(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178498
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】ベクタリングを用いた通信システムにおける不連続動作を支援する方法、装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04B 3/32 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
H04B3/32
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-513332(P2016-513332)
(86)(22)【出願日】2014年5月13日
(65)【公表番号】特表2016-519542(P2016-519542A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】EP2014059736
(87)【国際公開番号】WO2014184181
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/822,478
(32)【優先日】2013年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515067099
【氏名又は名称】ランティック ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シュトローベル,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】オクスマン,フラディミア
【審査官】
後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/102917(WO,A1)
【文献】
特表2012−531153(JP,A)
【文献】
特表2014−506754(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0195183(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおける複数のラインのクロストークを低減するステップと、
前記ベクトル化されたグループの構成が変わる場合、前のクロストークの低減に基づいて、
前記クロストーク
の低減を修正するステップとを含
み、
前記クロストークの低減を修正するステップにおいて、
ラインの集合のうちの1つのラインが非アクティブの場合、クロストークは、以下の数22によって事前補償され、
【数22】
xaiはアクティブラインaに送られる信号であり、Pは事前補償されたマトリックスであり、iは非アクティブなラインを示し、uaは前記アクティブラインに送られるデータ信号のベクトルである、方法。
【請求項2】
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおける複数のラインのクロストークを低減するステップと、
前記ベクトル化されたグループの構成が変わる場合、前のクロストークの低減に基づいて、前記クロストークの低減を修正するステップとを含み、
前記クロストークの低減を修正するステップにおいて、
ラインの集合のうちの1つのラインが非アクティブの場合、クロストークは、数23によって事前補償され、
【数23】
マトリックス反転について以下の数24によって近似が使用され、
【数24】
xaはアクティブラインに送られる信号のベクトルであり、Pは事前補償されたマトリックスであり、uaは前記アクティブラインに送られるデータ信号のベクトルである、方法。
【請求項3】
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおける複数のラインのクロストークを低減するステップと、
前記ベクトル化されたグループの構成が変わる場合、前のクロストークの低減に基づいて、前記クロストークの低減を修正するステップとを含み、
前記クロストークの低減を修正するステップにおいて、
ラインの集合のうち1つのラインが非アクティブの場合、クロストークは、以下の数25によって事前補償され、
【数25】
Hはチャネルマトリックスであり、プレコーディングは非線形プレコーディングであり、xaはアクティブラインに送られる信号のベクトルであり、Pは事前補償されたマトリックスであり、uaは前記アクティブラインに送られるデータ信号のベクトルである、方法。
【請求項4】
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおける複数のラインのクロストークを低減するステップと、
前記ベクトル化されたグループの構成が変わる場合、前のクロストークの低減に基づいて、前記クロストークの低減を修正するステップとを含み、
前記クロストークの低減を修正するステップにおいて、
ラインの集合のうち1つのラインが非アクティブの場合、クロストークは、以下の数26によってキャンセルされ、
【数26】
【数27】
数27は補正された受信信号であり、yaは受信信号であり、Gは前記集合の全ラインがアクティブのときの等化マトリックスである、方法。
【請求項5】
前記クロストークを低減するステップは、前記ベクトル化されたグループの前記複数のラインを介して送信する前のクロストーク事前補償、または、前記ベクトル化されたグループの前記複数のラインから信号を受信した後のクロストーク等化の少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記クロストークの低減を修正するステップは、ラインの前記集合における全ラインがアクティブである場合に対して、ラインの前記集合のうちのサブセットのラインのみがクロストーク低減係数に基づいてアクティブである場合に、前記クロストークの低減を行うステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記クロストーク低減係数は、プレコーダ係数または等化係数の少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電力割当の更新を行うステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記更新は、スケールファクターに基づいて行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ベクトル化されたグループの構成の変更は、不連続動作によって生じる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
トランシーバと、
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおいて複数のラインのクロストークを低減し、前記ベクトル化されたグループの構成の変更の場合、前のクロストーク
の低減に基づいて前記クロストークの低減を修正するよう適合されるクロストーク低減回路とを備
え、
前記クロストークの低減の修正について、ラインの集合のうち1つのラインが非アクティブの場合、前記クロストーク低減回路は、以下の数28によってクロストークを事前補償するよう適合され、
【数28】
xaiはアクティブラインに送信される信号であり、Pは事前補償マトリックスであり、iは非アクティブラインを示し、uaは前記アクティブラインに送られるデータ信号のベクトルである、装置。
【請求項12】
トランシーバと、
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおいて複数のラインのクロストークを低減し、前記ベクトル化されたグループの構成の変更の場合、前のクロストークの低減に基づいて前記クロストークの低減を修正するよう適合されるクロストーク低減回路とを備え、
前記クロストークの低減の修正について、ラインの集合のうち1つのラインが非アクティブの場合、前記クロストーク低減回路は、以下の数29によってクロストークを事前補償するよう適合され、
【数29】
マトリックス反転について、以下の数30による近似が使用され、
【数30】
xはアクティブラインに送られる信号のベクトルであり、Pは事前補償されたマトリックスであり、uaは前記アクティブラインに送られるデータ信号のベクトルである、装置。
【請求項13】
トランシーバと、
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおいて複数のラインのクロストークを低減し、前記ベクトル化されたグループの構成の変更の場合、前のクロストークの低減に基づいて前記クロストークの低減を修正するよう適合されるクロストーク低減回路とを備え、
前記クロストークの低減の修正について、ラインの集合のうち1つのラインが非アクティブの場合、前記クロストーク低減回路は、以下の数31によってクロストークを事前補償するよう適合され、
【数31】
Hはチャネルマトリックスであり、プレコーディングは非線形プレコーディングであり、xはアクティブラインに送られる信号のベクトルであり、Pは事前補償されたマトリックスであり、uaは前記アクティブラインに送られるデータ信号のベクトルである、装置。
【請求項14】
トランシーバと、
ベクタリングにより、ベクトル化されたグループにおいて複数のラインのクロストークを低減し、前記ベクトル化されたグループの構成の変更の場合、前のクロストークの低減に基づいて前記クロストークの低減を修正するよう適合されるクロストーク低減回路とを備え、
前記クロストークの低減の修正について、ラインの集合のうち1つのラインが非アクティブの場合、前記クロストーク低減回路は、以下の数32によってクロストークをキャンセルするよう適合され、
【数32】
【数33】
数33は補正された受信信号であり、yaは受信信号であり、Gは前記集合の全ラインがアクティブのときの等化マトリックスである、装置。
【請求項15】
前記クロストーク低減回路は、前記ベクトル化されたグループの前記複数のラインを介して信号を送信する前にクロストークを事前補償するためのクロストーク事前補償、または、前記ベクトル化されたグループの前記複数のラインから信号を受信した後にクロストークをキャンセルするためのクロストーク等化の少なくとも1つを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記クロストークの低減の修正について、前記クロストーク低減回路は、ラインの前記集合のうち全ラインがアクティブである場合に対して、ラインの前記集合のうちサブセットのラインのみがクロストーク低減係数に基づいて、アクティブである場合に、前記クロストークの低減を行うよう適合される、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記クロストーク低減係数は、プレコーダ係数および等化係数の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、電力割当の更新を行うよう適合される、請求項11から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記更新は、スケールファクターに基づいて行われる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、不連続動作によって生じる前記ベクトル化されたグループの構成の変更に応答するよう適合される、請求項11から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、配布ポイントに含まれる、請求項11から20のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本出願は、ベクタリングを用いた通信システムにおける不連続動作(discontinuous operation)に関連する方法、装置およびシステムに関する。
【0002】
〔背景技術〕
デジタル加入者線(DSL)技術は、ADSL、ADSL2、VDSL、VDSL2などのように、そのすべての歴史の中で、顧客により多くのブロードバンドサービスを提供する目的で、ビットレートを増加しようとしてきた。残念ながら、セントラルオフィス(CO)から顧客宅内(CPE)まで展開される銅ループは、かなり長く、数Mb/秒以上のビットレートでデータの送信は可能ではない。ビットレートを増加させるために、現代のアクセスネットワークは、一般的に、この出願において、配布ポイント(DP)とも呼ばれる、ストリートキャビネット、MDU−キャビネットおよび類似の構成を使用する。キャビネットは、マルチギガビットパッシブ光ネットワーク(GPON)のように、高速バックボーン通信回線によりCOに接続されており、顧客宅内の近くに設置されている。これらキャビネットまたは他のDPから、このような超高ビットレートDSL(VDSL)などの高速DSLシステムが採用される。現在のVDSLシステム(ITU−T 推奨 G.993.2)は、約1kmの動作範囲を有し、数十の範囲のMb/秒のビットレートを提供する。キャビネットから採用されるVDSLシステムのビットレートを増加させるために、最近のITU−T推奨のG.993.5は、方向あたり100Mb/秒までビットレートを増加させることを可能にするベクトル伝送が規定されている。
【0003】
アクセス通信マーケットにおける最近の動向は、100Mb/秒が十分ではなく、1.0Gb/秒までのビットレートが必要であることを示している。CPEに接続する銅のペアが50−100m程の短い場合、これは、現在の技術に基づいてのみ達成することができる。とても短いループを使用した動作は、少数の顧客に提供する配布ポイント(DP)と呼ばれる多くの小さなストリート/MDU キャビネットの設置を必要とする。
【0004】
ベクタリング(vectoring)は、高ビットレートを得るために有用である遠端クロストーク(FEXT)を軽減するために、DPのオペレーティングシステムにおいて使用される。ベクタリングを実行するために、DPから採用される全ラインからの送信は、同期している(全ダウンストリーム送信は、時間で割り当てられ、全アップストリーム送信は、時間で割り当てられる)。さらに、ダウンストリーム方向において、ベクタリングは、(DPにおいて)送信信号をプレコーディングすることによって実施され、自データおよび他のラインによって生成されたFEXTのキャンセル信号の送信を含む。アップストリーム方向において、全ラインから受信した信号は、FEXT構成要素を除去するためにDPで処理される(クロストークキャンセルまたはイコーラゼイションと呼ばれる。)。ベクタリング技術の記載の詳細は、例えばVDSL2のG.993.2に規定されているが、他の通信プロトコルが適用可能である。
【0005】
短いループを使用するオペレーションは、最近の分析によって示されるように、8−16のような少数の顧客に提供する多くの小さなDPの設置を必要とする。いくつかの場合において、24または32のような多くのユーザが存在していてもよい。DPは、とても柔軟性のある設置慣行が可能であるならば、有用である。つまり、空調なしで、軽量で、ポールまたは家の壁、または地下に設置するのが容易である。これらの柔軟な接続プランの最も困難な問題は、DPに電源を供給することである。これまで意図した解決策は、DPの機器が、接続された顧客によって供給されるとき、いわゆる「逆給電(reverse feeding)」である。
【0006】
DPの小さな内部空間と逆給電の使用は、DPの電力消費にかなりの制限を伴うかもしれない。このため、消費電力を低減するための特別な手段が開発され、新しいものが開発中である。本願は、不連続動作と呼ばれる電力節約の効率的な方法に関する。
【0007】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、いくつかの実施形態による通信システムを示す図である。
【0008】
図2は、不連続動作を説明するための図である。
【0009】
図3は、プレコーダマトリクスの2組を使用して回線上の送信を示す図である。
【0010】
図4は、実施形態における単一の配布ポイントポートのプレコーダを示す図である。
【0011】
図5A,5Bは、配布長さを有する16ラインバインダーについての信号対雑音比のシミュレーションを示す図である。
図5Aにおいて、全ラインは、アクティブであり、
図5Bにおいて、1ラインが無効である。
【0012】
図6は、マトリクス係数の更新後、
図5の例の動作を示す図である。
【0013】
図7A,7Bは、非線形プレコーディングで50m〜250mの配布長さを有する16ラインについての信号対雑音比を示す図である。
図7Aにおいて、全ラインはアクティブであり、
図7Bにおいて、1ラインが無効である。
【0014】
図8は、トムリンソン−ハラシマプレコーダを有するダウンストリームシステムモデルを示す図である。
【0015】
図9A,9Bは、非線形プレコーディングで50m〜250mの配布長さを有する16ラインバインダーについての信号対雑音比を示す図である。
図9Aにおいて、全ラインはアクティブであり、
図9Bにおいて、2ラインが無効である。チャネルマトリックスが更新され、無効のラインがプレコーダに追加された最後のものである。
【0016】
図10は、実施形態における単一の配布ポイントポートの受信装置を示す図である。
【0017】
図11は、ダウンストリーム方向にプレコーダの設定と更新を示す図である。
【0018】
実施形態は、添付の図の参照により以下に詳細に記載される。これら実施形態は、単に例示として提供され、限定的に解釈されるべきではないことに留意すべきである。例えば、実施形態が多くの詳細、特徴または要素を有するように記載されているが、他の実施形態において、これらの詳細、特徴または要素が省略および/または代わりの特徴または要素によって置き替えられていてもよい。
【0019】
以下で説明する通信接続は、直接的な接続または間接的な接続であってもよく、すなわち特定の種類の信号を送信するための接続の一般的な機能が保存される限り、接続は、追加の介在する要素の有無は関係ない。接続は、特に断りのない限り、無線接続または有線ベースの接続であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、不連続動作を使用したシステムにおけるベクタリング係数、例えばプリコーディング係数を更新するための効率的な能力が議論されてもよい。例えば、プリコードマトリックスは、アクティブラインに基づいて更新されてもよい。
【0021】
他の実施形態において、他の技術が採用されてもよい。図面を参照して、
図1には、本実施の形態における通信システムが示されている。
図1のシステムは、複数のCPEユニット14〜16と通信するプロバイダ装置10を含む。3つのCPEユニット14〜16が
図1に示され、これは例としてのみ機能し、任意のCPEユニットが設けられても良い。プロバイダ装置10は、中央オフィス機器、配布ポイント(DP)内の装置またはプロバイダ側で使用される任意の装置であってもよい。プロバイダ装置10が配布ポイントの一部である場合、例えば光ファイバ110を介してネットワークからデータを受信し、ネットワークにデータを送信してもよい。他の実施形態において、他の種類の接続が使用されてもよい。
【0022】
図1の実施形態において、プロバイダ装置10は、通信接続17〜19を介してCPE通信ユニット14〜16と通信するための複数のトランシーバ11〜13を含む。通信接続17〜19は、例えば銅線、例えば銅線のツイストペアである。通信接続17〜19を介した通信は、離散マルチトーン変調(DMT)および/または直交周波数分割多重化(OFDM)のようなマルチキャリア変調方式におる通信であってもよい。例えばADSL、VDSL、VDSL2、G.FastなどのようなxDSL通信。すなわち、データが複数のキャリアにおいて変調される通信はトーンと呼ばれる。いくつかの実施形態において、通信システムは、
図1のブロック111(例えば、プレコーダまたはイコライザのようなクロストーク低減回路)によって示されるように、ベクタリングを使用してもよい。ベクタリングは、クロストークを低減するために、送信および/または受信される信号の結合処理を含む。
【0023】
プロバイダ装置10からCPEユニット14〜16までの通信方向は、ダウンストリーム方向と呼び、CPEユニット14〜16からの通信方向は、アップストリーム方向と呼ぶことにする。ダウンストリーム方向のベクタリングは、クロストーク事前補償(crosstalk precompensation)と呼ばれ、ダウンストリーム方向におけるベクタリングは、クロストークキャンセル(crosstalk cancellation)または等化(equalization)と呼ばれる。
【0024】
プロバイダ装置10および/またはCPEユニット14〜16は、従来の通信システムで使用される通信回路(図示せず)、例えば変調、ビットローディング、フーリエ変換等のための回路を含んでいても良い。
【0025】
いくつかの実施形態において、通信接続17〜19を介した通信は、フレームベースの通信である。複数のフレームは、スーパーフレームを形成してもよい。いくつかの実施形態において、通信は、後述する時分割複信を使用する。
【0026】
いくつかの実施形態において使用される他の方法、不連続動作の他に、電力を節約する方法の1つであり、例えばDSLラインである。時分割複信(TDD)は互い違いに送信する。つまり、TDDフレームと呼ばれる送信時間の単位は、ダウンストリーム送信機会(DS_TO)およびアップストリーム送信機会(US_TO)と呼ばれる2つの部分に分けられる。DS_TOは、ダウンストリーム送信が生じる期間であり、US_TOは、アップストリーム送信が生じる期間である。不連続動作により、TOまたはTOの一部の間、データが送信されないとき、従来のシステム(フレームパディング(frame padding))で行われるように、アイドルシンボルによって時間のギャップを埋めるのではなく、送信を停止する。
【0027】
不連続動作により、特定のTDDフレームの間に特定のラインに送信されたシンボルの数は、異なっていてもよく、
図2に示される。
図2は、アクティブ送信が期限切れになることを示すマーカーを示す。また、多くの連続したTDDフレームの送信の継続期間は、予め設定され、管理通信中に、CPEに示される(TDDフレームにおいて送信されたシンボルの数を示す)。この場合、アイドルシンボル(パディング(padding))は、利用可能なデータを送信するために必要なシンボル数が通信値より少ないフレームに追加される(破線を用いて、
図2の右手側に示される)。本実施形態におけるマーカーおよびアイドルシンボルは、同時に使用されることは想定されていないことに留意すべきである。
【0028】
本実施形態における不連続動作の使用は、電力節約のために有益であり、特にアクティブユーザとビットレートの数を変更するサービスにとって有益である。DPから採用される超高ビットレートシステムについて、さらなる技術は、ベクタリングを使用して、不連続動作を容易にするよう提供される。
【0029】
不連続動作は、前に提案され、規定されていた。送信のためのデータが利用可能でないときにラインをパワーオフしている間、送信に利用可能なユーザデータがあるときに、シンボルを送信するための能力を提供する。したがって、不連続動作を用いて、特定のTDDフレームの間、ベクトル化されたグループの特定のラインを介して送信されるシンボルの数が異なる。この意味において、ベクタリングが使用されている場合、ベクトル化されたバインダのライン数は、シンボルごとに変化し、ベクタリングに関連するプレコーディング/ポストコーディングは、シンボルごとに更新される必要があり、シンボルごとのベクトル化されたグループのラインの組を変更することと同じである。従来のアプローチの全てのラインにおけるプレコーダの頻繁な更新は、超高速処理能力または事前に計算されたプレコーダ係数を記憶するための大きな余分なメモリを必要とする。両方法は、高電力消費と余分な複雑さを伴う。
【0030】
図3に示される他の従来のアプローチは、第2の方法を使用する。記憶された係数を低減するための目的で使用される。記憶された係数の1組のセットの数を低減するための目的において、ラインをグループ化するよう提供され、パディングを適用し(グループの数を最小限にするため)、TDDフレームの間、少ない時間でプリコーディングマトリックスを更新する(
図3参照)。
【0031】
図3において、2つのグループのラインがあり、パディングシンボルは、各グループの送信シンボルと同じ数の小さなグループ(2−3)を形成するために追加される。アイドルシンボル(パディング)は、通常のデータシンボルと同じ電力で送信され、そのようなアプローチで電力の節約を低減する。特定のラインの帯域が増加または実質的に減少される場合、再グループ化が必要となる。各グループについてのプレコーダマトリックスは記憶され、グループ割当の間保持されてもよい。これは、パディングが実質的に潜在的な省電力に低減する一方、従来のシステムの柔軟性を制限するかもしれない。
【0032】
実施形態において、プレコーダマトリックス(ダウンストリーム方向)およびデコーダマトリックス(アップストリーム方向)を更新する具体的な方法は、少しの係数が更新され、更新処理における特定の順序が余分な電力および複雑さがないことが可能になるよう提案される。このように、マトリックス係数を再計算することなく、いくつかの実施形態が強力な計算(および高消費電力)を回避し、シンボルベースでマトリックスを変更する。いくつかの実施形態において、これは、各TDDフレームにおいて、送信シンボルの数を選ぶときに完全な柔軟性を提供する。いくつかの実施形態における方法は、信頼性があり、サービスの質(QOS)を保証し、DPおよびCPEの両方で、効率的な省電力効率を提供する。
【0033】
次に、ダウンストリームのベクトル化された動作について説明する。
【0034】
いくつかの実施形態におけるダウンストリームベクタリングの機能モデルは、
図4に示されている(LDは、ラインドライバの略で、AFEについてはアナログ・ウロントエンド、IFFTについては、逆高速フーリエ変換である。)。ベクトル化されたプレコーダは、FEXT(遠端クロストーク)を補償するために送信器に含まれる。プレコーダの一方の入力は、トーン(i),z(i)におけるラインについての実際の送信信号であり、他の入力は、ベクトル化されたグループからであり、FEXTキャンセルを意図している。プレコーダは、プリコーディング係数および他のラインによって生成されるFEXTを補償するための特別な処理を介して他のラインからの入力をラインiに適用する。
【0035】
2つのタイプのプレコーダ(つまり、線形および非線形)は、従来使用されている。線形プレコーダにより、FEXTキャンセル信号は、バインダ中のFEXT結合を示す選択された複素係数の乗算の後、送信信号z(i)に追加される。非線形プレコーダにより、MODのような非線形動作は、ノイズに対するベクタリング性能を向上させるために使用される。
【0036】
不連続動作が使用される場合、各ラインは、各TDDフレームにおける異なる数のシンボルを送信する。それは、あるシンボル(時間は、
図2のライン2について、T2を示す)から実際のベクトル化されたラインの数が変更することを示す。それは、各シンボルの後に変更してもよい。ラインが送信を停止すると(
図2のライン2が時間T2のとき送信を停止する)、他のラインに生成されたFEXTに変更を生じさせ、他のすべてのラインにおけるプレコーダ係数は、この変更に対応するよう更新される必要がある。したがって、プリコーディングマトリックスは、いくつかの場合において、更新されたすべてのシンボルである必要がある。
【0037】
更新に伴う複雑さと処理は、プリコーディングの種類に依存しているかもしれない。最悪の場合、全ての残りのラインのプリコーディングマトリックスは、全ての可能なシンボルの組合せに関連する全マトリックスを保持するための大容量のメモリを必要とするセッションの前の送信機で取得され、記憶される。これは、実用的ではないかもしれない。したがって、上述の従来のアプローチは、複雑性の増加を利用するために、
図3に示されるように、ライングルーピングおよびラインパディングを使用する。
【0038】
不連続動作の間、ONとOFFのラインの切り換えがラインのインピーダンスの本質的な変更を伴わないことに留意すべきである。送信機または受信機のインピーダンスが本質的に変化した場合、バインダにおいて、全ライン間でFEXT結合の実質的な変更が生じるかもしれない(特に高周波数で)。これは、係数の更新より前に、チャネルを再推定する必要があるかもしれず、シンボル毎のベースで行うことは不可能である。したがって、以下の説明では、不連続動作の間、ON/OFFに関連して実質的なインピーダンスが変更しないことが想定され、その想定は、少なくとも多くの実用的な状況に適用可能な良好な近似である。
【0039】
インピーダンスが変わらない場合、残っているアクティブラインのマトリックスが更新されないならばベクトル化されたグループから1以上のラインの除去によって実質的な性能低下を生じる。また、低下の特定の値は、プリコーディングの種類に依存する。
【0040】
図5の例は、線形プリコーディングを使用して、16ラインバインダーのラインのSNR低下についてのシミュレーション例を示し、ちょうど1ラインの除去によって生じる。いくつかのラインのSNR低下は10dB以上であり、明らかに受け入れられない(
図5Aは、全ラインがアクティブの状態におけるSNRを示し、
図5Bは、1つのラインがオフされた状態におけるSNRを示す。)。
【0041】
再度SNRを改善するために、マトリックス係数の更新が必要である。関連するマトリックス係数の更新後、
図6に示されるように、SNRは、バスクになる(get bask)。
【0042】
非線形プレコーディングを使用する16ラインバインダーについて(いくつかの従来のアプローチで提案されているトムリンソン−ハラシマベクトル化プレコーディング)、グループの1つのラインが無効になった後のSNRの変更は、はるかに劇的である。SNRの低下は、
図7A,7Bに示されており、
図7Aは、1つのラインが無効になる前のSNRを示し、
図7Bは、無効になった後のSNRを示す。
【0043】
次に、この実施形態における線形プレコーダを用いた不連続動作を述べる。
【0044】
いくつかの実施形態は、不連続動作を有し、線形プレコーダを使用する方法または装置であり、係数更新のための計算の最小化をもたらし、それによりいくつかの実施形態においてシンボルベースで行われる。
【0045】
線形プレコーディングを用いて、受信信号数1が以下のように示される。
【0048】
uは、プレコーディングの前の送信信号であり、Hは、チャネルマトリックスであり、Pは、プレコーダマトリックスである。周波数等化(FEQ)マトリックスGは、等化を簡単にするために、チャネルマトリックスHの一部としてみなされる。
【0049】
いくつかのラインが電力を節約する目的で無効になっている場合、チャネルマトリックスHおよびプレコーダマトリックスPの対応する行および列が0に設定される。
【0050】
したがって、アクティブ(a)のラインおよび無効(d)のラインのマトリックスに分ける。ラインの非アクティブの前に、完全なクロストーク事前補償のために、以下が成り立つ。
【0052】
Iは、主対角線内において、0ではない要素を有するユニタリマトリックスである。無効なラインでは(不連続動作による)、数3が満たされ、異なるマトリックスP’
aaを必要とする。
【0054】
行列反転補助定理(matrix inversion lemma)に基づいて、数4は、アクティブラインについてマトリックス係数の計算のために設けられる。
【0056】
この単純な係数再計算を用いて、マトリックスは、いくつかのラインが無効になったあと、直交性を維持するために減少することができる。1つだけラインが無効になり、Pの対角要素が1に等しい場合、数5は以下のように簡単になる。
【0058】
本方法が不連続動作のために使用される場合、ラインの非アクティブは、一時的であり、係数の再計算は不利である。しかしながら、数6の演算は、プレコーディング処理に組み込まれる(すなわち、プレコーディング中に乗算と加算の順序を変更することによって実現することができる。)。これは、追加の計算リソースを必要としない。
【0059】
全アクティブラインについて、以下の式がある。
【0061】
xは、プレコーディング後の送信信号(s)である。1つの信号ラインについての送信信号は、数7によって与えられる。
【0063】
1つのラインが非アクティブのとき、以下の式を得る。
【0065】
したがって、残りのアクティブなラインについて、1つのラインが非アクティブ(不連続のとき)の場合、以下の式を得る。
【0067】
この式は、全ラインがアクティブのときと同一のプレコーダ係数を使用する。
【0068】
数9は、プレコーディング出力の計算が、全ラインがアクティブのときと同じ数の多重蓄積(MAC動作)を有する。それは、全ラインについて値P
ad・u
aが計算され、対応する係数P
idによって各ラインについて計測される必要であるためである。
【0069】
1以上のラインが不連続である場合、数10は、これが多くのシングルラインの連続的な比アクティブとしてみなされるため、成り立つ。したがって、1以上のラインが非アクティブのとき、アクティブラインについてのMAC動作の数は、同じである。
【0070】
連続計算は、数11におけるマトリックスP
ddの行列の反転である。
【0072】
P
−1ddについての係数の再計算を避けるために、数12における行列反転(matrix inversion)の一次近似が使用される。
【0074】
1以上のラインが無効のときに、対角の1の想定(初期PSD正規化の結果)は成り立たない。したがって、この方法は、送信PSDの変更を生じるかもしれない(プレコーダの出力について)。いくつかのラインは、以前よりも多くの電力を伝える一方、他のラインは少ない電力を伝える。しかしながら、これらPDSの変更は、かなり小さく(2−4dB)、不連続動作が生じるように、ラインがかなり短い時間有効でランダムに無効である場合、その平均スペクトルは増加しない。
【0075】
次に非線形プレコーダを有する不連続動作が述べる。
【0076】
トムリンソン−ハラシマ非線形プレコーダのモデルは、フォワードマトリックス(forward matrix)P
f、フィードバックマトリックス(feedback matrix)P
bおよび等化対角マトリックス(equalizer diagonal matrix)Gとともに
図8に示されている。nは、ノイズを示す。
【0077】
非非線形プレコーダマトリックス(P
bおよびP
f)は、下記の数13〜16によって与えられる。係数は、数13におけるQR分解に基づいて計算される。Qは、ユニタリマトリックス(unitary matrix)であり、Rは、上三角形マトリックス(upper triangular matrix)である。マトリックスΠは、データストリームの符号化順序を規定する置換マトリックスである。
【0082】
本実施形態において、不連続動作について、符号化順序は、最初に無効なラインが最初にエンコードされるよう選択される。そうすることによって、無効なラインの入力信号が0に設定される場合、対応するモジュロ出力信号(modulo output signal)u
modも等しく0であり、非線形動作は変更されない。
【0083】
実施形態において、ラインがプレコーディングマトリックスに加えられた順序と逆の順序で不連続である場合、残りのラインのSNRへの影響は、
図6に示されるもの(右側)より劇的ではない。すべてのラインを介した送信期間がTDDフレームの開始より前に知られている場合、その技術が可能である(すなわち、既知の値T
1,T
2,..,T
Nを用いて、
図1の時間T
0より前にマトリックスが計算される場合)。
【0084】
しかしながら、いくつかの場合において、性能に影響があるかもしれない。これは、信号MOD(モジュロ)動作の出力において信号u
modがマトリックスP
fによって変換され、対応するラインの非アクティブによって生じる低下を避けるために0でなければならないためである。
【0085】
したがって、いくつかの実施形態は、数17によって与えられる非アクティブより前に送信されるラインの信号を置換することを含む。
【0087】
プレコーダマトリックスP
fが変更されない場合、数17における演算は、残りのアクティブなラインへの送信信号を計算するよう行われる。線形プレコーダの場合に対して、マトリックス(H
−1aa・H
ad)についての追加の係数が必要となる。
【0089】
プレコーダマトリックスのこの変更は、線形プレコーダの場合と同様に、送信PSD(パワースペクトル密度)の変更を生じる。線形プレコーダの場合と同様に、本実施形態において、不連続のラインがバインダを介して送信される全電力を減少させるので、有害であると思われない。P
fの更新後、例のシナリオにおいて、SNRは、改善し、不連続動作前の達成値に戻る。
【0090】
例が
図9A,9Bに示される。
図9Aは、全ラインがアクティブである場合を示し、
図9Bは、2つのラインが無効で、係数を更新することについて開示された技術が適用される場合を示す。
【0091】
次に、アップストリームベクトル化された動作について述べる。受信機(例えば、DPにおける)の機能モデルが
図10に示されている。デコーダの出力は、ラインから受信した信号の組成であり、マトリックス係数を乗じたすべての他のアクティブラインから受信した信号の合計であり、クロストークキャンセルまたは等化に対応する。
【0092】
特定のラインの受信機がオフになっている場合、デコーダの対応する入力は0であり、ラインによって運ばれるFEXT要素も0である。したがって、ダウンストリームの場合と類似して、受信機は、送信ラインの変更の数に基づいて、デコーダマトリックスの係数を更新する。これは、ダウンストリームの場合にかなり類似している。しかしながら、そのような係数の再計算は、FEXTに関連したSNRを向上させながら、いくつかの場合において、いくつかのラインにおける背景ノイズの増加を生じる。少なくとも最も関連性の高い場合について、これは、軽微であると予想される(実際、最も関連性の高い場合、背景ノイズが減少する。)。
【0093】
次に、クロストークキャンセルまたは等化についてのデコーダマトリックス係数の更新が述べられる。
【0094】
以下の分析について、不連続動作が使用される場合、無効ラインからのデコーダの入力は、0になる(受信機がオフであるが、ラインのインピーダンスは、(FEXT結合において変化を避けるために)変化しない。)。
【0095】
いくつかの実施形態における更新マトリックスの係数は、ダウンストリームに類似する方法で、見つけることができる。
【0096】
数2に類似のアップストリームモデル:
【0098】
ここで、イコライザマトリックスGは、0ではない対角要素を有し、クロストークキャンセルのために使用される。数5,19に類似するデコーダの係数補正:
【0100】
数20における係数再計算の代わりの受信信号の補正:
【0102】
受信信号yがノイズを含む受信信号からなるため、これは、ノイズ環境を変更する。:H・u+n。
【0103】
このノイズは、送信PSDの一時的な増加またはビットローディング変化によって補われる。両方の場合について、追加のプロトコルは、いくつかの実施形態において必要になる。
【0104】
いくつかの実施形態において、上述のデコーダマトリックス係数の更新を避けるために、受信機は、ラインに集まったFEXT信号がデコーダに追加されるように、動作を継続する。これは、AFE、FFTおよびONの状態のプレコーダを必要とする。ダウンストリーム方向と同様に、使用される周波数スペクトルが100MHzに制限される場合、AFEのダイナミックレンジは、減少する(とても少数のペアが負に近い、または、負のインパルス対SNR比率を有するか、それを有するペアがない。)。これは、追加の省電力を与える。
【0105】
次に、いくつかの実施形態における高速電力配分の更新について述べる。
【0106】
ダウンストリームにおいてPSD増加およびアップストリームにおいてノイズ増加を避けるために、送信サブキャリアゲインの高速更新は、いくつかの実施形態において使用される。
【0107】
ダウンストリーム方向において、送信ゲインは、プレコーダの出力が送信PSDを乱さないように、プレコーダの入力を計測する。非アクティブのラインについてのスケール係数の更新は、次のTDDフレームのためにDPによって予め計算され、CPEと通信する。
【0108】
アップストリーム方向において、CPEは、次のTDDフレームに含まれる構成について、サブキャリアゲインテーブルの更新を受信する。ダイレクトチャネルが送信機と受信機との間で強いパスと想定される100MHzまでの周波数では、このスケーリングは、平均的に性能が向上する。
【0109】
線形プレコーダを含む実施形態において、DPにおけるトランシーバは、プレコーダマトリックスを計算し、ベクトル化されたグループの初期化時にPSDを正規化する。さらに、各TDDフレームにおける各信号の位置DPは、上述の方法を用いて、実際のアクティブラインに基づいたプレコーダマトリックスを更新する。同様に、DPは、初期化の間デコーダマトリックスを計算し、上述の方法を用いて、シンボル対シンボルベースで、それを更新する。
【0110】
DPは、1以上のラインが長期間の非アクティブになっている場合、送信PSDの正規化を調整することができる。ダウンストリーム方向におけるビットローディング調整は、この処理の一部であってもよい。
【0111】
線形プレコーダを含む他の実施形態において、特定のTDDフレーム(
図11のフレームNにおけるライン1,5)またはTDDフレームの特定のグループについて全アクティブラインを考慮に入れて、各TDDフレームまたは同一のTDDフレームのグループ(
図10)の開始時に、DPはプレコーダ係数を再計算し、PSD正規化を更新する。
図10における例について、DPは、セクション5.1.2に規定される方法を用いて、アクティブラインに基づいて、プレコーダマトリックスの3つの更新を行う。アップストリームデコーダマトリックスは、上述の任意の方法を用いて、シンボル対シンボルベースで更新されてもよい。
【0112】
PSD正規化は、同一のビットローディングを維持することを可能にする範囲内で行われても良い。それ以外の場合、ビットローディングは、TDDまたはTDDフレームのグループについて調整される必要がある。
【0113】
非線形プレコーダを含む他の実施形態において、DPは、ラインの順に、TDDフレームの間において、不連続である各TDDフレームまたは横溢のTDDフレームの各グループ(スーパーフレーム)の開始時に、プレコーダ係数を再計算する。
図11におけるシナリオでは、TDDフレームについて、Nラインは、♯5,♯2,♯1,♯3の順にプレコーダされてもよい。TDDフレーム(N+1)について、♯6,♯5,♯2,♯1,♯3の順にプレコードされてもよい。各アップデートにおいて、DPは、上述の任意の方法を用いて、適切にフィードフォワードマトリックスP
fを修正する。
【0114】
PSD正規化は、同一のビットローディングを維持することが可能な範囲で行われてもよい。それ以外の場合、ビットローディングは、調整される必要がある。これは、同一のTDDフレームのグループについての可能であり、PSD正規化は、再計算され、ビットローディングの変更は、CPEと交換される。
【0115】
他の実施形態において、同一のTDDフレームについてプレコーダを更新するために、パディングは、いくつかのフレームのいくつかの送信に加えられる。すべての上述の実施形態において、受信機からの動作は、ビットローディングまたはサブキャリアゲインが修正されるとき以外、必要ではない。ビットローディングの新たな値およびゲインを交換する方法は、些細なことであり、本発明の範囲を超えている。
【0116】
実施形態は、特別なプレコーディング更新技術(方法およびアルゴリズム)およびこれら更新に関するプロトコルを導入する。提案の実施形態は、新しいG.fast基準の一部として提示する。
【0117】
いくつかの実施形態において、不連続動作を採用するベクトル化補正ネットワークが提供される。方法または装置は、プレコーダマトリックスを更新し、係数が更新される必要があるデコーダまたはポストコーダのマトリックスを更新する。
【0118】
上述の実施形態は、例として提供し、他の技術が同様に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【
図1】いくつかの実施形態による通信システムを示す図である。
【
図3】プレコーダマトリクスの2組を使用して回線上の送信を示す図である。
【
図4】実施形態における単一の配布ポイントポートのプレコーダを示す図である。
【
図5A】配布長さを有する16ラインバインダーについての信号対雑音比のシミュレーションを示す図である。
【
図5B】配布長さを有する16ラインバインダーについての信号対雑音比のシミュレーションを示す図である。
【
図6】マトリクス係数の更新後、
図5の例の動作を示す図である。
【
図7A】非線形プレコーディングで50m〜250mの配布長さを有する16ラインについての信号対雑音比を示す図である。
【
図7B】非線形プレコーディングで50m〜250mの配布長さを有する16ラインについての信号対雑音比を示す図である。
【
図8】トムリンソン−ハラシマプレコーダを有するダウンストリームシステムモデルを示す図である。
【
図9A】非線形プレコーディングで50m〜250mの配布長さを有する16ラインバインダーについての信号対雑音比を示す図である。
【
図9B】非線形プレコーディングで50m〜250mの配布長さを有する16ラインバインダーについての信号対雑音比を示す図である。
【
図10】実施形態における単一の配布ポイントポートの受信装置を示す図である。
【
図11】ダウンストリーム方向にプレコーダの設定と更新を示す図である。