(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側衝撃吸収部及び前記外側衝撃吸収部は、車両幅方向に互いに接続され、車両前後方向から見た断面形状が、前記フロントサイドメンバの前記前端と前記荷重伝達部の前記前端とに亘る閉断面を成す、
請求項1に記載の車両前部構造。
前記フロントバンパリインフォースメントの車両幅方向外側の端部には、車両前方へ突出すると共に、前面が車両上下方向及び車両幅方向に延びる平坦面とされる突出部が設けられ、
前記突出部の前記前面、前記外側衝撃吸収部、及び前記荷重伝達部の前記前端が車両前後方向に並ぶ、
請求項4に記載の車両前部構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両前面に対し、衝突体がフロントサイドメンバよりも車両幅方向外側にオフセット衝突(以下、「微小ラップ衝突」という)する場合がある。この場合、衝突体からフロントバンパリインフォースメントに入力される衝突荷重をフロントサイドメンバで十分に受けることができない虞がある。
【0005】
この対策として、例えばフロントサイドメンバの外側面に車両幅方向外側へ突出する荷重受け部材を設け、当該荷重受け部材によって微小ラップ衝突に伴う衝突荷重を受けることが考えられる。この場合、衝突荷重が、荷重受け部材を介してフロントサイドメンバの外側面に伝達される。そして、フロントサイドメンバが車両幅方向内側へ屈曲してパワーユニットに接触すると、衝突荷重がパワーユニットを介して衝突体と反対側のフロントサイドメンバ等に分散して伝達される。これにより、微小ラップ衝突に対する衝突性能が向上する。
【0006】
しかしながら、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパリインフォースメントに入力された衝突荷重は、衝撃吸収部材を介してフロントサイドメンバの前端にも伝達される。そのため、フロントバンパリインフォースメントから衝撃吸収部材を介して荷重受け部材に伝達される衝突荷重が減少し、フロントサイドメンバが車両幅方向内側へ屈曲し難くなる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事実を考慮し、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパリインフォースメントに入力された衝突荷重を、荷重受け部材に効率的に伝達することができる車両前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る車両前部構造は、パワーユニットの車両幅方向外側に、車両前後方向に沿って配置されるフロントサイドメンバと、前記フロントサイドメンバの車両幅方向外側の外側面から車両幅方向外側、かつ、車両前方へ延出する荷重伝達部を有し、前記外側面に設けられる荷重受け部材と、前記フロントサイドメンバ及び前記荷重受け部材の車両前方に、車両幅方向に沿って配置されるフロントバンパリインフォースメントと、前記フロントサイドメンバの前端と前記フロントバンパリインフォースメントとを接続する内側衝撃吸収部と、前記内側衝撃吸収部の車両幅方向外側に配置され、前記荷重伝達部の前端と前記フロントバンパリインフォースメントとの間に少なくとも一部が配置されると共に、前記内側衝撃吸収部よりも車両前後方向の圧縮強度が高い外側衝撃吸収部と、を備える。
【0009】
上記の態様によれば、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパリインフォースメントに衝突荷重が入力されると、内側衝撃吸収部を介してフロントサイドメンバの前端に衝突荷重が伝達されると共に、外側衝撃吸収部を介して荷重受け部材の荷重伝達部の前端に伝達される。この際、内側衝撃吸収部及び外側衝撃吸収部が車両前後方向に圧縮変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
【0010】
また、荷重伝達部の前端に伝達された衝突荷重は、当該荷重伝達部を介してフロントサイドメンバの外側面に伝達される。これにより、フロントサイドメンバが車両幅方向内側へ屈曲してパワーユニットに接触すると、衝突荷重がパワーユニットを介して衝突体と反対側のフロントサイドメンバ等に分散して伝達される。したがって、微小ラップ衝突に対する衝突性能が向上する。
【0011】
ここで、本態様における外側衝撃吸収部は、内側衝撃吸収部よりも車両前後方向の圧縮強度が高くされる。そのため、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパリインフォースメントに入力された衝突荷重が、内側衝撃吸収部よりも外側衝撃吸収部に集中して伝達される。これにより、本態様では、内側衝撃吸収部及び外側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度が同等の場合と比較して、フロントバンパリインフォースメントから外側衝撃吸収部を介して荷重伝達部の前端に伝達される衝突荷重が大きくなる。したがって、フロントサイドメンバが車両幅方向内側へ屈曲し易くなるため、微小ラップ衝突に対する衝突性能がさらに向上する。
【0012】
第2態様に係る車両前部構造は、上記第1態様に係る車両前部構造において、前記内側衝撃吸収部及び前記外側衝撃吸収部は、車両幅方向に互いに接続され、車両前後方向から見た断面形状が、前記フロントサイドメンバの前記前端と前記荷重伝達部の前記前端とに亘る閉断面を成す。
【0013】
上記の態様によれば、内側衝撃吸収部及び外側衝撃吸収部が、車両幅方向に互いに接続されており、車両前後方向から見た断面形状がフロントサイドメンバの前端と荷重伝達部の前端とに亘る閉断面を成す。これにより、本態様では、内側衝撃吸収部と外側衝撃吸収部とが別体にされた場合と比較して、内側衝撃吸収部及び外側衝撃吸収部の衝撃エネルギーの吸収容量を確保しつつ、部品点数を低減することができる。
【0014】
第3態様に係る車両前部構造は、第2態様に係る車両前部構造において、前記外側衝撃吸収部は、車両前後方向に延びると共に前記閉断面内を車両幅方向に複数の空間に仕切る仕切壁部を有する。
【0015】
上記の態様によれば、外側衝撃吸収部は、車両前後方向に延びる仕切壁部を有する。仕切壁部は、外側衝撃吸収部及び内側衝撃吸収部が成す閉断面内を車両幅方向に複数の空間に仕切る。この仕切壁部により、簡単な構成で、外側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度を内側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度よりも高めることができる。
【0016】
第4態様に係る車両前部構造は、第1態様〜第3態様の何れか1つに係る車両前部構造において、前記荷重伝達部の前記前端は、前記外側衝撃吸収部における車両幅方向外側の外側壁部の車両後方に配置される。
【0017】
上記の態様によれば、荷重伝達部の前端が、外側衝撃吸収部における車両幅方向外側の外側壁部の車両後方に配置される。これにより、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパリインフォースメントに入力された衝突荷重が、外側衝撃吸収部の外側壁部を介して荷重伝達部の前端に伝達される。したがって、外側衝撃吸収部から荷重伝達部に伝達される衝突荷重の伝達効率が向上する。
【0018】
第5態様に係る車両前部構造は、第4態様に係る車両前部構造において、前記フロントバンパリインフォースメントの車両幅方向外側の端部には、車両前方へ突出すると共に、前面が車両上下方向及び車両幅方向に延びる平坦面とされる突出部が設けられ、前記突出部の前記前面、前記外側衝撃吸収部、及び前記荷重伝達部の前記前端が車両前後方向に並ぶ。
【0019】
上記の態様によれば、フロントバンパリインフォースメントの車両幅方向外側の端部には、車両前方へ突出する突出部が設けられる。この突出部の前面は、車両上下方向及び車両幅方向に延びる平坦面とされる。これにより、本態様では、突出部の前面が車両上下方向及び車両幅方向に対して傾斜する場合と比較して、突出部の前面によって衝突体を効率的に受けることができる。
【0020】
また、突出部の前面、外側衝撃吸収部、及び荷重伝達部の前端は、車両前後方向に並んでいる。これにより、突出部の前面に入力された衝突荷重が、外側衝撃吸収部及び荷重伝達部を介してフロントサイドメンバの外側面に効率的に伝達される。したがって、フロントサイドメンバが車両幅方向内側へ屈曲し易くなるため、微小ラップ衝突に対する衝突性能がさらに向上する。
【0021】
第6態様に係る車両前部構造は、第1態様〜第5態様の何れか1つに係る車両前部構造において、前記フロントサイドメンバの前記前端から車両幅方向外側へ延出するブラケットを備え、前記荷重受け部材は、車両上下方向から見て前記フロントサイドメンバの前記外側面から車両幅方向外側へ張り出すと共に、前端と前記ブラケットとの間に間隔を空けて配置される張出し部を有し、前記荷重伝達部は、前記荷重受け部材における車両幅方向外側の外壁部とされると共に、前記前端が前記張出し部の前記前端よりも車両前方へ突出し、前記ブラケットに当接される。
【0022】
上記の態様によれば、荷重受け部材は、車両上下方向から見て、フロントサイドメンバの外側面から車両幅方向外側へ張り出す張出し部を有する。この張出し部は、当該張出し部の前端と、フロントサイドメンバの前端から車両幅方向外側へ延出するブラケットとの間に間隔を空けて配置される。また、荷重伝達部は、荷重受け部材における車両幅方向外側の外壁部とされる。この外壁部の前端は、張出し部の前端よりも車両前方へ突出し、ブラケットに当接される。
【0023】
これにより、微小ラップ衝突に伴って外側衝撃吸収部からブラケットに伝達された衝突荷重が、荷重受け部材の張出し部よりも先に荷重伝達部としての外壁部の前端に伝達される。したがって、外側衝撃吸収部から荷重受け部材の外壁部に衝突荷重が効率的に伝達されるため、フロントサイドメンバが車両幅方向内側へさらに屈曲し易くなる。
【0024】
第7態様に係る車両前部構造は、第1態様〜第6態様の何れか1つに係る車両前部構造において、前記外側衝撃吸収部では、前記内側衝撃吸収部よりも車両前後方向に延びる稜線の本数が多い。
【0025】
上記の態様によれば、外側衝撃吸収部では、内側衝撃吸収部よりも車両前後方向に延びる稜線の本数が多い。これにより、簡単な構成で、外側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度を内側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度よりも高めることができる。
【0026】
第8態様に係る車両前部構造は、第1態様〜第7態様の何れか1つに係る車両前部構造において、前記外側衝撃吸収部では、前記内側衝撃吸収部よりも板厚が厚い。
【0027】
上記の態様によれば、外側衝撃吸収部では、内側衝撃吸収部よりも板厚が厚い。これにより、簡単な構成で、外側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度を内側衝撃吸収部の車両前後方向の圧縮強度よりも高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る車両前部構造によれば、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパリインフォースメントに入力された衝突荷重を、荷重受け部材に効率的に伝達することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両前部構造について説明する。なお、各図において示される矢印UPは、車両上下方向上側(車両上方)を示す。また、矢印FRは、車両前後方向前側(車両前方)を示す。さらに、矢印OUTは、車両幅方向外側(車体左側)を示す。
【0031】
図1には、本実施形態に係る車両前部構造10が適用された車両前部12が示されている。
図1に示されるように、車両前部12は、パワーユニット14と、パワーユニット14の車両幅方向両側に配置される一対のフロントサイドメンバ16と、パワーユニット14の車両前方側に配置されるフロントバンパリインフォースメント20とを備えている。
【0032】
なお、本実施形態では、車両前部12は、車両幅方向の中央部に対して左右対称に構成されている。そのため、以下では、車両前部12の左側の構成について説明し、車両前部12の右側の構成については説明を省略する。なお、車両前部12は、車両幅方向の中央部に対して左右非対称に構成されても良い。
【0033】
パワーユニット14は、図示しない車両の前輪及び後輪の少なくとも一方を回転駆動する駆動源とされている。このパワーユニット14は、例えば、内燃機関(エンジン)及び電気モータの少なくとも一方を含んで構成される。また、パワーユニット14は、図示しないマウントブラケットを介して一対のフロントサイドメンバ16の長手方向の中間部に支持されている。このパワーユニット14の車両後方には、図示しないキャビン(客室)が設けられている。
【0034】
一対のフロントサイドメンバ16は、車両前部12の両側部の骨格を構成する金属製の骨格部材とされている。各フロントサイドメンバ16は、パワーユニット14の車両幅方向外側に車両前後方向に沿って配置されると共に、車両前後方向から見た断面形状が矩形状の閉断面を成している。また、フロントサイドメンバ16における車両前方側の前端16F1には、ブラケット18が設けられている。ブラケット18は、フロントサイドメンバ16の前端16F1から車両幅方向外側へ延出されている。このブラケット18の車両前方には、フロントバンパリインフォースメント20が配置されている。
【0035】
フロントバンパリインフォースメント(以下、「フロントバンパRF」という)20は、車両前部12の前端側に車両幅方向に沿って配置されている。このフロントバンパRF20は、車両幅方向から見た断面形状が、矩形状の閉断面を成す金属製部材とされている。また、フロントバンパRF20は、車両上下方向から見て、車両前方へ凸を成すように緩やかに湾曲されている。このフロントバンパRF20の車両幅方向外側の端部20Aは、フロントサイドメンバ16よりも車両幅方向外側へ延出されている。
【0036】
また、フロントバンパRF20の端部20Aには、金属製の補強部材22が設けられている。補強部材22は、ベース部24及び突出部26を有している。ベース部24は、フロントバンパRF20の端部20Aに沿って車両幅方向に延びると共に、車両幅方向から見た断面形状が、車両後方側が開口されたC字状を成している。このベース部24は、フロントバンパRF20の端部20Aに車両前方側から被せられた状態で当該フロントバンパRF20に溶接等によって接合されている。また、ベース部24における車両幅方向内側の内端部24Aは、後述するブラケット44及び衝撃吸収部材50よりも車両幅方向内側へ延出されている。このベース部24によって、フロントバンパRF20の端部20Aが補強されている。
【0037】
突出部26は、ベース部24と一体に形成されている。この突出部26は、フロントバンパRF20の端部20Aに設けられたベース部24から車両前方へ突出している。また、突出部26の突出方向(車両前方)の前面26Aは、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパRF20の端部20Aに衝突する衝突体Wを受ける受け面とされている。この前面26Aは、車両上下方向及び車両幅方向に延びる平坦面とされている。
【0038】
ここで、フロントサイドメンバ16の車両前方側の前端部16Fには、金属製の荷重受け部材30が設けられている。荷重受け部材30は、車両上下方向から見て、フロントサイドメンバ16の前端部16Fにおける車両幅方向外側の外側面16Aに、当該外側面16Aから車両幅方向外側へ張り出した状態で取り付けられている。この荷重受け部材30及びフロントサイドメンバ16の車両前方に、フロントバンパRF20が配置されている。また、荷重受け部材30は、ブラケット18から車両後方に離れた位置に配置されている。また、荷重受け部材30は、車両前後方向から見た断面形状が、車両幅方向内側が開口されたハット状に形成されている。
【0039】
図1及び
図2に示されるように、荷重受け部材30は、一対の張出し部32と、外壁部34とを有している。一対の張出し部32は、車両上下方向に互いに対向して配置されており、荷重受け部材30の上壁部及び下壁部をそれぞれ形成している。この一対の張出し部32は、車両上下方向から見て、三角形状(略直角三角形状)に形成されている。
【0040】
一対の張出し部32における車両幅方向内側の内端には、フロントサイドメンバ16の外側面16Aに重ねられるフランジ部36がそれぞれ設けられている。各フランジ部36は、フロントサイドメンバ16の外側面16Aにボルトや溶接等によって接合されている。
【0041】
図1に示されるように、張出し部32の車両前方側の前端32Fは、フロントサイドメンバ16の外側面16Aからブラケット18に沿って車両幅方向外側へ延出されている。この張出し部32は、その前端32Fとブラケット18との間に間隔Gを空けた状態で配置されている。
【0042】
荷重伝達部としての外壁部34は、荷重受け部材30における車両幅方向外側に配置されており、一対の張出し部32における車両幅方向外側の外端(斜辺)同士を車両上下方向に接続している。この外壁部34は、フロントサイドメンバ16の外側面16Aからブラケット18の車両幅方向外側の端部18Aへ向かって車両幅方向外側、かつ、車両前方側へ延出されている。換言すると、外壁部34は、ブラケット18の端部18Aからフロントサイドメンバ16の外側面16Aに向かって車両後方、かつ、車両幅方向内側へ延出されている。
【0043】
なお、外壁部34を車両幅方向内側、かつ、車両後方へ延長した延長線上には、パワーユニット14が配置されている。
【0044】
外壁部34における車両後方側の後端には、フロントサイドメンバ16の外側面16Aに重ねられるフランジ部38が設けられている。このフランジ部38は、フロントサイドメンバ16の外側面16Aにボルトや溶接等によって接合されている。また、
図2に示されるように、外壁部34の車両上下方向の中央部には、車両幅方向外側から見て、車両前後方向に延びるビード40が形成されている。このビード40により、車両幅方向外側から見て、外壁部34の車両前後方向の圧縮強度が高められている。
【0045】
一方、外壁部34の車両前方側の前端34Fは、張出し部32の前端32Fよりも車両前方に突出されており、フロントサイドメンバ16の前端16F1と車両幅方向に並んでいる。この外壁部34の前端34Fは、ブラケット18における車両後方側の後面に当接されている。より具体的には、外壁部34の前端34Fには、ブラケット18の車両幅方向外側の端部18Aの後面に重ねられるフランジ部42が設けられている。このフランジ部42は、ボルトや溶接等によってブラケット18の端部18Aに接合されている。
【0046】
ブラケット18の車両前方側の前面には、車両前面衝突に伴って車両前後方向(軸方向)に圧縮変形して衝撃エネルギーを吸収する金属製の衝撃吸収部材50が設けられている。衝撃吸収部材50における車両前方側の前端は、ブラケット44を介してフロントバンパRF20に接合されている。なお、衝撃吸収部材50の前端及びブラケット44は、フロントバンパRF20に沿って車両幅方向に対して傾斜されている。この衝撃吸収部材50によって、フロントサイドメンバ16の前端16F1とフロントバンパRF20とが車両前後方向に接続されると共に、荷重受け部材30の外壁部34の前端34FとフロントバンパRF20とが車両前後方向に接続されている。なお、衝撃吸収部材50には、車両前後方向の圧縮変形を誘発するビード52等が適宜形成されている。
【0047】
図3に示されるように、衝撃吸収部材50は、車両前後方向から見た断面形状が、車両幅方向を長手方向とした矩形状の閉断面を成している。この衝撃吸収部材50は、車両幅方向に並ぶ内側衝撃吸収部50A及び外側衝撃吸収部50Bを有している。
図1に示されるように、内側衝撃吸収部50Aの車両幅方向外側の部位は、フロントサイドメンバ16の前端16F1とフロントバンパRF20との間に配置されており、これらのフロントサイドメンバ16の前端16F1とフロントバンパRF20とを車両前後方向に接続している。
【0048】
一方、外側衝撃吸収部50Bの車両幅方向外側の部位は、荷重受け部材30の外壁部34の前端34FとフロントバンパRF20との間に配置されており、これらの外壁部34の前端34FとフロントバンパRF20とを車両前後方向に接続している。この外側衝撃吸収部50Bは、当該内側衝撃吸収部50Aよりも車両前後方向の圧縮強度(圧縮耐力)及び圧縮剛性が高くされている。なお、以下の説明における「圧縮強度」は、特に断りがない限り、車両前後方向の圧縮強度を意味する。
【0049】
図3に示されるように、内側衝撃吸収部50Aは、車両前後方向から見た断面形状が、車両幅方向外側が開口された断面C字状を成すインナパネル54によって形成されている。このインナパネル54は、車両幅方向内側に配置される内側壁部54Aと、内側壁部54Aの車両上下方向の両端部から傾斜壁部54Bを介して車両幅方向外側へそれぞれ延出する一対の上壁部54C及び下壁部54Dを有している。
【0050】
内側壁部54Aは、フロントサイドメンバ16の内側面16B(
図1参照)と車両前後方向に並んで配置されている。また、内側壁部54A、傾斜壁部54B、一対の上壁部54C及び下壁部54Dとの接続部には、車両前後方向に延びる稜線56がそれぞれ形成されている。
【0051】
外側衝撃吸収部50Bは、車両前後方向から見た断面形状が、矩形状の閉断面を成している。この外側衝撃吸収部50Bは、車両上下方向に分割される一対のアッパパネル58及びロアパネル62を有している。なお、本実施形態では、外側衝撃吸収部50Bの車両前後方向から見た断面形状は、8角形状に形成されている。
【0052】
アッパパネル58は、車両前後方向から見た断面形状が、車両下方が開口されたC字状を成している。このアッパパネル58は、車両上方側に配置される上壁部58Aと、上壁部58Aの車両幅方向の両端部から傾斜壁部58Bを介して車両下方へそれぞれ延出する一対の側壁部58Cとを有している。また、上壁部58A、傾斜壁部58B、及び一対の側壁部58Cの接続部には、車両前後方向に延びる稜線60がそれぞれ形成されている。
【0053】
一方、ロアパネル62は、車両前後方向から見た断面形状が、車両上方が開口されたC字状を成している。このロアパネル62は、車両下方側に配置される下壁部62Aと、下壁部62Aの車両幅方向の両端部から傾斜壁部62Bを介して車両上方へそれぞれ延出する一対の側壁部62Cとを有している。また、下壁部62A、傾斜壁部62B、及び一対の側壁部62Cの接続部には、車両前後方向に延びる稜線64がそれぞれ形成されている。
【0054】
アッパパネル58の両側の側壁部58Cとロアパネル62の両側の側壁部62Cとは、重ねられた状態で溶接等によってそれぞれ接合されている。そして、外側衝撃吸収部50Bの車両幅方向内側に位置する側壁部58C,62Cによって、仕切壁部66が形成されている。仕切壁部66は、車両前後方向に延びると共に、衝撃吸収部材50の閉断面68内を車両幅方向に複数の空間68A,68Bに仕切っている。なお、仕切壁部66には、車両幅方向内側の傾斜壁部58B及び傾斜壁部62Bが必要である。これらにより、内側衝撃吸収部50A及び外側衝撃吸収部50Bに、空間68A,68Bを囲む閉断面がそれぞれ形成されている。
【0055】
また、仕切壁部66は、衝撃吸収部材50の車両幅方向の中央部よりも車両幅方向外側に配置されている。これにより、外側衝撃吸収部50Bの幅(車両幅方向の長さ)WBが、内側衝撃吸収部50Aの幅WAよりも狭くされている。さらに、外側衝撃吸収部50Bの稜線60,64の本数は、内側衝撃吸収部50Aの稜線56の本数よりも多くされている。これにより、外側衝撃吸収部50Bの圧縮強度が、内側衝撃吸収部50Aの圧縮強度よりも高められている。
【0056】
また、外側衝撃吸収部50Bの車両幅方向外側に位置する側壁部58C,62Cは、外側衝撃吸収部50Bの車両幅方向外側の外側壁部50B1を形成している。この外側壁部50B1の車両後方には、二点鎖線で示されるように、荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fが配置されている。つまり、
図1に示されるように、外側壁部50B1は、フロントバンパRF20の端部20Aと荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fとの間に配置されている。また、補強部材22の突出部26の前面26A、外側衝撃吸収部50B、及び荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fは、車両前後方向に並んで配置されている。
【0057】
なお、ここでいう補強部材22の突出部26の前面26A、外側衝撃吸収部50B、及び荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fが車両前後方向に並んで配置されるとは、これらの前面26A、外側衝撃吸収部50B、及び前端34Fが、車両前後方向に沿った直線上に配置される場合だけでなく、組み付け誤差等によって車両幅方向に僅かにずれた構成も含む概念である。
【0058】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0059】
図4に示されるように、車両前部12に対して衝突体Wが微小ラップ衝突すると、例えば、次のようになる。すなわち、補強部材22の突出部26の前面26Aに衝突体Wから車両後方へ向かう衝突荷重Fが入力される。この衝突荷重Fは、フロントバンパRF20の端部20Aを介して衝撃吸収部材50に伝達される。衝撃吸収部材50に伝達された衝突荷重Fは、衝撃吸収部材50の内側衝撃吸収部50Aを介してフロントサイドメンバ16の前端16F1に伝達されると共に、外側衝撃吸収部50Bを介して荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fに伝達される。この際、内側衝撃吸収部50A及び外側衝撃吸収部50Bが車両前後方向に圧縮変形することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
【0060】
また、荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fに伝達された衝突荷重Fは、当該外壁部34を介してフロントサイドメンバ16の外側面16Aに伝達される。この際、外壁部34の後端とフロントサイドメンバ16の外側面16Aとの接続部PにモーメントMが発生する。これにより、例えば、
図4に実線で示されるように、フロントサイドメンバ16が接続部Pを起点として車両幅方向内側へ屈曲する。そして、フロントサイドメンバ16の屈曲部が、二点鎖線で示されるようにパワーユニット14の前部14Fに接触すると、パワーユニット14に車両幅方向内側へ向けた幅方向荷重(横荷重)Qが発生する。
【0061】
パワーユニット14に発生した幅方向荷重Qは、パワーユニット14を介して衝突体Wと反対側(車両右側)のフロントサイドメンバ(図示省略)等に分散して伝達される。また、パワーユニット14に発生した幅方向荷重Qによって、車両前部12が車両幅方向において衝突体Wから離れる方向(車両右側)へスライドする。これにより、パワーユニット14の車両後方に形成されたキャビン(図示省略)の変形が低減される。したがって、微小ラップ衝突に対する衝突性能が向上する。
【0062】
ここで、例えば、衝撃吸収部材50の内側衝撃吸収部50A及び外側衝撃吸収部50Bの圧縮強度が同等の場合、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパRF20に入力された衝突荷重Fは、衝撃吸収部材50を介してフロントサイドメンバ16の前端16F1及び荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fに分散して伝達される。この結果、衝撃吸収部材50から荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fに伝達される衝突荷重Fが減少し、外壁部34の後端とフロントサイドメンバ16の外側面16Aとの接続部Pに発生するモーメントMが小さくなる。したがって、フロントサイドメンバ16が車両幅方向内側へ変形し難くなる可能性がある。
【0063】
これに対して本実施形態では、衝撃吸収部材50の外側衝撃吸収部50Bは、内側衝撃吸収部50Aよりも圧縮強度が高くされている。具体的には、
図3に示されるように、外側衝撃吸収部50Bは、車両前後方向に延びると共に、衝撃吸収部材50の閉断面68を車両幅方向に複数の空間68A,68Bに仕切る仕切壁部66を有している。この仕切壁部66によって、外側衝撃吸収部50Bに閉断面が形成されている。また、外側衝撃吸収部50Bの幅WBは、内側衝撃吸収部50Aの幅WAよりも狭くされている。さらに、外側衝撃吸収部50Bの稜線60,64の本数は、内側衝撃吸収部50Aの稜線56の本数よりも多くされている。これにより、外側衝撃吸収部50Bの圧縮強度が、内側衝撃吸収部50Aの圧縮強度よりも高められている。
【0064】
そのため、本実施形態では、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパRF20の端部20Aに入力された衝突荷重Fが、外側衝撃吸収部50B側に集中して伝達される。これにより、本実施形態では、内側衝撃吸収部50A及び外側衝撃吸収部50Bの圧縮強度が同等の場合と比較して、フロントバンパRF20の端部20Aから外側衝撃吸収部50Bを介して荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fに伝達される衝突荷重Fが大きくなる。この結果、外壁部34の後端とフロントサイドメンバ16の外側面16Aとの接続部Pに発生するモーメントMが大きくなるため、フロントサイドメンバ16が車両幅方向内側へ屈曲し易くなる。したがって、パワーユニット14に幅方向荷重Qを早期に発生させることができるため、微小ラップ衝突に対する衝突性能が向上する。
【0065】
また、本実施形態では、フロントバンパRF20の端部20Aに、車両前方へ突出する突出部26が設けられる。この突出部26の前面26Aは、車両上下方向及び車両幅方向に延びる平坦面とされる。これにより、本実施形態では、突出部26の前面26Aが車両上下方向及び車両幅方向に対して傾斜する場合と比較して、当該前面26Aによって衝突体Wを効率的に受けることができる。
【0066】
さらに、
図1に示されるように、突出部26の前面26A、外側衝撃吸収部50B、及び荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fは、車両前後方向に並んでいる。これにより、突出部26の前面26Aに伝達された衝突荷重Fが、外側衝撃吸収部50B、及び荷重受け部材30の外壁部34を介してフロントサイドメンバ16の外側面16Aに効率的に伝達される。
【0067】
しかも、荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fは、外側衝撃吸収部50Bの外側壁部50B1の車両後方に配置されている。これにより、微小ラップ衝突に伴ってフロントバンパRF20の端部20Aに入力された衝突荷重Fは、外側衝撃吸収部50Bの外側壁部50B1を介して外壁部34の前端34Fに伝達される。したがって、外側衝撃吸収部50Bから外壁部34の前端34Fに衝突荷重Fが効率的に伝達される。
【0068】
また、荷重受け部材30の張出し部32の前端32Fは、ブラケット18と間隔Gを空けて配置されている。一方、荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fは、張出し部32の前端32Fよりも車両前方へ突出し、ブラケット18の後面に当接されている。
【0069】
これにより、フロントバンパRF20から衝撃吸収部材50を介してブラケット18に伝達された衝突荷重Fは、荷重受け部材30の張出し部32の前端32Fよりも先に外壁部34の前端34Fに伝達される。そのため、衝突荷重Fが外壁部34を介してフロントサイドメンバ16の外側面16Aにさらに効率的に伝達される。
【0070】
さらに、本実施形態では、衝撃吸収部材50の閉断面68内を仕切壁部66によって仕切ることにより、簡単な構成で、外側衝撃吸収部50Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部50Aの圧縮強度よりも高めることができる。また、外側衝撃吸収部50Bに仕切壁部66を設けることにより、外側衝撃吸収部50Bの稜線60,64の本数を内側衝撃吸収部50Aの稜線56の本数よりも容易に多くすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、内側衝撃吸収部50A及び外側衝撃吸収部50Bが車両幅方向に互いに接続されており、車両前後方向から見た断面形状がフロントサイドメンバ16の前端16F1と荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fとに亘る閉断面68を成している。これにより、本実施形態では、内側衝撃吸収部50Aと外側衝撃吸収部50Bとが別体の場合と比較して、衝撃吸収部材50の衝撃エネルギーの吸収容量を確保しつつ、部品点数を低減することができる。
【0072】
なお、補強部材22について補足すると、本実施形態では、補強部材22のベース部24の内端部24Aがブラケット44及び衝撃吸収部材50よりも車両幅方向内側へ延出されている。このベース部24によって、フロントバンパRF20の端部20Aを補強することにより、例えば、フルラップ衝突に対する衝突性能も向上する。
【0073】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0074】
上記実施形態では、衝撃吸収部材50の外側衝撃吸収部50Bに仕切壁部66が設けられるが、上記実施形態はこれに限らない。外側衝撃吸収部50Bには、例えば、車両前後方向に延びるリブや補強プレートのように圧縮強度を高める種々の補強部材を設けることができる。
【0075】
また、例えば、
図5に示される衝撃吸収部材70のように、外側衝撃吸収部70Bの板厚TBを内側衝撃吸収部70Aの板厚TAよりも厚くすることにより、外側衝撃吸収部70Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部70Aの圧縮強度より高めても良い。
【0076】
具体的には、内側衝撃吸収部70Aは、車両前後方向から見た断面形状が、車両幅方向外側が開口されたC字状を成すインナパネル72によって形成されている。一方、外側衝撃吸収部70Bは、車両前後方向から見た断面形状が、車両幅方向内側が開口されたC字状を成すアウタパネル74によって形成されている。
【0077】
インナパネル72とアウタパネル74とは、各々の上壁部72A,74A同士が重ねられた状態で溶接等によって接合されると共に、各々の下壁部72B,74B同士が重ねられた状態で溶接等によって接合される。これにより、インナパネル72及びアウタパネル74によって閉断面が形成されている。
【0078】
ここで、インナパネル72及びアウタパネル74は、例えば、同じ金属材料等で形成される。この外側衝撃吸収部70B(アウタパネル74)の板厚TBは、内側衝撃吸収部70A(インナパネル72)の板厚TAよりも厚くされている。これにより、外側衝撃吸収部70Bの圧縮強度が、内側衝撃吸収部70Aの圧縮強度よりも高くされている。このように本変形例では、簡単な構成で、外側衝撃吸収部70Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部70Aの圧縮強度よりも高めることができる。また、例えば、外側衝撃吸収部70Bを内側衝撃吸収部70Aよりも高強度の材料で形成することにより、外側衝撃吸収部70Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部70Aの圧縮強度よりも高めても良い。
【0079】
次に、
図6に示される衝撃吸収部材80では、内側衝撃吸収部80A及び外側衝撃吸収部80Bに形成されるビードの向きによって、外側衝撃吸収部80Bの圧縮強度が内側衝撃吸収部80Aの圧縮強度よりも高められている。
【0080】
具体的には、内側衝撃吸収部80Aを形成するインナパネル82の上壁部82A及び下壁部82Bには、車両幅方向に延びる複数の幅方向ビード86が形成されている。また、インナパネル82の内側壁部82Cには、車両上下方向に延びる複数の上下方向ビード88が形成されている。これらの幅方向ビード86及び上下方向ビード88は、内側衝撃吸収部80Aの車両前後方向(軸方向)の圧縮変形を誘発する。
【0081】
一方、アウタパネル84の上壁部84A、下壁部84B及び外側壁部84Cには、車両前後方向に延びる前後方向ビード89が形成されている。これらの前後方向ビード89は、外側衝撃吸収部80Bの車両前後方向の圧縮変形に対して抵抗する。したがって、外側衝撃吸収部80Bの圧縮強度が高められる。
【0082】
このように本変形例では、内側衝撃吸収部80Aに幅方向ビード86及び上下方向ビード88を形成する一方で、外側衝撃吸収部80Bに前後方向ビード89を形成することにより、外側衝撃吸収部80Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部80Aの圧縮強度よりも高めることができる。
【0083】
なお、内側衝撃吸収部80Aの幅方向ビード86及び上下方向ビード88を省略し、外側衝撃吸収部80Bに前後方向ビード89を形成することにより、外側衝撃吸収部80Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部80Aの圧縮強度よりも高めても良い。また、これとは逆に、内側衝撃吸収部80Aに幅方向ビード86及び上下方向ビード88の少なくとも一方を形成し、外側衝撃吸収部80Bの前後方向ビード89を省略することにより、外側衝撃吸収部80Bの圧縮強度を内側衝撃吸収部80Aの圧縮強度よりも高めても良い。
【0084】
また、上記実施形態における衝撃吸収部材50では、内側衝撃吸収部50Aと外側衝撃吸収部50Bとが車両幅方向に互いに接続されるが、上記実施形態はこれに限らない。例えば、
図7に示される変形例のように、内側衝撃吸収部90Aと外側衝撃吸収部90Bとは別体とされても良い。
【0085】
具体的には、内側衝撃吸収部(内側衝撃吸収部材)90Aは、車両前後方向から見た断面形状が閉断面を成すと共に、車両上下方向に分割されるアッパパネル92及びロアパネル94を有している。これと同様に、外側衝撃吸収部(外側衝撃吸収部材)90Bは、車両前後方向から見た断面形状が閉断面を成すと共に、車両上下方向に分割されるアッパパネル96及びロアパネル98を有している。このアッパパネル96及びロアパネル98の板厚TBは、内側衝撃吸収部90Aのアッパパネル92及びロアパネル94の板厚TAよりも厚くされている。これにより、外側衝撃吸収部90Bの圧縮強度が、内側衝撃吸収部90Aの圧縮強度よりも高められている。
【0086】
この変形例では、内側衝撃吸収部90Aと外側衝撃吸収部90Bとが別体とされるため、例えば、内側衝撃吸収部90Aからフロントサイドメンバ16の前端16F1に伝達する衝突荷重と、外側衝撃吸収部90Bから荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fに伝達する衝突荷重との制御が容易となる。
【0087】
次に、上記実施形態では、フロントバンパRF20の端部20Aと荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fとの間に外側衝撃吸収部50Bの外側壁部50B1が配置されるが、上記実施形態はこれに限らない。外側衝撃吸収部50Bは、その少なくとも一部がフロントバンパRF20と荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fとの間に配置されていれば良く、外側衝撃吸収部50Bの配置や幅WB(
図3参照)は適宜変更可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、荷重受け部材30の外壁部34の前端34Fがブラケット18に接合されるが、前端34Fは、ブラケット18と非接合とされても良い。また、上記実施形態では、外壁部34の前端34Fがブラケット18に当接されるが、外壁部34の前端34Fとブラケット18との間には、衝突荷重Fを伝達可能な範囲内で隙間があっても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、荷重受け部材30の張出し部32の前端32Fとブラケット18との間に間隔Gが空けられるが、張出し部32の前端32Fは、ブラケット18に当接されても良い。さらに、荷重受け部材30の配置や平面形状は、適宜変更可能である。
【0090】
また、上記実施形態では、荷重受け部材30の外壁部34が荷重伝達部とされるが、上記実施形態はこれに限らない。荷重伝達部としては、例えば、荷重受け部材に設けられ、フロントサイドメンバ16の外側面16Aから車両幅方向外側、かつ、車両前方へ延出するリブ等であっても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、補強部材22の突出部26の前面26Aが車両上下方向及び車両幅方向に延びる平坦面とされるが、突出部26の前面26Aは、車両上下方向及び車両幅方向に対して傾斜されても良い。また、突出部26は省略可能である。さらに、補強部材22も省略可能である。
【0092】
さらに、上記実施形態における荷重受け部材30及び衝撃吸収部材50は、一対のフロントサイドメンバ16の少なくとも一方に適用することができる。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。