特許第6178520号(P6178520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6178520
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】新規な抗HPV医薬製剤の用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/167 20060101AFI20170731BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20170731BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   A61K31/167ZMD
   A61P31/20
   A61K9/20
   A61K9/48
   A61K9/12
   A61K9/06
   A61K9/08
   A61K9/70
   A61K9/16
   A61K9/10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-553692(P2016-553692)
(86)(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公表番号】特表2016-540044(P2016-540044A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】CN2014082148
(87)【国際公開番号】WO2015070630
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】201310589439.8
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516143710
【氏名又は名称】中国医学科学院生物医学工程研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF BIOMEDICAL ENGINEERING, CHINESE ACADEMY OF MEDICAL SCIENCE
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼天▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】孟▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼力▲揮▼
(72)【発明者】
【氏名】洪▲閣▼
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/146435(WO,A1)
【文献】 特表2009−502985(JP,A)
【文献】 国際公開第01/080901(WO,A1)
【文献】 特開2012−167103(JP,A)
【文献】 Chemical Biology & Drug Design,Zrinka Rajic et al.,2009年 2月 5日,Volume 73, Issue 3,p.328-338
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/167
A61K 9/06
A61K 9/08
A61K 9/10
A61K 9/12
A61K 9/16
A61K 9/20
A61K 9/48
A61K 9/70
A61P 31/20
CAplus/REGISTRY
/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式に示される化合物であるパラセタモールの抗ヒトパピローマウイルス薬の調製における使用であって、
前記パラセタモールの量が、ヒトパピローマウイルスの増殖を阻害するが、細胞毒性を発揮しない量であることを特徴とする、使用。
【化1】
【請求項2】
前記抗ヒトパピローマウイルス薬は医薬製剤であって、該医薬製剤の全重量に対して前記パラセタモールが0.1−40%となるように薬学的に許容可能な薬物担体を添加し、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁液、エアロゾル剤、経口液、軟膏剤、ゲル剤、パッチ剤、注射剤及び放出制御製剤から選ばれる臨床的に許容可能な剤型に調製することを特徴とし、
前記医薬製剤は、単位量あたりにパラセタモールを1−500mg含み、前記単位量が一日に服用する医薬製剤の全量であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬技術分野に属し、具体的にはパラセタモール及びパラセタモールを含有する医薬製剤の抗HPVにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトパピローマウイルス(HPV)はヒト間での伝染性を有する球状DNAウイルス(非特許文献1)である。今まで、科学者は130種類余りのHPV亜型を分離しており、亜型によって臨床症状が異なり、一般的にはHPV感染は性器、肛門、口腔咽頭、食道粘膜の扁平上皮細胞増殖を引き起こし、疾病として尋常性疣贅、扁平疣贅、足底疣贅等が発生し、深刻なHPV感染の場合は外陰部癌、陰茎癌、肛門癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮頸癌、直腸癌、口腔癌、へんとう腺癌等の悪性腫瘍を引き起こす可能性もある。
【0003】
1995年に国際癌研究機関(IARC)による疫学的研究データから明らかなように、高リスクのHPV16とHPV18は女性子宮頸癌を引き起こす要因であり、高い伝染性を有する(非特許文献2)。中国では、ほぼ全ての子宮頸癌はHPV感染に関わる(非特許文献3)。
【0004】
統計によると、世界中の性病のうち、HPV感染による生殖器疣贅は15−20%を占める。2003−2004年に米国で行われている国家健康栄養研究課題のHPV流行状況の調査結果により、14−59歳の女性生殖管の全HPV感染率は26.8%である(非特許文献4〜5)。
【0005】
現在、HPV臨床症状の治療方法は以下を含む:
(1)レーザ、マイクロ波、手術切除(婦人科のLEEPナイフ等)、光線力学的療法等の理学療法:裸眼で見られる瘤と潜在性感染を除去することを目的にし、主にウイルスによる腫瘍に対して治療を施すが、ソースからウイルスを殺滅することができない。
【0006】
(2)薬物治療:現在、該ウイルスに対する特効抗ウイルス薬がなく、臨床上、一般的に細胞傷害性薬物を使用して補助的に治療し、0.5%ポドフィロトキシンチンキ、50%トリクロロ酢酸、フルオロウラシル軟膏等を含む。そのうち、ポドフィリン等は一定の腐食性を有するため、周囲の正常組織をよく保護しなければ、周囲正常組織の移植が発生しやすく、且つ上記薬物は毒性が大きいが、HPVを完治することができ、再発率が非常に高い。
【0007】
(3)免疫療法:再発を減少させるとともに病巣を迅速に除去することができ、インターフェロン、インターロイキン、チモシン、伝達因子、BCG、イソトレチノイン、自家ワクチン等を含み、価格が高く、安定性が悪く、治療プロセスが複雑であるという欠点がある。
【0008】
(4)治療用ワクチン:予防性抗HPVワクチンとしてMerck社製のGardasilとグラクソ・スミスクライン社製のCervarixがあるが、従来の抗HPVワクチンにも、一部のウイルス亜型に対してしか効果がなく、価格が高く、標的集団が小さく(13−26歳の女性)且つ免疫有効期間が短い(有効期間3−5年間)等の欠点が存在し、これら欠点により従来ワクチンを効果的に普及させることに影響を及ぼす(非特許文献6)。
【0009】
パラセタモールは一般的な解熱・鎮痛薬であり、風邪による発熱、関節痛、神経痛、片頭痛、癌による痛み及び手術後の鎮痛等に用いられる。本研究グループは抗ウイルス薬をスクリーニングする過程においてパラセタモールが高い抗HPV16活性を有することを見出した。該研究結果に基づき、パラセタモールを含む一連の医薬製剤を製造して、HPV16治療に用いる。従来の治療方法に比べて、本発明の提供するパラセタモールを含有する医薬製剤は、製造方法がシンプル、生産コストが低く、抗HPV効果が顕著である等の利点を有する。従って、一日も早くHPVを治療するための臨床用薬物として開発することは、実用的に重大な意義がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Woodman CB,Collins SI,Young LS.The natural history of cervical HPV infection: unresolved issues[J]. Nat Rev Cancer,2007、7(1): 11−22.
【非特許文献2】IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. Human papillomaviruses[J]. IARC Monogr Eval Carcinog Risks Hum,1995,64: 1−378.
【非特許文献3】喬友林.中国女性のヒトパピローマウイルス感染と子宮頸癌についての疫学的研究現状及びそのワクチンの予防将来性[J].中華流行病学雑誌、2007、28(10):937−940.
【非特許文献4】王奔、熊正愛.HPV予防性ワクチンの現状及び研究発展[J].広東医学、2011,32(4):530−532.
【非特許文献5】何礼霞、何俊勇、蒲建ロ等.于HPV感染に対する認知現状[J].西部医学、2012,24(8):1643−1644.
【非特許文献6】万磊、万建平、張燕玲等.子宮頸癌若年化トレンドの臨床分析[J].中国腫瘍臨床、2004,31(10):547−549.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一目的は、パラセタモールの抗HPV薬としての使用を提供することである。
【0012】
本発明の第二目的は、有効量のパラセタモールを含む医薬製剤の抗HPV薬としての使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の技術的解決手段の概要は以下のとおりである。
【0014】
本発明のパラセタモール及びパラセタモール医薬製剤は、HPV感染によって引き起こされる臨床症状、特に尋常性疣贅、扁平疣贅、足底疣贅、外陰部癌、陰茎癌、肛門癌、前立腺癌、膀胱癌、子宮頸癌、直腸癌、口腔癌、へんとう腺癌等を予防して治療することができる。
【0015】
本発明の前記新規な抗HPV医薬製剤は、パラセタモール単独又はパラセタモールとほかの薬物との組み合わせに、該医薬製剤の全重量に対して前記パラセタモールが0.1−40%となるように薬学的に許容可能な薬物担体を添加し、臨床的に許容可能な任意の剤型、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、エアロゾル剤、経口液、軟膏剤、ゲル剤、パッチ剤、注射剤、輸液剤、凍結乾燥粉末注射剤及び制御放出製剤を製造する。
【0016】
本発明の前記パラセタモールは下記式に示される化合物である。
【化1】
【0017】
前記薬学的に許容可能な担体としては、一般的な希釈剤(例えば注射用水、微結晶性セルロース等の少なくとも1種)、充填剤(例えばマンニトール、蔗糖、乳糖、ポリエチレングリコール、ツイーン80、ソルビトール、メントール、流動パラフィン、ワセリン、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル、ラノリン、鉱物油、DMSO等の少なくとも1種)、接着剤(例えばカルボマー、アラビアガム、澱粉、セルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の少なくとも1種)、崩壊剤(例えばカルボキシメチルスターチナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等の少なくとも1種)、潤滑剤(例えばタルカムパウダー、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、レシチン、二酸化シリコン、シリカ粉末等の少なくとも1種)、湿潤剤(例えばプロピレングリコール、グリセリン、エタノール等の少なくとも1種)、安定剤(例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エタノールアミン、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ニコチンアミド、ビタミンC等の少なくとも1種)、浸透圧調整剤(例えば塩化ナトリウム、グルコース等の少なくとも1種)、pH調整剤(例えばトリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の少なくとも1種)、防腐剤(例えばクロロブタノール、パラベン、エチルパラベン、ベンジルジメチルドデシルアミニウムブロミド等少なくとも1種)が含まれる。上記添加剤は一般的な用量であってよく、普通の配合比率でパラセタモールと混合し、パラセタモールの使用量が確定した後、各薬用添加剤の配合比率は必要に応じて適当に調整してもよい。
【0018】
本発明の医薬製剤は単位量あたりにパラセタモールを1−500mg含み、投与量が投与方法、患者の年齢、体重、疾患の種類や病気の程度等の複数の要因により調整することができ、更に病例の臨床症状に応じて適当に変化してもよい。一日投与量は一般的に1−50mg/kg、好ましくは10−40mg/kg、最も好ましくは20−30mg/kgである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例1 パラセタモールの調製
パラアミノフェノール10g、酢酸無水物9.5g、ジクロロメタン150mLを500mLの反応フラスコに投入し、室温で2h撹拌し、次に加熱還流を4h行う。冷却して、減圧蒸留して溶媒を除去する。40mLのエタノールで再結晶し、13.3gの製品を得て、収率は95.6%であった。
【0020】
実施例2 錠剤(乾法)
パラセタモール150gに、ヒドロキシプロピルセルロース75g、カルボキシメチルスターチナトリウム75g、澱粉180gを添加して等量逓増法で均一に混合した後に乾法造粒を行い、ステアリン酸マグネシウム20gを添加して均一に混合し、打錠する。
【0021】
実施例3 錠剤(湿法)
パラセタモール300gに、澱粉500g、ステアリン酸マグネシウム100g、カルボキシメチルセルロース200g、エタノール(体積百分率含有量70%)2700g、微結晶性セルロース2500g、トウモロコシ澱粉3200gを添加して、十分に撹拌して混合して湿式粒子にし、60−70℃で2−4時間乾燥させて打錠する。打錠して錠剤を製造するために賦形剤として使用される添加剤には硫酸マグネシウム、トウモロコシ澱粉、タルカムパウダーを含む。
【0022】
実施例4 丸剤
パラセタモール100gに、900gのポリエチレングリコールを添加し、90℃で加熱溶融して、原料と添加剤を十分に溶融して混合し、溶融物をポリジメチルシロキサン液体担体に滴下し、自然冷却して滴丸を形成し、各粒の滴丸におけるパラセタモールの含有量を100−200mgにする。
【0023】
実施例5 カプセル剤
パラセタモール300gに、ステアリン酸マグネシウム20g、カルボキシメチルセルロース200g、微結晶性セルロース480gを添加し、十分に撹拌して混合して湿式粒子にし、製造された湿式粒子を60−70℃で2−4時間直接乾燥させ、次に空のカプセルシェルに充填し、各粒のカプセルにおけるパラセタモールの含有量を200mgにする。
【0024】
実施例6 顆粒剤
パラセタモール600gに、ステアリン酸マグネシウム20g、カルボキシメチルセルロース180g、微結晶性セルロース200gを添加し、十分に撹拌して混合して12−14メッシュのふるいにかけて粒子を得た。60−70℃で2−4時間乾燥させ、顆粒剤1グラムにおけるパラセタモールの含有量を200mgにする。
【0025】
実施例7 懸濁剤
パラセタモール20gに、純水420g、グリセリン390g、ソルビトール70g及びプロピレングリコール100gを添加し、水性担体に均一に分散されている懸濁液を得た。
【0026】
実施例8 エアロゾル剤
パラセタモール1gを、プロピレングリコールに溶解し、ビタミンC0.5g、クロロブタノール0.2mLを添加して、均一に混合して透明溶液にし、仕様に応じて圧縮窒素ガスとともに圧力容器内に投入する。
【0027】
実施例9 エアロゾル剤
パラセタモール50gに、グリセリン200g、プロピレングリコール100g、ツイーン80 1g、メントール2g及び純水100gを添加し、均一に撹拌して、ノズル付き容器に装入して得た。
【0028】
実施例10 経口液
パラセタモール50gに、純水7.45kgと食用糖2.5kgを添加し、撹拌して溶解し、分包して滅菌して得た。
【0029】
実施例11 軟膏剤(油性基材)
ワセリン500gと流動パラフィン400gをそれぞれ加熱溶融し、熱いうちに濾過して、不純物を除去し、更に約1hかけて150℃に加熱して滅菌して水分を除去し、自然冷却し、パラセタモール100gをすり鉢に投入し、適量の流動パラフィンを添加して糊状になるまですりつぶし、バッチ式でワセリンを添加して均一にすりつぶして得た。
【0030】
実施例12 軟膏剤(o/w型乳化剤基材)
ステアリン酸100g、ステアリン酸グリセリル70g、白色ワセリン70g及び流動パラフィン60gをビーカーに投入し、水浴で80℃程度に加熱し、撹拌して溶融し、ツイーン80 0.5gと蒸留水600mLを別の小ビーカーに投入し、水浴で約80℃に加熱し、均一に撹拌する。同じ温度で、水相を微細流れとして油相に添加し、水浴において順方向で絶えずに撹拌してアイボリーホワイト半ソリッド状にし、更に室温で凝縮に近くなるまで撹拌する。パラセタモール100gを軟膏板上とすり鉢内に投入し、バッチ式で添加してO/W型乳化剤基材を得て、均一にすりつぶして得た。
【0031】
実施例13 ゲル剤
カルボマー934 10gをバッチ式で適量の蒸留水に撒き、緩慢に膨潤し、グリセリン100gを添加して撹拌し、透明なゲル基材にする。別にメントールをエタノールに溶解し、ホウ酸10g適量の水に溶解し、以上のものを混合して、均一に撹拌する。撹拌しながらパラセタモール10gを投入し、トリエタノールアミンでPHを4.5−5.5に調整し、水を1000mLになるまで添加し、均一に撹拌して、分包して得た。
【0032】
実施例14 パッチ剤
カルボマー4g、プロピレングリコール、ツイーン−80及び蒸留水を秤量して10:20:3:12で60℃に加熱して20min撹拌し、パラセタモール1gを添加して、均一に撹拌し、バッチ式で、期待される厚みにあるまで裏地にコーティングし、天日干しし又はベークして、製剤様式に応じて切断して得た。
【0033】
実施例15 制御放出錠剤
パラセタモール300gに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース70g、カルボキシメチルセルロース250g、エタノール(体積百分率含有量70%)370g、ステアリン酸マグネシウム10g等を添加して十分に撹拌して混合して湿式粒子にし、60−70℃で2−4時間乾燥させて打錠する。
【0034】
実施例16 制御放出錠剤
パラセタモール600gに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース280g、ステアリン酸30g、乳糖80g、ステアリン酸マグネシウム10gを添加して、十分に撹拌して混合して乾法造粒を行い、打錠して、各錠におけるパラセタモールの含有量を100mgにする。
【0035】
実施例17 注射剤
ビタミンC 3gを注射用水2800mLに添加して溶解し、30℃−40℃に加熱して、パラセタモール90g、ツイーン−80 18gを添加して、室温に冷却し、塩化ナトリウム27gを添加して、5%のクエン酸ナトリウム溶液でpHを7.0〜7.5に調整し、注射用水で3000mLになるまで定容し、製剤様式に応じて3−5mLあたりをアンプルに分包してシールし、100℃で蒸気滅菌を30min行って得た。
【0036】
実施例18 注射剤
パラセタモール10g、グルコース50g及び注射用水940gを混合し、体積比1:1の塩酸水溶液を滴下して、pHを4.0に調整し、活性炭1gを添加して、撹拌しながら30分間沸騰させ、濾過して活性炭を除去し、更に0.22μm濾過膜で濾過して殺菌し、澄んだ無菌液を得てポッティングし、115℃で高圧蒸気殺菌を30分間行って得た。
【0037】
実施例19 凍結乾燥粉末注射剤
パラセタモール45g、マンニトール40gを、注射用水910gに添加し、撹拌して溶解し、体積比1:1の塩酸水溶液を滴下し、pHを6.2に調整し、更に5gの注射剤用活性炭を添加し、室温下で20分間撹拌し、濾過して活性炭を除去して、更に0.22μm濾過膜で濾過除菌し、澄んだ無菌液を得て、5mLのチューブ状ボトルに、それぞれ3mL充填し、真空凍結乾燥器に入れて凍結乾燥させて得た。
【0038】
実施例20 輸液剤
10gパラセタモールを、ポリエチレングリコール4g、レシチン3g、酢酸ナトリウム6g、亜硫酸ナトリウム6g及び塩化ナトリウム900gに添加し、注射用水に溶解して濾過し、充填してシールして滅菌し、包装して得た。
【0039】
実施例21 輸液剤
パラセタモール10gを、ポリエチレングリコール4g、レシチン4g、酢酸ナトリウム4g、亜硫酸ナトリウム8g及びグルコース5kgに添加して、注射用水に溶解し、濾過して充填してシールし、滅菌して包装して得た。
単位量あたりにパラセタモールが50mg含まれ、筋肉内投与しても静脈内投与してもよく、使用量について一日に1−2回、一回に1−2個の単位量である。
【0040】
実施例22
実施例1−21で得たパラセタモールとパラセタモール医薬製剤のインビトロ抗ウイルス評価は下記ステップを含む:
(1)細胞毒性テスト:一般的な培養方法で培養した成長対数期のヒト子宮頸癌Caski細胞(HPV16陽性)を、トリプシンで消化し、接着細胞を脱落し、10%胎仔ウシ血清を含む液体培地で懸濁液を調製し、96ウェル板に、1X10個細胞/孔で接種して培養し、COインキュベーターに入れて24hインキュベートして細胞を接着する。標示量で実施例1−21で製造したパラセタモール又はパラセタモール医薬製剤を細胞培養用DMSOに溶解し、更に液体培地で希釈して濃度が順次25、50、100、200、400μg/mLであるように逓増している一連の薬物培養液を調製する。培養液を捨てて、投与群に倍数関係で調製した薬物培養液を100μL添加し、対照群では薬物溶液の代わりとして培養液を使用し、各濃度では4つの副孔とし、COインキュベーターにおいて72hインキュベートする。MTT法を使用してReed−Muench法で半数有毒濃度(TC50)と最大無毒濃度(TC)を算出した。
【0041】
(2)Caski細胞をモデルとするパラセタモールとパラセタモール医薬製剤の薬効評価:パラセタモール又はパラセタモール医薬製剤の標示量に応じて、液体培地で最大無毒濃度の薬物培養液を調製し、該薬物培養液で細胞を処理して48時間培養後に培養を停止し、細胞内の全RNAを抽出し、01igo(dT)15をプライマーとして逆転写し、最後にcDNAをテンプレート、E6、E7を目的遺伝子、β−actinを参照遺伝子として、Real−time PCR法でパラセタモール又はアセチルアミノフェノール医薬製剤がCaski細胞に作用した後、HPV16のE6とE7mRNAの遺伝子発現レベルでの変化を測定し、それによるHPV16ウイルスへの阻害活性(実験結果は表1に示される)を判断する。
【0042】
【表1】