(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
<第1の実施の形態>
先ず、第1の実施の形態における車輌用前照灯1について説明する(
図1乃至
図3参照)。
【0024】
車輌用前照灯1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0025】
車輌用前照灯1は前方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(
図1参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0026】
灯具ユニット6は、レンズホルダー7とレンズホルダー7に保持された投影レンズ8と光を反射するリフレクター9とリフレクター9の下方に配置された光源ユニット10と光源ユニット10の下面に取り付けられた冷却ファン11とを有している。
【0027】
レンズホルダー7は前後に貫通された略円環状のレンズ取付部7aとレンズ取付部7aの左右両端部からそれぞれ後方へ突出された側部7b、7b、・・・と左右に位置された側部7b、7b、・・・間に設けられた保持板部7cとを有している。
【0028】
投影レンズ8は略半球状に形成されレンズホルダー7のレンズ取付部7aに取り付けられている。
【0029】
リフレクター9は内面が反射面として形成されている。リフレクター9は光源ユニット10の上面に取り付けられている。
【0030】
光源ユニット10はレンズホルダー7の保持板部7cに取り付けられ、回路基板10aと回路基板10aの上面に搭載された光源10bとを有し、光源10bとしては、例えば、発光ダイオード(LED)が用いられている。光源ユニット10には回路基板10aの下側に位置するヒートシンク10cが設けられている。
【0031】
冷却ファン11はヒートシンク10cの内側に配置されている。
【0032】
灯具ユニット6は、その下側に位置された保持プレート12に取り付けられて保持されている(
図1乃至
図3参照)。保持プレート12は上下に貫通された略矩形の枠状の保持部13と保持部13の前端部における左右両端部からそれぞれ側方(外方)へ突出された回動支点部14、14と保持部13の左右両側縁から突出された摺動係合部15、15とを有している。保持プレート12は保持部13と回動支点部14、14と摺動係合部15、15が一体に形成されている。
【0033】
摺動係合部15、15はそれぞれ保持部13の左右両側部の内縁から下方へ突出され、下端部にカム部15a、15aが設けられている。カム部15a、15aは後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。
【0034】
灯具ユニット6の下方には光軸調整機構16が配置されている(
図1参照)。光軸調整機構16は、ベース体17と支持プレート18とスライダー19と操作軸20とアクチュエーター21を有している(
図2及び
図3参照)。
【0035】
ベース体17は上下方向を向く略板状に形成され、後端寄りの位置に支点孔17aを有している。ベース体17には支点孔17aを中心とした円周上に上方へ突出された支持突条17b、17b、17bが周方向に離隔して設けられている。ベース体17はランプハウジング2の底面部2aに取り付けられている。尚、ベース体17はランプハウジング2と一体に形成されていてもよい。
【0036】
支持プレート18は上下方向を向く略板状の基面部22と基面部22の前端部における左右両端部からそれぞれ上方へ突出された支持突部23、23と基面部22の後端部から上方へ突出されたナット取付部24とを有している。支持プレート18は基面部22と支持突部23、23とナット取付部24が一体に形成されている。
【0037】
基面部22の後端寄りの位置には下方へ突出された被支持軸22aが設けられている。基面部22の後端部には上方へ突出され前後に延びる案内突部22b、22bが左右に離隔して設けられている。基面部22には円弧状の被支持孔22c、22c、22cが周方向に離隔して形成されている。
【0038】
支持突部23、23には上方及び側方(内方)に開口された支持凹部23a、23aが形成されている。
【0039】
ナット取付部24には前後に貫通された取付孔24aが形成されている。
【0040】
支持プレート18は被支持軸22aが支点孔17aに上方から挿入され、被支持軸22aを支点としてベース体17に回動自在に支持される。支持プレート18の被支持孔22c、22c、22cにはそれぞれベース体17の支持突条17b、17b、17bがそれぞれ摺動自在に係合される。従って、支持プレート18のベース体17からの脱落が防止される。
【0041】
支持プレート18の支持凹部23a、23aには保持プレート12の回動支点部14、14がそれぞれ挿入され、保持プレート12が回動支点部14、14を支点として支持プレート18に回動自在に支持される。
【0042】
スライダー19は横長の形状に形成され、左右方向における中央部に前後に貫通された保持孔19aを有している。スライダー19の左右両側面にはそれぞれ側方(外方)へ突出された係合ピン19b、19bとカム駆動部19c、19cとが上下に離隔して設けられている。カム駆動部19cは後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。スライダー19の下面には下方に開口され前後に延びる被案内溝19d、19dが左右に離隔して形成されている。
【0043】
スライダー19は被案内溝19d、19dにそれぞれ案内突部22b、22bが挿入され、支持プレート18に前後方向へ移動自在に支持される。スライダー19の係合ピン19b、19bとカム駆動部19c、19cの間にはそれぞれカム部15a、15aが挿入され、係合ピン19b、19bとカム駆動部19c、19cがカム部15a、15aに摺動可能とされる。このとき灯具ユニット6がカム部15a、15aとカム駆動部19c、19cの上方に配置されているため、カム部15a、15aがそれぞれカム駆動部19c、19cに灯具ユニット6の荷重によって押し付けられる。
【0044】
操作軸20はランプハウジング2に軸回り方向へ回転自在に支持されている。操作軸20は軸部25と軸部25の後端に連続された操作部26とを有している。軸部25は軸方向が前後方向とされ、前端寄りの部分が螺合部25aとして設けられている。
【0045】
操作軸20はランプハウジング2の後面部2bを挿通され、操作部26が後面部2bの後方に位置されている。
【0046】
アクチュエーター21は操作軸20の側方においてランプハウジング2の後面部2bに取り付けられている。アクチュエーター21は駆動部27と軸部28とギヤ部29を有している。
【0047】
駆動部27はランプハウジング2における後面部2bの前面に取り付けられている。
【0048】
軸部28は軸方向が前後方向とされ、前側の部分を除いて駆動部27の内部に位置されている。軸部28の前端部は螺合部28aとして設けられている。軸部28は駆動部27の駆動力によって前後方向へ移動されると共に手動により駆動部27に対して軸回り方向へ回転される。
【0049】
ギヤ部29は軸部28に連結されている。ギヤ部29が手動により回転されると軸部28がギヤ部29と一体になって軸回り方向へ回転される。
【0050】
アクチュエーター21は一部がランプハウジング2の後面部2bを挿通され、ギヤ部29が後面部2bの後方に位置されている。
【0051】
支持プレート18の取付孔24aには第1のナット部材30が取り付けられる。第1のナット部材30の内面には図示しない螺溝が形成されている。第1のナット部材30の螺溝には操作軸20の螺合部25aが螺合されている。
【0052】
スライダー19の保持孔19aには第2のナット部材31が挿入されて保持される。第2のナット部材31はスライダー19に対して少なくとも左右方向へ回動可能とされ、第2のナット部材31の内面には螺溝が形成されている。第2のナット部材31の螺溝にはアクチュエーター21における軸部28の螺合部28aが螺合されている。
【0053】
尚、上記には、アクチュエーター21の駆動部27がランプハウジング2における後面部2bの前面に取り付けられギヤ部29が後面部2bの後方に位置された例を示したが、アクチュエーター21の駆動部27がランプハウジング2における後面部2bの後面に取り付けられ駆動部27とギヤ部29が後面部2bの後方に位置されるように構成してもよい。
【0054】
光軸調整機構16において、操作軸20の操作部26が回転操作されると、操作軸20の回転方向に応じて第1のナット部材30が送られて前後方向へ移動される。第1のナット部材30が前後方向へ移動されると、第1のナット部材30の移動に伴って支持プレート18、保持プレート12、スライダー19及び灯具ユニット6が一体になって被支持軸22aを支点としてベース体17に対して回動され、光軸の初期調整である左右エイミング調整が行われる。このときスライダー19は第2のナット部材31に対して左右方向へ回動される。
【0055】
また、光軸調整機構16において、アクチュエーター21のギヤ部29が回転操作されると、ギヤ部29と軸部28の回転方向に応じて第2のナット部材31が送られて前後方向へ移動される。第2のナット部材31が前後方向へ移動されると、第2のナット部材31の移動に伴ってスライダー19が支持プレート18に対して案内突部22b、22bに案内されて前後方向へ移動される。スライダー19が前後方向へ移動されると、係合ピン19b、19bとカム駆動部19c、19cのカム部15a、15aに対する係合位置が変化され、保持プレート12と灯具ユニット6が回動支点部14、14を支点として支持プレート18に対して回動され、光軸の初期調整である上下エイミング調整が行われる。
【0056】
一方、アクチュエーター21の駆動部27の駆動力によって軸部28が前後方向へ移動されると、軸部28の移動方向に応じて第2のナット部材31が前後方向へ移動される。第2のナット部材31が前後方向へ移動されると、上下エイミング調整の場合と同様にして保持プレート12と灯具ユニット6が回動支点部14、14を支点として支持プレート18に対して回動され、車載物の重量等に応じて変化される光軸の向きを調整するレベリング調整が行われる。
【0057】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態における車輌用前照灯1Aについて説明する(
図4乃至
図7参照)。
【0058】
尚、第2の実施の形態における車輌用前照灯1Aは、上記した車輌用前照灯1と比較して、光軸調整機構の一部の構成及び光軸調整機構の一部の配置位置が異なることのみが相違するため、車輌用前照灯1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用前照灯1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0059】
灯具ユニット6の下方には光軸調整機構16Aが配置されている(
図4参照)。光軸調整機構16Aは、ベース体17と支持プレート18と下側スライダー32と上側スライダー33と操作軸20、20とアクチュエーター21Aを有している(
図5及び
図6参照)。
【0060】
下側スライダー32は横長の形状に形成され、左右方向における中央部の後端部に前後に貫通された保持孔32aを有している。下側スライダー32は前端部に前後に貫通された略円環状の環状挿通部32bを有し、環状挿通部32bの後側の部分が上方に開口された摺動凹部32cとして形成されている。摺動凹部32cは保持孔32aの側方に位置されている。下側スライダー32の下面には下方に開口され前後に延びる被案内溝32d、32dが左右に離隔して形成されている。下側スライダー32には前後に延びるガイド突部32e、32eが左右に離隔して設けられている。
【0061】
下側スライダー32は被案内溝32d、32dにそれぞれ案内突部22b、22bが挿入され、支持プレート18に前後方向へ移動自在に支持される。
【0062】
上側スライダー33は横長の形状に形成されている。上側スライダー33の下面には前後に延びる被ガイド突部33a、33aが左右に離隔して設けられている。上側スライダー33の左右両側面にはそれぞれ側方(外方)へ突出された係合ピン33b、33bとカム駆動部33c、33cとが上下に離隔して設けられている。カム駆動部33cは後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。上側スライダー33の左右方向における略中央部には摺動結合部33dと摺動板部33eが左右に並んで設けられ、摺動結合部33dは外周部が円筒状に形成され、摺動板部33eは上方へ凸の略円弧状に形成されている。
【0063】
上側スライダー33は被ガイド突部33a、33aがそれぞれガイド突部32e、32eに摺動自在に係合され下側スライダー32に前後方向へスライド自在に支持される。上側スライダー33の係合ピン33b、33bとカム駆動部33c、33cの間にはそれぞれカム部15a、15aが挿入され、係合ピン33b、33bとカム駆動部33c、33cがカム部15a、15aに摺動可能とされる。このとき灯具ユニット6がカム部15a、15aとカム駆動部33c、33cの上方に配置されているため、カム部15a、15aがそれぞれカム駆動部33c、33cに灯具ユニット6の荷重によって押し付けられる。
【0064】
上側スライダー33は摺動結合部33dが下側スライダー32の摺動凹部32cに挿入されて摺動される。
【0065】
操作軸20、20は左右に離隔して位置され、ランプハウジング2の後面部2bを挿通され、操作部26、26が後面部2bの後方に位置されている。
【0066】
アクチュエーター21Aは操作軸20、20の前方側に配置されている。アクチュエーター21Aは駆動部27Aと軸部28Aを有し、駆動部27Aが支持プレート18の上面に前後方向へ移動可能な状態で配置されている。
【0067】
駆動部27Aは本体部27aと本体部27aから後方へ突出された環状の結合用突部27bとを有し、結合用突部27bの外周部には外方へ突出された規制突部27c、27c、27cが周方向に離隔して設けられている。
【0068】
軸部28Aは駆動部27Aの結合用突部27bから後方へ突出されている。軸部28Aの先端部は球状連結部28bとして設けられている。
【0069】
アクチュエーター21Aは球状連結部28bと軸部28Aと結合用突部27bが下側スライダー32の環状挿通部32bに後方から挿通され、球状連結部28bが上側スライダー33の摺動結合部33dに連結される。アクチュエーター21Aの結合用突部27bが環状挿通部32bに挿通された状態においては、環状挿通部32bがアクチュエーター21Aの本体部27aの後面と規制突部27c、27c、27cの間に両者との間に一定の隙間が生じた状態で位置される。
【0070】
支持プレート18の取付孔24aには第1のナット部材30が取り付けられる。第1のナット部材30の螺溝には一方の操作軸20の螺合部25aが螺合されている。
【0071】
下側スライダー32の保持孔32aには第2のナット部材31が挿入されて保持される。第2のナット部材31の螺溝には他方の操作軸20の螺合部25aが螺合されている。
【0072】
光軸調整機構16Aにおいて、一方の操作軸20の操作部26が回転操作されると、操作軸20の回転方向に応じて第1のナット部材30が送られて前後方向へ移動される。第1のナット部材30が前後方向へ移動されると、第1のナット部材30の移動に伴って支持プレート18、保持プレート12、下側スライダー32、上側スライダー33、アクチュエーター21A及び灯具ユニット6が一体になって被支持軸22aを支点としてベース体17に対して回動され、光軸の初期調整である左右エイミング調整が行われる。このとき下側スライダー32と上側スライダー33とアクチュエーター21Aは第2のナット部材31に対して左右方向へ回動される。
【0073】
また、光軸調整機構16Aにおいて、他方の操作軸20の操作部26が回転操作されると、操作軸20の回転方向に応じて第2のナット部材31が送られて前後方向へ移動される。第2のナット部材31が前後方向へ移動されると、第2のナット部材31の移動に伴って下側スライダー32が支持プレート18に対して案内突部22b、22bに案内されて前後方向へ移動される。このとき下側スライダー32が上側スライダー33に対して移動可能であるが、下側スライダー32が移動されて環状挿通部32bが本体部27aの後面又は規制突部27c、27c、27cに接すると下側スライダー32と上側スライダー33とアクチュエーター21Aが一体になって前後方向へ移動される。
【0074】
下側スライダー32と一体になって上側スライダー33が前後方向へ移動されると、係合ピン33b、33bとカム駆動部33c、33cのカム部15a、15aに対する係合位置が変化され、保持プレート12と灯具ユニット6が回動支点部14、14を支点として支持プレート18に対して回動され、光軸の初期調整である上下エイミング調整が行われる。
【0075】
一方、アクチュエーター21Aの駆動部27の駆動力によって軸部28Aが前後方向へ移動されると、軸部28Aの移動方向に応じて上側スライダー33が前後方向へ移動される。このとき上側スライダー33が下側スライダー32に対して移動可能であるが、上側スライダー33が移動されて上側スライダー33又はアクチュエーター21Aの一部が下側スライダー32の一部に接すると下側スライダー32と上側スライダー33が一体になって前後方向へ移動される。
【0076】
下側スライダー32と一体になって上側スライダー33が前後方向へ移動されると、上下エイミング調整の場合と同様にして保持プレート12と灯具ユニット6が回動支点部14、14を支点として支持プレート18に対して回動され、車載物の重量等に応じて変化される光軸の向きを調整するレベリング調整が行われる。
【0077】
尚、上記した第2の実施の形態における車輌用前照灯1Aにおいては、以下のように、下側スライダー32と上側スライダー33の形状や大きさを変更してそれぞれ下側スライダー32Aと上側スライダー33Aとして設け、左右方向における小型化を図ることが可能である(
図7参照)。
【0078】
下側スライダー32Aは左右方向における中央部の後端部に前後に貫通された保持孔32aを有している。下側スライダー32Aは前端部に前後に貫通された略円環状の環状挿通部32bを有し、環状挿通部32bの後側の部分が上方に開口された摺動凹部32cとして形成されている。摺動凹部32cは保持孔32aの上方に位置されている。下側スライダー32Aの下面には下方に開口され前後に延びる被案内溝32d、32dが左右に離隔して形成されている。下側スライダー32Aの上面には前後に延びるガイド突部32e、32eが左右に離隔して設けられている。
【0079】
上側スライダー33Aの下面には前後に延びる被ガイド突部33a、33aが左右に離隔して設けられている。上側スライダー33Aの左右両側面にはそれぞれ側方(外方)へ突出された係合ピン33b、33bとカム駆動部33c、33cとが上下に離隔して設けられている。カム駆動部33cは後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。上側スライダー33Aの左右方向における略中央部には摺動結合部33dが設けられ、摺動結合部33dは外周部が円筒状に形成されている。
【0080】
上側スライダー33Aは摺動結合部33dが下側スライダー32Aの摺動凹部32cに挿入されて摺動される。
【0081】
このように構成することにより、摺動凹部32cに摺動される上側スライダー33Aの摺動結合部33dが保持孔32aの上方に位置されるため、左右方向における小型化を図ることが可能である。
【0082】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態における車輌用前照灯1Bについて説明する(
図8及び
図9参照)。
【0083】
尚、第3の実施の形態における車輌用前照灯1Bは、上記した車輌用前照灯1と比較して、保持プレートの構成、光軸調整機構の一部の構成及び光軸調整機構の一部の配置位置が異なることのみが相違するため、車輌用前照灯1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用前照灯1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0084】
灯具ユニット6は、その下側に位置された保持プレート12Bに取り付けられて保持されている(
図8参照)。保持プレート12Bは上下に貫通された略矩形の枠状の保持部13と保持部13の前端部における左右両端部からそれぞれ下方へ突出された被支持部34、34と摺動係合部15Bと保持部13から上方へ突出された取付脚部35、35、・・・とを有している。保持プレート12Bは保持部13と回動支点部14、14と被支持部34、34と摺動係合部15Bが一体に形成されている。灯具ユニット6は各部が取付脚部35、35、・・・にネジ止め等によって取り付けられて保持プレート12Bに保持されている。
【0085】
被支持部34、34の下端部にはそれぞれ側方(外方)へ突出された回動支点部34a、34aが設けられている。
【0086】
摺動係合部15Bは保持部13の一方の側部の内縁から下方へ突出され、下面がカム部15bとして形成されている。カム部15bは後方へ行くに従って下方へ変位するように傾斜されている。
【0087】
灯具ユニット6の下方には光軸調整機構16Bが配置されている。光軸調整機構16Bは、ベース体17と支持プレート18Bとスライダー19Bとカム部材36と操作軸20、20とアクチュエーター21Bを有している。
【0088】
支持プレート18Bは基面部22とナット取付部24を有している。支持プレート18Bには基面部22の左右両側部にそれぞれ軸受部材37、37が取り付けられている。軸受部材37、37の上端部にはそれぞれ軸受リング38、38が支持されている。尚、軸受部材37、37はランプハウジング2と一体に形成されていてもよい。
【0089】
支持プレート18Bは被支持軸22aを支点としてベース体17に回動自在に支持される。
【0090】
軸受部材37、37に支持された軸受リング38、38には保持プレート12Bの回動支点部34a、34aがそれぞれ挿入され、保持プレート12Bが回動支点部34a、34aを支点として支持プレート18Bに回動自在に支持される。
【0091】
スライダー19Bは上下方向を向くスライド面部39とスライド面部39の前端部から上方へ突出されたアクチュエーター固定部40とスライド面部39の後端部から上方へ突出されたナット取付部41とを有している。スライド面部39の左右両端部は被案内部39a、39aとして設けられている。アクチュエーター固定部40には前後に貫通された軸挿通孔40aが形成され、ナット取付部41には前後に貫通された取付孔41aが形成されている。
【0092】
スライダー19Bは被案内部39a、39aがそれぞれ案内突部22b、22bに摺動自在に係合され、支持プレート18Bに前後方向へ移動自在に支持される。
【0093】
カム部材36は連結部36aと連結部36aから上方へ突出されたカム駆動部36bとを有している。カム駆動部36bは軸方向が左右方向にされた円柱状に形成されている。
【0094】
アクチュエーター21Bは操作軸20、20の前方側に配置されている。アクチュエーター21Bは駆動部27と軸部28Bを有し、駆動部27が支持プレート18Bの上面に前後方向へ移動可能な状態で配置されている。
【0095】
カム部材36は連結部36aがアクチュエーター21Bの軸部28Bに連結され、軸部28Bの移動に伴って前後方向へ移動される。アクチュエーター21Bは軸部28Bがスライダー19Bのアクチュエーター固定部40に形成された軸挿通孔40aを挿通され駆動部27がアクチュエーター固定部40に固定される。
【0096】
カム部材36はカム駆動部36bが下方から保持プレート12のカム部15bに摺動自在に係合される。このとき灯具ユニット6がカム部15bとカム駆動部36bの上方に配置されているため、カム部15bがカム駆動部36bに灯具ユニット6の荷重によって押し付けられる。
【0097】
支持プレート18Bの取付孔24aには第1のナット部材30が取り付けられ、スライダー19Bの取付孔41aには第2のナット部材31が取り付けられる。
【0098】
光軸調整機構16Bにおいて、一方の操作軸20の操作部26が回転操作されると、操作軸20の回転方向に応じて第1のナット部材30が送られて前後方向へ移動される。第1のナット部材30が前後方向へ移動されると、第1のナット部材30の移動に伴って支持プレート18B、保持プレート12B、スライダー19B、カム部材36、軸受部材37、37、アクチュエーター21B及び灯具ユニット6が一体になって被支持軸22aを支点としてベース体17に対して回動され、光軸の初期調整である左右エイミング調整が行われる。このときスライダー19Bは第2のナット部材31に対して左右方向へ回動される。
【0099】
また、光軸調整機構16Bにおいて、他方の操作軸20の操作部26が回転操作されると、操作軸20の回転方向に応じて第2のナット部材31が送られて前後方向へ移動される。第2のナット部材31が前後方向へ移動されると、第2のナット部材31の移動に伴ってスライダー19Bとアクチュエーター21Bとカム部材36が支持プレート18Bに対して案内突部22b、22bに案内されて前後方向へ移動される。スライダー19Bとアクチュエーター21Bとカム部材36が前後方向へ移動されると、カム部材36のカム駆動部36bのカム部15bに対する係合位置が変化され、保持プレート12Bと灯具ユニット6が回動支点部34a、34aを支点として支持プレート18Bに対して回動され、光軸の初期調整である上下エイミング調整が行われる。
【0100】
一方、アクチュエーター21Bの駆動部27の駆動力によって軸部28Bが前後方向へ移動されると、軸部28Bの移動方向に応じてカム部材36が前後方向へ移動される。カム部材36が前後方向へ移動されると、上下エイミング調整の場合と同様にして保持プレート12Bと灯具ユニット6が回動支点部34a、34aを支点として支持プレート18Bに対して回動され、車載物の重量等に応じて変化される光軸の向きを調整するレベリング調整が行われる。
【0101】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態における車輌用前照灯1Cについて説明する(
図10及び
図11参照)。
【0102】
尚、第4の実施の形態における車輌用前照灯1Cは、上記した車輌用前照灯1と比較して、保持プレートの構成、光軸調整機構の一部の構成及び光軸調整機構の一部の配置位置が異なることのみが相違するため、車輌用前照灯1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については車輌用前照灯1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0103】
灯具ユニット6は、その下側に位置された保持プレート12Cに取り付けられて保持されている。保持プレート12Cは上下に貫通された略矩形の枠状の保持部13Cと保持部13Cからそれぞれ上方へ突出された取付脚部42、42と保持部13Cの一方の側部から下方へ突出された連結面部43とを有している。
【0104】
保持部13Cの下面には下方へ突出された支持突条13a、13a、13aが周方向に離隔して設けられている。
【0105】
連結面部43は略左右方向を向く板状に形成され、外面が外方へ凸の緩やかな円弧面状に形成され、外面にギヤ部43aを有している。
【0106】
灯具ユニット6より下方には光軸調整機構16Cが配置されている。光軸調整機構16Cは、支持プレート18Cとカム部材44と操作軸20、20Cとアクチュエーター21Cを有している。また、光軸調整機構16Cには保持プレート12Cの連結面部43も含まれる。
【0107】
支持プレート18Cは上下に貫通された略円環状の基面部22Cと基面部22Cの前端部における左右両端部からそれぞれ下方へ突出された被支持部45、45と基面部22Cから下斜め内側へ突出された連結脚部46、46、・・・と連結脚部46、46、・・・に連結された摺動係合部47とを有している。
【0108】
基面部22Cには円弧状の被支持孔22c、22c、22cが周方向に離隔して形成されている。
【0109】
被支持部45、45の下端部にはそれぞれ側方(外方)へ突出された回動支点部45a、45aが設けられている。
【0110】
摺動係合部47は前後方向に延び左右に離隔して位置されたカム部47a、47aとカム部47a、47aの後端部を連結する連結辺部47bとから成り、カム部47a、47aは後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。
【0111】
支持プレート18Cの被支持孔22c、22c、22cには保持プレート12Cの支持突条13a、13a、13aがそれぞれ摺動自在に係合される。従って、保持プレート12Cが支持プレート18Cに回動自在に支持される。
【0112】
カム部材44はブロック状の結合部48と結合部48の左右両側面からそれぞれ側方(外方)へ突出された係合ピン49、49及びカム駆動部50、50とから成り、結合部48には下方に開口された螺合用凹部48aが形成されている。螺合用凹部48aの周面には図示しない螺溝が形成されている。カム駆動部50は後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。
【0113】
カム部材44の係合ピン49、49とカム駆動部50、50の間には支持プレート18Cのカム部47a、47aが挿入され、係合ピン49、49とカム駆動部50、50がカム部47a、47aに摺動可能とされる。このとき灯具ユニット6がカム部47a、47aとカム駆動部50、50の上方に配置されているため、カム部47a、47aがそれぞれカム駆動部50、50に灯具ユニット6の荷重によって押し付けられる。
【0114】
操作軸20は軸部25に形成された螺合部25aが保持プレート12Cの連結面部43に形成されたギヤ部43aに螺合されている。
【0115】
操作軸20Cは操作軸20より短くされ、軸部25Cに螺合部が形成されておらず、軸部25Cに前方に開口された非円形状の結合穴25bが形成されている。操作軸20Cは操作軸20と左右に離隔してランプハウジング2に軸回り方向へ回転自在に支持されている。
【0116】
アクチュエーター21Cは操作軸20、20Cの前方に配置されている。アクチュエーター21Cは駆動部27と軸部28Cを有している。軸部28Cには螺合部28aが形成されている。
【0117】
アクチュエーター21Cの軸部28Cは軸部25Cの結合穴25bに挿入されて操作軸20Cに結合されている。従って、アクチュエーター21Cの軸部28Cと操作軸20Cは一体になって回転される。
【0118】
アクチュエーター21Cの軸部28Cに形成された螺合部28aはカム部材44の螺合用凹部48aに挿入されて螺合される。
【0119】
アクチュエーター21Cはランプハウジング2の底面2aに固定された取付用ブラケット51に取り付けられている。取付用ブラケット51にはアクチュエーター21Cを取り付けるための取付突部51a、51a、・・・と取付突部51a、51a、・・・の左右に設けられた軸受部51b、51bとを有している。尚、取付用ブラケット51はランプハウジング2に一体に設けられていてもよい。
【0120】
取付用ブラケット51の軸受部51b、51bには保持プレート12Cの回動支点部45a、45aが支持される。従って、保持プレート12Cは回動支点部45a、45aを支点として取付用ブラケット51に回動自在に支持される。
【0121】
光軸調整機構16Cにおいて、操作軸20の操作部26が回転操作されると、操作軸20の回転方向に応じて保持プレート12Cと照明ユニット6が支持プレート18Cに対して一体になって回動され、光軸の初期調整である左右エイミング調整が行われる。
【0122】
また、光軸調整機構16Cにおいて、操作軸20Cの操作部26が回転操作されると、操作軸20Cの回転に伴ってアクチュエーター21Cの軸部28Cが回転され、軸部28Cの回転に伴ってカム部材44が送られて前後方向へ移動される。カム部材44が前後方向へ移動されると、係合ピン49、49とカム駆動部50、50のカム部47a、47aに対する係合位置が変化され、保持プレート12Cと灯具ユニット6が回動支点部45a、45aを支点として取付用ブラケット51に対して回動され、光軸の初期調整である上下エイミング調整が行われる。
【0123】
一方、アクチュエーター21Cの駆動部27の駆動力によって軸部28Cが前後方向に移動されると、軸部28Cの移動方向に応じてカム部材44が前後方向へ移動される。カム部材44が前後方向へ移動されると、上下エイミング調整の場合と同様にして保持プレート12Cと灯具ユニット6が回動支点部45a、45aを支点として支持プレート18Cに対して回動され、車載物の重量等に応じて変化される光軸の向きを調整するレベリング調整が行われる。
【0124】
<その他>
以下に、カム部とカム駆動部を確実に摺動させる構成の例について説明する(
図12参照)。
【0125】
尚、以下に示す例は、第1の実施の形態におけるカム部15aとカム駆動部19cの摺動構造、第2の実施の形態におけるカム部15aとカム駆動部19cの摺動構造、第3の実施の形態におけるカム部15bとカム駆動部36bの摺動構造及び第4の実施の形態におけるカム部47aとカム駆動部50の摺動構造の何れの摺動構造にも適用することができる。
【0126】
以下には、例として、保持プレート12のカム部15aとスライダー19のカム駆動部19cとの摺動構造において両者を確実に摺動させる構成について説明する。
【0127】
スライダー19にはカム駆動部19c、19cの上方にそれぞれ付勢部52、52が設けられている。付勢部52としては、例えば、板バネが用いられている。付勢部52は、例えば、係合ピン19bの前方に位置されている。
【0128】
付勢部52が弾性変形されていない状態においては、付勢部52とカム駆動部19cの間の距離H1が係合ピン19bとカム駆動部19cの間の距離H2より小さくされている。従って、係合ピン19bとカム駆動部19cの間に挿入されているカム部15aが付勢部52によってカム駆動部19cに押し付けられ、カム部15aとカム駆動部19cが確実に摺動される。
【0129】
このように付勢部52が設けられることにより、カム部15aが付勢部52によってカム駆動部19cに押し付けられてガタツキが生じることがなく両者が確実に摺動されるため、振動等による光軸のブレを防止することができると共に振動等によるカム部15aとカム駆動部19cの衝突が生じることがなく両者の破損等を防止することができる。
【0130】
<まとめ>
以上に記載した通り、車輌用前照灯1、1A、1B、1Cにあっては、灯具ユニット6の下方に光軸の向きを調整する光軸調整機構16、16A、16B、16Cが配置されている。
【0131】
従って、灯具ユニット6と光軸調整機構16、16A、16B、16Cが上下に配置されるため、前後方向における小型化を図ることができる。
【0132】
また、保持プレート12、12B、12Cが上下方向へ回動されると共に支持プレート18、18B、18Cと保持プレート12、12B、12Cが一体になって左右方向へ回動され、上下方向の回動軸と左右方向の回動軸が異なる部材に設けられているため、上下方向と左右方向の回動時に捩じりモーメントが生じ難く、円滑な動作を確保することができる。
【0133】
尚、上記には、保持プレート12、12B、12Cが上下方向へ回動されると共に支持プレート18、18B、18Cと保持プレート12、12B、12Cが一体になって左右方向へ回動される例を示したが、逆に、保持プレート12、12B、12Cが左右方向へ回動されると共に支持プレート18、18B、18Cと保持プレート12、12B、12Cが一体になって上下方向へ回動される構成にすることも可能である。
【0134】
さらに、保持プレート12、12B、12Cと支持プレート18、18B、18Cが上下に配置されているため、その分、前後方向における一層の小型化を図ることができる。
【0135】
さらにまた、保持プレート12、12B、12Cに上下方向に貫通された枠状の保持部13、13Cが設けられているため、保持プレート12、12Bの高い剛性を確保した上で車輌用前照灯1、1A、1B、1Cの軽量化を図ることができる。
【0136】
加えて、保持プレート12、12B、12Cに上下方向の回動支点部14、34a、45aが一体に設けられ、支持プレート18、18Bに左右方向の回動支点となる被支持軸22aが一体に設けられているため、部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0137】
また、車輌用前照灯1、1A、1B、1Cにあっては、光軸の向きを調整する光軸調整機構16、16A、16B、16Cに、カム部15a、15b、47aと、カム部15a、15b、47aに摺動自在に係合され灯具ユニット6を上下方向又は左右方向へ回動させるカム駆動部19c、33c、36b、50とが設けられている。
【0138】
従って、灯具ユニット6を回動させる機構としてカム機構が用いられているため、構造的な設計の自由度が高く、各部品の配置スペースに制限が生じ難く、設計の自由度の向上による小型化を図ることができる。
【0139】
さらに、灯具ユニット6がカム部15a、15b、47aとカム駆動部19c、33c、36b、50の上方に配置され、カム部15a、15b、47aがカム駆動部19c、33c、36b、50に灯具ユニット6の荷重によって押し付けられるようにされている。
【0140】
従って、前後方向における小型化を確保した上で灯具ユニット6の回動動作における信頼性の向上を図ることができる。