(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
洗剤製品の製造は、洗剤の製造それ自体のみならず、充填も伴う。簡単なように見えるかもしれないが、洗剤の充填は、特に液体洗剤の場合に複雑な問題となり得る。
【0003】
低粘度の流体は、特に容器を手で絞ることによって投与が行われるときに、投与の容易性という観点から魅力的である。低粘度はまた、流体が希釈形態で使用される場合に、溶解を向上させることに寄与する。低粘度の流体は、注入条件(高剪断)下で低粘度を示すニュートン又は非ニュートン流体であることができる。
【0004】
低粘度の流体の充填は、充填中の空気の取り込み及び流体の跳ねなどの関連する問題を有し得る。空気の取り込みは、流体が、対応する容器中に投与されるときに起こり得る。一度空気が封入されると、それを除去するのは極めて困難である。封入された空気は、洗剤の微生物学的安定性に悪影響を与え得る。跳ねは充填ラインの清掃を必要とする場合があり、このことはコストを増加させ得る。跳ねは、充填速度の減速によって対処し得るが、代わりに生産性を減少させ、かつ充填コストを増加させ得る。跳ねはまた、注入される容器の開口部の直径を増加させることで対処することもできるが、通常、開口部は、送達の制約によって決定される一定の直径を有する。洗剤は、注入不足又は溢れにつながり得る注入中の泡形成という更なる問題を有し得る。
【0005】
単一の容器中に充填されるときにそれらの独自性を保つ複数の別個の流体は、審美的に非常に快くあり得る。これらはまた、非相溶性成分の分離の利点を提供し得る。以前に明らかにした問題に加えて、更なる困難は、充填及び保管中の流体の相互との混合を回避することであり、これは、流体が低粘度を有するときにより深刻である。理論的には、これは粘度を増加させることによって対処し得るが、このことは、製品の投与及び溶解に影響を与えることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、流体の空気混入、跳ね、及び泡形成を改善させる充填プロセスを提供することである。更なる目的は、単一の容器中に充填された異なる流体の混合を減少させるプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、洗剤組成物を充填するためのプロセスに関する。プロセスの第1の工程は洗剤組成物を作製することであり、この工程は周囲温度で行うことが好ましい。洗剤は、単一の流体の形態、又は複数の流体の形態にあることができる。本明細書における「複数の流体」は、2つ以上の区別可能な流体、すなわち、少なくとも1つの成分において異なる流体と理解される。大部分の場合には、流体は視覚的に区別可能である。複数の流体のうちの各々の流体は、同時に又は異なるときに、好ましくは異なる槽から、別個に送達され、各々は、相互に大きく混合されることなくその独自性を保つ。複数の流体は共に洗剤組成物を形成する。
【0008】
本発明の目的は、冷却によって流体(単数又は複数)のレオロジーを改変して、所望の利益を得ることである。流体は、周囲温度で(すなわち、積極的に加熱することなく)作製し、次いで、求める利益(単一の流体の場合には、空気混入、跳ね、及び起泡の減少、並びに複数の流体の場合には混合の更なる減少)をもたらすような温度に冷却することが好ましい。
【0009】
本明細書における「最終」流体は、充填される準備が整っている流体を意味する。本発明の目的では、「最終」流体は、微量成分の存在を含むか、又は除外することができる。本明細書における微量成分は、組成物の3重量%未満、好ましくは組成物の2重量%未満、及びとりわけ1重量%未満、及びなおとりわけ0.5重量%未満の濃度で洗剤組成物中に存在する成分を意味する。微量成分は、それらが通常はレオロジーへの目立った影響を有しないため、冷却の前又は後に、最終流体に添加することができる。典型的な微量成分としては、酵素、香料、染料などが挙げられる。微量成分は、冷却の前に、「最終」流体に添加することが好ましい。冷却後に微量成分を「最終」流体に添加する選択肢も、本明細書で構想される。
【0010】
洗剤を作製する工程は、単一の最終流体、又は複数の最終流体をもたらす。この工程の後に、冷却された流体をもたらすための冷却工程が続く。本明細書における「冷却」は、本発明の利益を生じさせ得る粘度の減少を達成するために、最終流体の温度を積極的に下げることを意味する。温度の低下は、通常、工学的処置によって起きる。温度の低下は、最終流体を、熱交換器などの任意の冷却手段にかけることによって達成することができる。最終流体の温度は、少なくとも2℃、より好ましくは少なくとも5℃、及びとりわけ少なくとも10℃減少させることが好ましい。最終流体は、冷却に付す前は周囲温度であることが好ましい。最終流体の温度は、周囲温度を少なくとも2℃、より好ましくは少なくとも5℃、及びとりわけ少なくとも10℃下回って減少させることが好ましい。本明細書における「冷却された」流体は、温度を、好ましくは最終温度から、好ましくは少なくとも2℃、より好ましくは少なくとも5℃、及びとりわけ少なくとも10℃低下させた、最終流体を意味する。前記最終温度は、好ましくは周囲温度である。本発明の目的では、周囲温度は、洗剤組成物の作製を行う温度である。これは積極的な加熱を伴わない。周囲温度は、15℃〜25℃の範囲であることが好ましい。
【0011】
冷却は流体のレオロジーを一時的に改変し得、この改変こそが、より簡便な流動プロファイルをもたらし、本明細書で前述した問題を改善させるか、又は更に回避させ得る。理論に拘束されないが、冷却は、粘度の増加に寄与することにより、空気の封入及び跳ね、並びに複数の流体の場合には容器の注入及び保管中の混合を減少させると考えられている。
【0012】
冷却工程の後には送達工程が続き、ここでは、冷却工程から得た冷却された流体を容器中に送達する。その後、任意選択ではあるが好ましくは、注入した容器を周囲温度にさらされる。
【0013】
本発明のプロセスは、洗剤の配合者に向上した自由度を与える。配合者は、最終製品の部分を形成することになる流体の粘度という観点から制約を受けず、本発明のプロセスが洗剤の粘度の一時的な改変を可能にして注入プロセスを最適化するため、配合者は注入プロセス中の粘度を考慮に入れずに配合するであろう。
【0014】
流体のレオロジーは、必要とされる冷却の程度を決定し得る。冷却は、流体の凝固点を上回るべきであり、流体の凝固点を好ましくは2℃、より好ましくは4℃上回る。さもないと、流体を解凍するときに、洗剤の構造が改変され得る。
【0015】
本発明のプロセスは、低粘度のニュートン流体の充填、及び周囲温度において高剪断速度で低粘度を有する剪断減粘性流体に特に好適である。ニュートン流体の場合には、流体は、本明細書において以下に記載する方法を使用して20℃で測定した場合に、約100mPa秒〜約10,000mPa秒、より好ましくは約200mPa秒〜約8,000mPa秒、及びとりわけ約300mPa秒〜約5,000mPa秒の粘度を有することが好ましい。
【0016】
剪断減粘性製品は、消費者の観点から非常に魅力的である。一部の消費者は、製品の粘度の高さを品質の高さと関連付ける。剪断減粘性製品は、容器内の製品の粘度のある外観を、高剪断速度での低粘度に由来する容易な注入と組み合わせる。剪断減粘性流体の場合には、流体は、本明細書において以下に記載する方法を使用して20℃で測定した場合に、約100mPa秒〜約10,000mPa秒、より好ましくは約200mPa秒〜約8,000mPa秒、及びとりわけ約300mPa秒〜約5,000mPa秒の高剪断粘度を有することが好ましい。流体は、本明細書において以下に記載する方法を使用して20℃で測定した場合に、約10,000mPa秒〜500,000mPa秒の低剪断粘度を有することが好ましい。
【0017】
本明細書における「低粘度」は、本明細書において以下に記載する方法を使用して20℃で測定した場合に、約100mPa秒〜約10,000mPa秒、より好ましくは約200mPa秒〜約8,000mPa秒、及びとりわけ約300mPa秒〜約5,000mPa秒の粘度を意味する。
【0018】
本明細書における「高剪断」は、本明細書において以下に記載する方法に従って20℃で測定した場合に、10s−1の剪定断速度を意味し、本明細書における「低剪断」は、0.01s−1の剪断速度を意味する。
【0019】
好ましい実施形態では、冷却は、最終流体が送達手段に進入する直前に行い、このことは、流体又は複数の流体を単一のノズルなどの単一の送達手段から送達する場合に極めて有利である。このことはノズル内混合を防止する。このことはまた、それが容器内混合につながり得る容器中の跳ねを防止することができるため、流体を異なる送達手段から送達する場合に役立つことになる。一実施形態では、流体は、それらが送達手段に進入する前に、タンク中で事前に組み合わせることができる。
【0020】
他の実施形態では、冷却は送達手段内で行う。
【0021】
複数流体を含む洗剤の場合には、2つ以上の流体を、他の流体と同一の又は異なる温度で冷却することができる。好ましい実施形態では、複数の流体のうちの少なくとも1つを冷却して、残りの流体と同一の粘度を達成する。複数の流体の粘度及び好ましくはレオロジーが一致する(すなわち、10%未満、より好ましくは5%未満、及びとりわけ2%未満で異なる)とき、注入中の模様生成のより良好な制御が達成されることが見出されている。
【0022】
複数の流体は、組成の点で、又は外観の点で異なり得る。本明細書では、視覚的に区別可能な流体が好ましい。この種の流体との混合を減少させることが非常に重要であり、さもないと製品の外観がそれほど良くなくなる。
【0023】
複数の流体は、単一又は複数の送達手段から送達することができる。複数の視覚的に区別可能な流体の場合には、これらは、非常に魅力的な外観を有し得る。注入プロセスに応じて、異なる模様を達成することができる。好ましい実施形態では、注入は回転下で行う。これは、容器を回転させることによって、又は回転式送達手段を使用することによって、行うことができる。注入中に容器を回転させることが好ましい。容器を回転を受けさせながら底部から上部に注入することが好ましく、このことが、複数の流体の非常に魅力的な視覚効果を生じさせ得る。異なる実施形態では、注入は振動下で行う。これは、容器又は送達手段を振動させることによって行うことができ、本明細書では、非常に魅力的な視覚効果を生じさせ得る容器の振動が好ましい。充填した洗剤の外観は、注入中に容器の振動を調整することによってデザインすることができる。非常に魅力的な模様はまた、注入中の回転と振動との組み合わせを使用することによって達成し得る。
【0024】
複数の流体の場合には、異なる模様を達成することができ、これらは例えば、ストライプ模様、大理石模様、直線的模様、中断ストライプ模様、チェック模様、斑点模様、すじ模様、クラスター模様、斑紋模様、幾何学模様、まだら模様、リボン模様、らせん模様、渦模様、配列模様、ふ入り模様、織物模様、溝模様、隆起線模様、波形模様、正弦波模様、渦巻き模様、ねじれ模様、曲線模様、周期模様、縞模様、横紋模様、輪郭模様、不均等模様、レース模様、織り込み若しくは編組み模様、モザイク模様、及びこれらの組み合わせである。視覚的に区別可能な流体の各々は、透明、半透明、又は不透明であってもよく、目に見える懸濁粒子、(マイクロ)カプセル、又は気泡を含んでもよい。典型的には、これら粒子は、長さが10〜5000ミクロンの粒径を有する。視覚的に区別可能とは、例えば、異なる色彩若しくは無色、濃淡、透明度、内包物、又は粒子を持つ流体を含み得る。このことは、流体が2つの非常に類似した組成物を含むことを妨げるものではなく、一方の組成物は、異なる濃度の着色剤、乳白剤、粒子、(マイクロ)カプセル、気泡、及び他の種々の(任意選択の)成分を含むことによってのみもう一方の組成物と異なり得る。
【0025】
本発明のプロセス中で使用する洗剤組成物は、界面活性剤、及び好ましくはレオロジー変性剤、より好ましくは構造化剤、及びとりわけ外部構化造剤を含むことが好ましい。洗剤は、食器手洗い用洗剤であり、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を含む界面活性剤系であることがより好ましい。アニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩又はアルキルエトキシ硫酸塩又はこれらの混合物を含み、両性界面活性剤は、アミンオキシドを含むことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、洗剤組成物を容器に充填するためのプロセスを目的とする。洗剤は流体形態にある。プロセスは、流体を、それが容器中に送達される前に冷却する工程を伴う。プロセスは、充填中の空気混入、跳ね、及び泡形成の回避を含む多数の利益を提供し、複数の流体を含む組成物の場合には、充填及び保管中の異なる流体の混合を回避する。
【0027】
本発明の洗剤組成物は、ペースト、ゲル、液体などを含む流体形態にある。本洗剤は、食器手洗い用洗剤であることが好ましい。
【0028】
容器は、概してボトル、好ましくは狭口ボトルである。容器は透明であることが好ましい。2つ以上の流体を含有する透明の容器が、本明細書における使用のためには特に好ましい。容器は、異なる流体を分離させるための内部の仕切りを有しないことが好ましい。
【0029】
本発明のプロセスは、各流体を供給槽に入れることによって実行することができる。供給槽は典型的にはステンレス鋼であり、処理装置を停止しなくてもこのような槽を交換することができるように流れが止められるバルブがこれらの底部に装備されている。
【0030】
接続ライン又は供給ラインは、各流体の供給槽と連通している。供給ラインは、該流体をこれらの対応する供給槽から移送するのに有用な、ステンレス管又はホースなどの硬質管又は可撓性管の形態であることができる。該供給ラインは供給槽からインラインポンプを装備してもよく、これによって供給ラインを加圧して、それが接続している供給槽からの持続的又は安定的な流れを確実にする。供給ラインはインラインポンプで硬質配管することができ、あるいは供給ラインは圧力下になくてもよく、対応する流体は供給槽から漏斗に送られ得る。
【0031】
容積式流量計、及び/又は質量流量計を利用して、ポンプを調整し一定流量を確実にすることができる。これはまた、定量型ポンプを利用して各流体の必要な容積又は質量を送達することにより達成することができる。
【0032】
供給手段は、流体を送達手段中に提供し得る。流体又は複数の流体は、例えば熱交換器を使用することによって、進入の前に、又は送達手段内で、冷却され得る。熱交換器の例としては、チューブインチューブ型、シェルアンドチューブ型、プレートアンドフレーム型、スパイラル型、フィンファン型、及びかきとり面形熱交換器が挙げられる。流れの配置に関して、熱交換器は、並流交換器又は向流交換器であることができる。本明細書における使用のための熱交換器の型は、必要な冷却の程度及び速度によって決定する。
【0033】
送達手段は、単一のノズル又は複数のノズルであり得る。流体は、事前配合タンクを使用して組み合わせることができる。
【0034】
注入は、Mengibarによって提供されるもののような従来の注入装置を使用して行うことができる。
【0035】
好ましい実施形態では、流体は回転下で送達される。例えば、容器は、パック又はボトルホルダー中に固定し得る。回転台は、容器を駆動機構により決定された速度で回転させる。台の駆動機構は、変速機構又は定速機構であることができる。あるいは、複数のノズルのうちの少なくとも1つを回転させることによって、回転を可能にしてもよい。好ましい実施形態では、送達ノズル対容器の垂直相対運動が可能となり、これはすなわち、事前に充填した流体(複数可)の送達開始時にはノズル(複数可)は容器の底部に近接し、その後、液体容積が容器中に増加するにつれて、徐々に上方に移動するということである。容器は、本製品に好適な任意の容器であることができる。容器は透明なPETボトルであり、最終組成物の模様が消費者に可視であることが好ましい。
【0036】
本発明は、複数の液体の場合に非常に魅力的な模様を生じさせ得る複数の実行を対象とする。例えば、容器に第1の流体を注入し、その後、ノズルを第1の流体に浸し、第2の流体を、回転、振動、垂直変位、又はこれらの混合の下で送達し得る。この種の充填プロセスは、極めて視覚的に魅力のある模様を生じさせる。魅力のある模様はまた、2つの流体を、例えば、異なる速度、異なるノズル形状又はサイズ、異なる種類のノズル移動などの異なる送達条件下で、同時に送達することによって達成することができる。
【0037】
本明細書における最終流体は、好ましくは、ニュートン又は非ニュートン流体であり得る。ニュートン流体の場合、粘度は、20℃で100〜10,000mPa秒であることが好ましい。
【0038】
非ニュートン流体の場合、最終流体(複数可)は、好ましくは剪断減粘性であり、より好ましくは約100mPa秒〜約10,000mPa秒、更により好ましくは約200mPa秒〜約8,000mPa秒、及びとりわけ約300mPa秒〜約4,000mPa秒という20℃で測定した場合の高剪断粘度を有する。また別の実施形態では、剪断減粘性流体は、本明細書で更に詳細に記載するように、約10,000mPa秒〜約500,000mPa秒、約100,000mPa〜約400,000mPa秒、及び好ましくは約200,000mPa秒〜約300,000mPa秒の低剪断粘度を有する。
【0039】
剪断減粘性流体の粘度は、従来法、特に直径40mm及び間隙サイズ500μmにて鋼板スピンドルを使用することによって、TA instrumentsのAR G2レオメーターを使用して決定することができる。0.01s−1における低剪断粘度、0.1s−1における中剪断粘度、及び10s−1における高剪断粘度は、20℃で対数剪断速度掃引から得ることができる。手順は、予調整工程、0.01s−1でのピークホールド工程、及び0.01s−1から100s−1までの流量増加工程の3つの工程からなる。予調整工程は、30秒間10s−1での前剪断力からなる。その直後に0.01s−1でのピークホールド工程が続き、10秒ごとに試料点を取る。8つの連続した試料点の粘度は2%の公差以内である場合に工程は平衡に到達する。すぐに流量増加工程が続き、この工程は、対数スケールで10当たり5ポイントにわたり、0.01から100s−1への定常流動モードでの増加剪断速度での試料の剪断からなり、2%の許容誤差で2s〜最大20sの期間に対して測定値を安定させる。最後の工程の粘度対剪断速度の対数プロットを使用して、0.01s−1における低剪断粘度、0.1s−1における中剪断粘度、及び10s−1における高剪断粘度を決定する。
【0040】
一貫性という理由から、ニュートン流体の粘度は、10s−1の剪断速度で、剪断減粘流体に対して本明細書で使用するAR G2レオメーターを使用して測定する。
【0041】
本発明のプロセスは、洗剤が複数の流体を含む場合に、非常に魅力的な製品の創出を可能にする。流体は異なるレオロジー及び外観を有することができ、例えば、容器の中間部分に粘度の高いペーストを注入して模様を形成させ得、この模様を透明の輝く液体で取り囲むことができる。本発明のプロセスを用いて創出することができる数々の異なる外観、異なる流体レオロジー、色、質感、輝度などを組み合わせて、異なる外観を製造することができる。
【0042】
洗剤組成物
洗剤は、手洗い及び自動食器洗浄、洗濯、硬質表面清掃などを含む任意の清掃プロセスに好適である。洗剤は、食器手洗い用洗剤であることが好ましい。洗剤は、透明な容器に充填されることが好ましい。洗剤は、典型的には、30重量%〜95重量%、好ましくは40重量%〜90重量%、より好ましくは50重量%〜85重量%の液体キャリアを含有し、このキャリアには他の必須成分及び任意選択成分が溶解、分散、又は懸濁している。液体キャリアの1つの好ましい構成成分は水である。本発明のプロセスの洗剤組成物は、単一の流体又は複数の流体の形態にあることができる。複数の流体の場合には、異なる流体は、化学的及び/又は視覚的に区別可能である。洗剤は、複数の視覚的に区別可能な流体を含むことが好ましい。
【0043】
好ましくは洗剤のpHは、3〜14、より好ましくは4〜13、より好ましくは6〜12、及び最も好ましくは8〜10の間に調整する。洗剤のpHは、当技術分野において既知のpH調節成分を使用して調整することができる。
【0044】
本明細書における洗剤組成物は、好ましくは界面活性剤系、並びに、結合剤、キレート剤、調整用ポリマー、洗浄用ポリマー、表面修飾用ポリマー、土壌凝集用ポリマー、構造化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚再生活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性化剤、香料、悪臭防除剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、有機及び無機カチオン(例えばCa/Mgイオン及びジアミンなどのアルカリ土類金属)、泡立ち抑制剤/安定剤/促進剤、抗菌剤、防腐剤、及びpH調整剤、及び緩衝化手段などのいくつかの他の任意選択の成分を含むことがより好ましい。
【0045】
本発明のプロセスの洗剤組成物は、その約5重量%〜約40重量%、好ましくは約8重量%〜約35重量%の界面活性剤系を含み得る。界面活性剤系は、アルコキシル化アニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。本系は、任意選択で、両性、非イオン性、双極性、カチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物を含み得る。
【0046】
界面活性剤系は、アルキル硫酸塩及び/又はアルキルエトキシ硫酸塩を含むことが好ましく、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは2未満、及び0.5超の総エトキシル化度を持つアルキル硫酸塩及び/又はアルキルエトキシ硫酸塩の組み合わせを含むことがより好ましい。本発明の組成物は、好ましくは両性及び/又は双極性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド又はベタイン系界面活性剤を更に含む。
【0047】
したがって、本発明の組成物に最も好ましい界面活性剤系は、(i)組成物全体の1重量%〜40重量%、好ましくは6重量%〜32重量%、より好ましくは8重量%〜25重量%のアニオン性界面活性剤を、(2)組成物の0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.2重量%〜15重量%、より好ましくは0.5重量%〜10重量%の両性、及び/又は双極性、及び/又は非イオン性界面活性剤、より好ましくは両性界面活性剤、更により好ましくはアミンオキシド界面活性剤と組み合わせて、含むことになる。このような界面活性剤系は、手に非常に優しくかつ穏やかでありながらも、食器手洗い用洗剤に必要とされる優れた洗浄性を提供することが見出されている。
【0048】
存在する場合、非イオン性界面活性剤は、組成物の0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.2重量%〜20重量%、最も好ましくは0.5重量%〜10重量%の典型量で含まれる。好適な非イオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールと1〜25モルのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分枝鎖状、一級又は二級でよく、概して8〜22個の炭素原子を含有する。特に好ましいものは、10〜18個の炭素原子、好ましくは10〜15個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルコールと、アルコール1モルあたり2〜18モル、好ましくは2〜15モル、より好ましくは5〜12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。
【0049】
本発明のプロセスの洗剤組成物は、任意選択で粘度調節剤を含むことができる。粘度調節剤の目的は、残りの成分と組み合わせたときに洗剤組成物の所望の粘度を達成することである。
【0050】
好ましくは、粘度調節剤は、電解質、有機溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明に従う洗剤は、少なくとも1個の電解質を含むことが好ましい。
【0051】
電解質は水溶性有機塩及び無機塩(界面活性剤以外)であり、ここでカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びこれらの混合物から選択され、アニオンは、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、硝酸塩、及びこれらの混合物から選択される。塩化カリウム、塩化ナトリウム、及び塩化アンモニウムが特に有用である。
【0052】
電解質の量は、洗剤組成物の粘度を調節するのに十分であるべきである。洗剤組成物における電解質の有用な量は、洗剤の0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.15重量%〜5重量%、更により好ましくは0.2重量%〜3重量%、特に0.25重量%〜2重量%である。
【0053】
粘度調節剤が1〜3個のヒドロキシル基を有するC1〜C5アルキルアルコールであるため、好ましくは電解質に加えて有用な有機溶媒を添加し、該溶媒の濃度は、粘度目標値を達成するように選択される。他の好適な有機溶媒としては、C4〜14エーテル及びジエーテル、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどのグリコール及びポリマーグリコール、C6〜C16グリコールエーテル、アルコキシル化芳香族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族分枝状アルコール、アルコキシル化脂肪族分枝状アルコール、アルコキシル化直鎖C1〜C5アルコール、アミン、C8〜C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素及びハロ炭化水素、並びにこれらの混合物が挙げられる。また本明細書における使用に好適な有機溶媒としては、アニオン型ヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム、及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒は、好ましくは各々洗剤の1重量%〜7重量%の量の、エタノール、(ポリ)プロピレングリコール、及び/又はクメン、トルエン、若しくはキシレンスルホン酸塩ヒドロトロープ、最も好ましくは、エタノール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの組み合わせである。
【0054】
着色系
本発明のプロセスの流体(単数又は複数)は、任意の色、不透明、又は半透明であることができる。複数の流体の場合には、流体は異なる色を示すことが好ましい。本発明のプロセスの流体(単数又は複数)は、着色系を含むことが好ましい。着色系は、いずれの乳白剤又は着色剤も含むことができる。着色系が、着色剤、乳白剤、又はこれらの混合物を含むときに、色の安定性の点においてより良好な結果が生まれることが見出された。本発明に従う乳白剤は、組成物に溶解しない固体の不活性化合物であり、大部分の光波長を屈折、散乱、又は吸収する。好適な乳白剤は、それが組み込まれる系とは実質的に異なる屈折率(RI)を有する。組成物の色は、国際公開第WO2010/141301号に詳述されるHunter L,a,bカラースケールを使用して正確かつ確実に測定することができる。乳白剤は、スチレン/アクリレートラテックス、二酸化チタン、二酸化スズ、任意の形態の修飾TiO2、例えば、炭素修飾TiO2又は金属をドープした(例えば、白金、ロジウム)TiO2又は酸化第二スズ、オキシ塩化ビスマス又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされたTiO2/雲母、シリカでコーティングされたTiO2又は金属酸化物でコーティングされた、及びこれらの混合物からなる群より選択されることが好ましい。特に好ましいスチレン/アクリレートラテックスは、Rohm & Haas Companyから商標名Acusolとして入手可能なものである。
【0055】
乳白剤は、それが組み込まれる組成物を白色に保つのに十分な量で存在することが好ましい。乳白剤が、無機乳白剤(例えば、TiO2又はその変性物)である場合、乳白剤は、好ましくは、組成物の0.001重量%〜1重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、最も好ましくは0.05重量%〜0.15重量%の濃度で存在する。
【0056】
乳白剤が有機乳白剤(例えば、スチレン/アクリレートラテックス)である場合、乳白剤は、好ましくは組成物の0.001重量%〜2.5重量%、より好ましくは1重量%〜2.2重量%、最も好ましくは1.4重量%〜1.8重量%の濃度で存在する。
【0057】
用語「着色剤」は、ここで用いる場合、使用するビヒクルに応じて顔料又は染料のいずれかであり得る。一部の場合には、顔料は、可溶性染料を金属塩で沈殿させることによって染料から製造することができる。得られる顔料は、ここではレーキ顔料と呼ばれる。更に、通常、ビヒクルに不溶性である顔料(結果として懸濁液が生じる)と、それ自体が液体であるか又はそのビヒクル可溶性である染料(結果として溶液が生じる)とに分類されることが一般的に認められている。用語「生物色素」は、それらの溶解度にかかわらず、すべての着色物質に関して使用される。
【0058】
用語「顔料」は、ここで用いる場合、反射光の色又は相を透過した色を変化させる物質である。そのような顔料は、天然(例えばウルトラマリンブルーなど)又は合成(例えば、天然ウルトラマリンと化学的に同一である合成ウルトラマリン顔料など)であり得る。顔料は粉末形態であることができる。好ましい顔料は、紫外線に対して化学的に不活性及び安定であるが、相の色ずれを提供するために、褪せやすい顔料を使用することができる。本明細書に記載の使用のために好ましい顔料は、無機顔料、有機顔料、又は特殊顔料であり得る。
【0059】
先史時代より天然由来の顔料が着色剤として使用されてきた。本明細書における使用のための顔料は、雲母などの天然顔料であることができる。顔料はまた、植物材料、動物の排泄物、昆虫、及び軟体動物などの珍しい供給源からの顔料であってもよい。
【0060】
本発明の別の実施形態によると、顔料は無機であってもよい。好ましい無機顔料は、青29ウルトラマリン、白6酸化チタン、及び白18炭酸カルシウムなどの、FDAに認可された顔料である。好ましい有機顔料は、青15フタロシアニン及び赤38ピラゾロンなどのFDAに認可された顔料である。本発明の一実施形態では、E180、E171、及びE172などの無機食品グレード顔料、並びにウコン顔料などの有機食品グレード顔料を使用することができる。
【0061】
着色剤は染料であることができる。好適な染料は天然又は合成であり得ることは一般的に認められている。用語「染料」は、ここで用いる場合、塗布される基材に対して親和性を有する着色物質である。酸性染料、及びより詳細には合成食用染料は、本発明に関連する。塩基性染料は、場合によってはアニオン性界面活性剤又はポリマーに複合体化された水溶性カチオン染料であり、本明細書にとって好ましい。直接染料は、使用する場合、pH指示薬として使用されるので、本明細書に付加的利益を提供することができる。
【0062】
染料は、医薬品及び化粧品用(D&C)レッド7;レッド57;レッド122;レッド405、48:2;レッド206、11、49:2;レッド7、レッドf4rh;レッド181、レッド226;レッドB、レッド3、トルイジンレッドXL;レッド4、ナチュラルレッド4;レッド4、カーマイン;レッド150、レッド213、レッド4134;ソルベントレッド139;ソルベントレッド119;ナチュラルイエロー5、クルクミン;ピグメントイエロー83;鉄ピグメントイエロー42、顔料43;ジャパンイエロー(Japan yellow)201;ブルー15;ブルー66、ブルー1、ブルー6;ブルー29、ウルトラマリン;フードブルー4、ブルー60;及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0063】
水不溶性染料は、多相製品間の色の良好な安定性を維持するために好ましい。好ましい非水溶性染料は、本質的に水及び酸性条件に不溶性であるバット染料である。分散染料はもともと酢酸セルロースの染色のために開発されたものであり、水不溶性である。
【0064】
反応染料及びアゾイック染料も、特にマイクロ/ナノセルロース材料に塗布されるか、又は非水溶性粒子に塗布される場合に、本明細書に包含される。
【0065】
最も好ましいのはポリマー染料である。ポリマー染料は、ポリマーに、又はポリマー内に結合される光学的発色基からなることが一般的に認められている。それらのポリマー染料は、その構造により、ブロックタイプ又はグラフトタイプのポリマーとして分類される。ブロックポリマー染料又はグラフトポリマー染料は、溶解性、吸収性、移行性、及び粘性などの物理的特性の範囲を調節可能にすることの利点を提供する。ポリマー化学分野と色の化学分野とを結びつけることによって提供される可能な製品範囲は、事実上無尽蔵である。ポリマー水溶性染料は、相間の移動を制限することを含む様々な特性が理由で、生物学的及び技術的に非常に興味深い染料である。更に、ポリマー水溶性染料は一般に、非吸収性であるとして記載される。
【0066】
基本的に非水溶性の発色団から構成される水溶性ポリマー染料を調製するため、必要な可溶化官能基を別の方法で含有しているポリマー系に発色団を何らかの形で結合させる、又は発色団を該ポリマー系の一部として形成する必要がある。
【0067】
好ましいポリマー染料は、アゾ基、トリシアノビニル基、アントラキノン基、メチン基、及びインドアニリン基から選択されるペンダント発色基を有する。
【0068】
外部構造化剤
洗剤組成物は外部構造化剤を含むことが好ましい。外部構造化剤としては、微小繊維化セルロース、概して結晶質であることを特徴とする非ポリマー性のヒドロキシル含有物質、ヒドロキシル含有脂肪酸、脂肪エステル、並びにヒマシ油及びヒマシ油誘導体などの脂肪ワックスが挙げられる。これは、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、疎水性修飾エトキシ化ウレタン、アルカリ可溶性乳剤、疎水性修飾アルカリ可溶性乳剤、疎水性修飾非イオン性ポリオール、架橋ポリビニルピロリドン、多糖類、及び多糖類誘導体型などの、天然由来及び/又は合成ポリマー性構造化剤も含む。通常は構造化剤として使用される多糖類誘導体は、ポリマーゴム材料類を含む。このようなゴムとしては、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、及びグアーガムが挙げられる。外部構造化剤の他の種類としては、構造化粘土、アミドゲル化剤、並びにミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、及びイソステアリン酸イソプロピルなどの脂肪エステルが挙げられる。
【0069】
洗剤組成物は、非ポリマー性ヒドロキシル含有物質などの結晶質の外部構造化剤、微小繊維状セルロース、並びにポリアクリル酸塩、多糖類、多糖類誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマー構造化剤などの非結晶質外部構造化剤を含むことがより好ましい。
【0070】
反応染料及びアゾイック染料も、特にマイクロ/ナノセルロース材料に塗布されるか、又は非水溶性粒子に塗布される場合に、本明細書に包含される。
【実施例】
【0071】
二層式の食器手洗い用洗剤液を、表1に示す処方及び粘度を有する2つの最終組成物(相1及び相2)から調製した。最終組成物を、450mlボトル中に6秒で同時に送達した。ボトルを底部から上部へと回転下で注入し、その間、3回の全回転を適用し、送達された液体の表面とノズルの排出口との間に平均して1cmの距離を保った。注入は、二重注入機(2つのDM700シリンダを使用するMENGIBAR MULTI−STREAM PILOT FILLER,LLSA)を使用して行った。
【0072】
相2を周囲温度で7つの容器中に送達した。同時に、相1を、各容器中異なる温度で7つの容器中に送達した。温度は、20℃から5℃への範囲で2.5℃異なった(20、17.5、15、12.5、10、7.5、及び5℃)。相1は白色不透明であり、相2は透明な青色であった。各容器に注入した後、それらを放置し、その後目視で評価した。相1を20℃で送達した場合は多くの混合が起き、2つの相は分離を保ち得なかったことが観察された。混合は冷却と共に減少し、相1を5℃に冷却した場合は、2つの相は分離を保ち、混合はごくわずかであった。
【0073】
【表1】
【0074】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。その代わりに、特に記載のない限り、各々のこのような寸法は、記述された値及びその値を周辺の機能的に等価な範囲を意味することを目的とする。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。