(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の複数の溝が第1の溝と第2の溝とを含む溝対の周方向の列によって形成され、前記第1の溝が前記タイヤの前記赤道面の一方の側に配置され、前記第2の溝が前記タイヤの前記赤道面の逆側に配置される、請求項1または2に記載のタイヤ。
前記横断部分が、前記第1の溝または前記第2の溝の前記長手方向の長さの多くとも半分にわたって、前記トレッドバンド上の長手方向に延在する、請求項4に記載のタイヤ。
前記第1の複数の溝の前記溝と前記第2の複数の溝の前記溝は実質的に円弧で形成され、前記円弧は前記第1の複数の溝の前記溝と前記第2の複数の溝の前記溝の両方において実質的に同じ曲げ半径を有する、請求項11に記載のタイヤ。
【背景技術】
【0002】
近時、高出力を有するスーパースポーツまたはスポーツツーリング用の自動二輪車を市場に投入する傾向が見られている。例えば、1000cm
3以上のエンジン排気量、180hpの出力を有する公道用の自動二輪車が、事実、すでに市場で入手可能である。
【0003】
そのような高い性能を確保するため、そのような自動二輪車の車輪に取り付けられるタイヤは、直線走行中とカーブを出る際における加速時の両方において高い牽引トルクを路面に効果的に伝達することができるように、ならびに効果的な制動作用を確保することができるように、路面へのグリップに関して優れた特徴を有する。グリップは濡れた道路面を走向する際に何よりも真に重要なものとなる。
【0004】
自動二輪車の乗手がそのような性能を完全に安全な状態で達成することを確実とするために、タイヤは、非常に良好な路面へのグリップに加えて、直線走行中と特に高加速/高減速の状態でカーブを走向している間の両方における挙動安定性を確保する。事実、タイヤの安定挙動は、その走行中に道路面の凸凹から伝達される摂動を、そのような摂動が自動二輪車に伝播して運転の安定性を損なわないように効果的に減衰する能力を示す。
【0005】
欧州特許第1826026号は、一般にタイヤの周方向に延在するとともに、タイヤの赤道面を基準に対向して配置された少なくとも1対の周方向の溝と、周方向に対して傾斜するとともにトレッドバンドの幅方向の外側から内側に延在する複数の溝とが設けられるトレッド部を含む、特にレース用自動二輪車のフロントタイヤとして使用されるように適合される自動二輪車用のタイヤについて記載している。傾斜した溝の少なくとも半分はタイヤの赤道面を横断して延在する。欧州特許第1826026号によれば、この選択は、極めて軽い取り回しで、制動を得るべき際に安定するタイヤを可能にする。
【0006】
図1aおよび1bは、それぞれフロントおよびリアSportec(商標)M3タイヤのトレッドパターン部分を示す。Metzeler(商標)により現在販売されているSportec(商標)M3タイヤはスーパースポーツ分野に熱心な自動二輪車の乗手に非常に高く評価されている。
【0007】
Sportec(商標)M3タイヤの改良を模索する上で、本出願人は、実質的に曲線のコースを有する一連の実質的に長手方向の溝をトレッドバンドの中心部に配置することによって、またトレッドバンドの赤道面のわずかな部分を溝のないままにすることによって、タイヤの接地領域の表面を増加することが可能であることを見いだした。
【0008】
特に、以下に示されるように、接地領域の表面の増加は接地領域の幅の増加によるものであることが判明した。
【0009】
本出願人は、そのような結果は、長手方向の溝と曲線の溝が、タイヤのクラウン部を、そのコンプライアンスを増加するために赤道面から半径方向に離れた領域に移動させることを可能にする一種の「二重ヒンジ」を生成することによるものであると考える。さらに、本出願人は、そのような長手方向の溝の曲線配置(すなわち、最小長手方向の伸長(longitudinal extension)の部分以外は赤道面と整列しない配置(an arrangement not aligned with the equatorial plane))は、溝自体におけるトレッドバンドの疲労破壊または接地領域におけるタイヤの過度な傾きのいずれかの原因とならないように、クラウン領域のコンプライアンスが制御されかつ過度にならないように増加することを可能にすると考える。接地領域の表面の増加のために、特に実質的に直線走行時の自動二輪車下において制御される際、漸次性(graduality)および/または自動二輪車をカーブおよび/または混合路(mixed paths)に進入させる容易性に悪影響を及ぼすことなくタイヤの挙動安定性を促進する。
【0010】
特に、接地領域の表面の増加は、その長さの増加ではなく接地領域の幅の増加のおかげで達成されることが有利である。本出願人の見解では、接地領域の過度な長さは事実上避けるべきである。その理由は、それが、わずかなドリフト角度で走向する間の、接地領域の出口部におけるトレッドバンド上のベルトの過度の、かつ非線形の復元作用(returning action)(必ずしも発生するわけではないが、通常直線走行において発生するような)のために、接触圧の局所的な低下および/または不均一な摩耗を引き起こすおそれがあるためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
その第1の態様では、本発明は、実質的に直線走行時に自動二輪車用タイヤの接地領域を増加するための方法に関する。タイヤはトレッドバンドを含む。方法は、
前記トレッドバンドの中心部に、実質的に長手方向に従って延在し、かつ前記タイヤの赤道面の両側に交互に配置された第1の複数の溝を形成するステップであって、前記第1の複数の溝の各溝は凹部を形成するように実質的に曲線のコースを有する、ステップと、
前記タイヤの赤道面をまたぐように配置される前記中心部のサブ部を溝のないままにするステップと、を含む。
【0012】
その第2の態様において、本発明は、中心部と、中心部の軸方向両側に配置された2つのショルダー部とを含むトレッドバンドを有する自動二輪車用タイヤに関し、
中心部は、実質的に長手方向に従って延在し、かつ前記タイヤの赤道面の両側に交互に配置された第1の複数の溝を含み、前記第1の複数の溝の各溝は凹部を形成するように実質的に曲線のコースを有し、
中心部は前記タイヤの赤道面をまたぐように配置される実質的に溝のないサブ部を含み、
前記ショルダー部のそれぞれは前記タイヤの赤道面に対して斜めに配置される第2の複数の溝を含む。
【0013】
本発明の目的で、「トレッドパターン」とは、タイヤの赤道面に垂直であり、かつタイヤの最大径に接する面におけるトレッドバンドのすべての箇所(溝を含む)を表すことを意味する。その表現において、
横方向では、トレッドバンドの各箇所の赤道面からの距離は、バンドそれ自体の横方向展開(lateral development)において測定された、そのような箇所の赤道面からの距離に一致し、
周方向では、トレッドバンドの任意の2つの箇所の間の距離は、タイヤの最大径に一致する周縁における2つの箇所の突出部の間の距離に一致し、突出部は2つの箇所を通過する半径方向の面によって得られる。
【0014】
角度の測定値、および/または線形量(距離、幅、長さ、等)、および/または表面は、上に定義されるようなトレッドパターンを意味するものである。
【0015】
さらに、トレッドバンドにタイヤの赤道面に対して形成される溝の角度について述べると、そのような角度は、溝のすべての箇所において、赤道面から始まり、その箇所を通過する溝に接する方向に到達するまで行われる回転によって定義される(絶対値として0°〜90°を含む)角度を意味するものである。
【0016】
本発明の目的では、さらに以下の定義を適用する。
「自動二輪車用タイヤ」とは、自動二輪車がカーブを走行する際に高キャンバ角(例えば、50°〜60°)を達することを可能にする、高い曲率比(通常、0.200を上回る)を有するタイヤを意味する。
タイヤの「赤道面」とは、タイヤの回転軸線に垂直であり、かつタイヤを2つの対称的に等しい部分に分割する面を意味する。
「周」または「長手」方向とは、一般にタイヤの回転方向に従って配向される、またはいずれにしてもタイヤの回転方向に対してわずかしか傾斜しない方向を意味する。
「空隙/ゴム比」とは、タイヤのトレッドパターン(あるいはトレッドパターン全体)の所与の部分の切欠き部の全表面とトレッドパターン(あるいはトレッドパターン全体)の所与の部分の全表面との間の比を意味する。
トレッドバンドの「横方向展開」とは、タイヤの断面においてトレッドバンドの半径方向最外の輪郭を画定する弧の長さを意味する。
トレッドバンドの「最大長手方向展開」とは、トレッドバンドの半径方向最外の箇所の長手方向におけるトレッドバンド展開の長さを意味する。
タイヤの「曲率比」とは、タイヤの断面における、タイヤの最大弦からトレッドバンドの半径方向最高点までの距離と、同じタイヤの最大弦との間の比を意味する。
溝の「長手方向の伸長」とは、溝それ自体の周方向における突出部の伸長を意味する。
特に指定のない限り、溝の「伸長」とは、そのコースに沿って測定された溝の長さを意味する。
溝の「平均傾斜角」とは、溝を形成する部分の傾斜角/角度の算術平均を意味する。曲線のコースを有する溝では、平均傾斜角または平均角度は以下のように表される。
【数1】
ここでα(x)は、長手方向の「高さ」xにおける溝の角度を示し、Lは溝の伸長を示す。
タイヤの「ピッチ」とは、トレッドバンド上に繰り返される、実質的に同一の、トレッドバンドの周方向展開に沿って途切れることのないパターンの一部を形成するように配置される溝とゴム部分の群を意味する。ピッチはトレッドバンドの周方向展開に沿って様々な周方向長さを有してもよい。
溝についての「実質的に長手方向の」とは、そのような溝がタイヤの赤道面に対して実質的にゼロ(例えば、10°未満)の平均角度で配置されることを意味する。
溝の「実質的に曲線の」コースとは、コースそれ自体を表す湾曲の派生(derivative)がかなり連続するコースを意味する。一般に、これは、鋭い箇所のないコースによって達成される。本定義は、そのような部分の角度配置の差が大きすぎない(例えば、25°を超える)ことを条件として、溝が、短い真直な部分の列で形成される、または短い真直な部分の列を含む場合も含む。
【0017】
本発明は、1つ以上の好ましい態様において、1つ以上の以下に示される特徴を含んでもよい。
【0018】
前記第1の複数の溝の各溝は、前記トレッドバンドの最大長手方向展開の少なくとも5%にわたって長手方向に延在してもよい。
【0019】
前記第1の複数の溝は、有利には、第1の溝と第2の溝とを含む溝対の周方向の列によって形成されてもよく、前記第1の溝はタイヤの前記赤道面の一方の側に配置され、前記第2の溝はタイヤの前記赤道面の逆側に配置される。
【0020】
前記第1の溝の第1の端部部分と前記第2の溝の第2の端部部分は、有利には、前記トレッドバンドの同じ横断部分に配置されてもよい。そのような横断部分は、前記トレッドバンド上に、最大で前記第1の溝または前記第2の溝の長手方向展開の約半分に一致するまで長手方向に延在してもよい。
【0021】
好ましくは、上述の第1の溝が形成されるトレッドバンドの中心部は前記トレッドバンドの軸方向展開の多くとも40%にわたって横断的に延在する。
【0022】
好ましくは、実質的に溝のないままにされる前記中心部のサブ部は前記トレッドバンドの軸方向展開の多くとも10%にわたって横断的に延在してもよい。
【0023】
有利には、前記サブ部は前記トレッドバンドの軸方向展開の少なくとも3%にわたって延在する。
【0024】
トレッドバンドは約10%を超える全体的な空隙/ゴム比を有してもよい。好ましくは、全体的な空隙/ゴム比は約25%未満に維持される。
【0025】
前記第2の複数の溝に含まれる溝は赤道面に対して約30°以上の最小平均角度で配置されてもよい。好適な実施形態では、前記第2の複数の溝に含まれる溝は赤道面に対して60°以下の平均角度で配置される。
【0026】
前記第2の複数の溝は、例えば、溝対のセットを含んでもよく、前記第2の複数の溝の各溝対の少なくとも1つの伸長が前記第1の複数の溝の1つの溝に交差する。
【0027】
また、前記第2の複数の溝に含まれる溝は凹部を形成するように実質的に曲線のコースを有してもよい。
【0028】
特に、前記第1の複数の溝に含まれる溝および前記第2の複数の溝に含まれる溝は実質的に円弧で形成されてもよい。そのような円弧は第1の複数の溝に含まれる溝と第2の複数の溝に含まれる溝の両方において実質的に同じ曲げ半径(bending radius)を有してもよい。
【0029】
曲げ半径は、例えば、90mm〜250mmであってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記第2の複数の溝に含まれる溝の凹部は前記タイヤの好ましい回転方向の逆の方向に従って配向される。
【0031】
別の実施形態では、前記第2の複数の溝に含まれる溝の凹部は前記タイヤの好ましい回転方向に従って配向される。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記第1の複数の溝に含まれる溝の凹部は前記タイヤの赤道面の方に向かって配向される。
【0033】
別の実施形態では、前記第1の複数の溝に含まれる溝の凹部は前記タイヤの赤道面の逆の方向に従って配向される。
【0034】
したがって、本発明は、自動二輪車用タイヤの対であって、前記自動二輪車の後輪に取り付けられるように適合される第1のタイヤであって、前記第1のタイヤの好ましい回転方向と逆の方向に従って配向される前記第2の複数の溝に含まれる溝の凹部を備えて構成されている第1のタイヤと、前記自動二輪車の前輪に取り付けられるように適合される第2のタイヤであって、前記第2のタイヤの好ましい回転方向に従って配向される前記第2の複数の溝に含まれる溝の凹部を備えて構成されている第2のタイヤと、を含む、自動二輪車用タイヤの対を含んでもよい。
【0035】
加えてまたは代わりに、本発明は、自動二輪車用タイヤの対であって、前記自動二輪車の後輪に取り付けられるように適合される第1のタイヤであって、前記第1のタイヤの赤道面の方に向かって配向される前記第1の複数の溝に含まれる溝の凹部を備えて構成されている第1のタイヤと、前記自動二輪車の後輪に取り付けられるように適合される第2のタイヤであって、前記第2のタイヤの赤道面と逆の方向に従って配向される前記第1の複数の溝に含まれる溝の凹部を備えて構成されている第2のタイヤと、を含む自動二輪車用タイヤの対をさらに含んでもよい。
【0036】
本発明のタイヤのさらなる特徴および利点は、以下に添付の図面を参照することにより説明目的および発明を限定しない目的で行われるそのいくつかの実施形態の以下の詳細な説明からより明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図2を参照すると、本発明による自動二輪車車輪用のタイヤが100で全体的に示される。特に、タイヤは、好ましくは、スポーツまたはスーパースポーツ分野用の自動二輪車の前輪または後輪に使用されることを意図している。
【0039】
タイヤ100には赤道面X−Xおよび回転軸線Zが定義される。さらに、周方向または長手方向および軸方向、または赤道面X−Xに垂直な横断方向または横方向が定義される。
【0040】
タイヤ100は、少なくとも1つまたは2つのカーカスプライ3を含むカーカス構造2を含む。
【0041】
カーカス構造2は、好ましくは、膨張した後のタイヤそれ自体の密閉を確実にするようになっている基本的に空気を通さないエラストマー材料の層からなる「ライナ」とも呼ばれるシール層16でその内壁に裏打ちされる。
【0042】
1つまたは複数のカーカスプライ3は、各々の軸方向に対向する側方縁端3aにおいて、タイヤを対応する取り付けリム上に保持することを目的とした各々の環状補強構造4に係合する。環状補強構造4は、一般に「ビードコア」と呼ばれる。
【0043】
1つまたは複数のカーカスプライ3と、1つまたは複数のカーカスプライ3の対応する折り返された側部縁端3aとの間に画定された空間を満たすテーパ状のエラストマー充填材5がビードコア4の半径方向外周縁端上に付与される。
【0044】
図示しない別の実施形態では、カーカスプライはその対向する側方縁端が折り返しを有さずに2つの金属環状インサートが設けられる特殊な環状補強構造に対応する。この場合、エラストマー材料の充填物は第1の環状インサートに対して軸方向外側位置に配置されうる。その代わりに、第2の環状インサートはカーカスプライの端部に対して軸方向外側位置に配置される。最終的に、環状補強構造の形成を完了させるさらなる充填物を、前記第2の環状インサートに対して軸方向外側位置に、必ずしもこれに接触することなく付与することができる。
【0045】
図2に全体的に15で示される、ビードリング4と充填材5を含むタイヤの領域はいわゆる「ビード」を画定し、これはタイヤを図示しない対応する取り付けリムに固定することを目的とする。
【0046】
ベルト構造6が上述のカーカス構造に対して半径方向外側位置に設けられる。
【0047】
タイヤ1がそこで路面に接するトレッドバンド8がベルト構造6に対して半径方向外側位置に設けられる。
【0048】
タイヤは、赤道面X−Xの軸方向両側のカーカス構造2の側方に取り付けられるサイドウォール2aの対をさらに含んでもよい。サイドウォールは、タイヤのトレッドバンド8からビード15まで延在する。
【0049】
本発明のタイヤ100は高い横方向曲率と低くされたサイドウォールを特徴とする。
【0050】
タイヤの横方向曲率は、トレッドバンドの上部の、赤道面X−X上で測定したトレッドの端部0を通過する線b−bからの距離ht(
図1)と、トレッドバンドの前記端部間の距離wtとの間の比率の特定の値によって画定される。例えば、
図2に0で示された縁端のような正確な基準がないために、例えば、トレッドバンドの端部が容易に認識可能でない場合、タイヤの最大弦の長さを距離wtとすることができることは確かである。
【0051】
前述の横方向曲率の値はタイヤの「曲率比」と呼ばれる。
【0052】
本発明のタイヤ100は、好ましくは0.2以上、好ましくは0.25以上の曲率比を有する。フロントタイヤでは、曲率比は0.30超とすることもできる。そのような曲率比は、通常、0.8以下、好ましくは0.5以下である。
【0053】
サイドウォールについては、その一方で、本発明のタイヤは特に低いサイドウォールを有するタイヤであることが好ましい。本記載において低いまたは低くされたサイドウォールを有するタイヤとは、距離(H−ht)と、トレッドバンドの上部とタイヤのビードを通過する基準線Lとによって画定される嵌合径(fitting diameter)との間の赤道面X−X上で測定された高さHの比が0.6未満、より好ましくは0.5未満であるタイヤを意味する。
【0054】
各カーカスプライ3は、好ましくはエラストマー材料から作製され、かつ互いに平行して配置された複数の補強要素(図示せず)を含む。
【0055】
カーカスプライ3に含まれる補強要素は、好ましくはタイヤのカーカスの製造において、通常0.35mm〜1.5mmの直径を有する基本糸で採用される、例えば、ナイロン、レーヨン、リヨセル、アラミド、PET、PENから選択される繊維コードからなる。カーカスプライ3の補強要素は、好ましくは、ほぼ半径方向に、すなわち赤道面X−Xに対して65°〜110°、より好ましくは80°〜100°の角度に従って配置される。
【0056】
ベルト構造6は、好ましくは、複数のコイル7aを形成するようにカーカス構造2のクラウン部16上に、互いに平行し、かつ軸方向に並んで配置された1つ以上のゴム引きコード7を含む。そのようなコイルはタイヤの周方向に従って(通常、タイヤの赤道面X−Xに対して0°〜5°の角度で)実質的に配向され、そのような方向は、通常、タイヤの赤道面X−Xに対してどのように配置されるかを基準にして「ゼロ度」として知られる。前述のコイルは、好ましくはカーカス構造2のクラウン部全体にわたって延在する。
【0057】
好ましくは、ベルト構造6は単一コード7によって、または並列関係で配置された好ましくは5つ以下のコードを含むゴム引き布ストリップによって形成される。コードまたはストリップはカーカス構造2のクラウン部16の一端から他端までらせん状に巻きつけられる。
【0058】
別法として、ベルト構造6は、それぞれが互いに平行して配置されたコードで補強されたエラストマー材料からなる少なくとも2つの半径方向に重畳される層を含んでもよい。いわゆる「クロスベルト」を形成するように、層は、第1のベルト層のコードがタイヤの赤道面に対して(例えば、15°〜40°の角度で)斜めに配向される一方、第2の層のコードも斜めの向きを有するが、第1の層のコードに対して対称的に交差するように配置される。
【0059】
ベルト構造6のコード7は繊維コードまたは金属コードである。
【0060】
好ましくは、ベルトにおけるゼロ度での使用において、そのようなコードは高い炭素含有量のスチールワイヤ、すなわち少なくとも0.7%に等しい炭素含有量のスチールワイヤによって作製される。好ましくは、そのようなコード7は高伸長(HE)タイプの鋼から作製される金属コードである。高伸長(HE)コードは、通常、3%よりも高い引張強度を有する。通常、それらは荷重−伸長線図(load-elongation diagram)において、図の軸に対して異なる傾斜を有する2つのほぼ直線部分間に配置される曲線部分を含む。
【0061】
繊維コードが使用される場合、これらは、合成繊維、例えば、ナイロン、レーヨン、PEN、PET、好ましくは高い弾性率を有する合成繊維、特に、合成アラミド繊維(例えば、Kevlar(登録商標)繊維)から作製することができる。別法として、高い弾性率を有する、すなわち25000N/mm
2以上の弾性率を有する少なくとも1つの糸(例えば、Kevlar(登録商標))と撚り合わされた、低い弾性率を有する、すなわち15000N/mm
2以下の弾性率を有する少なくとも1つの糸(例えば、ナイロンまたはレーヨン)からなるハイブリッドコードを使用することができる。
【0062】
ベルト構造6は、また、コード7の層とコイル7aが巻きつけられたカーカスプライ3との間に配置された、エラストマー材料から作製された1つ以上の支持層17を含んでもよい。そのような層は、コイル7aが延在する表面に実質的に一致する軸方向の伸長を有する表面に延在してもよい。
【0063】
本発明のタイヤ100の好適な実施形態では、例えば、エラストマー材料中に分散したKevlar(登録商標)から作製されたアラミド短繊維からなる層17が使用される。
【0064】
さらなる実施形態では(図示せず)、ベルト構造6には、上記のアラミド繊維で補強された層に加えてまたは代わりに、少なくとも繊維コードで補強された層(カーカス構造3に使用されうるコードに完全に類似する)を、ほぼ半径方向の向き(例えば、65°〜110°)で使用することができる。そのような層は少なくともタイヤ100のクラウン部16上に、またはより広い部分上にも延在するが、ビードリング4の周りに折り返しを有しない。
【0065】
トレッドパターンがトレッドバンド8上に形成される。そのようなパターンはトレッドバンド8の周方向および軸方向展開に沿って異なるように配置された複数の溝によって画定される。トレッドパターンのピッチ内において、そのような溝はタイヤ100の周方向に沿って実質的に同様に繰り返されるモジュールを画定する。
【0066】
特に、本発明のタイヤでは、トレッドバンド8上に形成されるパターンは中心部Aと2つのショルダー部Bとに分割することができる。中心部Aは、トレッドバンド8の軸方向展開の40%までにわたって延在してもよい。
【0067】
図2に示されるタイヤ部分には3つの溝20、21、26が示される。溝20は中心部Aにあり、溝21、26はショルダー部Bにある。
【0068】
図3〜6は、本発明によるタイヤに使用することができるトレッドパターンのいくつかの実施形態の一部を示す。矢印Fは好ましいタイヤの回転方向を示す。特に、
図3および6の実施形態は好ましくはリアタイヤに使用されうる。一方で
図4および5の実施形態は好ましくはリアタイヤに使用されうる。
【0069】
図3〜6に示される例のようなトレッドパターンはトレッドバンド8上に約10%以上、好ましくは約12%以上の空隙/ゴム比を全体的に画定する。好ましくは、空隙/ゴム比は25%未満である。
【0070】
図3〜6では、赤道面X−Xに配置された中心部Aと中心部Aの軸方向両側に配置された2つのショルダー部Bが認められる。
【0071】
中心部Aは、自動二輪車が直線路を走行する、またはわずかな傾きを有する際に道路表面に接するようになっている一方で、ショルダー部Bは、自動二輪車がより著しい傾きを有してカーブを走行する際に道路表面に接するようになっている。
【0072】
好ましくは、中心環状部Aはトレッドバンド8の横方向展開の多くとも40%に等しい軸方向の伸長を有する。
【0073】
中心部Aは互いに離れた複数の第1の溝20を有する。好ましくは、中心部Aの空隙/ゴム比は約8%〜約15%である。
【0074】
第1の溝20は実質的に長手方向に従って延在する。さらに、溝は実質的に曲線のコースを有して延在する。第1の溝20の曲線のコースは
図3、5、6の実施形態において赤道面X−Xに向かって配向される一方で、
図4の実施形態においては赤道面X−Xの逆の方向に従って配向される凹部を画定する。
【0075】
好適な実施形態では、第1の溝20は円弧に実質的に一致するコースを有する。好ましくは、そのような円弧の曲げ半径は約90mm〜約250mmである。
【0076】
好ましくは、第1の溝20はトレッドバンド8の最大長手方向展開の少なくとも約5%にわたって延在する。したがって、それらは、通常、定格負荷(スーパースポーツおよび/またはスポーツツーリング分野では約200〜250kg)下のタイヤによって形成される接地領域の長手方向寸法のオーダの典型的な、相当の長さがある溝である。実質的に曲線である第1の溝20というこの特徴は、それらの実質的に長手方向のコースとともに、濡れたアスファルト(または一般に、路面)上を直線走行中に水が排出されることを可能にする。さらに、そのような第1の溝20の配置が、タイヤが回転する際、溝に起因する騒音を低減することを可能にすることを見いだした。好ましくは、第1の溝20は、トレッドバンド8の最大長手方向展開の多くとも約25%にわたって、より好ましくは約10%にわたって延在する。
【0077】
実質的に曲線である第1の溝20のそれぞれの実質的に長手方向の伸長はそのような溝の伸長の対称軸線を赤道面X−Xに実質的に垂直な角度に従って(例えば、赤道面X−Xに垂直な方向に対して約10°未満の最大偏差で)配向させる。
【0078】
本発明の目的では、溝の伸長の対称軸線は、溝それ自体を半分に分割する点を通過する溝それ自体の全体的なコースを画定する線の1つに垂直な方向に一致してもよい。溝の全体的なコースを画定する線は、例えば、溝の半径方向外側縁部、溝の中心線および/または溝の最大深さの線のうちの1つを選択してもよい。
図3〜6では、そのような全体的なコースは例としておよび明確化のためのみに各パターン部分の溝のいくつかの上に破線によって示される。
【0079】
図3〜6に示される実施形態では、タイヤの各ピッチは赤道面X−Xを基準にして両側に配置された溝20の対を含む。
【0080】
各対の第1の溝20は、好ましくは周方向に互い違いに配列されている。換言すると、第1の溝20は、赤道面X−Xを基準にして一方の側に配置された第1の溝20に、赤道面X−Xを基準にして逆側に配置された次の第1の溝20が続くように、タイヤの周方向に沿って赤道面X−Xを基準にして両側に交互に配置される。
【0081】
赤道面X−Xの一方の側と他方の側に交互に配置される一方で、互いに近接する2つの連続する第1の溝20の端部は、好ましくはトレッドバンド8の同じ横断部分に配置されてもよい。換言すると、好ましくは、2つの連続する第1の溝20の端部部分は長手方向に重なり合うことができる(しかしながら軸方向に離間したままで)ことが定められてもよい。有利には、この重なりは第1の溝20の1つの長手方向展開の半分にまで延在することができる。
【0082】
これは、濡れた路面上を走行する際に良好な排水を確実にするよう第1の溝20の少なくとも1つを直線走行中に接地領域内に常に維持することを可能にする。
【0083】
トレッドバンド8の中心部Aの第1の溝20の配置は、実質的にゼロに等しい空隙/ゴム比を有する中心環状サブ部(明確化のために
図3のみにSで示された網掛け部によって示される)が赤道面X−Xをまたぐように形成される。換言すると、第1の溝20は赤道面X−Xに交差せず、実質的にそれら伸長全体が、端から端まで、赤道面X−Xから離れて配置される。
図3、5、6に示される実施形態では、第1の溝20のそれぞれは赤道面X−X近辺にその端部を有するが、その中心部はそこから遠くに配置される。逆に、
図4の実施形態では、第1の溝20の端部はその中心部に比べて赤道面X−Xから遠くに配置される。
【0084】
実質的にゼロの空隙/ゴム比を有する中心環状サブ部Sはトレッドバンドの軸方向展開の一部、約3%〜約10%にわたって横断的に延在する。
【0085】
赤道面X−Xに実質的に溝のない部分を維持することは、この部分において極めて高い剛性を有するトレッドバンドの閉リングの形成を可能にし、そのため高速での直線走行時、加速中に牽引トルクを、および減速中にブレーキトルクを路面に効果的に伝達することが可能であると同時に自動二輪車の優れた安定性を確保する。したがって、この選択はフロントタイヤおよびリアタイヤの両方への使用において極めて有利である。
【0086】
好ましくは、第1の溝20はそれらの伸長全体に可変幅を有する。
【0087】
特に、
図3および6の実施形態では、第1の溝20の幅はタイヤの好ましい回転方向Fと逆の方向に増加する。この選択は濡れた路面上を直線走行中にリアタイヤの排水を増すのに便利となりうる。第1の溝20の幅は、例えば、最小2〜4mmから最大6〜8mmで変化してもよい。
【0088】
図4および5の実施形態では、第1の溝20の幅はタイヤの好ましい回転方向Fに増加する。この選択は濡れた路面上を直線走行中にフロントタイヤにおいて水膜および/または水層を効果的に破壊して開くのに便利となりうる。
【0089】
本出願人は、第1の溝20の上記の配置によってタイヤの接地領域の表面を増加することができることを見いだした。特に、以下に例によって示されるように、接地領域の表面の増加は接地領域の幅の増加によるものであることを見いだした。本出願人は、これは、第1の溝20が、タイヤのクラウン部がそのコンプライアンスを増加させるために赤道面から離れた領域に半径方向に移動することを可能にする一種の「ヒンジ」を生成するためである可能性があると考える。さらに、本出願人は、長手方向の溝20の曲線配置(すなわち最小長手方向の伸長の部分以外はタイヤの赤道面X−Xと整列しない配置)は、第1の溝20それら自体においてトレッドバンドの疲労破壊を引き起こさないように、クラウン領域のコンプライアンスが制御されかつ過度とならないように増加することを可能にすると考える。
図2〜6に示される好適な実施形態では、第1の溝20の存在により決定されるタイヤクラウンの中心部Aのコンプライアンスはトレッドバンド8下にゼロ度で存在するベルト構造6によりタイヤの同じ部分に導入されるさらなるコンプライアンス源と協働する。本出願人によって実施された試験により、この構成を有するタイヤは直線走行における優れた挙動安定性とともに、カーブに接近する際および/または繰り返しの方向変化の間に適切な漸次性を達成することを見いだした。これらの結果はそのような構成をフロントタイヤとリアタイヤの両方に使用することにより得られる。
【0090】
再度
図3〜6を参照すると、各ショルダー部Bはトレッドバンド8上に実質的に横断的に延在する複数の第2の溝21、26を有する。第2の溝21、26は第1の溝20と軸方向に並列関係になるように配置される。特に、第2の溝21、26の軸方向内側端部は、(
図3、4および6に示される実施形態のように)第1の溝20に交差することなくそれらに接近するか、(
図5に示される実施形態のように)第1の溝20それら自体において終端するかのいずれかであってもよい。いずれの場合においても、(各図において)溝20、21、26の群について示される
図3〜6に破線によって示すように、少なくとも第2の溝21、26の延長部は第1の溝20に交差する。
【0091】
図3〜6に示される好適な実施形態では、第2の溝21、26は対に分割されている。上に言及したように、第2の溝21、26の各対は各々の第1の溝20と関連する。
【0092】
第2の溝21、26の対の延長部(または第2の溝21、26の対それ自体)と第1の溝20との間の交差は、好ましくは第1の溝20を実質的に同じ長手方向の伸長を有する3つの部分に分割する。
【0093】
好ましくは、第2の溝21、26は、トレッドバンド8上に、実質的に曲線のコースを有して配置される。一般に、第2の溝21、26は、赤道面X−Xに対して約30°〜約90°、好ましくは約30°〜約60°の平均傾斜角を有してもよい。
【0094】
図3および6に示される実施形態では、第2の溝21、26の曲線のコースにより形成される凹部は、好ましい回転方向Fの逆の方向に配向される。逆に、
図4および5に示される実施形態では、第2の溝21、26の曲線のコースにより形成される凹部は好ましい回転方向Fに従って配向される。
【0095】
好適な実施形態では、第2の溝21、26は円弧に実質的に一致するコースを有する。好ましくは、そのような円弧の曲げ半径は約90mm〜約250mmである。
【0096】
好適な実施形態において、第1の溝20と第2の溝21、26を形成する円弧は有利には互いに類似していてもよい。事実、トレッドバンド上にかなりの伸長を有する溝においては、そのようなかなりの類似はより大きな曲げ半径の約50%〜60%までの差異に相当してもよい。事実、それぞれ例えば、100mmおよび180mmに等しい曲げ半径の円弧は測定器を使用せずには事実上一目で識別不能であってもよい。
【0097】
本出願人は、(上に示された意味内において)実質的に同じ曲げ半径を有する延長された溝の配置が、タイヤの成形および加硫時にトレッドバンドを形成するエラストマー材料の分配を向上させ、成形済みおよび加硫済みタイヤにおけるトレッドバンドそれ自体の品質向上および均一性を得られると考える。事実、モールドの表面から突出する、溝を形成することになる要素の類似の曲げ半径は、成形時に生エラストマー材料と実質的に同じように変位するため、材料の不要の蓄積が避けられる。
【0098】
好ましくは、第2の溝21、26は可変幅を有する。特に、第2の溝21、26は、軸方向に最も内側の端部から軸方向に最も外側の端部に向かって増加する幅を有してもよい。第2の溝21、26の幅は、例えば、最小2〜4mmから最大6〜8mmまで変化してもよい。
【0099】
上述の第1の溝20および第2の溝21、26以外に、トレッドバンドはタイヤの技術的または美的要件に基づきさらなる溝および/または溝のセットを含んでもよい。
【0100】
一例として、
図3および4に示される実施形態では、ショルダー部Bの軸方向に最も外側の領域に短い切込みのセットが追加される。特に、短い切込み27は実質的に第2の溝21、26の延長部に形成される。そのような短い切込み27はカーブの濡れた路面上を最大傾斜で走向中にタイヤの挙動を向上させ得る、および/またはコンパウンドの変形により軸方向に最も外側の部分にあるトレッドバンドの加温を容易にし得る。
【0101】
図4の実施形態では、ショルダー部Bにはさらに第2の溝21、26と交互に配置される第3の溝28のセットが形成される。第3の溝28は第2の溝21、26の伸長よりも少ない伸長を有する。これらの溝もまたカーブの濡れた路面上を走向する際にタイヤの挙動、特にフロントタイヤの挙動を向上させ得る。
【0102】
図5および6の実施形態では、溝対29のセットがショルダー部Bに第2の溝21、26と交互に配置される。
図6の実施形態では、溝対29の溝は互いに異なる伸長を有する。これらの溝もまたカーブの濡れた路面上を走向する際にタイヤの挙動、特にフロントタイヤの挙動を向上させ得る。
【0103】
図5および6の実施形態の両方において、複数の溝30がさらにトレッドバンド8の中心部Aとショルダー部Bとの間の遷移領域に形成される。そのような溝30はカーブに接近しているときおよび/または頻繁に方向変化して走向しているときにタイヤの挙動を漸次的に向上させるためにトレッドバンド8の空隙/ゴム比を局所的に変更するために形成されてもよい。
【0104】
図7および8は、
図1b(比較)にあるようなトレッドバンドを有するタイヤと、
図3(本発明)のようなトレッドバンドを有するタイヤとにかかる種々の荷重における静的たわみ試験の結果を示す。両タイヤはサイズ180/55 R17を有し、トレッドバンドのみが異なるものであった(同じ内部構造、同じコンパウンドのトレッドバンド)。試験時には、接地領域の長さおよび幅、すなわちそれぞれ接地領域の長手方向の寸法および横断方向の寸法が測定された。
図7および8は、それぞれ比較タイヤ(破線、三角形)および本発明のタイヤ(実線、四角形)の接地領域の長さおよび幅の挙動を示す。
【0105】
図7および8から明らかなように、接地領域の長さが全試験荷重値(
図7)において実質的に同じままである一方、接地領域の幅は、特に荷重約200kgから顕著な増加が始まる。そのような荷重値はスーパースポーツおよび/またはスポーツツーリング分野の自動二輪車用タイヤの定格負荷に基本的に一致する。
【0106】
以下において、表1および2で、スーパースポーツ分野の代表であるが、スポーツツーリング分野においても挙動安定性の有用な指標を提供するのに適切な自動二輪車(Yamaha YZF R1)の車輪に取り付けられた様々なタイヤセットについて実施されたドライブテストにおいて得られた結果を報告する。
【0107】
表1では、
図1a(比較)にあるようなトレッドパターンを有するフロントタイヤを含むセットと
図4(本発明)のようなトレッドパターンを有するフロントタイヤを含むセット間の比較を報告する。両タイヤは同じサイズ(120/70 R17)ならびに同じ構造およびトレッドバンドコンパウンドを有する。
【0108】
表2では、
図1b(比較)にあるようなトレッドパターンを有するリアタイヤを含むセットと
図3(本発明)のようなトレッドパターンを有するリアタイヤを含むセット間の比較が報告される。両タイヤは同じサイズ(190/55 R17)ならびに同じ構造およびトレッドバンドコンパウンドを有する。
【0109】
表1および2では、比較タイヤと比較した、本発明によるタイヤから得られる評価を、混合路での運転において一般的なパラメータ(操舵の迅速性、方向変化時の取り回し、傾斜時の横方向推力、カーブへの高速での進入、傾斜時の漸次性)、および直線路での運転において一般的なパラメータ(センタリング、速度変化に対する反応性、コンプライアンス/挙動安定性)について報告する。評価は1〜5のスケールで表され、ここで3は許容挙動を示し、4は優れた挙動を示す。
【0112】
上記の表から明らかなように、本発明によるタイヤは、検討を行ったこれまでのところ優れている比較タイヤと比較すると、フロントタイヤの場合およびリアタイヤの場合の両方において全体的により良い挙動を有する。
【0113】
上記の試験は乾燥した道路面で実施した。濡れた道路面で実施した一連の試験は2つの種類のタイヤについて類似の挙動を示した。
【0114】
したがって、試験の全体的な結果は、本発明のタイヤが比較タイヤに比べ、直線走行時、濡れた路面における密着性および/または挙動に悪影響を及ぼすことなく、全体的に向上したことを示した。そのような結果は、溝のないサブ部の赤道面への導入が、特に直線走行時において、むしろ濡れた路面における密着性および安定性の悪化の原因となっていたかもしれないことを考慮すると特筆すべきであり、また驚くべきことである。本出願人は、接地領域の幅の増加に対応する傾きの増加がこの起こりうる欠点の排除を可能にし、また、直線走行における安定性、そして何よりも混合路における迅速性および取り回しを向上させたと考える。
【0115】
本発明をいくつかの実施形態に関連して説明した。詳細に記載した実施形態に関して、以下の請求の範囲により規定される本発明の保護の範囲内で多様な変更を加えることができる。