(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記油圧シリンダの前記第1端部は、前記連結ピンの可動範囲内で前記第2端部に近づくように移動することで、前記ロック部材を前記ロックオン位置から前記ロックオフ位置に移動させる、
請求項1から8のいずれかに記載のクイックカプラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように特許文献2のクイックカプラでは、アタッチメントの装着時に自動的にロック部材による抜け止め機能を作用させることができる。しかし、ロック部材を作動させるためには、油圧シリンダを回転させるという大きな動作が必要となる。そのため、クイックカプラが大型化するという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、アタッチメントの装着時に自動的にロック部材による抜け止め機能を作用させることができると共に、小型化の可能なクイックカプラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るクイックカプラは、カプラ本体と、ロック部材と、第2のフックと、油圧シリンダと、連結ピンとを備える。カプラ本体は、第1のフックを有する。ロック部材は、ロックオン位置とロックオフ位置とに移動可能に設けられる。ロックオン位置において、ロック部材は第1のフックの開口内に突出する。ロックオフ位置において、ロック部材は、ロックオン位置から退いた状態となる。第2のフックは、カプラ本体に対してスライド可能に設けられる。油圧シリンダは、カプラ本体に接続される第1端部と、第2のフックに接続される第2端部とを有する。油圧シリンダは、伸張することによって第2のフックを第1のフックから離れるようにスライドさせる。油圧シリンダは、収縮することによって第2のフックを第1のフックに近づくようにスライドさせる。連結ピンは、油圧シリンダの第1端部とカプラ本体とを連結する。カプラ本体は、支持孔を有する。支持孔は、連結ピンを油圧シリンダの伸縮方向に可動的に支持する。油圧シリンダの第1端部は、連結ピンの可動範囲内で第2端部から離れるように移動することで、ロック部材をロックオフ位置からロックオン位置に移動させる。
【0011】
本態様に係るクイックカプラでは、油圧シリンダが伸長することにより、油圧シリンダの第2端部が、第1端部から離れるように移動する。これにより、第2のフックが第1のフックから離れるようにスライドする。その結果、第1のフックと第2のフックとのそれぞれがアタッチメントのピンに係止して、アタッチメントがクイックカプラに取り付けられる。
【0012】
また、カプラ本体の支持孔は、連結ピンを油圧シリンダの伸縮方向に可動的に支持する。このため、油圧シリンダが伸長すると、油圧シリンダの第1端部も、連結ピンの可動範囲内で第2端部から離れるように移動する。この第1端部の動作に伴って、ロック部材がロックオフ位置からロックオン位置に移動する。
【0013】
以上のように、本態様に係るクイックカプラでは、アタッチメントの装着時に自動的にロック部材による抜け止め機能を作用させることができる。また、油圧シリンダの第1端部を連結ピンの可動範囲内で移動させることで、ロック部材による抜け止め機能が作用する。従って、第1端部の小さな動作でロック部材による抜け止め機能を作用させることができる。このため、クイックカプラを小型化することができる。
【0014】
好ましくは、支持孔は、油圧シリンダの伸縮方向に沿って延びる長孔である。この場合、第1端部は、長孔に沿って油圧シリンダの伸縮方向に移動することで、ロック部材による抜け止め機能を作用させることができる。このため、クイックカプラの構造を簡素化することができる。
【0015】
好ましくは、クイックカプラは、第1のピンと第2のピンとを介してアタッチメントを取り付けるためのクイックカプラであって、カプラ本体は、ピン抜け止め部をさらに有する。ピン抜け止め部は、第2のフックの開口に対向して配置される。第2のフックが第2のピンに係止した状態で、第2のフックの先端とピン抜け止め部との間の隙間の幅は、第2のピンの径よりも狭い。
【0016】
この場合、第1のフックが破損しても、第2のフックの先端とピン抜け止め部との間の隙間から、ピンが抜け出ることが防止される。これにより、アタッチメントの脱落を防止することができる。
【0017】
好ましくは、クイックカプラは、付勢部材をさらに備える。付勢部材は、第2端部が第1端部から離れるように第2端部を付勢する。この場合、油圧システムの故障等により、油圧シリンダの伸長力が失われても、第2フックがピンに係止した状態が付勢部材によって維持される。また、第1端部が第2端部から離れた状態が、付勢部材によって維持されるため、ロック部材がロックオン位置に保持される。これにより、アタッチメントの脱落を防止することができる。
【0018】
好ましくは、付勢部材は、油圧シリンダ内に配置される。この場合、クイックカプラの動作時に、付勢部材が、油圧シリンダの周囲にある油圧管等の他の部材に接触することを防止することができる。
【0019】
好ましくは、クイックカプラは、支持孔に挿入される弾性部材をさらに備える。この場合、第1端部が移動する際に、弾性部材の弾性力による抵抗を受ける。これにより、ロック部材による抜け止め機能の作動或いは解除のタイミングを調整することができる。
【0020】
好ましくは、ロック部材は、基端部と、先端部と、凹部とを有する。基端部は、カプラ本体に対して回転可能に支持される。先端部は、ロックオン位置において第1のフックの開口内に突出する。凹部は、基端部と先端部との間に位置する。油圧シリンダの第1端部は、ロック部材に向かって突出する凸部を有する。凸部が凹部内に位置する状態で、ロック部材はロックオフ位置に位置する。
【0021】
この場合、凸部が凹部内に位置するような位置に第1端部を配置することで、ロック部材をロックオフ位置に位置させることができる。
【0022】
好ましくは、ロック部材は、凹部に接続される傾斜面を有する。傾斜面は、凹部に対して第2端部から第1端部に向かう方向に配置される。凸部が凹部から傾斜面に移動して傾斜面を押圧することにより、ロック部材はロックオン位置に移動する。
【0023】
この場合、油圧シリンダが伸長して第1端部が第2端部から離れる方向に移動すると、凸部が凹部から傾斜面に移動して傾斜面を押圧する。これにより、ロック部材をロックオフ位置からロックオン位置に移動させることができる。
【0024】
好ましくは、カプラ本体は、壁部を有する。壁部は、油圧シリンダの伸縮方向において第1端部と対向して配置される。この場合、連結ピンが破損しても、壁部によって油圧シリンダがカプラ本体内に留まる。このため、アタッチメントのピンが第1のフック及び第2のフックから外れることが防止される。これにより、アタッチメントの脱落を防止することができる。
【0025】
好ましくは、油圧シリンダの第1端部は、連結ピンの可動範囲内で第2端部に近づくように移動することで、ロック部材をロックオン位置からロックオフ位置に移動させる。この場合、アタッチメントの取り外し時に自動的にロック部材による抜け止め機能を解除することができる。また、油圧シリンダの第1端部を連結ピンの可動範囲内で移動させることで、ロック部材による抜け止め機能が解除される。従って、第1端部の小さな動作でロック部材による抜け止め機能を解除することができる。このため、クイックカプラを小型化することができる。
【0026】
好ましくは、第2のフックは、突起部を有する。カプラ本体は、突起部が配置される溝を有する。突起部が溝に沿って移動することで、第2のフックがカプラ本体に対してスライドする。好ましくは、溝には、第2のフックを抜け止めするストッパ部材が取り付けられる。この場合、第2のフックをさらに強固に抜け止めすることができる。
【0027】
次に、油圧シリンダの一態様について説明する。
従来、油圧シリンダには、内部にバネが設けられ、作動油が供給されない場合にはバネの力でピストンロッドの位置が所定位置に保持され、作動油が供給されるとバネが圧縮されてピストンロッドが縮む構成のものがある(例えば、特開平05−256307号参照)。
【0028】
特開平05−256307号に示す油圧シリンダでは、ピストンロッドの外周にスプリングシートを介してバネが配置されている。スプリングシートは、バネの両端のそれぞれに配置されており、バネが圧縮され過ぎることを防ぐために設けられている。
【0029】
しかしながら、特開平05−256307号の油圧シリンダでは、バネを受けるスプリングシートが配置されているため、2つのスプリングシートが接触する位置までしかバネを縮めることが出来ず、縮みしろにロスが発生する。
【0030】
そのため、ストロークを大きくするためには、油圧シリンダ自体を大きくする必要がある。
【0031】
上記従来の課題を考慮した油圧シリンダを提供することを目的として、本態様に係る油圧シリンダは以下の特徴を備えてもよい。
【0032】
油圧シリンダは、シリンダチューブと、ピストンロッドと、ピストンと、バネ部材と、を備える。ピストンロッドは、長手方向が伸縮方向に沿うようにシリンダチューブ内に挿入されている。ピストンは、ピストンロッドに固定されており、シリンダチューブ内を摺動する。バネ部材は、ピストンロッドの伸縮方向に沿って配置されピストンロッドを伸長方向に付勢する。ピストンロッドには、収縮方向側の端面に開口を持ち、開口から伸長方向に向かって内側空間が形成されている。バネ部材は、内側空間に挿入されている。
【0033】
本態様に係る油圧シリンダによれば、コンパクトで大きなストロークを得ることが可能な油圧シリンダを提供することができる。
【0034】
好ましくは、円柱状のガイド部材を更に備える。バネ部材は、コイル状である。ガイド部材は、長手方向が伸縮方向に沿うようにバネ部材の内側に配置されている。ガイド部材の一端は、ピストンロッドの端面に対向するシリンダチューブの底面に保持されている。
【0035】
好ましくは、ガイド部材の少なくとも一端側は、筒形状である。シリンダチューブは、底面から伸長方向に突出した突出部を有する。筒形状の内側に突出部が嵌り込むことによってガイド部材の一端は底面に保持される。
【0036】
好ましくは、バネ部材は、コイル状である。油圧シリンダが最も伸長した状態において、バネ部材の長さが自然長より短い。
【0037】
好ましくは、油圧シリンダは、リング状部材を更に備えている。リング状部材は、ガイド部材の外周面と内側空間の内周面の間に配置され外周面および内周面を摺動する。バネ部材は、リング状部材を挟んで第1バネ部材と第2バネ部材に分けられている。
【0038】
好ましくは、ガイド部材は、径方向外側に向かって突出した突起を有する。第1バネ部材の伸長方向側の端は、内側空間の伸長方向側の内面に当接する。第2バネ部材の収縮方向側の端は、突起に当接する。
【0039】
好ましくは、ガイド部材は、底面と一体的に形成されている。
【0040】
好ましくは、バネ部材は、コイル状である。シリンダチューブは、ピストンロッドの端面に対向する底面から伸長方向に突出した突出部を有する。突出部は、バネ部材の端の内側に嵌合している。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、アタッチメントの装着時に自動的にロック部材による抜け止め機能を作用させることができると共に、小型化の可能なクイックカプラを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して実施形態にかかるクイックカプラについて説明する。
図1は、第1実施形態に係るクイックカプラ1が装着された作業車両100の一部を示す側面図である。作業車両100は、例えば油圧ショベルである。ただし、作業車両100は、油圧ショベルに限らず、他の作業車両であってもよい。
【0044】
図1に示すように、作業車両100は、アーム101とリンク部材102とアタッチメント103とを有する。なお、
図1では、アタッチメント103の一例としてのバケットが図示されているが、アタッチメント103は、バケットに限らず、カッター、ブレーカ、フォークなど他のアタッチメントであってもよい。
【0045】
クイックカプラ1は、アームピン104を介してアーム101に接続される。クイックカプラ1は、リンクピン105を介してリンク部材102に接続される。クイックカプラ1は、第1のピン106と第2のピン107とを介してアタッチメント103に接続される。
【0046】
図2は、クイックカプラ1の斜視図である。
図3は、クイックカプラ1の分解図である。
図2及び
図3に示すように、クイックカプラ1は、カプラ本体2と第2のフック3とを有する。カプラ本体2は、アームピン支持孔11とリンクピン支持孔12とを有する。アームピン支持孔11には、アームピン104が挿入される。リンクピン支持孔12には、リンクピン105が挿入される。
【0047】
カプラ本体2は、第1のフック4を有する。第1のフック4は、第1のピン106に係止する。第2のフック3は、カプラ本体2と別体である。第2のフック3は、第2のピン107に係止する。
【0048】
なお、本実施形態に係るクイックカプラ1においては、アームピン支持孔11に対してリンクピン支持孔12が位置する方向を前方と呼び、その反対を後方と呼ぶ。アームピン支持孔11及びリンクピン支持孔12に対して第1のフック4及び第2のフック3が位置する方向を下方と呼び、その反対を上方と呼ぶ。また、アームピン支持孔11の軸線及びリンクピン支持孔12の軸線が延びる方向を幅方向或いは側方と呼ぶ。ただし、これらの方向を示す用語は、上記のようにクイックカプラ1を見たときに特定されるものであって、クイックカプラ1の取付方向を限定するものではない。
【0049】
カプラ本体2は、第1側面部13と第2側面部14と壁部15とを有する。第1側面部13と第2側面部14とは、それぞれ前後方向及び上下方向に延びる板状の形状を有する。第1側面部13と第2側面部14とは、幅方向に間隔をおいて配置されている。壁部15は、幅方向に延びており、第1側面部13と第2側面部14とに渡って配置されている。
【0050】
カプラ本体2は、第1上側面部16と第2上側面部17とを有する。第1上側面部16と第2上側面部17とは、それぞれ前後方向及び上下方向に延びる板状の形状を有する。第1上側面部16は、第1側面部13から上方に突出している。第2上側面部17は、第2側面部14から上方に突出している。アームピン支持孔11とリンクピン支持孔12は、第1上側面部16と第2上側面部17とを幅方向に貫通するように設けられている。
【0051】
図4は、クイックカプラ1の内部の概略構成を示す側面断面図である。
図4に示すように、第1のフック4と第2のフック3とは、それぞれ、第1のピン106と第2のピン107を係止するために開口を備え、湾曲した凹部を持つ部材である。第1のフック4と第2のフック3とは、互いに反対の方向に向かって開口している。詳細には、第1のフック4は、後方に向かって開口している。第2のフック3は、前方に向かって開口している。第2のフック3は、第1のフック4の前方に配置されている。カプラ本体2は、ピン抜け止め部29を有している。ピン抜け止め部29は、第2のフック3の開口に対向して配置される。
【0052】
第2のフック3は、前後方向にスライド可能にカプラ本体2に支持されている。詳細には、第1側面部13の内側面には、前後方向の延びる溝18が設けられている。また、図示を省略するが、第2側面部14の内側面にも同様に、前後方向の延びる溝が設けられている。
図3に示すように、第2のフック3の両方の側面は、前後方向に延びる突起部19a,19bが設けられている。第2のフック3の突起部19aは、第1側面部13の溝18内に配置される。第2のフック3の突起部19bは、第2側面部14の溝内に配置される。突起部19が溝18に沿って移動することで、第2のフック3がカプラ本体2に対してスライドする。第2のフック3の凹部の開口に連なる部位3aは、
図4で示されるような側面視で、溝18の前後に延びる方向と平行にされている。
【0053】
図3に示すように、クイックカプラ1は、油圧シリンダ5と、第1付勢部材6と、第2付勢部材7と、ロック部材8と、を備える。油圧シリンダ5は、油圧管21を介して、作業車両100の油圧システムに接続される。油圧シリンダ5は、油圧管21からの油圧によって伸縮する。
【0054】
油圧シリンダ5は、第1端部22と第2端部23とを有する。第1端部22は、カプラ本体2に接続される。第2端部23は、第2のフック3に接続される。詳細には、油圧シリンダ5は、シリンダチューブ24とピストンロッド25とを有する。第1端部22は、シリンダチューブ24に含まれる。第2端部23は、ピストンロッド25に含まれる。
【0055】
カプラ本体2は、支持孔26を有する。支持孔26は、第1側面部13と第2側面部14とを貫通するように設けられている。第1端部22は、第1連結ピン27を介してカプラ本体2に支持される。第1端部22は、幅方向に延びる貫通孔221を有する。第1連結ピン27は、第1端部22と支持孔26とに挿入されている。第1連結ピン27は、油圧シリンダ5の第1端部22とカプラ本体2とを連結する。支持孔26は、油圧シリンダ5の伸縮方向すなわち前後方向に沿って延びる長孔である。このため、支持孔26は、第1連結ピン27を油圧シリンダ5の伸縮方向に可動的に支持する。
【0056】
第2端部23は、第2連結ピン28を介して第2のフック3に連結される。詳細には、第2端部23は幅方向に延びる貫通孔231を有する。また、第2のフック3の前部は、幅方向に延びる貫通孔301を有する。第2連結ピン28は、第2端部23の貫通孔231と第2のフック3の貫通孔301に挿入される。
【0057】
図5は、油圧シリンダ5が
図4に示す状態から伸張した状態を示す側面断面図である。
図6は、油圧シリンダ5が
図5に示す状態から更に伸張した状態を示す側面断面図である。
図5及び
図6に示すように、油圧シリンダ5が伸長することにより、第2端部23は第1端部22から離れるように移動する。これにより、油圧シリンダ5は、第2のフック3が第1のフック4から離れるように第2のフック3をスライドさせる。
【0058】
図7は、油圧シリンダ5が
図6に示す状態から収縮した状態を示す側面断面図である。
図8は、油圧シリンダ5が
図7に示す状態から更に収縮した状態を示す側面断面図である。
図7及び
図8に示すように、油圧シリンダ5が収縮することにより、第2端部23は第1端部22に近づくように移動する。これにより、油圧シリンダ5は、第2のフック3を第1のフック4に近づくようにスライドさせる。
【0059】
図3に示す第1付勢部材6は、第2端部23が第1端部22から離れるように第2端部23を付勢する。
図4に示すように、第1付勢部材6は、バネ31と、バネカバー32と、シャフト33とを有する。バネ31は、コイルバネであり、バネカバー32内に配置されている。
図5に示すように、バネカバー32の端部34は、連結ピン35を介してカプラ本体2に支持されている。バネカバー32内のバネ31は圧縮された状態であり、シャフト33を押圧している。シャフト33の端部36は、バネカバー32から突出している。第2のフック3は、連結部37を有する。連結部37は、第2のフック3の上面に設けられている。シャフト33の端部36は、連結ピン40を介して連結部37に接続されている。第2付勢部材7も第1付勢部材6と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0060】
上述した壁部15は、油圧シリンダ5と第1付勢部材6と第2付勢部材7との上方に配置されている。また、壁部15の一部は、油圧シリンダ5の後方に配置されており、油圧シリンダ5の伸縮方向において第1端部22と対向して配置される。
【0061】
図2及び
図3に示すように、壁部15は、開口151を有する。開口151は、第1端部22の上方に位置する。開口151を通して、油圧管21がカプラ本体2内に導入されている。
【0062】
ロック部材8は、第1のフック4の上方に配置される。ロック部材8は、ロック連結ピン48を介してカプラ本体2に接続されている。
図3に示すように、カプラ本体2は、貫通孔51を有する。ロック部材8は貫通孔52を有する。ロック連結ピン48は、カプラ本体2の貫通孔51と、ロック部材8の貫通孔52とに挿入される。
【0063】
ロック部材8は、基端部38と先端部39と有する。基端部38は、カプラ本体2に対して回転可能に支持されている。先端部39は、下方に向かって屈曲したフック状の形状を有する。すなわち、先端部39は、第1のフック4に向かって屈曲したフック状の形状を有する。
【0064】
ロック部材8は、ロックオン位置とロックオフ位置とに移動可能に設けられる。
図4は、ロック部材8がロックオフ位置に位置している状態を示している。
図6は、ロック部材8がロックオン位置に位置している状態を示している。
【0065】
図6に示すように、ロックオン位置において、ロック部材8の先端部39は第1のフック4の開口内に突出している。これにより、第1のピン106が第1のフック4から抜け止めされる。
図4に示すように、ロックオフ位置において、ロック部材8の先端部39は、ロックオン位置から退いた状態となる。詳細には、ロックオフ位置において、ロック部材8の先端部39は、第1のフック4の開口内から退いた状態となる。
【0066】
油圧シリンダ5の第1端部22は、第2端部23から離れるように移動することで保持位置に移動する。
図6は、第1端部22が保持位置に位置している状態を示している。第1端部22は、保持位置において、ロック部材8をロックオン位置に保持する。逆に、第1端部22は、第2端部23に近づくように移動することで、解除位置に移動する。
図4は、第1端部22が解除位置に位置している状態を示している。第1端部22は、解除位置において、ロック部材8の保持を解除する。
【0067】
詳細には、油圧シリンダ5の第1端部22は、ロック部材8に向かって突出する凸部222を有する。凸部222は、下方に向かって突出している。ロック部材8は、凹部41と受け部42を有する。凹部41と受け部42とは、基端部38と先端部39との間に位置する。凹部41は、ロック部材8の上面から下方に向かって凹んだ形状を有する。受け部42は、凹部41の後方に位置する。
【0068】
図6に示すように、第1端部22が保持位置に位置している状態では、凸部222は受け部42に接触しており、凸部222は、ロック部材8を第1のフック4に向かって押圧している。これにより、ロック部材8がロックオン位置に保持される。
図4に示すように、第1端部22が解除位置に位置している状態では、凸部222は凹部41内に位置している。これにより、ロック部材8がロックオフ位置に保持される。
【0069】
より詳細には、ロック部材8は、凹部41に接続される傾斜面43と段部44とを有する。傾斜面43と段部44とは、基端部38と先端部39との間に位置する。傾斜面43は、凹部41に対して第2端部23から第1端部22に向かう方向に配置される。すなわち、傾斜面43は、凹部41の後方に配置される。段部44は、凹部41に対して第1端部22から第2端部23に向かう方向に配置される。すなわち、段部44は、凹部41の前方に配置される。
【0070】
図4から
図6に示すように、凸部222が凹部41から傾斜面43に移動して傾斜面43を押圧することにより、ロック部材8が回動してロックオン位置に移動する。また、
図7及び
図8に示すように、凸部222が凹部41から段部44に移動して段部44を押圧することにより、ロック部材8が回動してロックオフ位置に移動する。
【0071】
なお、上述した支持孔26には、
図3に示す弾性部材45が挿入される。弾性部材45は、例えばゴム製である。ただし、弾性部材45は、弾性力を生じさせる材料であればよく、ゴムに限らず他の材料であってもよい。弾性部材45は、支持孔26に沿った細長形状を有する。
図9は、支持孔26と弾性部材45とを示す側面図である。
図9に示すように、弾性部材45は、支持孔26内において第1連結ピン27に対して前方に配置される。すなわち、弾性部材45は、油圧シリンダ5が収縮するときに、
図10に示すように第1連結ピン27によって圧縮されるように配置される。すなわち、第1端部22が保持位置から解除位置に移動する際に第1連結ピン27が弾性力による抵抗を受けるように弾性部材45が配置される。なお、
図2及び
図3に示すように、支持孔26は、カバー部材46によって側方から閉じられる。
【0072】
次に、クイックカプラ1にアタッチメント103を取り付けるときの動作について説明する。まず、
図4に示すように、第1のピン106を第1のフック4に係止させる(矢印A1参照)。また、第1のピン106を中心にクイックカプラ1或いはアタッチメント103を回動させることにより、第2のピン107を第2のフック3とピン抜け止め部29との間に配置する(矢印A2参照)。そして、油圧シリンダ5を伸長させる。
【0073】
図5に示すように、油圧シリンダ5を伸長させると、第1端部22が第2端部23から離れるように支持孔26に沿って後方へ移動する。これにより、凸部222が、ロック部材8の凹部41から傾斜面43に移動し、傾斜面43を押圧することでロック部材8を回動させる(矢印A3参照)。
【0074】
そして、
図6に示すように、第1端部22がさらに後方へ移動して、解除位置に到達すると、凸部222がロック部材8の受け部42を押圧する。これにより、ロック部材8がロックオン位置に到達して、ロック部材8によって第1のピン106が第1のフック4から抜け止めされる。また、凸部222が受け部42を押圧することによって、ロック部材8はロックオン位置に保持される。
【0075】
また、油圧シリンダ5が伸長することにより、第2端部23が第1端部22から離れるように前方へ移動する。これにより、第2のフック3がピン抜け止め部29に近づくように前方へスライドして第2のピン107に係止する(矢印A4参照)。第2のフック3が第2のピン107に係止した状態で、第2のフック3は保持される。第2のフック3は油圧シリンダ5により第2のピン107に圧力を加えているため、第1連結ピン27は支持孔26内の後方端に強固に保持される。そのため、ロック部材8はロックオン位置に強固に保持される。
【0076】
以上のように、クイックカプラ1にアタッチメント103が取り付けられる。
図6に示すように、クイックカプラ1にアタッチメント103が取り付けられた状態で、第2のフック3はピン抜け止め部29に最も近接している。この状態において、第2のフック3の先端とピン抜け止め部29との間の隙間の幅W1は、第2のフック3の開口の幅W2よりも狭い。また、第2のフック3の先端とピン抜け止め部29との間の隙間の幅W1は、第2のピン107の直径よりも狭い。
【0077】
次に、クイックカプラ1からアタッチメント103を取り外すときの動作について説明する。
図7に示すように、油圧シリンダ5が収縮すると、第2端部23が第1端部22に近づくように後方へ移動する。これにより、第2のフック3がピン抜け止め部29から離れるように後方へスライドする(矢印A5参照)。これにより、ピン抜け止め部29と第2のフック3との間の隙間が、第2のピン107の直径よりも広がる。
【0078】
油圧シリンダ5が収縮することにより、第2のフック3は後方のストローク端まで移動する。油圧シリンダ5が更に収縮することにより、
図8に示される通り、第1端部22が第2端部23に近づくように支持孔26に沿って前方へ移動する。これにより、凸部222が、ロック部材8の受け部42から傾斜面43を通り、凹部41に移動する。そして、凸部222が、さらに後方へ移動して段部44に係止することで、ロック部材8を回動させる(矢印A6参照)。これにより、ロック部材8がロックオフ位置に移動して、ロック部材8による第1のピン106の抜け止めが解除される。
【0079】
その後、第1のピン106を中心にクイックカプラ1或いはアタッチメント103を回動させることにより、第2のピン107を第2のフック3とピン抜け止め部29との間から外す(矢印A7参照)。そして、第1のフック4を第1のピン106から外す(矢印A8参照)。以上のように、クイックカプラ1からアタッチメント103が取り外される。
【0080】
なお、クイックカプラ1にアタッチメント103を取り付ける場合において、ロック部材8のロックオン位置への移動(
図5の矢印A3)と第2のフック3のスライド(
図6の矢印A4)との順番はどちらが先になってもよい。クイックカプラ1からアタッチメント103を取り外す場合においても同様に、ロック部材8のロックオフ位置への移動(
図8の矢印A6)と第2のフック3のスライド(
図7の矢印A5)との順番はどちらが先になってもよい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係るクイックカプラ1では、アタッチメント103の装着時に自動的にロック部材8による抜け止め機能を作用させることができる。また、油圧シリンダ5の第1端部22を第1支持孔26に沿って移動させることで、ロック部材8による抜け止め機能を作用させることができる。このため、クイックカプラ1を小型化することができる。
【0082】
第2のフック3がピン抜け止め部29に最も近接した状態で、第2のフック3の先端とピン抜け止め部29との間の隙間の幅W1は、第2のフック3の開口の幅W2よりも狭い。このため、第1のフック4が破損しても、第2のフック3の先端とピン抜け止め部29との間の隙間から、第2のピン107が抜け出ることが防止される。これにより、アタッチメント103の脱落を防止することができる。
【0083】
第1付勢部材6と第2付勢部材7とによって、第2端部23が第1端部22から離れるように第2端部23が付勢される。このため、油圧システムの故障等により、油圧シリンダ5の伸長力が失われても、第2フックが第2のピン107に係止した状態が第1付勢部材6と第2付勢部材7とによって、維持される。また、第1端部22が第2端部23から離れた状態が、第1付勢部材6と第2付勢部材7とによって維持されるため、油圧シリンダ5の伸長力が失われても、ロック部材8がロックオン位置に保持される。これにより、アタッチメント103の脱落を防止することができる。
【0084】
支持孔26には弾性部材45が挿入されている。このため、第1端部22が保持位置から解除位置に移動する際に第1連結ピン27が弾性力による抵抗を受ける。これにより、第1端部22の解除位置への移動を遅延させることができる。その結果、先に第2のピン107が第2のフック3から取り外され、その後、ロック部材8が解除されるようにすることができる。なお、先に、ロック部材8が解除され、その後、第2のピン107が第2のフック3から取り外されるように、弾性部材45が配置されてもよい。
【0085】
カプラ本体2の壁部15が、油圧シリンダ5の伸縮方向において第1端部22と対向して配置される。このため、第1連結ピン27が破損しても、壁部15によって油圧シリンダ5がカプラ本体2の内部に留まる。このため、第1のピン106及び第2のピン107がそれぞれ第1のフック4及び第2のフック3から外れることが防止される。これにより、アタッチメント103の脱落を防止することができる。
【0086】
次に、第2実施形態に係るクイックカプラ10について説明する。
図11は、第2実施形態に係るクイックカプラ10の内部の概略構成を示す側面断面図である。第2実施形態に係るクイックカプラ10では、第1実施形態の第1付勢部材6と第2付勢部材7とが省略されており、代わりに付勢部材を内蔵した油圧シリンダ61が設けられている。油圧シリンダ61の構造については後述する。
【0087】
第2実施形態に係るクイックカプラ10では、カプラ本体2の溝18に、第2のフック3を抜け止めするストッパ部材94が取り付けられている。ただし、ストッパ部材94は省略されてもよい。なお、
図11では、第1実施形態と共通の部分には同じ符号を付して、各部分についての詳細な説明は省略する。
【0088】
次に、油圧シリンダ61について詳細に説明する。
【0089】
図12は、実施の形態における油圧シリンダ61の外観を示す図である。
図13および
図14は、本実施の形態の油圧シリンダ61の内部構成を示す断面図である。
図13は油圧シリンダ61が収縮した状態を示し、
図14は油圧シリンダ61が伸長した状態を示す。
【0090】
本実施の形態の油圧シリンダ61は、シリンダチューブ62と、ピストンロッド63と、ピストン64と、ガイド部材65と、第1付勢部材66と、第2付勢部材67と、保持リング68とを備えている。
【0091】
本実施の形態の油圧シリンダ61は、作動油が供給されることによってピストン64がシリンダチューブ62内を摺動し、ピストン64に連結したピストンロッド63が伸び縮みする。ピストンロッド63の伸長方向が矢印Aで示され、ピストンロッド63がシリンダチューブ62に引き込まれる方向(収縮方向ともいう)が矢印Bで示されている。ピストンロッド63の第2端部76は、
図12に示すように油圧シリンダ61によって駆動させる部材との連結部を形成する。第2端部76は、貫通孔76bを有する。
図11に示す第2連結ピン28が貫通孔76bに挿入される。それにより、第2端部76が
図11に示す第2のフック3に連結される。
【0092】
図14に示すように第1付勢部材66および第2付勢部材67によってピストンロッド63は伸長方向Aに付勢されている。
【0093】
シリンダチューブ62は、
図12に示すように外観が略円柱形状の部材であり、筒状部71と、第1端部72と、蓋部73と、支持部92と、を有する。
【0094】
図13および
図14に示すように、筒状部71は、内側に空間が形成された円筒形状である。筒状部71の長手方向(中心軸)は、ピストンロッド63の伸縮方向に一致する。
【0095】
第1端部72は、円柱形状の部材であって筒状部71の収縮方向B側の端を塞ぐように設けられている。第1端部72は、筒状部71と接合されている。第1端部72の内側の面である底面72aには、伸長方向Aに向かって突出した突出部87が形成されている。突出部87は、後述するガイド部材65と嵌合している。
【0096】
蓋部73は、筒状部71の伸長方向Aの端を塞ぐように設けられている。蓋部73は、ピストンロッド63が挿通する挿通孔88を有する円筒状の部材である。蓋部73の挿通孔88の縁には、シール部材が設けられており、蓋部73とピストンロッド63の間から作動油が漏れないように封止されている。
【0097】
蓋部73の収縮方向B側の端には、シリンダチューブ62の内側に挿入される挿入部89が形成されている。挿入部89の外周面には、ネジ形状が形成されている。
【0098】
筒状部71の伸長方向A側の端部86の内側に、ネジ形状が形成されている。蓋部73を筒状部71に捻じ込むことによって、端部86と挿入部89は螺合する。
【0099】
挿入部89の外周には、凹部90が形成されており、凹部90にOリングなどが挿入されて筒状部71と蓋部73の間が封止されている。
【0100】
また、
図13および
図14に示すように、シリンダチューブ62には、シリンダチューブ62内に作動油を供給又は排出するための第1流路74および第2流路75(
図12では省略)が形成されている。第1流路74は、蓋部73よりも収縮方向B側の筒状部71の位置に形成されており、筒状部71の内周面71aに開口している。第1流路74は、油圧シリンダ61のロッド側ポートを形成する。第2流路75は、第1端部72に形成されており、底面72aに開口している。第2流路75は、油圧シリンダ61のボトム側ポートを形成する。第1流路74は、
図11に示す第1油圧管95に接続される。第2流路75は、第2油圧管96に接続される。第1油圧管95と第2油圧管96とは、上述した油圧管21に接続される。
【0101】
支持部92は、シリンダチューブ62の長手方向において、第1端部72と蓋部73との間に位置する。詳細には、支持部92は、シリンダチューブ62の長手方向において、第1端部72と筒状部71との間に位置する。支持部92は、第1実施形態の凸部222に相当する凸部922を有する。また、支持部92には、第1実施形態の第1連結ピン27に相当する第1連結ピン93が設けられている。シリンダチューブ62は、第1連結ピン93を介してカプラ本体2に支持される。
【0102】
ピストンロッド63は、長手方向(伸縮方向)に沿って移動可能に蓋部73の挿通孔88に挿通されており、その長手方向が伸縮方向と一致する。
【0103】
ピストンロッド63は、両端に開口を有する円筒形状の筒状部77と、筒状部77の伸長方向A側の開口を塞ぐように配置された第2端部76と、を有する。これにより、ピストンロッド63には、筒状部77の収縮方向B側の端面77bから伸長方向Aに向かって内側空間78が形成されている。
【0104】
すなわち、内側空間78は、筒状部77の内周面77aと、第2端部76の収縮方向B側の内面76aによって囲まれて形成されている。そして、内側空間78は、収縮方向B側に開口78a(
図14参照)を有している。
【0105】
伸長方向A側の端である第2端部76には、上述したように油圧シリンダ61によって駆動させる部材と連結する連結部が形成されている。
【0106】
ピストン64は、円環状の部材であって、ピストンロッド63の外周に固定されている。ピストン64は、ピストンロッド63の収縮方向B側の端面77b近傍に配置されている。ピストン64は、シリンダチューブ62の筒状部71の内周面71a上を摺動する。
【0107】
ピストン64によってシリンダチューブ62内の空間は、ピストン64よりも伸長方向A側の第1空間69と、ピストン64よりも収縮方向B側の第2空間70に分けられる。第1空間69に第1流路74が接続され、第2空間70に第2流路75が接続されている。
【0108】
なお、ピストンロッド63はピストン64を挿通しており、
図13に示す収縮状態では、ピストンロッド63の収縮方向B側の端面77bが底面72aに当接している。
【0109】
ガイド部材65は、後述する第1付勢部材66および第2付勢部材67をガイドする円筒形状の部材であって、長手方向が伸縮方向に沿うようにシリンダチューブ62内に配置されている。ガイド部材65は、収縮した状態にある油圧シリンダ61(
図13)においてピストンロッド63の筒状部77の径方向内側に配置されている。
【0110】
ガイド部材65は、収縮方向Bの端81に開口82を有しており、開口82に突出部87が嵌め込まれている。このように突出部87が、端81に嵌合することによって、ガイド部材65の端81が、底面72aの中央に保持されている。
【0111】
ガイド部材65の底面72aの近傍には、径方向外側に向かって突起83が一周にわたって形成されている。この突起83には、後述する第2付勢部材67の収縮方向Bの端85bが当接する。
【0112】
なお、ガイド部材65の伸縮方向の長さは、
図14に示すように最もピストンロッド63が伸長した状態においてもピストンロッド63と重なるように形成されている。
【0113】
第1付勢部材66と第2付勢部材67は、コイル状であり、伸縮方向に沿って並んで配置されている。第1付勢部材66と第2付勢部材67は、コイルスプリングである。ただし、第1付勢部材66と第2付勢部材67は、コイルスプリング以外の部材であってもよい。
【0114】
第1付勢部材66と第2付勢部材67は、中心軸が伸縮方向に沿うように配置されている。第1付勢部材66および第2付勢部材67は、ピストンロッド63の内側空間78に挿入されており、ガイド部材65の外周面65aとピストンロッド63の内周面77aの間に配置されている。第1付勢部材66が第2付勢部材67よりも伸長方向A側に配置されている。
【0115】
ここで、第2端部76の収縮方向B側の内面76aには、収縮方向Bに向かって突出した突出部91が形成されている。この突出部91と筒状部77の間に形成されるリング状の隙間に、第1付勢部材66の伸長方向A側の端84aが配置されている。
【0116】
第2付勢部材67の収縮方向B側の端85bは、突起83に当接している。
【0117】
保持リング68は、ガイド部材65を内側空間78の略中央に保持するための部材であり、ガイド部材65の外周面65aとピストンロッド63の内周面77aの間に配置されている。保持リング68は、第1付勢部材66の収縮方向B側の端84bと、第2付勢部材67の伸長方向A側の端85aの間に配置され、端84b,85aは、保持リング68に当接している。
【0118】
保持リング68は、伸縮の際、ガイド部材65の外周面65a上とピストンロッド63の内周面77a上を摺動する。保持リング68は、
図13においてガイド部材65の伸縮方向における略中央に配置されている。また、
図14に示すように、ピストンロッド63が最も伸長した際に、ガイド部材65の外周面65aとピストンロッド63の内周面77aの間に位置する。
【0119】
このように保持リング68が設けられることにより、ガイド部材65は保持リング68によってピストンロッド63の略中央に保持される。ガイド部材65は、保持リング68によって保持されるとともに、その端81が突出部87によって底面72aの中央に保持されている。このように、ガイド部材65は2箇所で保持されピストンロッド63の中央に精度良く配置される。
【0120】
以上のように、伸長方向A側から順に第1付勢部材66、保持リング68および第2付勢部材67が配置されており、第1付勢部材66および第2付勢部材67は、ピストンロッド63を伸長方向Aに向かって弾性的に付勢している。
【0121】
尚、第1付勢部材66、第2付勢部材67および保持リング68は、他の部材と接合されておらず、ガイド部材65に遊嵌されている。また、ガイド部材65は、シリンダチューブ62の突出部87に嵌められているだけであり、第1端部72と接合されていない。
【0122】
そのため、第2付勢部材67、保持リング68および第1付勢部材66の順にガイド部材65に配置する工程と、第2付勢部材67、保持リング68および第1付勢部材66が配置されたガイド部材65を突出部87に嵌める工程と、ピストンロッド63を挿入しながら蓋部73を筒状部77にねじ込んで取り付ける工程によって、油圧シリンダ61を簡単に組み立てることが出来る。
【0123】
図13に示す収縮状態では、第1空間69内には作動油が供給されており、作動油の油圧によってピストン64に収縮方向B側の力が加えられている。また、ピストンロッド63は第1付勢部材66と第2付勢部材67によって伸長方向Aに付勢されている。作動油の圧力によってバネの付勢力に対向してピストン64が収縮方向Bに押しこまれている。
【0124】
図13に示す油圧シリンダ61が収縮した状態から、第2流路75を介して第2空間70に作動油が供給され、第1空間69から作動油が排出可能にされると、油圧によってピストン64がシリンダチューブ62内を摺動して伸長方向Aに移動する(
図14参照)。これにより、ピストン64と連結しているピストンロッド63が伸長方向Aに移動する。
【0125】
この際、ピストン64は油圧とともに第1付勢部材66および第2付勢部材67の付勢力によっても伸長方向Aに移動する。
【0126】
そして、ピストン64の伸長方向A側の端面64aが、蓋部73の挿入部89の収縮方向B側の端面89aに当接するまでピストンロッド63とピストン64は伸長方向Aに移動する。
【0127】
このため、本実施の形態の油圧シリンダ61では、ストロークLは端面64aと端面89aの間の長さとなる。
【0128】
図14に示すように伸長した状態では、第2空間70に供給された作動油による油圧と、第1付勢部材66および第2付勢部材67による付勢力によって、ピストンロッド63が伸びた状態が保持されている。
【0129】
また、第2空間70への油圧が付与されない状態になったとしても、第1付勢部材66および第2付勢部材67によってピストンロッド63は伸長方向Aに付勢されているため、
図14に示す伸長状態が維持される。
【0130】
すなわち、本実施の形態の油圧シリンダ61は、第2空間70に油圧が加えられていない場合であっても、伸長状態を維持できる。
【0131】
上記実施の形態の油圧シリンダ61は、シリンダチューブ62と、ピストンロッド63と、ピストン64と、第1付勢部材66および第2付勢部材67(バネ部材の一例)と、を備える。ピストンロッド63は、長手方向が伸縮方向(伸長方向A及び収縮方向B)に沿うようにシリンダチューブ62内に挿入されている。ピストン64は、ピストンロッド63に固定されており、シリンダチューブ62の内周面71aを摺動する。第1付勢部材66および第2付勢部材67は、ピストンロッド63の伸縮方向に沿って配置されピストンロッド63を伸長方向Aに付勢する。ピストンロッド63には、収縮方向B側の端面77bに開口78aを持ち、開口78aから伸長方向Aに向かって内側空間78が形成されている。第1付勢部材66および第2付勢部材67は、内側空間78に挿入されている。
【0132】
このように、ピストンロッド63の内側に内側空間78が形成され、その空間に第1付勢部材66および第2付勢部材67が挿入されている。これにより、第1付勢部材66および第2付勢部材67は、ピストンロッド63の端面77bがシリンダチューブ62の底面72aに当接するまでしか縮まない。すなわち、スプリングシートなどを設けなくても第1付勢部材66および第2付勢部材67の縮み過ぎが発生しない。
【0133】
これにより、油圧シリンダを大型化しなくても大きなストロークを得ることが出来る。
【0134】
また、ピストンロッド63が伸長方向Aに付勢され、作動油が供給されない場合であっても第1付勢部材66および第2付勢部材67によって伸長状態が維持される。
【0135】
上記実施の形態の油圧シリンダ61は、円柱状のガイド部材65を更に備える。第1付勢部材66および第2付勢部材67はコイル状である。ガイド部材65は、長手方向が伸縮方向に沿うように第1付勢部材66および第2付勢部材67の内側に配置されている。ガイド部材65の端81(一端の一例)は、ピストンロッド63の端面77bに対向するシリンダチューブ62の底面72aに保持されている。
【0136】
これにより、ガイド部材65によって第1付勢部材66および第2付勢部材67を伸縮方向にガイドできるため、第1付勢部材66および第2付勢部材67の座屈を防止できる。そのため、ピストンロッド63の長さを長くでき、よりストロークを長くできる。
【0137】
また、ガイド部材65の位置を、シリンダチューブ62内の所定位置(例えば、中央)に保持できる。
【0138】
上記実施の形態の油圧シリンダ61は、ガイド部材65の少なくとも端81(一端の一例)側は、筒形状である。シリンダチューブ62は、底面72aから伸長方向Aに突出した突出部87を有する。筒形状の内側に突出部87が嵌り込むことによってガイド部材65の端81(一端)は底面72aに保持される。
【0139】
このようにガイド部材65を突出部87に嵌め込むだけの簡単な組み立てでガイド部材65を底面72aに保持し、
図13および
図14に示すようにガイド部材65の端81を底面72aの中央に保持できる。
【0140】
上記実施の形態の油圧シリンダ61は、第1付勢部材66および第2付勢部材67はコイル状である。油圧シリンダ61が最も伸長した状態において、第1付勢部材66および第2付勢部材67の長さが自然長より短い。
【0141】
このように、ピストンロッド63がシリンダチューブ62から最も伸びた状態において、第1付勢部材66および第2付勢部材67の長さが自然長よりも長いため、作動油が供給されない場合であっても第1付勢部材66および第2付勢部材67によって伸長状態が維持される。
【0142】
上記実施の形態の油圧シリンダ61は、保持リング68(リング状部材の一例)を更に備えている。保持リング68は、ガイド部材65の外周面65aと内側空間78の内周面77aの間に配置され外周面65aおよび内周面77aを摺動する。保持リング68を挟んで分けられた2つの第1付勢部材66と第2付勢部材67が配置されている。
【0143】
このように保持リング68が配置されていることによって、ガイド部材65は底面72aだけでなく保持リング68によっても保持され、ガイド部材65をより安定して所定位置で保持できる。
【0144】
また、ガイド部材65を突出部87に嵌め込み、保持リング68をガイド部材65に嵌めるだけでガイド部材65を2点保持できるため、簡易な組み立てでガイド部材65を精度良く保持出来る。
【0145】
上記実施の形態の油圧シリンダ61では、ガイド部材65は、突起83を有する。突起83は、径方向外側に向かって突出している。第1付勢部材66の伸長方向A側の端84aは、内側空間78の伸長方向A側の内面76aに当接し、第2付勢部材67の収縮方向B側の端85bは、突起83に当接する。
【0146】
このような構成により、作動油が供給されない場合であっても第1付勢部材66および第2付勢部材67によって伸長状態が維持される。
【0147】
ピストンロッド63が伸長方向Aに付勢され、第1付勢部材66および第2付勢部材67によって伸長状態が維持される。
【0148】
上記実施の形態では、第2付勢部材67の端85bは、ガイド部材65の突起83に当接しているが、突起83が設けられておらず、底面72aに当接してもよい。
【0149】
また、上記実施の形態では、突起83は底面72aの近傍に形成されているが、これに限られるものではなく、
図13に示すよりも伸長方向A側に突起83が形成されていてもよい。
【0150】
上記実施の形態では、第2端部76の内面76aに突出部91が設けられ、第1付勢部材66の端84aが、突出部91と筒状部77の間に嵌っているが、突出部91が設けられておらず、端84aが、内面76aに当接するだけでもよい。
【0151】
上記実施の形態では、保持リング68で分割された第1付勢部材66と第2付勢部材67が設けられているが、第1付勢部材66および第2付勢部材67が更に分割されていてもよい。
【0152】
上記実施の形態では、簡易に組み立て可能とするため、ガイド部材65を第1端部72と接合せず、第1付勢部材66、第2付勢部材67および保持リング68の間も接合していないが、溶接等によって接合してもよい。
【0153】
上記実施の形態では、保持リング68が設けられ、保持リング68を挟んで第1付勢部材66と第2付勢部材67が設けられていたが、保持リング68が設けられず、2つの付勢部材に分けられていなくてもよい。
図15および
図16は、保持リング68が設けられていない油圧シリンダ161の構成を示す断面図である。
図15は、油圧シリンダ161が収縮した状態を示す図であり、
図16は、油圧シリンダ161が伸長した状態を示す図である。なお、油圧シリンダ161の外観は、油圧シリンダ61と同様であるため省略する。
【0154】
図15及び
図16に示す油圧シリンダ161のガイド部材65は、上記実施の形態の油圧シリンダ61のガイド部材65と異なり、シリンダチューブ62の第1端部72と一体的に形成されている。油圧シリンダ161の第1端部72には、油圧シリンダ61の第1端部72と異なり、突出部87が形成されておらず、円柱形状のガイド部材65が伸長方向Aに向かって突出するように形成されている。ガイド部材65の伸縮方向の長さは、
図16に示す伸長状態においてピストンロッド63と重なるように形成されている。
【0155】
図15及び
図16に示す油圧シリンダ161では、保持リング68が設けられていないため、付勢部材を2つの付勢部材に分ける必要がなく、1つの付勢部材166が設けられている。
【0156】
付勢部材166は、ガイド部材65の外周面65aと内側空間78の内周面77aの間に配置されている。付勢部材166の伸長方向A側の端166aが、突出部91と筒状部77の間に配置されており、収縮方向B側の端166bが、第1端部72の内側の面であるシリンダチューブ62の底面72aに当接している。
【0157】
なお、
図15及び
図16に示す油圧シリンダ161では、ガイド部材65が第1端部72と一体的に形成されているため、保持リング68を設けない場合であってもガイド部材65をシリンダチューブ62の中央に保持できる。
【0158】
また、油圧シリンダ161では、ガイド部材65は第1端部72と一体的に形成されているが、溶接等によってガイド部材65が第2端部76に固定されてもよい。
【0159】
図15および
図16に示す油圧シリンダ161には、ガイド部材65が設けられているが、ガイド部材65が設けられていなくてもよい。
図17は、ガイド部材が設けられていない油圧シリンダ261の外観を示す図である。
図18および
図19は、油圧シリンダ261の構成を示す断面図である。
図18は、油圧シリンダ261が収縮した状態を示す図であり、
図19は、油圧シリンダ261が伸長した状態を示す図である。
【0160】
図18及び
図19に示すように、第1端部72の内側の面であるシリンダチューブ62の底面72aには、伸長方向Aに向かって突出した突出部87が形成されている。
図18および
図19に示す油圧シリンダ261には、油圧シリンダ161と同様に1つの付勢部材266が設けられている。
【0161】
付勢部材266の伸長方向A側の端266aは、突出部91と筒状部77の間に嵌っている。また、付勢部材266の収縮方向B側の端266bの内側に突出部87が嵌っている。このように突出部87が、付勢部材266の端266b(第1端の一例)の内側に嵌合することによって、
図19に示すように伸長状態においても付勢部材266の位置がシリンダチューブ62の中央に保持できる。
【0162】
なお、油圧シリンダ261では、ガイド部材65が設けられていないため、付勢部材166の長さを油圧シリンダ161ほど長くできない。そのため、
図17の外観図に示すように、シリンダチューブ62の筒状部71が上記油圧シリンダ161の筒状部71と比較すると短く形成されているが、油圧シリンダ261は、油圧シリンダ161よりも簡易な構成となる利点を有する。また、この場合であっても、スプリングシールを設ける必要がないため、油圧シリンダ261のサイズに対してはストロークを長く確保できる。
【0163】
以上説明した第2実施形態に係るクイックカプラ10では、第1付勢部材66と第2付勢部材67とが油圧シリンダ61内に配置されている。そのため、クイックカプラ10の動作時に油圧管21に第1付勢部材66と第2付勢部材67とが接触することを防止することができる。また、砂などの異物が第1付勢部材66と第2付勢部材67とに付着することを抑えることができる。
【0164】
付勢部材をカプラ本体2の内部に配置するためのスペース、及び付勢部材と油圧管21との干渉を回避するためのスペースを省略することができるため、クイックカプラ10の大型化を抑えることができる。
【0165】
第1連結ピン93が、シリンダチューブ62に設けられており、シリンダチューブ62の軸線方向において第1端部72と蓋部73との間に配置されている。そのため、第1連結ピン93がシリンダチューブ62の第1端部72に設けられる場合と比べて、油圧シリンダ61の全長を短くすることができる。これにより、クイックカプラ10の大型化を抑えることができる。
【0166】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0167】
支持孔26の形状は、長孔に限らず、変更されてもよい。例えば、支持孔26が第1連結ピン27より大きい円形或いは楕円形であってもよい。
【0168】
ロック部材8は、上述の実施形態の構成に限らず、変更されてもよい。例えば、ロック部材8に凹部41、傾斜面43、或いは段部44が設けられなくてもよい。ロック部材8は、回動ではなく直線的或いは曲線的に移動することで、ロックオン位置とロックオフ位置とに移動してもよい。
【0169】
第2のフック3がピン抜け止め部29に最も近接した状態で、第2のフック3の先端とピン抜け止め部29との間の隙間の幅は、第2のフック3の開口の幅以上であってもよい。或いは、第2のフック3の先端とピン抜け止め部29とが接触してもよい。
【0170】
付勢部材は、バネに限らず、気体や液体などの流体、或いは、弾性材料など、付勢力を生じさせる他の部材で構成されてもよい。付勢部材の数は2つに限らず、2つより多い、あるいは1つであってもよい。
【0171】
弾性部材45が省略されてもよい。カプラ本体2の壁部15が省略されてもよい。
【0172】
第2実施形態に係る油圧シリンダ61の構造が変更されてもよい。