、澱粉の流れは、根又は塊茎原料、例えばジャガイモ又はカッサバから、湿式ミリング又は乾式ミリング法を使用して得ることができる。
【0029】
本発明の一実施形態の利点は、本明細書において既に記載したように、単一の特定の種類の酵素を用いて、澱粉又は澱粉質材料を、望ましい糖類分布及び粘度を有する生成物へと直接変換してもよいということである。すなわち、本発明の一実施例において、低糖でより低粘度のシロップの製造方法に使用する唯一の種類の酵素は、アルファアミラーゼである(しかしながら、以下更に詳細に説明するように、本発明の一実施形態において、2つの異なるアルファアミラーゼ酵素を利用してもよい)。これは、低糖で低粘度のシロップを作る本技術分野において既に知られている2つの工程(例えば、酸又は第一の種類の酵素を用いた第一の液化工程、及び第二の種類の酵素を用いた第二の加水分解工程)を必要とする方法とは対照的である。
【0030】
従来、アルファアミラーゼは、澱粉から発酵性糖を製造する方法に用いられており、それによれば澱粉をアルファアミラーゼで処理して液状物を作り、中間液状物を第二の酵素(グルコアミラーゼ)と反応させて発酵性糖(例えば、グルコース)へと変換しており、例えば、米国特許第7,273,740号明細書、米国特許第7,666,633号明細書、及び米国特許第7,659,102号明細書を参照されたい。対照的に、本発明の他の利点は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%以上、若しくは完全な(100%)の配列同一性、又はその酵素活性断片を含むアミノ核酸配列を有するアルファアミラーゼを用いて作り出すことができる液状物を、適当な条件下で、本発明の低糖で低粘度なシロップの製造に直接利用することができるという、新規で予想外な発見である。単一の酵素を使用して、澱粉又は澱粉質材料を本明細書に記載されている種類のシロップへと変換できることは製造過程を単純化し、それによってコストを低減する。
【0031】
本発明において使用される第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又はその酵素活性断片を含むアミノ酸配列である。本発明のそのような使用に適するアルファアミラーゼ酵素は本技術分野において知られており、例えば、米国特許第7,273,740号明細書、米国特許第7,666,633号明細書、及び米国特許第7,659,102号明細書に記載されており、それぞれは全ての目的のために引用によりその全体が本明細書中に含まれる。そのようなアルファアミラーゼは、分子量1000〜2000の範囲を中心とする単峰形分子量プロファイルの糖類を有する液状生成物を製造することができる。上記の特許の配列番号1は、本発明の実施に有用なポリペプチドをコードする核酸を記載している。したがって、本発明の第一のアルファアミラーゼ酵素として使用するポリペプチドは、米国特許第7,273,740号明細書、米国特許第7,666,633号明細書、及び米国特許第7,659,102号明細書に定められている配列番号1に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性、又はその酵素活性断片を有する核酸によってコードされたポリペプチドでもよい。上記の特許の配列番号2は、本発明の実施に有用なポリペプチド中に存在してもよいアミノ核酸配列を記載している。したがって、本発明の第一のアルファアミラーゼ酵素として用いてもよいポリペプチドは、米国特許第7,273,740号明細書、米国特許第7,666,633号明細書、及び米国特許第7,659,102号明細書に定められている配列番号2に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性、又はその酵素活性断片を有するアミノ酸配列を含んでもよい。所望する場合、第一のアルファアミラーゼ酵素は、適切な担体又は適切なマトリックス内に固定してもよい。
【0032】
本発明の方法において利用する第一のアルファアミラーゼ酵素の量は、所望の反応速度、反応条件等に依存して変化及び選択してもよく、一般に、反応する澱粉又は澱粉質材料の乾燥質量に基づいて約0.01%〜約0.2%、又は約0.1%〜約0.2%である。
【0033】
澱粉又は澱粉質材料を水と組み合わせて、典型的に約25質量%〜約40質量%(例えば、約32質量%〜約35質量%)の澱粉又は澱粉質材料を含むスラリーを形成してもよい。水性媒体のpHは、酸又は塩基の一つ以上を添加することによって、要望の通りに調整してもよい。典型的に、水性媒体のpHはいくらか(すなわち、弱)酸性から中性、例えば、約4〜約7(一実施形態において約5.5〜約6)であることが望ましい。
【0034】
本発明の方法は、第一の加熱工程において、澱粉又は澱粉質材料、及び第一のアルファ酵素の水性のスラリーを、比較的高温(例えば、100℃以上)で比較的短時間加熱して、第二の加熱工程において、水性のスラリーを、第一の加熱工程よりも低温(例えば、80℃〜95℃)で第一の加熱工程よりも長時間加熱する、少なくとも2つの加熱工程を使用して実施してもよい。多くの場合、澱粉をゼラチン化又は少なくとも部分的に可溶化するのに効果的な条件下で第一の加熱工程を実施することが有利である。例えば、第一のアルファアミラーゼ酵素と組み合わせた後、スラリーを、澱粉に高剪断を適用する高剪断調理工程にかけつつ、スラリーを、比較的高温(例えば、約90℃以上、又は約95℃以上、又は約100℃以上、又は約105℃以上であるが、典型的に約115℃以下)に、比較的短時間(例えば、約2〜約20分)加熱してもよい。高剪断調理工程は、圧力下、すなわち、大気圧より高い圧力で行ってもよい。例えば、少なくとも約5kg/cm(例えば、約8〜約11kg/cm)の圧力を利用してもよい。一般に、そのような高剪断条件は、澱粉をゼラチン化する(少なくとも部分的に可溶化する)のに効果的であるように選択する。スラリーを高温及び圧力(すなわち、過圧)下で水蒸気と混合して狭い開口部を通過させる、ジェット処理(Jet cooking)技術を使用してもよい。完全な水蒸気の凝縮が達成されるように水蒸気の量を制御してもよく、又は代替として、水蒸気の量が過剰でもよい。例えば、水蒸気圧は、約5bar〜約8bar(絶対圧)であってもよい。略瞬間的な澱粉の加熱、及びジェット処理装置による水蒸気の通路から生じる強い乱流は、澱粉粒の破壊及び溶解を促進する。高分子量の澱粉鎖を機械的に剪断することによって、スラリーの粘度が低下する。これによって、澱粉スラリーをゼラチン化してもよく、希釈してもよい。
【0035】
例えば、約100℃〜約115℃(例えば、約104℃〜約108℃、又は約107℃〜約110℃)の間に急速に温度を上げるジェット処理工程において、狭い開口部を有する水蒸気ジェットを通して、スラリーをポンプ輸送してもよい。澱粉は直ちにゼラチン化し、第一のアルファアミラーゼの存在によって、酵素によるグリコシド結合のランダム加水分解を通して、容易にポンプ輸送される流体物質へと部分的に解重合する。一実施形態において、澱粉スラリーは、水蒸気ジェットを通過した後に、約5分〜約8分間、テールライン中に存在してもよい。流体物質を容器、例えば撹拌したタンクへと輸送して、澱粉と第一のアルファアミラーゼ酵素との反応を、第二のいくらかより低い温度(例えば、約80〜95℃)で、所望の糖類分布が得られるまで続けてもよい。本発明の一実施形態において、微生物の成長を阻害するために、第二の加熱工程の間、流体物質の温度を90℃超に維持する。典型的に、第二の加熱工程を行なう前に、流体物質のpHは調整せず、又は変化させない。そのような第二の加熱工程では、高剪断条件及び大気圧を超える圧力は典型的には利用しない。例えば、流体物質は、低剪断条件及び大気(周囲)圧力の下で撹拌してもよく、又はそうでなければ混合若しくは扇動してもよい。一般に、反応時間の増加は高度の解重合につながり、DP11+糖類の含有量がより少なくなり、これによって得られるシロップの粘度が低減する。したがって、アルファアミラーゼ処理は、本発明の様々な実施形態において、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、又はほぼ0%のDP11+含有量を提供するのに効果的な時間行ってもよい。しかしながら、一般に、単糖類及び二糖類の含有量が容認できないほど高くなる前に解重合を停止させることも望ましい。例えば、DP1+2含有量が10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%に達したときに、酵素加水分解反応を止めてもよい。第二の加熱工程の反応時間は、典型的に、約1.5時間〜約5時間、又は約2時間〜約4時間、又は約3時間である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、上記の第一のアルファアミラーゼ酵素は、澱粉(又は澱粉質材料)、及び澱粉(又は澱粉質材料)のジェット処理によって得られる液状生成物に接触させる唯一の酵素である。しかしながら、他の実施形態では、澱粉(若しくは澱粉質材料)及び/又は液状生成物を、更に少なくとも1つの他の酵素と接触させる。具体的には、第一のアルファアミラーゼ酵素を含む液状生成物を、異なるアルファアミラーゼ酵素、例えばマルトテトラジェニックアルファアミラーゼと組み合わせて、所望の糖類分布を有するシロップが得られるまで更に反応させる。したがって、澱粉(又は澱粉質材料)、水性媒体、及び第一のアルファアミラーゼ酵素のスラリーを、まず高剪断、高温条件(例えば、ジェット処理)にかけて液状澱粉混合物を提供し、液状澱粉混合物をマルトテトラジェニックアルファアミラーゼと接触させる。マルトテトラジェニックアルファアミラーゼに接触させる間、第一のアルファアミラーゼ酵素が液状澱粉混合物中に存在していてもよい。マルトテトラジェニックアルファアミラーゼ酵素がジェット処理の間に経験する高温に耐える程度に十分にロバストでない場合、液化工程が完了するまで、そのような酵素と澱粉とを組み合わせることを遅延させ、マルトテトラジェニックアルファアミラーゼの活性が経時的に高く残存する(すなわち、経験する熱によって著しく不活性化しない)温度まで(例えば、約80℃未満まで)液状生成物の温度を下げることが望ましい。
【0037】
上記の実施形態において、マルトテトラジェニックアルファアミラーゼは、液化澱粉から高割合のDP4オリゴ糖を選択的に又は優先して製造する、あらゆるアルファアミラーゼであってよい。そのようなマルトテトラジェニックアルファアミラーゼは本技術分野においてよく知られており、例えば、野生型シュードモナスサッカロフィリアマルトテトラヒドロリアーゼ(Pseudomonas saccharophila maltotetraohydrolyase)、又はその異型が挙げられる。シュードモナスサッカロフィリア(Pseudomonas saccharophila)に代表されるマルトテトラヒドロリアーゼ(maltotetraohydrolyase)は、本技術分野において、Amy3A、PSA、SAS、又はPS4とさまざまに呼ばれている。野生型シュードモナスサッカロフィリアマルトテトラヒドロリアーゼ(Pseudomonas saccharophila maltotetraohydrolyase)は、引用により全体が本明細書中に含まれるZhouらの「Nucleotide sequence of the maltotetraohydrolase gene from Pseudomonas saccharophila」FEBS Lett.、255:37〜41頁(1989年)に定められている核酸配列によってコードされるものでもよい。この核酸配列は、GenBank Accession番号X16732が割り当てられている。マルトテトラジェニックアルファアミラーゼは、(i)G223Eアミノ酸置換、及び(ii)国際公開2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列に対して、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24個までの更なるアミノ酸の削除、付加、挿入、若しくは置換;又は(iii)国際公開第2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、又は完全(100%)な配列同一性を含む、国際公開第2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列を有する野生型マルトテトラヒドロリアーゼの異型であって、アルファアミラーゼ活性を有する異型であってよい。そのような異型マルトテトラジェニックアルファアミラーゼは、国際公開第2010/118269号公報、及び国際公開第2010/132157号公報に記載されており、それぞれは全ての目的のために引用によりその全体が本明細書中に含まれる。適切なマルトテトラジェニックアルファアミラーゼとしては、商業的に入手可能であり、例えばDanisco(Genencor)社による商標名Grindamyl(登録商標)PowerFreshの下で販売されている確かな酵素、例えば、Grindamyl(登録商標)PowerFresh 3001が挙げられる。所望する場合、マルトテトラジェニックアルファアミラーゼを、適切な担体又は適切なマトリックス内に固定してもよい。
【0038】
澱粉又は澱粉質材料の最初のジェット処理から得られる液状澱粉混合物を、更にマルトテトラジェニックアルファ酵素と接触させる場合、典型的に、混合物のpHを約4.5〜約7の範囲内に維持してもよい。そのような接触の間の温度は、例えば、約50℃〜約70℃であってよい。
【0039】
本発明の一実施形態において、反応生成物及び得られるシロップは、DP1が1〜4%;DP2が10〜15%;DP3が9〜13%;DP4が7〜11%;DP5が6〜10%;DP6が13〜19%;DP7が12〜17%;DP8が4〜7%;DP9が3〜7%;DP10が2〜6%;DP11が7〜15%;DP11+が0〜4%であり、総量が100%に等しい糖類分布を有する。
【0040】
本発明の他の実施形態において、反応生成物及び得られるシロップは、DP1が2〜6%;DP2が12〜16%;DP3が12〜16%;DP4が38〜46%;DP5〜DP10がそれぞれ1〜6%;DP11が2〜10%;DP11+が0〜2%の糖類分布を有する。
【0041】
反応生成物及びシロップ中に存在する糖類の多分散性(Mw/Mn)は、典型的に比較的低く、例えば、約2以下、又は約1.8以下、又は約1.6以下である。
【0042】
糖類分布は本技術分野において知られている方法を用いて定期的に監視してもよく、例えば、酵素がもはや活性でなくなるレベル(例えば、pH約3〜約4)まで水性媒体のpHを低下させるのに効果的な量の酸を加えることによって酵素を不活性化することによって、更なる加水分解を止めてもよい。
【0043】
これによって得られる反応生成物に、一つ以上の更なる精製又は処理工程を行って、食品、飲料、動物飼料、又は動物の健康品及び栄養品の成分としての用途に適するシロップを提供してもよい。例えば、反応生成物を珪藻土等のフィルタ媒体に通して濾過して、任意の不溶性物質を除去してもよく、及び/又はイオン交換樹脂若しくは活性炭等の脱色剤に(典型的には、脱色剤を充填した床又はカラムに反応生成物を通過させることによって)接触させてもよい。意図する最終用途によって、生成物のpHを、酸若しくは塩基の添加、又はイオン交換樹脂による処理によって調整してもよい。更に、所望する場合、膜等を使用する限外濾過を使用して、単糖類及び二糖類の含有量を低減してもよい。蒸留又は他の蒸発的方法によって反応生成物から水を除去して、所望の乾燥固形分及び粘度を有する最終的なシロップを提供してもよい。典型的には、シロップの乾燥固形分は、有利には約60質量%〜約85質量%の間である。一般に、シロップが、室温(20〜25℃)において透明で液体になる程度に効果的な量の水を含むことは有利である。本発明の一実施形態において、シロップを乾燥させて、固体生成物(例えば、粉末の形態)を提供してもよい。
【0044】
図1は、アルファアミラーゼの存在下での澱粉スラリーのジェット処理に続くより低温での継続的反応を含む方法によって、単一のアルファアミラーゼ酵素を使用して、澱粉のスラリーを低糖でより低粘度のシロップへと変換する、本発明の一実施形態の模式的な説明である。酸性化による酵素の非活性化の後、反応生成物を濾過し、炭素処理及び/又はイオン交換を行い、蒸発によって濃縮して所望の乾燥固形分を有する最終的なシロップを提供する。
【0045】
本発明の特定の実施形態において、シロップは、以下の粘度プロファイル:
70%DS:20℃において約12〜約22ポアズ、30℃において約5〜約10ポアズ;
75%DS:20℃において約80〜約110ポアズ、30℃において約30〜約40ポアズ;
80%DS:20℃において約1000〜約1500ポアズ、30℃において約250〜約400ポアズ;
82%DS:20℃において約4000〜約8000ポアズ、30℃において約1000〜約1600ポアズを示してもよい。
【0046】
所望する場合、本発明のシロップは、噴霧乾燥等の任意の適切な手段によって、完全に又は実質的に完全に水を除去することによって、乾燥形態へと変換してもよい。
【0047】
所望する場合、シロップと、天然又は合成起源の一つ以上の高強度甘味料とを組み合わせることによって、シロップの甘さを増加させてもよい。天然高強度甘味料としては、例えば、モグロサイド及びステビオールグリコシド(ステビア)が挙げられる。例示的な合成高強度甘味料としては、スクラロース、サッカリン、チクロ、アセスルファムカリウム、ネオテーム、アスパルテーム等が挙げられる。本発明の一実施形態において、比較的高い含有量の単糖類及び二糖類を有する従来のコーンシロップに匹敵する甘さの知覚レベルを与える程度の量の高強度甘味料を、シロップと組み合わせる。
【0048】
多糖類(DP11+)の含有量が低い結果、本発明のシロップは、所定の乾燥固形分において有利にも低い粘度を有する。これは、シロップを比較的濃縮した形態(すなわち、高DS含有量)で供給しつつ良好な流動特性を有してもよいことを意味し、したがって、シロップを様々な食品に取り込み易くしてもよい。本発明の高DS(少水)含有シロップの更なる利点は、匹敵する粘度及びDP1+2含有量でありDP11+多糖類の濃度がより高いため水を必然的により多く含まなければならない従来の低糖澱粉加水分解シロップと比較して、改善した微生物安定性を示すということである。
【0049】
本発明のシロップは、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、及び化粧品の製品に利用して、そのような製品の糖含有量を低減することができ、製品の物理的特性への影響が最小限であり;並びに、同時に、そのようなシロップの取扱いがより容易であることに一部起因して、製品の製造に使用する方法及び装置への影響が最小限である。シロップを食品及び飼料中に用いて、食感を柔らかくし、体積を増やし、増粘し、糖の結晶化を妨げ、及び/又は風味を強化してもよい。
【0050】
具体的には、シロップは低糖な増量剤として有用である。それは、従来のより高糖コーンシロップと同様の外観、粘度、結晶化度、口あたり、湿潤性、及び他の束一性を有することができる。従って、本発明のシロップは、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、化粧品製品等の中の従来のコーンシロップについてほぼ等しい質量基準又は体積基準に容易に置換でき、更に、そのような製品中の糖の量を効果的に低減する。したがって、製品の物理的及び感覚的特性を著しく変えることなく、シロップを利用して製品中の糖含有量を低下させることができる。本発明のシロップの利点の1つは、多糖類(例えば、11超のDPを有する糖類)を比較的高い割合で含む従来のシロップと比較して、改善した(より速い)乾燥速度を有するということである。
【0051】
本発明によって与えられるシロップは、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、並びに化粧品組成物、特にこれらの低糖(reduced sugar)製品又は低糖(low sugar)製品への使用に適している。非限定的な例としては、増量成分、結合成分、及びコーティング成分;着色剤、味/香り、及び高強度甘味料のためのキャリア;噴霧乾燥助剤;増量剤、増粘剤(bodying)、及び分散剤;及び水分保持を促進する成分(湿潤剤)としての使用が挙げられる。本明細書に記載されているシロップを用いて調製することができる製品の具体例としては、飲料、焼いた食品、菓子類、冷凍した乳製品、肉、朝食シリアル、乳製品、調味料、軽食、スープ、ドレッシング、混合物、調理済み食品、ベビーフード、ダイエット剤、ピーナッツバター、シロップ、甘味料、食品コーティング、ペットフード、動物飼料、動物の健康品及び栄養品製品、ドライフルーツ、ソース、肉汁、ジャム/ゼリー等が挙げられる。
【0052】
本発明のシロップを利用して、例えば、様々な食品中の水分バリヤーを提供してもよい。任意に一つ以上の更なる食品成分との混合物であるシロップを、一旦乾燥すると食品への又は食品からの水の透過を遅延させるのを助ける食品上のコーティング又は層として適用してもよい。例えば、甘いトッピング、例えばシロップを含むつや出し又はつや消しを、焼いた食品、例えばドーナツ、軽食、クッキー、乾燥シリアル(例えば、フレーク、ビスケット、又はクラスターの形態)等の表面に形成してもよい。乾燥した甘いトッピングは水分バリヤーとして機能し、それによって、得られる食品は改善された保存性を有し、甘いトッピングの外表面が経時的に粘着性(sticky)((粘着性(tacky))になる傾向が低減される。乾燥した甘いトッピングは外部の水分が食品中へ浸透することを妨げることもでき、それによって、水性の環境に浸漬しても、長時間にわたって食品を所望の程度のサクサク感又は歯切れの良さに保つことができる。他の実施形態において、シロップを含む層は、他の2枚の層(水分を含む一つの層と、より少ない水分量の他の層と)の間に配置されるよう食品中に存在する。シロップを含む層は、1つの層からより少ない水分量の層への水分の移動を遅らせ又は妨げることを助ける。これは、食品を保存する際に、より少ない含水量の層のサクサク感/歯切れの良さを維持するのに役立つ。
【実施例】
【0053】
《例1》
15kgの澱粉スラリー(35%DSデントスターチ)を、4MのNaOHを用いてpH5.8に調節した。5.25gのVeretase(登録商標)酵素(Verenium社)(0.1質量%澱粉dsb)をスラリーに加えた。スラリーを、テールパイプ内での滞留時間6〜7分で、107℃でジェット処理した。ジェット処理した澱粉を、85〜90℃に維持した丸底フラスコ内に集めて撹拌した。経時的な糖類分布を分析するためにサンプルを集めた。3時間反応を行い、pHを3に低下させ、シロップを冷却することによって反応を止めた。シロップをセライト(登録商標)フィルタ補助具に通して濾過し、精製のために活性炭及びイオン交換樹脂を通過させた。シロップを蒸発させて80%DSにした。
【0054】
表1Aは、異なる時間間隔で取った反応サンプルの糖類分布を示す。表1Bは、それぞれのサンプルについての分子量及び多分散性データを提供する。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
これによって71%DSで得られたシロップの粘度プロファイルは、表2に示すようなものであった(従来のコーンシロップSWEETOSE(登録商標)4300 63DE、71%DSと比較)。
【0058】
【表3】
【0059】
《例2》
15kgの澱粉スラリー(35%DSデントスターチ)を、4MのNaOHを用いてpH5.3に調節した。5.25gのVeretase(登録商標)酵素(0.1質量%澱粉dsb)をスラリーに加えた。スラリーを、テールパイプ内での滞留時間6〜7分で、107℃でジェット処理した。ジェット処理した澱粉を、85〜90℃に維持した丸底フラスコ内に集めて撹拌した。経時的な糖類分布を分析するためにサンプルを集めた。3時間反応を行い、pHを3に低下させ、シロップを冷却することによって反応を止めた。シロップをセライトに通して濾過し、精製のために活性炭及びイオン交換樹脂を通過させた。シロップを蒸発させて80%DSにした。
【0060】
表3は、様々な時間で取った反応サンプルの糖類分布を示す。
【0061】
【表4】
【0062】
《例3》
デントスターチ(5.25kg)を9.75kgの水と混合して35%DSの澱粉スラリーを作った。10%のNaOHを用いて、スラリーのpHを5.9に調節した。5.25gのVeretase(登録商標)酵素をスラリーに加えた。スラリーを、速度350mL/分、107℃で、6〜7分のテールでの滞留時間を提供するジェット処理をした。液状物を水浴中に集めて65℃に冷却した。冷却後、10.5gのGrindamyl(登録商標)PowerFresh 3001酵素(Danisco社)を、シロップに加えた。異なる時間間隔で反応混合物のサンプルを集めた。3時間後、pHを4まで低下させることによって反応を止めた。表4a及び4bは、異なる時間で取った反応サンプルの糖類分布を示す。時間「t=0」は、ジェット処理(液化)を完了してGrindamyl(登録商標)酵素を加えた時間である。
【0063】
比較として、従来の熱安定アルファアミラーゼ(例えば、二峰性の生成物分布を生ずるもの)を使用して、澱粉スラリーをジェット処理することによって調製した典型的な液状物を、Grindamyl(登録商標)PowerFresh 3001酵素と反応させると、得られた反応生成物(シロップ)は比較的高いDP4糖類の含有量(例えば、40%をいくらか超える)を有した。しかしながら、生成物は、シロップの粘度に悪影響を与える高割合のより高度なオリゴ糖を含んでいた(例えば、約30%以上のDP11+)。より高度なオリゴ糖は、Grindamyl(登録商標)PowerFresh酵素又は従来のアルファアミラーゼ酵素によって、より低度な糖類へと効果的に加水分解されないようであった。より高度なオリゴ糖は実質的にシロップの粘度に寄与し、したがって、低糖(DP1+2)を含有する場合であっても、シロップを用いて効果的により高いDEのシロップを置換することはできない。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、並びに化粧品組成物のための、低糖でより低粘度のシロップを製造する方法であって、
澱粉又は澱粉質材料を加水分解して約10%〜約25%のDP1+DP2含有量、約70%〜約90%のDP3〜11含有量、及び0%〜約15%のDP11+含有量を有する糖類分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、澱粉又は澱粉質材料と第一のアルファアミラーゼ酵素とを水性媒体中で接触させること
を含んでおり、
前記第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又は前記ポリペプチドの酵素活性断片を含むアミノ酸配列である、
方法。
[2]
前記反応生成物を濾過する更なる工程を含む、項目1に記載の方法。
[3]
前記反応生成物を活性炭に接触させる更なる工程を含む、項目1又は2のいずれかに記載の方法。
[4]
前記反応生成物をイオン交換樹脂に接触させる更なる工程を含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記反応生成物から水を除去して約65%〜約85%の乾燥固形分を達成する更なる工程を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記反応生成物を濾過すること、前記反応生成物を活性炭及びイオン交換樹脂に接触させること、並びに前記反応生成物から水を除去して約65%〜約85%の乾燥固形分を達成することの、更なる工程を含む、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記反応生成物に、膜を使用した限外濾過を行う更なる工程を含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記反応生成物と少なくとも1つの高強度甘味料とを組み合わせる更なる工程を含む、項目1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記澱粉又は澱粉質材料を、酸又は前記第一のアルファアミラーゼ酵素以外のいかなる酵素とも接触させない、項目1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記水性媒体が最初にpH約5〜約7を有する、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
約75℃〜約120℃の温度で前記接触を行う、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記澱粉又は澱粉質材料、水性媒体、及び第一のアルファアミラーゼ酵素のスラリーを、約100℃〜約115℃の第一温度でジェット処理し、約80℃〜約95℃の第二温度に維持する、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記澱粉又は澱粉質材料の量の約0.01質量%〜約0.2質量%の量の前記第一のアルファアミラーゼ酵素を使用する、項目1〜12のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記澱粉がコーンスターチであるか、又は前記澱粉質材料がコーンからのものである、項目1〜13のいずれか一項に記載の方法。
[15]
DP11+含有量が0〜5%である、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記反応生成物が80%の乾燥固形分を有するときに、前記反応生成物が20℃において約1500ポアズ未満の粘度を有する、項目1〜15のいずれか一項に記載の方法。
[17]
前記澱粉又は澱粉質材料を、更にマルトテトラジェニックアルファアミラーゼと接触させる、項目1〜16のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記澱粉又は澱粉質材料、水性媒体、及び第一のアルファアミラーゼ酵素のスラリーをジェット処理して液状澱粉混合物を提供し、前記液状澱粉混合物をマルトテトラジェニックアルファアミラーゼと接触させる、項目1〜17のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記マルトテトラジェニックアルファアミラーゼに接触させている間、前記第一のアルファアミラーゼ酵素が前記液状澱粉混合物中に存在する、項目18に記載の方法。
[20]
前記マルトテトラジェニックアルファアミラーゼが、シュードモナスサッカロフィリアマルトテトラヒドロリアーゼ(Pseudomonas saccharophila maltotetraohydrolyase)の異型である、項目17〜19のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記マルトテトラジェニックアルファアミラーゼが、(i)G223Eアミノ酸置換、及び(ii)国際公開第2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較して、24個までの更なるアミノ酸の欠損、付加、挿入、若しくは置換;又は(iii)国際公開2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を含む、国際公開第2010/132157号公報に定められている配列番号2(配列番号2)のアミノ酸配列を有する野生型マルトテトラヒドロリアーゼの異型であり、前記異型はアルファアミラーゼ活性を有する、項目17〜20のいずれか一項に記載の方法。
[22]
糖類が少なくとも約35%のDP4含有量を有する、項目1〜21のいずれか一項に記載の方法。
[23]
糖類が少なくとも約35%のDP4含有量、及びDP5〜DP10のそれぞれについて約6%未満の含有量を有する、項目1〜22のいずれか一項に記載の方法。
[24]
水及び糖類を含むシロップであって、前記糖類は、約10%〜約25%のDP1+DP2含有量、約70%〜約90%のDP3〜11含有量、及び0%〜約5%のDP11+含有量を提供するような糖類分布を有しており、前記シロップが80%の乾燥固形分を有するときに、前記シロップが20℃において約1400ポアズ以下の粘度を有する、シロップ。
[25]
項目24に記載のシロップと、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品成分の少なくとも1つとを含む、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品製品。
[26]
項目24に記載のシロップと、少なくとも1つの高強度甘味料とを含む、甘味料製品。
[27]
水及び糖類を含むシロップであって、前記糖類は、DP1が1〜4%;DP2が10〜15%;DP3が9〜13%;DP4が7〜11%;DP5が6〜10%;DP6が13〜19%;DP7が12〜17%;DP8が4〜7%;DP9が3〜7%;DP10が2〜6%;DP11が7〜15%;DP11+が0〜4%であり、総量が100%に等しい糖類分布を有する、シロップ。
[28]
項目27に記載のシロップと、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品成分の少なくとも1つとを含む、食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、又は化粧品製品。
[29]
項目27に記載のシロップと、少なくとも1つの高強度甘味料とを含む、甘味料製品。
[30]
低糖でより低粘度のシロップを製造する方法であって:
(a)澱粉又は澱粉質材料と第一のアルファアミラーゼ酵素とを、水性媒体中で、任意に高剪断条件の下、第一温度で接触させて、ゼラチン化澱粉の流体物質を提供することと、
(b)約10%〜約25%のDP1+DP2含有量、約70%〜約90%のDP3〜11含有量、及び0%〜約15%のDP11+含有量を有する糖類分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、前記流体物質を第二温度に維持することと;
(c)前記反応生成物に一つ以上の精製又は処理工程を行って、低糖でより低粘度のシロップを提供することと;
を含んでおり、
第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又は前記ポリペプチドの酵素活性断片を含むアミノ酸配列であり、
方法において使用する酵素の種類がアルファアミラーゼのみである、
方法。
[31]
食品、飲料、動物飼料、動物の健康品及び栄養品、医薬品、並びに化粧品組成物のための、低糖でより低粘度のシロップを製造する方法であって、
(a)澱粉又は澱粉質材料、第一のアルファアミラーゼ酵素、及び水性媒体のスラリーを、100℃〜115℃の第一温度でジェット処理することと;
(b)10%〜25%のDP1+DP2含有量、70%〜90%のDP3〜11含有量、及び0%〜15%のDP11+含有量を有する糖類分布を有する反応生成物を提供するのに効果的な時間、前記スラリーを80℃〜95℃の第二温度に維持することと;
(c)前記反応生成物に一つ以上の精製又は処理工程を行って、低糖でより低粘度のシロップを提供することと;
を含んでおり、
第一のアルファアミラーゼ酵素は、GenBank Accession番号AF504065(配列番号1)に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、若しくは完全(100%)な配列同一性を有する核酸によってコードされたポリペプチド、又は前記ポリペプチドの酵素活性断片を含むアミノ酸配列であり、
方法において使用する酵素の種類がアルファアミラーゼのみである、
方法。
図1