【文献】
品川 佳満, 外2名,加速度センサを用いた人間の歩行・転倒の検出,川崎医療福祉学会誌,日本,1999年,Vol. 9, No. 2,p. 243-250
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
時間の関数としての歩行信号を生成するように構成されたセンサであって、前記歩行信号は少なくとも一部が、第1の期間と該第1の期間に続く第2の期間との間における患者の下肢の移動に関連する、センサと、
前記第1の期間における前記歩行信号のダイナミックレンジに基づいて第1のしきい値を計算し、前記第1の期間における前記歩行信号のダイナミックレンジに基づいて第2のしきい値を計算するように構成されたプロセッサであって、前記第1のしきい値は、前記プロセッサを含む歩行センサモジュールのSWING状態に関連し、前記第2のしきい値は、前記歩行センサモジュールのSTANCE状態に関連する、プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記第2の期間における前記歩行信号のダイナミックレンジに基づいて前記第1のしきい値を再計算し、前記第2の期間における前記歩行信号のダイナミックレンジに基づいて前記第2のしきい値を再計算するように構成されており、
前記プロセッサは、前記歩行センサモジュールが前記STANCE状態にあるときに前記歩行信号が前記第1のしきい値を横断すると第1の信号を生成し、前記歩行センサモジュールが前記SWING状態にあるときに前記歩行信号が前記第2のしきい値を横断すると第2の信号を生成するように構成されている、装置。
前記プロセッサは、前記最大値及び最小値の少なくとも一方の振幅が前記ダイナミックレンジの所定のパーセンテージ未満である場合に、患者の移動に関係しないものとして前記最大値及び最小値の少なくとも一方を識別するように構成されている、請求項6に記載の装置。
前記プロセッサは、前記歩行信号が所定の期間内に前記第1のしきい値又は前記第2のしきい値を横断しなかったことを前記プロセッサが判定したときに、STANDING状態又はSITTING状態の一方に前記歩行センサモジュールの状態を変化させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
時間の関数としての歩行信号を生成するように構成されたセンサであって、前記歩行信号は少なくとも一部が、第1の期間と該第1の期間に続く第2の期間との間における患者の下肢の移動に関連する、センサと、
前記第1の期間における前記歩行信号のダイナミックレンジに基づいて高しきい値及び低しきい値を計算するように構成されたプロセッサであって、前記高しきい値がSTANCE状態に関連し、前記低しきい値がSWING状態に関連する、プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記第2の期間における前記歩行信号のダイナミックレンジに基づいて前記高しきい値及び前記低しきい値を再計算するように構成されており、
前記プロセッサは、前記プロセッサを含む歩行センサモジュールがSWING状態にあるときに前記歩行信号が前記高しきい値を横断すると、又は、前記歩行センサモジュールがSTANCE状態にあるときに前記歩行信号が前記低しきい値を横断すると、信号を生成するように構成されている、装置。
前記プロセッサは、前記最大値及び最小値の少なくとも一方の振幅が前記ダイナミックレンジの所定のパーセンテージ未満である場合に、患者の移動に関係しないものとして前記最大値及び最小値の少なくとも一方を識別するように構成されている、請求項20に記載の装置。
前記プロセッサは、前記高しきい値又は前記低しきい値の他方を横断させた後に前記歩行信号が所定の期間内に前記高しきい値又は前記低しきい値の一方を横断しなかったことを前記プロセッサが判定したときに、STANDING状態及びSITTING状態の一方に、前記歩行センサモジュールの状態を変化させるように構成されている、請求項17に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、既知のシステムのさまざまな欠点を克服する、神経補綴的な歩行強化のためのFES装具システムの必要性が認識されており、それがあることがきわめて有利である。堅牢かつ高信頼性であり、さまざまな従来技術の刺激装置に付随する不快感を回避し、安全で堅牢に動作するように保証されることは、そのようなシステムにとって特に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の教示によれば、下肢の神経筋障害を有する患者の下肢機能を改善するために機能的電気刺激を利用する歩行変調システムであって、(a)患者の少なくとも1本の下肢と関連するように適合された少なくとも1つのセンサを含むセンサ装置であって、センサが、患者の歩行に関連する少なくとも1つのパラメータを、歩行に関連する歩行データを得るように変換するためのものであるセンサ装置と、(b)筋刺激器であって、(i)下肢の少なくとも1つの筋肉の機能的電気刺激を実施するために、電気刺激出力を電極アレイに供給するように適合された電気刺激回路、および(ii)少なくとも1つのセンサに動作可能に接続されたマイクロプロセッサであって、歩行データに基づく歩行情報のストリームを受領し、歩行情報を処理し、かつ歩行情報の処理に基づいて刺激出力を制御するように適合されたマイクロプロセッサを含む筋刺激器とを備え、マイクロプロセッサがさらに、歩行情報のストリーム中の障害を識別し、かつその結果として、障害の持続時間の少なくとも一部分にわたってフェイルセーフ刺激出力を送出するように、電気刺激回路を制御するように適合される、歩行調整システムが提供される。
【0010】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサは、患者の転倒リスクを低減させるようにフェイルセーフ刺激出力を提供するように、電気刺激回路を制御するように適合される。
【0011】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行情報のストリームに基づいて刺激出力を時間調整するための時間調整機構が、マイクロプロセッサに関連付けられる。
【0012】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロコントローラは、歩行情報のストリームに基づいて患者の歩行事象の予測を行うように適合される。
【0013】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロコントローラは、歩行事象の予測に基づく時間にフェイルセーフ刺激出力を送出するように、電気刺激回路を制御するように適合される。
【0014】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行事象の予測は、踵接地事象の予測に関連する。
【0015】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行事象の予測は、踵離地事象の予測に関連する。
【0016】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行事象の予測は、歩行のSWING相の予測に関連する。
【0017】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行事象の予測は、歩行のSTANCE相の予測に関連する。
【0018】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、障害は、センサ装置の伝送ユニットからの通信障害を含む。
【0019】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、通信障害は、無線周波数通信障害である。
【0020】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、センサ装置はさらに、パラメータに関係する信号を受領するための、センサに電気的に関連付けられたマイクロプロセッサと、歩行情報を無線方式でセンサ装置の外部にある歩行調整システムのユニットに送出するための伝送ユニットとを含む。
【0021】
本発明のもう1つの態様によれば、下肢の神経筋障害を有する患者の下肢機能を改善するために機能的電気刺激を利用する歩行調整システムであって、(a)患者の少なくとも1本の下肢と関連するように適合された少なくとも1つのセンサであって、患者の歩行に関連する少なくとも1つのパラメータを、歩行に関連する歩行データを得るように変換するためのものであるセンサと、(b)筋刺激器であって、(i)下肢の少なくとも1つの筋肉の機能的電気刺激を実施するために、電気刺激出力を電極アレイに供給するように適合された電気刺激回路を含む筋刺激器と、(c)少なくとも1つのセンサに動作可能に接続されたマイクロプロセッサであって、歩行データに基づく歩行情報を含む信号を受領し、信号を処理し、かつ信号の処理に基づいて刺激出力を制御するように適合されたマイクロプロセッサとを備え、センサが圧力センサであり、信号の処理が、(i)圧力センサにかかる最大圧力値と最小圧力値との間のダイナミックレンジを計算すること、ならびに(ii)ダイナミックレンジに基づいて、電気刺激出力をトリガーオフするためのものである高しきい値、および電気刺激出力をトリガーオンするためのものである低しきい値を計算することを含む、歩行調整システムが提供される。
【0022】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサはさらに、歩行運動モードからの逸脱を検出するように適合される。
【0023】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行運動モードはSWING状態である。
【0024】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、歩行運動モードはSTANCE状態である。
【0025】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサはさらに、無効な山(peaks)または谷(valleys)を識別するように適合される。
【0026】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサはさらに、患者がSWING状態にあるか、STANCE状態にあるか、SITTING状態にあるか、それともSTANDING状態にあるかを判定するように適合される。
【0027】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサはさらに、患者の歩行運動状態の判定を行い、かつその判定に基づいて無効な山または谷を識別するように適合される。
【0028】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサはさらに、無効な山または谷を識別する際に、ダイナミックレンジを利用するように適合される。
【0029】
記載された好ましい実施形態における別の特徴によれば、マイクロプロセッサは、山の有効性または谷の有効性を判定するための複数の異なるしきい値を有し、複数の異なるしきい値が、少なくとも一部には、患者の歩行運動状態に基づく。
【0030】
本発明を本明細書において、単に一例として、添付の図面を参照して説明する。ここで図面を個々に詳細に参照して、図示の詳細は、例を目的とするものであり、本発明の好ましい実施形態を例示的に議論するためのものにすぎず、本発明の原理および概念的態様の最も有用かつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために、提示されていることを強調しておく。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要なものよりも詳細に本発明の構造上の詳細を示すための試みは行われず、図面を用いて行われる説明は、本発明のいくつかの形態をどのように実際に実施することができるかについて、当業者に明らかにするものである。図面全体を通じて、類似の要素を示すために、類似の参照符号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の原理および動作は、図面および付随する説明を参照して、より良く理解することができよう。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用分野において、以下の説明に記載の、または図面に示される構成部品の構造および構成の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、またはさまざまに実施することができる。また、本明細書で使用される言い回しおよび用語は、説明のためのものであり、限定的なものと見なすべきではないことを理解されたい。
【0033】
さまざまな従来技術のセンサ外囲容器には、顕著な欠点がある。1つの特有の欠点は、センサ外囲容器によるセンサの十分な保護が不足していることである。保護がこのように不足していることにより、センサの表面全体にわたって、無制御のまたは不均一な力の分散が生じ、その結果、センサにとって比較的短い寿命となる。
【0034】
本発明のFSRセンサ組立体および外囲容器は、好ましくは、靴の中底(インソール)の下、典型的には踵の下方に挿入することができるように設計される。保護ケーシングは、カバーおよび基部から形成され、センサがそれらの間に嵌る。吸収材料からなる追加部片が、カバーとFSRセンサの間に配設される。典型的には、吸収材料はカバーに接着される。センサケーシングのカバーと基部は、超音波溶接、接着、熱溶接、RF溶接によって、またはピンによって、互いに接続することができる。Interlink(登録商標)、CUI(登録商標)、Tekscan(登録商標)、およびPeratech(登録商標)により製造されている一部のFSRを含む、さまざまな商業的に入手可能な感圧抵抗体(FSR)センサが、本発明のケーシングと共に使用するのに適している。本発明のケーシングは、メンブレンスイッチ、静電容量ベースセンサ、および圧電フォイルなど、他のタイプのセンサと共に使用することもできる。
【0035】
外囲容器は、好ましくは、(ポリアセタール、ポリオキシメチレン(POM)、またはポリホルムアルデヒドとしても知られる)アセタール、あるいはポリプロピレンから形成されるが、他の材料、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を、必要な物理的特性および機械的特性をもたらすように設計してもよい。
【0036】
図1は、本発明のセンサ組立体25の一実施形態の斜視図である。
【0037】
図2は、外囲容器カバー10および外囲容器基部20を有する外囲容器5、感圧抵抗体(FSR)センサ30、電気接続ユニット40、ならびにFSRセンサ30上に配設するための吸収性保護層50を含む、センサ組立体25の概略分解図である。
【0038】
基部20は、FSRセンサ30および電気接続ユニット40用の各ソケットを形成する。これらのソケットは、好ましくは、センサの下側および電気接続ユニットの表面的な特徴に整合するように象られている。基部20は、FSRセンサ30をぴったりと取り囲むための周辺リムを有し、それによりセンサの位置が決まる。したがって、これらのソケットにより、基部上でのセンサの、正確で繰返し性のある位置決めが可能になる。
【0039】
好ましくは、外囲容器基部20は、カバー10よりも硬質である/カバー10ほど可撓性ではない。この機械的特性により、センサ読取値のずれを引き起こす恐れがあり、またセンサに対する過度の磨耗および損傷を引き起こす恐れもある曲げ力に対して、FSRセンサが補強される。
【0040】
図3Aは、外囲容器カバー10の断面図であり、
図3Bは、
図3Aに示す外囲容器カバー10の一部分の拡大図であり、
図3Cは、外囲容器カバー10、外囲容器基部20、FSRセンサ30、および吸収性層50の相対的な配設を示す、センサ組立体25の断面図である。
【0041】
図3A〜3Cから、外囲容器カバー10が、円周の周りで支持され、中央の方にほとんど支持されていないことが明らかである。
図3Cから、外囲容器カバー10、外囲容器基部20、および吸収性層50が、第1の空所11が外囲容器カバー10と吸収性層50の間にあり、第2の空所13が、外囲容器カバー10と外囲容器基部20の間にあるように配設されていることがさらに明らかである。カバー10の可撓性、および空所11、13によってもたらされる運動性により、カバーがFSRセンサ30の上面の中央に向かって圧潰して(曲がって)、圧力(力)をそこに、吸収性保護層50を介して伝達する膜のように働くことが可能になる。
【0042】
好ましくは、カバー10の周辺部付近でのその半径は、約2〜5mmであり、より好ましくは3〜4mmである。
【0043】
カバー10および基部20の各リムは、好ましくは、相補的に輪郭がつけられる。これらのリムの閉合せは、好ましくは、超音波溶接によって行われる。これらのリムの接合と、周辺部付近の曲線状の構造およびその下の高くなったリムとがあいまって、外囲容器に必要な剛性をもたらす。その結果として、足からセンサにかかる日常的な力が、外囲容器周辺部の付近でカバー10を圧潰せず、圧潰がカバーの中央領域内に閉じ込められる。これらのリムを接合することにより、カバーがその中央領域内だけに圧潰するのを可能にする表面張力が実際に発生する。これにより、リムの変形もなくなる。
【0044】
FSRセンサ30上に配設するための吸収性保護層50は、好ましくは、Poron(登録商標)、または、長期の使用にわたって、圧縮永久ひずみ(圧潰)に対する良好な抵抗、高弾性、および良好な衝撃吸収を呈する別の可撓性の、高密度な、微孔質材料から形成される。
【0045】
外囲容器およびその閉合せに関する上述の特徴は、センサ30上でのカバー10のより正確で、繰返し性および再現性のある圧潰を可能にする。これにより、特定の圧力(力)に関するセンサの繰返し性のある読取値が可能になる。恐らくより重要なことには、上述の形状および構造が、センサ30にかかるせん断力をなくし、または激減させ、FSRセンサ30の寿命に大いに貢献する。リムの構造も、外囲容器の構造安定性および耐久性を向上させる。
【0046】
センサは、外囲容器の基部に、基部20内にある特定のソケット構造内部で固定される。一実施形態では、配線が、ソケット内に位置固定された金属クリンプによって締めつけられ、それによって、センサの移動、および電気接続ユニット40の配線領域内の(また特にその溶接点に対する)、外部配線が不注意に引っ張られる結果生じる望ましくない張力が妨げられる。
【0047】
好ましくは、センサは、靴の内面に、Velcro(登録商標)などの面ファスナ(loop and hook fastener)によって取り付けられる。一方の止着要素が、センサ基部カバーの底部に取り付けられ、相補的な止着要素が、靴のインソールに取り付けられる。
【0048】
FSRセンサ装置を靴中に適切に位置合せするようにユーザに指示するように、足の図記号が好ましくはカバー10上に設けられる。
【0049】
本発明の外囲容器は、製造が容易であり、製造に費用がかからず、FSRセンサ装置の容易で再現性のある組立てを可能にする。
【0050】
図3Dは、FSRセンサ30を外部配線58に有利に固定するための本発明の機構を有する、本発明の好ましい一実施形態を概略的に示す。配線58は典型的に、FSRセンサ30を、とりわけマイクロプロセッサおよび無線周波数(RF)送受信機を含むセンサ装置のヘッドと接続させる。
【0051】
外部配線58は、FSRセンサ30の基部54から突出する、突出部56などの突出部の周りに固定される。外部配線58は、電気接続の配線領域内の(特に溶接点59での)望ましくない張力が回避されるように、これらの突出部の周りに巻きつけられる。この固定機構により、ユーザが、電気接続領域内の溶接点に対して不注意に損傷を与えることなく、外囲容器を靴から引っ張り出すことが可能になる。
【0052】
好ましくは、組立て中に配線の位置決めを維持するように、またさらに、溶接領域を保護し、かつ配線の周りの開口からの水および汚れを、密閉して入らないようにするように、配線58が配置された後に、シリコンが配線58の端部上に注がれる。
【0053】
図3Eは、従来型の靴または履物15中に配設された本発明のセンサ組立体25の概略図である。センサ組立体25は、さまざまな位置、例えば足の下/インソールの上、インソールと靴底の間、および靴底内にあってよい。
【0054】
本明細書の、明細書および添付の特許請求の範囲の項では、「履物」という語は、靴、ブーツ、サンダル、靴下、およびストッキングを含むがそれらに限定されない、覆われている足が歩行中に踏みつける任意の種類の足カバーを指す。
【0055】
図4は、本発明の足センサ装置100の概略電子回路図である。センサ素子16が、電子回路または通信ユニット31に配線21によって接続され、好ましくは電子回路または通信ユニット31から配線21によって給電される。通信ユニット31は、デジタル回路およびマイクロコントローラユニット80、無線周波数(RF)送受信機82、ならびに有線媒体から無線媒体に、また無線媒体から有線媒体に信号を変換するための整合ネットワークを有するアンテナユニット83を含む。
【0056】
センサ素子16の抵抗は、それに印加される力に伴って変化する。本発明の一実施形態によれば、センサ素子16の抵抗を測定するために、センサ素子16および(好ましくはユニット30内に配設された)バイアス抵抗器81からなる分圧器が足センサ装置100に装備される。分圧器に電圧が印加されると、その電圧が、センサ素子16とバイアス抵抗器81の抵抗比に応じて分割される。この電圧が、センサ素子16の抵抗を評価するために測定される。
【0057】
当業者なら、センサ素子16の抵抗を測定する多数の方式があることが分かるであろう。
【0058】
通信ユニット31には、マイクロコントローラユニット80、RF送受信機82、およびセンサ素子16に電力を供給する、小型コインバッテリ84も装備される。
【0059】
デジタル回路およびマイクロコントローラユニット80は、足センサ装置100の動作を制御および監視し、そのさまざまなアルゴリズム(例えば、歩行検出アルゴリズム、RF制御アルゴリズム、および電力管理アルゴリズム)を実施する。好ましくは、マイクロコントローラユニット80はRF送受信機82と、シリアル周辺インターフェース(SPI)を介して通信する。
【0060】
図5は、足センサ装置100、刺激器ユニット150、および制御ユニット250の内部の仕組み、ならびにそれらの間の通信に関して示す、本発明の機能的電気刺激(FES)システム500の一実施形態の概略電子回路図である。
【0061】
上記のように、足センサ装置100は、マイクロコントローラユニット80、RF送受信機82、およびセンサ素子16に電力を供給する、小型コインバッテリ84を含む。コインバッテリ84は、センサ信号調整(増幅、フィルタリング、および分割など)、ならびにアナログ−デジタル信号変換器を有する、アナログ回路78に給電することもできる。
【0062】
刺激器ユニット150は典型的に、電源184bからいずれも給電される、整合ネットワークを有するアンテナ183を有するRF送受信機182、デジタル回路およびマイクロコントローラユニット180、ならびに刺激回路195を含む。刺激回路195は典型的に、電源184bから高電圧回路190を介して電力を受領する。
【0063】
電源184bは、充電式バッテリ184aなどのバッテリから給電することができる。充電およびバッテリモニタ184cが、有利には、充電式バッテリ184aに関連付けられ、好ましくは医療グレードの調整電源アダプタ(wall adapter)などの外部電源とインターフェースする。
【0064】
足センサ装置100のアンテナ83、および刺激器ユニット150のアンテナ183によって、RF送受信機82が、刺激器ユニット150のRF送受信機182と通信する。RF送受信機182は、デジタル情報を、デジタル回路およびマイクロコントローラユニット180に、またそこから送出および受領する。同様に、マイクロコントローラユニット180と刺激回路195が、デジタル情報を交換する。マイクロコントローラユニット180からのデジタル情報に基づく、高電圧回路190から給電される刺激回路195は、装具ユニット内に配設された電極196a、196bによって、電気刺激パルスを患者に送出するように構成される。
【0065】
制御ユニット250は典型的に、電源284bからいずれも給電される、整合ネットワークを有するアンテナ283を有するRF送受信機282、デジタル回路およびマイクロコントローラユニット280、ならびにユーザインターフェース回路192を含む。
【0066】
電源284bは、充電式バッテリ284aなどのバッテリから給電することができる。充電およびバッテリモニタ284cが、有利には、充電式バッテリ284aに関連付けられ、好ましくは医療グレードの調整電源アダプタなどの外部電源とインターフェースする。
【0067】
刺激器ユニット150のアンテナ183、および制御ユニット250のアンテナ283により、RF送受信機182が、制御ユニット250のRF送受信機282と通信する。RF送受信機282は、デジタル情報を、デジタル回路およびマイクロコントローラユニット280に、またそこから送出および受領する。同様に、マイクロコントローラユニット280とユーザインターフェース回路192が、デジタル情報を交換する。例えば、さまざまな動作パラメータに関するユーザ選好を、ユーザインターフェース回路192からマイクロコントローラユニット280に通信することができる。マイクロコントローラユニット280を、刺激パラメータに関係するものを含む表示情報をユーザインターフェース回路192に提供するように、適合することができる。
【0068】
当技術分野で知られるように、PDA450などのPDAは、中央処理装置(CPU)および電子メモリを有する小型の手持ち式ポータブルコンピュータであり、一般に情報を格納および整理し、かつ日常作業用のツールを提供するために使用される。PDAは、有利には、Microsoft(登録商標)のWindows Mobile 5ソフトウェアによって動作することができる。PDA450は、好ましくは、患者の歩行ログおよびさまざまな個人パラメータを含むデータベースを有し、電気刺激システムの刺激パラメータを構成するようにプログラムされる。
【0069】
患者が装具を実際に使用している間に、装具システムを臨床医の手でオンラインで構成することができるように、PDA450と制御ユニット250は、好ましくは、デジタル式のかつ電気的な通信をする。この構成では、制御ユニット250が実際にはPDA450の送信機として働き、PDA450が、制御ユニット250を介して電気刺激システムの他の構成部品と通信し、それに指令を出すのを可能にする。
【0070】
RFプロトコル−高速無線リンク障害識別(FLFI)アルゴリズムおよび応答
本発明のシステム内のマイクロプロセッサは、RFプロトコルソフトウェアによって、高速無線リンク障害識別(FLFI)の方法を実施する。障害が識別された場合、システムは、歩行安定性を促進するために、フェイルセーフ刺激を提供する。
【0071】
本明細書の、明細書および添付の特許請求の範囲の項では、「立脚時間」という語は、踵離地事象と以前の踵接地事象との間の時間差を指す。
【0072】
本明細書の、明細書および添付の特許請求の範囲の項では、「遊脚時間」という語は、踵接地事象と以前の踵離地事象との間の時間差を指す。
【0073】
如何なる理由であれ、「踵接地」事象を受領または識別した直後に「踵離地」事象が識別されない場合、ユーザの状況が危険である場合がある。すなわち、刺激器がその「踵接地」活動を再開して、刺激を送出せず、それにより患者が、平衡を喪失してつまずき、または転倒さえする恐れがある。
【0074】
このリスクを低減するために、システム(例えば足センサ装置100のマイクロコントローラユニット80、または他の可能な実施形態では、刺激器ユニット150のマイクロコントローラユニット180)が、患者の最終立脚時間または平均立脚時間を頻繁に、または実質的に絶えず、計算および/または監視する。マイクロコントローラユニット80は、平均立脚時間から、立脚時間よりも長い「キープアライブ」持続時間を計算する。好ましくは、「キープアライブ」持続時間は、少なくとも100分の1秒、より好ましくは少なくとも10分の1秒、最も好ましくは少なくとも0.8秒である。立脚時間の関数としていうと、好ましくは、「キープアライブ」持続時間は、立脚時間の少なくとも0.01倍であり、好ましくは、立脚時間の少なくとも0.1倍であり、最も好ましくは、立脚時間よりも少なくともわずかに長い。
【0075】
マイクロコントローラユニット80はこの「キープアライブ」持続時間を、任意の踵事象と共に刺激器ユニット150に送出する。
【0076】
マイクロコントローラユニット80は、踵接地事象を検出した後に踵離地状況を検出しない場合、「キープアライブ」持続時間後に「キープアライブ」メッセージを送出し、その結果、刺激器ユニット150が、足センサ装置100とのリンクは機能を果たすが、報告すべき事象がないことを認識する。
【0077】
一方、最終踵接地事象(およびその「キープアライブ」持続時間)を送出した直後にRFリンクが遮断された場合、マイクロコントローラユニット180は、足センサ装置100とのリンクが機能を果たせない(事象メッセージも「キープアライブ」メッセージもない)ことを認識し、歩行事象情報がない場合、刺激回路195に、フェイルセーフ刺激を所定の期間印加するように指令を出す。「キープアライブ」持続時間が立脚持続時間に基づいて計算されるので、フェイルセーフ刺激は、RF遮断が生じていなければ踵離地事象が受領されたであろうよりもわずか後に、組織に送出される。このフェイルセーフ刺激は、機械的装具(足関節−足装具)の機能を実質的に模倣することによって、患者が背屈するのを助け、転倒のリスクを低減させる。
【0078】
RFプロトコル−範囲依存登録
図5を再度参照すると、FESシステム500は、いくつかのそのようなシステムが、同じ周波数チャネル内で同時に動作することを可能にする登録機構を使用する。登録は、好ましくは制御ユニット250のハードウェアに組み込まれた、一意の識別子に基づくものであり、この識別子は、FESシステム500の全ての構成部品、すなわち足センサ装置100、刺激器ユニット150、および制御ユニット250の、デジタル「ファミリ名」として働く。
【0079】
各システム構成部品100、150、250の各送出は、好ましくはこの識別子をペイロードの一部として搬送する。送受信機82、182、282の1つが送出されたメッセージを受領すると、その送受信機はまず、送信機が同じファミリに属しているか(登録されているか)を検証し、検証して初めて、送出されたデータの取扱いを始める。
【0080】
登録プロセスは、新しい構成部品が既存システムに、例えば交換部品として、どのように導入されるかについても定義する。この場合、エンドユーザは、制御ユニット250上で予め定義されたキーシーケンスを押すことによって、システムを「登録モード」に移行させる。好ましくは、このキーシーケンスは、FESシステム500に導入される(登録される)新しい構成部品に関わらず同じである。
【0081】
足センサ−動的歩行追跡アルゴリズム
足センサ装置100のマイクロコントローラユニット80(または、刺激器ユニット150のマイクロコントローラユニット180など、システム内の別のマイクロコントローラユニット)などのマイクロコントローラユニットは、好ましくは、「動的歩行追跡」アルゴリズムを実施するように構成される。このアルゴリズムは、
・センサ間のばらつき
・可変な患者の体重による、信号レベルおよびパターンのばらつき
・センサ上での体重支持形態の差による、信号レベルおよびパターンのばらつき
・動作環境(靴中でセンサが加熱する)によって生じるセンサ特性の変化による、信号レベルおよびパターンのばらつき
・長期使用によって生じるセンサ特性の変化による、信号レベルおよびパターンのばらつき
・個別の靴の差および個別のインソールの差による、センサ上での力のばらつき
を含む、さまざまな発生源から生じる可変なセンサ応答を取り扱うように設計される。
【0082】
図6は、Y軸上に、本発明のFESシステムにより補助される歩行中の、(
図5に示す圧力変換器16などの)圧力変換器にかかる圧力(または力)の大きさを時間の関数として示す、概略プロット400である。このプロットは、計算されたダイナミックレンジ402を有し、このダイナミックレンジ402は、圧力変換器16にかかる最大または山圧力値と、隣接する最小または谷圧力値との差が平滑化または平均化されたものである。このダイナミックレンジから、高しきい値404および低しきい値406が計算され、それらはそれぞれ、踵接地事象および踵離地事象を判定するための基準としての役割を果たす。
【0083】
図6は、圧力変換器16から受領したデータに基づいて足センサ装置100のマイクロコントローラユニット80により実施される、解析および制御の論理シーケンスを示す例示的ブロック図である
図7について説明した後に、より容易に理解されるであろう。
【0084】
ステップ1では、マイクロコントローラユニット80が、圧力変換器16の信号を標本抽出する。山または谷が検出された場合(ステップ2)、マイクロコントローラユニット80は、山または谷が有効な山または谷であるか、それとも無効な山または谷であるかを判定する(ステップ3)。山または谷が有効であると判明した場合、関連するトレンドラインが更新され(ステップ4)、新しいダイナミックレンジが計算される(ステップ5)。先に述べたように、高しきい値404および低しきい値406は、新しいダイナミックレンジに基づいて再計算される(ステップ6)。
【0085】
次に、ステップ1で標本抽出された信号が、高しきい値404および低しきい値406と比較され(ステップ7)、マイクロコントローラユニット80が、(少なくとも1度の以前の標本抽出からの信号データを使用して)高しきい値404または低しきい値406が横断されたかどうかについて判定する(ステップ8)。どちらか一方のしきい値が横断された場合、マイクロコントローラユニット80は、STANCE状態から電気刺激をトリガーするSWING状態へ、またはSWING状態から刺激の中断をトリガーするSTANCE状態へ、システムの状態に変化をもたらす(ステップ9)。解析および制御の論理シーケンスがステップ1に戻り、ステップ1で、マイクロコントローラユニット80が圧力変換器16の信号を再度標本抽出する。
【0086】
山または谷が検出されない(ステップ2)、あるいは検出された山または谷が有効でない(ステップ3)ルーチン事象では、論理シーケンスが好ましくは直接ステップ7に進み、ステップ7で、標本抽出された信号が高しきい値404および低しきい値406と比較される。
【0087】
マイクロコントローラユニット80が、ステップ8で、高しきい値404または低しきい値406が横断されていないと判定した場合、現在のシステム状態(STANCEまたはSWING)内で経過した時間が評価される(ステップ10)。経過した時間が特定の値、例えば平均立脚/遊脚期間に基づく計算値を超える場合、マイクロコントローラユニット80は、FESシステムのユーザが現在、STANDING状態またはSITTING状態にあると判定する(ステップ11)。特定の値は、絶対値、平均立脚/遊脚期間に基づく、あるいは以前の1つまたは複数の立脚/遊脚期間に基づく計算値、以前の1つまたは複数の山の経過時間の関数、ならびに/あるいは別の歩行パラメータの関数とすることができる。
【0088】
解析および制御の論理シーケンスがステップ1に戻り、ステップ1で、マイクロコントローラユニット80が圧力変換器16の信号を再度標本抽出する。
【0089】
図6を再度参照すると、各点407が高しきい値404の横断を表し、各点409が低しきい値406の横断を表す。マイクロコントローラユニット80は、高しきい値404が横断されたと判定した後、システムの状態にSWING状態416からSTANCE状態418への変化をもたらす。同様に、マイクロコントローラユニット80は、低しきい値406が横断されたことを判定するとすぐに、システムの状態にSTANCE状態からSWING状態への変化をもたらす。典型的には、刺激回路195が、SWING状態416中に刺激電流をもたらすように指令される。
【0090】
山430は、歩行中の典型的なSTANCEの山に対して特徴的に長い。高しきい値点429を横断してから経過した時間が(低しきい値406を横断せずに)特定の値を超える場合、マイクロコントローラユニット80は、FESシステムのユーザの状態が、STANCE状態からSTANDING状態に変化したと判定する。先に説明した類似のケースと同様に、特定の値は、絶対値、平均立脚/遊脚期間に基づく、あるいは以前の1つまたは複数の立脚/遊脚期間に基づく計算値、以前の1つまたは複数の山の経過時間の関数、ならびに/あるいは別の歩行パラメータの関数とすることができる。
【0091】
同様に、特定の谷に関して経過した時間が所定の値を超える場合、マイクロコントローラユニット80は、ユーザの状態がSWING状態からSITTING状態に変化したと判定する。
【0092】
先に簡単に説明したように、マイクロコントローラユニット80は、山または谷が有効であるか、それとも無効であるかについて判定する。山414が有効な山の一例であり、谷416が有効な谷の一例である。
【0093】
無効な山420などの無効な山は、特定のレベル未満の大きさを有する。この所定のレベルは、少なくとも一部には、ダイナミックレンジの関数である。したがって、一例として、山の大きさがダイナミックレンジの所定のパーセンテージ未満である場合、その山は無効と見なすことができる。同様に、谷の大きさ(すなわち以前の山からその谷への圧力の降下)がダイナミックレンジの所定のパーセンテージ未満である場合、その谷は無効な谷420などの無効な谷とすることができる。
【0094】
無効な山および谷がトレンドラインの計算に入れられないので、ダイナミックレンジは実質的に変わらないままである。その結果として、これらの無効な山および谷は、高しきい値404および低しきい値406の決定に影響を及ぼさない。
【0095】
次に
図8を参照すると、
図8は、本発明のシステムにより補助される歩行中の、圧力変換器にかかる圧力を時間の関数として示す概略簡略プロットである。谷442に関して経過した時間は、谷444などの典型的な谷に関して経過した時間を大いに超えている。したがって、マイクロコントローラユニット80は、ユーザの状態がSWING状態からSITTING状態に変化したと判定する。
【0096】
同様に、(
図6の山430のように)山の開始から経過した時間が、典型的な山に関して経過した時間を予め計算された値、または予測値の分だけ超える場合、マイクロコントローラユニット80は、ユーザの状態がSTANCEからSTANDINGに変化したと判定する。
【0097】
本発明の好ましい一実施形態では、山および谷の有効性の判定がさらに、また好ましくは、歩行状態に依存する。各歩行状態は、好ましくは、山および谷の有効性を判定するための個別の動的しきい値、典型的にはダイナミックレンジのパーセンテージまたは他の関数を有する。このしきい値は、先に説明した踵離地しきい値および踵接地しきい値と混同すべきではない。
【0098】
一例として、本発明者らは、SITTING状態にある間、比較的高いしきい値が、誤った刺激の発生を低減させることを発見した。そのような高しきい値を用いると、着座している間の体重移動の影響にシステムがほとんど影響されない。というのも、そのような体重移動によって発生する比較的低い山は無効と見なされ、トレンドラインの計算に「入れられ」ないためである。その結果として、そうした誤った歩行の山が、山のトレンドラインを下方に「引き下げ」ず、ダイナミックレンジを減少させず、刺激しきい値(低しきい値)を誤って敏感にしない。その結果、ユーザは、着座中の誤った刺激が顕著に低減された、より落ち着いた着座を享受する。
【0099】
同様に、起立中、システムは体重移動の影響にほとんど影響されない。というのも、そのような体重移動によって発生する谷の比較的小さな大きさは無効と見なされ、トレンドラインの計算に「入れられ」ないためである。その結果として、こうした誤った歩行の谷が、谷のトレンドラインを上方に「引き上げ」ず、ダイナミックレンジを減少させず、刺激しきい値(低しきい値)を誤って敏感にしない。その結果、その体重を時々移動させる起立しているユーザは、顕著に低減させることができる誤った刺激によってそれほど不便を感じさせられない。
【0100】
4つの状態、STANCE、STANDING、SWING、およびSITTINGのそれぞれに関する典型的な有効性条件を以下に示す。
STANCE状態:有効な山の大きさ≧25%・ダイナミックレンジ
STANDING状態:有効な山の大きさ≧62.5%・ダイナミックレンジ
SWING状態:有効な谷の大きさ≧25%・ダイナミックレンジ
SITTING状態:有効な谷の大きさ≧50%・ダイナミックレンジ
したがって、山446および山448が実質的に等しい大きさであるときに、山446は有効な山であると見なされるが、山448は無効な山であると見なされることが、
図8から分かる。山446はSWING状態に属し、山448はSITTING状態に属する。
【0101】
足センサ−動的歩行追跡アルゴリズム
ソフトウェアは好ましくは、各刺激パルスの前および各刺激パルス中に、信号を標本抽出する。監視されるパラメータおよび状況は、
・人体漏れ電流(危険)
・パルス平衡の監視および補正(危険)
・組織インピーダンスの推定および電極外れの特定
・電流に対するパルス(危険)
・持続時間に対するパルス(危険)
を含むことができる。
【0102】
次に
図9を参照すると、
図9は、従来技術の両極性刺激パルス450に関する、時間の関数としての電流の概略プロットである。刺激パルス450は実質的に、正電流相452および負電流相454を有する方形波である。
【0103】
多数の刺激信号をユーザの組織に印加する間に、正電流相内で送出される電荷と負電流相内で送出される電荷との間に不均衡があると、組織に対する刺激が生じ、ユーザに不快感をもたらす場合があることが知られている。FESを効果的に生じさせるように組織に電流を送出すると、そのような不利な不均衡が一般に生じることも知られている。
【0104】
理論に限定されることは望まないが、本発明者らは、この現象が組織の動的なインピーダンス挙動に関連があると考えている。初期には、組織のインピーダンスが比較的低く、したがって必要な電流を、許容できる程度に低い電圧で送出することができる。しかし、時間と共に組織のインピーダンスが大幅に増大することがあり、(方形波を得るように)定電流を送出するためには、電圧を増大させなければならない。オームの法則によれば、
V=I・Z
であり、上式で、VはインピーダンスZを含む組織内の2点間の電位差であり、Iはインピーダンスを通って流れる電流である。したがって、電圧は、インピーダンスまたは抵抗に実質的に比例して増大する。
【0105】
しかし、人体に印加される電圧は一般に、ある一定のレベル、例えば120ボルトより上に上げることができず、その結果として、インピーダンスが増大すると、送出される電流が頂上電圧によって制限され、著しい程度にさえ制限され得る。
【0106】
図9を再度参照すると、従来技術の刺激器装置は多くの場合、定電圧装置である。したがって、信号の始まり(点A)において、組織のインピーダンスが比較的低いとき、正電流相452は実質的に方形波になる。点Bでは、組織のインピーダンスは増大しているが、電源電圧は依然として乗算の積I・Zを超えている。しかし、点Cでは、組織のインピーダンスが、電源電圧が乗算の積I・Zにちょうど等しくなる点まで増大している。したがって、組織のインピーダンスがさらに増大すると、正電流相452が終わる(点E)まで、送出される電流が単調に降下するように強制される(点D)。
【0107】
したがって、正電流相452は完全な方形波ではなく、送出される合計電荷は実質的に、方形波モデルに基づいて計算される合計電流未満である。その結果として、負電流相454内で送出される合計電荷が、正電流相452内で送出される合計電荷を超える傾向があり、それによりしばしば、電流が通過する領域内の皮膚刺激が生じる。
【0108】
従来技術のそのような刺激器装置は、正電流相452の始まり付近で定電圧を使用すると、エネルギーの観点から無駄になり得る点で、さらに不利である。
【0109】
本発明の方法およびシステムは、電流平衡を大いに改善するように、両極性刺激信号に対してリアルタイムでデジタルパルス平衡化を実施する。
図5および10、ならびに
図11をまとめて参照すると、
図11は、本発明のマイクロコントローラユニットにより実施される、標本抽出、解析、および制御の本発明の論理シーケンスの一例示的実施形態を示すブロック図である。このシーケンスは、刺激回路195から送出される両極性デジタル刺激電流パルス550を調整または平衡化するように設計される。
【0110】
ステップ1では、両極性電流パルス550の正電流相552aが、n個の好ましくは均等に離隔された標本点にわたって標本抽出/監視される。好ましくは、電圧も標本抽出/監視され、インピーダンスが計算される。標本抽出/監視は、好ましくは、少なくとも3回、より好ましくは少なくとも5回、正電流相552aの持続時間にわたって実施される。タイミングに換算すると、標本抽出は好ましくは、正電流相552aの持続時間にわたって、10マイクロ秒ごとに少なくとも1回実施される。
【0111】
ステップ2では、両極性電流パルス550の負電流相554aが、m個の好ましくは均等に離隔された標本点にわたって標本抽出/監視される。好ましくは、電圧も標本抽出/監視される。
【0112】
正相552aに含まれる電荷および負相554aに含まれる電荷が、標本点に基づいて、場合によっては、標本抽出時間に基づいて計算され(ステップ3および4)、次いで、それらの電荷が実質的に等しいかどうか、すなわち電荷の差が比較的小さいことを調べるために、それらの電荷が比較される(ステップ5)。そうである場合、平衡化動作は必要なく、システムは、次の刺激パルスを待つ。
【0113】
電荷の差が著しい場合、好ましくは次の電流パルスの正電流相552bおよび負電流相554bのうち少なくとも一方に対して、パルス平衡化が実施される(ステップ6)。パルス平衡化は、少なくとも1つのパルスパラメータを、正電流相552aと負電流相554bなどの負電流相との間の電荷平衡を改善するように制御することによって実施される。
【0114】
電荷平衡化を改善するために、次のもののうち少なくとも1つ、すなわち電流(正相または負相)、正電流相の幅、および負電流相の幅を含む、さまざまなパルスパラメータを制御することができる。好ましくは、電荷平衡化は、負相のパルスパラメータを制御することによって実施される。
【0115】
電荷平衡化のいくつかの例示的実施形態を、
図12(負電流相の相振幅の低減)、
図13(負電流相の相幅(持続時間)の低減)、および
図14(正電流相の少なくとも一部分中の、標準レベルを上回るレベルへの電流の増大)に示す。
【0116】
好ましくは、低インピーダンスレベル時に、エネルギー/バッテリ電力を節約するように、オームの法則を満足させる実質的に最小の電圧を達成するように電圧が調整される。
【0117】
以上、本発明を、その特定の実施形態に関して説明してきたが、多くの代替形態、変更形態、および変形形態が当業者に明らかなことが明白である。したがって、添付の請求項の精神および広範な範囲に含まれる、かかる全ての代替形態、変更形態、および変形形態を包含することが意図される。本明細書で述べたあらゆる刊行物、特許、および特許出願は本明細書において、個別の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれると明確かつ個別に指示される場合と同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本出願におけるいかなる参照の引用または特定も、そのような参照が、本発明にとって従来技術として利用可能であることを認めるものと解釈すべきではない。