(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178490
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】燃料タンクのための改良された非加圧流体レベル遮断
(51)【国際特許分類】
B60K 15/035 20060101AFI20170731BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20170731BHJP
F16K 31/122 20060101ALI20170731BHJP
B60K 28/10 20060101ALN20170731BHJP
【FI】
B60K15/035 A
F02M37/00 301M
F02M37/00 311K
F16K31/122
!B60K28/10 Z
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-501734(P2016-501734)
(86)(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公表番号】特表2016-519016(P2016-519016A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】US2014025056
(87)【国際公開番号】WO2014151131
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年11月30日
(31)【優先権主張番号】61/794,145
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/202,221
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511269750
【氏名又は名称】アデルウィギンス グループ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】クアン、クリストファー
【審査官】
山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0166966(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第10051492(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0202600(US,A1)
【文献】
米国特許第04211249(US,A)
【文献】
英国特許出願公告第01051018(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/035
F02M 37/00
F16K 31/122
B60K 28/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクのための非加圧流体レベル遮断システムであって、
燃料タンクと、
前記燃料タンクと流体連通して接続された燃料レシーバであって、給油ノズルと流体連通して着脱可能に接続されるように構成された燃料レシーバと、
前記燃料レシーバに接続され前記燃料タンク内に露出されたセンサとを含み、
前記燃料レシーバは、レシーバ入口と、レシーバ出口と、入口チャンバとを有するレシーバ本体を含み、前記入口チャンバは、前記レシーバ入口および前記レシーバ出口の間に流体連通して接続され、前記レシーバ出口に向かう前記燃料レシーバ内の燃料フローの方向とともに前記レシーバ入口と前記レシーバ出口の間の主要燃料通路を規定し、
前記レシーバ本体は、前記レシーバ入口に隣接した流入弁を含み、前記流入弁は、前記レシーバ入口を密封する閉位置と、燃料が前記レシーバ本体内の入口チャンバに流れるのを可能にする開位置との間を移動するように構成され、
前記流入弁は前記閉位置に向かって付勢され、
前記レシーバ本体は、センサ入口燃料通路およびリターン燃料通路を含み、
前記リターン燃料通路は、前記燃料レシーバ内のフロー制御チャンバと流体連通して接続され、前記フロー制御チャンバは、開位置と閉位置の間を移動するように構成されたフロー制御弁を含み、
前記フロー制御弁の前記開位置は、燃料が前記主要燃料通路を通って前記燃料タンクに入るのを可能にするように構成され、
前記フロー制御弁は、前記リターン燃料通路から当該フロー制御弁を通って前記フロー制御チャンバに入る燃料の流れに応答して前記燃料レシーバ内の燃料の流れの方向とは反対方向に前記開位置へ移動するように構成され、
前記センサは、前記燃料タンクにおける燃料レベルを検出するように構成され、
前記センサは、前記燃料レシーバから前記センサへの燃料の流れを提供するために前記センサ入口燃料通路と流体連通して接続され、
前記センサは、当該センサから前記燃料レシーバに燃料を戻すために前記リターン燃料通路と流体連通して接続されることを特徴とする非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項2】
前記流入弁は前記レシーバ入口を密封するニップルポペットを含み、前記流入弁は前記ニップルポペットに接続された管状シャフトを含む、請求項1に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項3】
前記管状シャフトは、前記流入弁の閉位置と開位置の間にある入口チャンバの凹部内に摺動可能に嵌合される、請求項2に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項4】
前記流入弁は、前記管状シャフトの内部チャンバ内に保持された第1ばねによって閉位置に向かって付勢され、前記第1ばねは、当該第1ばねの一端において前記ニップルポペットに対して、当該第1ばねの他端において前記凹部の壁に対して取り付けられる、請求項3に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項5】
前記フロー制御弁は、前記フロー制御チャンバ内部に配置された入口端と、出口端とを有する略管状でカップ状の弁シャフトを含む、請求項1に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項6】
前記略管状でカップ状の弁シャフトの前記入口端は、前記フロー制御チャンバの入口部内に配置され、前記フロー制御弁の開位置と閉位置の間でフロー制御弁の前記略管状でカップ状の弁シャフトの移動を案内するための前記フロー制御チャンバの中央ガイドに沿って摺動自在に装着されている、請求項5に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項7】
前記フロー制御弁は、前記弁シャフトの前記出口端が前記レシーバ本体の前記レシーバ出口を密封する前記閉位置に付勢されている、請求項5に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項8】
前記フロー制御弁は、前記フロー制御弁の入口端においてばねチャンバ内に配置され前記フロー制御チャンバの入口端まで延びる第2ばねによって前記閉位置に付勢されている、請求項7に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項9】
前記燃料タンクと流体連通するリリーフ弁ベントをさらに含み、前記リリーフ弁ベントは、前記燃料タンクを通気するように構成される、請求項1に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項10】
前記燃料レシーバに取り外し可能に接続されるように構成された給油ノズルをさらに含む、請求項1に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項11】
燃料タンクのための非加圧流体レベル遮断システムであって、
燃料タンクと、
前記燃料タンクと流体連通して接続された燃料レシーバであって、給油ノズルと流体連通して着脱可能に接続されるように構成された燃料レシーバと、
前記燃料レシーバに接続され前記燃料タンク内に露出されたジェットセンサとを含み、
前記燃料レシーバは、レシーバ入口と、レシーバ出口と、入口チャンバとを有するレシーバ本体を含み、前記入口チャンバは、前記レシーバ入口および前記レシーバ出口の間に流体連通して接続され、前記レシーバ入口と前記レシーバ出口の間の主要燃料通路を規定し、
前記レシーバ本体は、前記レシーバ入口に隣接した入口弁を含み、前記入口弁は、前記レシーバ入口を密封する閉位置と、燃料が前記レシーバ本体内の入口チャンバに流れるのを可能にする開位置との間を移動するように構成され、
前記入口弁は前記閉位置に向かって付勢され、
前記レシーバ本体は、センサ入口燃料通路およびリターン燃料通路を含み、
前記リターン燃料通路は、前記燃料レシーバ内のフロー制御チャンバと流体連通して接続され、前記フロー制御チャンバは、開位置と閉位置の間を移動するように構成されたフロー制御弁を含み、
前記フロー制御弁の前記開位置は、燃料が前記主要燃料通路を通って前記燃料タンクに入るのを可能にするように構成され、
前記フロー制御弁は、前記リターン燃料通路から当該フロー制御弁を通って前記フロー制御チャンバに入る燃料の流れに応答して前記燃料レシーバ内の燃料の流れの方向とは反対方向に前記開位置へ移動するように構成され、
前記ジェットセンサは、前記燃料タンクにおける燃料のレベルを検出するように構成され、
前記ジェットセンサは、前記燃料レシーバからの燃料の流れを前記センサに与えるための前記センサ入口燃料通路と流体連通して接続され、
前記ジェットセンサは、センサ入口およびセンサ出口を有するベース部と、前記センサ入口および前記センサ出口と流体連通して接続された燃料流路を有するステム部とを備えたセンサ本体を含み、
前記燃料流路は、
前記センサ入口から燃料を受け取り、受け取られた燃料を燃料ジェット流出孔に導くように構成されたセンサ燃料受け取り部と、
前記燃料ジェット流出孔と流体連通して接続された流出孔混合チャンバと、
前記センサ出口と流体連通して接続された燃料ジェット流入孔と、
前記流出孔混合チャンバと前記燃料ジェット流入孔の間に接続された切り欠き部とを含み、
前記燃料ジェット流入孔は、前記切り欠き部を横切って受け取られた燃料を前記センサ出口を通り前記リターン燃料通路を通って前記燃料レシーバに導くように構成され、
前記流出孔混合チャンバは、当該流出孔混合チャンバと前記燃料タンクの間に接続された補助周辺ポートを含むことを特徴とする非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項12】
前記補助周辺ポートは、前記切り欠き部を横切る燃料のストリームに垂直に配向される、請求項11に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項13】
前記センサ燃料受け取り部は、当該センサ燃料受け取り部から前記燃料ジェット流出孔を通って燃料をじょうご状に通し、前記切り欠き部を横切って前記燃料ジェット流入孔に流れる燃料のストリームを形成する第1テーパ部を含む、請求項11に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項14】
前記センサ入口燃料通路は、前記レシーバ本体に接続されたセンサピックアップ取り付け具と流体連通して接続される、請求項11に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項15】
前記センサピックアップ取り付け具は、前記センサと流体連通して接続されたセンサピックアップホースに接続される、請求項14に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項16】
前記リターン燃料通路は、ジェットリターン取り付け具を用いて前記レシーバ本体に接続されたリターンホースと流体連通して接続される、請求項11に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項17】
前記燃料タンクと流体連通するリリーフ弁ベントをさらに含み、前記リリーフ弁ベントは、前記燃料タンクを通気するように構成される、請求項11に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【請求項18】
前記燃料レシーバに取り外し可能に接続されるように構成された自動遮断給油ノズルをさらに含み、前記自動遮断給油ノズルは、前記燃料レシーバおよびノズル内の圧力が閾値レベルに達した場合に自動的に遮断するように構成される、請求項11に記載の非加圧流体レベル遮断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2013年3月15日に出願した米国仮出願番号61/794145号および2014年3月10日に出願した米国出願第14/202221号に基づいて優先権を主張し、その全体が参照によって援用される。
【0002】
本発明は一般に、燃料補給システム及びレシーバに関し、より具体的には、燃料タンクを加圧することなく、車両の自動遮断高速充填給油を支援するように設計された二重弁レシーバに関する。
【背景技術】
【0003】
大型車は典型的に1200ガロンまでの範囲かそれ以上の大きな燃料タンクを持っており、高い仕事生産性を維持するために、これらの大きなタンクに大量の燃料を素早くポンプで注入するための高速充填システムを必要とする。給油レシーバは、通常、ノズルを遮断するためにタンク背圧の蓄積を必要とする高速充填自動遮断ノズルと連動して動作する。加圧された給油システムを使用するためには、燃料タンクは、構造的に10psiまでの内部圧力に耐えるように設計されなければならないため、そのような燃料タンクは、典型的には軽量車両に使用するのに適していない。
【0004】
給油の別の現在の方法は、逃がし弁またはスピル弁を用いて燃料タンクを満たすことであり、これは、タンクが満タンになったときに過剰な燃料がタンクから外にこぼれるようにして、オペレータに手動で燃料の流れを遮断するように知らせる。しかしながら、オペレータは、加圧されたタンクを完全に満タンにするために自動遮断ノズルを強制的に開ける傾向があり、オーバーフロー弁またはベントを通って頻繁に燃料がこぼれるという結果になる。また、万一、ノズル遮断弁とタンクオーバーフロー弁が同時に故障するなら、燃料タンク内の過剰な圧力がタンクに致命的な障害をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非加圧タンク燃料補給に対して、燃料レベルを感知し、燃料レシーバを通る燃料の流れを自動的に遮断するために使用される従来のジェットセンサは、一般的に、燃料タンクが完全に満タンになったときなどジェットセンサが完全に燃料中に浸漬することがあったときでも、有意な残留油圧信号を送信することがわかってきた。その結果、燃料レシーバにおけるフロー制御弁が完全に閉じることを可能にするために、センサが完全に浸漬されたとき残留流体フロー信号を最小化することが望ましいであろう。さらに、非加圧給油システムは、典型的には、単一の信号ホースとフロート弁によって制御される油圧信号を利用する。その結果、単一の信号ホースが破損または取り外された場合、あるいはフロート弁が完全には据え付けられなかった場合、主たる燃料の流れは、典型的には遮断されず、タンクのオーバーフローが発生する可能性がある。したがって、信号ホースが破損または取り外されているイベントが起きた場合、タンクの過充填および過加圧を防ぐ安全な状態でシステムが停止するような、閉ループ非加圧給油遮断システムを提供することが望ましいであろう。また、実質的に可動部のないジェットセンサを備えた非加圧給油遮断システムを提供することが望ましいであろう。そのようなシステムは、摩耗されにくく、たとえ損傷を受けた場合でもタンクを充填することができない結果となるだけであり、タンクへの燃料の流れが停止することができなかった場合よりも安全な状態に終わる。
【0006】
燃料がこぼれることによって失わる燃料のコストと近年の環境法のゆえに、給油所において燃料のこぼれを防止することが望まれる。その結果、適切に燃料タンクを充填することができ、燃料こぼれと燃料タンクの過剰加圧のリスクを回避することができる、大型車両用の自動化された燃料供給システムを提供することが望ましいであろう。本発明は、このような必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に一般的な用語で言えば、本発明は、燃料タンクのための非加圧流体レベル遮断システムに向けられる。このシステムは、燃料流の方向とは反対方向に開くフロー制御弁を有する燃料レシーバと、改善された燃料センサとを含む。フロー制御弁は、給油ノズルが自動的に遮断されるべきときにオペレータが給油ノズルを手動で強制的に開位置にしようとするなど、手動で覆すことはできないものである。その結果、燃料レシーバは適切に閉じられ、燃料レシーバの「積極的遮断」が提供される。燃料センサは、流出孔混合チャンバをもち、流出孔混合チャンバは、有利には、流出孔混合チャンバと燃料タンクの間に接続された補助周辺ポートを含み、センサが完全に浸漬されるとき残留流体フロー信号を劇的に低減させ、燃料レシーバにおけるフロー制御弁を完全に閉鎖することを可能にする。非加圧流体レベル遮断システムは実質的に可動部分をもたないジェットセンサを含み、非加圧流体レベル遮断システムは閉ループであるため、信号ホースが破損したり取り外されるといったイベントの際でも、システムはタンクの過剰充填と過剰加圧を防止する安全な状態で停止するであろう。
【0008】
このように本発明は、燃料タンクのための非加圧流体レベル遮断システムを提供する。このシステムは、燃料タンクと、前記燃料タンクと流体連通して接続された燃料レシーバであって、給油ノズルと流体連通して着脱可能に接続されるように構成された燃料レシーバと、前記燃料レシーバに接続され前記燃料タンク内に露出されたセンサであって、前記燃料タンクにおける燃料レベルを検出するように構成されたセンサとを含む。
【0009】
前記燃料レシーバは、レシーバ入口と、レシーバ出口と、入口チャンバとを有するレシーバ本体を含み、前記入口チャンバは、前記レシーバ入口および前記レシーバ出口の間に流体連通して接続され、前記レシーバ出口に向かう前記燃料レシーバ内の燃料フローの方向とともに前記レシーバ入口と前記レシーバ出口の間の主要燃料通路を規定する。前記レシーバ本体は、前記レシーバ入口に隣接した流入弁を含み、前記流入弁は、前記レシーバ入口を密封する閉位置と、燃料が前記レシーバ本体内の入口チャンバに流れるのを可能にする開位置との間を移動するように構成される。前記流入弁は前記閉位置に向かって付勢される。前記レシーバ本体は、センサ入口燃料通路およびリターン燃料通路を含み、前記リターン燃料通路は、前記燃料レシーバ内のフロー制御チャンバと流体連通して接続され、前記フロー制御チャンバは、開位置と閉位置の間を移動するように構成されたフロー制御弁を含む。前記フロー制御弁の前記開位置は、燃料が前記主要燃料通路を通って前記燃料タンクに入るのを可能にするように構成され、前記フロー制御弁は、前記燃料レシーバ内の燃料の流れの方向とは反対方向に前記開位置へ移動するように構成される。前記センサは、前記燃料レシーバから前記センサへの燃料の流れを提供するために前記センサ入口燃料通路と流体連通して接続される。
【0010】
好ましい態様において、燃料レシーバは、給油ノズルに接続されるように構成された、前記入口における外部ニップルインターフェースを含む。別の好ましい態様において、前記流入弁は、前記入口を密封するニップルポペットを含む。別の好ましい態様において、前記流入弁は前記ニップルポペットに接続された管状シャフトを含む。別の好ましい態様において、前記流入弁の前記管状シャフトは、前記流入弁の閉位置と開位置の間にある入口チャンバの流入弁凹部内に摺動可能に嵌合される。
【0011】
別の好ましい態様において、前記流入弁は、前記管状シャフトの内部チャンバ内に保持された第1ばねによって閉位置に向かって付勢され、前記第1ばねは、当該第1ばねの一端において前記ニップルポペットに対して、当該第1ばねの他端において前記凹部の壁に対して取り付けられる。別の好ましい態様において、前記センサ入口燃料通路は、前記レシーバ本体に接続されたセンサピックアップ取り付け具と流体連通して接続される。別の好ましい態様において、前記センサピックアップ取り付け具は、前記センサと流体連通して接続されたセンサピックアップホースに接続される。
【0012】
別の好ましい態様において、前記リターン燃料通路は、ジェットリターン取り付け具を用いて前記レシーバ本体に接続されたリターンホースと流体連通して接続される。
【0013】
別の好ましい態様において、前記フロー制御弁は、前記フロー制御チャンバ内部に配置された入口端と、出口端とを有する略管状でカップ状の弁シャフトを含む。別の好ましい態様において、前記略管状でカップ状の弁シャフトの前記入口端は、前記フロー制御チャンバの入口部内に配置され、前記フロー制御弁の開位置と閉位置の間でフロー制御弁の前記略管状でカップ状の弁シャフトの移動を案内するための前記フロー制御チャンバの中央ガイドに沿って摺動自在に装着されている。
【0014】
別の好ましい態様において、前記フロー制御弁は、前記弁シャフトの前記出口端が前記レシーバ本体の前記出口を密封する前記閉位置に付勢されている。別の好ましい態様において、前記フロー制御弁は、前記フロー制御弁の入口端においてばねチャンバ内に配置され前記フロー制御チャンバの入口端まで延びる第2ばねによって前記閉位置に付勢されている。
【0015】
別の好ましい態様において、シールがフロー制御弁の入口端の周りに提供され、フロー制御チャンバ内から燃料が流出するのを防ぐように構成される。別の好ましい態様において、フロー制御弁の入口端の周りのシールはばねで弾性が付けられたシールである。
【0016】
フロー制御チャンバが加圧されると、加圧された燃料によってフロー制御弁は閉位置から開位置へずらされ、燃料タンクを充填することができるようになる。燃料タンク内の燃料が上昇し始めると、燃料は、センサを通る燃料の流れが中断されるレベルに達する。いったんこの中断が発生すると、リターン燃料通路とフロー制御チャンバ内に蓄積した圧力は減少し、第2ばねがフロー制御チャンバ内の圧力を克服するとフロー制御弁は閉じ始める。
【0017】
別の好ましい態様において、センサはジェットセンサを含み、前記ジェットセンサは、センサ入口およびセンサ出口を有するベース部と、前記センサ入口および前記センサ出口と流体連通して接続された燃料流路を有するステム部とを備えたセンサ本体を含む。前記燃料流路は、好ましくは、前記センサ入口から燃料を受け取り、受け取られた燃料を燃料ジェット流出孔に導くように構成されたセンサ燃料受け取り部と、前記燃料ジェット流出孔と流体連通して接続された流出孔混合チャンバと、前記センサ出口と流体連通して接続された燃料ジェット流入孔と、前記流出孔混合チャンバと前記燃料ジェット流入孔の間に接続された切り欠き部とを含む。前記燃料ジェット流入孔は、好ましくは、前記切り欠き部を横切って受け取られた燃料を前記センサ出口を通って前記燃料レシーバに導くように構成され、前記流出孔混合チャンバは、有利には、当該流出孔混合チャンバと前記燃料タンクの間に接続された補助周辺ポートを含む。
【0018】
別の好ましい態様において、前記センサ燃料受け取り部は、当該センサ燃料受け取り部から前記燃料ジェット流出孔を通って燃料をじょうご状に通し、前記切り欠き部を横切って前記燃料ジェット流入孔に流れる燃料のストリームを形成する第1テーパ部を含む。別の好ましい態様において、前記補助周辺ポートは、前記切り欠き部を横切る燃料のストリームに垂直の向きに配置される。別の好ましい態様において、センサ入口の直径はセンサ出口の直径よりも大きくてもよい。
【0019】
別の好ましい態様において、前記燃料タンクと流体連通するリリーフ弁ベントが提供され、前記リリーフ弁ベントは、前記燃料タンクを通気するように構成される。別の好ましい態様において、前記燃料レシーバに取り外し可能に接続されるように構成された給油ノズルが提供される。別の好ましい態様において、給油ノズルは、燃料レシーバとノズル内の圧力が閾値レベルに達したときに自動的に遮断する自動遮断ノズルを含む。
【0020】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、一例として本発明の原理を図示する添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る燃料タンクのための非加圧流体レベル遮断システムの部分的な断面立面図である。
【
図2】閉位置で示された、
図1の非加圧流体レベル遮断システムの燃料レシーバの断面立面図である。
【
図3】開位置における燃料レシーバを示す、
図2と同様の断面立面図である。
【
図4】
図1の非加圧流体レベル遮断システムのセンサの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
非加圧給油遮断システムは、典型的には、閉ループシステムではなく、破損したり取り外されたりすることがある単一の信号ホースと、完全には取り付け損ねることがあるフロート弁によって制御される油圧信号とを利用する。これらのいずれの場合でも主要な燃料の流れを遮断し損ねてタンクのオーバーフローをもたらす結果になりうる。本発明の非加圧流体レベルの遮断システムは閉ループシステムであるため、信号ホースが破損したり取り外されたり、フロート弁が故障するといったイベントの際でも、主要燃料流のチェック弁を開くためのリターン信号が存在しないため、システムは依然としてタンクの過剰充填と過剰加圧を防止する。さらに、本発明の非加圧流体レベル遮断システムで利用されるジェットセンサは実質的に可動部がないため、はるかに摩耗されにくく、たとえ破損したとしても、結果的にはタンクへの燃料の流れを停止することができなくなるのを防ぐであろう。
【0023】
例示であり限定としてではなく提供される図面を参照して、本発明は、燃料タンクのための非加圧流体レベルの遮断システム10を提供する。
図1に示すように、このシステムは、燃料タンク12と、タンク内の燃料14とを備える。燃料レシーバ16は、燃料タンクと流体連通して接続され、ジェットセンサのようなセンサ18は、例えば、燃料レシーバに流体連通して接続され、タンクにおける燃料のレベルを検出するために、燃料タンク内に露出している。燃料タンクを通気し、タンク内に蓄積することができる余分な空気圧力を軽減するために、リリーフ弁20が好ましくは燃料タンクと流体連通して設けられる。
【0024】
燃料源(図示せず)と流体連通する給油ノズル22は、典型的には、燃料レシーバと流体連通する取り外し可能な接続を形成するために設けられる。給油ノズルは、好ましくは、燃料レシーバとノズル内の圧力が閾値レベルに達したときに自動的に遮断する自動遮断ノズルである。
【0025】
図2及び
図3を参照して、燃料レシーバは、好ましくは二重弁の燃料レシーバであり、入口26、出口28、および入口チャンバ30をもつレシーバ本体24を有する。入口チャンバ30は、レシーバ入口とレシーバ出口の間に流体連通して接続され、レシーバ入口とレシーバ出口の間の主要燃料通路31を規定し、レシーバ出口に向かう燃料レシーバの主要燃料通路内の燃料の流れの方向も規定する。レシーバ入口における外部ニップルインターフェース32は、給油ノズルに接続する。レシーバ入口に隣接したレシーバ本体内部に配置された入口弁34は、レシーバ入口を密封する閉位置と、燃料がレシーバ本体に流入することを可能にする開位置との間を移動可能である。入口弁は、好ましくは、注入口を封止するニップルポペット36と、ニップルポペットに接続された管状シャフト38とを含む。入口弁は、凹部40に摺動的に嵌合され、管状シャフトの内部チャンバ44内に保持される第1スプリング42によって閉位置に向かって付勢され、ばねの一方の端ではニップルポペットに対して、他方の端では凹部の壁46に対して取り付けられている。
【0026】
レシーバ本体はまた、センサと流体連通して接続されたセンサ流入燃料通路48を含み、センサが燃料レシーバ内の燃料圧力を測定できるように、燃料レシーバからの燃料の流れを提供する。センサ流入燃料通路は、典型的には統合された開口直角チューブまたはピトー管(図示せず)を含み、これは、燃料レシーバの本体に接続されたセンサピックアップ取り付け具50につながっている。
図1を参照して、センサピックアップ取り付け具は、センサに燃料を導くセンサピックアップホース54に接続され、リターンホース52は、リターン燃料通路58を通って燃料レシーバにおけるフロー制御チャンバ60と流体連通して接続されたジェットリターン取り付け具56を用いてレシーバ本体に接続される。
【0027】
燃料がセンサ燃料通路とリターン燃料通路を流れるときにフロー制御チャンバ内の圧力を促進し、維持するために、ジェットピックアップ取り付け具およびセンサピックアップホースの直径は、ジェットリターン取り付け具およびリターンホースの直径よりも大きくなるように製造してもよい。統合された開口端直角チューブは、ジェットピックアップ取り付け具を介して入ってくる流れがフロー制御チャンバの加圧を開始するのを助け、流入する燃料からの動圧を捉えて燃料レシーバのフロー制御弁を開く。
【0028】
燃料レシーバはまた、フロー制御弁またはチェック弁62を含み、この弁は、フロー制御チャンバ内に配置された入口端66と、出口端68とを有する略管状でカップ状の弁シャフト64を含む。略管状でカップ状の弁シャフトの入口端は、フロー制御チャンバの入口部70内に配置されて嵌合され、フロー制御弁の略管状でカップ状の弁シャフトがフロー制御弁の開位置と閉位置の間を移動するように案内するフロー制御チャンバの中央ガイド72に沿って摺動自在に移動可能である。フロー制御弁は、フロー制御弁の入口端においてばねチャンバ76内に配置されフロー制御チャンバの入口端まで延びる第2ばね74によって、弁シャフトの出口端がレシーバ本体の出口を密封する閉位置に付勢される。フロー制御弁の開位置は、燃料レシーバの入口及び出口と流体連通する主要燃料通路を通って燃料が燃料タンクに入ることを可能にする。センサからフロー制御チャンバへ送られた燃料圧力を維持するために、フロー制御弁の入口端部の周りのシール78は、ばねで弾性が付けられたシールなどであり、例えば、フロー制御チャンバの内部から燃料が逃げるのを防止する。もっとも、O型リング等を含む当技術分野で公知の他のタイプのシールもまた適切である。
【0029】
フロー制御弁は、有利には燃料の流れの方向とは反対方向に開口し、それを手動で覆すことはできない。オペレータが給油ノズルを強制的にオンにするなどしても、フロー制御弁は閉じたままであり、燃料レシーバの「積極的遮断」を提供する。燃料レシーバ内の流体の流れの方向と反対の方向に開くようにフロー制御弁が動作することは、燃料レシーバの積極的遮断を達成するのに役立つ。フロー制御弁またはチェック弁が流れの方向とは反対方向に開口するという事実に加えて、フロー制御弁またはチェック弁は、好ましくは、遮断している間はレシーバに蓄積される圧力がわずかに遮断の方にバイアスされるように設計される。弁座との接触点におけるチェック弁の直径は、好ましくは、フロー制御弁またはチェック弁の摺動する管状部の直径よりもわずかに大きく、それが閉方向に作用する正味の圧力をもたらす。要するに、フロー制御弁またはチェック弁に対して作用する圧力によって生成される閉鎖力が存在し、この力は遮断が覆されるのを防止するのに役立つ。
【0030】
フロー制御チャンバが加圧されると、加圧された燃料によってフロー制御弁は閉位置から開位置へずらされ、燃料タンクを充填することができるようになる。燃料タンク内の燃料が上昇し始めると、燃料は、センサを通る燃料の流れが中断されるレベルに達する。いったんこの中断が発生すると、リターン燃料通路とフロー制御チャンバ内に蓄積した圧力は減少し、第2ばねがフロー制御チャンバ内の圧力を克服するとフロー制御弁は閉じ始める。
【0031】
センサは、好ましくはジェット(噴射)センサであり、センサ本体80、ベース部82、およびステム部84を有する。ベース部は、センサ入口86とセンサ出口88を含む。燃料の圧力流の増加を促進するために、センサ入口の直径は、典型的には、センサ出口の直径よりも大きい。ジェットセンサのステム部内に形成された燃料流路90は、センサ入口を介して燃料を受け取るセンサ燃料受け取り部92を有し、燃料ジェット流出孔94に燃料を導く。センサ燃料受け取り部の第1テーパ部96は、センサ燃料受け取り部から燃料ジェット流出孔を通って出る燃料をじょうご状に通す。その結果、テーパ部からの燃料は、切り欠き部98を横切り、流出孔混合チャンバ100を通って燃料ジェット流入孔102に放たれる燃料の流れを形成する。
【0032】
タンク内の燃料のレベルが切り欠き部のレベルまで上昇するとき、ステム部の切り欠き部は、燃料ジェット流出孔と燃料ジェット流入孔との間の燃料のストリームを燃料タンク内の燃料に対して露出させる。しかしながら、ジェットセンサが完全に燃料中に浸漬したとしても、有意な残留油圧信号を切り欠き部を横切ってジェットセンサに送信することができるので、流出孔混合チャンバは、有利には、流出孔混合チャンバと燃料タンクの間に接続され切り欠き部を横切って放たれる燃料のストリームに対して垂直に配向された補助周辺ポート95を含む。その結果、センサが浸漬されたとき、センサおよび流出孔混合チャンバのレベルにまで上昇した燃料は、ベンチュリ効果によって補助周辺ポートに引き込まれ、切り欠き部を横切って放たれる燃料のストリームと交差する補助ストリームを生成する。この補助ストリームは、センサが完全に浸漬されるとき残留流体フロー信号を劇的に低減させ、燃料レシーバにおけるフロー制御弁を完全に閉鎖することを可能にする。
【0033】
センサが燃料中に浸漬されていない場合、流入孔は、切り欠き部を横切って受け取られた燃料を第2テーパ部106において広がる狭路104に導き、その後、燃料は、移行部108に入り、移行部において燃料はUターンを完了し、細長い第2センサ部110に入り、センサ出口を通して流出する。このように、燃料が燃料タンク内の燃料の所定レベル未満であるとき、センサはフロー制御チャンバを加圧するように動作し、燃料が燃料タンク内の燃料の所定レベル以上であるとき、センサはフロー制御チャンバを加圧しないように動作する。いったん燃料タンク内の燃料レベルが切り欠き部に達すると、流出孔から流入孔への燃料のストリームは、タンク内の燃料によって中断されて浸漬され、それによって狭路および移行部への速度水頭すなわち圧力の伝送が停止する。次に、細長い第2センサ部、リターンホース、およびフロー制御チャンバにおいて圧力低下が生じ、この圧力低下によってフロー制御弁はタンク内への燃料流を閉鎖する。燃料ストリームの中断に続いてフロー制御チャンバの圧力が低下することにより、充填不足も過剰充填もなくタンクに正確な給油がなされるという結果になる。切り欠き部は、この実施の形態では検出手段であるが、燃料流路内の燃料流を遮断するための他の手段を考えてもよい。また、これに限定するものではないが、燃料流路を通る流れを中断させるための浮遊装置の使用や、燃料流を妨げる電気的手段の使用を考えてもよい。
【0034】
車両の給油時に、自動給油ノズルが燃料レシーバのニップルインターフェースに接続される。次にノズルを傾けて、第1ばねの付勢力に打ち勝って燃料レシーバ内部のニップルポペットを開く。入口を開放した状態で燃料は燃料レシーバに入り、燃料の一部がセンサ燃料通路を通って上に導かれ、燃料はセンサに至るセンサホースを通って流れる。次に燃料は上記のようにセンサを通って導かれ、リターンホースおよびジェットリターン取り付け具を通り、フロー制御チャンバに戻される。燃料がフロー制御チャンバに流入するにつれて、フロー制御チャンバが加圧され、その結果、フロー制御弁が第2ばねの付勢力に打ち勝って開く。フロー制御チャンバが完全に加圧されたとき、フロー制御弁が完全に開き、燃料が主要燃料通路を通って燃料タンクに入ることが可能になる。この時点で、リターンホースとジェットリターン取り付け具を通る更なる流れは止められ、流出孔から流入孔への切り欠け部を横切る流れが圧力を維持するのに役立つ。フロー制御弁が開いている限り、燃料は燃料タンクに入る。いったん燃料レベルがセンサに到達すると、上昇する燃料がセンサの切り欠け部を横切る燃料の流れを浸漬させて中断させ、その後、リターン燃料通路に構築された水頭が下がる。第2ばねがフロー制御チャンバ内の圧力を克服すると、フロー制御弁は閉じ始める。フロー制御弁が閉じると、背圧がレシーバ本体とノズルインターフェイス内に蓄積し、自動遮断給油ノズル上で遮断圧に到達したとき、燃料の流れが停止する。燃料タンク内の望ましくない圧力はベントによって緩和される。重要なことは、レシーバは自動遮断ノズルから独立して遮断することもでき、レシーバは遮断を支援するための感圧ノズルに依存しないことである。その結果、たとえノズルの自動遮断機構が手動で覆されたとしても、フロー制御弁またはチェック弁が開くことはない。
【0035】
本発明の特定の形態を図示し説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の改変をなすことができることは、上述の記載から明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による以外は、限定されるものではない。