特許第6178382号(P6178382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178382
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】ポンプフォーマー用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20170731BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20170731BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170731BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20170731BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20170731BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   A61K8/44
   A61K8/36
   A61K8/34
   A61K8/02
   A61Q19/10
   C11D1/90
   C11D1/04
   C11D3/20
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-221860(P2015-221860)
(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公開番号】特開2017-88555(P2017-88555A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】嶋岡 里香
(72)【発明者】
【氏名】目野 高嗣
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−156537(JP,A)
【文献】 特開2014−156538(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/003114(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/004571(WO,A1)
【文献】 特開2004−137247(JP,A)
【文献】 特開2005−213230(JP,A)
【文献】 特開2016−098182(JP,A)
【文献】 特開2012−158586(JP,A)
【文献】 特開2005−154651(JP,A)
【文献】 特開2007−261688(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/145054(WO,A1)
【文献】 特開2014−210720(JP,A)
【文献】 日光ケミカルズ株式会社 他,新化粧品ハンドブック,2006年10月30日,p.6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
C11D 1/00− 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインと、
(b)炭素数5〜25の脂肪酸から形成される高級脂肪酸石鹸4〜15質量%と、
を含有するフォーマー容器で吐出される洗浄料組成物であって、
前記炭素数5〜25の脂肪酸が、
(b−1)高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して30〜80質量%のラウリン酸、
(b−2)高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して5〜30質量%のミリスチン酸、及び
(b−3)高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して5〜20質量%の、パルミチン酸及びステアリン酸から選択される少なくとも一種を含み、
前記(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの配合量と(b)高級脂肪酸石鹸の配合量との比率[(a)/(b)]が0.76〜1.5の範囲内であり、
B型回転粘度計を用いて30℃の温度で測定した粘度が、30mPa・s以下であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(b−3)が、パルミチン酸及びステアリン酸の両方を含む、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
パルミチン酸とステアリン酸との配合量比率[パルミチン酸/ステアリン酸]が0.4〜2.5の範囲内である、請求項2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
(c)多価アルコールをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(c)多価アルコールが、IOB=3〜4の多価アルコールを含む、請求項4に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記IOB=3〜4の多価アルコールがジグリセリンである、請求項5に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記(b)炭素数5〜25の脂肪酸から形成される高級脂肪酸石鹸の配合量が6〜8
質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプフォーマー等の多孔質膜を有するノンガスタイプの泡吐出容器に収容され、使用時に前記多孔質膜を介して泡状に吐出される洗浄剤組成物に関する。より詳細には、泡の持続性及び泡の弾力性に優れ、なおかつ低温安定性が良好で目詰まりを生じないポンプフォーマー用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプフォーマー等のノンガスタイプの泡吐出容器に収容され、使用時に該容器から泡状に吐出される液状洗浄剤組成物が知られている。このタイプの洗浄剤組成物は、容器に備えられた多孔質膜を通過する際に空気と混合されて泡状に吐出される。しかしながら、洗浄成分として汎用されている高級脂肪酸石鹸は起泡性と洗浄性に優れるものの、特に炭素数12を超える長鎖高級脂肪酸塩は低温下で結晶析出を生じポンプフォーマーの多孔質膜の目詰まりを起こすという問題があった。
【0003】
特許文献1には、洗浄成分として高級脂肪酸石鹸を含まず、(a)短鎖長のアシルタウリン塩、(b)両性界面活性剤、及び(c)カチオン化デンプンを配合することにより、容器の目詰まりがなく、低温下でもクリーミーな泡質が安定して得られ、コンディショニング効果も得られるポンプフォーマー用の液状洗浄剤組成物が開示されている。
【0004】
洗浄成分として高級脂肪酸石鹸を用いた例では、イオン性界面活性剤(その90質量%を高級脂肪酸石鹸が占める)の配合量を2〜5質量%に抑制し、20〜60質量%の多価アルコール(20質量%未満のプロピレングリコールを含む)を配合したポンプフォーマー用の洗浄剤組成物がある(特許文献2)。特許文献2の洗浄剤組成物は、泡質及び低温安定性に優れるのみならず、少量の水で容易に洗い流すことができることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−292969号公報
【特許文献2】特開2014−210720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術を更に改善し、高級脂肪酸石鹸の配合量を抑制せずに十分な洗浄効果を発揮し、なおかつ低温保存しても結晶析出による目詰まりを生じない安定性を有し、特に持続性及び弾力性に優れた泡質が得られるポンプフォーマー用の洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明者等は鋭意研究を行った結果、鎖長の異なる高級脂肪酸石鹸を所定比率で組み合わせて配合することにより、持続性及び弾力性に優れた泡質を有し、低温でも目詰まりを生じない洗浄剤組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、
(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインと、
(b)炭素数5〜25の脂肪酸から形成される高級脂肪酸石鹸4〜15質量%と、
を含有するフォーマー容器で吐出される洗浄料組成物であって、
前記炭素数5〜25の脂肪酸が、
(b−1)高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して30〜80質量%のラウリン酸、
(b−2)高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して5〜30質量%のミリスチン酸、及び
(b−3)高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して5〜35質量%の、パルミチン酸及びステアリン酸から選択される少なくとも一種を含み、
前記(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの配合量と(b)高級脂肪酸石鹸の配合量との比率[(a)/(b)]が0.4〜1.5の範囲内であることを特徴とする洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、泡の持続性に優れ、泡の弾力性に富んだ良好な泡質を有し、低温安定性に優れ、低温保存した場合でもポンプフォーマーの目詰まりを起こさない。
本明細書における「泡の持続性」とは、フォーマー容器から吐出された洗浄剤の泡が、肌に塗布して馴染ませる際に、直ぐにつぶれずに泡形状を持続する性質を意味し、「泡の弾力性」とはフォーマー容器から吐出された洗浄剤の泡が適度な弾力を有するもちもちした感触を呈することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
本発明で用いられるラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(N−ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインとも表記する)は、下記式(1)で表される構造を有する化合物である。
1225−N(CH−CHCOO …(1)
【0011】
本発明の洗浄剤組成物におけるラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの配合量は、後述する高級脂肪酸石鹸の配合量を基準として決定されるが、通常は2〜20質量%、好ましくは2.5〜18質量%、より好ましくは3〜15質量%であるが、これらに限定されず、前記範囲に含まれる範囲、例えば、2〜9質量%、3〜8質量%、又は4〜7質量%等の範囲とすることもできる。
【0012】
(b)高級脂肪酸石鹸
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄成分として高級脂肪酸石鹸を含有する。本発明における高級脂肪酸石鹸は、炭素数5〜25の脂肪酸アニオンと対カチオンとの塩から形成される。
炭素数5〜25の脂肪酸は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の一価炭化水素基、例えばアルキル基、アルキレン基等にカルボキシル基が結合した構造を有するカルボン酸であり、前記炭化水素基は任意に水酸基等で置換されていてもよい。
【0013】
炭素数5〜25の脂肪酸の例としては、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、ラウロレイン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、トリデカン酸、テトラメチルノナン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸、2−ヘキシルデカン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、硬化パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。
【0014】
本発明では、炭素数5〜25の脂肪酸の中でも、炭素数8〜20、あるいは炭素数12〜18の直鎖状飽和脂肪酸から形成される高級脂肪酸を用いるのが好ましい。即ち、本発明で用いられる脂肪酸石鹸は、分岐鎖状脂肪酸又は不飽和脂肪酸から形成される脂肪酸石鹸を含まない態様を包含する。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物は、(b−1)ラウリン酸及び(b−2)ミリスチン酸及び(b−3)パルミチン酸及びステアリン酸から選択される少なくとも1種を含む直鎖状飽和脂肪酸から形成される高級脂肪酸石鹸を含有する。
【0016】
(b−1)ラウリン酸
本発明における高級脂肪酸石鹸は、ラウリン酸から形成される脂肪酸石鹸を、高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して30〜80質量%含有する。
(b−2)ミリスチン酸
本発明における高級脂肪酸石鹸は、ラウリン酸から形成される脂肪酸石鹸を、高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して5〜30質量%含有する。
【0017】
(b−3)パルミチン酸及びステアリン酸
本発明における高級脂肪酸石鹸は、パルミチン酸及びステアリン酸から選択される少なくとも一種から形成される脂肪酸石鹸を、高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸全重量に対して5〜35質量%含有する。パルミチン酸及びステアリン酸の合計配合量が35質量%を超えると十分な低温安定性が得られない場合がある。冬季の寒冷地等の低温安定性が特に求められる環境で使用する場合には、パルミチン酸及び/又はステアリン酸の配合量を5〜30質量%とするのが好ましく、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。
【0018】
パルミチン酸及びステアリン酸から選択される少なくとも一種とは、パルミチン酸又はステアリン酸の一方のみを含む態様と、パルミチン酸とステアリン酸の両方を含む態様とを包含する。パルミチン酸とステアリン酸の両方を含む態様では、パリミチン酸とステアリン酸との配合量比率[パルミチン酸/ステアリン酸]を0.4〜2.5の範囲とするのが好ましい。この数値範囲は、0.4〜2.5に含まれる任意の範囲(例えば0.4〜2.0又は1.0〜2.0等)及び当該範囲に含まれる全ての数値を包含する。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は、ラウリン酸(炭素数12)及びミリスチン酸(炭素数14)に加えて、パルミチン酸(炭素数16)及び/又はステアリン酸(炭素数18)を配合することにより、持続性が良好な泡質が得られるとともに低温安定性にも優れている。
一般に、高級脂肪酸の鎖長(炭素数)が増加すると結晶析出が起こりやすいと考えられていることに鑑みれば、従来から汎用されていたラウリン酸及びミリスチン酸に加えて炭素数の多いパルミチン酸及び/又はステアリン酸を配合することにより低温安定性が向上したことは当業者が予測できない効果である。
【0020】
高級脂肪酸アニオンを中和する対カチオンとしては、アルカリ金属カチオン、特にカリウムカチオンとするのが好ましい。本発明における(a)高級脂肪酸石鹸には、脂肪酸のアルギニン塩及びメチルタウリン塩は含まれない。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物における(b)高級脂肪酸石鹸の配合量は4〜15質量%であり、好ましくは5〜12質量%、より好ましくは5〜10質量%、さらに好ましくは6〜8質量%である。ここで、高級脂肪酸石鹸の配合量とは、高級脂肪酸と中和剤(例えば水酸化カリウム)の合計配合量を意味する。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物においては、(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインの配合量と(b)高級脂肪酸石鹸の配合量との比率[(a)/(b)]は0.4〜1.5であり、この配合量比率は、0.5〜1.2の範囲内とするのが更に好ましい。この配合量比率が0.4未満であると十分な低温安定性が得られない。
【0023】
(c)多価アルコール
本発明の洗浄剤組成物は、(a)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及び(b)高級脂肪酸石鹸という必須成分に加えて、多価アルコールを配合するのが好ましい。
配合され得る多価アルコールは、化粧料等に通常配合されるものから選択することができ、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。
【0024】
多価アルコールの配合量は、特に限定されないが、通常は10〜50質量%、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜40質量%である。
【0025】
多価アルコールの中でも、IOB=3〜4の多価アルコールを配合することにより、フォーマーから吐出される泡の弾力性を向上させることができるので好ましい。IOB=3〜4の多価アルコールとしては、ジグリセリン、プロピレングリコール等を例示することができる。
【0026】
IOB=3〜4の多価アルコールの配合量は、組成物全重量に対して通常は0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物は、液体洗浄剤組成物に通常用いられる他の任意成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有しても良い、他の任意成分の具体例を挙げれば、油分、シリコーン類、低級又は高級アルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、各種薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、有機又は無機粉体、粘土鉱物等が挙げられる。これらの1種または2種以上を任意に選択して配合できる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、限定されないが、例えば、B型回転粘度計を用いて30℃の温度で測定した粘度が40mPa・s以下、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s程度の低粘度液体として提供される。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は、上述した必須成分及び任意成分を用いて、常法に準じて製造することができる。
【0030】
調製された本発明の洗浄剤組成物は、多孔質膜を有するノンガスタイプの泡吐出容器に収容される。本発明で用いられるノンガスタイプの泡吐出容器は、一定量の液体洗浄剤組成物を一定量の空気と混合し、泡状態として使用時に容器より吐出させるものであれば公知のいずれのタイプのものでもよい。具体的には、例えば、軟質容器の胴部を手指で押圧することにより使用するスクイズフォーマー、ポンプ機構を備えたキャップの頭を指で押圧することにより使用されるポンプフォーマー等が挙げられる。そして使用時、容器内の液体洗浄剤組成物を空気と混合した混合物を多孔質膜(1枚から複数枚)に通すことによって、該液体洗浄剤組成物を容器吐出口から泡状として吐出させるようになっている。
【0031】
ポンプフォーマー容器の多孔質膜としては、例えばスポンジ、焼結体、ネットなどが挙げられるが、使用性等の点から薄肉であるネットが好ましい。目の粗さとしては30〜400メッシュ程度のものが好ましく用いられる。本発明の洗浄剤組成物には、2枚の多孔質膜を具備する容器を用いるのが好ましく、一方の多孔質膜を200メッシュ、他方の多孔質膜を305メッシュという細かい網目としても目詰まりを生じず、良好な泡質を得ることができる。
【0032】
本発明の洗浄剤組成物は、ポンプフォーマー容器に収容された毛髪や皮膚の洗浄剤として、洗顔料、ボディソープ、ハンドソープ、シャンプーなどの形態で好適に提供される。
【実施例】
【0033】
以下、具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。
なお、以下の実施例等における配合量は特記しない限り質量%である。
【0034】
下記表の各例に記載した組成で洗浄剤を常法に従って調製した。
各例で得られた洗浄剤について、以下の項目について下記の基準に従って評価した。
(1)低温安定性
調製した洗浄剤組成物を硬質ガラスのバイアルビンに充填し、各温度(−10〜5℃)に保持された評価室において24時間及び1週間保存させた後、洗浄剤組成物の低温安定性を目視で観察し、下記評価基準で評価した。
○:良好(析出物・沈殿物がなく外観の変化がない。目詰まりを起こす可能性が無い)
×:不良(析出物・沈殿物があり品質上問題がある。目詰まりを起こす可能性がある)
通常の使用環境であれば、少なくとも−5℃〜+5℃で24時間及び+5℃で1週間の保存を終えた時点での評価が「○」であれば商品として提供できる十分な特性を備えている。
【0035】
(2)使用性試験
ポンプフォーマー容器(メッシュ200×305)に収容した各例の洗浄剤組成物を泡状に吐出させて実使用した際の泡質(泡の持続性、泡の弾力性)について専門パネルが評価した。評価は以下の基準に従って実施した。
[評価基準]
A:非常に優れている
B:優れている
C:劣っている
なお、評価結果がA又はBであるものは、商品として提供するのに十分な特性を備えている。
【0036】
(3)粘度測定
各例で調製した洗浄剤組成物について、B型粘度計(ローターNo.1、60rpm)を用い、30℃の粘度を測定した。測定結果を各表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
上記の表1〜4に示した結果から、ラウリン酸及びミリスチン酸、及びパルミチン酸及び/又はステアリン酸を、本発明所定の比率で含む高級脂肪酸を含有し、なおかつN−ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインを所定比率で含有する実施例の洗浄剤組成物は、低温安定性に優れておりフォーマー容器の目詰まりを起こすことがないのみならず、生成される泡の持続性にも優れている。一方、パルミチン酸もステアリン酸も含まない比較例1は泡の持続性が劣る。脂肪酸の配合比率が本発明の要件を満たさない(パルミチン酸及びステアリン酸の合計配合量が35質量%を超える)比較例2〜4、及びN−ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインと高級脂肪酸石鹸との配合量比率が本発明の範囲(0.4〜1.5)から外れる比較例5では十分な低温安定性が得られなかった。
【0043】
(b)高級脂肪酸石鹸の配合量が4質量%に満たない比較例6も、比較例1と同様に泡の持続性が劣り、組成物の粘度が30mPa・sを超える比較例7はポンプフォーマーで吐出することが困難であった。また、N−ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインをコカミドプロピルベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン)に置換した比較例8は低温安定性に劣るものとなった。また、高級脂肪酸石鹸を形成する脂肪酸としてパルミチン酸及びステアリン酸を合計で30質量%以上含む実施例9に比較すると、その配合量が20〜30質量%である実施例4及び6〜8、さらに20質量%以下である実施例2、3及び5では、より過酷な低温条件でも析出等が生じなくなり、冬季の寒冷地等での使用に特に適したものとなることが確認された。
【0044】
表5に示した結果によれば、IOB=3〜4の多価アルコールであるジグリセリン(IOB=3.50)は、本発明の効果を得るために必須ではないが(実施例12)、IOB=3〜4の多価アルコールの配合がフォーマーから吐出される泡の弾力性を向上させることが確認された(実施例13及び14)。