(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸着ノズルには、前記複数の吸着口が形成された吸着面に対向するように、前記認識部による角度認識用の外面形状が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
前記吸着ノズルは前記ヘッドに対して着脱可能であり、前記ヘッドから外された前記吸着ノズルを収容する収容部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部品実装装置。
前記認識部は前記ヘッドの下方に設けられ、レーザー光線の照射により前記吸着ノズルの向きを認識することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の部品実装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品実装装置においては、小型の抵抗やコンデンサだけでなく、CPU(Central Processing Unit)やカードリーダのコネクタ等の大型の電子部品が基板に実装される。また近年、電磁波の漏洩を防ぐシールドケースの搭載の要望も高まっている。シールドケースには軽量化のために肉抜きされたもの等があり、上記の部品実装装置のように電子部品の1箇所を吸着しただけでは安定した実装ができない。複数の離間した吸着口を有する吸着ノズルもあるが、上記の部品実装装置では部品の形状に関わらず吸着ノズルの向きが一定なため、電子部品の離間した吸着箇所を適切に吸着することは難しい。
【0005】
また、レーザー光線や画像認識による電子部品の認識範囲には制限があり、まれに電子部品が認識範囲に収まらない場合がある。この場合、部品実装装置において吸着ノズルに吸着された電子部品を認識することができず、基板に対して電子部品を実装することができないという不具合がある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、電子部品の大きさや形状に関わらず、基板に対して電子部品を適切に実装することができる部品実装装置及び部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、ヘッドに装着した吸着ノズルで電子部品を吸着して、基板に対して電子部品を実装する部品実装装置であって、前記ヘッドに装着した吸着ノズルが前記電子部品を吸着する前に、前記吸着ノズルの向きを認識する認識部と、前記認識部の認識結果に基づいて前記吸着ノズルを任意の角度に回転させるためのヘッドに備えた回転駆動部とを備え、前記吸着ノズルの先端は複数の離間した吸着口を有しており、前記電子部品に予め設定された複数の離間した吸着箇所に応じて、前記回転駆動部が前記吸着ノズルの向きを調整
し、前記吸着ノズルが前記電子部品を吸着した後に、前記回転駆動部が前記吸着ノズルの向きから前記電子部品の向きを推定して、前記電子部品の向きを調整することを特徴とする。
【0008】
本発明の部品実装方法は、ヘッドに装着した吸着ノズルで電子部品を吸着して、基板に対して電子部品を実装する部品実装方法であって、前記ヘッドに装着した吸着ノズルが前記電子部品を吸着する前に、前記吸着ノズルの向きを認識するステップと、認識された前記吸着ノズルの向きに基づいて
前記ヘッドに備えた回転駆動部で前記吸着ノズルを任意の角度に回転させるステップとを有し、前記吸着ノズルの先端は複数の離間した吸着口を有しており、前記電子部品に予め設定された複数の離間した吸着箇所に応じて、前記吸着ノズルの向きが調整され、前記吸着ノズルが前記電子部品を吸着した後に、前記回転駆動部が前記吸着ノズルの向きから前記電子部品の向きを推定して、前記電子部品の向き
を調整
することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、電子部品を吸着する前に吸着ノズルの向きが調整されて、電子部品に設定された複数の吸着箇所に吸着ノズルの複数の吸着口が合わせられる。よって、吸着ノズルの複数の吸着口に電子部品の複数の吸着箇所が保持されるため、基板に対して電子部品を安定して実装できる。また、認識部の認識範囲に収まらないサイズの電子部品を吸着した場合には、吸着ノズルの向きから電子部品の向きを認識できる。
また、電子部品が認識部の認識範囲に収まらない場合であっても、電子部品の向きを直接認識することなく、電子部品の向きを適切に調整して基板に搭載することができる。
【0011】
また本発明の上記部品実装装置において、前記吸着ノズルには、前記複数の吸着口が形成された吸着面に対向するように、前記認識部による角度認識用の外面形状が設けられている。この構成によれば、吸着ノズルの吸着面に対向する位置で吸着ノズルの向きを認識することができる。
【0012】
また本発明の上記部品実装装置において、前記吸着ノズルは前記ヘッドに対して着脱可能であり、前記ヘッドから外された前記吸着ノズルを収容する収容部をさらに備える。この構成によれば、電子部品の種類に応じて適切な吸着ノズルを使用することができる。
【0013】
また本発明の上記部品実装装置において、前記認識部は前記ヘッドの下方に設けられ、レーザー光線の照射により前記吸着ノズルの向きを認識する。この構成によれば、吸着ノズルの外面にレーザー光線を照射することで、吸着ノズルの向きを容易に認識することができる。
【0014】
また本発明の上記部品実装装置において、前記認識部は、撮像により前記吸着ノズルの向きを認識する。この構成によれば、吸着ノズルの外面を撮像した撮像画像に基づいて、吸着ノズルの向きを容易に認識することができる。
【0015】
また本発明の上記部品実装装置において、前記吸着ノズルの先端は緩衝材で形成されており、前記認識部は、前記複数の吸着口に光を照射して、前記吸着口からの反射光に基づいて前記複数の吸着口を認識する。この構成によれば、吸着ノズルの先端が外面形状の安定しない緩衝材で形成されても、複数の吸着口の位置を適切に認識することができる。
【0016】
また本発明の上記部品実装装置において、前記吸着ノズルを平面方向に移動させる平面移動部を備え、前記吸着ノズルが前記電子部品を吸着する前に、予め設定された前記複数の吸着口に対する前記認識部で認識された前記複数の吸着口のズレ量に基づいて、前記平面移動部が平面方向の移動量を補正し、前記回転駆動部が回転量を補正する。この構成によれば、電子部品に設定された複数の吸着箇所に、複数の吸着口を精度よく合わせることができる。よって、吸着ノズルによって電子部品が一度で適切に吸着されるため、電子部品の吸着動作が繰り返されることがなく、生産性が向上される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子部品を吸着する前に吸着ノズルの向きを認識することで、電子部品の大きさや形状に関わらず、基板に対して電子部品を適切に実装することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図5を参照して本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る部品実装装置の上面模式図である。
図2は、第1の実施の形態に係る吸着ノズルの平面図である。
図3は、第1の実施の形態に係る部品実装装置の制御ブロック図である。なお、以下においては、本発明の部品実装装置を基板に対するシールドケースの搭載に使用する場合について説明するが、この構成に限定されない。本発明の部品実装装置を他の電子部品の搭載時に使用してもよい。
【0020】
図1に示すように、部品実装装置1は、部品供給装置としてのパーツフィーダ3から供給された電子部品58(
図4参照)を、搭載ヘッド4によって基板Wに搭載するように構成されている。部品実装装置1の基台2の中央には、X軸方向に沿って基板搬送装置5が配設されている。基板搬送装置5は、X軸方向の一端側から部品実装前の基板Wを搭載ヘッド4の下方に搬入し、部品搭載後の基板WをX軸方向の他端側から搬出する。また、基台2上には、基板搬送装置5を挟んだ両側に多数のパーツフィーダ3が横並びに配置されている。
【0021】
各パーツフィーダ3にはテープリール11が着脱自在に装着され、テープリール11には多数の電子部品58をパッケージングしたキャリアテープが巻回されている。各パーツフィーダ3は、テープリール11の回転によって搭載ヘッド4にピックアップされる受け渡し位置に向けて、順番に電子部品58を繰り出している。搭載ヘッド4の受け渡し位置では、キャリアテープから表面のカバーテープが剥離され、キャリアテープのポケット内の電子部品58が外部に露出される。
【0022】
基台2上には、搭載ヘッド4をX軸方向及びY軸方向に移動させる搭載ヘッド移動機構7が設けられている。搭載ヘッド移動機構7は、基台2の四隅に立設された支柱部(不図示)により支持されており、基台2上面から所定の高さで搭載ヘッド4をX軸方向及びY軸方向に移動させる。搭載ヘッド移動機構7は、Y軸方向に平行な一対のY軸テーブル12と、一対のY軸テーブル12上を移動するX軸テーブル13とを有している。X軸テーブル13には、搭載ヘッド4がX軸方向に移動可能に支持されている。
【0023】
搭載ヘッド移動機構7は、X軸モータ31(
図3参照)によってX軸テーブル13に沿って搭載ヘッド4をX軸方向に移動させる。また、搭載ヘッド移動機構7は、Y軸モータ32(
図3参照)によってX軸テーブル13と共に搭載ヘッド4を一対のY軸テーブル12に沿ってY軸方向に移動させる。このような構成により、搭載ヘッド4は、基板Wの上方を水平移動され、パーツフィーダ3から供給された電子部品58を保持して、基板Wの所望の位置に移載することが可能になっている。基台2上には、多種多様の吸着ノズルが収容されたノズルチェンジャ8(収容部)が設けられており、搭載ヘッド4の吸着ノズルを交換できるように構成されている。
【0024】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態で使用される吸着ノズル15について説明する。吸着ノズル15は、シールドケース等の大型の電子部品58用のノズルであり、ノズルシャフト16の先端のノズルアウタ17に着脱自在に取り付けられている。吸着ノズル15は、回転駆動部としてのθ軸モータ34(
図3参照)によってZ軸回りで任意の角度に回転され、Z軸モータ33(
図3参照)によってZ軸方向に昇降移動される。吸着ノズル15は、ノズルアウタ17に装着される装着部21に、電子部品58を吸着する吸着部22をZ軸方向に摺動可能に取り付けて構成される。装着部21と吸着部22との間には、衝撃吸収用のノズルバネ23が設けられている。
【0025】
吸着部22は、Z軸方向に直交する一方向に延在しており、延在方向の両端部で電子部品58を吸着するように構成されている。吸着部22の両端部は、僅かに下方に突出した吸着面24が設けられ、各吸着面24に離間した吸着口25が形成されている。各吸着口25は吸着部22内で二股に分岐した分岐流路の一端を形成しており、各分岐流路は途中で合流してノズルシャフト16内の流路を介してバキューム機構30(
図3参照)に接続されている。また、吸着部22の上部には、吸着ノズル15の向きを認識するための外面形状として凸形状26が形成されている。この凸形状26によって吸着部22の上部に一対の認識面27が平行に形成される。吸着ノズル15は、一対の認識面27を基準として回転角度が調整される。
【0026】
また、
図3に示すように、搭載ヘッド4には、基板Wの搭載位置を認識する画像認識部41及び吸着ノズル15の向きを認識するレーザー認識部51が設けられている。画像認識部41は、パーツフィーダ3からに送り出された電子部品58や基板Wのマークを撮像する。画像認識部41の撮像画像に基づいて、X軸方向及びY軸方向における電子部品58の吸着位置や基板W上の実装位置が調整される。レーザー認識部51は、吸着ノズル15を挟んで発光面55と受光面56とを対向させており、吸着ノズル15の凸形状26にレーザー光線を照射する。レーザー認識部51の受光面56上に生じる吸着ノズル15の影に基づいて、吸着ノズル15の向きが調整される。
【0027】
部品実装装置1には、各部を統括制御するコントローラ35が設けられている。コントローラ35は、各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の各種メモリを有している。コントローラ35には、入力デバイスとしてキーボード36やマウス37が接続され、表示デバイスとしてモニタ38が接続されている。コントローラ35には、フラッシュメモリ等で構成された記憶装置39が接続されている。記憶装置39には、キーボード36やマウス37で入力された部品データ等が格納される。
【0028】
また、画像認識部41及びレーザー認識部51には、それぞれA/D変換器42、52、CPU43、53、メモリ44、54が設けられている。画像認識部41では、アナログ画像がA/D変換器42でデジタルデータに変換されてメモリ44に格納され、CPU43によってデジタルデータから搭載ヘッド4の制御量が算出される。レーザー認識部51では、吸着ノズル15の影を示すアナログデータがA/D変換器52でデジタルデータに変換されてメモリ54に格納され、CPU53によってデジタルデータから搭載ヘッド4の制御量が算出される。
【0029】
そして、画像認識部41及びレーザー認識部51からコントローラ35に対して搭載ヘッド4の制御量が入力され、コントローラ35によってバキューム機構30、X軸モータ31、Y軸モータ32、Z軸モータ33、θ軸モータ34が駆動制御される。このような制御により、搭載ヘッド4によってパーツフィーダ3から電子部品58がピックアップされ、基板Wの所定位置に電子部品58が適切に搭載される。ところで、部品実装装置1には抵抗やコンデンサ等の小型の電子部品だけでなく、電大型の電子部品58としてシールドケースが基板Wに搭載される。
【0030】
以下、
図4を参照して、電子部品の吸着方法について詳細に説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る電子部品の吸着方法の説明図である。
【0031】
図4Aに示す電子部品58は、磁波の漏洩を防ぐシールドケースであり、金属板材の中央を打ち抜いて矩形枠状に形成されている。この電子部品58は、小型の電子部品のように部品中央を吸着することはできず、さらに外周部分の1箇所を吸着しただけでは安定して保持することができない。このため、本実施の形態では上記した一対の離間した吸着口25を有する吸着ノズル15を用いて、電子部品58を安定的に保持するようにしている。電子部品58には、対角部分に一対の吸着口25によって吸着される一対の離間した吸着箇所59が設けられている。
【0032】
初期状態では、一対の吸着箇所59を結ぶ直線L1は、吸着ノズル15の一対の吸着口25を結ぶ直線L2に対して角度θ1で交差している。このため、一対の吸着口25が電子部品58の一対の吸着箇所59に合うように吸着ノズル15の向きが調整される。具体的には、
図4Bに示すように、吸着ノズル15が電子部品58を吸着する前に、レーザー認識部51の発光面55から吸着ノズル15の凸形状26にレーザー光線が照射され、レーザー認識部51の受光面56に凸形状26の影が形成される。凸形状26には吸着ノズル15の角度調整の基準となる一対の認識面27が設けられており、一対の認識面27によって凸形状26の影の幅が可変される。
【0033】
レーザー認識部51では、受光面56に形成される凸形状26の影の幅に応じて吸着ノズル15の現在の角度が計測される。このレーザー認識部51の計測結果に基づいて、一対の吸着口25が電子部品58の一対の吸着箇所59に合うように吸着ノズル15の吸着角度が調整される。よって、電子部品58の対角部分の一対の離間した吸着箇所59が一対の離間した吸着口25で吸着され、電子部品58が安定的に保持される。吸着ノズル15に電子部品58が吸着されると、吸着ノズル15に吸着された状態で電子部品58の向きが、基板Wに対する任意の搭載角度に調整される。
【0034】
この場合、
図4Cに示すように、本実施の形態のような大型の電子部品58は、レーザー認識部51の認識範囲(照射範囲)に収まらない場合がある。よって、電子部品58にレーザー光線を照射しても、電子部品58の向きを認識することはできない。そこで、本実施の形態のレーザー認識部51は、電子部品58にレーザー光線を照射して電子部品58の向きを直接認識するのではなく、吸着ノズル15の向きから電子部品58の向きを推定している。よって、吸着ノズル15の現在の角度(吸着角度)を基準として、吸着ノズル15と共に電子部品58が回転されることで、電子部品58が基板Wに対して任意の搭載角度に調整される。
【0035】
図5を参照して、搭載ヘッドによる大型の電子部品の搭載動作について説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る搭載ヘッドによる電子部品の搭載動作のフローチャートである。なお、
図5のフローチャートは一例を示すものであり、適宜変更が可能である。
【0036】
図5に示すように、搭載ヘッド4がノズルチェンジャ8に移動して、搭載ヘッド4に大型の電子部品58用の吸着ノズル15が装着される(ステップS01)。次に、レーザー認識部51によって、吸着ノズル15の現在の角度が計測される(ステップS02)。この場合、レーザー光線が吸着ノズル15の凸形状26に照射され、凸形状26の影に応じて吸着ノズル15の角度が計測される。次に、レーザー認識部51で計測された吸着ノズル15の角度を基準としてθ軸モータ34が回転され、電子部品58に対する吸着ノズル15の吸着角度が調整される(ステップS03)。
【0037】
次に、搭載ヘッド4がパーツフィーダ3の上方に移動され、吸着ノズル15が下降してパーツフィーダ3から供給された電子部品58が保持される(ステップS04)。このとき、吸着ノズル15が電子部品58を吸着する前に、吸着ノズル15の吸着角度が調整されているため、一対の吸着口25によって電子部品58の吸着箇所59が適切に吸着される。よって、矩形枠状の電子部品58であっても、吸着ノズル15に安定して保持される。次に、吸着ノズル15が電子部品58を吸着した状態で上昇し、電子部品58が所定の搬送高さに位置付けられる(ステップS05)。
【0038】
次に、θ軸モータ34によって吸着ノズル15が回転され、基板Wに対する電子部品58の搭載角度が調整される(ステップS06)。このとき、吸着ノズル15の現在の角度が電子部品58の現在の角度として推定され、吸着ノズル15の現在の角度を基準として電子部品58の回転量が調整される。次に、搭載ヘッド4が基板Wの上方に移動され、吸着ノズル15が下降して基板Wの搭載位置に電子部品58が搭載される(ステップS07)。そして、吸着ノズル15が所定の搬送高さに上昇し(ステップS08)、搭載ヘッド4がノズルチェンジャ8に移動して吸着ノズル15が取り外される(ステップS09)。
【0039】
なお、ステップS06においては、電子部品58を吸着した後に吸着ノズル15の角度を、レーザー認識部51によって再び計測することで、電子部品58の現在の角度を推定してもよい。また、ステップS02においては、レーザー光線の照射によって吸着ノズル15の角度を計測する構成としたが、画像認識によって吸着ノズル15の角度を計測することも可能である。例えば、基台2上に高精度の撮像装置を設けて、下方から吸着ノズル15を撮像することで吸着ノズル15の現在の角度を計測することも可能である。
【0040】
以上のように、第1の実施の形態に係る部品実装装置1によれば、電子部品58を吸着する前に吸着ノズル15の向きが調整されて、電子部品58に設定された一対の離間した吸着箇所59に吸着ノズル15の一対の離間した吸着口25が合わせられる。よって、吸着面積の限られた電子部品58であっても、一対の吸着口25で電子部品58を適切に保持することができ、基板Wに対して電子部品58を安定して実装できる。また、レーザー認識部51の認識範囲に収まらないサイズの電子部品58を吸着した場合には、吸着ノズル15の向きから電子部品58の向きを認識できる。よって、電子部品58の向きを直接認識することなく、電子部品58の向きを適切に調整して基板Wに搭載することができる。
【0041】
続いて、
図6から
図9を参照して、本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る吸着ノズルの平面図である。
図7は、第2の実施の形態に係る電子部品の上面図である。
図8は、第2の実施の形態に係る部品実装装置の制御ブロック図である。
図9は、第2の実施の形態に係る電子部品の吸着方法の説明図である。なお、第2の実施の形態に係る部品実装装置は、第1の実施の形態に係る部品実装装置のレーザー認識部の代わりに、認識部として高精度の撮像装置を設けたものである。したがって、第1の実施の形態と共通の構成については説明を省略し、主に相違点について説明する。
【0042】
上記した第1の実施の形態に係る吸着ノズル15では、吸着部22の両端部に設けた吸着面24によって電子部品58が部分的に保持される(
図2、
図3参照)。このため、搭載ヘッド4が基板Wに電子部品58を搭載する際に、吸着ノズル15の吸着面24による電子部品58の押し込みによって電子部品58が変形するおそれがある。そこで、
図6Aに示すように、本発明の第2の実施の形態の吸着ノズル61では、電子部品96(
図7参照)の変形防止のためにノズル先端がゴム等の緩衝材62で形成され、緩衝材62の下面全体で電子部品96の全面を保持するようにしている。
【0043】
吸着ノズル61は、板状の吸着部67を有している。吸着部67の下面は緩衝材62によって全面が覆われており、緩衝材62の所定位置に一対の吸着口69が形成されている。各吸着口69は、吸着部67内に形成された流路66に連なっており、ノズルシャフト内の流路を介してバキューム機構70(
図8参照)に接続されている。また、吸着部67の流路66において一対の吸着口69を通じて見える箇所は、撮像時の光の反射面86として機能する。
【0044】
図7に示す電子部品96は、ノイズ対策用のシールド部材であり、金属板材を打ち抜いて略矩形枠状に形成されている。電子部品96の外枠部97には、中央の開口を3つに分ける複数の繋部98が接続されている。電子部品96には、この外枠部97の一の角部分と複数の繋部98の交差部分に、一対の離間した吸着口69によって吸着される一対の離間した吸着箇所99が設けられている。よって、吸着ノズル61の緩衝材62には、電子部品96の吸着箇所99に対応する位置に吸着口69が形成されている。
【0045】
ところで、第2の実施の形態においては、吸着ノズル61が電子部品96を吸着する前に、電子部品96の離間した吸着箇所99に合うように吸着ノズル61の吸着口69の位置が調整される。この場合、第1の実施の形態のように、吸着ノズル61の外面にレーザー光線を照射しても、一対の吸着口69の位置を適切に認識することはできない。これは、
図6Bに示すように、吸着ノズル61の先端には緩衝材62が設けられており、緩衝材62の外側面68には僅かな起伏が生じているからである。このため、第2の実施の形態では、
図8に示すように、撮像装置91によって下側から吸着ノズル61の先端を撮像することで、吸着ノズル61の一対の吸着口69の位置を認識している。
【0046】
撮像装置91には、A/D変換器92、CPU93、メモリ94が設けられている。撮像装置91から吸着ノズル61に光が照射され、吸着口69の奥側の反射面86(
図6A参照)から反射光が撮像装置91に取り込まれることで、一対の吸着口69を含む撮像画像が生成される。撮像装置91では、アナログ画像がA/D変換器92でデジタル画像に変換されてメモリ94に格納される。また、第2の実施の形態に係る部品実装装置の記憶装置79には、一対の吸着口69の設計位置を示す基準画像が予め格納されている。CPU93によってメモリ94内の撮像画像と記憶装置79内の基準画像とが比較されて搭載ヘッド65の制御量が算出される。
【0047】
例えば、
図9Aに示すように、撮像画像I1の一対の吸着口69を結ぶ直線L3と、基準画像I2の一対の吸着口87を結ぶ直線L4とが比較される。直線L4に対する直線L3の傾きから角度ズレが算出される。この角度ズレに基づいて直線L3が直線L4に平行になるように吸着ノズル61の回転角度θ2が算出される。次に、
図9Bに示すように、吸着ノズル61の回転ズレが補正されると、撮像画像I1の一対の吸着口69と基準画像I2の一対の吸着口87のXY平面における位置ズレΔX、ΔYが算出される。このXY方向の位置ズレΔX、ΔYに基づいて一対の吸着口69が一対の吸着口87に重なるように搭載ヘッド65の制御量が算出される。
【0048】
そして、角度ズレ量に基づいてθ軸モータ74が回転されて、電子部品96に対する吸着ノズル61の向きが調整される。また、位置ズレ量に基づいてX軸モータ71及びY軸モータ72が駆動され、XY平面内における吸着ノズル61の位置が調整される。これにより、吸着ノズル61の一対の吸着口69によって電子部品96の一対の吸着位置が適切に吸着される。その後、第1の実施の形態と同様に、吸着ノズル61の現在の角度を基準として電子部品96の回転量が調整され、基板Wの搭載位置に電子部品96が搭載される。
【0049】
以上のように、第2の実施の形態に係る部品実装装置によれば、吸着面積の限られた電子部品96であっても、電子部品96が設定された一対の離間した吸着箇所99に、一対の離間した吸着口69を精度よく合わせることができる。よって、電子部品96が一度で適切に吸着されるため、電子部品96の吸着動作が繰り返されることがなく、生産性が向上される。また、吸着ノズル61の先端が外面形状の安定しない緩衝材62で形成されても、一対の吸着口69の位置を適切に認識することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0051】
例えば、上記した第1の実施の形態では、吸着ノズル15に対してレーザー光線を照射することで、吸着ノズル15の向きを認識する構成としたが、この構成に限定されない。吸着ノズル15の向きは、例えば、吸着ノズル15を撮像することで、吸着ノズル15の向きを認識してもよい。
【0052】
また、上記した第1の実施の形態では、角度認識用の外面形状として凸形状26が設けられる構成としたが、この構成に限定されない。角度認識用の外面形状は、吸着ノズル15の角度認識の基準となる形状であれば、形状や位置は特定されない。
【0053】
また、上記した第2の実施の形態では、画像認識により吸着ノズル61の吸着口69を認識する構成としたが、この構成に限定されない。吸着ノズル61の吸着口69は、例えば、吸着口69に対するレーザー照射等によって認識されてもよい。
【0054】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、吸着ノズル15、61が着脱可能に構成されたが、この構成に限定されない。吸着ノズル15、61は、ノズルシャフトに一体に形成されていてもよい。